JPH05247503A - チタンまたはチタン合金粉末の製造方法 - Google Patents
チタンまたはチタン合金粉末の製造方法Info
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Abstract
工程における粉末の焼結を効果的に緩和抑制しながら酸
素含有量の少ない高品位のチタンまたはチタン合金粉末
を効率よく製造するための方法を提供する。 【構成】 水素化脱水素法によるチタンまたはチタン合
金粉末の製造プロセスにおいて、水素化工程後に粉砕し
た水素化チタンまたは水素化チタン合金粉末の粒度分布
を予め粒径63μm 以下、好ましくは45%以下の粉体割合
が30重量%以下になるように調整し、該水素化チタンま
たは水素化チタン合金粉末を脱水素処理することを特徴
とする。
Description
チタンまたはチタン合金粉末(以下単に「チタン系粉
末」という。)の製造方法、詳しくは脱水素処理工程を
改良して水素化チタンまたは水素化チタン合金粉末(以
下単に「水素化チタン系粉末」という。)の焼結現象を
抑制しながら酸素含有量の少ない高品位のチタン系粉末
を効率よく製造するための方法に関する。
ては、四塩化チタンを金属マグネシウムにより還元して
スポンジチタン塊を生成させる過程で、スポンジチタン
塊を粉砕する際に発生する粉末を回収する方法、四塩化
チタンを金属ナトリウムで還元してチタンを精錬する、
いわゆるハンター法によってチタン粉末を得る方法が知
られている。このうち、前者の方法はチタン精錬工程
(クロール法)中で副次的に発生する粉を利用するもの
である関係で生成量が制約されるうえ、酸素、窒素また
は鉄等の不純物成分を多く含有する低品位のものしか得
られない欠点がある。また、粉末粒度も60〜20メッシュ
(粒径 250〜850 μm)程度と粗く、通常は花火や溶接棒
の原料といった用途にしか適用することができない。一
方、後者の方法は比較的安価にチタン粉末を得ることが
できるが、粉末中に多量のナトリウムおよび塩素成分が
残留するため、高い機械的強度と信頼性が要求される自
動車部品等を対象とする粉末冶金原料には適していな
い。また、微粉を得ることも難しく、45〜150 μm 程度
の粗目の粒分が主体となる。
性を利用して原料のチタンまたはチタン合金(以下単に
「チタン系原料」という。)を一旦水素化させたのち任
意の粒度に粉砕し、これを真空加熱により脱水素してチ
タン系粉末に転化させる水素化脱水素法は、高性能な粉
末冶金原料に必要な極低塩素チタン系粉末を製造するこ
とができる。すなわち、この方法では得られるチタン系
粉末の品質は主にチタン系原料の材質に依存することか
ら、例えば予め溶解したインゴットの切粉やスクラップ
を原料とすることにより塩素含有量が極めて少ない高品
質のチタン系粉末を得ることが可能となる。このほか、
水素化できる材質及び形状であれば比較的安価に入手で
きるスクラップや圧延端材なども使用できるため、原料
の選択範囲が著しく広くなる。また、粒度調整も比較的
容易で、例えば45μm 以下の微粉から250 μm 程度の粗
粉に至る任意の粒度範囲を造り分けることができるな
ど、生産技術面における種々の利点がある。
チタン系粉末の製造プロセスは、チタン系原料を高温
下、水素ガス雰囲気中で水素化する水素化工程、得られ
た水素化チタン塊または水素化チタン合金塊(以下単に
「チタン系塊」という。)を所定の粒度に粉砕する粉砕
工程、粉砕後の水素化チタン系粉末を高温の真空中で脱
水素処理する脱水素工程、脱水素時に焼結したチタン系
塊を破砕する解砕工程および得られたチタン系粉末を所
定の粒度に分級調整する篩別工程の各段階からなってい
る。
の温度範囲に保持された真空加熱炉中でおこなわれる。
この理由は、500 ℃未満の温度では所定の水素量(例え
ば0.06重量%以下) まで脱水素するのに長時間を要する
ため工業的に不利となり、また900 ℃を上廻ると処理中
に粉末の焼結が著しく進行して、後工程の解砕および篩
別処理の円滑な作業性を阻害し、製品チタン系粉末の収
率低下を招くためである。
結する原因について多面的に検討を加えた結果、焼結化
の傾向は水素化チタン系粉末中に微粉が占める割合が高
くなるほど顕著となり、脱水素時の温度範囲を 500〜90
0 ℃に設定した場合には無視できない悪影響を及ぼす事
実を解明した。同時に、微粉が多く存在すると脱水素工
程およびその後の工程において酸化あるいは窒化による
汚染も受け易くなり、品質管理上も問題となることが判
明した。
もので、その目的は水素化脱水素法を適用するにあたり
脱水素工程における粉末の焼結を効果的に緩和抑制しな
がら酸素含有量の低い高品位のチタン系粉末を効率よく
製造するための方法を提供することにある。
めの本発明によるチタン系粉末の製造方法は、水素化脱
水素法によるチタン系粉末の製造プロセスにおいて、水
素化工程後に粉砕した水素化チタン系粉末の粒度分布を
予め粒径63μm 以下、好ましくは45μm 以下の粉体割合
が30重量%以下になるように調整し、該水素化チタン系
粉末を脱水素処理することを構成上の特徴とする。
塊、チタンまたはチタン合金インゴットの切削屑、スク
ラップ材、圧延端材などを目的に応じて適宜に選択して
適用することができる。これら原料は、真空置換可能な
水素化炉に装入し、400 ℃以上の温度まで昇温させて水
素ガスを系内に供給しながら水素化処理をおこなう。
マー等による粉砕によっても容易に粉末にすることが可
能であるが、工業的にはボールミルや振動ミルのような
粉砕装置を用いて機械的に粉砕する。本発明において
は、粉砕した水素化チタン系粉末の粒度分布を粒径63μ
m 以下好ましくは45μm 以下の粉体割合が30重量%以下
になるように予め調整することが主要な要件となる。水
素化チタン系粉末に占める上記の粒径の微粉割合が30重
量%を越えると、脱水素時における焼結化の進行を緩和
抑制することが困難となり、酸素量も著しく増加する。
重量%以下に除去するには、円型振動篩や気流分級器な
どの篩別装置を用いて分級することによっておこなうこ
とができる。この際の篩別操作は、水素化チタン系粉末
が燃焼又は爆発することを防止するため例えばアルゴン
ガスのような不活性ガス雰囲気中でおこなう必要があ
る。
末を容器に充填したのち真空加熱型の脱水素炉にセット
し、所定の温度域、好ましくは 500〜900 ℃の温度範囲
で目標とする水素含有量になるに必要な減圧下(例えば
10-2Torr) に真空引きして脱水素処理をおこなう。
呈しているが、その程度は粒径63μm 以下、好ましくは
45μm 以下の微粉が30重量%を越すような粒度分布の水
素化チタン系粉末を用いた場合に比べて緩和抑制されて
おり、ハンマー等の解砕で容器から取り出したのち常用
の粉砕装置を用いて粉砕することにより高収率で目的と
する粒度範囲のチタン系粉末を製造することができる。
ン系粉末が微細になるほどその表面エネルギーが大きく
なり、このため脱水素時に表面エネルギーが減少する方
向で焼結が進行する。したがって、脱水素工程の処理温
度を好適な 500〜900 ℃の範囲に設定したうえで焼結現
象を軽減させるためには、予め表面エネルギーの大きな
微粉の占める割合を少なくした水素化チタン系粉末を用
いて脱水素処理を施すことが効果的な手段となる。
篩別することができる目開き63μm、好ましくは45μm
の篩を通過する微粉の粉体割合を30重量%以下にした水
素化チタン系粉末を脱水素処理の原料粉に選定したもの
で、この粒度調整が脱水素時における粉末焼結の進行を
効果的に緩和抑制する機能を発揮する。このような作用
を介して後工程の作業性が大幅に向上するとともに、微
粉の酸素汚染に起因する酸素含有量の増加を阻止した高
品位のチタン系粉末を製造することが可能となる。
明する。
%) のインゴットを切削した厚さ約2mm、長さ約30mmの
切粉を用い、これをステンレス製容器に200kg装入した
のち、真空加熱炉に収納して650 ℃まで真空雰囲気下に
昇温した。ついで、容器に水素ガスを供給して約1時間
後に容器系内が大気圧になるのを確認し、加熱炉を取り
外して水素ガスの供給を継続した。30時間後にはほぼ理
論量(TiH2換算) 相当の水素が吸収された。水素化処理
した原料をボールミルで粉砕し、引き続き目開き 150μ
m の円型振動篩を用いて篩別した。ついで、それぞれの
篩下粉末を目開き45μm の篩により粒径45μm 以下の粉
を篩別除去し、粒径45μm以下の粉体割合が異なる水素
化チタン粉を調整した。
化処理と同様の真空加熱炉にセットして脱水素処理をお
こなった。容器には直径700mm 、高さ50mmのステンレス
製皿状のものを用い、この容器に水素化チタン粉を厚さ
30mmになるように充填して6段に積み重ねた。この状態
で、脱水素温度600 〜750 ℃で到達圧力が10-2torr以下
になるまで脱水素処理を継続した。脱水素処理後は炉内
にアルゴンガスを導入して系内を大気圧に保持しながら
常温まで冷却した。
結しており、これらの焼結塊状物は、いずれも容器から
取り出す際にハンマー等により打砕する必要があった。
砕するのに必要な約20mm角以下になるまで手ハンマーで
粉砕し、この際の粉砕難易度を下記の3段階で感性評価
して焼結の進行状態を判定した。その結果を表1に示し
た。 ○ : 手ハンマーで容易に粉砕可能 △ : 手ハンマーで粉砕可能 × : 手ハンマーでの粉砕がかなり困難 また、各試料を粉砕して20mm角以下のサイズにしたの
ち、カッターミルを用い一定の運転条件でスクリーン目
開き3mmおよび1mmの網目を1回づつ通した後、目開き
150μm の円型振動篩を用いて 150μm 以下のチタン粉
末を得、このチタン粉末の酸素含有量を測定した。結果
を表1に併載した。
に占める粒径45μm 以下の粉が増加するに従って手ハン
マーによる粉砕が困難となり、またチタン粉末中の酸素
含有量が増加する。特に粒径45μm 以下の割合が30重量
%以下の実施例はこの割合を越える比較例に比べて感性
評価が優れ、チタン粉末中の酸素含有量ともに有意に減
少しており、本発明を適用した場合には脱水素時におけ
る焼結が緩和抑制しており、比較例と対比すると微粉に
よる酸素含有量の取込みが明かに軽減されていることが
認められる。
m の円型振動篩を用いて篩別した以外は実施例1〜3、
比較例1〜2と同一条件で処理し、得られた脱水素チタ
ン塊について同様に感性評価と製品チタン粉末(粒径25
0 μm 以下)に含有する酸素量を測定した。その結果を
表2に示した。
を適用して脱水素処理を施したチタンは焼結度合が緩和
抑制されていることが判る。そのうえ、比較例に比べて
微粉による酸素含有量の持ち込みが明らかに軽減されて
いることも認められた。
を用いて篩別した。ついで篩下粉末を目開き63μm の円
型振動篩を用いて、粒径63μm 以下の粉末を篩別除去す
ることにより、粒径63μm 以下の粉体割合が異なる水素
化チタン粉末を調整した以外は、実施例1〜3、比較例
1〜2と同一条件で処理し、得られた脱水素チタン塊に
ついて、同様に感性評価およびチタン粉末中の酸素含有
量の測定を行い、その結果を表3に示した。
去する水素化チタン粉末の粒径を大きくすることによ
り、焼結の緩和と微粉による酸素含有量の取込み量の軽
減が認められる。除去する水素化チタン粉末の粒径を大
きくすることは、その分量だけ全体のチタン系粉末回収
率は低下することとなり、コスト面などを勘案した場合
の数値限定の臨界点は、水素化チタン粉末の粒径が63μ
m 以下にあり、好ましい該粒径は45μm 以下となること
が明確となった。
de5相当品、酸素含有量0.14%)のインゴットを、実施
例1〜3、比較例1〜2と同一の条件で水素化、脱水素
処理を施し、得られた脱水素チタン合金塊について同様
に感性評価およびチタン合金粉末中の酸素含有量の測定
を行い、その結果を表4に示した。
水素法によるチタン系粉末の製造工程において予め脱水
素前の水素化チタン系粉末の粒径分布を特定範囲に調整
することにより脱水素処理時の粉末焼結現象を効果的に
緩和抑制することが可能となる。同時に製品チタン系粉
末中の酸素含有量を低減させることもできるから、常に
作業能率よく高品位のチタン系粉末を高収率で製造する
ことができる。したがって、優れた機械的強度と信頼性
が要求される自動車部品等を対象とする粉末冶金用チタ
ン系粉末の工業的な製造技術として極めて有用である。
Claims (2)
- 【請求項1】 水素化脱水素法によるチタンまたはチタ
ン合金粉末の製造プロセスにおいて、水素化工程後に粉
砕した水素化チタンまたは水素化チタン合金粉末の粒度
分布を予め粒径63μm 以下の粉体割合が30重量%以下に
なるように調整し、該水素化チタンまたは水素化チタン
合金粉末を脱水素処理することを特徴とするチタンまた
はチタン合金粉末の製造方法。 - 【請求項2】 水素化工程後に粉砕した水素化チタンま
たは水素化チタン合金粉末の粒度分布を予め粉径45μm
以下の粉体割合が30重量%以下になるように調整する請
求項1記載のチタンまたはチタン合金粉末の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8465192A JP2782665B2 (ja) | 1992-03-06 | 1992-03-06 | チタンまたはチタン合金粉末の製造方法 |
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