JPH0526806A - 燃料性状センサ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃料フィルタへの取り付けが容易で、しかも
低コストで且つセンサ自体や燃料フィルタの大型化を抑
えながらも、液体性状を検出する。 【構成】 燃料フィルタ１内の液体性状を検出する燃料
性状センサ６を燃料フィルタ１内の水位警告レベルに配
置した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、水位警告センサと一体
形状の燃料性状センサに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、エンジンの燃料タンク内の底
には、給油時における雨水の浸入や燃料の温度降下によ
る遊離水が溜まり易い。そして、車両走行時の振動等に
よりその水が燃料供給経路中に送り出される。水は、燃
料より比重が大きいため、例えば噴射ポンプ内に停滞す
ると、発錆やスティック等の原因になり易い。そこで、
図２に示したように、燃料と水との比重差を利用して、
内部に流入した水を重力で沈降させるようにした燃料フ
ィルタ１００が知られている。この燃料フィルタ１００
は、水が分離されてケース底部分に溜まっていくが、水
の量が多くなり過ぎると燃料とともに流出する恐れがあ
るので、フロート式水位警告センサ１０１によって水の
液面レベルが水位警告レベルに達したことを検出して、
このときにランプ（図示せず）を点灯させるようにし
て、そして使用者がケース底部分の排水口１０２に捩じ
込まれた水抜きコック１０３を回して水通路１０４を開
いて排水するようにしている。

【０００３】ところで、例えばディーゼルエンジンにお
いては、比重の大きな燃料、すなわち、重質の燃料ほど
排出ガス中にスモークが発生し易いことが知られてい
る。このため、重質の燃料に基づいて燃料の噴射量を制
御してスモークの発生を抑えるようにすることが考えら
れるが、このようにしておくと軽質の燃料を燃焼させる
場合にエンジン出力が低下してしまう不具合があった。

【０００４】また、例えばガソリン油中に芳香族等が多
いと揮発性が低く、逆に少ないと揮発性が高いことが知
られている。このようなガソリン油の揮発性に関係のあ
る運転性において、冬季に問題となる始動性、暖機性
と、夏季に問題となるベーパロック、パーコレーション
がある。前者でガソリン油の揮発性が高いこと、つまり
ガソリン油が軽質であることが要求されるが、後者では
逆に揮発性が低いこと、つまり重質であることが要求さ
れる。したがって、燃料タンクと噴射ポンプとの間の燃
料供給経路中、例えばディーゼルエンジン用の燃料フィ
ルタに燃料性状センサを取り付けて、この燃料性状セン
サによって燃料の重質または軽質といった燃料性状を検
出して、その検出値に応じて燃料の噴射量を制御した
り、噴射時期等のエンジンの運転状態を制御することに
よって自動車の運転性（ドライバビリティ）を向上させ
ることが望まれる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、燃料性状セ
ンサは、燃料タンクと噴射ポンプとの間に取り付ける必
要があるため、センサ専用の燃料流路を新たに設けた
り、センサ本体に流路を設けた構成にしなければならな
い。さらに、センサ専用の燃料流路と燃料性状センサと
の間、またはセンサ本体内の流路と燃料パイプとの間に
シール材を配設する必要もあるので、高コストでしかも
センサ自体が大型化してしまうという不具合があった。
また、水位警告センサの付いている燃料フィルタにおい
て、水位警告センサとともに燃料性状センサを燃料フィ
ルタに取り付けるようにした場合には、燃料フィルタに
燃料性状センサと水位警告センサとの２つのセンサを取
り付けなければならないので、高コストでしかもセンサ
の取付場所も２箇所必要となり、燃料フィルタが大型化
してしまうという不具合があった。したがって、自動車
への搭載上非常に制約の大きな燃料供給経路、とくに燃
料フィルタ内に水位警告センサの他に新たに燃料性状セ
ンサを取り付けることは困難であった。本発明は、燃料
フィルタへの取り付けが容易で、しかも低コストで且つ
センサ自体や燃料フィルタの大型化を抑えながらも、液
体性状が検出可能な燃料性状センサの提供を目的とす
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の燃料性状センサ
は、燃料フィルタ内の水位警告レベルに配置された検出
部を有し、前記燃料フィルタ内の液体性状を検出する技
術手段を採用した。

【０００７】

【作用】燃料性状センサの検出部を燃料フィルタ内の水
位警告レベルに配置することにより水位警告センサとし
ても機能させることが可能となるので、燃料フィルタに
水位警告センサの代わりに燃料性状センサを取り付ける
ことが可能となる。したがって、センサ本体に流路を内
蔵させる必要はなく、燃料供給経路に新たに燃料性状セ
ンサ専用の燃料流路や取付部を追加する必要がないた
め、燃料性状センサが大型化することはなく、さらに燃
料フィルタを始めとする燃料供給経路が大型化となるこ
とはない。

【０００８】

【実施例】本発明の燃料性状センサを図に示す一実施例
に基づき説明する。図１は燃料性状センサを組み込んだ
ディーゼルエンジン用燃料フィルタを示した図である。
ディーゼルエンジン用燃料フィルタ１は、燃料が通過す
るフィルタケース２と、このフィルタケース２の天井部
を構成するフィルタキャップ３と、フィルタケース２の
底部分に捩じ込まれたハウジングボディ４と、このフィ
ルタボディ４内に捩じ込まれた水抜きコック５および燃
料性状センサ６とを備える。

【０００９】フィルタケース２は、円筒状を呈し、塵芥
または錆等の固形夾雑物、カーボンまたはガム状物質の
ようなスラッジなどのディーゼル軽油中の異物を捕捉す
る濾過エレメント２１を納めている。このフィルタケー
ス２の底部分には、沈降したディーゼル軽油を排水する
ための排水口２２が形成されており、この排水口２２の
内周にはめねじ２３が形成されている。フィルタキャッ
プ３は、燃料タンク（図示せず）から燃料パイプ（図示
せず）を介して燃料フィルタ１内にディーゼル軽油を流
入させるインレット３１、燃料フィルタ１から噴射ポン
プ（図示せず）にディーゼル軽油を送るアウトレット３
２、および燃料フィルタ１内から空気抜きを行うための
プライミングポンプ３３を有する。

【００１０】ハウジングボディ４は、樹脂製で円盤状を
呈し、外周にめねじ２３に螺合するおねじ４１が形成さ
れ、フィルタケース２の排水口２２内に外方より捩じ込
まれる。ハウジングボディ４の他端部の内部には、水抜
きコック５と螺合するめねじ４２、および燃料性状セン
サ６と螺合するめねじ４３が形成されている。また、ハ
ウジングボディ４の内部には、めねじ４２より濾過エレ
メント２１がわの内周面と外周面とを連通する空気通路
４４、および内周面と濾過エレメント２１がわ端面とを
連通する空気通路４５が形成されている。

【００１１】水抜きコック５は、ハウジングボディ４内
に外方より捩じ込まれ、外周にめねじ４２に螺合するお
ねじ５１が形成されている。また、水抜きコック５の内
部には、燃料フィルタ１内に沈降した水を抜くための水
抜き通路５２が形成されている。水抜きコック５は、濾
過エレメント２１がわの一端部より他端部の方が外径が
大きく、一端部とハウジングボディ４との間にディーゼ
ル軽油の漏洩を防ぐためのＯリング５３、および他端部
とハウジングボディ４との間にディーゼル軽油の漏洩を
防ぐためのＯリング５４を有する。また、水抜きコック
５の他端面には、水抜きコック５を回動させるための複
数のつまみ５５が突出している。

【００１２】燃料性状センサ６は、センサケース７、発
光素子８、受光素子９および電子制御回路１０等から構
成されている。センサケース７は、ポリエーテル・サル
ホン等の透明な樹脂製で、ハウジングボディ４内に外方
より捩じ込まれる。このセンサケース７の取付部７１の
外周には、めねじ４３に螺合するおねじ７２が形成され
ている。センサケース７の先端部は、取付部７１より燃
料フィルタ１内に突出するように延長されている。７３
はセンサケース７とハウジングボディ４との間からのデ
ィーゼル軽油の漏洩を防ぐためのＯリングである。

【００１３】発光素子８は、本発明の検出部であって、
例えば発光ダイオードが用いられ、水位警告レベルに対
応する位置に取り付けられ、ディーゼル軽油方向に光を
放射する。受光素子９は、例えばフォトダイオードが用
いられ、発光素子８より上方に配置され、センサケース
７で反射した発光素子８の光を受光する。発光素子８お
よび受光素子９は、センサケース７に形成されたスリッ
ト（図示せず）に嵌め込まれたセラミック製の基板８１
に取り付けられている。

【００１４】電子制御回路１０は、センサケース７に形
成されたスリット（図示せず）に嵌め込まれたセラミッ
ク製の基板１１に取り付けられている。この電子制御回
路１０は、受光素子９の受光量からセンサケース７外方
に存する液体の比重を計算してディーゼル軽油が重質ま
たは軽質といった燃料性状を測定する。例えば、ガソリ
ン油の屈折率は１．４０〜１．４４、ディーゼル軽油の
屈折率は１．４２〜１．４８、水の屈折率は１．３０〜
１．３３である。このため、液体の屈折率が大きいほど
その液体の比重が大きく、重質度も大きいので、ディー
ゼル軽油が重質か軽質かどうかを測定できる。そして、
電子制御回路１０は、重質または軽質といったディーゼ
ル軽油の重質度に応じて噴射ポンプの噴射時期を制御す
るための信号を出力する。

【００１５】なお、この実施例の電子制御回路１０で
は、水位警告レベルに水が存すると、燃料フィルタ１内
に沈降する水の水位が警告レベルに達したことを警告す
る水位警告装置としても機能する。そして、電子制御回
路１０は、判定された比重が水の比重である場合に運転
席等の設置されたランプ（図示せず）を点灯する。

【００１６】ここで、基板８１、１１からは、リード線
８２、１２が取り出され、これらのリード線８２、１２
とコネクタ（図示せず）との接続配線１３は取付部７１
内でエポキシ樹脂等の耐熱性充填材１４内に埋設されて
いる。

【００１７】この燃料性状センサ６の作用を図１に基づ
き説明する。噴射ポンプの作動が開始されてディーゼル
エンジンへのディーゼル軽油の圧送が開始されると、燃
料タンク内のディーゼル軽油が汲み上げられてインレッ
ト３１から燃料フィルタ１内に流入して濾過エレメント
２１でディーゼル軽油中の異物、例えば塵芥または錆等
の固形夾雑物、カーボンまたはガム状物質のようなスラ
ッジなどが捕捉される。このとき、ディーゼル軽油とと
もに燃料フィルタ１内に流入した水はディーゼル軽油よ
り比重が大きいためフィルタケース２の底部分に沈降す
る。一方、濾過エレメント２１で浄化されたディーゼル
軽油は、アウトレット３２から流出した後に噴射ポンプ
内に流入する。

【００１８】ここで、燃料フィルタ１内の水の液面レベ
ルが水位警告レベルまで上昇していない場合には、発光
素子８で発光された光はセンサケース７において屈折率
（１．４２程度）に応じて反射して受光素子９に受光さ
れる。そして、電子制御回路１０によって受光素子９の
受光量から比重が計算されて、燃料フィルタ１内のディ
ーゼル軽油が重質か軽質かどうかが測定され、そのディ
ーゼル軽油の重質度に基づいて噴射ポンプの噴射時期を
制御することができる。このため、ディーゼルエンジン
の排出ガス中のスモークの発生を抑えることができ、且
つディーゼルエンジンの出力の低下を抑えることができ
るので、自動車の運転性能を向上することができる。

【００１９】そして、自動車を運転し続けると、燃料フ
ィルタ１内の水の液面レベルが上昇していき、ついには
ランプが点灯する水位警告レベルまで上昇する。このと
き、発光素子８で発光された光はセンサケース７におい
てディーゼル軽油のときと異なる屈折率（１．３３程
度）に応じて反射して受光素子９に受光される。そし
て、電子制御回路１０は受光素子９の受光量から水位警
告レベルに水の液面レベルが達しているためランプを点
灯して、燃料フィルタ１内の水位が水位警告レベルであ
ることを運転者に知らせる。

【００２０】そして、水位警告レベルであることを認識
した運転者は、水抜きコック５のつまみ５５を摘んで水
抜きコック５をハウジングボディ４から緩める方向に回
す。すると、Ｏリング５３のシール性が失われ、さらに
空気通路４４から空気が入り、水抜き通路５２から水が
排出される。このとき、Ｏリング５４はハウジングボデ
ィ４と水抜きコック５とをシールしているのでディーゼ
ル軽油が漏洩することはない。

【００２１】したがって、この実施例では、水位警告セ
ンサと一体形状とされた燃料性状センサ６を構成するこ
とによって、フィルタケース２の底部分に形成された１
つの排水口２２が水位警告センサと燃料性状センサ６と
の両方の取付部として機能させることができ、さらに、
水抜きコック５の取付部としても機能させることができ
る。このため、燃料フィルタ１に新たに燃料性状センサ
専用の取付部を追加する必要がないため、燃料フィルタ
１を大型化する必要がなく、制約の大きいエンジンルー
ム内における燃料フィルタ１の取付スペースを小さくで
きる。

【００２２】（変形例）本実施例では、ディーゼル軽油
の性状を検出したが、ガソリン油、液化石油ガスまたは
灯油等のその他の液体の性状を検出しても良い。

【００２３】

【発明の効果】燃料性状センサを燃料フィルタに容易に
取り付けることができる。しかも、低コストで且つセン
サ自体や燃料フィルタの大型化を抑制しながらも燃料供
給経路中の液体性状を検出することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる燃料性状センサを組み込んだ燃
料フィルタを示した断面図である。

【図２】従来の燃料フィルタを示した断面図である。

【符号の説明】

１ 燃料フィルタ ６ 燃料性状センサ ８ 発光素子（検出部）

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 燃料フィルタ内の水位警告レベルに配置
   された検出部を有し、前記燃料フィルタ内の液体性状を
   検出する燃料性状センサ。