JPH05277677A - 連続鋳造における取鍋ノズルの浸漬開孔方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 連続鋳造における取鍋交換時に、詰め物耐火
材によるロングノズルの閉塞を経済的かつ容易に防止す
る浸漬開口方法を提供することを目的とする。 【構成】 固定取鍋ノズル通路にロングノズル通路を連
通させる前の段階で、予めロングノズルのノズル通路内
の溶湯浴面より上方位置に低融点金属を設置し、これに
よりノズル通路連通時に、低融点金属の気化により高熱
の高圧ガスをノズル通路内に発生させて詰め物耐火材を
タンディッシュ内の溶湯中に押し出して詰め物によるロ
ングノズルの閉塞を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、連続鋳造における取鍋
交換時に、取鍋内の溶鋼を取鍋底の取鍋ノズルおよびこ
れに係合するロングノズルを介してタンディッシュ内へ
無酸化注入する際の取鍋ノズルの浸漬開孔方法に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、連続鋳造の取鍋交換時においてロ
ングノズルを用いて取鍋からタンディッシュへ溶鋼を無
酸化注入する場合、図１に示すように溶鋼１が入った取
鍋２の底の固定取鍋ノズル３の下側に位置する可動取鍋
ノズル４を取鍋ノズル摺動用シリンダ装置５によってロ
ングノズル６とともにスライドさせ、これらのノズル通
路を連通させることによって固定取鍋ノズル３に予め充
填してある詰め物耐火材７をタンディッシュ８の溶湯浴
面に落下させ、溶湯中に浸漬しているロングノズル下端
開口９から後続注入流とともに溶湯中に押し出すことに
よって取鍋ノズル２の浸漬開孔が行なわれている。

【０００３】しかし、このような方法で図２に示すロン
グノズル６を用いる場合には、固定取鍋ノズル３のノズ
ル通路をロングノズル６のノズル通路に連通させる際
に、固定取鍋ノズル３から落下した詰め物耐火材７がロ
ングノズル６内の溶湯浴面上に残留し、これがロングノ
ズル６の通路10を閉塞し、取鍋からタンディッシュへの
溶鋼の注入が行われないという問題があった。

【０００４】このように詰め物耐火材７がロングノズル
６の下端開口９を閉塞する問題を解決するための対策と
して、図３に示すようにロングノズル６の下部6aの直径
を大きくしたものを用いることが提案された。

【０００５】しかし、ロングノズルに大径下部を設ける
ことによって、形状が複雑となり、重量も増加すること
から、保管および取扱上に不都合があり、製造コストも
従来形状に比較して高くなる等の問題があった。

【０００６】また、上述した浸漬開孔時における詰め物
耐火材によるロングノズル６によるノズル通路閉塞の問
題を解決するため、特公平１−19995 号公報に記載され
ているように、ロングノズル内にノズル通路壁から不活
性ガスを吹き込んでロングノズル下端開口からタンディ
ッシュ内へ詰め物耐火材を押し出すことが従来技術とし
て知られている。

【０００７】この方法によれば、不活性ガスの圧力によ
ってロングノズル下端開口からタンディッシュ内へ押し
出された詰め物耐火材は不活性ガスのバブルによって溶
湯浴面上へ浮上する。これがため、詰め物耐火材のロン
グノズル通路の閉塞により溶鋼がタンディッシュ内に注
入されないという問題を解決し得るばかりでなく、耐火
材の落下に引き続き注入される溶湯によって耐火材がタ
ンディッシュ内の溶湯中に深く押し込まれることがなく
なり、取鍋交換時における詰め物耐火材の溶湯中への押
し込みに起因する溶湯中の介在物の一時的増加による取
鍋交換部のスラブの品質の劣化を防止することもでき
る。

【０００８】しかしながら、上述したように、高圧の不
活性ガスをロングノズル内に外部から吹込む手段を設け
る結果として作業性、装置等が複雑になるという問題が
生じている。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術による問題点を解消して取鍋交換時における取鍋
ノズルの詰め物耐火材によるロングノズルの閉塞および
スラブ品質の低下を簡単な手段で容易に防止し得る取鍋
ノズルの浸漬開孔方法を提供しようとするものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、連続鋳
造における取鍋交換時に、取鍋底部に設けた固定取鍋ノ
ズルのノズル通路内に予め詰め物耐火材を充填し、タン
ディッシュの溶湯内に先端を浸漬したロングノズルのノ
ズル通路を固定取鍋ノズルのノズル通路に連通させるこ
とにより、固定取鍋ノズル通路内の詰め物耐火材をタン
ディッシュの溶湯浴面に向けて落下させて取鍋ノズルを
開孔させる取鍋ノズルの浸漬開孔方法において、固定取
鍋ノズル通路にロングノズル通路を連通させる前に、予
めロングノズルのノズル通路内に溶湯浴面より上方位置
で低融点金属を設置しておくことを特徴とする。

【００１１】本発明の好適実施態様においては、低融点
金属としてCaまたはCa合金を用いるのがよい。

【００１２】

【作用】本発明によれば、取鍋ノズルの開孔時、溶鋼の
熱により低融点金属がガス化してロングノズル内に高温
の高圧ガスが発生し、これにより詰め物耐火材の溶解を
促進し、ガス圧力を増大し、これらの効果によって浸漬
開孔が容易に可能となる。

【００１３】低融点金属としてCaまたはCa合金を用いる
ことによって、いくらかの酸素があれば、一部が発熱反
応を起こして高温となる。また、溶鋼に一部固溶しても
無害である。

【００１４】ロングノズルの閉塞の問題を解決するだけ
であれば、Mg, Zn等の低融点金属を用いることもでき
る。

【００１５】ロングノズル内に設置する低融点金属の量
は使用している取鍋容量、ロングノズルの内容積、溶鋼
温度等によって適正量に選定するのがよい。

【００１６】

【実施例】図４は本発明の１実施例を示す。図示の例で
は、鉄製のパイプ状容器11内にCaを純分で350gのCaSiを
充填し、これを鉄棒12から針金13により吊り下げて、連
続鋳造中の前の取鍋からの注入が終了した時点で図２に
示すロングノズル６内に固定設置した。その後、次の取
鍋の可動取鍋ノズル４をロングノズル６上に固定し、開
孔作業を行なった。

【００１７】表１の本発明は、85トン取鍋を用い、10ト
ンの容量を有するタンディッシュで、次鍋注入開始時の
タンディッシュ内溶鋼重量が8.0 〜8.5 トンの範囲内に
維持されるよう制御し、図２に示すロングノズル内にCa
を設置して連続鋳造を行った結果を示し、ロングノズル
内で閉塞することなく注入できたものを成功として成功
率で評価して示す。

【００１８】なお、表中の比較例(1) および(2) は、図
１および図２に示すロングノズルを用い、これらのロン
グノズル内にCaを設置しない以外は、本発明の実施例と
同じ条件で行なった結果を示す。

【００１９】

【表１】

【００２０】

【発明の効果】本発明によれば、鋼の連続鋳造に際し
て、安価な従来型のロングノズルを使用して浸漬開孔が
可能となり、鋼の品質面での寄与に加えて、ロングノズ
ルの形状が複雑でないことから、ロングノズルの折損あ
るいは、割れといったトラブルの発生をも防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】取鍋から取鍋ノズルおよびロングノズルを経て
タンディッシュに至る溶融金属の注入通路を模式的に示
す縦断面図である。

【図２】従来のロングノズルの縦断面図である。

【図３】改良型ロングノズルの縦断面図である。

【図４】本発明の実施例を示すロングノズル部分の概略
縦断面図である。

【符号の説明】

１ 溶鋼 ２ 取鍋 ３ 固定取鍋ノズル ４ 可動取鍋ノズル ５ 取鍋ノズル摺動用シリンダ装置 ６ ロングノズル ７ 詰め物耐火材 ８ タンディッシュ ９ 下端開口 10 ノズル通路 11 低融点金属 12 鉄棒 13 針金

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 連続鋳造における取鍋交換時に、取鍋底
   部に設けた固定取鍋ノズルのノズル通路内に予め詰め物
   耐火材を充填し、タンディッシュの溶湯内に先端を浸漬
   したロングノズルのノズル通路を固定取鍋ノズルのノズ
   ル通路に連通させることにより、固定取鍋ノズル通路内
   の詰め物耐火材をタンディッシュの溶湯浴面に向けて落
   下させて取鍋ノズルを開孔させる取鍋ノズルの浸漬開孔
   方法において、固定取鍋ノズル通路にロングノズル通路
   を連通させる前に、予めロングノズルのノズル通路内に
   溶湯浴面より上方位置で低融点金属を設置しておくこと
   を特徴とする連続鋳造における取鍋ノズルの浸漬開孔方
   法。
2. 【請求項２】請求項１記載の方法において、前記低融点
   金属をCaまたはCa合金とする浸漬開孔方法。