JPH0527946U - 多空胴形クライストロン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】高周波特性のノイズの原因となる金属テープの
可動同調素子からの外れを防止し、再現性のある同調を
得る。 【構成】金属線支持体４の螺旋状の細い金属線収容溝４
ａには金属線１１が捲きつけられており、金属線支持体
４の金属線収容溝４ａと金属線１１の間に金属テープ１
２が挟まれ固定されている。金属線１１は共振空胴３の
上下内壁面７に接触しており、金属テープ１２の両端は
それぞれ左右内壁面５に接触している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は多空胴形クライストロンに関し、特に弾性を有する周波数調整用可動 同調素子をもつ空胴共振器を備えた多空胴形クライストロンに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来より多空胴形クライストロンは、電力利得，効率が高く取扱いが容易等の 理由からテレビ放送や通信用の送信機の最終段増幅管として幅広く使用されてい る。このような多空胴形クライストロンを動作させるには、一般に、各空胴共振 器の共振周波数を動作周波数と同じ周波数に合わせるか、または、動作周波数か ら少し離調した周波数に合わせる、いわゆる、スタガー同調を行なうのが普通で ある。この場合、各空胴共振器は、動作周波数の可変範囲が広く、かつ、この動 作周波数可変範囲内で電気的にもまた機械的にも安定した同調操作の行える同調 機構を具備していることが重要である。

【０００３】 各空胴共振器の共振周波数を変化させる従来の同調機構は、図２（ａ），（ｂ ）に示す如く、空胴外囲器１とドリフト管２とで形成された共振空胴３の内部に 同調素子支持体８に保持され連結棒９により移動させられる可動同調素子６を配 設して構成されている。可動同調素子６は、対向する両側面を軸方向に平行に切 落した両側平面部を有する円柱状の金属線支持体４の周囲に螺旋状に細い金属線 収容溝４ａを設け、かつ、金属線収容溝４ａの中に弾性を有する金属線１１（従 来タングステン線などが使われている）を捲きつけた構造を有し、金属線支持体 ４の側平面部で金属線支持体４から浮上している金属線１１の一部分が共振空胴 ３の上下内壁面７にそれぞれ接触している。金属線支持体４は同調素子支持体８ にねじで止められて、更に、同調素子支持体８は連結棒９，ベローズ１０等に接 続された構造となっている。この様な空胴共振器において、連結棒９をその軸方 向に動かしこれによって可動同調素子６を共振空胴３の上下内壁面７上を摺動さ せ、共振空胴３の体積すなわちインダクタンス量を変化させることにより空胴共 振器の共振周波数を変化させている。

【０００４】 上述した従来の空胴共振器では、動作周波数可変範囲を広くすることは可能で あるが電気的に安定した同調を行なうことは非常に難かしい。すなわち、空胴共 振器の共振周波数を変化させるには、可動同調素子６の金属線１１を上下内壁面 ７に沿って摺動させ共振空胴３の体積を変化させているが、可動同調素子６は上 下方向については空胴共振器の上下内壁面７と金属線１１とが接触して位置出し されているものの、空胴共振器の左右内壁面５と可動同調素子６との間には接触 するものがなく自由な位置関係となっている。したがって可動同調素子６は左右 方向に対しては、位置出しがなされていないため、ふらつきを生じ同調の再現性 に乏しいという欠点がある。

【０００５】 このため改良案として図３に示す実公昭６３−０２０４９１号公報に開示され ているように、空胴外囲器１とドリフト管２とで形成された共振空胴３と、相対 向する両側面を軸方向に平行に切落した両側平面部と外周に螺旋状の金属線収容 溝４ａとを有する金属線支持体４に弾性を有する金属線１１をその一部が共振空 胴３の上下内壁面７に接触し摺動可能に挿入された可動同調素子６とを含む空胴 共振器を備えた多空胴クライストロンにおいて、可動同調素子６の左右の両端面 上に共振空胴３の左右内壁面５に接触し、かつ、弾性を有する金属テープ１２を 設けたことを特徴とする空胴共振器も考案されている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

この従来の空胴共振器では、金属テープ１２の弾性がないと、金属テープ１２ と左右内壁面５の接触不良をおこし高周波特性のノイズの原因となるので、金属 テープ１２の弾性を強くする必要があるが、強くすると、金属テープ１２と可動 同調素子６の接点に大きな力がかかり、金属テープ１２が外れてしまうという問 題点があった。

【０００７】 本考案の目的は、金属テープの弾性を強くしても金属テープが可動同調素子か らはずれることのない、同調の再現性のある空胴共振器を備えた多空胴形クライ ストロンを提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案は、空胴外囲器とドリフト管とで形成された共振空胴内に金属線支持体 の金属線収容溝に弾性を有する金属線を前記共振空胴上下内壁面に接触するよう に捲いた可動同調素子を配置した空胴共振器を備えた多空胴形クライストロンに おいて、連続した少なくとも一本の金属テープが前記金属線支持体の金属線収容 溝と前記弾性を有する金属線との間に挟まれ、前記金属テープの両端が前記共振 空胴の左右内壁面に接するように設けられ、かつ、前記金属テープ側の前記金属 線支持体の金属線収容溝がつぶされ、前記金属線と前記金属テープが固定された 可動同調素子を有する。

【０００９】

【実施例】

次に、本考案の実施例について図面を参照して説明する。

【００１０】 図１（ａ），（ｂ）は本考案の一実施例の横断面図及びその縦断面図である。

【００１１】 図１（ａ），（ｂ）に示すように、空胴共振器は、空胴外囲器１とドリフト管 ２とで形成された共振空胴３の内部に同調素子支持体８で保持された可動同調素 子６を有している。可動同調素子６の金属線支持体４の細い螺旋の金属線収容溝 ４ａには金属線１１が捲きつけられており、ドリフト管２側の金属線支持体４の 金属線収容溝４ａと金属線１１の間に金属テープ１２が挟まれている。金属線１ １は共振空胴３の上下内壁面７に接触しており、金属テープ１２の両端はそれぞ れ左右内壁面５に接触している。金属線１１がドリフト管２側の金属線支持体４ の金属線収容溝４ａに金属テープ１２を挟んで捲かれた後、金属テープ１２は、 金属線支持体４の金属線収容溝４ａをつぶして金属線支持体４に固定される。金 属線支持体４は同調素子支持体８にねじで固定され、更に、同調素子支持体８は 、連結棒９、ベローズ１０等に接続されている。

【００１２】 尚、金属テープを複数個設けることにより、更に、左右内壁面との接触をより よくすることもできる。

【００１３】

【考案の効果】

以上説明したように本考案は、金属線支持体に金属テープを固定することによ り、上下方向は金属線１１が上下内壁面７に接触し、そして、左右方向は、金属 テープ１２が、左右内壁面５に接触して位置出しされているので可動同調素子６ が移動の際ふらつきを生じることはない。また、金属テープ１２は金属線支持体 の収容溝４ａと金属線１１の間に挟まれて固定されているので、金属テープ１２ の弾性を強くしても従来のように金属テープ１２が可動同調素子６からはずれて しまうことがないので再現性のある同調が得られるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の空胴共振器の横断面図及び
その縦断面図である。

【図２】従来の多空胴クライストロンの空胴共振器の一
例の横断面図及びその縦断面図である。

【図３】従来の多空胴クライストロンの空胴共振器の他
の例の横断面図及びその縦断面図である。

【符号の説明】

１ 空胴外囲器 ２ ドリフト管 ３ 共振空胴 ４ 金属線支持体 ４ａ 金属線収容溝 ５ 左右内壁面 ６ 可動同調素子 ７ 上下内壁面 ８ 同調素子支持体 ９ 連結棒 １０ ベローズ １１ 金属線 １２ 金属テープ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 空胴外囲器とドリフト管とで形成された
   共振空胴内に金属線支持体の金属線収容溝に弾性を有す
   る金属線を前記共振空胴上下内壁面に接触するように捲
   いた可動同調素子を配置した空胴共振器を備えた多空胴
   形クライストロンにおいて、連続した少なくとも一本の
   金属テープが前記金属線支持体の金属線収容溝と前記弾
   性を有する金属線との間に挟まれ、前記金属テープの両
   端が前記共振空胴の左右内壁面に接するように設けら
   れ、かつ、前記金属テープ側の前記金属線支持体の金属
   線収容溝がつぶされ、前記金属線と前記金属テープが固
   定された可動同調素子を有することを特徴とする多空胴
   形クライストロン