JPH05273130A - 光エコー顕微鏡 - Google Patents

光エコー顕微鏡

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JPH05273130A
JPH05273130A JP9864492A JP9864492A JPH05273130A JP H05273130 A JPH05273130 A JP H05273130A JP 9864492 A JP9864492 A JP 9864492A JP 9864492 A JP9864492 A JP 9864492A JP H05273130 A JPH05273130 A JP H05273130A
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light
optical
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scanning
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JP9864492A
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Akira Furusawa
明 古沢
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 SN比が低い試料又はボトルネック準位の寿
命が短い試料の光エコーをも検出する。 【構成】 レーザー光を発生するレーザー光源1と、そ
のレーザー光を2分する光分割器2と、2分された一方
の光束を遅延させる光遅延器4と、2分された光束をそ
れぞれ強度変調する強度変調器4b,5bと、2分され
た光束を合波して被検物体20上に集束する光学系3,
11,12と、被検物体20からの光を検出する検出器
15とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば物質の物理化学
的な性質の差を光学的に観察できる光エコー顕微鏡に関
する。
【0002】
【従来の技術】通常の光学顕微鏡に対して、レーザー光
で試料を走査して得られた光情報を用いて試料を観察す
るレーザー走査顕微鏡が知られている。この内の共焦点
型レーザー走査顕微鏡は、照明系の焦点位置に試料を配
置してその焦点位置に光スポットを形成し、試料からの
光(反射光又は透過光等)をピンホールを介して受光素
子上に集光して光の強度を検出するものである。その共
焦点型レーザー走査顕微鏡によって得られる観察画像
は、非常に浅い焦点深度を有していることから、その光
スポットを光軸方向に走査することによって、所謂セク
ショニング効果による無限に深い焦点深度が得られると
いう利点を有している。しかし、従来の共焦点型レーザ
ー走査顕微鏡によって得られる試料の情報は、通常の光
学顕微鏡の画像から得られる情報と比較すると質的に大
差ないものであった。
【0003】これに対して、本出願人は特願平3−30
350号において、通常の光学顕微鏡では得られない試
料の物理化学的な性質の差異に関する情報を得ることが
できる顕微鏡として光エコー顕微鏡を提案した。光エコ
ー顕微鏡は、原理的には試料にレーザー光を照射して、
試料中に含まれているそのレーザー光と共鳴しうる光吸
収体における光エコーによる光学的位相緩和時間(一般
に、「T2緩和時間」又は「横緩和時間」と呼ばれてい
る緩和時間である)を測定するものである。実際には、
レーザー走査顕微鏡と組み合わせてそのレーザー光と試
料とを2次元的に、更には3次元的に相対的に走査し
て、得られた位相緩和時間を2次元的又は3次元的にマ
ッピングすることにより、試料の物理化学的な性質の分
布状態を明らかにすることができる。また、同時に通常
のレーザー走査顕微鏡としての走査画像をも得ることが
できる。
【0004】例えば、レーザー光と共鳴しうる色素を、
結晶質と非晶質とが混在するポリマー中に分散した場
合、結晶質中と非晶質中とでは光学的位相緩和時間が異
なることを利用することにより、結晶質相と非晶質相と
がどのような形で混在するのかを光エコー顕微鏡により
観察することができる。また、固体の場合には、その光
学的位相緩和時間は蓄積フォトンエコーのヘテロダイン
検出により容易に測定することができる。特に共焦点型
レーザー走査顕微鏡において、その照明系の焦点位置に
おける光エコーを簡便に測定する方法として、例えば光
位相変調によるヘテロダイン検出法が使用でき、光エコ
ーの光位相変調によるヘテロダイン検出法については、
本出願人による特願平2−253011号に開示されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】その本出願人の先願に
係る光エコー顕微鏡は、位相変調を用いて光エコーによ
る位相緩和時間の測定を行っている。しかしながら、現
存する位相変調器では十分に大きな最大位相変位を持
ち、且つ偏光状態を保存して高速変調することができな
い不都合がある。そのため、SN比が低い場合又はボト
ルネック準位(光と共鳴する準位以外に光エコー放出の
ための状態を蓄積するための準位)の寿命が短い場合等
に光エコーが測定できない場合があった。
【0006】本発明は斯かる点に鑑み、SN比が低い試
料又はボトルネック準位の寿命が短い試料に対しても、
光エコーを検出することにより物理化学的な性質の差を
観察できる光エコー顕微鏡を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による第1の光エ
コー顕微鏡は、例えば図1に示す如く、像面上で点光源
とみなせる空間コヒーレンスと所定の時間コヒーレンス
とを有する光を供給するレーザー光源(1)と、このレ
ーザー光源(1)からの光を2光束に分割する光分割器
(2)と、この光分割器(2)により分岐された2光束
の一方の光路中に配置された光遅延器(4)と、その分
岐された2光束をそれぞれ所定の周波数で強度変調(振
幅変調)する強度変調器(4b,5b)と、その分岐さ
れた2光束を合波する光合波器(3)と、この合波され
た光束を被検物体(20)上に導いて光スポットを形成
する照射光学系(11,12)と、この照射光学系によ
り形成されるその被検物体(20)上の光スポットをそ
の被検物体(20)に対して相対的に走査する走査手段
(30,31)と、その被検物体(20)からの光を光
検出器(15)上に導く集光光学系(13)と、この光
検出器(15)の出力信号からその強度変調器(4b,
5b)の変調周波数の所定の変調成分を抽出する信号処
理手段(41,42)とを有するものである。
【0008】その所定の変調成分としては、例えば2個
の強度変調器(4b,5b)の各変調周波数の和若しく
は差の周波数の成分又はその2個の強度変調器(4b,
5b)のそれぞれの変調周波数の整数倍の周波数の和若
しくは差の周波数の成分等がある。
【0009】この場合、そのレーザー光源(1)からの
光は、その被検物体(20)の注目する光吸収体の光学
的位相緩和時間よりも短い時間コヒーレンスを有する事
が望ましい。また、その走査手段(30,31)による
その被検物体(20)上での光スポットの相対的走査速
度は、その強度変調器(4b,5b)における強度変調
の速度に対して充分に遅い事が望ましい。
【0010】また、その集光光学系(13)は、その光
検出器(15)の近傍に配置されたピンホール開口を有
する遮光部材(14)を有し、その被検物体(20)の
光スポット形成部とそのピンホール開口とを共役にする
事が望ましい。更に、その信号処理手段(41)からの
出力信号を、その走査手段(30,31)によるその被
検物体(20)上の光スポットの走査位置及びその光遅
延器(4)による遅延時間に対応して記録し、随時再生
できる記録再生装置(40)を備える事が望ましい。
【0011】また、本発明による第2の光エコー顕微鏡
は、例えば図1に示すように、像面上で点光源とみなせ
る空間コヒーレンスと所定の時間コヒーレンスとを有す
る光を供給する光源手段(A)と、この光源手段からの
光を2光束に分割して一方の光を他方の光に対して相対
的に遅延させると共に、その分割された2光束をそれぞ
れ強度変調した後に合波する光変調光学手段(B)と、
この光変調光学手段からの光束を被検物体(20)上に
導いてこの被検物体(20)からの光を光電変換して出
力する走査型顕微鏡手段(C)と、この走査型顕微鏡手
段から出力される信号からその光変調光学手段(B)に
おける強度変調の変調周波数の所定の変調成分を抽出す
る信号処理手段(41,42)とを有するものである。
【0012】
【作用】斯かる本発明の第1及び第2の光エコー顕微鏡
によれば、分岐された2光束はそれぞれ所定の周波数で
強度変調(振幅変調)される。現状では、位相変調手段
に比べて強度変調手段は、充分に大きな変調度で且つ偏
光状態を保存して高速変調することが可能であり、高い
SN比で測定を行うことができる。従って、本発明によ
れば、低いSN比の被検物体に対しても、又はボトルネ
ック準位の寿命の短い被検物体に対しても、光エコーを
正確に測定することができる。
【0013】また、本発明では強度変調の変調周波数の
和周波数又は差周波数等の所定の変調成分を抽出してい
るため、例えば被検物体(20)における励起光の散乱
光、即ち強度変調の変調周波数と同じ周波数で強度変調
されている光の検出信号は除去される。従って、被検物
体(20)へ入射する光束と被検物体(20)からの光
束とが平行でも高いSN比の信号が得られるので、構成
が簡略な2光束平行の配置を採用できる。更には、入射
光の周波数とは異なる蛍光を検出することによる測定も
できる等、光エコー顕微鏡で要求される種々の用途に対
応することができる。
【0014】次に、本発明は被検物体(20)中に存在
するレーザー光源(1)からの光と共鳴しうる光吸収体
の光エコーによる光学的な位相緩和時間の分布を測定す
るものであるが、この測定原理につき説明する。
【0015】先ず、従来のレーザー走査顕微鏡において
は、光源として時間コヒーレンスの長い、即ち極めて狭
い発振スペクトル幅を有するレーザー光源(例えばHe
−Neレーザー、CWアルゴンレーザー等)が用いられ
てきた。それに対して、本発明の光エコー顕微鏡では、
被検物体(20)の光学的な位相緩和時間を測定すると
いう手法のために、光源として広い発振スペクトルを有
するレーザー光源(1)を用いている。
【0016】例えば図1に示すように、レーザー光源
(1)からの光は、光分割器(2)により2分され、そ
の内の何れか一方の光束の光路長が光遅延器(4)によ
り順次変化し、これによりその光束の遅延時間が変化す
る。それと並行して、その2分された光束の強度が強度
変調器(4b,5b)により変調される。一方の光束の
変調周波数をf1、他方の光束の変調周波数をf2(f
1≧f2)とする。その後、2分された光束は光合波器
(3)で合波され、この合波された光束が照射光学系
(11,12)により被検物体(20)上に光スポット
として集束される。この被検物体(20)の光スポット
からの散乱光等が集光光学系(13)により光検出器
(15)に導かれ、光検出器(15)は2つの光束の重
畳による強度変化に対応する信号を出力する。
【0017】被検物体(20)が光エコーを生ずる物理
化学的性質を有している場合には、光エコーは強度変調
器(4b,5b)における強度変調の変調周波数f1及
びf2の和周波数(f1+f2)若しくは差周波数(f
1−f2)又は各変調周波数f1,f2の整数倍の変調
周波数mf1,nf2の和周波数(mf1+nf2)若
しくは差周波数(mf1−nf2)の周波数成分として
検出されることが分かっている。そこで、信号処理手段
(41,42)において、光検出器(15)の出力信号
からその変調周波数f1及びf2の所定の変調成分を抽
出することにより、光エコーを検出することができる。
そして、光遅延器(4)を用いて2分された一方の光束
の光路長を変化させて、2つの光束の光路長の差を順次
変化させながら、その光エコーの変化を記録することに
より、被検物体(20)の光学的な位相緩和時間を計測
することができる。
【0018】更に、走査手段(30,31)により、光
スポットと被検物体(20)とを相対的に2次元的に又
は厚さ方向も含めて3次元的に走査しつつ、各部での位
相緩和時間を計測することにより、被検物体(20)の
表面又は内部の光エコーによる光学的な位相緩和時間の
分布を計測することができる。これにより、被検物体
(20)の表面又は内部の物理化学的な性質の差を光学
的に観察することができる。
【0019】次に、レーザー光源(1)からの光が、被
検物体(20)の注目する光吸収体の光学的位相緩和時
間よりも短い時間コヒーレンスを有する場合には、光自
体の干渉による影響が位相緩和時間の計測結果に含まれ
ない。従って、その光学的位相緩和時間をより正確に計
測することができる。また、走査手段(30,31)に
よる被検物体(20)上での光スポットの相対的走査速
度がその強度変調器(4b,5b)による強度変調の速
度に対して充分に遅い場合には、被検物体(20)上の
各計測点における光エコーの光学的位相緩和時間をそれ
ぞれ正確に計測できる。従って、その光スポットの相対
的な走査により、被検物体(20)上の所定の領域の位
相緩和時間の分布を正確に計測することができる。
【0020】また、その集光光学系(13)が、その光
検出器(15)の近傍に配置されたピンホール開口を有
する遮光部材(14)を有し、その被検物体(20)の
光スポット形成部とそのピンホール開口とを共役にした
場合には、その光スポット形成部以外からの散乱光等が
その遮光部材(14)により遮光されて光検出器(1
5)に入射しない。従って、より高いSN比で光エコー
を検出することができる。更に、その信号処理手段(4
1,42)からの出力信号を、その走査手段(30,3
1)によるその被検物体(20)上の光スポットの走査
位置及びその光遅延器(4)による遅延時間に対応して
記録し、随時再生できる記録再生装置(40)を備えた
場合には、その出力信号とその遅延時間等との関係を容
易に解析することができる。従って、より迅速に光エコ
ーによる光学的位相緩和時間の分布を計測することがで
きる。
【0021】
【実施例】以下、本発明による光エコー顕微鏡の一実施
例につき図1を参照して説明する。図1は本実施例の光
エコー顕微鏡の概略の構成を示し、この図1に示すよう
に、本例の光学系は、大別すると図1中のそれぞれ点線
で囲まれた3つの部分、即ち光源手段(A)、光変調光
学系(B)及び共焦点型レーザー走査顕微鏡(C)から
構成する。本例の光源手段(A)は、レーザー光源1そ
のものであり、このレーザー光源1は80MHzのモー
ド同期アルゴンレーザー励起による色素レーザーであ
る。レーザー光源1としては、その外に、マルチモード
半導体レーザー、モード同期半導体レーザー、発光ダイ
オード又は固体レーザー等を使用することができる。レ
ーザー光源1から発生される光は、像面上で点とみなせ
る空間コヒーレンスを有し、且つ被検物体の注目する光
吸収体の光学的な位相緩和時間よりも短い時間コヒーレ
ンスを有することが望ましい。
【0022】図1において、レーザー光源1で発生され
たレーザー光を光変調光学系(B)の入力側の光分割器
2に入射させ、この光分割器2でそのレーザー光を2つ
の光束に分割する。また、光変調光学系(B)の出力側
には、そのように分岐された2つの光束を合波する光合
波器3を配置する。光分割器2及び光合波器3は共に偏
光ビームスプリッターであるが、代わりに偏光特性が殆
ど無いか或いは全く無い半透鏡なども用いることができ
る。それら光分割器2と光合波器3との間に並列に第1
の直交反射面6a,6bと第2の直交反射面7a,7b
とを配置する。このように光源手段(A)からの光を2
分して再び合波する光学系としては、マイケルソン干渉
計やマッハツェンダー干渉計等に類する2光路干渉光学
系(2path interferometer )が好適である。
【0023】光分割器2の分割面を透過した光束は、第
1の直交反射面の一方の反射面6aで反射された後に、
第1の強度変調器4bを通過して図示省略した可動ステ
ージに固定された第1のコーナーキューブ4aに向う。
このコーナーキューブ4aで反射された光束が第1の直
交反射面の他方の反射面6bで反射されて光合波器3に
入射する。4dはその可動ステージを介してコーナーキ
ューブ4aを変位させる変位器を示し、コーナーキュー
ブ4a、可動ステージ及び変位器4dより光遅延手段4
が構成されている。この変位器4dを用いてコーナーキ
ューブ4aを移動させることにより、一方の光束に所定
量だけ遅延を生じさせることができる。
【0024】また、光分割器2の分割面で反射された光
束は、第2の直交反射面の一方の反射面7aで反射され
た後に、第2の強度変調器5bを通過して第2のコーナ
ーキューブ5aに向う。このコーナーキューブ5aで反
射された光束が第2の直交反射面の他方の反射面7bで
反射されて光合波器3に入射する。また、第1の強度変
調器4bを第1の交流駆動源4cで駆動することによ
り、その強度変調器4bを通過する光束の強度(振幅)
を周波数f1で変調する。そして、第2の強度変調器5
bを交流駆動源4cに同期して動作する第2の交流駆動
源5cで駆動することにより、その強度変調器5bを通
過する光束の強度を周波数f2で変調する。この場合、
強度変調器4b及び5bは同期してそれぞれの光束を強
度変調する。
【0025】本例では、これら強度変調器4b及び5b
は、例えば音響光学変調素子(AOM)を用いて構成し
ている。また、これら強度変調器4b及び5bはそれぞ
れ、例えばコーナーキューブ4a及び5aで反射された
光束の光路中に配置してもよい。また、コーナーキュー
ブ4a及び5aの代わりに、直角プリズム等を使用して
もよい。
【0026】これら光分割器2、光合波器3、光遅延手
段4の一部及び強度変調器4b,5b等により光変調光
学系(B)が構成されている。この光変調光学系(B)
内の2個の光束が光合波器3で合波されて共焦点型レー
ザー走査顕微鏡(C)の半透過鏡10に向かう。
【0027】共焦点型レーザー走査顕微鏡(C)におい
て、光軸に45°の傾斜角で斜設された半透過鏡10を
透過した光束は走査手段30、第1の対物レンズ11及
び第2の対物レンズ12を経て外部の被検物体20に入
射する。この場合、対物レンズ11及び12からなる照
射光学系により被検物体20上にレーザー光の光スポッ
トが形成される。被検物体20の光スポット形成部にお
けるレーザー光の反射、回折若しくは散乱又は蛍光若し
くは燐光による発光等で上方に戻された光は、第2の対
物レンズ12、第1の対物レンズ11及び走査手段30
を経て半透過鏡10に戻る。この半透過鏡10により反
射された光は、集光レンズ13及び遮光板14のピンホ
ール開口を介して光電子増倍管よりなる検出器15の受
光面に入射する。
【0028】集光レンズ13及びピンホール開口を有す
る遮光板14から集光光学系が構成され、被検物体20
の光スポット形成部と遮光板14のピンホール開口とは
ほぼ共役である。遮光板14のピンホール開口は、照射
光学系の焦点位置(光スポット形成面)からの散乱光又
は蛍光若しくは燐光による発光のみを検出するための空
間フィルターとして機能している。また、半透過鏡10
の集光レンズ13と反対側の方向に光トラップ16を配
置する。この光トラップ16は、光変調光学系(B)の
光合波器3から半透過鏡10に供給された光のうち半透
過鏡10で反射された光が、集光レンズ13を含む集光
光学系に入射して迷光が生ずるのを防止する。
【0029】検出器15は光電変換により入射光量に応
じた信号を出力し、この検出器15から出力される信号
を外部のフィルター回路41を介して外部のロックイン
アンプ42に供給する。本例において、強度変調器4b
及び5bにおける変調周波数はそれぞれf1及びf2で
あり、m及びnを整数とすると、フィルター回路41は
供給された信号の内から、周波数が(f1+f2)、
(f1−f2)、(mf1+nf2)及び(mf1−n
f2)の成分のみを抽出してロックインアンプ42に供
給する。ロックインアンプ42は、その供給された信号
の中から周波数が(f1+f2)、(f1−f2)、
(mf1+nf2)又は(mf1−nf2)の成分の内
の何れかの周波数成分のみを増幅して外部の電気信号処
理装置40に供給する。光エコーは強度変調周波数f
1,f2の和周波数若しくは差周波数又は強度変調周波
数f1,f2のそれぞれの整数倍の周波数の和周波数若
しくは差周波数の変調成分の信号として検出されるの
で、フィルター回路41及びロックインアンプ42の組
合せにより、光エコーの信号成分を抽出することができ
る。
【0030】また、走査手段30は、照射光学系による
光スポットを被検物体20上で走査するものである。こ
の走査手段30は光学的な反射或いは屈折による光走査
手段として周知のものを用いることができ、走査駆動手
段31からの駆動信号により走査手段30が光束を走査
することにより、光スポットが所定の速度で例えばラス
タースキャン方式で被検物体20上を走査する。走査手
段30はいわば空間変調器である。ただし、光スポット
と被検物体20とを相対的に走査する手段としては、そ
の他に、被検物体20を保持したステージを照射光学系
に対して相対的に移動する装置を採用してもよい。ま
た、試料としての被検物体20は、必要に応じて試料を
冷却保持するための試料室21に収納されている。
【0031】更に、本実施例の光エコー顕微鏡には、制
御手段32、電気信号処理装置40及びデータ処理装置
50を設ける。制御手段32は、交流駆動源4c,5
c、変位器4d及び走査駆動手段31の動作を制御する
と共に、変位器4dにおける変位量(光束の遅延時間に
対応する量)及び走査制御手段31用の走査信号を電気
信号処理装置40にも供給する。電気信号処理装置40
は、ロックインアップ42から供給される信号を、走査
駆動手段31の走査信号により得られる照射光学系の光
スポットの位置と光遅延器4による遅延時間とに対応し
て内蔵された記録再生手段に記録し、必要に応じてその
記録再生手段から所望の信号を再生する。また、電気信
号処理装置40は、必要に応じて記録再生手段から再生
した信号をデータ解析装置50に供給する。データ解析
装置50は、照射光学系による光スポットの形成される
被検物体20内の所望の計測点に対して、光変調光学系
(B)における一方の光束の遅延時間の変化による、ロ
ックインアンプ42の出力信号の変化量の分析を行う。
また、このデータ解析装置50は、解析結果を付属のC
RTディスプレイに画像として表示する。
【0032】走査手段30によるレーザービーム走査と
光遅延手段4による光路長の走査は、必要に応じ任意の
組合わせで行うことが可能であるが、被検物体20上で
の光スポットの相対的走査速度は、上述の強度変調器4
b,5bによる強度変調の速度に対して十分に遅いこと
が必要である。これは、各測定点でそれぞれ光エコーを
正確に検出するためである。
【0033】以上の如き本実施例の光エコー顕微鏡によ
り、例えば、ローダミン640よりなる色素を用いて生
体組織を染色して観察する場合、レーザー光源1のレー
ザー光として波長が600nm付近のレーザー光を選択
し、第1の強度変調器4bにおける強度変調の周波数f
1を3MHz、第2の強度変調器5bにおける強度変調
の周波数f2を5MHzとした。そして、走査手段30
により被検物体20上で光スポットを所定の計測点に設
定して、光遅延手段4の遅延時間を変化させた。この状
態で、フィルター回路41及びロックインアンプ42に
より、それら2個の強度変調周波数の和周波数である8
MHzの電気信号のみを増幅し、これにより得られた信
号を電気信号処理装置40の内部に記録することによ
り、被検物体20のレーザー焦点位置における光学的な
位相緩和時間が得られた。同様に走査手段30で光スポ
ットの位置を走査することにより、被検物体20上又は
内部の各空間点における光学的な位相緩和時間が得ら
れ、生体組織についての詳しい情報が得られた。
【0034】次に、本発明の他の実施例につき図2を参
照して説明する。この実施例は、図1の光エコー顕微鏡
とは、透過型である点、共焦点型の集光光学系を持たな
い点及び相対的な走査手段がステージを動かす方式であ
る点で構成を異にしているが、他の構成は基本的に同じ
である。そこで、図2において、図1に対応する部分に
は同一符号を付してその詳細説明を省略する。
【0035】図2は本実施例の光エコー顕微鏡の概略の
構成を示し、本例の光学系も、大別して光源手段
(A)、光変調光学系(B)及びレーザー走査顕微鏡
(D)から構成する。本例の光源手段(A)及び光変調
光学系(B)はそれぞれ図1の例と同じ構成である。一
方、レーザー走査顕微鏡(D)は、図1の共焦点型レー
ザー走査顕微鏡(C)から共焦点型の集光光学系及び走
査手段を除いたものであり、そのレーザー走査顕微鏡
(D)は第1の対物レンズ11及び第2の対物レンズ1
2よりなる照射光学系のみから構成されている。
【0036】光源手段(A)からのレーザー光は、光変
調光学系(B)において2分されて、一方の光束の光路
長は連続的に変化し、両方の光束がそれぞれ所定の変調
周波数で強度変調される。これら2光束は合波された後
にレーザー走査顕微鏡(D)の照射光学系により被検物
体20の測定点に光スポットとして集光される。被検物
体20は試料室21の内部に収納され、この試料室21
が図示省略した移動テーブルに載置されている。33は
この移動テーブルをレーザー走査顕微鏡(D)の光軸に
垂直な面内で移動させる走査駆動手段を示し、走査駆動
手段33で移動テーブルを介して被検物体20を移動さ
せることにより、その光スポットと被検物体20とを相
対的に走査することができる。また、図1の例と同様に
ステージを動かさず周知の光走査手段を用いても良い。
【0037】被検物体20からの下方への透過光、散乱
光及び蛍光又は燐光により発光された光等は、集光レン
ズ17により光電子増倍管よりなる検出器15の受光面
に集光される。この検出器15からの光電変換信号が、
フィルター回路41及びロックインアンプ42を介して
電気信号処理回路40に供給される。光変調光学系
(B)における2個の光束の強度変調の変調周波数をそ
れぞれf1及びf2とすると、m及びnを整数として、
フィルター回路41及びロックインアンプ42は供給さ
れた信号の内から、周波数が(f1+f2)、(f1−
f2)、(mf1+nf2)又は(mf1−nf2)の
変調成分のみを増幅して電気信号処理回路40に供給す
る。他の構成は図1と同様であるため、その説明は省略
する。
【0038】このような図2の構成の光エコー顕微鏡に
よっても、被検物体の光エコーを検出することができ、
被検物体の物理化学的情報を得ることができる。
【0039】なお、上述の実施例においては何れも、検
出器15において、照射光と同一波長の光エコーを検出
することとしているが、それ以外に被検物体から発せら
れる蛍光の光エコーを検出することもできる。この場
合、検出器15に至る光路上に蛍光の波長域のみを透過
するフィルターを設けることにより、蛍光の光エコーの
みを検出することができる。なお、本発明は上述実施例
に限定されず本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構
成を取り得ることは勿論である。
【0040】
【発明の効果】本発明の第1及び第2の光エコー顕微鏡
によれば、容易に充分に高い変調度を持てると共に偏光
状態を保存して高速変調ができる強度変調が使用されて
いるので、SN比を上げることができ、SN比が低い試
料又はボトルネック準位の寿命が短い試料でも正確に測
定できる利点がある。
【0041】また、レーザー光が、被検物体の注目する
光吸収帯の光学的位相緩和時間よりも短い時間コヒーレ
ンスを有する場合には、光エコーをより正確に検出でき
る。そして、走査手段による被検物体上での光スポット
の相対的な走査速度が強度変調器における強度変調の速
度に対して充分に遅い場合には、被検物体上の各測定点
における光エコーをそれぞれ正確に検出できる。従っ
て、従来法に比べて高速変調が可能になった分、走査速
度を上げることができる。
【0042】また、集光光学系が光検出器の近傍に配置
されたピンホール開口を有する遮光部材を有し、その被
検物体の光スポット形成部とそのピンホール開口とを共
役にした場合には、光スポット形成部以外からの光が遮
断されるので、検出信号のSN比が更に改善される。そ
して、信号処理手段からの出力信号を、走査手段による
その被検物体上の光スポットの走査位置及び光遅延器に
よる遅延時間に対応して記録し、随時再生できる記録再
生装置を備えた場合には、光エコーによる光学的位相緩
和時間を迅速且つ容易に計測できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光エコー顕微鏡の一実施例を示す
構成図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 レーザー光源 2 光分割器 3 光合波器 4 光遅延手段 4b 第1の強度変調器 5b 第2の強度変調器 4c 第1の交流駆動源 5c 第2の交流駆動源 10 半透過鏡 11,12 対物レンズ 13 集光レンズ 15 検出器 16 光トラップ 17 集光レンズ 20 被検物体 30 走査手段 40 電気信号処理装置 41 フィルター回路 42 ロックインアンプ 50 データ解析装置

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 像面上で点光源とみなせる空間コヒーレ
    ンスと所定の時間コヒーレンスとを有する光を供給する
    レーザー光源と、該レーザー光源からの光を2光束に分
    割する光分割器と、該光分割器により分岐された2光束
    の一方の光路中に配置された光遅延器と、前記分岐され
    た2光束をそれぞれ所定の周波数で強度変調する強度変
    調器と、前記分岐された2光束を合波する光合波器と、
    該合波された光束を被検物体上に導いて光スポットを形
    成する照射光学系と、該照射光学系により形成される前
    記被検物体上の光スポットを前記被検物体に対して相対
    的に走査する走査手段と、前記被検物体からの光を光検
    出器上に導く集光光学系と、該光検出器の出力信号から
    前記強度変調器の変調周波数の所定の変調成分を抽出す
    る信号処理手段とを有する事を特徴とする光エコー顕微
    鏡。
  2. 【請求項2】 前記レーザー光源からの光は、前記被検
    物体の注目する光吸収体の光学的位相緩和時間よりも短
    い時間コヒーレンスを有する事を特徴とする請求項1記
    載の光エコー顕微鏡。
  3. 【請求項3】 前記走査手段による前記被検物体上での
    光スポットの相対的走査速度は、前記強度変調器におけ
    る強度変調の速度に対して充分に遅い事を特徴とする請
    求項1又は2記載の光エコー顕微鏡。
  4. 【請求項4】 前記集光光学系は、前記光検出器の近傍
    に配置されたピンホール開口を有する遮光部材を有し、
    前記被検物体の光スポット形成部と前記ピンホール開口
    とを共役にした事を特徴とする請求項1、2又は3記載
    の光エコー顕微鏡。
  5. 【請求項5】 前記信号処理手段からの出力信号を、前
    記走査手段による前記被検物体上の光スポットの走査位
    置及び前記光遅延器による遅延時間に対応して記録し、
    随時再生できる記録再生装置を備えた事を特徴とする請
    求項1、2、3又は4記載の光エコー顕微鏡。
  6. 【請求項6】 像面上で点光源とみなせる空間コヒーレ
    ンスと所定の時間コヒーレンスとを有する光を供給する
    光源手段と、 該光源手段からの光を2光束に分割して一方の光を他方
    の光に対して相対的に遅延させると共に、前記分割され
    た2光束をそれぞれ強度変調した後に合波する光変調光
    学手段と、 該光変調光学手段からの光束を被検物体上に導いて該被
    検物体からの光を光電変換して出力する走査型顕微鏡手
    段と、 該走査型顕微鏡手段から出力される信号から前記光変調
    光学手段における強度変調の変調周波数の所定の変調成
    分を抽出する信号処理手段とを有する事を特徴とする光
    エコー顕微鏡。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003035669A (ja) * 2001-07-19 2003-02-07 Japan Science & Technology Corp 果実の非破壊熟度判定方法及びその装置
JP2014052476A (ja) * 2012-09-06 2014-03-20 Astro Design Inc レーザー走査蛍光顕微鏡装置
JP2016099309A (ja) * 2014-11-26 2016-05-30 浜松ホトニクス株式会社 電場ベクトル検出方法及び電場ベクトル検出装置

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