JPH05263252A - 被覆超硬合金部材 - Google Patents

被覆超硬合金部材

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JPH05263252A
JPH05263252A JP9358292A JP9358292A JPH05263252A JP H05263252 A JPH05263252 A JP H05263252A JP 9358292 A JP9358292 A JP 9358292A JP 9358292 A JP9358292 A JP 9358292A JP H05263252 A JPH05263252 A JP H05263252A
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JP
Japan
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tic
coating layer
ticn
layer
base material
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Application number
JP9358292A
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English (en)
Inventor
Katsuya Uchino
克哉 内野
Masuo Nakado
益男 中堂
Akinori Kobayashi
晄徳 小林
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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  • Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 超硬合金母材の表面上に設けた超硬被覆層
が、超硬合金母材表面に直接設けたTiCからなる膜厚
1〜3μmの第1被覆層と、第1被覆層の上に設けた格
子定数が4.251〜4.302ÅのTiCNからなる膜
厚2〜5μmの第2被覆層と、第2被覆層の上に設けた
TiCからなる膜厚2〜8μmの第3被覆層からな被覆
超硬合金部材。 【効果】 被覆層形成時における超硬合金母材からのW
等の拡散やCの吸い上げを防止できるので、切削工具と
して同時に耐アブレッシブ摩耗性と耐クレータ摩耗性の
両方に優れ、且つ耐欠損性にも優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に切削工具として使
用される被覆超硬合金部材、特に厳しい切削条件にも耐
え得る被覆超硬合金部材に関する。
【0002】
【従来の技術】低炭素鋼やステンレス鋼等の切削には超
硬合金の切削工具が使用されるが、切削中における切削
工具の刃先温度は800℃以上になることが知られてい
る。刃先温度が高くなれば、切削工具を構成する超硬合
金が熱により変形して逃げ面摩耗が激しくなる、即ち耐
アブレッシブ摩耗性が低下する。
【0003】この様な状況下で超硬合金工具の切削特性
を改善するために、超硬合金母材の表面にTiC、Ti
N、Al23等の単一層又は複合層からなる硬質被覆層
をCVD法等により形成した被覆切削工具が開発され、
多岐にわたる被削材の加工に使用されてきた。しかし、
最近では切削加工の高能率化や加工形態の高度化が一層
進み、切削条件が益々厳しくなっていることから、上記
硬質被覆層によっても耐摩耗性向上の効果が不十分とな
り、被覆切削工具と言えどもその寿命が低下する傾向が
生じている。
【0004】又、硬質被覆層を構成する個々のTi化合
物についても、逃げ面摩耗(アブレッシブ摩耗)とすく
い面摩耗(クレータ摩耗)の両方共に十分な効果を発揮
し得るものが存在しない。即ち、TiCは硬度が20℃
で3200kgf/mmとTi化合物では最も高硬度
であるため耐アブレッシブ摩耗性に優れるものの、切粉
が刃先のすくい面をこすって通過することにより生ずる
すくい面摩耗が大きい、即ち耐クレータ摩耗性に劣って
いる。反対に、TiNは鋼と反応しにくいため耐クレー
タ摩耗性には優れるが、硬度が20℃で1950kgf
/mmと低いので耐アブレッシブ摩耗性に劣ってい
る。又、TiCNの耐摩耗性はTiCとTiNの中間的
な位置にある。
【0005】一方、Al23はアブレッシブ摩耗及びク
レータ摩耗のいずれにも優れた性能を示すが、本質的に
脆いため耐欠損性が不足している。従って、Al23
膜厚を厚くすると欠損しやすくなるので、Ti化合物の
被覆層の上に制限された膜厚で施されるのが普通であ
る。そのため、被覆切削工具の摩耗あるいは損傷がある
程度進行した後には、下層のTi化合物からなる被覆層
の特性に左右されることになり、耐欠損性並びにアブレ
ッシブ摩耗とクレータ摩耗に優れた被覆切削工具を得る
ことは難しかった。
【0006】これらの理由から、従来の被覆超硬合金部
材では、被覆切削工具として多岐にわたる被削材(代表
的には鋼と鋳物)を加工するとき、耐欠損性に優れ、且
つアブレッシブ摩耗とクレータ摩耗の両方に対して優れ
た効果を発揮することが難しかった。特に、最近の厳し
い切削条件の下では、被覆切削工具の硬質被覆層とし
て、アブレッシブ摩耗とクレータ摩耗の両方に対し充分
に効果を発揮するものが存在しない現状であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来の
事情に鑑み、切削工具として厳しい切削条件の下におい
ても耐アブレッシブ摩耗性と耐クレータ摩耗性の両方に
優れた効果を発揮する硬質被覆層を備え、更に耐欠損性
にも優れた被覆超硬合金部材を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明においては、超硬合金母材の表面に硬質被覆
層を設けた被覆超硬合金部材の硬質被覆層が、超硬合金
母材の表面に直接設けたTiCからなる膜厚1〜3μm
の第1被覆層と、第1被覆層の上に設けた格子定数が
4.251〜4.302ÅのTiCNからなる膜厚2〜5
μmの第2被覆層と、第2被覆層の上に設けたTiCか
らなる膜厚2〜8μmの第3被覆層からなることを特徴
とする。
【0009】
【作用】TiC、TiN及びTiCNのTi化合物の中
では、硬度の最も高いTiCがアブレッシブ摩耗に対し
て最も有効である。しかし、TiCを超硬合金母材に直
接形成する場合には、TiC自身やその上層の薄膜をC
VD法等の気相合成法により形成する際に超硬合金母材
が通常約1000℃という高温になるため、超硬合金の
成分であるW、Ta、Nb及びCo等がTiC被覆層中
に拡散して、TiC被覆層の硬度を低下させるという問
題を生じる。このW等の拡散は、TiCを約1000℃
で10μm程度の厚さに被覆した場合に、超硬合金母材
の界面からTiC被覆層中に約3〜4μmの厚さにまで
達し、従ってこのW等の拡散した領域のTiC被覆層は
TiCNと同程度の耐アブレッシブ摩耗性しか得られな
い。しかも、TiCは鋼と反応しやすいため、耐クレー
タ摩耗に対してはTiCはTiNやTiCNよりも不利
である。
【0010】そこで本発明者らは、超硬合金母材からT
iC被覆層へのW等の拡散を防止する方法を種々検討し
た結果、超硬合金母材とTiCの間にTiCNを設ける
ことが有効であり、特に格子定数が4.302Å以下の
TiCNを厚さ0.5μm以上に形成すると、超硬合金
母材からのW、Ta、Nb及びCo等の拡散がほぼ完全
に遮断されることを見いだした。加えて、格子定数が
4.302Å以下のTiCNを2μm以上の厚さに被覆
すると、通常の鋼旋削でTiN並の優れた耐クレータ摩
耗性が得られること、及びTiCNの格子定数が4.2
51Å未満か又は格子定数が4.251Å以上であって
も膜厚が5μmを越えると、耐アブレッシブ摩耗性が不
足することが判明した。
【0011】しかし同時に、TiCNを超硬合金母材の
表面にCVD法等の気相合成法により形成すると、形成
時の気相中のC濃度がTiCを形成する場合に比べて低
いので、超硬合金母材中からTiCN被覆層中に吸い上
げられる炭素が多くなり、その結果として母材表面にη
相の析出が顕著になり、かかるη相の存在は切削性能の
面から見ると耐欠損性の低下につながることも分かっ
た。この超硬合金母材からの炭素の吸い上げを防ぐに
は、形成時の気相中のC濃度が高いTiCを母材表面と
TiCNの間に介在させることが有効であるが、TiC
を母材表面に直接形成すると前記したTiC中へのW等
の拡散により耐アブレッシブ摩耗性が低下すると言う矛
盾がある。
【0012】これらの知見から本発明者らは、超硬合金
母材からのCの吸い上げによるη相の生成を防止できる
最小限の膜厚で母材表面にTiCを直接被覆することと
し、このTiCからなる第1被覆層の上に格子定数4.
251〜4.302ÅのTiCNからなる第2被覆層を
形成し、更にTiCNの第2被覆層の上にTiCからな
る第3被覆層を設けることにより、超硬合金母材から第
3被覆層のTiC被覆層へのW等の拡散並びに第2被覆
層のTiCN被覆層へのCの吸い上げを共に防止するこ
とに成功し、本発明に至ったものである。
【0013】即ち、TiCの第1被覆層がTiCNの被
覆時における超硬合金母材からのCの吸い上げを防止す
るので、母材中にη相が生成することがなく耐欠損性の
低下を防ぐことができる。又、TiCNの第2被覆層に
より母材から上層のTiCへのW等の拡散が防止される
ので、TiCの第3被覆層は硬度が低下することがなく
なり、本来の優れた耐アブレッシブ摩耗性を発揮するこ
とができる。しかも、TiCNの第2被覆層は、Ti化
合物中では最も優れているTiN並の耐クレータ摩耗性
を示す。従って、本発明のかかる構成の硬質被覆層によ
って、耐アブレッシブ摩耗性と耐クレータ摩耗性の両方
に優れ、且つ耐欠損性にも優れた被覆超硬合金部材が達
成される。
【0014】尚、第1被覆層のTiCについて膜厚を1
〜3μmに限定する理由は、1μm未満ではTiCN被
覆層の形成時に母材からのCの吸い上げを十分防止でき
ず、母材表面にη相が生成して耐欠損性が低下し、又こ
の第1被覆層のTiCは母材からのW等の拡散がある柔
らかいTiCであるから、膜厚が3μmを越えると耐ア
ブレッシブ摩耗性の低下が問題となるからである。第3
被覆層のTiCについて膜厚を2〜8μmの範囲に限定
するのは、膜厚が2μm未満ではTiCNからなる第2
被覆層のいかんに拘らず耐アブレッシブ摩耗性が十分に
発揮されないこと、又TiCNからなる第2被覆層の上
に8μmを越えるTiCを被覆すると耐クレータ摩耗性
や耐欠損性が低下してくるからである。
【0015】TiCNからなる第2被覆層及びTiCか
らなる第1及び第3被覆層は、CVD法等の公知の気相
合成法により形成する。TiCNの格子定数は、CとN
の構成比率を変えることにより制御し得ることは既に知
られている。例えば、TiとCNの構成比率をほぼ等し
く維持しながら、CとNの構成比率においてCを増加さ
せれば、格子定数を大きくすることが出来る。更に具体
的には、原料ガスとしてTiCl4、CH4、N2を用い
たCVD法において、CH4とN2の比率を変化させるこ
とによりTiCNの格子定数を変えることが出来る。例
えば、CH4:N2の比率を1:9とすることで格子定数
4.251のTiCNを合成でき、又CH4:N2の比率
を5:5にすることにより格子定数4.302のTiC
Nを合成することが出来る。
【0016】又、本発明においては、TiCからなる第
3被覆層の上にAl23からなる膜厚0.5〜8μmの
第4被覆層を設けることにより、第1被覆層から第3被
覆層までを設けた場合と同等の、又はそれ以上の耐アブ
レッシブ摩耗性及び耐クレータ摩耗性が得られる。ただ
し、Al23の第4被覆層の膜厚が0.5μm未満では
耐アブレッシブ摩耗性及び耐クレータ摩耗性が共に低下
し、8μmを越えると耐欠損性が大幅に低下するので好
ましくない。
【0017】尚、被覆超硬合金工具では、従来から着色
を目的としてTiNを最外層に被覆することが行われて
いるが、本発明の被覆超硬合金部材においても同じ目的
で最外層にTiNを被覆することができる。その場合、
着色目的のTiNの膜厚が2μm未満であれば、耐アブ
レッシブ摩耗性、耐クレータ摩耗性、耐欠損性等に関す
る本発明の効果に全く影響がない。
【0018】
【実施例1】型番CNMG432の切削工具形状を有す
るISO P10の超硬合金からなる母材を用意し、そ
の表面上に公知のCVD法により順番に第1層、第2
層、第3層の被覆層をそれぞれ下記表1に示す構成で形
成し、第1層から第3層の合計膜厚はいずれも11.0
μmとした。
【0019】得られた各被覆超硬合金の切削工具を用い
て、耐摩耗性と耐欠損性について次の条件の切削試験に
より評価し、結果を表1に併せて示した。耐摩耗性 被 削 材: SCM415 切削速度: 250m/min. 送 り: 0.3mm/rev. 切 込 み: 1.5mm 切削時間: 20min.耐欠損性 被 削 材: SCM435溝付き材(外周上等間隔に長
手方向の溝4本) 切削速度: 100m/min. 送 り: 0.15〜0.25mm/rev. 切 込 み: 2.0mm 切削時間: 0.5min.
【0020】
【表1】 試料 被覆層構造(膜厚μm) TiCNの格子 逃げ面摩 すくい面 欠損率No. 第1層 第2層 第3層 定数 (Å) 耗量(mm) 摩耗量(mm) (%) 1 TiC(11) − − − 0.190 0.070 11 2 TiC(5) TiCN(6) − 4.251 0.235 0.018 12 3 TiC(1) TiCN(5) TiC(5) 4.245 0.225 0.017 10 4 TiC(1) TiCN(2) TiC(8) 4.310 0.175 0.048 12 5 TiC(1) TiCN(6) TiC(4) 4.251 0.225 0.015 10 6 TiC(2) TiCN(1) TiC(8) 4.302 0.170 0.065 12 7 TiC(1) TiCN(1.5)TiC(8.5) 4.302 0.168 0.068 14 8 TiC(0.5) TiCN(5) TiC(5.5) 4.251 0.200 0.017 35 9 TiC(3.5) TiCN(5) TiC(2.5) 4.251 0.238 0.018 12 10 TiCN(5) TiC(6) − 4.251 0.196 0.018 37 11 TiCN(5) TiC(6) − 4.302 0.189 0.017 42 12 TiCN(3) TiC(8) − 4.302 0.180 0.020 40 13* TiC(1) TiCN(2) TiC(8) 4.251 0.201 0.017 12 14* TiC(3) TiCN(5) TiC(2) 4.251 0.205 0.018 8 15* TiC(2) TiCN(5) TiC(3) 4.302 0.190 0.018 12 16* TiC(1) TiCN(2) TiC(8) 4.302 0.183 0.021 14 (注)*印を付した試料13〜16が本発明例であり、
試料1〜12は比較例である。
【0021】上記表1において、比較例の試料1は従来
一般的な比較的厚いTiCのみの被覆層であるため耐ク
レータ摩耗性に劣り、又試料2は第1層が比較的厚いT
iCであるため母材からのW等の拡散によりTiCの硬
度が低下し耐アブレッシブ摩耗性が低下しているのに対
して、本発明の試料13〜16は耐アブレッシブ摩耗性
と耐クレータ摩耗性の両方に優れ、更に耐欠損性におい
ても同等又はそれ以上であることが分かる。
【0022】又、比較例の試料3と4は第2層のTiC
Nの格子定数、試料5と6は第2層の膜厚、試料7は第
3層の膜厚、及び試料9は第1層の膜厚が本発明の範囲
外であるため、耐アブレッシブ摩耗性か耐クレータ摩耗
性のいずれかにおいて本発明の試料13〜16よりも劣
っている。又、試料8は第1層のTiCの膜厚が薄す
ぎ、試料10〜12は第1層にTiCが無いので、母材
にCの吸い上げによるη相が生成し、共に耐欠損性が大
幅に低下している。
【0023】
【実施例2】型番CNMG432の切削工具形状を有す
るISO P10の超硬合金からなる母材を用意し、そ
の表面上に公知のCVD法により順番に第1層、第2
層、第3層、第4層の被覆層を、それぞれ下記表2に示
す構成で形成した。
【0024】
【表2】 試料 被 覆 層 構 造(μm) 合計膜厚 TiCNの格子No. 第1層 第2層 第3層 第4層 (μm) 定数 (Å) 17 TiC(11) Al2O3(1.5) − − 12.5 − 18 TiC(3.5) TiCN(5) TiC(2) Al2O3(1.5) 12 4.251 19 TiC(0.5) TiCN(5) TiC(5) Al2O3(1.5) 12 4.251 20 TiC(3.0) TiCN(1) TiC(6.5) Al2O3(1.5) 12 4.302 21 TiC(3.0) TiCN(6) TiC(2) Al2O3(1.5) 12.5 4.251 22 TiC(3) TiCN(2) TiC(5) Al2O3(1.5) 11.5 4.310 23 TiC(3) TiCN(5) TiC(2) Al2O3(1.5) 11.5 4.245 24 TiC(1) TiCN(2) TiC(8.5) Al2O3(1) 12.5 4.302 25 TiC(3) TiCN(5) TiC(1.5) Al2O3(1.5) 11 4.251 26 TiC(4) TiCN(5) TiC(2) Al2O3(0.3) 11.3 4.251 27 TiC(1) TiCN(2) TiC(2) Al2O3(8.5) 13.5 4.302 28 TiCN(5) TiC(6) Al2O3(1.5) − 12.5 4.251 29* TiC(1) TiCN(5) TiC(5) Al2O3(0.5) 11.5 4.251 30* TiC(3) TiCN(2) TiC(5) Al2O3(1.5) 11.5 4.302 31* TiC(1) TiCN(2) TiC(8) Al2O3(1.5) 12.5 4.302 32* TiC(1) TiCN(2) TiC(2) Al2O3(8) 13 4.251 (注)*印を付した試料29〜32が本発明例であり、
試料17〜28は比較例である。
【0025】得られた各被覆超硬合金の切削工具を用い
て、耐摩耗性及び耐欠損性について次の条件の切削試験
によりそれぞれ評価し、結果を表3に示した。耐摩耗性 被 削 材: SCM415 切削速度: 300m/min. 送 り: 0.4mm/rev. 切 込 み: 1.5mm 切削時間: 20min.耐欠損性 被 削 材: SCM435溝付き材(外周上等間隔に長
手方向の溝4本) 切削速度: 100m/min. 送 り: 0.15〜0.25mm/rev. 切 込 み: 2.0mm 切削時間: 0.5min.
【0026】
【表3】 試料 逃げ面摩 すくい面 欠損率No. 耗量(mm) 摩耗量(mm) (%) 17 0.185 0.047 28 18 0.225 0.016 21 19 0.190 0.016 45 20 0.180 0.035 18 21 0.235 0.012 15 22 0.195 0.040 25 23 0.242 0.012 14 24 0.180 0.040 29 25 0.234 0.014 18 26 0.235 0.013 20 27 0.182 0.015 48 28 0.185 0.015 50 29* 0.192 0.017 20 30* 0.184 0.020 22 31* 0.182 0.023 24 32* 0.185 0.013 26 (注)*印を付した試料29〜32が本発明例であり、
試料17〜28は比較例である。
【0027】上記試料はいずれも最上層としてAl23
の被覆層を有する例であるが、比較例の試料17はAl
23の下の第1層が従来一般的な比較的厚いTiCの被
覆層のみであるため耐クレータ摩耗性に劣り、又試料1
8はTiCNの第2層とTiCの第3層を有するもの
の、第1層が比較的厚いTiCのため母材からのW等の
拡散によりTiCの硬度が低下して耐アブレッシブ摩耗
性が悪いのに対し、本発明の試料29〜32は耐アブレ
ッシブ摩耗性と耐クレータ摩耗性の両方に優れ、更に耐
欠損性においても同等又はそれ以上であることが分か
る。
【0028】又、比較例の試料20と21は第2層の膜
厚、試料22と23は第2層であるTiCNの格子定
数、試料24と25は第3層の膜厚、試料26は第1層
と第4層の膜厚が本発明の範囲外であるため、耐アブレ
ッシブ摩耗性か耐クレータ摩耗性のいずれかにおいて本
発明の試料29〜32よりも劣っている。又、試料19
は第1層のTiCの膜厚が薄すぎ、試料28は第1層に
TiCが無いので、母材にCの吸い上げによるη相が生
成し、いずれも耐欠損性が大幅に低下している。更に、
試料27はAl23からなる第4層の膜厚が厚すぎるた
め、耐欠損性が著しく低下している。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、超硬合金母材の被覆層
として母材表面側から順番にTiC、TiCN、TiC
を特定の構成で積層することにより、母材から被覆層へ
のW、Ta、Nb及びCo等の拡散を防止し、且つ被覆
層形成時の母材からのCの吸い上げを無くすことができ
るので、切削工具として使用した時、同時に耐アブレッ
シブ摩耗性と耐クレータ摩耗性の両方に優れ、且つ耐欠
損性においても優れた効果を発揮する被覆超硬合金部材
を提供することが出来る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超硬合金母材の表面に硬質被覆層を設け
    た被覆超硬合金部材において、前記硬質被覆層が超硬合
    金母材の表面に直接設けたTiCからなる膜厚1〜3μ
    mの第1被覆層と、第1被覆層の上に設けた格子定数が
    4.251〜4.302ÅのTiCNからなる膜厚2〜5
    μmの第2被覆層と、第2被覆層の上に設けたTiCか
    らなる膜厚2〜8μmの第3被覆層からなることを特徴
    とする被覆超硬合金部材。
  2. 【請求項2】 前記第3被覆層の上にAl23からなる
    膜厚0.5〜8μmの第4被覆層を有することを特徴と
    する、請求項1記載の被覆超硬合金部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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