JPH05263080A - ガス中の油分回収方法および装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 コンパクトな装置によって油分含有ガスから
油分を効率良く回収する。 【構成】 冷却箱１の上部に導入した油分含有ガスを、
複数本の冷媒管路７および、それらの冷媒管路間に充填
した熱伝導性薄片８の間に通過させることによって冷却
して、ガス中の油分の、冷媒間路７及び熱伝導性薄片８
への凝縮付着をもたらすとともに、凝縮付着した液滴を
冷却箱１の底部に流下させて回収する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、有機物の乾留ガスそ
の他のガス中から油分を効率良く回収する方法およびそ
の装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】有機物、油質液などの加熱に基づく乾留
または気化によってガス化された油分を液化回収するこ
とは、原油精製、原油を資源とする石油化学工程などに
おいて広く且つ大規模に実用化されており、その技術方
式としては、間接水冷器、スプレー塔、吸着充填層をも
つ吸着塔、サイクロンなどが複合利用されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】油分が気体として含ま
れているガス体から油分を液化回収するためには、先ず
ガスの冷却が必要となる。また、冷却されたガス中の気
体油分が液滴化するときには、凝縮熱が発生し、それが
ガス体の降温を妨げることも加わって、特に、ガス体と
これを冷却するための冷媒との温度差が小さくなる低温
域では、ガスの冷却装置のスケールの大きさ、及びこの
冷却に用いられる冷媒の、時間当たりの流量の多さが要
求されるため、油分の液化回収を行うに当たっては処理
量に対する設備費の負担が大きくなる。

【０００４】これに加えて、冷却によって凝縮された油
分により形成される油滴径は一般に極めて小さく、その
吸着処理についてもその設備のスケールの大きさが要求
される。処理量がある水準以上に多い場合は、それに応
じて設備スケールが大きくなることは実用上大きな負担
とはされないが、処理量の多少にかかわらず、よりコン
パクトな設備スケールによる処理方法の探索が課題とな
っている。この発明は、これらのことに鑑みて、コンパ
クトな装置によって効率良くガス中の油分を回収するこ
とができる方法およびそのための装置を提供するもので
ある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明の、ガス中の油
分の回収方法は、冷却箱の上部に導入した油分含有ガス
を、その冷却箱内に配設した複数本の冷媒管路および、
それらの冷媒管路内に充填した熱伝導性薄片の間に通過
させることによって冷却して、そのガス中の油分を、冷
媒管路および熱伝導性薄片のそれぞれに凝縮付着させる
とともに、凝縮付着したその液滴を冷却箱の底部に流下
させて回収するものである。

【０００６】または、この発明の他の回収方法は、上述
したところに加えて、冷却箱の底部への流下液滴およ
び、その冷却箱内を通過することによって冷却された冷
却ガスのそれぞれを、複数枚の回転翼と、それらの回転
翼の外周側に形成したガス通路とを具えるウィングスプ
レーヤーに導き、回転翼の回転中心部から流出させた前
記流下液滴を、回転翼によってその翼端からガス通路内
へ、高速で、かつ微細液滴化させて放出することによ
り、そのガス通路を通る冷却ガスの一層の冷却をもたら
すとともに、冷却ガス中に存在する極微細液滴を高速放
出微細液滴に吸着させてガスから分離するものである。

【０００７】さらに、この発明の油分回収装置は、上部
に油分含有ガス導入口を、底部に流下液滴排出口および
ガス排出口をそれぞれ設けた冷却箱の内部に、複数本の
冷媒管路を水平に配設して、好ましくは、それらを上下
方向に千鳥状の配置とするとともに、それらの冷媒管路
間に、たとえば旋くずその他の切粉とすることができる
熱伝導性薄片を充填してガス冷却器を構成し、また、ガ
ス流入口を開口させたハウジング内に複数枚の回転翼を
配設して、それらの回転翼をハウジング外の回転駆動手
段に連結するとともに、回転翼の翼端とハウジングとの
間にガス通路を形成し、そして、複数枚の回転翼の内周
側に流下液滴を導く油液管路を設けるとともに、液滴お
よびガス分のそれぞれの排出路をハウジングに設けるこ
とによってウィングスプレーヤーを構成したところにお
いて、ガス冷却器の流下液滴排出口およびガス排出口の
それぞれを、ウィングスプレーヤーの油液管路およびガ
ス流入口のそれぞれに接続したものである。

【０００８】

【作用】この発明の前者の油分回収方法では、冷却箱の
上部に導入した高温の油分含有ガスがその冷却箱の底部
まで流動する間に、油分含有ガスを、冷媒管路によって
直接的に冷却する他、伝熱性にすぐれた熱伝導性薄片に
よって間接的に冷却し、そしてより好ましくは、冷却箱
それ自身によってもまた直接的に冷却することによっ
て、油分含有ガスの大幅なる温度低下をもたらすことが
でき、この結果として、ガス中の油分を、冷媒管路、熱
伝導性薄片および冷却箱のそれぞれに極めて効率的に凝
縮付着させることができる。

【０００９】なおここで凝縮付着というときは、油分含
有ガスが冷却箱に導入されるまでの間の温度低下によっ
て、そのガス中に予め発生した熱微細な凝縮液滴が熱伝
導性薄片その他に付着する凝集付着をも含むものとす
る。従ってその後は、凝縮付着した液的を、冷却箱の底
部に流下させて回収することにより、ガス中の油分をガ
ス分から効果的に分離させることができる。

【００１０】また、この発明の後者の油分回収方法で
は、上述したところによって回収された流下液滴を、回
転翼の作用下で、高速の微細液滴としてガス通路内へ放
出することにより、その高速放出微細液滴をもって、冷
却箱を通過した冷却ガスを一層冷却して、その冷却ガス
中に新たに発生した極微細な凝縮液滴およびそのガス中
に予め存在していた極微細液滴のそれぞれを、高速放出
微細液滴に効果的に吸着させることができ、これによっ
て、ガス中の油分を、より一層効率的に分離させること
ができる。ところで、このようにして分離された油分お
よびガス分は、ウィングスプレーヤーのハウジングに設
けた液滴排出路およびガス分排出路のそれぞれから別個
に回収することができる。

【００１１】そしてさらに、ガス冷却器とウィングスプ
レーヤーとを組み合わせてなるこの発明の装置によれ
ば、そのガス冷却器によっては、とくには熱伝導性薄片
の作用に基づき、油分含有ガスを極めて効果的に冷却し
てそのガス中の油分を効率的に凝縮させることができる
ので、ガス冷却器を十分小型化することができ、また、
水とすることができる冷媒の流量をもまた少量に抑える
ことができる。しかも、このガス冷却器では、油分含有
ガスの冷却に基づいてそのガス中に生じた極微細な凝縮
液滴の大部分を、冷却箱内に密に充填した熱伝導性薄片
によってトラップすることにより、ガス中に存在する凝
縮液滴の回収効率を十分に高めることができる。

【００１２】また、本発明装置のウィングスプレーヤー
では、ガス冷却器によって冷却されたガス分を、高速回
転する回転翼から放出される高速放出微細液滴をもって
一層冷却するとともに、この冷却によって発生した極微
細な凝縮液滴および、そのガス中に予め存在していた極
微細液滴のそれぞれを、高速放出微細液滴に吸着させる
ことにより、これもまた、小型のウィングスプレーヤー
で、ガスの効果的な冷却および、ガス中の油分のより効
率的な回収を実現することができる。かくして、この装
置では、設備スケール、運転費用などを十分小ならしめ
てなお、ガス中の油分を極めて効率良く回収することが
できる。

【００１３】

【実施例】以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図１は、この発明方法の実施装置としてのガス
冷却器を例示する縦断面図であり、図中１は、上端開口
を密閉した冷却箱を示す。

【００１４】この冷却箱１は、その上部側壁に油分含有
ガスの導入口２を有するとともに、その底壁３に流下液
滴排出口４を、そして下部側壁にガス排出口５をそれぞ
れ有する。またこの例では、冷却箱１は、それ自身の冷
却のための冷却ジャケットを各壁部に有しており、各壁
部はその内部に、水とすることができる冷媒の循環通路
６を有する。

【００１５】かかる冷却箱１の内部には、上部空間およ
び底部空間を除くその大部分にわたって、水平方向に延
びる複数本の冷媒管路７を配設し、これらの冷媒管路７
を、好ましくは上下方向に千鳥状に位置させる。ところ
で、これらの各冷媒管路７には、これもまた水とするこ
とができる冷媒を、たとえば下方から上方へむけて流動
させることができる。

【００１６】また冷却箱内の冷媒管路間には、伝熱性に
すぐれた熱伝導性薄片８、たとえば切粉を、通気性を十
分に確保した状態で充填して、その熱伝導性薄片８を上
下の通気性網状体９によって保持する。

【００１７】このように構成してなるガス冷却器では、
冷却箱１、冷媒管路７および熱伝導性薄片８の冷却状態
の下で、その冷却箱１の油分含有ガス導入口２から、た
とえば乾留ガスを流入させ、そしてその乾留ガスを、冷
却箱１の底部へ流下させることにより、とくには、十分
大きな吸熱表面積を有する熱伝導性薄片８の作用下で、
前述したように、乾留ガスの効果的な冷却が行われ、こ
れがため、その乾留ガスに含まれる油分の凝縮および、
その凝縮油分の、冷却箱１、冷却管路７および熱伝導性
薄片８への付着のそれぞれがともに効率的に行われるこ
とになる。

【００１８】併せてここでは、乾留ガスが冷却箱１へ流
入するに先立ってそのガス中に生じた凝縮油分もまた、
熱伝導性薄片その他によって有効に吸着されることにな
る。

【００１９】こうして熱伝導性薄片その他に付着した油
分は、その後液滴となって冷却箱１の下部へ流下し、そ
の冷却箱１の底壁３に設けた流下液滴排出口４を経て、
ガス分から分離して回収される。

【００２０】この一方において、冷却箱内で十分に冷却
された乾留ガスは、凝縮油分の全部もしくは大部分を上
述したようにして吸着された後、冷却箱底部のガス排出
口５から排出される。

【００２１】従ってここでは、十分コンパクトなガス冷
却器によって、乾留ガスを効果的に冷却することができ
るとともに、そのガス中の凝縮油分を、ガスから極めて
効率的に吸着分離することができる。

【００２２】図２は、この発明の他の回収方法の実施装
置を例示する縦断面図であり、この装置は、図１で述べ
たガス冷却器11にウィングスプレーヤー12を組み合わせ
たものである。このウィングスプレーヤー12では、ガス
流入口13を開口させたハウジング14の内部に、複数枚の
回転翼15を円板16に取付けて配置し、そして、その円板
16を、軸17を介してハウジング外のモータ18に連結する
ことによって、それらの回転翼15のハウジング内での高
速回転を可能ならしめる。

【００２３】またここでは、それぞれの回転翼15の翼端
と、それらを囲繞するハウジング部分との間に外部ガス
通路19を設けるとともに、ハウジング14の内部で、複数
枚の回転翼15の内周側へガスを導く内部ガス通路20を設
けて、この内部ガス通路20の開度を、それに対して進退
作動されるダンパー21によって、所要に応じて調整可能
ならしめる。ここで、回転翼の内周側にはまた、そこへ
の液滴の流下、噴射などを許容する油液管路22を開口さ
せて、この油液管路22の他端を、ハウジング14の外側に
導き出す。

【００２４】さらにこのウィングスプレーヤー12には、
ハウジング内で分離された液滴とガス分とをそれぞれ別
個に取出すための液滴排出路23およびガス排出路24をハ
ウジング14に設ける。

【００２５】以上のように構成してなるウィングスプレ
ーヤー12のガス流入口13および油液管路22のそれぞれ
を、ガス冷却器11のガス排出口５および流下液滴排出口
４のそれぞれに接続してなるこの装置では、ガス冷却器
11によって、ガス分から効率的に分離された液滴を、油
液管路22によって、ウィングスプレーヤー内、ひいて
は、その回転翼15の内周側に流下させ、また、ガス冷却
器11からのガス分を、ガス流入口13を経て、ウィングス
プレーヤー12の外部ガス通路19および内部ガス通路20の
それぞれへ所要の比率で流入させる。

【００２６】このことによれば、液滴および、内部ガス
通路20を通ったガスは、高速で回転する回転翼15によっ
て増速されて各翼端から外部ガス通路19へ放出され、液
滴はこの放出によって、高速の微細液滴となる。そして
この高速微細液滴は、内外のガス通路20, 19を通るガス
に接触してそれのより一層の冷却をもたらして、そのガ
ス中への極微細な新たな凝縮液滴の発生を促し、併せ
て、その発生液滴および、ガス中に予め存在していたこ
れも極微細な凝縮液滴をそこに吸着する。

【００２７】このようにして油分をより十分に分離され
たガスは、ハウジング14に設けたガス排出路24を通っ
て、また、凝縮油分を吸着して体積の増加した液滴は液
滴排出路23を経てそれぞれ回収されることになる。

【００２８】かくしてこの装置によれば、ガス中の油分
を、ともに効率的な二工程に分けて行うことにより、油
分の分離回収効率を大きく高め得ることはもちろん、装
置のスケール、設備コストおよびランニングコストをい
ずれも極めて小ならしめることができる。

【００２９】

【発明の効果】以上に述べたところから明らかなよう
に、この発明によれば、装置を十分コンパクトなものと
してなお、油分含有ガス中から油分を極めて効率的に分
離回収することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の方法の実施装置を例示する縦断面図
である。

【図２】この発明の他の方法の実施装置を例示する縦断
面図である。

【符号の説明】

１ 冷却箱 ２ 油分含有ガス導入口 ４ 流下液滴排出口 ５ ガス排出口 ７ 冷媒通路 ８ 熱伝導性薄片 11 ガス冷却器 12 ウィングスプレーヤー 13 ガス流入口 14 ハウジング 15 回転翼 16 円板 17 軸 18 モータ 19 外部ガス通路 22 油液管路 23 液滴排出路 24 ガス排出路

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 冷却箱の上部に導入した油分含有ガス
   を、複数本の冷媒管路および、それらの冷媒管路間に充
   填した熱伝導性薄片の間に通過させることによって冷却
   して、ガス中の油分の、冷媒管路および熱伝導性薄片へ
   の凝縮付着をもたらすとともに、凝縮付着した液滴を冷
   却箱の底部に流下させて回収することを特徴とするガス
   中の油分回収方法。
2. 【請求項２】 冷却箱の上部に導入した油分含有ガス
   を、複数本の冷媒管路および、それらの冷媒管路間に充
   填した熱伝導性薄片の間に通過させることによって冷却
   して、ガス中の油分の、冷媒管路および熱伝導性薄片へ
   の凝縮付着をもたらすとともに、ガスそれ自身の冷却を
   もたらして、凝縮付着した液滴を冷却箱の底部に流下さ
   せ、 しかる後、その流下液滴および冷却ガスのそれぞれを、
   回転翼および、その回転翼の外周側に設けたガス通路を
   具えるウィングスプレーヤーに導き、 回転翼の回転中心部から流出させた前記流下液滴を、回
   転翼の翼端からガス通路内へ、高速で、かつ微細液滴化
   させて放出することにより、そのガス通路を通る冷却ガ
   スの一層の冷却をもたらすとともに、冷却ガス中に存在
   する極微細液滴を高速放出微細液滴に吸着させてガスか
   ら分離することを特徴とするガス中の油分回収方法。
3. 【請求項３】 上部に油分含有ガス導入口を、底部に流
   下液滴排出口およびガス排出口をそれぞれ設けた冷却箱
   の内部に、複数本の冷媒管路を水平に配設するととも
   に、それらの冷媒管路間に熱伝導性薄片を充填してなる
   ガス冷却器と、 ガス流入口を開口させたハウジング内に複数枚の回転翼
   を配設し、それらの回転翼をハウジング外の回転駆動手
   段に連結するとともに、回転翼の翼端とハウジングとの
   間にガス通路を形成し、また、複数枚の回転翼の内周側
   に流下液滴を導く油液管路を設けるとともに、液滴およ
   びガス分のそれぞれの排出路をハウジングに設けてなる
   ウィングスプレーヤーとを具え、 前記ガス冷却器の流下液滴排出口およびガス排出口のそ
   れぞれを、ウィングスプレーヤーの前記油液管路および
   ガス流入口のそれぞれに継続してなるガス中の油分回収
   装置。