JPH05270495A - 回転翼航空機の尾部回転翼 - Google Patents

回転翼航空機の尾部回転翼

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JPH05270495A
JPH05270495A JP4096986A JP9698692A JPH05270495A JP H05270495 A JPH05270495 A JP H05270495A JP 4096986 A JP4096986 A JP 4096986A JP 9698692 A JP9698692 A JP 9698692A JP H05270495 A JPH05270495 A JP H05270495A
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    • B64C27/00Rotorcraft; Rotors peculiar thereto
    • B64C27/82Rotorcraft; Rotors peculiar thereto characterised by the provision of an auxiliary rotor or fluid-jet device for counter-balancing lifting rotor torque or changing direction of rotorcraft
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ブレード先端速度を下げることなく、即ち性
能低下させず、且つ、ロータ・ブレード取付上の構造的
な問題を生じさせずに、騒音レベルを十分低くし、しか
も耳ざわりな高周波音を低周波音に変えた回転翼航空機
のダクテッド・ファン型尾部回転翼を提供し、もって空
港周辺住民に対する騒音公害を改善する。 【構成】 尾部回転翼の外周部が筒状のダクトで覆われ
た型式の回転翼航空機の尾部回転翼において、該尾部回
転翼は6枚以上のロータ・ブレードを有し、該ロータ・
ブレードにはピッチホーンを備え、前記ロータ・ブレー
ドとピッチホーンのなす角を、所要の推力を得るための
角度について、ロータ・ブレードの内約半数のロータ・
ブレードについては大きくし、他の半数のロータ・ブレ
ードについては小さくした回転翼航空機の尾部回転翼。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回転翼航空機の尾部回
転翼、殊に尾部回転翼を筒状のダクトで覆う形式の所謂
ダクテッド・ファン型の尾部回転翼に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】図1に示すように回転翼航空機1は、主
回転翼3と尾部回転翼2を備え、尾部回転翼2は、回転
翼組立4とその周囲を筒状に覆うダクト5とよりなり、
ダクテッド・ファン型の尾部回転翼と称されている。こ
のダクテッド・ファン型の尾部回転翼2は、通常のプロ
ペラ型のものと比べて、回転翼組立4の外周がダクト5
で覆われているため、地上では整備員や乗員が過って回
転翼に接触することを防止でき、又、飛行中には、地面
近くで立木や、建物に触れるような事故を防止できるの
で、きわめて安全である。また性能面では、吹き出し速
度が高く、ダクト5に囲まれていることにより、ボルテ
ックス・リング状態と呼ばれる推力低下の現象もないと
いう著しい利点がある。
【0003】ところで、ダクテッド・ファン型の尾部回
転翼2は、ダクト5の長さを短くし、前面抵抗面積を小
さくするため、ロータ・ブレード6の巾を狭くする必要
がある。一方、ファン全体の馬力吸収能力からロータ・
ブレード6の全合計面積が決定されるので、必然的にロ
ータ・ブレード6の枚数が多くなる。
【0004】従来、回転翼航空機の尾部回転翼用ダクテ
ッド・ファンとしては、ロータ・ブレード6の枚数が8
枚から13枚程度とされていた。これは、プロペラ・タ
イプの尾部回転翼が、大型機を除けば、2枚から4枚の
ロータ・ブレードを有するのに比べると、ダクテッド・
ファンの特徴といえるものである。一方、ファンの回転
によるブレード先端の程度は、早い方が性能が良いの
で、尾部回転翼2といえども先端速度は、主回転翼3と
同程度に設定され、大略180メートル毎秒から220
メートル毎秒である。尾部回転翼2の直径は、中小型ヘ
リコプタでは1〜2メートル程度であるので、回転数
は、6000回転毎分から12000回転毎分となる。
【0005】このような高速回転するダクテッド・ファ
ンから発生する騒音は、ロータ・ブレード6の配置が等
間隔である場合には、回転数とブレード枚数の積に等し
い音が主成分となる。従って、800ヘルツから200
0ヘルツの高周波音が発生し、キーンと言う感じの大変
耳ざわりな騒音である。尾部回転翼2から発生する、こ
の高周波騒音の音圧レベル自体は、主回転翼3より小さ
いのであるが、主回転翼3からの騒音は、低周波であ
り、あまり気にならないので、尾部回転翼2の騒音がす
なわち回転翼航空機1の主要騒音源とみなされる。この
ようなことからダクテッド・ファン型の尾部回転翼2を
有する回転翼航空機1は空港周辺住民に受け入れられ
ず、広く用いられなかった。
【0006】上記の尾部回転翼2の騒音を低減するに
は、先端速度を低下する方法と、ロータ・ブレード6を
不等間隔に配置する方法がある。 先端速度を低下する方法 先端速度を低く設定すると、騒音は大巾に低減する。し
かし、性能も同時に低下するので、ローターの直径を大
きくする必要が生じ、重量やコストが増大するという悪
い影響がある。 ロータ・ブレードを不等間隔に配置する方法 図7〜図10は、ロータ・ブレードの配置と騒音の関係
を示すものである。図7の等間隔配置では、図8の騒音
周波数分析結果に示すように、高い周波数が発生する
が、図9の不等間隔配置では、図10に示すように音圧
レベルも低く、かつ、多数の周波数が含まれた波形に変
化する。このような音は、楽器から出される音に似て、
耳ざわりではなく、かつ低い音に聞こえる。このように
不等間隔配置は、騒音低下に顕著な効果が得られるが、
ロータ・ブレードの取付構造部は、非常に接近して配置
されるので互いに干渉し、構造上実現できない。構造的
に成立する程度のわずかな角度変更では、騒音の軽減に
役立たない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、ブレ
ード先端速度を下げることなく、即ち性能低下させず、
且つ、ロータ・ブレード取付上の構造的な問題を生じさ
せずに、騒音レベルを十分低くし、しかも耳ざわりな高
周波音を低周波音に変えた回転翼航空機の尾部回転翼を
提供し、もって空港周辺住民に対する騒音公害を改善し
ようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、尾部回転翼の外周部が筒状のダクトで覆わ
れた形式の回転翼航空機の尾部回転翼において、該尾部
回転翼は6枚以上のロータ・ブレードを有し、該ロータ
・ブレードにはピッチホーンを備え、前記ロータ・ブレ
ードとピッチホーンのなす角を、所要の推力を得るため
の角度について、ロータ・ブレードの内約半数のロータ
・ブレードについては大きくし、他の半数のロータ・ブ
レードについては小さくせしめたことを特徴とするもの
である。
【0009】かかる構成の回転翼航空機の尾部回転翼に
おいては、推力の大きなロータ・ブレードと小さなロー
タ・ブレードを回転円周方向に対して交互に配置したも
のもあり、また、推力の大きなロータ・ブレードと小さ
なロータ・ブレードは隣り合う2枚のロータ・ブレード
を1組として配置したものもあり、さらには、ロータ・
ブレードの回転円周方向の間隔を不等間隔になしたもの
もある。また、ロータ・ブレードとピッチホーンのなす
角を、推力の大きなロータ・ブレードがψであるとき、
推力の小さなロータ・ブレードについては−ψとなした
ものもある。
【0010】また、上記構成の各回転翼航空機の尾部回
転翼においては、ロータ・ブレードの迎角をパイロット
及び自動操縦装置からの指示により、変更させるロータ
・コントロール系統の内、ピッチ・ホーンにスパイダー
を滑り軸受にて連結したものもある。さらに、上記構成
の各回転翼航空機の尾部回転翼においては、該尾部回転
翼の内の複数枚のロータ・ブレードのピッチホーンの先
端を、球面接手を両端に有するピッチリンクによりスパ
イダーに取付け、残りの複数枚のロータ・ブレードのピ
ッチホーンにスパイダーを滑り軸受にて連結したものも
ある。
【0011】
【作用】上記のように構成された本発明の回転翼航空機
の尾部回転翼によれば、通常の運用状態において、ブレ
ードピッチ角に差が生ずるので、半数のロータ・ブレー
ドで推力を発生し、回転騒音の音圧が低下し、騒音の周
波数が低下し、音感が著しく改善される。また性能低下
と振動問題の生じるブレード先端速度の低下を行うこと
なく、騒音低減を図ることができ、性能が向上する。さ
らに推力の大きいロータ・ブレードは、従来の2倍の荷
重を受けるが、ダクテッド・ファン型ではロータ・ブレ
ードの強度余裕が非常に大きいので、強度上安全であ
る。しかも推力の大きいロータ・ブレードは、高い揚力
を発生するので、翼性能の高いところを使うこととな
り、従ってブレード先端速度を上げなくとも尾部回転翼
としての性能を維持できる。
【0012】
【実施例】本発明による回転翼航空機の尾部回転翼の実
施例を図によって説明する。図1に示される回転翼航空
機1の尾部回転翼2は尾部回転翼組立4とその周囲を筒
状に覆うダクト5とよりなり、尾部回転翼組立4は、図
2及び図3に示すように複数枚のロータ・ブレード6
と、該ロータ・ブレード6を回転軸7に取付けるための
ハブ組立8と、ロータ・ブレード6のピッチ角をパイロ
ットの操作に従って変更するためのコントロール・ロッ
ド9と、スパイダー10を含む。
【0013】スパイダー10の動きは、ロータ・ブレー
ド6の回転内側に取付けられたピッチホーン11に伝え
られ、ロータ・ブレード6は図4に示される2個のベア
リング12,13により支えられているので、ピッチ軸
14のまわりに回転して所要のピッチ角を与えることが
できる。さて、ロータ・システムが発生する騒音は、図
5に示すように回転数の整数倍の周波数の回転騒音と呼
ばれる成分と、それよりはるかに高周波の広帯域騒音
(渦騒音)と呼ばれる成分よりなる。この内、広帯域騒
音は、ブレード先端や後縁部から発生する渦によるもの
であるが、ダクテッド・ファン型の尾部回転翼の場合に
は、翼端部とダクト部5がきわめて接近しているため、
翼端渦は発生せず、問題とならない。
【0014】ロータ・ブレードの回転騒音は、図6の
(a)〜(d)に示すようにブレード先端渦による騒
音、推力による騒音、回転トルクによる騒音およびブレ
ード厚さに起因する騒音に大別できる。この内、ブレー
ド先端渦による騒音はダクテッド・ファン型尾部回転翼
の場合、前述のように翼端渦が発生しないので問題はな
く、回転トルクによる騒音とブレード厚さによる騒音
は、回転面内方向に指向性が認められるが、この方向
は、ダクトが覆っているため無視できる。結局、ダクテ
ッド・ファン型尾部回転翼は推力による騒音が主たる騒
音である。推力による騒音など、回転騒音は、回転数の
整数倍の周波数成分より成立っている。
【0015】今、ロータ・ブレード6が等間隔配置であ
る場合、例えば図7に示すように8枚ブレードでは、相
互に45°づつの位相差があるために、それを考慮し
て、各ロータ・ブレード6の騒音を加え合わせると、図
8に示すように回転数の8倍の成分、16倍の成分のみ
が残り、その他の周波数成分は相互に打ち消し合って、
合成するとゼロになってしまう。又、騒音の音圧レベル
は、低周波のものほど大きく、人間の耳には、図8の場
合、回転数の8倍の音だけが非常に強く聞こえる。実際
の尾部回転翼の場合、ダクトファン型ではこの8倍音の
周波数は1000ヘルツに近く、「キーン」と言う非常
に耳ざわりな音として聞こえる。
【0016】一方、ロータ・ブレード6を不等間隔に配
置した場合、例えば図9に示すように回転中心に相対す
る2枚のブレードを1組とし、各々各4組のロータ・ブ
レード6を23°,36°,57°の間隔で配置する
と、図10に示すように回転数の2倍の整数倍次数の成
分による騒音となる。この場合、人間の耳には、2倍の
音が主として聞こえ、かつ、やわらかな比較的聞きやす
い音になる。楽器から出される音は、このように多数の
周波数が重ね合わされた音であり、感覚的に受け入れら
れるようである。
【0017】しかしながら、ロータ・ブレード6の間隔
を狭くすると、ロータ・ブレード6の取付部付近の構造
配置は大変苦しくなる。例えば図2に示すようにロータ
・ブレード6が互いにイ部付近で干渉したり、ピッチホ
ーン11がロ部付近で干渉して、現実には、図10の例
のようにはゆかない。一方、ロータ・ブレード6の不等
間隔を構造上許容される程度にすれば、前記図10のよ
うな顕著な騒音低減効果は得られなくなる。
【0018】そこで、本発明は構造上の制約の範囲内で
のブレード配置において、図10のような周波数特性を
得ようとするもので、以下その実施態様の詳細を説明す
る。図11は、図4のA−A矢視図であり、図中スパイ
ダー10は滑り軸受15を有し、ピッチホーン11に連
結されている。スパイダー10が垂直方向に移動すれ
ば、それにともなってピッチホーン11はピッチ軸14
を中心として回転する。ピッチホーン11とロータ・ブ
レード6は一体に固定されているので、ロータ・ブレー
ド6は実線の位置から仮想線の位置に回転できる。ピッ
チホーン11は、ロータ・ブレード6の回転方向に対
し、ψ°の角度でもって取付けられ、ロータ・ブレード
6は、θ0 度の角度でもって取付けられている。従っ
て、スパイダー10は、ロータ・ブレードの回転方向に
垂直の方向にCの位置からC′の位置までパイロットの
操作によりδだけ移動することができる。スパイダー1
0の変位δと、ロータ・ブレード6のピッチ角θは、図
13に示すように三角関数の正接の関係 δ∝tanθ にしたがって変化する。
【0019】今、ピッチホーン11の取付け角度ψが図
12に示すように小さくなるように取付けると、ロータ
・ブレード6のピッチ角θの作動範囲は図13に示すよ
うにtanθの曲線の異なる部分になり、δとθの関係
は図14に示すようになる。ただし、この場合、図11
をタイプE、図12をタイプDと名付ける。図14にお
いてδがゼロの場合の点eにおけるピッチ角はともに等
しく、中程度のδでは差が生ずる。図12において、最
大ピッチ位置B′のときのピッチホーン11の角度をφ
とし、図11のψと同じ角度であれば、図13のtan
θの原点に関する対称の関係となり、図14の最大ピッ
チ角fにおいて、タイプDとタイプEのピッチ角は一致
する。最大ピッチでは、ロータ・ブレード6は失速に近
い状態で回転しているので、ピッチ角は同一であること
が望ましい。
【0020】上記のように構成された実施態様の回転翼
航空機の尾部回転翼では、低ピッチ角と高ピッチ角、す
なわち尾部回転翼としての最大推力と最大逆推力では、
全てのロータ・ブレード6が一致して働き、最大性能を
発揮するとともに、通常の運用状態においては、ブレー
ドピッチ角に差が生ずることにより、実質的に、4枚の
ロータ・ブレード6で推力を発生するため、回転騒音が
4倍音に近くなり、騒音の周波数が低下して音感が著る
しく改善される。今、図14において、空港付近におけ
る通常の使用範囲は、δが0.3〜0.7程度である。
この範囲ではタイプDとタイプEのピッチ角の差は約5
度程度である。一方、図15に示すようにロータ・ブレ
ード6に流入する気流は、尾部回転翼が誘起する回転軸
に平行な成分と、それに直交する回転による成分とが合
成されたものであり、翼に対する迎え角はαである。こ
れは上記の通常の運用範囲では約5度程度である。
【0021】従って、タイプDとタイプEの発生する推
力の割合は、図16に示すような状態であり、ほとんど
の場合タイプDのみが発生する。また、最大推力におい
ては両者が同一の推力を発生するので、最大推力性能は
全てのブレードが同一の推力を発生する従来のプロペラ
型尾部回転翼と比べてそん色はない。このようなダクテ
ッド・ファン型尾部回転翼を有する回転翼航空機では、
図17に示すように、前進飛行中は、垂直尾翼が推力を
発生し、尾部回転翼2はほとんど空転するので、必要馬
力すなわち騒音は大巾に低下する。従って、尾部回転翼
の騒音が問題になるのは、低速からホバリング状態であ
り、これは地上付近であり、コントロールの範囲として
は図16のδが0.5付近となるので、本発明の尾部回
転翼は有効な状態で運用されることが判る。
【0022】次に本発明の他の実施態様を図18によっ
て説明する。図18も図4のA−A矢視図であり、図中
スパイダー10はピッチリンク18により、ピッチホー
ン11に連結されている。ピッチリンク18の両端に
は、好ましい手段として球面接手19が取付けられてい
るので、スパイダー10の垂直方向の動きにともなっ
て、ピッチホーン11は、実線の位置から仮想線の位置
までピッチ軸14を中心として回転することができる。
この場合も、前記実施例と同様に、ピッチホーン11は
ロータ・ブレード6の回転方向に対しψ°の角度でもっ
て取付けられ、ロータ・ブレード6はθ0 の角度でもっ
て取付けられている。この場合には、スパイダー10の
変位δと、ロータ・ブレード6のピッチ角θは図13に
示すように三角関数の正弦の関係 δ∝sinθ にしたがって変化する。
【0023】そして、ピッチホーン11の取付角ψを2
種類とすることにより、前記実施例と同様に2種類のロ
ータ・ブレード6の出す推力を変化させることが可能で
ある。本方式では、ピッチリンク18の長さをターン・
バックル式に変更することにより、ロータ・ブレード6
の推力のアンバランスを微調整できる。以上の外に、ピ
ッチホーン11を2系統の操縦系により個別に作動させ
ることにより、推力差を生じさせることも可能である。
【0024】2種類のブレードに推力差を与える手段に
は図19,20,21に示す三種類がある。図19に
は、第1の実施例として、8枚のロータ・ブレード6a
〜6hを45°おきに等間隔に配置し、交互にタイプD
とタイプEとするもので、通常の運用時には、斜線を入
れたロータ・ブレード6a,6c,6e,6gが推力を
出し、斜線を入れていないブレード6b,6d,6f,
6hは空転状態となる。このことによって、発生する騒
音は、全ブレードが均一に推力を出している場合に比べ
て、半分の周波数の音が主成分となる。
【0025】図20は第2の実施例として、8枚のブレ
ード6a〜6hは等間隔であるが、隣接するロータ・ブ
レード6a,6b及びそれと対向する位置にある隣接す
るロータ・ブレード6e,6fをタイプDとして推力を
発生させ、ロータ・ブレード6c,6d,6g,6bは
空転させるものである。この場合は第1の実施例(図1
9)に比べてさらに騒音の周波数が半減し、全ブレード
均一推力の場合の1/4の周波数となるため、うるさい
感じが殆んどなくなる。上記各実施例では、ロータ・ブ
レード6a〜6hは等間隔に配置されているので、ブレ
ード取付部の構造上の問題は発生せず、ブレードのバラ
ンスや振動の問題も少ない。
【0026】図21は、構造上許される程度において、
ロータ・ブレード6a〜6hの間隔を不等間隔とし、か
つ、隣接するロータ・ブレード6a,6b及びこれと対
向する位置にある隣接するロータ・ブレード6e,6f
をタイプDとして推力を発生させ、ロータ・ブレード6
c,6d,6g,6hは空転させるものである。この場
合騒音の高周波成分はさらに減少し、騒音は軽減され
る。
【0027】
【発明の効果】以上述べた通り本発明の回転翼航空機の
尾部回転翼によれば、回転翼航空機の通常の運用領域に
おいて、ブレードピッチ角に差が生じ、尾部回転翼より
生ずる騒音の音圧レベルが低下し、かつ耳ざわりな高周
波が低周波に変換される。また性能の低下と振動問題の
生じるブレード先端速度の低下を行うことなく、騒音低
減を図ることができ、性能を向上させることができる。
さらに推力の大きい方のロータ・ブレードは、従来の2
倍の曲げ荷重を受けるが、ダクテッド・ファン型では、
ロータ・ブレードの強度余裕が非常に大きいので、強度
上安全である。しかも推力の大きい方のロータ・ブレー
ドは、高い揚力を発生するので、翼型の揚抗比の大きい
ところ、即ち、翼性能の高いところを使うこととなり、
ブレード先端速度を上げなくても尾部回転翼としての性
能を維持できる。
【0028】また急激な操舵で迎角を増加させ、ロータ
・ブレードが失速することがあっても、低ピッチロータ
組が失速せずに残るので、全面失速のような危険な状態
に入りずらく、安全性が高くなる。さらに本発明の尾部
回転翼は、従来から用いられているピッチホーンの構成
と構造を変更したものであって、部品点数や、費用の増
加はない。然して本発明の尾部回転翼は、従来騒音の点
で問題とされていたダクテッド・ロータを採用すること
ができ、ダクテッド・ロータが有する安全性(ロータの
周囲がダクトに覆れており、人間や衝害物を傷つけな
い)や、高性能(垂直尾翼の影響を受けない,横風に強
い)等の利点が生かせる。
【図面の簡単な説明】
【図1】回転翼航空機の全体図を示す斜視図である。
【図2】回転翼航空機の尾部回転翼の平面図である。
【図3】図2のB−B線矢視断面図である。
【図4】尾部回転翼の分解斜視図である。
【図5】尾部回転翼から発生する騒音の周波数分析結果
を示すグラフである。
【図6】ロータ・ブレードの騒音の成分とその指向性を
示す図である。
【図7】等間隔にロータ・ブレードを配置した尾部回転
翼の概略図である。
【図8】等間隔配置のロータ・ブレードの場合の騒音の
周波数分析結果を示すグラフである。
【図9】不等間隔にロータ・ブレードを配置した尾部回
転翼の概略図である。
【図10】不等間隔配置のロータ・ブレードの場合の騒
音の周波数分析結果を示すグラフである。
【図11】本発明の尾部回転翼の一実施態様におけるロ
ータ・ブレードの1つを示す図4のA−A線矢視断面図
である。
【図12】本発明の尾部回転翼の一実施態様におけるロ
ータ・ブレードの他の1つを示す図4のA−A線矢視断
面図である。
【図13】コントロール位置とピッチ角の関係ならびに
図11,図12のロータ・ブレードの作動範囲の例を示
す図である。
【図14】図13の関係を同一図上に示したグラフであ
る。
【図15】ロータ・ブレードのピッチ角と迎え角の関係
を示す概念図である。
【図16】ロータ・ブレードのコントロール位置と推力
の関係の例を示すグラフである。
【図17】ダクテッド・ファン型尾部回転翼の速度と必
要馬力の関係を示すグラフである。
【図18】本発明の尾部回転翼の他の実施態様における
ロータ・ブレードを示す図4のA−A線矢視断面図であ
る。
【図19】2種類のロータ・ブレードに推力差を与える
為の配置の第1実施例を示す図である。
【図20】2種類のロータ・ブレードに推力差を与える
為の配置の第2実施例を示す図である。
【図21】2種類のロータ・ブレードに推力差を与える
為の配置の第3実施例を示す図である。
【符号の説明】
1 回転翼航空機 2 ダクテッド・ファン型の尾部回転翼 6 ロータ・ブレード 10 スパイダー 11 ピッチホーン 15 滑り軸受 18 ピッチリンク 19 球面接手

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 尾部回転翼の外周部が筒状のダクトで覆
    われた型式の回転翼航空機の尾部回転翼において、該尾
    部回転翼は6枚以上のロータ・ブレードを有し、該ロー
    タ・ブレードにはピッチホーンを備え、前記ロータ・ブ
    レードとピッチホーンのなす角を、所要の推力を得るた
    めの角度について、ロータ・ブレードの内約半数のロー
    タ・ブレードについては大きくし、他の半数のロータ・
    ブレードについては小さくしたことを特徴とする回転翼
    航空機の尾部回転翼。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の回転翼航空機の尾部回転
    翼において、推力の大きなロータ・ブレードと小さなロ
    ータ・ブレードを回転円周方向に対して交互に配置した
    ことを特徴とする回転翼航空機の尾部回転翼。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の回転翼航空機の尾部回転
    翼において、推力の大きなロータ・ブレードと小さなロ
    ータ・ブレードは、隣り合う2枚のロータ・ブレードを
    1組として配置したことを特徴とする回転翼航空機の尾
    部回転翼。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の回転翼航空機の尾部回転
    翼において、ロータ・ブレードの回転円周方向の間隔を
    不等間隔になしたことを特徴とする回転翼航空機の尾部
    回転翼。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の回転翼航空機の尾部回転
    翼において、ロータ・ブレードとピッチホーンのなす角
    を、推力の大きなロータ・ブレードがψであるとき、推
    力の小さなロータ・ブレードについては−ψとなしたこ
    とを特徴とする回転翼航空機の尾部回転翼。
  6. 【請求項6】 ロータ・ブレードの迎角をパイロット及
    び自動操縦装置からの指示により、変更させるロータ・
    コントロール系統の内、ピッチ・ホーンにスパイダーを
    滑り軸受にて連結したことを特徴とする請求項1〜5の
    いずれかに記載された回転翼航空機の尾部回転翼。
  7. 【請求項7】 尾部回転翼の内の複数枚のロータ・ブレ
    ードのピッチホーンの先端を、球面接手を両端に有する
    ピッチリンクによりスパイダーに取付け、残りの複数枚
    のロータ・ブレードのピッチホーンにスパイダーを滑り
    軸受にて連結したことを特徴とする請求項1〜5のいず
    れかに記載された回転翼航空機の尾部回転翼。
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