JPH05262721A - セコステロール類似体 - Google Patents

セコステロール類似体

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JPH05262721A
JPH05262721A JP8596592A JP8596592A JPH05262721A JP H05262721 A JPH05262721 A JP H05262721A JP 8596592 A JP8596592 A JP 8596592A JP 8596592 A JP8596592 A JP 8596592A JP H05262721 A JPH05262721 A JP H05262721A
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エフ. デルーカ ヘクター
Heinrich K Schnoes
ケー. シユノーズ ハインリツヒ
Fan Law Wan
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式 【化1】 (式中Rはメチル、エチル又はプロピルである)を有す
る化合物。 【効果】 抗白血病活性を有する薬剤として用いられる
セコステロール化合物の合成中間体として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は白血病細胞の正常マクロ
ファージへの分化(differentiation) のような悪性細胞
の分化を生起するのに有効な一群のセコステロール化合
物の合成に有用な中間体に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】悪性病
に対する有用な治療法は悪性細胞の正常細胞への分化を
刺激し、それにより悪性転換を阻止及び/又は逆転させ
る化合物を投与することである。すなわち、スダら(米
国特許第4,391,802号)によって1α−ヒドロ
キシビタミンD化合物類(例えば、特に1α,25−ジ
ヒドロキシビタミンD3 及び1α−ヒドロキシビタミン
3 )は、例えば、悪性細胞(特に白血病細胞)の非悪
性マクロファージ(単球)への分化を生起する効能によ
り示される強力な抗白血病活性を有していることが示さ
れた。それ故、これらの化合物はある種の悪性病、特に
白血病の治療に有用である。しかしながら、そのような
治療に用いられた場合、これらの既知の1α−ヒドロキ
シビタミンD化合物はまた非常に強力なカルセミック(c
alcemic)剤であるという欠点、すなわち、腸内カルシウ
ム吸収を刺激して血液カルシウム水準を上げ、骨カルシ
ウム吸収を生じさせるという欠点をもっている。このカ
ルセミック活性は実にこれらの化合物のよく知られた典
型的な機能を表わすものである。さらに、これらの化合
物の細胞分化活性(及び、従って、抗白血病活性)はそ
のカルセミック活性に相関している。例えば、悪性細胞
のマクロファージへの分化を生起するのに最も強力な化
合物である1,25−ジヒドロキシビタミンD3 はまた
カルシウム輸送を刺激する、すなわち血清のカルシウム
水準を上げる最も強力なビタミンD代謝体である。細胞
分化剤として実際に使用するには、この強力なカルセミ
ック活性は悪性細胞の分化に効力を表わすのに必要とさ
れる投与量では治療体に非生理学的な高すぎる血清カル
シウム水準をもたらすことになるから、もちろん好まし
くない副作用である。
【0003】効果的な細胞分化(すなわち、悪性転換の
逆転)が上に述べた好ましくない副作用(強力なカルセ
ミック作用)をもたない新規なセコステロールによって
達成され得ることがここに見出された。本発明はこの新
規なセコステロールの合成中間体を提供するものであ
る。その作用の選択性及び特殊性によりこの新規なセコ
ステロールは悪性細胞分化を達成するのに有用かつ好ま
しい薬剤となるものである。純粋に構造的には、この種
のセコステロールは既知の一部のビタミンD化合物群と
類似性をもっている。しかしながら、本発明の化合物よ
り得られるセコステロールは既知のビタミンD化合物と
は異なり、生体内において標準的なビタミンD活性、す
なわち腸内カルシウム輸送の刺激もしくは骨カルシウム
の流通活性を示さず、従って機能的観点からビタミンD
誘導体として分類することはできない。従来技術の観点
からすれば、これらのセコステロールが白血病細胞の正
常な(非悪性)マクロファージへの分化を生起するのに
著しく有効であると発見されたことは、上述したように
既知のビタミンD関連化合物の強力な細胞分化活性は常
に強力なカルセミック活性に密接に相関していたのであ
るからかえって驚くべき、かつ、予期外のことである。
このように、本発明の化合物から誘導されるセコステロ
ールは上述した既知のビタミンD関連抗白血病剤の欠点
を克服するものであり、白血病のような悪性疾患の抑制
及び治療用の好ましい薬剤であると考えることができ
る。この発見は、これらセコステロールは患者に悪性細
胞の正常細胞への分化を起させるのに十分な投与量を同
時に非生理学的高度かつ有害な血液カルシウム水準にも
たらすことなく投与することができるから悪性疾患治療
に有効な方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は一般式
【0005】
【化2】 (式中Rはメチル、エチル又はプロピルである)で表わ
される化合物を提供するものである。本発明の化合物か
ら誘導され、独特、かつ、今まで知られていなかった活
性パターンを示すセコステロールは以下に示す一般構造
式I又はIIにより特徴づけられる。
【0006】
【化3】 (式中Rは水素、メチル、エチル又はプロピル基であ
り、X1 及びX2 はそれぞれ独立に水素又はアシル基を
表わす。)ここに用いられるアシル基はすべての異性体
を含む炭素原子数1〜6のアルカノイル基又はベンゾイ
ル、又はハロ−、ニトロ−又はアルキル−置換ベンゾイ
ル基のようなアロイル基、又はオキサリル、マロニル、
スクシンノイル、グルタロイル、又はアジポイルのよう
なジカルボキシルアシル基である。アルキル基はすべて
の異性体を含む炭素原子数1〜6の炭素水素基である。
【0007】セコステロール化合物の調製 セコステロールI(R=Hである)の調製方法を下記反
応工程スキームIに示す。
【0008】
【化4】 Rがメチル、エチル又はプロピルである構造式I及びII
のセコステロールは新しい化合物である。そして、構造
の化合物が本発明の化合物である。出発物質として
適しているのは一般構造式のi−エーテルステロイド
であり、式中Rは所望の最終製品に応じてメチル、エチ
ル又はプロピルにすることができる。構造式の化合物
の構造式の5−エンステロイドへの変換は既知の方法
による氷酢酸中の加溶媒分解により達成される。次に5
−エンステロイドはC−7におけるアリル臭素化と脱臭
素化水素反応を順次用いて脱水素化され5,7−ジエン
ステロイド()となり、化合物の酢酸基はけん化さ
れて対応する構造式のアルコールが得られる。アルコ
ールの溶液に紫外線照射するとステロイドの環Bが開
環され最初のセコステロール誘導体(5(10),6,
8−トリエン)が得られる。これは所望により標準的な
ガスクロマトグラフィー法により精製単離することがで
きるが、一般的に最も有利な方法として直接熱的に異性
化して構造式の5,7,10(19)−トリエン化合
物(本発明の化合物)にすることができる。
【0009】続いてこの中間体の所望とされる1α−ヒ
ドロキシル化類似体への転換は米国特許第4,195,
027号及び第4,260,549号に示された一般的
な方法により行うことができる。構造式(プロセスス
キームI)の化合物は先ずトシル化されて3β−トシレ
ート()となり、次にこのトシレートは緩衝メタノー
ル中で加溶媒分解され、構造式で示される6−メトキ
シ−3,5−シクロ−誘導体が作られる。トシレートの
他のアルコール溶媒(例えば、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール)中での加溶媒分解では類似体、6−O
−アルキル−3,5−シクロ中間体が作られる。このア
ルキル基は使用したアルコールのアルキル部分(例え
ば、エチル、プロピル、ブチルなど)から誘導される。
これら化合物の6−O−アルキル−同族体のどれでも
本工程の次の反応用として使用することができる。中間
のヒドロペルオキシド存在下での二酸化セレンによ
る酸化が所望の1α−ヒドロキシ官能基を生じ化合物
が得られる。次にこの中間体を低分子量の有機酸を含有
する媒質中で加溶媒分解し、構造式(X1 =アシル、
1 =H)をもつ3−アシレート及び対応する構造式
(X1 =アシル、X2 =H)のトランス異性体(それ
ぞれのアシル基は加溶媒分解に使用した有機酸から誘導
される)が得られる。これら5,6−シス及び5,6−
トランス3β−アシレート(化合物及び10)はそれ
ぞれが純粋な形で得られるようこの段階で有利に分離さ
れる。次にこれらはけん化(例えばメタノール中の塩
基)に付すことができ対応する遊離ヒドロキシ化合物
(X1 =X2 =H)及び10(X1=X2 =H)が得ら
れる。これとは別に、及び10のモノアシレート又は
遊離ヒドロキシ化合物は通常の既知条件下(例えば、窒
素系溶媒中の酸無水物又はハロゲン化アシル)でアシル
化し、C−1−モノアシル、C−3−モノアシル又はC
−1,3−ジアシル誘導体のうちどちらか所望のものを
作ることができる。これらは構造及び10の化合物
で、X1 =アシル、X2 =H、又はX1 =H、X2 =ア
シル、又はX1 =アシル、X2 =アシル(アシル基は同
じであっても異なっていてもよい)となる化合物であ
る。
【0010】上述した説明及び反応工程スキームから出
発物質の側鎖の性質が最終生成物の側鎖構造を決定する
ことは明らかである。すなわち、出発物質としてRがメ
チルである構造式のステロイドを使用すれば、Rがメ
チルの構造式9a及び10aの生成物が得られる。出発
物質としてRがエチルの化合物はRがエチルの9a
10aの生成物を与え、Rがプロピルのステロイド
を上述した工程で処理すればRがプロピルを表わす生成
9a及び10aが得られる。反応工程スキームI中の
構造式10の5,6−トランス化合物は対応する構造式
の5,6−シス−化合物の生物学的活性類似体として
の用途があるが、当業者公知のトランス、シス異性化工
程により構造式の5,6−シス生成物に転換すること
もできる。
【0011】出発物質の調製 構造式の出発物質(R
=CH3 、CH2 CH3 又はCH2 CH3 CH3 )は従
来の方法によりスチグマステロールから調製することが
できる。すなわち、スチグマステロールをそのi−エー
テル誘導体へ転換し、側鎖の二重結合をオゾン分解的に
開裂し、次にヒドリド還元すれば次に示す構造をもつ既
知の22−アルコールが得られる。
【0012】
【化5】 このアルコールのトシル化に続く22−トシレートのヒ
ドリド還元により直接R=CH3 の構造式の化合物が
得られる。上述の22−トシル中間体をシアン化ナトリ
ウムで処理すると対応する23−ニトリル誘導体が得ら
れる。このニトリルの2段ヒドリド還元により23−ア
ルコールが得られ、これをトシル化後、その23−トシ
ロキシ中間体をもう1度ヒドリド還元すればR=エチル
の構造式の出発化合物が得られる。同様に、上述の2
3−トシロキシ中間体をシアン化ナトリウムで処理して
得られた対応する24−ニトリル誘導体をヒドリド還元
(24−アルコールを得る)後もう1度順次トシル化及
びヒドリド還元すれば、Rがn−プロピルを表わす構造
の化合物が得られる。
【0013】
【発明の効果】本発明のセコステロール類似体は抗白血
病活性を有する薬剤として用いられるセコステロール化
合物の合成中間体として有用である。
【0014】
【実施例】次に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説
明する。これらの例においてアラビヤ数字で識別する生
成物(例えば化合物など)は反応工程スキー
ムにおいて同じ数字をつけた構造に対応する。
【0015】参考例1 3β−アセトキシ−23,24−ジノルコル−5−エン
)の調製 化合物(R=CH3 )(1.26g、3.8ミリモ
ル)の氷酢酸(35ml)溶液を4.5時間70℃に加熱
した。反応混合物を冷却し、氷水中へ注入し、水酸化ナ
トリウム10%水溶液で中和し、クロロホルム(3×1
00ml)で抽出した。クロロホルム抽出物を水(2×5
0ml)、塩化ナトリウム飽和溶液(2×50ml)で順次
洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過後乾固
により化合物(R=CH3 )を0.86g(63%収
率)を得た。 質量スペクトル m/e (相対強度), 358 (M+, 2), 298 (1
00), 283(15), 255 (6), 190 (9), 177 (23); 1H-NMR
(CDCl3), δ0.66 (s, 18-H), 0.81(d,J=7 Hz, 22-H),
0.95(d, J=7.0 Hz, 21-H), 1.02 (s, 19-H), 2.06(s,3-
OCOCH3), 4.59(m,3-H), 5.38(m, 6-H).
【0016】3β−アセトキシ−23,24−ジノルコ
ラ−5,7−ジエン()(R=CH3 )の調製 微粉砕炭酸水素ナトリウム(0.7g、8ミリモル)を
含有する乾燥ヘキサン(50ml)中に(R=CH3
(0.6g、8ミリモル)を溶解し、撹拌しながら窒素
雰囲気下80℃で還流加熱し、1,3−ジブロモ−5,
5−ジメチルヒダントイン(0.24g、0.85ミリ
モル)を添加した。反応を20分間進行させた。反応混
合物は冷却後ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物を直ち
に15mlの乾燥キシレン中に溶解し、キシレン(25m
l)とs−コリジン(0.4g、3.3ミリモル)の混
合物中へ滴加した。混合液は窒素を用いてフラッシング
し、冷却し、ベンゼン(50ml)で希釈し、3%塩酸水
溶液(3×20ml)、炭酸水素ナトリウム飽和溶液(1
×25ml)、水(1×25ml)塩化ナトリウム飽和水溶
液(2×25ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウム
上で乾燥し、ろ過した。溶媒を減圧下で蒸発させた。油
状の残留物を乾燥ジオキサン(40ml)に溶解し、p−
トルエンスルホン酸(0.076g、0.4ミリモル)
を添加した。混合物を窒素を用いてフラッシングし、7
0℃で0.5時間還流処理した。冷却後、水(100m
l)を用いて希釈し、酢酸エチルで抽出(1×70ml、
2×60ml)し、抽出液を炭酸水素ナトリウム飽和溶液
(1×30ml)、塩化ナトリウム飽和溶液(2×30m
l)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、
ろ過し、溶媒を減圧下で蒸発させることにより所望の
5,7−ジエン()(10%酢酸エチル−ヘキサン中
でRf0.29)及び2,4,6−トリエン(10%酢
酸エチル:ヘキサン中でRf0.5)を含有する油を得
た。10%酢酸エチル−ヘキサンを用いる分取TLCに
より約43%の収率で(R=CH3 )0.26gを得
た。 UV (C2H5OH) λmax 282, 293, 272, 262 nm ; 質量スペ
クトル : m/e (相対強度), 356 (M+, 5), 296 (100), 2
81 (59), 253 (56), 211 (29), 158 (75), 143(74) ; 1
H-NMR (CDCl3):0.62 (s, 18-H), 0.88 (d, J=7.0 Hz, 2
2-H), 0.95 (s, 19-H), 0.96 (d, J=7.0 Hz, 21-H), 2.
04 (s, 3-OCOCH3), 4.7 (m, 3-H), 5.4(m, 7-H), 5.58
(m, 6-H).
【0017】3β−ヒドロキシ−23,24−ジノルコ
ラ−5,7−ジエン()(R=CH3 )の調製 10%水酸化ナトリウムメタノール溶液を(R=CH
3) (259mg:25%酢酸エチル−ヘキサンでRf0.
56)のエーテル(15ml)溶液中へ撹拌下窒素雰囲気
下で5分以上の時間をかけて滴加した。反応を23℃で
進行させ、TLCで監視した。反応は35分間内で終了
した。反応混合物はエーテル(100ml)で希釈し、水
(30ml)を添加した。層を分離させ、水の層をエーテ
ル(2×50ml)で抽出した。エーテル抽出液は合体
し、水(2×30ml)、塩化ナトリウム飽和溶液(2×
30ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥
し、ろ過後減圧下で蒸発乾固させ、25%酢酸エチル/
ヘキサンを用いる分取TLCによりを200mg(77
%収率)得た。 UV (C2H5OH) : λmax 282, 293, 272, 262 nm; 質量ス
ペクトル : m/e (相対強度), 314 (M+, 85), 296 (12),
281 (100), 261 (6), 255 (60), 211 (22), 171 (30),
143 (78), 1H-NMR (CDCl3) : δ 0.62 (s, 18-H), 0.8
7 (d, J=7.0 Hz, 22-H), 0.95 (s, 19-H), 0.97 (d, J=
7.0 Hz, 21-H), 3.63 (sh, 3-H), 5.38(m, 7-H), 5.58
(m, 6-H).
【0018】実施例1 セコステロール(R=CH3 )の調製 ベンゼン−エーテル(1:4)混合液(100ml)に溶
解した5,7−ジエン()(36mg)をビコールフィ
ルターつきハノビア608A石英−中圧水銀上記紫外線
ランプを装備し、2重壁の水冷石英浸液ウエルをもつジ
ャケット中に入れた。混合物を4.5分間照射した。照
射中連続的に窒素による系のパージを行った。次に溶媒
を減圧下で除去し、残留物を乾燥エタノール中に再溶解
した。窒素を用いてフラッシングした後窒素雰囲気下で
3時間70℃の加熱還流処理した。その後冷却し、減圧
下で濃縮した。20%酢酸エチル−ヘキサンを用いるT
LC精製により(R=CH3 )を31.7%収率(1
1.4mg)で得た。 UV (C2H5OH) λmax 264 nm; 質量スペクトル : m/e (相
対強度) 314 (M+, 14), 296 (21), 281 (4), 271 (2),
253 (3), 136 (82), 118(100); 1H-NMR(CDCl3): δ 0.5
4 (s, 18-H), 0.85 (d, J=7.0 Hz, 22-H), 0.94 (d, J=
0.7 Hz, 21-H),3.93 (m, 3-H), 4.82 (m (シャープ),
19 (Z)-H), 5.04 (m (シャープ), 19(E)-H), 6.02
(d, J=12.0 Hz, 7-H), 6.22 (d, J=12.0 Hz, 6-H).
【0019】参考例2 トシレート(R=CH3 )の調製 構造式(15mg、47ミリモル、30%酢酸エチル−
ヘキサン中Rf0.28)の化合物の乾燥ピリジン
(0.5ml)溶液を窒素雰囲気下5℃においてp−トル
エンスルホン酸クロリド(22mg、117ミリモル)で
24時間処理した。反応生成物は氷水を用いて急冷し、
混合物をエーテル(3×30ml)で抽出した。抽出液は
合体し、3%塩酸水溶液(2×30ml)、炭酸水素ナト
リウム飽和水溶液(1×50ml)、塩化ナトリウム飽和
水溶液(1×50ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシ
ウム上で乾燥し、減圧下で濃縮することにより20mgの
トシレート(R=CH3 )(30%酢酸エチル−ヘキ
サン中でRf0.6)を得た。
【0020】3,5−シクロ−誘導体(R=CH3
の調製 粗トシレート(R=CH3 )(20mg、0.41ミリ
モル、25%酢酸エチル−ヘキサン中でRf0.5)を
撹拌下の微粉砕炭酸水素ナトリウム(200mg、2.4
ミリモル)の無水メタノール(20ml)溶液中に添加し
た。混合物を窒素雰囲気下で55℃加熱還流処理を8時
間行い、冷却し、エーテル(100ml)で希釈し、水
(3×30ml)、塩化ナトリウム飽和水溶液(1×30
ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、
ろ過後溶媒を減圧下蒸発させた。粗混合物を10%酢酸
エチル−ヘキサンを用いる分取TLCでクロマトグラフ
ィー処理して、50%収率で(R=CH3 )(7mg、
10%酢酸エチル−ヘキサン中Rf0.66)を得た。 質量スペクトル : m/e (相対強度), 328 (M+, 14), 296
(15), 281(7), 253 (37), 159 (28), 135 (34), 145
(30); 1H-NMR (CDCl3):δ 0.55 (s, 18-H), 0.85 (d, J
=7.0 Hz, 22-H), 0.93 (d, J=7.0 Hz, 21-H), 3.26 (s,
6(R)-OCH3), 4.18 (d, J=10 Hz, 6-H), 4.89 (m (シ
ャープ), 19(Z)-H), 5.0 (d, J=10 Hz, 7-H), 5.06 (m
シャープ)
【0021】1α−ヒドロキシ−化合物(R=CH
3 )の調製 t−ブチルヒドロペルオキシド(7μl、0.05ミリ
モル)を2酸化セレン(SeO2 ;1.1mg、10マイ
クロモル)の1%乾燥ピリジン−塩化メチレン(5ml)
中懸濁物へ窒素雰囲気下で添加した。混合物は23℃で
0.5時間撹拌した後、さらに10mlの1%乾燥ピリジ
ン−塩化メチレン溶液を用いて希釈した。混合物は氷浴
上で冷却し、乾燥塩化メチレン中の中間体(R=CH
3 )(7mg、21マイクロモル、25%酢酸エチル−ヘ
キサン中Rf0.62)を添加した。反応をTLCで監
視した。23℃で16分間反応を行った後、水酸化ナト
リウム10%溶液(20ml)を添加して反応を急停止さ
せた。混合物はエーテル(100ml)で希釈し、相分離
させ、エーテル相を水酸化ナトリウム10%水溶液(2
×25ml)、水2×20ml)、塩化ナトリウム飽和水溶
液(2×20ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウム
上で乾燥した。ろ過後減圧下で溶媒を蒸発させた。残留
物を25%酢酸エチル−ヘキサンを使用して分取TLC
処理し、1α−ヒドロキシ−誘導体(R=CH3
(3mg、25%酢酸エチル−ヘキサン中Rf0.15)
を41%収率で得た。 質量スペクトル : m/e (相対強度) : 344 (M+, 34), 31
2 (77), 271 (42), 177(567), 135 (100), 1H-NMR (CDC
l3): δ 0.55 (s, 18-H), 0.85 (d, J=7.0 Hz,22-H),
0.94 (d, J=7.0 Hz, 21-H), 3.26 (s, 6(R)-OCH3), 4.1
7 (m(シャープ),6-H), 4.22 (m (シャープ), 1-H), 4.9
4 (d, J=9 Hz, 7-H), 5.16 (d, J=2.2 Hz, 19(Z)-H),
5.24 (d, J=2.2 Hz, 19(E)-H).
【0022】5,6−シス及びトランスセコステロール
3β−アセテート9a及び10a(X1 =CH3 CO、
2 =H)の調製 (R=CH3 )(3mg)の氷酢酸(0.5ml)溶液を
窒素雰囲気下で20分間55℃に加熱し、冷却し、氷冷
却した炭酸水素ナトリウム溶液(15ml)の上に注ぎ込
み、エーテル(3×30ml)で抽出した。エーテル抽出
物は合体し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(1×20
ml)、水(2×20ml)、塩化ナトリウム飽和液(1×
20ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥
し、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物は35%酢酸エ
チルーヘキサン中でクロマトグラフィー処理(多重溶
離、4回)して0.8mgの5,6−シス−3β−アセテ
ート(9a)と0.45gの5,6−トランス−3β−
アセテート(10b)をそれぞれ得た。 アセテート9a (X1=CH3CO, X2=H):UV (C2H5OH) : λ
max 264nm,λmin 228 nm, 質量スペクトル : m/e (相対
強度) 372 (M+, 7), 312 (40), 269 (10), 189 (15), 1
34 (100) ; 1H-NMR (CDCl3) : δ 0.54 (s, 18-H), 0.8
5 (d, J=7.0 Hz,22-H), 0.92 (d, J=7.0 Hz, 21-H), 2.
02 (s, 3-OCOCH3), 4.4 (ブロード, 1-H), 5.01 (m
(シャープ), 19(Z)-H), 5.21(m, 3-H), 5.33 (m( シャ
ープ), 19 (E)-H, 6.0 (d, J=12.0 Hz, 7-H), 6.34 (d,
J=12.0 Hz, 6-H). アセテート10a (X1=CH3CO, X2=H): UV (C2H5OH) :λ
max 273 nm, λmin 228 nm; 質量スペクトル : m/e (相
対強度) 372 (M+, 3), 328 (4), 312 (14), 269 (6), 1
77 (37), 149 (58), 135 (100) ; 1H-NMR(CDCl3); δ
0.54 (s, 18-H),0.85 (d, J=7.0 Hz, 22-H), 0.92 (d,
J=7.0 Hz, 21-H), 2.02 (s, 3-OCOCH3),4.4 (ブロード,
1-H), 4.99(m (シャープ), 19(Z)-H), 5.13 (m (シャ
ープ), 19(E)-H), 5.8 (d, J=12.0 Hz, 7-H), 6.58 (d,
J=12.0 Hz, 6-H).
【0023】1α−ヒドロキシ−セロステロール9a
(X1 =X2 =H)の調製 上記の実験で得られた3β−アセテート9aのエーテル
溶液(10ml)を水酸化ナトリウムの10%メタノール
溶液を用い、窒素雰囲気下23℃において0.5時間加
水分解した。混合物は水(10ml)で希釈し、エーテル
で抽出(3×50ml)した。エーテル抽出物は合体して
水(2×10ml)、塩化ナトリウム飽和溶液(2×10
ml)で順次洗浄し、無水マグネシウム上で乾燥し、ろ過
し、減圧下で蒸発乾固させた。残留物は5%イソプロパ
ノール−ヘキサンを用い、265nmでゾルバックス−シ
ルの分析用カラム(4.6mm×25cm)上でのHPLC
により精製し、9a(X1 =X2 =H)を得た。高分解
能質量スペクトル分析:計算値(C22H34O2 として) 330.
2559、測定値330.2541 ; UV (C2H5OH): λmax 264 nm,
λmin 227 nm;質量スペクトル m/e (相対強度) 330
(M+, 55), 312 (71), 287 (7), 269 (7),251 (5), 189
(21), 152 (73), 134 (100) ; 1H-NMR (CDCl3) : δ 0.
54 (s, 18-H), 0.85 (d, J=7.0 Hz, 22-H), 0.93 (d, J
=7.0 Hz, 21-H), 4.23 (m, 3-H),4.42 (m, 1-H), 5.0
(s, 19(Z)-H), 5.34 (s, 19(E)-H), 6.02 (d, J=12.0 H
z,7-H), 6.39 (d,J=12.0Hz, 6-H).
【0024】5,6−トランス−類似体10a(X1
2 =H)の調製 同じ方法で3βアセテート(10a)を加水分解し、5
%イソプロパノール−ヘキサンを用い、273nmでの
HPLCにより精製して10a(X1 =X2 =H)を得
た。高分解能質量スペクトル分析:計算値 (C22H34O2)
330.2559、測定値 330.2532 : UV(C2H5OH): λmax 273
nm, λmin 227 nm ; 質量スペクトル :m/e (相対強度),
330 (M+, 69), 312 (48), 287 (21), 269 (18), 251
(15),189 (31), 152 (76), 134 (100).
【0025】参考例3 3β−アセトキシ−24−ノルコル−5−エン(,R
=エチル)の調製 (R=エチル)(0.5g:25%酢酸エチル−ヘキ
サン中Rf0.8)の氷酢酸(7ml)溶液を70℃に
4.5時間加熱した。反応混合物は冷却し、氷水中へ注
ぎこみ、水酸化ナトリウム10%水溶液を用いて中和
し、クロロホルムで抽出(3×70ml)した。有機抽出
物は水(2×25ml)、塩化ナトリウム飽和溶液(2×
25ml)で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウム上で
乾燥した。これをろ過し、減圧下で蒸発乾固させ、
(R=エチル)(25%酢酸エチル−ヘキサン中Rf
0.18)を収率約90%で含有する残留物を得た。こ
の物質はその後精製することなく使用した。 質量スペクトル: m/e (相対強度) 372 (M+,1), 312
(100), 298 (38), 283(7), 255 (12), 191 (30) ; 1H-
NMR (CDCl3 ): δ 0.69 (s, 18-H), 0.82 (t,J=7.5 Hz,
23-H), 0.9 (d, J=7.0 Hz, 21-H), 1.05(s,19-H), 2.0
4 (s,3-OCOCH3), 4.58 (m,3-H), 5.38 (d,J=4 Hz,6-H).
【0026】3β−アセトキシ−24−ノルコラ−5,
7−ジエン()(R=エチル)の調製 (R=エチル)(270mg、0.72ミリモル)の微
粉砕炭酸水素ナトリウム(600mg、7.14ミリモ
ル)含有ヘキサン(50ml)溶液を撹拌しながら窒素雰
囲気下80℃で加熱還流処理し、その後1,3−ジブロ
モ−5,5−ジメチルヒドラントイン(125mg、0.
43ミリモル)を添加した。反応を80℃で20分間進
行させ、その後冷却し、ろ過した。ろ液は真空乾固させ
た。残留物は直ちに乾燥キシレン(5ml)に溶解し、キ
シレン(30ml)とS−コリジン(174mg、144ミ
リモル)の混合液中へ滴加した。次に混合物を窒素でフ
ラッシングし、145℃で1.5時間還流処理した。次
に冷却し、、ベンゼン(100ml)で希釈し、塩酸3%
溶液(3×20ml)、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液
(1×20ml)、塩化ナトリウム飽和溶液(2×20m
l)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、
ろ過し、減圧下で蒸発乾固させた。残留物をジオキサン
(20ml)に溶解し、p−トルエンスルホン酸(60m
g、0.32ミリモル)を添加した。混合物は窒素を用
いてフラッシングし、70℃で30分間還流処理し、冷
却し、水(10ml)で希釈し、酢酸エチルで抽出(1×
100ml、2×50ml)した。抽出有機相を炭酸水素ナ
トリウム飽和水溶液(1×25ml)、水(1×25m
l)、塩化ナトリウム飽和溶液(2×20ml)で順次洗
浄した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。これを
ろ過し、減圧下で蒸発乾固させた。残留物を10%酢酸
エチル−ヘキサンを用い分取TLCによるクロマトグラ
フィー処理し、(R=エチル)を148mg(54%)
得た。 UV(C2H5OH): λmax 282 nm, 293, 272, 262,質量スペク
トル: m/e (相対強度) 370 (M+, 4) ,328 (3), 310
(100), 296 (22), 253 (14), 158 (45) , 1H-NMR (CDCl
3) : δ 0.63 (s, 18-H), 0.84 (t, J=7.5 Hz, 23-H),
0.95 (d, J=7.0Hz, 21-H), 0.96 (s, 19-H) ,2.04 (s,
3-OCOCH3), 4.71 (m,3-H), 5.4 (m, 7-H), 5.58(m, 6-
H).
【0027】3β−ヒドロキシ−24−ノルコラ−5,
7−ジエン()(R=エチル)の調製 水酸化ナトリウムのメタノール溶液(10%溶液)を
(130mg、0.35ミリモル、15%酢酸エチル−ヘ
キサン中Rf0.4)のエーテル(20ml)溶液へ窒素
雰囲気中、撹拌下で滴加した。反応を23℃で40分間
進行させた。次にエーテル(100ml)で希釈し、水
(20ml)を加えて相を分離させた。次に水相をエーテ
ルで抽出(2×60ml)し、エーテル抽出物を合体し、
水(2×30ml)、塩化ナトリウム飽和水溶液(2×3
0ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥
し、ろ過し、減圧下で蒸発乾固させた。残留物を30%
酢酸エチル−ヘキサン中で分取TLCによるクロマトグ
ラフィー処理し、(R=エチル)(15%酢酸エチル
−ヘキサン中Rf0.09)を103mg(89%)得
た。 UV (C2H5OH) : λmax 282, 293, 272, 262 nm;質量スペ
クトル: m/e (相対強度),328 (M+,100),314 (16), 3
10 (8), 295 (86), 281 (15), 269 (45), 255(13), 1H-
NMR (CDCl3): δ0.63 (&,18-H), 0.84 (t, J=7.5 Hz, 2
3-H), 0.94 (d, J=7.0 Hz, 21-H), 0.96 (s, 19-H), 3.
64 (m, 3-H), 5.38 (m, 7-H), 5.57 (m, 6-H).
【0028】実施例2 セコステロール類似体(R=エチル)の調製 1:4乾燥ベンゼン−エーテル(150ml)中の5,7
−ジエン(R=エチル)(125mg)を上述の例1の
場合と同じ方法で25分間照射した。溶媒を減圧下で蒸
発させた。粗残留物を直ちに窒素飽和した乾燥エタノー
ル(30ml)に溶解した。溶液は窒素雰囲気下70℃で
3時間還流処理し次いで冷却し、減圧下で濃縮した。3
0%酢酸エチル−ヘキサン溶液でシリカゲルプレートを
用いる分取TLCによる精製で(R=エチル)(30
mg)を約24%収率で得た。UV (C2H5OH):λmax 264 n
m, λmin 227 nm; 質量スペクトル: m/e (相対強度)
328 (M+, 23), 310 (3), 295 (10), 271 (9), 253(11),
136 (81), 118 (100) ; 1H-NMR (CDCl3): δ0.55 (s,
18-H), 0.83 (t, J=7.5 Hz, 23-H), 0.92 (d,J=7.0 Hz,
21-H), 3.93 (ブロード, 3-H), 4.81 (m , (シャー
プ), 19(Z)-H),5.01 (m (シャープ), 19(E)-H, 6.02
(d, J=12.5 Hz, 7-H), 6.22 (d, J=12.5Hz, 6-H).
【0029】参考例4 トシレート(R=エチル)の調製 (R=エチル)(15mg、0.045ミリモル:25
%酢酸エチル−ヘキサン中Rf0.23)の乾燥ピリジ
ン(1ml)溶液を5℃窒素雰囲気下でp−トルエンスル
ホン酸クロリド(20mg、0.105ミリモル)を用い
24時間処理した。反応物は氷水を用いて急冷し、混合
物はエーテルで抽出(3×50ml)した。有機相は合体
し、水(2×20ml)、塩酸3%水溶液(2×20m
l)、炭酸水素ナトリウム飽和溶液(2×20ml)及び
塩化ナトリウム飽和溶液(1×20ml)で順次洗浄し、
無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、減圧下濃縮により9
5%以上の純度で22mgのトシレート(R=エチル)
を得た。 質量スペクトル:m/e (相対強度)484 (M+,8),310 (7
2), 296 (18), 295 (20), 281 (10),253(39), 158 (6
5), 143 (47), 118(100).
【0030】3,5−シクロ−誘導体(R=エチル)
の調製 トシレート(R=エチル)(22mg、0.045ミリ
モル;25%酢酸エチル−ヘキサン中Rf0.54)を
微粉砕炭酸水素ナトリウム(60mg、0.71ミリモ
ル)の無水メタノール(20ml)懸濁液へ撹拌下で添加
した。混合物は窒素雰囲気下で55℃に8時間加熱し、
冷却し、エーテル(150ml)で希釈し、水(2×30
ml)及び塩化ナトリウム飽和溶液(2×30ml)で洗浄
した。無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、減圧
下で濃縮して約68%収率で粗生成物(E=エチル)
(25%酢酸エチル−ヘキサン中Rf0.6)を得た。 質量スペクトル: m/e(相対強度)342(M+,10)328 (1
2), 310 (11), 295 (10), 253 (8), 149(41), 136 (6
7), 118 (100).
【0031】1α−ヒドロキシ−3,5−シクロ−誘導
(R=エチル)の調製 t−ブチルヒドロペルオキシド(14.0μl、0.1
ミリモル)を乾燥1%ピリジン−塩化メチレン(10m
l)中の2酸化セレン(2.4mg、0.022ミリモ
ル)懸濁液へ添加し、氷浴上で冷却した。乾燥塩化メチ
レン(5ml)中のシクロビタミン(R=エチル)(1
5mg、0.044ミリモル;25%酢酸エチル−ヘキサ
ン中Rf0.6)を添加した。反応をTLCで監視し4
0分間進行させ、水酸化ナトリウム10%溶液(10m
l)を添加し反応物を急冷した。混合物をエーテル(1
50ml)で希釈し、相分離を行い、エーテル相を水酸化
ナトリウム10%溶液(2×30ml)、水(2×30m
l)、塩化ナトリウム(2×30ml)で順次洗浄し、無
水硫酸マグネシウム上で乾燥した。それをろ過し、減圧
下で濃縮した。25%酢酸エチル−ヘキサンを用いる分
取TLCにより約50%収率で(R=エチル)(8m
g、25%酢酸エチル−ヘキサン中でRf0.18)を
得た。 質量スペクトル: m/e(相対強度)358 (M+,21), 326
(48), 285 (35) ,269(15), 191 (50), 135 (100);1H-NM
R (CDCl3): δ 0.55 (s, 18-H), 0.85 (t, J=7.5 Hz, 2
3-H), 0.92 (d, J=7.0 Hz,21-H), 3.27 (s, 6R-OCH3),
4.18 (d, J=10Hz, 6-H), 4.22 (m, 1-H), 4.95(d, J=10
Hz, 7-H), 5.16 (d, J=2.0 Hz, 19(Z)-H), 5.26 (d, J
=2.2 Hz, 19(E)-H).
【0032】5,6−シス及びトランスセコステロール
3β−アセテート9b及び10b(X1 =CH3 CO、
2 =H)の調製 (R=エチル)(8mg)の氷酢酸(0.5ml)溶液を
窒素雰囲気下55℃で15分間加熱し、冷却し、氷冷し
た炭酸水素ナトリウム溶液(15ml)上へ注入した。混
合物をエーテル(3×30ml)で抽出し、エーテル抽出
物を炭酸水素ナトリウム飽和溶液(1×20ml)、水
(2×20ml)、塩化ナトリウム飽和水溶液(1×20
ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、
ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、30%酢酸エチル−ヘキ
サン(×2)での分取TLCによりクロマトグラフィー
処理して5,6−シス−3β−アセテート9b(X1
CH3 CO、X2 =H)(25%酢酸エチル−ヘキサン
でRf0.13)及び5,6−トランス−3β−アセテ
ート10b(X1 =CH3 CO、X2 =H)(25%酢
酸エチル−ヘキサンでRf0.11)を得た。生成物は
さらに1%イソプロパノール−ヘキサン中でゾルバック
ス−シルカラム(4.6mm×25cm)を用いるHPLC
で精製し、アセテート9b及び10bをそれぞれ28.
9%及び10.4%収率で得た(保持容積39ml及び4
6.5ml)。
【0033】3β−アセテート9b(X1 =CH3
O、X2 =H)の調製 UV(C2H5OH)λmax 264 nm, λmin 226 nm; 質量スペクト
m/e(相対強度)386 (M+, 17), 326 (45), 308 (8),
269 (16), 203 (17), 134 (100),1H-NMR (CDCl3):δ
0.55 (s, 18-H), 0.84 (t, J=7.5 Hz, 23-H), 0.92(d,
J=7.0 Hz, 21-H), 2.04(s, 3-OCOCH3), 4.41(m, 1-H),
5.02 (m( シャープ), 19(Z)-H), 5.22 (m, 3-H), 5.35
(m(シャープ), 19(E)-H) 6.03 (d, J=12.5 Hz, 7-H),
6.35 (d, J=12.5 Hz, 6-H). 3β−アセテート10b(X1 =CH3 CO、X2
H)の調製 UV(C2H5OH)λmax 273 nm, λmin 226 nm; 質量スペクト
m/e(相対強度):386 (M+, 12),326 (64), 312
(8), 297(9), 279 (4), 269 (21), 203 (28), 134 (10
0); 1H-NMR (CDCl3) : δ0.56 (s, 18-H), 0.85 (t, J=
7.5 Hz, 23-H), 0.93 (d, J=7.0 Hz, 21-H), 2.30 (s,
3-OCOCH3),4.49(m, 1-H), 5.0 (m ( シャープ), 19 (Z)
-H), 5.14 (m (シャープ), 19 (E)-H), 5.26 (m, 3-
H),5.82(d, J=12.5 Hz, 7-H), 6.58 (d, J=12.5 Hz,6-
H).
【0034】1α−ヒドロキシ−セコステロール9b
10b(X1 =X2 =H)の調製 3β−アセテート9b(X1 =CH3 CO、X2 =H)
(1.5mg、20%酢酸エチル−ヘキサン中Rf0.3
1)を水酸化ナトリウムの10%メタノール(2ml)溶
液を用い、窒素下23℃で0.5時間加水分解処理し
た。混合物はエーテル(50ml)で希釈し、水(5ml)
を添加した。相を分離し、水の層をエーテル(2×30
ml)で抽出した。エーテル抽出液を合体し、水(2×1
0ml)、塩化ナトリウム飽和液(2×10ml)で順次洗
浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ過し、減圧
下で濃縮して9b(X1 =X2 =H)(20%酢酸エチ
ル−ヘキサン中Rf0.06)を得た。 同様にアセテート10b(X1 =CH3 CO、X2
H)(0.75mg、40%酢酸エチル−ヘキサン中Rf
0.26)を加水分解して5,6−トランス−異性体
0b(R=エチル、X1 =X2 =H)(40%酢酸エチ
ル−ヘキサン中Rf0.06)を得た。両生成物は順次
60%酢酸エチル−ヘキサンによる分取TLC、7%イ
ソプロパノール−ヘキサンを用いるゾルバックス−シル
分析用カラム(4.6mm×2.5cm)上のHPLC及び
90%メタノール−水を用いるゾルバックス−ODS分
析用カラム(4.6mm×25cm)上の逆相HPLC(R
PHPLC)によるクロマトグラフィー処理にかけた。
【0035】化合物9b(X1 =X2 =H)の調製 UV(C2H5OH): λmax 264 nm, λmin 227 nm; 高分解能質
量分析: 計算値(C23H36O2) 344. 2715; 測定値 344. 27
07; 質量スペクトル: m/e(相対強度) 344 (M+,23), 326
(12), 287 (7), 269 (6), 251 (5), 203 (9), 152
(7), 134 (100);1H-NMR (CDCl3): δ 0.52 (s,18-H),
0.82 (t, J=7.5 Hz, 23-H),0.90 (d, J=7.0 Hz, 21-H),
4.29(m, 3-H), 4.42 (m,1-H), 4.99 (m(シャープ),19
(Z)-H), 5.31 (m ( シャープ), 19(E)-H), 6.0(d, J=1
2.5 Hz, 7-H), 6.37 (d, J=12.5 Hz,6-H). 5,6−トランス−化合物10b(X1 =X2 =H)の
調製 UV (C2H5OH) : λmax 273 nm, λmin 226 nm; 高分解能
質量分析: 計算値( C23 H36 O2) 344. 2715: 測定値 3
44. 2705: 質量スペクトル: m/e (相対強度)344 (M+,
12), 326 (6), 287 (4), 269 (4), 251 (3), 203 (6),
152 (30), 134(100): 1H-NMR (CDCl3): δ 0.56 (s, 1
8-H), 0.84 (t, J=7.5 Hz, 23-H), 0.91 (d, J=7.0 Hz,
21-H), 4.22 (m(シャープ), 3-H), 4.48 (m ,(シャ
ープ),1-H), 4.96 (s, 19(Z)-H) 、5.12 (m (シャー
プ) ,19(E)-H), 5.88 (d, J=12.5 Hz, 7-H), 6.57 (d,
J=12.5 Hz, 6-H). 実施例3 化合物9c及び10c の調製 6β−メトキシ−3α,5−シクロ−5α−コラン(化
合物、R=プロピル)について、反応を上記の参考例
3と同様に行い、構造式の化合物(R=プロピル)を
得、これを実施例2と同様の反応条件で処理して構造式
の化合物(R=プロピル)を得た。なお、これは前記
と類似実験条件下で構造式9cの(X1=X2 =H)の
1α−ヒドロキシ−セコステロール類似体及び構造式
0c(X1 =X2 =H)の対応する5,6−トランス−
化合物とすることができた。
【0036】参考例5 出発物質 化合物(R=メチル)の合成 (a)(22E)−6β−メトキシ−3α,5−シクロ
−5α−スチグマスト−22−エン(スチグマステリル
i−メチルエーテル) 新たに結晶化させたp−トルエンスルホン酸クロリド
(20g、0.10モル)をスチグマステロール(25
g、0.06モル:30%酢酸エチル−ヘキサン中Rf
0.26)の乾燥ピリジン(250ml)溶液中へ添加し
た。反応混合液は23℃で24時間撹拌を続け、その後
炭酸水素ナトリウム飽和水溶液中へ徐々に注入した。沈
殿物をろ過により集め、中性になるまで水で数回洗浄
し、減圧下で1夜乾燥し、93.2%の収率でスチグマ
ステリル−3β−トシレート(32.06g)を得た。
このトシレートは精製することなくi−エーテルに転換
した。トシレート(32g、0.06モル)のクロロホ
ルム(100ml)溶液を還流下の微粉砕炭酸水素ナトリ
ウム(30g、0.36モル)のメタノール(400m
l)溶液中へ徐々に添加した。混合液は還流下で14時
間撹拌し、冷却し、約100mlまで濃縮した。ヘキサン
(300ml)を加え、得られた混合液を水(100ml)
で洗浄した。相分離し、水層を再びヘキサン(2×10
0ml、1×100ml)で抽出した。有機層を合体し、水
(2×100ml)、塩化ナトリウム飽和水溶液(2×1
00ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥
し、ろ過し、減圧下で濃縮して所望のi−メチルエーテ
ル(10%酢酸エチル−ヘキサン中でRf0.52)を
含有する粗油24gを得た。 質量スペクトル; m/e(相対強度) 426 (M+ 87), 411
(34), 394 (54), 371(59), 368 (19),351 (21), 255 (6
1), 83 (100). (b)6β−メトキシ−3α,5−シクロ−23,24
−ジノール−5α−コラン−22−オール
【0037】上記の方法で得たスチグマステリルi−エ
ーテル(5.0g、11.7ミリモル、30%酢酸エチ
ル−ヘキサン中でRf0.64)の1%ピリジン−塩化
メチレン(100ml)溶液をドライアイス−アセトン浴
上で撹拌しながら−69℃に冷却し、過剰のオゾンによ
り青白い青色が持続するようになるまでウエルバック型
式T816のオゾン発生機を用いて発生させたオゾンで
処理した。混合液は酸素で5分間パージし、23℃に加
温した。ホウ化水素ナトリウム(0.7g、18.4ミ
リモル)のエタノール溶液を添加した。2時間後、反応
混合液をエーテル(200ml)で希釈した。水(100
ml)を添加し、相分離し、水の層をエーテル(2×20
0ml)で抽出した。合体した有機分を塩化ナトリウム飽
和水溶液(2×50ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウ
ム上で乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発乾固させた。残留
物をシリカゲルカラム上で分離し、20%酢酸−ヘキサ
ンを用いる溶離により所望の22−アルコール誘導体を
65%収率で26gを得た。 質量スペクトル: m/e(相対強度) 346 (M+, 75), 331
(52), 314 (89), 291(100), 288 (30); 1H-NMR (CDC
l3): δ0.44 (m,3-H), 0.65 (m, 4-H), 0.75 (s, 18-
H), 1.04 (s, 19-H), 1.08 (d,J=7.0 Hz, 21-H), 2.77
(m, シャープ, 6-H), 3.32(s, 6-OCH3).
【0038】(c)6β−メトキシ−3α,5−シクロ
−23,24−ジノル−5α−コラン−22−イルトシ
レート p−トルエンスルホン酸クロリド(2.0g、11ミリ
モル)を上述の実験で得た22−アルコール(1.9
g、5.5ミリモル)の乾燥ピリジン(35ml)溶液中
へ添加した。反応混合液は23℃で18時間撹拌し、氷
冷した炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(50ml)の中に
注入し、酢酸エチルで抽出(2×150ml、1×100
ml)した。有機抽出液を水(3×50ml)、塩化ナトリ
ウム飽和液(2×50ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグ
ネシウム上で乾燥した。次にろ過し、減圧下で蒸発乾固
させた。残留物を減圧下で1夜乾燥し、22−トシレー
トを91.0%収率で2.2gを得た。 質量スペクトル: m/e(相対強度) 500 (M+, 69), 485
(49), 468 (100), 445 (79), 442 (20), 296 (20), 27
3 (24). (d)6β−メトキシ−3α,5−シクロ−23,24
−ジノル−5α−コラン(化合物、R=メチル) 無水エーテル(100ml)中の22−トシレート(2.
15g、4ミリモル)へ0.22mgのリチウムアルミニ
ウム水素化物(LiAlH、0.22mg、6ミリモル)
を添加した。反応混合液を10時間還流処理し、冷却
し、塩化ナトリウム飽和水溶液で過剰の反応物を分解し
た。混合液をろ過し、層を分離した。水の層をエーテル
(2×100ml)で逆抽出した。エーテル分を合体し、
水(1×50ml)、塩化ナトリウム飽和溶液(2×50
ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、
蒸発乾固させ、真空下で乾燥して96.0%収率で化合
(R=メチル)を得た。 質量分析: m/e(相対強度) 330 (M+, 41), 315 (4
6), 298 (100), 283 (21), 275 (81), 272(18), 177 (4
5); 1H-NMR(CDCl3):δ : 0.40 (m, 3-H), 0.64 (m, 4-
H), 0.72 (s, 18-H), 0.85 (d, J=7.0 Hz, 22-H), 0.92
(d, J=7.0 Hz, 21-H), 2.77 (m(シャープ) 6-H), 3.
35 (m, 6-OCH3).
【0039】参考例6 出発物質、化合物(R=エチル)の調製 (a)6β−メトキシ−3α,5−シクロ−24−ノル
−5α−コラン−23−ニトリル 上記の参考例5(c)で得た22−トシレート(10
g、22ミリモル、25%酢酸エチル−ヘキサン中Rf
0.53)のジメチルスルホキシド(200ml)溶液へ
シアン化ナトリウム(1.95g、40ミリモル)を添
加した。混合物を窒素雰囲気、80℃で2時間撹拌した
後、冷却し、室温で1時間撹拌した。次いで氷冷した塩
化アンモニウム飽和液(250ml)上へ注入し、エーテ
ル(3×450ml)で抽出した。合体したエーテル分を
水(3×200ml)、塩化ナトリウム飽和溶液(2×2
00ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥
し、ろ過し、減圧下で濃縮して所望の23−ニトリル誘
導体(粗生成物7.05g、25%酢酸エチル−ヘキサ
ン中でRf0.57)を得た。この粗生成混合物は精製
することなく次の実験に使用した。 質量スペクトル: m/e(相対強度)355 (M+,33), 340
(46), 323(64), 308 (4), 297 (17), 300 (100), 218
(11), 149(31);1H-NMR(CDCl3):δ0.43 (m, 3-H),0.65
(m, 4-H), 0.74 (s,18-H), 1.02 (s, 19-H), 1.15 (d,
J=7.0 Hz, 21-H),2.77 (t, J=2.5 Hz, 6-H).
【0040】(b)6β−メトキシ−3α,5−シクロ
−24−ノル−5α−コラン−23−オール. 上記の(a)で得たニトリル誘導体(7.0g、19.
7ミリモル、10%酢酸エチル−ヘキサン溶液中Rf
0.27)の乾燥ベンゼン(150ml)溶液を窒素雰囲
気下で氷の上で冷却し、この溶液へジイソブチル水素化
アルミニウム〔DIBAL−H、1.5モルトルエン
(20ml、30ミリモル)溶液〕を徐々に添加した。添
加が完了した後氷浴を取りはずし、反応を23℃で3時
間進行させた。メタノール(150ml)を添加してアル
ミニウム錯塩を分解させ、混合液を氷水(200ml)上
へ注入した。混合液をろ過し、水の層をエーテル(3×
150ml)で抽出した。有機相を合体し、塩化ナトリウ
ム飽和溶液(2×60ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシ
ウム上で乾燥し、減圧下で濃縮して6.25gの生成物
を得た。この生成物は原料の23−ニトリルと予期され
た23−アルデヒドの混合物であった。この混合物は再
び同じ還元剤を用いて処理した。すなわち、粗生成物を
乾燥ベンゼンに溶解し、DIBAL−H(17.5ml、
26,25ミリモル)で処理した。上述のような仕上げ
操作及び濃縮残留物のシリカゲルを用いるクロマトグラ
フィー、10%酢酸エチル−ヘキサンを用いる溶離によ
り所望の23−アルコール(10%酢酸エチル−ヘキサ
ン中Rf0.03)を0.85g得た。 質量スペクトル: m/e(相対強度) 360 (M+, 75), 345
(59), 328 (99), 305(100), 302 (29), 281 (22), 255
(23);1H-NMR (CDCl3):δ 0.44 (m, 3-H), 0.65 (m, 4-
H), 0.72 (s, 18-H), 0.93(d, J=7.0 Hz, 21-H), 1.02
(s, 19-H),2.77 (m, シャープ, 6-H), 3.3 (s, 6-OC
H3). 残余の生成物(2g)は対応する23−アルデヒドであ
り、もし所望ならば上記の条件でさらに還元処理してさ
らにいくらかの量の23−アルコール生成物を得ること
ができる。
【0041】(c)23−ヒドロキシ−6β−メトキシ
−3α,5−シクロ−24−ノル−5α−コラン−23
−トシレート. p−トルエンスルホン酸クロリド(0.95g、5.0
ミリモル)を上記の(b)で得た23−アルコール
(0.85g、2.36ミリモル)の乾燥ピリジン(2
5ml)の溶液へ添加した。反応混合物は0℃で24時間
放置後氷冷した炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(25m
l)中へ注入し、酢酸エチル(3×100ml)で抽出
し、水(3×40ml)、塩化ナトリウム飽和液(2×4
0ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ
過し、減圧下で蒸発乾固させて約95%収率で23−ト
シレート(1.15g)を得た。 質量スペクトル: m/e(相対強度)514 (M+,42), 499(2
6), 482 (100), 468 (14), 459 (42),456 (12),361 (1
3), 255 (29).
【0042】(d)6β−メトキシ−3,5−シクロ−
24−ノル−5α−コラン(化合物、R=エチル) 上記のトシレート(1.15g、2.08ミリモル、1
0%酢酸エチル−ヘキサン中Rf0.7)の無水エーテ
ル(100ml)溶液にLiAlH4 (0.12g、3ミ
リモル)を添加した。反応混合液は5時間還流処理し、
冷却した後過剰の試薬を塩化ナトリウム飽和溶液により
分解させた。混合液をろ過し、相分離し、水相分をエー
テル(2×100ml)で抽出した。エーテル抽出液は合
体し、水(1×50ml)、塩化ナトリウム飽和液(2×
50ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、
減圧下で蒸発乾固させた後真空乾燥して所望の24−ノ
ル−コラン誘導体(化合物1、R=エチル)を約82%
収率(0.59g、10%酢酸エチル−ヘキサン中Rf
0.64)で得た。 質量スペクトル: m/e(相対強度)344 (M+,9), 329 (1
2), 312 (19), 289 (22), 286 (4),255 (7), 191 (11),
69 (90); 1H-NMR (CDCl3): δ0.44 (m, 3-H),0.65 (m,
4-H), 0.72 (s, 18-H), 0.82 (t, J=7.5 Hz, 23-H),
0.9 (d, J=7.0Hz, 21-H), 1.02 (s, 19-H), 2.77 (m,
シャープ, 6-H), 3.32 (s, 6-OCH3).
【0043】参考例7 出発物質 化合物(R=プロピル)の調製 上記の参考例6(c)で得られた23−トシレートを参
考例6(a)で述べたの類似の条件下でシアン化ナトリ
ウムを用いて処理し、6β−メトキシ−3α,5−シク
ロ−5α−コラン−24−ニトリルを得る。このニトリ
ルを上記参考例6(b)の方法を用いて還元することに
より6β−メトキシ−3α,5−シクロ−5α−コラン
−24−オールが得られる。このアルコールは上の参考
例6(C)で述べたのと類似の方法により対応する24
−トシレートに変え、このトシレートを上の参考例6
(d)で述べたようなヒドリド還元処理すれば所望の化
合物、6β−メトキシ−3α,5−シクロ−5α−コラ
ン(R=プロピルの化合物1)が得られる。
【0044】セコステロール化合物の生物学的性質人間の白血病細胞の分化に関する構造式Iの化合物の生
物学的活性 下記の検定に必要であった薬品及び試薬は次のような商
業的供給源から得た。4−β−ホルボール12−ミリス
テート−13−アセテート(PMA)、ニトロブル−テ
トラゾリウム(NBT)及びα−酢酸ナフチル−エステ
ラーゼ検定用試薬類(α−酢酸ナフチル、濃厚トリズマ
TM(TRIZMALTM)7.6緩衝液、メイヤーヘマトキシリ
ン溶液、ファーストブル−RR塩、濃厚シトレート、エ
チレングリコールモノメチルエーテル)はミズリー州セ
ントルイスのシグマ化学会社から入手し、羊の赤白球
(アルセバース溶液中細胞50%)、子牛胎児血清及び
RPM1−1640培地はニューヨーク州グランドアイ
ランドのギブコ研究所から入手し、羊の赤血球に対する
兎の抗血清(兎ヘモリシン)はバージニア州マクレーン
のフロー研究所から入手した。細胞培養 :人間の白血病細胞(HL−60細胞)の10
mlアリコート(10%の子牛胎児血清を有するRPM1
−1640培地1mlあたり約2×105 個の細胞)をペ
トリ皿上に平板状にひろげ5%CO2 雰囲気下、37℃
で培養した。16時間後、10〜20μlのエタノール
に溶解した種々の量の試験化合物(下記の表1に記載)
をそれぞれ2枚の皿に投与した。対照培養にはエタノー
ルのみを用いた。化合物投与後4日に細胞を収穫し、そ
れぞれのアリコートを血球計数器下で計数した。試験化
合物によって生起された分化の程度を検定するため、収
穫した培養物はリン酸塩緩衝食塩液(PBS)に再懸濁
(約106 細胞/ml)させ、これらの細胞培養物アリコ
ートに下記の3種の検定をそれぞれ実施した。
【0045】(a) 分化に対するニトロブル−テトラゾリ
ウム(NBT)還元検定 この検定は単球白血球は、ホルボールエステルにより刺
激されて超酸化物を生成することができるという事実に
基づくものである。超酸化物は可溶性ニトロブル−テト
ラゾリウム(NBT)を黒青色の沈澱物であるホルマザ
ンに還元することができる性質により検出することがで
きる。HL−60細胞によって示されるNBT−還元活
性は、従って、その非悪性単球への分化の尺度を提供す
る。検定はジャーナル・オブ・セルラー・フィジオロジ
118, 277(1984) 記載のエンらの方法に準じて行っ
た。NBT試薬は50mgのNBTと5μgの4β−ホル
ボール12−ミリステート−13−アセテートを50ml
のリン酸塩緩衝食塩水に溶解することにより調製した。
この試薬(200μl)を収穫した細胞(約106 細胞
/リン酸塩緩衝食塩水1ml)200μlに添加した。混
合物は37℃の水浴中で30分間培養した。その後細胞
数を計数し、NBTをフォルマザン青に還元した細胞の
パーセントを記録した。結果は下記の表1に示す。
【0046】(b) ロゼット形成検定 この検定は分化した単球と兎の抗体及びマウスの補体を
塗布した羊の赤血球との間にロゼット(rosette バラ
花)が形成されることに基づくものである。検定はイン
ターナショナル・ジャーナル・オブ・キャンサー 15, 7
31(1975)記載のローテムとサックスの方法に準じて行っ
た。羊の赤白球をリン酸塩緩衝食塩水で3回洗浄し、
0.5%(v/v)懸濁液に再懸濁した。赤血球と等容
積の兎の羊赤白球に対する抗血清の1:1500溶液を
混合し、37℃で30分間培養した。抗体塗布赤血球
(EA)をpH7.0のリン酸塩緩衝食塩水で3回洗浄
し、0.5%(v/v)で再懸濁した。新鮮なマウスの
血液を回転分離し血清を集めた。EAと等容積のマウス
血清の1:10溶液を混合し、37℃で30分間培養
し、次いでリン酸塩緩衝食塩水で3回洗浄し、抗体と補
体を塗布した赤血球(EAC)が1%(v/v)濃度に
なるようRPM1培地に再懸濁し、100μlのEAC
をHL−60細胞(RPM1 100μl中約106
の細胞)アリコートと混合し、37℃で30分間培養
し、その後500×gで3分間遠心分離した。ペレット
を分散させ、EACと接合した細胞数(すなわちロゼッ
ト数)を測定し、存在する全細胞に対する%で表示し
た。HL−60細胞の単球への分化を示す「ロゼット形
成%」は下記の表1に示した。
【0047】(c) α−酢酸ナフチル・エステラーゼ活性
の検定 α−酢酸ナフチル・エステラーゼは単球の特徴を示す酵
素である。すなわち、この酵素の存在はHL−60細胞
の単球への分化を示すものである。検定はα−酢酸ナフ
チルを酵素加水分解して遊離のナフトールを分離させ、
これがジアゾニウムと結合して酵素活性の位置に着色度
の高い析出物を作り出すことに基づくものである。検定
はテクニカル・ブレチンNo.90(ミズリー州6317
8、セントルイスのシグマ化学会社)に記載の方法で行
った。細胞はスライドガラス上にシトレート−アセトン
−メタノール固定剤中に室温で30秒間固定した。次に
スライドを脱イオン水を用いて洗浄し、少なくとも20
分間気乾した。次にスライドをpH7.6のトリズマル
TM緩衝濃厚液の1:10溶液50mlにファーストブルー
RR塩25mgを溶解し、α−ナフトール20mg(エチレ
ングリコールモノメチルエーテル2ml中)を添加するこ
とにより調製した着色液中で着色した。スライドは37
℃で30分間(遮光下で)培養した。その後洗浄し、メ
イヤーのヘマトキシリン溶液中で5〜10分間逆着色
し、洗浄後気乾した。α−ナフチルエステラーゼ活性を
示す黒色粒をもつ細胞のパーセントを測定した。結果を
下記の表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】上記の結果は一般構造式Iのセコステロー
ルの人間の白血病細胞のマクロファージ(単球)への分
化用薬剤としての効力を示している。この化合物は使用
した3種の分化検定法のすべてにおいて高度に有意義な
活性を示し、約10-6Mの濃度で50%の分化を達成し
た。比較のため、上記の表には強力な抗白血病作用をも
つ既知のビタミン誘導体2種、すなわち1α−ヒドロキ
シビタミンD(1α−OH−D3 )及び1α,25−ジ
ヒドロキシビタミンD(1,25−(OH)23 )に
より示された細胞分化活性も含まれている。表示のデー
タはセコステロール(I)の活性度水準が1,25−
(OH)23 (最も強力な白血球細胞分化性ビタミン
D誘導体)により示されたそれよりは低いが、人間の白
血病治療に有効であるとして知られた化合物(スダら米
国特許第4,391,802号)である1α−ヒドロキ
シビタミンD3 により示されたそれとほぼ同等であるこ
とを示している。
【0050】構造式Iのセコステロールのカルシウム代
謝及びカルシウム輸送の検定 ホルツマン社(ビスコンシン州マジソン)から購入した
乳離れした雄のラットにスダら[ジャーナル・オブ・ニ
ュートリション 100, 1049(1970)]により記載された低
カルシウム、ビタミンD欠乏食を3週間随意に与えた。
次いで、ラットは各6匹からなる4群に分けた。第1の
群(対照群)には95%のエタノール0.05mlを頚静
脈注射した。第2群及び第3群には同じ経路でエタノー
ル0.05mlに溶解したセコステロールI(R=CH
3 、X1 =X2 =H)をそれぞれ625ピコモル及び6
250ピコモル投与し、第4群には1α,25−ジヒド
ロキシビタミンD3 を625ピコモル(エタノール0.
05ml中)頚静脈注射した。投与後7時間にラットは斬
首により殺害し、血液を集め遠心分離して血清を得た。
血清カルシウム濃度を通常通り原子吸光分光計により測
定した。結果は下記の表2に示す。これらと同じラット
の腸を少量取りだし、洗浄後裏がえししてマーチン及び
デルカ[アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジ
216, 1351(1969)]の方法に準じてカルシウム輸送活
性度を測定した。漿膜カルシウム/粘膜カルシウムの濃
度比で表わした腸内カルシウム輸送活性度測定値を表2
に示す。
【0051】
【表2】
【0052】上記の結果はセコステロールI(R=CH
3 、X1 =X2 =H)が高投与量においても何ら有意の
カルセミック活性を示さないことを示している。この化
合物は血清カルシウム水準を高めず、従って有意な骨カ
ルシウム流通活性に欠けている。さらにこの化合物は1
動物あたり6250ピコモルの投与においても腸内カル
シウム輸送を刺激しない。同じ条件で、既知のビタミン
D代謝体である1,25−(OH)23 は予期された
ように低投与量で10倍も活性である。構造式Iのセコ
ステロール同族体(R=H、X1 =X2 =H)の上記と
類似の条件(投与感応を化合物注射後12時間で測定し
た以外同じ条件)下での検定は次の表3に示すように非
常によく似た結果を与えた。
【0053】
【表3】
【0054】表3のデータもまた構造式Iのセコステロ
ール(R=H、X1 =X2 =H)が高い投与量において
さえも生体内で腸カルシウム輸送又は骨からのカルシウ
ム流通に関し何らの感応も生起させないことを示してい
る。それ故、一般構造式I(Rは水素、メチル、エチ
ル、プロピルである)のこれらセコステロールは生体内
で骨のミネラル流通及び腸カルシウム輸送活動に関し何
ら有意の生物学的感応を生起させないから、生体内で典
型的なビタミンD機能を遂行しないと結論することがで
きる。
【0055】上述のデータは本発明のセコステロールが
通常的でなくかつ予期されないような能力を有している
ことの証拠となるものである。これらは既知のビタミン
D関連化合物の一部のように非常に大きな細胞分化活性
を示すが、ビタミンD誘導体の典型的なカルセミック活
性は示さない。従って、既知の抗白血病ビタミンD化合
物のような好ましくないカルセミック作用を持っていな
いため本発明のセコステロールは白血病のような悪性病
治療用の新規な好ましい方法を提供する。本化合物は丸
薬、カプセル又は錠剤として製薬したり、製薬上無害か
つ許容される溶媒又は油中の溶液、乳濁液、分散液又は
懸濁液として製薬することができ、これらの製剤は酸化
防止剤、乳化剤、着色剤、結着剤又は塗布物質のような
製薬上無害又は有益な成分を追加含有していてもよい。
本化合物は経口剤として又は適当な無菌溶液の注射又は
注入により投与することができる。本化合物は悪性細胞
の正常のマクロファージへの分化に十分効果的な量で有
利に投与される。1日当り2μgから1000μgの投
与量が適しているが、投与すべき量は当業者によく理解
されているように病気の軽重及び患者の状態、及び感応
性に応じて調製すべきであると理解される。
フロントページの続き (72)発明者 ハインリツヒ ケー. シユノーズ アメリカ合衆国 53705 ウイスコンシン マデイソン サミツト アベニユー 1806 (72)発明者 ワン フアン. ロー アメリカ合衆国 77004 テキサス ヒユ ーストン カルホウン ロード 4800 ユ ニバーシテイ オブ テキサス デパート メント オブ ケミストリー

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 【化1】 (式中Rはメチル、エチル又はプロピルである)を有す
    る化合物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN117342992A (zh) * 2023-12-04 2024-01-05 广东蔚莱生物科技有限公司 一种使用植物甾醇制备骨化二醇的工艺及其应用

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