JPH05263327A - ボビンのスチーム処理システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 精紡ワインダ間の省スペース化を図ると共に
糸蒸し装置の簡素化を図ることを可能とする。 【構成】 自動ワインダ２に供給される精紡機１上がり
のボビンＢを自動ワインダ２に近接させてその長手方向
に沿って搬送する搬送路１１を形成し、その搬送路１１
に上記ボビンＢを連続的に糸蒸し処理する糸蒸し装置１
６を設けたことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はボビンのスチーム処理シ
ステムに係り、特にスチーム処理に要するボビンの滞留
時間を確保しつつ精紡ワインダの簡素化を図ることので
きるボビンのスチーム処理システムに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】一般に、自動ワインダに供給される精紡
機上がりのボビンが毛などの場合においては後工程で撚
りを施す際に、解舒された糸にトルクが作用する。これ
を回避するために、精紡機と自動ワインダとを直結する
ボビン搬送系においてはボビンをスチーム処理するシス
テムが採用されている。

【０００３】この種のスチーム処理システムにおいては
特開昭６１−２１５７２８号公報には「精紡機と巻取機
とを備えた装置」、特開昭６３−２７５７２８号公報に
は「精紡ボビンの熱処理装置」、特開昭６３−３０３１
６７号公報には「スチ−ムセッタ−」がそれぞれ提案さ
れている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、これらいず
れの提案においても精紡機の設置位置と自動ワインダの
設置位置との間の中間位置に糸蒸し装置が設置されてい
るため、糸蒸しのためのボビンの滞留時間を確保するた
めには精紡ワインダ間の設置スペースが長くなり、長い
設置スペースを要する問題があった。

【０００５】また、後者（特開昭６３−２７５７２８号
公報および特開昭６３−３０３１６７号公報）において
は真空容器内にバッチ処理方式でボビンを取り込み、真
空引き−スチーム注入−真空引きという工程を経てお
り、圧力容器の設置を要すると共にスチームを吹き付け
るためにバルブや蒸気配管の引き回しを余儀なくされ、
糸蒸し装置の複雑化大型化を招くと共にメンテナンスが
煩雑化する欠点がある。

【０００６】また、パッチ方式は複雑な搬送経路にな
り、ボビンの位置決めなどの制御が必要となる欠点があ
る。

【０００７】本発明は上記ボビンのスチーム処理システ
ムにおける問題点を有効に解決すべく創案されたもので
ある。

【０００８】本発明は精紡ワインダ間の省スペース化を
図ると共に糸蒸し装置の簡素化を図ることのできるボビ
ンのスチーム処理システムを提供することを目的とす
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は自動ワインダに
供給される精紡機上がりのボビンを自動ワインダに近接
させてその長手方向に沿って搬送する搬送路を形成し、
その搬送路に上記ボビンを連続的に糸蒸し処理する糸蒸
し装置を設けたものである。

【００１０】

【作用】このように糸蒸し装置を自動ワインダに近接さ
せてその長手方向に沿って設置するため、精紡ワインダ
間の省スペース化が図れると共に、糸蒸し装置の小型化
簡素化が図れる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面に基づい
て詳述する。

【００１２】図１に示すように、精紡ボビンＢを生産す
る多数錘からなる精紡機１が設置されると共に次工程に
は精紡ボビンＢの巻き返し工程となる多数錘からなる自
動ワインダ２が設置されている。自動ワインダ２の一側
には長手方向に沿って精紡ボビンＢを搬入する搬入路２
ａが形成され、他側には巻き返した後のボビンを搬出す
る搬出路２ｂが形成されている。また、自動ワインダ２
の入口側には精紡機上がりのボビンＢを口出しするため
の口出し装置３が設置されている。口出し装置３は循環
路４上に設置されており、この循環路４には精紡機１の
搬入路１ａおよび搬出路１ｂが接続されると共に自動ワ
インダ２の搬出入路２ａ，２ｂが接続されている。

【００１３】特に、自動ワインダ２に供給される精紡機
上がりのボビンＢを搬送する搬送路１１が、自動ワイン
ダ２に近接させてその長手方向に沿って形成される。本
実施例においては自動ワインダ２および口出し装置３に
沿って並行にＵの字状に折り返された搬送路１１が形成
され、この搬送路１１の入口部は精紡機１の搬出路１ｂ
に接続され、出口部は口出し装置３の入口側にそれぞれ
接続されている。

【００１４】これら搬送路１１の出入口部は破線で示す
ように、連通路１２で断続されるようになっている。し
たがって、精紡機上がりのボビンＢを連通路１２を介し
て直線的に口出し装置３に搬送する直結路と、精紡機上
がりのボビンＢを搬送路１１を介して自動ワインダ１に
沿って長手方向に迂回させて口出し装置３に搬送する迂
回路とが選択的に形成されることになる。図２に示すよ
うに、搬送路１１はベルトコンベア１３により構成され
ており、ベルトコンベア１３上にはボビンＢを挿立する
トレイ１４を間に挾んで１個ずつ仕切るキャリアピース
１５が等間隔に搬送方向に取り付けられている。

【００１５】また、搬送路１１には精紡機上がりのボビ
ンＢを糸蒸しするための糸蒸し装置１６が設置される。
この糸蒸し装置１６はＵの字状に折り返された搬送路１
１の搬入側の通路に設置されている。

【００１６】具体的には糸蒸し装置１６は図３および図
４に示すようにＵの字状に折り返される搬送路１１の搬
入側をこれに沿って覆うようにハウジング１７を有す
る。このハウジング１７の下部には搬送路１１の下方に
長手方向に沿って貯水タンク１８が設けられ、このタン
ク１８内には貯水液１９を加熱蒸発するための熱供給源
となる加熱ヒータ２１が挿入浸漬されている。図示例に
おいては搬送路１１上を移動するボビンＢに均一に蒸気
を与えるべく、加熱ヒータ２１は搬送路１１の下方に長
手方向両側に分岐するように延出されている。すなわ
ち、搬送路１１には糸蒸し装置１６内にボビンＢを移送
する糸蒸し通路１１ａが形成されると共に、糸蒸し処理
後のボビンＢを自動ワインダ２に沿ってリターンさせて
口出し装置３に移送するリターン通路１１ｂが形成され
る。なお、２２は供排出用栓、２３は搬送路１１を形成
するベルトコンベア１３の駆動用モータである。

【００１７】糸蒸し装置１６の入出口部１６ａ，１６ｂ
にはそれぞれボビンＢを１個ずつ切り出しながらシール
する回転ドア式のシール装置３１，３２が設けられる。
本実施例においては双方のシール装置３１，３２には同
一の構成が採用される。例えば、糸蒸し装置１６の入口
部１６ａにおいては図５に示すように、精紡機上がりの
ボビンＢを糸蒸し装置１６に移送する導入路３３が、糸
蒸し装置１６内の糸蒸し通路１１ａと直交する方向に形
成されると共に、その導入路３３と糸蒸し通路１１ａと
を直角方向に屈曲させて結ぶ一対の通路壁３４，３５が
互いに向い合って所定の間隙を隔てて設けられている。
互いに向かい合う通路壁３４，３５間にはボビンＢを直
角方向に移送すべく湾曲された通路３６が形成されてい
る。この通路３６にはこれを放射状に仕切る板状の軟質
材製シール片３７が回転軸３８に等角度毎に取り付けら
れていると共に、回転軸３８と一体的に回転する切出し
円盤３９が取り付けられている。切出し円盤３９にはボ
ビンＢのトレイ１４に形成されるペグ１４ａに係脱自在
に係合する円弧状の係合溝４１が周方向に等間隔に形成
されている。

【００１８】次に上記実施例の作用について説明する。

【００１９】図１に示すように、精紡機１で生産された
綿、毛などのボビンＢは搬出路１ｂを経て搬送路１１に
移送されることになる。搬送路１１に導入されたボビン
Ｂは自動ワインダ２に近接して長手方向に沿って移送さ
れ、その移送途中で糸蒸し装置１６で糸蒸しされた後、
口出し装置３を経て自動ワインダ２に供給されることな
る。このように、自動ワインダ２に近接させてその長手
方向に搬送路１１を形成したので、精紡機１と自動ワイ
ンダ２との搬送方向の設置スペースを小さくでき、省ス
ペース化を達成できる。また、自動ワインダ２に沿って
糸蒸しのための長い搬送路１１を形成することができ、
糸蒸しに必要とされる充分な滞留時間を確保できる。

【００２０】一方、精紡機上がりのボビンＢは糸蒸し装
置１６内に連続的に供給されることになる。図５に示す
ように、糸蒸し装置１６の入口部１６ａには導入路３３
の移送力でボビンＢが押し込まれ、その押込み力で切出
し円盤３９に形成された係合溝４１には１個ずつボビン
Ｂが係合する。ボビンＢは切出し円盤３９を回転させな
がら糸蒸し装置１６内の糸蒸し通路１６ａに切出される
ことになる。この切出し円盤３９の回転と一体的に回転
軸３８を中心に展開するシール片３７も回転し、このシ
ール部材３９により、入口部１６ａに形成される通路３
６は搬送方向前後に仕切られることになる。したがっ
て、入口部１６ａにおいては搬送方向前後にシールされ
ながらボビンＢが１個ずつ糸蒸し装置１６内に切り出さ
れ、糸蒸し装置１６の内部は外部と遮断されて密閉状態
に保持されることになる。

【００２１】糸蒸し装置１６のハウジング１７内に供給
されたボビンＢはベルトコンベア１３上のキャリアピー
ス１５で仕切られて貯水タンク１８上を搬送方向に等間
隔を隔てて移動し、その移動途中において下方から供給
される蒸気で加湿されて糸蒸し処理されることになる。
貯水タンク１８が糸蒸し通路１１ａに沿って設けらてい
るので、糸蒸し通路１１ａを移動するボビンＢには均一
かつ充分な湿気が与えられることになる。糸蒸し処理さ
れたボビンＢは糸蒸し装置１６の出口部１６ｂに達し、
入口部１６ａと同様に搬送方向前後にシールされながら
１個ずつ切り出され、搬出路１１のリターン通路１１ｂ
から口出し装置３を経て自動ワインダ２に供給されるこ
とになる。

【００２２】このように、糸蒸し装置１６はボビンＢを
低温かつ常圧でスチーム処理するため、バルブや蒸気配
管の引き回しがなくなり、蒸し装置１６の簡素化が可能
になると共にメンテナンスを容易になし得る。また、ボ
ビンＢを１本１本搬送しながらスチーム処理し、連続的
にスチーム処理するため、少量の処理量に対しても滞留
なく自動ワインダ２に供給できる。実験によれば十分な
クリンゲル係数の低下が低温でも得られた。

【００２３】なお、糸蒸しを必要としない精紡機上がり
のボビンについては精紡機１の搬出路１ｂから連通路１
２を介して直接に口出し装置３に搬送されることにな
る。したがって、ボビンの品種に応じて糸蒸し処理する
ボビンと糸蒸し処理しないボビンとが選別され、これら
のボビンはそれぞれ別個の搬送系を通って口出し装置３
を経て自動ワインダ２に供給されることになる。

【００２４】図６〜図９はシール装置の他の実施例を示
したものである。

【００２５】図６に示すように、糸蒸し装置１６の入口
部１６ａには導入路３３から直角方向に折り返されて移
送される精紡機上がりのボビンＢを１個ずつ切り出すシ
ール装置４３が設けられる。このシール装置４３は互い
に入口部１６ａを幅方向に突き合わされる一対のシール
部材４４，４５で構成されており、図７に示すように、
これらシール部材４４，４５は平面円盤状のトレイ１４
と略同一の曲率で円弧状に湾曲された円弧部４４ａ，４
５ａを有すると共に、上部が水平方向にフラットに折り
曲げられた折曲げ部４４ｂ，４５ｂを有し、その折曲げ
部４４ｂ，４５ｂは上下に互いに重ね合わされてピン部
材４６を中心に水平方向に回動自在に連結されている。
また、折曲げ部４４ｂ，４５ｂにはそれぞれくの字状に
折り返されたアーム４７，４８の先端部がピン部材４
９，５１でヒンジ連結され、これらアーム４７，４８の
基端部はロッド５２の先端部に共通のピン部材５３でヒ
ンジ連結されている。ロッド５２の基端部はシリンダ５
４に連結されている。したがって、シリンダ５４の伸縮
移動がピン部材５３を中心としてアーム４７，４８を互
いに水平方向に近接離間させる揺動に変換され、その揺
動により一対のシール部材４４，４５はピン４６を中心
に互いに入口部１６ａを横断する方向に当接離反可能に
回動することになる。

【００２６】なお、図８において入口部１６ａにはシー
ル部材４４，４５の回動を検出するセンサ５５が設けら
れると共に、その搬送方向後方にはボビンＢのトレイ１
４に係脱自在に係合してこれを１個ずつ切り出すストッ
パ５６が設けられている。

【００２７】そこで、図７および図８に示すように、糸
蒸し装置１６内にトレイ１４を導入すべくトレイ１４を
切り出すためにはシール部材４４，４５が互いにピン部
材５３を中心に回動して互いに突き合わされることによ
り入口部１６ａを横断して閉じると共に、搬送方向後方
に臨んで円弧状に開放されることになる。ストッパ５３
が図中右方向に回動して開動作すると、トレイ１４の移
動が許容されるため、トレイ１４は搬送方向前方に円弧
状に開放されたシール部材４４，４５内に収容されるこ
とになる。この状態おいてシリンダ５４が短縮すると、
図７および図９に示すように、シール部材４４，４５は
ピン部材４６を中心に逆方向に反転して互いに突き合わ
されて入口部１６ａを閉じつつ搬送方向前方に円弧状に
開放されることになる。このため、糸蒸し装置１６内へ
のトレイ１４の移動が許容される。したがって、上記実
施例と同様に入口部１６ａを閉じ状態にシールしつつ１
個ずつトレイ１４を連続して切り出すことができる。

【００２８】なお、シール部材４４，４５が入口部１６
ａを閉じてボビンＢが糸蒸し装置１６内に切り出された
後、トレイＢを導入すべくシール部材４４，４５が反転
して完全に搬送方向後方に開放されたことをセンサ５５
が検出し、その信号が出力されるまでストッパ５６は次
のトレイ１４の移動を阻止して待機させることになる。
このようなボビンＢの切出しは糸蒸し装置１６の出口部
１６ｂでも同様な構成でなされる。

【００２９】

【発明の効果】以上要するに本発明によれば、自動ワイ
ンダに近接させてその長手方向に精紡機上がりのボビン
を搬送する搬送路を形成すると共に、その搬送路に連続
的に糸蒸し処理する糸蒸し装置を設けたので、精紡ワイ
ンダ間の省スペース化および糸蒸し装置の簡素化が図れ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す平面図である。

【図２】搬送路の要部を示す概略図である。

【図３】糸蒸し装置を示す概略図である。

【図４】糸蒸し装置を示す横断面図である。

【図５】糸蒸し装置の入口部を示す平面図である。

【図６】糸蒸し装置の入口部の他の実施例を示す平面図
である。

【図７】糸蒸し装置の入口部の要部を示す斜視図であ
る。

【図８】糸蒸し装置の入口部の切り出し状態を示す平面
図である。

【図９】糸蒸し装置の入口部の切り出し状態を示す平面
図である。

【符号の説明】

１ 精紡機 ２ 自動ワインダ １１ 搬送路 １６ 糸蒸し装置 Ｂ ボビン

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 自動ワインダに供給される精紡機上がり
   のボビンを自動ワインダに近接させてその長手方向に沿
   って搬送する搬送路を形成し、該搬送路に上記ボビンを
   連続的に糸蒸し処理する糸蒸し装置を設けたことを特徴
   とするボビンのスチーム処理システム。