JPH0526721U - ラツクピニオン式ステアリング装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ラック４は一対のブッシュと、両ブッシュの
間に配置されるサポートヨーク８とを介しハウジング５
によって３点で支持される。そのサポートヨーク８をラ
ック４とピニオン３との押し付け方向に押し付けるバネ
１１と、このバネの押し付け力の調節手段とが設けられ
る。そのハウジング５によって偏心部材１３が回転可能
に支持され、この偏心部材１３によってピニオン３が回
転可能に支持され、その偏心部材１３の回転軸心とピニ
オン３の回転軸心とが互いに平行で偏心している。 【効果】 一対のブッシュとラックとの隙間を大きくす
ることなくラックの曲がりによるピニオン軸線とラック
軸線との距離変動を吸収でき、ラックの支持剛性や位置
精度を向上でき、ラックとピニオンとの噛み合いを円滑
なものにできる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はラックピニオン式ステアリング装置に関し、特にラック寸法の長いも のに適する。

【０００２】

【従来の技術】

操向操作入力により回転するピニオンと、このピニオンに噛み合うラックと、 このラックを覆うハウジングとを備え、そのピニオンの回転によるラックの車両 幅方向移動により操向用車輪が操舵されるラックピニオン式ステアリング装置に おいて、ラックをサポートヨークとブッシュとを介しハウジングによって２点で 支持し、そのサポートヨークをラックとピニオンとの押し付け方向に付勢するバ ネと、このバネの付勢力の調節手段とが設けられたものが従来より用いられてい る。

【０００３】 このようなラックピニオン式ステアリング装置にあっては、バネによってラッ クとピニオンとを押し付けることで、ラックの曲がりや歯切りの際の加工誤差に よるラック軸線とピニオン軸線との距離変動を吸収している。また、バネによる ピニオンとラックとの押し付け力が弱いとがたつきが生じ、強いと操向操作力が 大きくなるため、そのバネによるサポートヨークの押し付け力の調節手段が設け られ、ラックとピニオンとの噛み合いを円滑なものにしている。

【０００４】 しかし、大型車両用のラックピニオン式ステアリング装置のようにラック寸法 が長い場合、サポートヨークとブッシュとを介する２点支持では支持剛性が不充 分である。そのため、一対のブッシュと、両ブッシュの間に配置されるサポート ヨークとを介してラックをハウジングによって３点で支持することが行なわれて いる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】 ラックを一対の支持部材とサポートヨークとを介しハウジングによって３点で 支持する場合、ラックの曲がりによるラック軸線とピニオン軸線との距離変動が 大きくなり、バネによるピニオンとラックとの押し付けのみではその距離変動を 吸収できなかった。そのため、３点支持する場合はラックとブッシュとの隙間を 大きくすることで対処していた。しかし、ラックとブッシュとの隙間を大きくす るとラックの支持剛性が低下してがたつきが生じ、ラックの位置精度も低下する 。

【０００６】 本考案は上記従来技術の問題を解決することのできるラックピニオン式ステア リング装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案の特徴とするところは、操向操作入力により回転するピニオンと、この ピニオンに噛み合うラックと、このラックを覆うハウジングとを備え、そのピニ オンの回転によるラックの車両幅方向移動により操向用車輪が操舵されるラック ピニオン式ステアリング装置において、そのラックは一対のブッシュと、両ブッ シュの間に配置されるサポートヨークとを介しハウジングによって３点で支持さ れ、そのサポートヨークをラックとピニオンとの押し付け方向に押し付けるバネ と、このバネの押し付け力の調節手段とが設けられ、そのハウジングによって偏 心部材が回転可能に支持され、この偏心部材によって前記ピニオンが回転可能に 支持され、その偏心部材の回転軸心とピニオンの回転軸心とが互いに平行で偏心 している点にある。

【０００８】

【作用】

本考案の構成によれば、ハウジングに対して偏心部材を回転させると、偏心部 材の回転軸心とピニオンの回転軸心とは互いに平行で偏心しているため、ピニオ ンは径方向に変位し、ラックの軸線とピニオンの軸線との距離が変化する。これ により、ラックの曲がりによるピニオンの軸線とラックの軸線との距離変動を、 偏心部材を回転させることでおおよそ吸収することができる。そして、バネによ りラックとピニオンとを押し付け、そのバネによる押し付け力を調節することで 、ラックの曲がりや歯切りの際の加工誤差によるピニオン軸線とラック軸線との 微小な距離変動を吸収し、ラックとピニオンとの噛み合いを円滑なものにできる 。

【０００９】

【実施例】

以下、図面を参照して本考案の実施例を説明する。

【００１０】 図４に示すラックピニオン式ステアリング装置１は、車両のハンドルに連動す る入力軸２と、図１に示すように、この入力軸２に一体的に形成されたヘリカル ピニオン３と、このピニオン３に噛み合うヘリカルラック４とを備えている。そ のラック４とピニオン３とはハウジング５により覆われている。そのラック４の 各端はハウジング５から突出し、タイロッドやナックルアーム等を介して操向用 車輪に連結される。これにより、ピニオン３の回転によるラックの車両幅方向移 動により操向用車輪が操舵される。

【００１１】 そのハウジング５の各端部にはブッシュ６、７が嵌合され、このブッシュ６、 ７によりラック４が支持されている。なお、ラック４の車両幅方向移動を円滑な ものとするため、ブッシュ６、７とラック４の内外周間には微小な隙間が形成さ れている。そのブッシュ６、７は砲金の内周にテフロンをコーティングすること で形成されている。

【００１２】 その一対のブッシュ６、７の間に銅合金製のサポートヨーク８が配置されてい る。このサポートヨーク８は、ハウジング５に形成された挿入孔９に、図１にお いて左右方向に移動可能に挿入され、図中右方側がラック４と当接する凹部８ａ とされている。その挿入孔９の内周に雌ねじが形成され、この雌ねじを介して外 周に雄ねじが形成された押し付け体１０がねじ込まれている。この押し付け体１ ０とサポートヨーク５との間に板バネ１１が介在されている。この板バネ１１の 弾性力によりサポートヨーク８が図１におてい右方に押されることで、ラック４ とピニオン３とが押し付けられる。このバネ１１がサポートヨーク８を押し付け る力は、挿入孔９に対する押し付け体１０のねじ込み量を変更することで調節可 能とされている。なお、押し付け体１０にはロックナット１２がねじ合わされる 。

【００１３】 図２および図３にも示すように、ハウジング５に筒状の偏心部材１３が回転可 能に挿入されている。この偏心部材１３はラック４を挿入するための窓１３ａを 有する。この偏心部材１３の内周に、入力軸２がベアリング１４、１５を介して 回転自在に支持されている。この入力軸２の回転軸心２Ｏと偏心部材１３の回転 軸心１３Ｏとは平行で、距離ｅだけ互いに偏心する。これにより、偏心部材１３ をハウジング５に対して回転させると、ピニオン３の軸心とラック４の軸心との 距離が調節される。また、ハウジング５の底部に複数のボルト通孔１７が形成さ れ、各通孔１７にボルト１６が挿入され、各ボルト１６は偏心部材１３の下部に 形成された雌ねじ孔１３ｂにねじ合わされている。そのボルト通孔１７は、偏心 部材１３の回転軸心１３Ｏを中心とする円に沿って湾曲する長孔とされている。 また、ボルト１６の頭部１６ａとハウジング５との間にはプレート２０が介在さ れている。これにより、ボルト１６を緩めるとハウジング５に対して偏心部材１ ３が回転可能とされ、そのボルト１６を締め付けると偏心部材１３はハウジング ５に対して固定される。

【００１４】 なお、偏心部材１３の上端にはベアリング１４の押さえリング１８がねじ合わ され、このリング１８と入力軸２との間にダストシール１９が介在されている。

【００１５】 上記構成によれば、ラック４は一対のブッシュ６、７とサポートヨーク８とに より３点で支持され、しかもラック４と各ブッシュ６、７との間の隙間は小さい ため、ラック４の支持剛性や位置精度が低下することはない。しかも、偏心部材 １３をハウジング５に対して回転させることにより、ラック４の曲がりによるラ ック４とピニオン３の軸心間距離の変動をおおよそ吸収でき、バネ１１の変位と バネ１１によるサポートヨーク８の押し付け力の調節により、ラック４の曲がり や歯切りの際の加工誤差によるラック４とピニオン３の軸心間距離の微小な変動 を吸収することができるので、ピニオン３とラック４との円滑な噛み合い状態を 得ることができる。

【００１６】 なお、本考案は上記実施例に限定されるものではない。例えば上記実施例では マニュアルステアリング装置に本考案を適用したが、パワーステアリング装置に も本考案を適用することができる。

【００１７】

【考案の効果】

本考案によるラックピニオン式ステアリング装置によれば、ラックを一対のブ ッシュとサポートヨークにより３点支持する場合において、一対のブッシュとラ ックとの隙間を大きくすることなくラックの曲がりによるピニオン軸線とラック 軸線との距離変動を吸収できるので、ラックの支持剛性や位置精度を向上でき、 しかもラックとピニオンとの噛み合いを円滑なものにできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係るラックピニオン式ステア
リング装置の断面図

【図２】本考案の実施例に係るラックピニオン式ステア
リング装置の要部の底面図

【図３】本考案の実施例に係るラックピニオン式ステア
リング装置の要部の平面図

【図４】本考案の実施例に係るラックピニオン式ステア
リング装置の正面図

【符号の説明】

３ ピニオン ４ ラック ５ ハウジング ６、７ ブッシュ ８ サポートヨーク １１ バネ １３ 偏心部材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 操向操作入力により回転するピニオン
   と、このピニオンに噛み合うラックと、このラックを覆
   うハウジングとを備え、そのピニオンの回転によるラッ
   クの車両幅方向移動により操向用車輪が操舵されるラッ
   クピニオン式ステアリング装置において、そのラックは
   一対のブッシュと、両ブッシュの間に配置されるサポー
   トヨークとを介しハウジングによって３点で支持され、
   そのサポートヨークをラックとピニオンとの押し付け方
   向に押し付けるバネと、このバネの押し付け力の調節手
   段とが設けられ、そのハウジングによって偏心部材が回
   転可能に支持され、この偏心部材によって前記ピニオン
   が回転可能に支持され、その偏心部材の回転軸心とピニ
   オンの回転軸心とが互いに平行で偏心していることを特
   徴とするラックピニオン式ステアリング装置。