JPH05273505A - 量子井戸を用いた光吸収制御半導体装置 - Google Patents

量子井戸を用いた光吸収制御半導体装置

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JPH05273505A
JPH05273505A JP10051992A JP10051992A JPH05273505A JP H05273505 A JPH05273505 A JP H05273505A JP 10051992 A JP10051992 A JP 10051992A JP 10051992 A JP10051992 A JP 10051992A JP H05273505 A JPH05273505 A JP H05273505A
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light absorption
quantum well
light
control semiconductor
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JP10051992A
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Hiroshi Ito
寛 伊藤
Takamasa Suzuki
孝昌 鈴木
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Denso Corp
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NipponDenso Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光スペクトルの変調効率の高い光吸収制御半
導体装置を実現。 【構成】 光吸収制御半導体領域Aに接合して光導波層
12が形成。光導波層12を伝搬する光は領域Aに漏れ
る。領域Aは非対称3重量子井戸で構成。3つの量子井
戸Q1、Q2、Q3の幅及び各障壁の幅は伝導帯におけ
る量子準位が整合された共鳴状態において各量子井戸に
おける電子の波動関数が相互作用を有する程度に形成。
且つ、各量子井戸の幅及び物質は、電界を印加しない状
態又は適切な電界を接合に垂直に印加した状態で、伝導
帯においてのみ各量子井戸における量子準位が整合され
た共鳴状態となるように設定。接合に垂直な方向の電界
成分を制御して光吸収スペクトル特性を変化させ、漏れ
たビームを吸収。電圧制御により光スペクトルが可変。
各種変調器に応用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は量子井戸を用いて光吸収
係数を電気的に制御可能とすることにより伝搬光の周波
数変調、強度変調、スイッチング、フィルタリング等の
特性を変化させるようにした光吸収制御半導体装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、光集積回路用の光変調器として
は、LiNbO3基板に導波路を形成したものが知られてい
る。また、8nm のGaAs層と5nm のAlGaAs層とを8周期積
層した構造において、エキシトン吸収における電界効果
を利用した光変調器が提案されている(JJAP Vol.24 N
o.6 1985 pp.L442-L444 )。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、LiNbO3基板に
導波路を形成したものは、幾何光学的原理を用いた素子
で変調器を構成するもので、素子形状が大きくなるとい
う問題がある。又、エキシトン吸収における電界効果を
利用した装置では、ドナー、アクセプタレベル間の遷移
吸収特性における急峻性を変化させるものに過ぎない。
よって、急峻性が良くないので、変調効率も高くするこ
とはできない。また、使用波長範囲がこの吸収端付近に
限定されるという問題がある。本発明の目的は、全く新
しい原理に基づく光吸収を利用した効率の良い吸収特性
の急峻な、即ち、波長選択性の高い光吸収制御半導体装
置を実現することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の発明の構成は、光を導く光導波層と、光吸収スペクト
ル特性を変化できる光吸収制御半導体領域とを接合さ
せ、光導波層を伝搬する光が前記光吸収制御半導体領域
に漏れるように構成し、光吸収制御半導体領域は、バン
ドギャップの異なる異種半導体の接合により形成され、
エネルギーダイヤグラムにおいてエネルギー障壁により
囲まれた量子準位を有する少なくとも3つの量子井戸か
ら成り、各量子井戸の幅及び各障壁の幅は、各量子井戸
において伝導帯または価電子帯のいずれか一方のバンド
における量子準位が整合された共鳴状態において各量子
井戸における電子の波動関数が相互作用を有する程度に
形成され、且つ、各量子井戸の幅及び物質は、電界を印
加しない状態又は適切な電界を前記接合に垂直に印加し
た状態で、一方のバンドにおいてのみ、そのバンドにお
ける各量子井戸における量子準位が整合された共鳴状態
となるように設定されており、電界の前記接合に垂直な
方向の成分を制御することにより光吸収を変化させる装
置で構成されたことを特徴とする。
【0005】
【作用】光導波層と光吸収制御半導体領域とは接合して
おり、光導波層を伝搬する光ビームは光吸収制御半導体
領域に漏れるように構成されている。この漏れ出た光は
光吸収制御半導体領域における所定の吸収スペクトル特
性により吸収される。よって、光が光導波層を伝搬する
間に光は各種の変調を受ける。
【0006】光吸収制御半導体領域は次の作用を有す
る。光吸収制御半導体領域は、少なくとも3重の量子井
戸を有している。各量子井戸を構成する物質を同一物質
とした場合には、各量子井戸に形成される量子準位はそ
の量子井戸の幅に応じて変化する。よって、3つの量子
井戸の幅を適切に設計することにより、電界を印加しな
い状態で、各量子井戸の量子準位が等しくならずに、最
も準位の接近した量子準位が量子井戸の配置順に増加又
は減少し、且つ、接合に垂直方向に電界を印加した時
に、各量子井戸の近接した量子準位が同一準位となるよ
うにすることができる。電界をかけた状態で、各量子井
戸の量子準位が同一準位となり、しかも、3つの量子井
戸で、電子の波動関数が相互に重なった状態となると、
微小エネルギー差だけ分離した3つの量子準位が、3つ
の量子井戸を連続的に接続した状態となる。この状態が
共鳴状態である。このような共鳴状態を一方のバンド、
例えば、伝導帯側でのみ発生させて、価電子帯では非共
鳴状態とすることにより、光吸収係数を飛躍的に増加さ
せることができた。この時の光吸収は、各量子井戸の価
電子帯の量子準位(光吸収に主に寄与する準位は基底準
位)と、共鳴状態の伝導帯における3つの各量子準位間
の直接遷移による。
【0007】又、各量子井戸に形成される量子準位は、
その量子井戸を構成する物質によって変化させることが
できる。よって、量子井戸の幅を変化させる代わりに、
各量子井戸を構成する物質を異にして、適切な電界が印
加された時に、一方のバンドにおいてのみ共鳴状態が生
起するようにできる。更に、各量子井戸の幅と物質を異
にして、適切な電界が印加された時に、一方のバンドに
おいてのみ共鳴状態が生起するようにできる。
【0008】又、各量子井戸の物質を変化させた場合に
は、電界を印加しない状態で、一方のバンドにおいての
み、共鳴状態とすることができる。上記の共鳴状態は印
加された電界を変化させることにより、又は、無電界状
態で共鳴状態が発生している場合には、電界を印加する
ことにより、非共鳴状態とすることができる。
【0009】このように接合に垂直な方向の電界を制御
することにより、ある吸収ピークを有する光吸収特性を
持たせることができる。よって、光ビームは光導波層を
伝搬する間に光吸収制御半導体領域における光吸収スペ
クトル特性による光吸収を受けるので、光のスペクラム
が変化する。即ち、光スペクトルの変化により各種の変
調、フィルタリングが実現される。
【0010】
【発明の効果】本発明は、共鳴状態で各量子井戸におけ
る電子の波動関数が相互作用をする程度に量子井戸の
幅、障壁の幅が決定された少なくとも3つの量子井戸を
有し、接合に垂直な方向の電界成分を制御することで、
一方のバンドにおいてのみ、各量子井戸の量子準位が連
続した状態、即ち、共鳴状態と非共鳴状態とを生起させ
て、光吸収を制御するようにした光吸収制御半導体領域
を光を導く光導波層に接合させ、光導波層を伝搬する光
がこの光吸収制御半導体領域に漏れるように構成した半
導体装置である。従って、電界の変化に応じて、光吸収
制御半導体領域において光吸収スペクトルの大きな変化
が得られ、電界制御により光のスペクトルを変化させる
ことができる。この光のスペクトルの変化により、周波
数変調(波長変調)、強度変調、オンオフスイッチ、
「0」、「1」の2値変調、FSK変調、フィルタリン
グ等の装置を実現できる。また、量子井戸には電流がほ
とんど流れないので、変調効率が高い。
【0011】
【実施例】以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説
明する。第1実施例 図1は本実施例にかかる半導体装置の構成を示した断面
図、図2は本装置の斜視図である。厚さ450μmの半
絶縁性のGaAs基板113上に、MBE法によるエピ
タキシャル成長により、厚さ500nmの電極層として
のn−GaAs層112を形成する。順次、n−Alx
Ga1-x As(x=0.3)を100nm、i−Alx
Ga1-x As層を10nm、i−GaAsを6nm、i
−Alx Ga1-x Asを2nm、i−GaAsを15n
m、i−Alx Ga1-x Asを2nm、i−GaAsを
5nm、i−Alx Ga1-x Asを100nm、n−A
x Ga1-xAsを20nm、の厚さに形成して、それ
ぞれ、n−AlGaAs層111、i−AlGaAs層
20、i−GaAs層19、i−AlGaAs層18、
i−GaAs層17、i−AlGaAs層16、i−G
aAs層15、i−AlGaAs層14、n−AlGa
As層13を形成する。
【0012】上記の多重層20−14により、3重量子
井戸構造が出来上がる。i−GaAs層15が第1量子
井戸Q1、i−GaAs層17が第2量子井戸Q2、i
−GaAs層19が第3量子井戸Q3であり、i−Al
GaAs層14、20は両端の電位障壁Vu、Vdであ
り、i−AlGaAs層16、18は各量子井戸を分離
する中間の電位障壁V1、V2である。
【0013】次に、n−AlGaAs層13の上に、i
−Aly Ga1-y As(y=0.2)を厚さ1μmに形
成して、i−AlGaAs層12を形成する。このi−
AlGaAs層12が光導波層となる。このようにして
光吸収制御半導体領域A(層13〜層112)と光導波
層12とが接合したエピタキシャル膜構造が完成する。
【0014】次に、光導波層12の幅を光吸収制御半導
体領域Aの幅よりも狭くするように光導波層12をエッ
チングしてn−AlGaAs層13の一部を短冊状に露
出させる。さらに、層13〜層112までを短冊状にエ
ッチングしてn−GaAs層112を露出させる。そし
て、露出したn−AlGaAs層13上にAuを、露出
したn−GaAs層112の上にAuGe合金およびA
uの2層構造(それぞれ50nm、200nm)を真空
蒸着により形成し、水素および窒素雰囲気中で400℃
2分間の合金化処理を施し、オーム性接触の電極11及
び114を得る。
【0015】光は光導波層12を図2のX軸方向に伝搬
する。この時、光の断面強度分布は図2に示すようにな
り光は下層の光吸収制御半導体領域Aに漏れている。こ
の漏れた光が光吸収制御半導体領域Aにおいて吸収さ
れ、光が所定長の光導波層12を伝搬する間に完全に所
望の変調を受ける。
【0016】次に、光吸収制御半導体領域Aにおける光
吸収機構について説明する。図3は、3重量子井戸に電
界が印加されていない状態でのエネルギーバンド図であ
る。伝導帯及び価電子帯のそれぞれにおいて、AlGa
As層14、16、18、20から成る電位障壁Vu、
V1、V2、Vdと、GaAs層15、17、19から
成る第1、第2、第3量子井戸Q1、Q2、Q3が形成
されている。
【0017】第1量子井戸Q1の伝導帯では、厚さ5n
mに対応した準位の基底量子準位Lc10 、第2量子井戸
Q2の伝導帯では、厚さ15nmに対応した準位の基底
量子準位Lc20 と第1励起量子準位Lc21 、第3量子井
戸Q3の伝導帯では、厚さ6nmに対応した準位の基底
量子準位Lc30 が形成される。又、第1量子井戸Q1の
価電子帯では、厚さ5nmに対応した準位の基底量子準
位Lv10 、第2量子井戸Q2の価電子帯では、厚さ15
nmに対応した準位の基底量子準位Lv20 、第3量子井
戸Q3の価電子帯では、厚さ6nmに対応した準位の基
底量子準位Lv30 が形成される。又、他の励起量子準位
は、光吸収に支配的でないので図示されていない。この
ように、量子井戸では、井戸の幅が薄くなると、電子は
ある離散的な準位に拘束される。
【0018】この状態の時、3つの量子井戸Q1、Q
2、Q3の伝導帯において、量子準位は同一準位をとっ
ていない(連続していない)。よって、各量子井戸間で
電子が中間障壁V1、V2を通ってドリフトできない。
即ち、光吸収は、第1量子井戸Q1において、価電子帯
の量子準位Lv10 と伝導帯の量子準位Lc10 との間、第
2量子井戸Q2において、価電子帯の量子準位Lv20
伝導帯の量子準位Lc20、Lc21 との間、第3量子井戸
Q3において、価電子帯の量子準位Lv30 と伝導帯の量
子準位Lc30 との間での直接遷移によるものである。即
ち、3つの量子井戸Q1、Q2、Q3は互いに相互作用
せず、それぞれの量子井戸の価電子帯、伝導帯中の量子
準位間のエネルギーを持った光が入射すると電子の価電
子帯から伝導帯への遷移がそれぞれ個別に起こる。よっ
て、この状態での光吸収係数は小さい。
【0019】ところが、電極11を電極114に対して
正電位となるように電圧を印加すると、n−GaAs層
112及びn−AlGaAs層13が電極層として機能
して、3重量子井戸TQWの接合面に一様に且つ垂直に
電界が印加される。すると、図5の(a)に示すよう
に、伝導帯において各量子井戸Q1、Q2、Q3におけ
る基底量子準位Lc10 、第1励起量子準位Lc21 、基底
量子準位Lc30 が同一準位をとる電界が存在する。逆に
言えば、ある電界の値に対して、3つの量子準位が同一
準位をとって整合するように、各量子井戸Q1、Q2、
Q3の幅が設計されている。このとき、価電子帯では、
図5の(b)に示すように、伝導帯で量子準位が整合さ
れる電界では量子準位は整合しない。負の電界が印加さ
れた時に、3つの量子井戸における価電子帯の量子準位
が整合する。このように、伝導帯でのみ各量子井戸の量
子準位が整合すると、各量子井戸の電子の波動関数は、
相互作用を起こすこととなり、中間障壁V1、V2を通
って、電子は任意の量子井戸における量子準位に存在し
得る。この状態で、3つの量子井戸の場合には、微小エ
ネルギー差だけ分離した3つの準位E1、E2、E3に
別れる(縮退が解けて3準位に分離する)。
【0020】この状態では、光吸収は、図4に示すよう
に、第1量子井戸Q1の価電子帯における基底量子準位
Lv10 と、3つの量子井戸の伝導帯に共通に広がった量
子準位E1、E2、E3間の直接遷移TE1、TE2、
TE3により起こる。よって、電子は価電子帯から光吸
収によりどの量子井戸の伝導帯の量子準位にも遷移でき
る。このような状態が共鳴状態である。この共鳴状態に
おいて、光吸収率は極めて大きくなる。本発明者の観測
では、同一物質の同一幅の2つの量子井戸を有する半導
体装置の光吸収係数に比べて、約100倍に向上した。
【0021】正確には、これら3つの量子準位E1、E
2、E3の共鳴条件は僅かに異なるため、3本の吸収ス
ペクトルが同時に観測されることは困難であり、電界の
大きさにより、吸収スペクトルにおける吸収ピークの波
長が変化する。即ち、光吸収に最も支配的な電子遷移を
僅かに印加電界の大きさを変化させることで、遷移TE
1、TE2、TE3のうちの任意の1つに選択すること
ができる。
【0022】図6は本実施例の光吸収制御半導体領域A
に光を入射させて電子を励起させて励起電子に基づく光
導電率を、印加電圧と入射光の波長を変化させて測定し
た特性図である。この特性図は光吸収制御半導体領域A
の光吸収スペクトルを表している。バイアス電圧を2.
5Vから2.9Vまで変化させた。2.5Vの時、76
0nmに光導電率ピークP1が現れ、2.9Vの時、光
導電率ピークP1が消失し、765nmに光導電率ピー
クP2が現れる。中間の2.7Vでは、両光導電率ピー
クP1、P2が弱く観測される。このように、わずか
0.4Vのバイアス電圧の変化で、光導電率ピークの波
長、即ち、光吸収ピークの波長、あるピーク波長に注目
した場合には、その吸収係数の強度を制御できるという
優れた特性が観測された。
【0023】図2に示す伝搬光の断面強度分布から理解
されるように、伝搬光の一部が、この光吸収特性を有す
る光吸収制御半導体領域Aの量子井戸Q3、Q2、Q1
に漏れる。従って、この光吸収特性を利用すれば、図6
のピークで示される波長成分を伝搬光のスペクトルから
消去することができる。これにより、本フィルタ領域を
通過した光のスペクトルは電圧により変化する。従っ
て、伝搬光のスペトクルを変化させる変調(フィルタリ
ング、周波数変調、波長変調、ある波長に注目すれば強
度変調)が可能となる。特に、入射光の波長を適当に選
ぶことにより、通過状態と完全に吸収されて伝搬しない
状態、即ち、光スイッチ素子として機能させることもで
きる。
【0024】光スイッチ素子として機能させた場合に
は、「0」、「1」の2値状態への光変調が可能とな
る。また、電圧を微小変化させると吸収ピーク波長が変
化することからFSK変調が可能となる。
【0025】第2実施例 本実施例は光吸収制御半導体領域Aの構成を変化させた
ものである。図7は第2実施例にかかる光吸収制御半導
体領域Aのエネルギーバンド構造図である。この実施例
では第1量子井戸Q1、第2量子井戸Q2、第3量子井
戸Q3において、それぞれで異なる物質の半導体を用い
る。第1量子井戸Q1はInGaAs、第2量子井戸Q
2はAlGaAs、第3量子井戸Q3はGaAs、障壁
Vu、V1、V2、Vdは、Al組成の大きいAlGa
Asである。そして、各量子井戸Q1、Q2、Q3の幅
を調節することで、無電界状態で、それぞれの量子井戸
の伝導帯においてのみ基底量子準位が一致(整合)する
ようになっている。価電子帯では量子準位を一致させな
い。このような構造においては、電界を印加しない状態
で、3つの量子井戸の伝導帯のみ共鳴状態とすることが
できる。伝導帯における共鳴状態では、整合した量子準
位は、微小エネルギー幅だけ離れた3つの量子準位E
1、E2、E3に分離し、縮退の解けた状態となる。
【0026】このような構造においては、光吸収による
電子の直接遷移は、第1量子井戸Q1の価電子帯におけ
る基底量子準位Lv10 と各量子井戸の伝導帯に共通に広
がった3つの量子準位E1、E2、E3との間の遷移T
1 、T12 、T13 と、第2量子井戸Q2の価電子帯
における基底量子準位Lv20 と各量子井戸の伝導帯に共
通に広がった3つの量子準位E1、E2、E3との間の
遷移T21 、T22 、T23 と、第3量子井戸Q3の価
電子帯における基底量子準位Lv30 と各量子井戸の伝導
帯に共通に広がった3つの量子準位E1、E2、E3と
の間の遷移T31 、T32 、T33 とがある。
【0027】従って、準位の異なる3つの量子井戸Q
1、Q2、Q3の価電子帯の量子準位からの遷移T1、
T2、T3に応じた3つの波長の光の吸収が起こる。よ
って、各量子井戸毎に、異なる波長で1本づつの光吸収
ピークを持つ吸収特性におけるピーク波長、ピーク波長
の吸収係数を、印加電界の大きさによって、変化させる
ことができる。換言すれば、この装置は、一つの構造で
同時に3本の吸収線を持ち、それぞれ、わずかづつ異な
る3つの吸収線の切替えが電気的に可能となる。
【0028】第3実施例 図8は第3実施例に係る光吸収制御半導体装置の構造を
示した断面図である。第1実施例におけるn−GaAs
層112に換えて、i−GaAs層122を形成し、層
の途中にシリコン原子が1原子の厚さで面上にまばらに
ドープされたδドープ層121が形成されている。δド
ープ層121は3つの量子井戸の面に対して均一に電界
を印加するための電極の作用をする。しかも、このδド
ープ層121は、下層のi−GaAs層122aの格子
性状を乱さないため、その上に成長するi−GaAs層
122b及びその層122b上に成長する層111、2
0〜13は、i−GaAs層122aの良質な結晶性を
引き継いで成長するため、結晶性の高いものとなる。
尚、δドープ層121のシートキャリア濃度が1×10
11〜1×1013cm-2の範囲の時、約1層にSiをまばら
にドープすることができる。又、δドープ層はi−Ga
As層中に間隔を隔てて複数形成しても良い。
【0029】第4実施例 第1実施例の光吸収制御半導体装置と同様な構成である
が、電極11に換えて、図9に示すように、所望の吸収
特性を得るに十分な長さの電極11a、11b、11
c、11d、11eを設ける。この5つの各電極と電極
114間に印加する電圧の大きさをそれぞれ変化させれ
ば、その5つの電極下の光吸収制御半導体領域での光吸
収スペクトルがそれぞれ異なる。よって、光導波層12
を伝搬する間に光は各領域における光吸収スペクトルの
合成スペクトルによる変調を受ける。従って、光のスペ
クトルのより複雑な変調又はフィルタリングが可能とな
る。
【0030】第5実施例 本実施例は、図10に示すように、第1実施例における
光導波層12をAlzGa1-z As(但し、zは光導波
層12構成するAly Ga1-y Asのyに対して、z>
yである)からなるクラッド層130で埋め込んだ構成
をとる。光導波層12の屈折率はクラッド層130の屈
折率よりも大きくなり光が下層の光吸収制御半導体領域
Aを除いて光導波層12に閉じ込められる。
【0031】尚、上記実施例では、光導波層12を光吸
収制御半導体領域Aの上に形成したが、基板113上に
光導波層12を形成して、その上に光吸収制御半導体領
域Aを形成するようにしても良い。又、光導波層12は
AlGaAs化合物半導体で構成したが、他の化合物半
導体、LiNbO3 や光ファイバーで構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体的な第1実施例に係る光吸収制御
半導体装置の構造を示した構造図。
【図2】ビームの断面強度分布と共にその光吸収制御半
導体装置を示した斜視図。
【図3】その装置の光吸収制御半導体領域の無電界時に
おけるエネルギーバンドの構造を示した説明図。
【図4】光吸収制御半導体領域の電界印加時におけるエ
ネルギーバンドの構造を示した説明図。
【図5】電界に対する量子レベルの変移の様子を理論に
より求めた結果を示す説明図で、図(a)は伝導帯のエ
ネルギー準位の電界依存性、図(b)は価電子帯のエネ
ルギー準位の電界依存性を各々示す。
【図6】光吸収制御半導体領域における印加電界を変化
させた時の光導電率の波長特性を測定した特性図。
【図7】第2実施例の装置に係る光吸収制御半導体領域
のエネルギーバンド構造を示した説明図。
【図8】第3実施例の光吸収制御半導体装置の構成を示
した断面図。
【図9】第4実施例の光吸収制御半導体装置の構成を示
した斜視図。
【図10】第5実施例の光吸収制御半導体装置の構成を
示した斜視図。
【符号の説明】
Q1…第1量子井戸 Q2…第2量子井戸 Q3…第3量子井戸 Vu、Vd、V1、V2…電位障壁 Lc10 …第1量子井戸の伝導帯の基底量子準位 Lc20 …第2量子井戸の伝導帯の基底量子準位 Lc21 …第2量子井戸の伝導帯の第1励起量子準位 Lc30 …第3量子井戸の伝導帯の基底量子準位 12…i−AlGaAs層(光導波層) A…光吸収制御半導体領域

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光導波路を伝搬する光を所定の吸収スペ
    クトル特性で吸収させて伝搬光の特性を変化させる光吸
    収制御半導体装置において、 光を導く光導波層と、光吸収スペクトル特性を変化でき
    る光吸収制御半導体領域とを接合させ、前記光導波層を
    伝搬する光が前記光吸収制御半導体領域に漏れるように
    構成し、 前記光吸収制御半導体領域は、 バンドギャップの異なる異種半導体の接合により形成さ
    れ、エネルギーダイヤグラムにおいてエネルギー障壁に
    より囲まれた量子準位を有する少なくとも3つの量子井
    戸から成り、 各量子井戸の幅及び各障壁の幅は、各量子井戸において
    伝導帯または価電子帯のいずれか一方のバンドにおける
    量子準位が整合された共鳴状態において各量子井戸にお
    ける電子の波動関数が相互作用を有する程度に形成さ
    れ、且つ、各量子井戸の幅及び物質は、電界を印加しな
    い状態又は適切な電界を前記接合に垂直に印加した状態
    で、一方のバンドにおいてのみ、そのバンドにおける各
    量子井戸における量子準位が整合された共鳴状態となる
    ように設定されており、 電界の前記接合に垂直な方向の成分を制御することによ
    り光吸収を変化させる装置で構成された量子井戸を用い
    た光吸収制御半導体装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2013147383A1 (ko) * 2012-03-30 2013-10-03 대구가톨릭대학교 산학협력단 편파 매칭된 InGaN/CdZnO 양자 우물 구조의 광학적 성질에 대한 이론적 분석 방법

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WO2013147383A1 (ko) * 2012-03-30 2013-10-03 대구가톨릭대학교 산학협력단 편파 매칭된 InGaN/CdZnO 양자 우물 구조의 광학적 성질에 대한 이론적 분석 방법

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