JPH05247042A - 2−ベンゾクマリニル−カルバペネム類 - Google Patents

2−ベンゾクマリニル−カルバペネム類

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JPH05247042A
JPH05247042A JP4173615A JP17361592A JPH05247042A JP H05247042 A JPH05247042 A JP H05247042A JP 4173615 A JP4173615 A JP 4173615A JP 17361592 A JP17361592 A JP 17361592A JP H05247042 A JPH05247042 A JP H05247042A
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D477/00Heterocyclic compounds containing 1-azabicyclo [3.2.0] heptane ring systems, i.e. compounds containing a ring system of the formula:, e.g. carbapenicillins, thienamycins; Such ring systems being further condensed, e.g. 2,3-condensed with an oxygen-, nitrogen- or sulphur-containing hetero ring
    • C07D477/10Heterocyclic compounds containing 1-azabicyclo [3.2.0] heptane ring systems, i.e. compounds containing a ring system of the formula:, e.g. carbapenicillins, thienamycins; Such ring systems being further condensed, e.g. 2,3-condensed with an oxygen-, nitrogen- or sulphur-containing hetero ring with hydrogen atoms, hydrocarbon or substituted hydrocarbon radicals, directly attached in position 4, and with a carbon atom having three bonds to hetero atoms with at the most one bond to halogen, e.g. an ester or nitrile radical, directly attached in position 2
    • C07D477/12Heterocyclic compounds containing 1-azabicyclo [3.2.0] heptane ring systems, i.e. compounds containing a ring system of the formula:, e.g. carbapenicillins, thienamycins; Such ring systems being further condensed, e.g. 2,3-condensed with an oxygen-, nitrogen- or sulphur-containing hetero ring with hydrogen atoms, hydrocarbon or substituted hydrocarbon radicals, directly attached in position 4, and with a carbon atom having three bonds to hetero atoms with at the most one bond to halogen, e.g. an ester or nitrile radical, directly attached in position 2 with hydrogen atoms, hydrocarbon or substituted hydrocarbon radicals, attached in position 6
    • C07D477/14Heterocyclic compounds containing 1-azabicyclo [3.2.0] heptane ring systems, i.e. compounds containing a ring system of the formula:, e.g. carbapenicillins, thienamycins; Such ring systems being further condensed, e.g. 2,3-condensed with an oxygen-, nitrogen- or sulphur-containing hetero ring with hydrogen atoms, hydrocarbon or substituted hydrocarbon radicals, directly attached in position 4, and with a carbon atom having three bonds to hetero atoms with at the most one bond to halogen, e.g. an ester or nitrile radical, directly attached in position 2 with hydrogen atoms, hydrocarbon or substituted hydrocarbon radicals, attached in position 6 with hydrogen atoms, hydrocarbon or substituted hydrocarbon radicals, attached in position 3
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/04Antibacterial agents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 式 【化102】 のカルバペネム類。 【効果】 この化合物は、抗菌剤への有用な中間体であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明はカルバペネム類の抗菌剤に関す
る。これは以下により詳細に説明するように、側鎖2位
がベンゾクマリン部分で特徴づけられており、多様なカ
チオン性および中性置換基で置換される。
【0002】チエナマイシンは、早くから広い範囲の抗
菌スペクトルを有するカルバペネムの抗菌剤であり、以
下の構造式を有する:
【化34】 その後、構造式:
【化35】 のN−ホルムイミドイルチエナマイシンが発見された。
【0003】本発明の2−ベンゾクマリニル−カルバペ
ネムは、チエナマイシンあるいはN−ホルムイミドイル
チエナマイシンのような広い適用範囲を持つという特徴
はない。むしろ本発明の物質の作用範囲は、もっぱら、
グラム陽性微生物、とくにメチシリン耐性ブドウ球菌M
RSA(Staphylococcus aureus)、メチシリン耐性ブ
ドウ球菌MRSE(Staphylococcus epidermidis)及
び メチシリン耐性コアグラーゼネガティブブドウ球菌
MRCNS(Staphylococci)に限定される。したがっ
て、本発明の抗菌化合物は、これらの抑制の困難な病原
体の治療に重要な貢献をなす。さらに、このような病原
体(MRSA/MRCNS)に対して有効であって、同
時に安全な、つまり、望ましくない毒性副作用のない薬
剤に対する需要が高まっている。これらの要求を満たす
β−ラクタム抗菌剤はまだ発見されていない。そして、
現在よく用いられるグリコペプチド抗菌剤であるバンコ
マイシンに対しては、MRSA/MRCNS病原体の耐
性がどんどん高くなってきている。
【0004】ごく最近、アミノメチルおよび置換したア
ミノメチル等で任意に置換したアリール部分を2位の置
換基として持つカルバペネム抗菌剤が開示された。これ
らの薬剤は、米国特許第4,543,257号及び第
4,260,627号に記述されており、構造式
【化36】 を有する。
【0005】しかしながら、本発明の化合物を特徴づけ
る置換したベンゾクマリニルである2位の置換基につい
ての記述や示唆はなく、又、本発明の化合物の非常に優
秀な抗MRSA/MRCNS作用に関する示唆もない。
【0006】米国特許第4,978,659号は、構造
式:
【化37】 を有する特徴的な一群の化合物について説明している。
しかしこの限定された開示は、本発明の全く異なってい
る化合物にも、それらの非常に優秀な抗MRSA/MR
CNS作用にも全く触れていない。
【0007】本発明は、次の式の新規なカルバペネム化
合物を提供する。
【化38】 式中、RはHまたはCH3であり;R1およびR2は独立
的にH、CH3−、CH3CH2−、(CH32CH−、
HOCH2−、CH3CH(OH)−、(CH32C(O
H)−、FCH2CH(OH)−、F2CHCH(OH)
−、F3CCH(OH)−、CH3CH(F)−、CH3
2−、または(CH32C(F)−であり;XhはOま
たはSであり;Raは水素および以下に列挙する基から
成る群より独立的に選ばれ、但し1個のしかし1個より
多くないRaはタイプIの置換基であり、残りの非水素
置換基はタイプIIから選ばれ、そして合計で4個より
多くないRa基は水素以外のものである: I. a)
【化39】 式中、Aは(CH2m−Q−(CH2nであり、ここに
おいてmは0〜6であり、nは1〜6であり、Qは共有
結合、O、S、SO、SO2、NH、−SO2NH−、−
NHSO2−、−CONH−、−NHCO−、−SO2
(C1〜C4アルキル)−、−N(C1〜C4 アルキル)
SO2−、−CON(C1〜C4 アルキル)−、−N(C1
〜C4アルキル)CO−、−CH=CH−、−CO−、
−OC(O)−、−C(O)O−またはN(C1〜C4
ルキル)であり、そして(CH2mはベンゾクマリニル
部分に結合している;
【化40】 は5−員または6−員の単環式複素環または8−員、9
−員または10−員の二環式複素環であり、その複素環
は芳香族5−員または6−員の第一の環中に第一の窒素
を含んでおり、さらに前記第一の窒素を経由してその複
素環はAに結合し、該第一の窒素は結合と環結合とによ
って第四級であり、第一の環はゼロ個または1個のOま
たはSを含有し、第一の環はゼロ〜3個の追加の窒素原
子を含有し、場合によっては、第一の環は3−員または
4−員の部分と融合して随意の第二の環を形成し、その
部分は少なくとも1個の炭素原子を含有し、その部分は
ゼロ個または1個のOまたはSを含有し、その部分はゼ
ロ〜2個の窒素原子を含有し、その部分は飽和または不
飽和であり、第二の環は芳香族または非芳香族であり;
c は下記のIIに定義されるRa、水素、または−N
yz(但し、RyおよびRzは下記のIIにおいて定義
する)であるが、Rcが1個より多く存在する場合に
は、Raおよび互いから独立的に選ばれ、炭素原子また
は窒素ヘテロ原子に結合し、その原子価は環結合により
満たされない;Pは0または1であり; b)
【化41】 は5−員または6−員の単環式複素環、または8−員、
9−員または10−員の二環式複素環であり、該複素環
は5−員または6−員の第一の環中に第一の窒素を含有
し、さらに前記第一の窒素は環結合に加えて置換基Rd
によって第四級であり、該第一の窒素は置換基Rdの不
在によって中性であり、複素環は環の炭素原子を経由し
てA’に結合し、第一の環はゼロ個または1個のOまた
はSを含有し、第一の環はゼロ乃至2個の追加の窒素原
子を含有し、場合によっては、第一の環は3−員または
4−員の部分と融合して随意の第二の環を形成し、その
部分は少なくとも1個の炭素原子を含有し、その部分は
ゼロ個または1個のOまたはSを含有し、その部分はゼ
ロ〜2個の窒素原子を含有し、その部分は飽和または不
飽和であり、第二の環は芳香族または非芳香族であり;
cは前記に定義した通りであり;Rdは水素、NH2
-またはC1〜C4アルキル(但し、アルキル基は、場
合によっては、下記のIIcに定義されるRqによってモ
ノ置換される)であり;A’は(CH2m−Q−(CH
2nであり、但しmはゼロ〜6であり、nはゼロ〜6で
あり、Qは上記に定義した通りであり; c) −Ap−N+y(Rw0-1(Rz) 式中、RyおよびRzは下記IIに定義される通りであ
り、RyおよびRz は、C2〜C4アリキリデン基と共
に、N(O)Re またはN+(Re2(ここにおいてRe
は水素、C1〜C4アルキル、または以下に定義されるR
qによってモノ置換されたC1〜C4アルキルである)に
よって分断された環(所望によって、以下に定義される
qによってモノ置換された)を形成することもでき、
w は水素、C1〜C4アルキル、O-、NH2、または窒
素が中性である場合には存在せず、Rw、Ry およびRz
は、さらに、N+ と二環式複素環を形成するC5〜C10
tertアルキリデン基を生成し、ここにおいて、その
tertアルキリデン基は、場合によっては、以下に定
義されるRqによってモノ置換され、該tertアルキ
リデン基の第三級炭素は場合によっては窒素、N+
e(但しReは上文に定義されている)、またはN+−O-
によって置換され、pは0または1であり、そしてAは
上文に定義された通りであり; d)
【化42】 は5−員または6−員の単環式複素環または8−員、9
−員または10−員の二環式複素環であり、その複素環
は第一の環中に第一の窒素を含有し、そして第一の環
は、飽和または不飽和であって、かつ非芳香族であり、
第一の窒素は環結合に加えて1個または2個の置換基R
d によって第四級であり、または第一の窒素は、環結合
に加えて、ゼロ個または1個の置換基Rd によって中性
であって環の炭素原子または非第四級窒素原子を経由し
てA’へ複素環が結合し、第一の環は、炭素および第一
の窒素のほかに、結合している非第四級窒素、O、S、
S(O)、S(O22 およびNRe(但しReは上記に
定義されている)より成る群から選ばれたゼロ個乃至1
個の構成員を含有し、第一の環は、場合によっては、2
−員、3−員または4−員の部分と融合して随意の第二
の環を形成し、その部分は、場合によっては、炭素のほ
かに、結合している非第四級窒素を含有し、その部分は
飽和または不飽和であり、第二の環は非芳香族であり;
dは上記に定義されており、1個より多いRdが窒素上
に存在する場合には、少なくとも1個のRdは水素また
はC1〜C4アルキルであり;A’は上記に定義されてお
り;そしてPは上記に定義されており;Rqは以下に定
義される; II. a)トリフルオロメチル基:−CF3; b)ハロゲン原子:−Br、−Cl、−Fまたは−I; c)C1〜C4アルコキシ基:−OC1〜C4アルキル、但
しアルキルは場合によってはRqによってモノ置換され
ていて、ここにおいてRqは−OH、−OCH3、−C
N、−C(O)NH2、−OC(O)NH2、CHO、−
OC(O)N(CH32、−SO2NH2、−SO2
(CH32、−SOCH3、−SO2CH3、−F、−CF
3、−COOMa(ここにおいて、Maは水素、アルカリ
金属、メチルまたはフェニルである)、テトラゾリル
(ここにおいて、結合個所はテトラゾール環の炭素原子
であり、窒素原子の1個は上記に定義されたようにMa
によってモノ置換されている)および−SO3b(ここ
において、Mbは水素またはアルカリ金属である)より
成る群から選ばれる一員であり; d)ヒドロキシル基:−OH; e)カルボニルオキシル基:−O(C=O)Rs、ここ
において Rs はC1〜C4アルキルまたはフェニルであり、そのお
のおのは、場合によっては上記に定義したようにRq
よってモノ置換されるか、または−Fによって三置換さ
れる; f)カルバモイルオキシ基:−O(C=O)N(Ry
z、ここにおいて RyとRzは独立的にH、C1〜C4アルキル(場合によっ
ては上記に定義したようなRqによってモノ置換され
る)であり、3−員〜5−員のアルキリデン基と一緒に
環(場合によっては上記に定義したようなRqによって
置換される)環を形成し、または−O−、−S−、−S
(O)−または−S(O)2−によって、分断された2
−員〜4−員のアルキリデン基と一緒に環(但し、環は
場合によっては上記に定義したようなRqによってモノ
置換される)を形成し; g)スルフル;−S(O)n−Rs、ここにおいてnは0
〜2、Rsは上記に定義されている; h)スルファモイル基:−SO2N(Ry)Rz、ここに
おいて、RyおよびRzは上記に定義された通りであり; i)アジド:N3 j)ホルムアミド基:−N(Rt)(C=O)H、ここ
において Rt はHまたはC1〜C4アルキルであり、そのアルキル
は場合によっては上記に定義したようなRqによってモ
ノ置換され; k)(C1〜C4アルキル)カルボニルアミノ基:−N
(Rt)(C=O)C1〜C4アルキル、ここにおいて、
tは上記に定義した通りであり、またアルキル基は場
合によっては、上記に定義したようなRqによってモノ
置換され; l)(C1〜C4アルキル)カルボニルアミノ基:−N
(Rt)(C=O)OC1〜C4アルキル、ここにおいて
tは上記に定義した通りであり、またアルキル基は場
合によっては、上記に定義したようなRqによってモノ
置換され; m)ウレイド基:−N(Rt)(C=O)N(Ry
z、ここにおいてRt、RyおよびRzは上記に定義した
通りであり; n)スルホンアミド基:−N(Rt)SO2s、ここに
おいてRsおよびRt は上記に定義した通りであり; o)シアノ基:−CN; p)ホルミルまたはアセタール化ホルミル基:−(C=
O)Hまたは−CH(OCH32; q)カルボニルがアセタール化されている(C1〜C4
ルキル)カルボニル基:−C(OCH321〜C4アル
キル、ここにおいてアルキルは、場合によっては、上記
に定義したようなRqによってモノ置換され; r)カルボニル基:−(C=O)Rs、ここでRsは上記
に定義した通りであり; s)場合によっては酸素または炭素原子がC1〜C4アル
キル基によって置換されているヒドロキシイミノメチル
基:−(C=NORz)Ry、ここにおいて、Ryおよび
zはそれらが一緒に結合して環を形成できないこと以
外は、上記に定義した通りであり; t)(C1〜C4アルコキシ)カルボニル基:−(C=
O)OC1〜C4アルキル、ここにおいてアルキルは、場
合によっては、上記に定義したようなRqによってモノ
置換され; u)カルバモイル基:−(C=O)N(Ry)Rz、ここ
においてRyおよびRzは上記に定義した通りであり; v)窒素原子がさらにC1〜C4アルキル基により置換さ
れることができるN−ヒドロキシカルバモイルまたはN
(C1〜C4アルコキシ)カルバモイル基:−(C=O)
−N(ORy)Rz、ここにおいてRyおよびRzは、それ
らが一緒に結合して環を形成できないこと以外は、上記
に定義した通りであり; w)チオカルバモイル基:−(C=S)N(Ry)Rz
ここにおいて、RyとRzは上記に定義した通りであり; x)カルボキシル:−COOMb、ここにおいて、Mb
上記に定義した通りであり; y)チオシアネート:−SCN; z)トリフルオロメチルチオ:−SCF3; aa)テトラゾリル、ここにおいて結合個所はテトラゾ
ール環の炭素原子であり、窒素原子の1個は水素、アル
カリ金属または場合によっては上記に定義したようなR
qによって置換されたC1〜C4アルキルによってモノ置
換され; ab)ホスホノ〔P=O(OMb2〕;アルキルホスホ
ノ{P=O(OMb)−〔O(C1〜C4アルキ
ル)〕};アルキルホスフィニル〔P=O(OMb)−
(C1〜C4アルキル)〕;ホスホルアミド〔P=O(O
b)N(Ry)Rz およびP=O(OMb)NHRx〕;
スルフィノ(SO2b);スルホ(SO3b);構造C
ONMbSO2x、CONMbSO2N(Ry)Rz、SO2
NMbCON(Ry)Rz;およびSO2NMbCNより成
る群から選ばれたアニオン性官能、ここにおいて Rx はフェニルまたはヘテロアリールであり、ここにお
いてヘテロアリールは5員または6員環原子を有する一
環式芳香族炭化水素基であり、そこの1個の炭素原子が
結合個所であり、そこの該炭素原子の1個は窒素原子に
よって置換されており、そこにおいては1個の追加の炭
素原子は、場合によっては、OまたはSから選ばれたヘ
テロ原子によって置換され、そこにおいては1個〜2個
の追加の炭素原子は、場合によっては、窒素ヘテロ原子
によって置換され、そしてここにおいてはフェニルおよ
びヘテロアリールは、場合によっては、上記に定義した
如きRqによってモノ置換され;Mb は上記に定義した
通りであり;RyおよびRzは上記に定義した通りであ
り; ac)環中の炭素原子の1個がO、S、NHまたはN
(C1〜C4アルキル)から選ばれたヘテロ原子によって
置換され、追加の1個の炭素原子が、NHまたはN(C
1〜C4アルキル)によって置換されることができ、各窒
素ヘテロ原子に隣接した少なくとも1個の炭素原子が、
1個の酸素につて置換される結合した水素原子を2個有
し、かくしてカルボニル部分を生成し、1個または2個
のカルボニル部分が環中に存在するC5−C7シクロアル
キル基; ad)場合によっては上記の置換基a)〜ac)の1個
によってモノ置換されたC2〜C4アルケニル基、および
場合によっては上記に定義されたようなRqにより置換
されたフェニル; ae)場合によっては上記の置換基a)〜ac)の1個
によってモノ置換されたC2〜C4アルキニル基; af)C1〜C4アルキル基; ag)上記の置換a)〜ac)の1個によってモノ置換
されたC1〜C4アルキル; ah)結合個所がオキサゾリジノン環の窒素原子であ
り、環の酸素原子が場合によっては−S−およびNRt
(ただしRtは上記に定義された通りである)から選ば
れたヘテロ原子によって置換され、オキサゾリジノン環
の飽和炭素原子の1個が場合によっては上記の置換基
a)〜ag)の1個によってモノ置換された2−オキサ
ゾリジノニル部分;および Mはi)水素; ii)薬学的に許容し得るエステル化基または除外可能な
カルボキシル保護基; iii)アルカリ金属またはその他の薬学的に許容し得る
カチオン;または iv) 正に帯電された基によって平衡させられた負電荷
から選ばれる。
【0008】本発明はまた次の式の新規のカルバペネム
中間体を提供する:
【化43】 式中、RはHまたはCH3であり;XhはOまたはSであ
り;Raは上記に定義されている、ただしRqはさらにO
P’を含み、ここにおいてP’は以下に定義され、Rq
のMaおよびMbは両方ともMを含み、そしてタイプdの
ヒドロキシル置換基はさらに保護されたヒドロキシル、
OP’であることができ;P’はヒドロキシルのための
除去可能な保護基であり;そしてMはカルボキシのため
の除去可能な保護基であり;そしてタイプI、Ra置換
基はアニオン型のZで平衡させられ、ここにおいて Zはメタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスル
ホニルオキシ、フルオロスルホニルオキシ、p−トルエ
ンスルホニルオキシ、2,4,6−トリイソプロピルベ
ンゼンスルホニルオキシ、p−ブロモベンゼンスルホニ
ルオキシ、p−ニトロベンゼンスルホニルオキシ、臭素
およびヨードである。好ましい中間体は次の式を有す
る。
【化44】 式中、Rは−Hまたは−CH3であり;Ra はH、O
P’、Cl、Br、I、SCH3、CN、CHO、SO
CH3、SO2CH3、CO2M、CH2OP’およびCO
NH2よりなる群から選ばれ;P’はヒドロキシルのた
めの除去可能な保護基であり;Mはカルボキシルのため
の除去可能な保護基であり;そしてZはアルキルスルホ
ニルオキシ、置換されたアルキルスルホニルオキシ、ア
リールスルホニルオキシ、置換されたアリールスルホニ
ルオキシ、フルオロスルホニルオキシおよびハロゲンよ
り成る群から選ばれ;但し、−CH2-Z部分は上記に番
号を付したベンゾクマリンの3−位または4位にある。
【0009】式Iの化合物の製造は3工程の合成スキー
ムとそれに続く保護基の除去を行なう最終スキームによ
って行なうことができる。第1合成工程の目的は式Iの
カルバペネムの2位の置換基となる基体ベンゾクマリン
化合物の生成である。第2合成工程の目的はこの基体ベ
ンゾクマリンをカルバペネムに結合することである。最
後に、第3合成工程の目的はベンゾクマリンを所望のR
a で置換することである。この第3合成工程は、多様な
aの性質に応じて、第1合成工程の後、あるいは第2
合成工程の途中又は後に行なうことができる。
【0010】フローシートA1およびA2はここに提案
した第1工程の合成を示す。フローシートBおよびCは
2通りの第2工程の合成を示す。第3工程は選択したR
aに応じて変わる。
【0011】ここに提案した第1合成法、フローシート
A1及びA2、はSuzukiクロス−カップリング反
応に必要な原料を製造するためのオルト指向メタル化反
応(a directed ortho metalation reaction)及び初期
のベンゾクマリンプラットフォームを生成する最終的閉
環反応として一般的に記載されている。この提案された
第一合成法は、スニーカス(Snieckus.
V.),Chem.Rev.1990年,90,879
−933頁;シャープ(Sharp,J.M.)及びス
ニーカス、Tet.Lett,1985年,26,59
77−6000頁によって類似のベンゾクマリン化合物
を製造するのに利用されている。ビアリール及びフェナ
ンスリドンの同様な製造法がベンゾクマリンに利用で
き、フー(Fu.J.M.)およびスニーカス、Te
t.Lett,1990年、31,1665頁;シディ
ッキ(Siddiqui,M.A.)ら、Tetrah
edronLett.,1988年、29巻、5463
−5466頁;ミルズ(Mills,R.J.)ら、
J.Org.Chem.,1989年,54,4372
−4385頁及びスズキ(Suzuki,A.)ら、
yn.Comm.,1981年、11,513−519
頁に記載されている。
【0012】フローシートA1を参照すると、化合物
1−1は上記スニーカスらの方法によって指向メタル化
基(a directed metalation group: DMG)で置換さ
れている。指向メタル化基(DMG)の機能は芳香族環
の飾り立てを配置することである。DMGが目的のベン
ゾクマリンのラクトン結合を形成するのに必要なカルボ
キシ機能又はフェノリック機能のための前駆置換基を準
備することはDMGに多く望まれることである。カルボ
キシ前駆体として使用される適当なDMGは2級又は3
級アミド類又はオキサゾリノ基である。特に、これらの
前駆体は、例えば、−CONEt2、−CONHMe、
4,4−ジメチル−2−オキサゾリニル、等であり得
る。化合物A1−1の場合、DMGはカルボキシル前駆
体型である。フェノリック前駆体として使用される適当
なDMGはカーバメート又エーテル類である。特にこれ
らの前駆体は、例えば、O−メトキシメチル(OMO
M)、OMe、OCONEt2、2−(トリメチルシリ
ル)エトキシメトキシ(OSEM)などであり得る。下
記の化合物A2−1は例えば、フェノリック前駆体型の
ものである。
【0013】フローシートA1の第一工程として、化合
A1−1 のブロミンは約−100乃至−50℃の間
で、トリメチルシリルクロライド(TMS−Cl)の存
在下、ハロゲン金属交換を経てシリル化によって保護さ
れアリールシラン化合物A1−2が得られる。オルソ置
換基Ra 又はその適当な前駆体の化入は化合物A1−2
に上記スニーカスら記載の標準的指向メタル化手法に従
って行なわれる。生成した置換アリールシランA1−3
は繰り返しオルトメタル化(オルト金属化)されそして
適当なボロン含有電子試薬で処理されて必要なアリール
ボロン酸A1−4が得られる。適当なボロン含有親電子
試薬は硼酸トリメチル及び硼酸トリ−i−プロピルの様
な硼酸低級アルキルを含む。また、フローシートには示
されてないが、オルト金属化された化合物はトリアルキ
ル錫ハライドの様な親電子試薬で処理されて対応するア
リールスタナンを生成し、このものは順にスチル(St
ille)ら、J.Am.Chem.Soc.,198
7年,109巻,5478−5486頁によって報告さ
れている様にビフェニル類の製造に於て有用な中間体で
ある。ビフェニル中間体A1−6の製造はSuzuki
クロス−カップリング手法及び適当に修飾されたアリー
ル化合物A1−4及びA1−5を使用するフローシート
で完成される。Suzukiカップリングは一般にトル
エン/エタノール溶媒中で炭酸ナトリウム水溶液の存在
下でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
(0)触媒を使用するアリールボロン酸とアリールハラ
イドまたはハライド当価物との反応として記載される。
生成したビフェニル化合物は標準的方法で分離される。
化合物A1−5はそれ自身標準的方法で製造され、ハロ
ゲン置換体、X″、フェノリック部分−OR'及び初期
の置換基Raを有する化合物又はその前駆体を得ること
ができる。好ましいハロゲンX”は臭素、沃素またはハ
ロゲン当価のトリフロオロメタンスルホニルオキシであ
る。好ましいフェノリック部分、−OR’は上記酸素ベ
ースDMGまたは保護基がDMGでない適当に置換され
たフェノールのいずれでも良い。ビフェニル化合物A1
−6は続いて塩化メチレンまたはその他の適当な溶媒中
でヨードモノクロライドを使用してトリメチルシリル部
分のipso置換を経由してハロゲン化ビフェニルA1
−7に変換される。どんなハロゲン化試薬も適当であ
り、例えばIBr、NBS、I2、Br2等であり、これ
らは既に存在する官能性基と相溶性でなければならな
い。最終的に、目的化合物、B1−1、はフェノリック
部分とDMG中に潜在しているカルボキシ前駆体とのラ
クトン化を経て得られる。
【0014】フローシートA2を参照すると、レジオ異
性(regioisomeric)ベンゾクマリンB1−2はベンゾ
クマリンB1−1のそれと同様な方法で製造できる。化
合物A2−1は化合物A2−1のDMGがアミノ前駆体
型である点において化合物A1−4と相互に似ていな
い。化合物A2−1は適宜に修飾された化合物A2−2
と反応してSuzukiクロス−カップリング手法を利
用してビフェニル中間体A2−3とすることができる。
上記の様にビフェニル化合物A2−3はハロゲン化ビフ
ェニルipso置換体A2−4に変換されてそして最終
的にラクトン化によって目的のベンゾクマリンB1−2
に変換される。
【0015】フローシートA1及びA2で示される如
く、当業者は可能な限り有利ないくつかの変形を認識す
るであろう。一つの変形法に於ては、シリコンのハロゲ
ンへのipso置換は環化の後で行なわれて目的のベン
ゾクマリンを生成する。他の変形法に於ては、化合物
1−5及びA2−2はそれぞれ−NR'2 及びCO2Me
に代えて、DMG置換基を使用して修飾される。上記の
様に、DMG置換基は製造時に於るRa 又はその前駆体
の修飾を指向している。上記の様に、DMGは適宜には
カルボキシ前駆体型又はフェノリック前駆体型のもので
ある。更に別の変形法では、中間体B1−1又はB1−
のオキソカルボニルはLawesson型試薬を使用
して、または適当な溶媒中で5硫化燐で処理してチオカ
ルボニルに変換されてSとしてXhを生成する。Sとし
てXhを生成する別の変形法は炭素ベースのDMGを使
用する事であり、ここではオキソカルボニル部分はチオ
カルボニルで置換される。チオカルボニルを含む適当な
炭素ベースのDMGは−(C=S)NH−フェニルであ
る。XhがSである化合物が適当であるが、XhがOであ
る化合物も好ましい。
【0016】ベンゾクマリンB1−1又はB1−2を製
造する前記方法はここでは好ましいが、もちろん他に適
当な方法がある。一つの方法としては、既知の手法で製
造されたベンゾクマリンを生成するアブデル−ラチフ
(F.F.Abdel−Latif),Gazz.Ch
em.Ital.1991年、121,9−10頁の方
法はそれに続くブロム化又は出発原料のブロム置換で修
飾されてここに必要なベンゾクマリンを得る事ができ
る。ブリッグマン(G.Brigmann)ら、Ang
ew.Chem.英語国際版、1990年、29,97
7−991頁の方法、又はユング(Jung,M.E)
ら、Tetrahedron Lett.1988年、
29,2517−2520頁の方法又はデシュパンド
(Deshpande,P.P.)ら、Tetrahe
dron Lett.1990年、31,6313−6
316頁の方法も利用出来る。フローシートA1
【化45】 フローシートA1(続き)
【化46】 フローシートA2
【化47】
【0017】フローシートA1およびA2の目的化合
物、ベンゾクマリリン、B1−1及びB1−2はここで
教示するカルバペネム化合物の2位置置換基の核を形成
する。このように、Raが置換されるように示されてい
る。しかしながら、もし化合物A1−1 、A1−5
2−1又はA2−2上の置換が残っていないか、又は化
合物B1−1又はB1−2の合成を許容しないのであれ
ば、Raが上記で示されることは、当業者に直ちに明らか
なことである。それゆえ、Raが化合物B1−1又は
1−2上に望まれ、そしてこのRaB1−1又はB1
−2を生成する合成スキームと両立しない場合には、両
立し得る前駆置換基を合成中に用いることができる。
【0018】使用される前駆体置換基の本質は、B1−
又はB1−2への合成を妨げず、その後により好まし
い置換基へ転換され得る限りにおいて、決定的でない。
好ましい前駆体置換基Ra は、メチル、ヒドロキシメチ
ル及び保護されたヒドロキシメチルである。
【0019】それ故、化合物B1−1又はB1−2上の
置換基Ra に関しては、化合物B1−1又はB1−2
製造する条件に対して安定であり、且それに続くカルバ
ペネムへのB1−1又はB1−2の付加の条件に安定で
ある保護基を有するRaであるか、又は有さないRaであ
る事ができる。あるいは又、B1−1又はB1−2を作
る条件に対して安定であり、所望の場合には、B1−1
又はB1−2のカルバペネムへの付加の条件に対して安
定であり、そして所望のRa へ転換できるか、又は他の
前駆体置換基へ転換できる安定な前駆体置換基であるこ
とができる。
【0020】上述のごとく、第2工程の合成は基本ベン
ゾクマリンB1−1又はB1−2のカルバペネムの2−
位置への付加である。基本カルバペネムへB1−1又は
B1−2を付加する一つの方法はグリニヤール反応を利
用する。しかしながら、この方法ではB1−1又はB1
−2そのように利用できない。その代わり、ベンゾクマ
リン前駆体、即ちビフェニル、は第2工程でグリニヤー
ル試薬として使用できる。このように、グリニヤール反
応を利用するこの方法では、上記のように、第1工程合
成は第2工程合成で完結する。安定なRa 又は適当な前
駆体置換基の場合、ビフェニルA1−7はフローシート
Bに示される如くグリニヤール反応において、アゼチジ
ン−2−オンB2に付加される。同様にビフェニルA2
−4はメチルエステル部分が酸に加水分解されてしまっ
ている所に付加される。グリニヤール反応は、例えば
1−7が、20乃至60℃のTHF中においてマグネシ
ウム及び1,2−ジブロモエタンと反応してグリニヤー
ル試薬に変換され、続いて−70乃至約20℃のTHF
中において、グリニヤール試薬としてのA1−7B2
と接触して、アゼチジン−2−オンB3を生成する。あ
るいは又、B1−1は、−78乃至−50℃のTHF中
において、t−ブチルリチウム、n−ブチルリチウムな
どと反応し、次にマグネシウムを加えて、同じグリニヤ
ール試薬を生成する。B3のRiは、実際にはピリジ−
2−イルであるが、芳香族又はヘテロ芳香族置換基を含
む種々の置換であることができる。更に、Ri は、例え
ばフェニル、2−ピリミジニル又は2−チアゾリルであ
ることも出来る。グリニヤール反応に続いて、上記の如
くビフェニル部分はB4を生成するベンゾクマリンプラ
ットフォームに転換される。
【0021】アゼチジン−2−オンB4は、カルバペネ
ムへ閉環できる中間体である。この中間体上において、
a、又は前駆体置換基は、その修飾がカルバペネム核
と両立できない場合には、修飾される。
【0022】化合物B4をキシレン中、痕跡のp−ヒド
ロキノンと共に約1〜2時間不活性雰囲気中で還流する
ことにより、カルバペネムB5に閉環出来る。この中間
物上で、前駆体置換基からRa、例えばヒドロキシメチ
ルの最後の仕上げを遂行できる。カルボキシル又はヒド
ロキシル保護基の除去は一般式Iの最終化合物をを与え
る。このような最終の仕上げと脱保護を更に詳細に次に
記載する。フローシートB
【化48】
【0023】フローシートCは、別の好ましい第2工
程、即ちB1−1のような基本ベンゾクマリンを、カル
バペネムの2位に結合させる合成を示す。この合成はカ
ルバペネムトリフラートと適当に置換したアリールスタ
ナンの、パラジウムを触媒としたクロスカップリング反
応を含むが、ここに組入れた1991年2月4日出願の
米国特許出願第650,011号に説明されている。こ
の合成を適用するためには、まずベンゾクマリンB1−
をトリメチルスタニルベンゾクマリンC3に修飾する
必要がある。これは、ベンゾクマリンB1−1を、テト
ラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(O)の
ようなパラジウム(O)触媒の存在下トルエンのような
不活性溶媒中で25乃至110℃、0.25乃至24時
間ヘキサメチル二錫と反応して、同じスタナンC3を得
る事ができる。フローシートCを参照しつつ、2−オキ
ソカルバペネムC1を、無水トリフルオロメタンスルホ
ン酸のような適当なトリフルオロメタンスルホニル供給
源と、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン等の有
機窒素塩基の存在下、テトラヒドロフラン又は塩化メチ
レンのような極性非プロトン性溶媒中で反応させる。所
望の場合その後、トリエチルアミン等の有機窒素塩基を
反応溶液に加えて、その後直ちにトリメチルシリルトリ
フルオロメタンスルホン酸塩等のシリル化剤を加えて、
中間体C2を作る。DMF、1−メチル−2−ピロリジ
ノン等の非プロトン性極性配位溶媒を任意に加える。引
き続きトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム
−クロロフォルム、酢酸パラジウム等のパラジウム化合
物、所望の場合、トリス(4−メトキシフェニル)ホス
フィン、トリス(2,4,6−トリメトキシフェニル)
ホスフィン等の適当な置換フェニルホスフィン及びスタ
ナンC3を加える。塩化リチウム、塩化亜鉛、又は塩化
アンモニウム等のハライド源を加えて、反応溶液を0乃
至50℃の適当な温度に温めて、数分間乃至48時間攪
拌する。カルバペネムC4はこの分野で既知の従来の単
離/精製方法で得られる。
【0024】一般的に言って、フローシートCに示した
より穏やかな合成条件の方が、フローシートBに説明し
た合成よりも、より広範囲の官能基Raの存在を許容す
る。しかし場合によっては、スタナンC3のRa置換基
が保護された形又は前駆体の形で導入されるのが有利で
ある。例えば、ヒドロキシメチル等の前駆体置換基から
aを最終的に仕上げるには、カルバペネム中間体C4
上で行なう。その後、ヒドロキシル又はカルボキシル保
護基を取り除くと、式Iの最終化合物が得られる。この
ような最終的な仕上げと保護基の除去については、後に
更に詳しく説明する。フローシートC
【化49】
【0025】ピリジル−チオエステルであるアゼチジン
−2−オンB2は、カルバペネムの製造において良く知
られた化合物である。当業者であれば、B2を作るのに
役立つ様々な合成スキームを思い付くであろう。特に本
発明に役立つのは以下のフローシートDの合成スキーム
であり、記号Rは先に定義した通りである。中間体B2
の製造工程は、例えばここに参考として組み入れた米国
特許第4,260,627号、第4,543,257号;ガ
マ(L.D.Cama)らTetrahedron,39、253
1頁(1983);グチコンダ(R.N.Guthikond
a)ら、J.Med.Chem.30、871頁(19
87)に記載の方法と類似のものである。フローシートD
【化50】 フローシートD(続き)
【化51】
【0026】2−オキソカルバペネム中間体C1の製造
工程は、この分野でよく知られており、その詳細は、メ
リロ(D.G.Melillo)ら、Tetrahedron Lett.,
21、2783頁(1980)、ザルツマン(T.Sal
zmann)ら、J.Am.Chem.Soc.102、61
61頁(1980)、及びフューテ(L.M.Fueute
s)、シンカイ(I.Shinkai)とザルツマン、J.A
m.Chem.Soc.108、4675頁(198
6)に豊富に説明されている。また、この合成は、すべ
てメルク社の有する米国特許第4,269,772号、
第4,350,631号、第4,383,946号及び
第4,414,155号にも開示されている。これらを
参考としてここに組み入れる。
【0027】前出フローシートで示されている一般的な
合成は、カルバペネムの6−位上の保護された1−ヒド
ロキシエチルの置換を示している。最後の保護基の除去
の後に、1−ヒドロキシエチル置換基が得られるが、こ
れは殆どの場合において好ましい。しかしながら、ある
種の2位の側鎖を選択した場合には、分子全体の好まし
い性質の究極的なバランスが、6−(1−フルオロエチ
ル)部分を代りに選択することで高められる、というこ
とが知られている。本発明の範囲にある6−フルオロア
ルキル化合物の製造は、カルバペネム抗菌化合物の製造
の分野で周知の技術を用いてそのまま行なわれる。例え
ばデブリース(J.G.deVries)ら、Heterocycles
23(8)、1915頁(1985);BE900,7
18A(Sandoz)及び特開昭60−163882
(サンラク・オーシャン)を参照のこと。
【0028】本発明の化合物において、Ra置換基の一
つはタイプIでなければならない。一般的に、抗MRS
A/MRCNS作用は、ベンゾクマリン核によって与え
られる独特な分子全体の立体的形状の結果であると推測
される。タイプIの置換基は分子に更に大きな抗MRS
A/MRCNS作用を与える。
【0029】タイプIIのRa 置換基は、化学的におよ
びそれらが与える生物学的特性の点で、タイプIの置換
基と区別できる。関連化合物ではタイプIIで置換した
化合物の方がより水に溶けやすく、CNSの副作用の程
度をおさえることが知られている。分子全体の水へのよ
り大きな溶解度をもたらすであろう置換基が有利である
ことが知られているが、これは、それによって当該化合
物の移動を改善すると期待されているからである。ここ
にはかなりの数の様々なタイプIIの置換基が述べられ
ているが、これらはすべて、医化学的観点から見た置換
基の生物学的特性に基づく本発明の一部と考えるべきで
ある。
【0030】本発明の化合物では、必要なタイプIの置
換基と任意のタイプIIの置換基を組み合わせることが
できるので、一つの置換基のみでは得ることのできない
最終分子全体の望ましい特質の組み合わせ、即ちよりよ
い抗MRSA/MRCNS作用と高められた水への溶解
性を得ることができる。
【0031】本発明の化合物に用いるタイプIの置換基
は、4級窒素基を有する事ができ、前述のタイプIで説
明したように、環状タイプと非環状タイプのどちらも含
む。既に指摘したように、ただ1個の置換基Raが、タ
イプIに定義した一群から選択されたものでなければな
らない。一個又は多くとも3個の残りの置換基は、任意
にタイプIIに定義した一群から選択出来る。例えば3
−位のRaをタイプIとし、7−位のRaをタイプIIと
し、残りの置換基を水素とすることができる。
【0032】好ましい式Iの化合物において、R1は水
素である。より好ましくは、R1が水素で、R2
(R)−CH3CH(OH)−又は(R)−CH3CH
(F)−である。最も好ましいものは、R1が水素、R2
が(R)−CH3CH(OH)−である。大抵はRがH
であることが好ましいが、RがCH3 であるとよりよい
化学安定性、水への溶解性又は薬動力学的挙動を与える
場合がある。CH3である置換基Rは、α及びβのどち
らの立体異性体であっても良い。更に好ましい化合物で
は、ベンゾクマリンの3−、4−又は7−位の少なくと
も一個のRa は水素以外のものである。最も好ましい化
合物においては、全体で、2個のRa置換基は水素以外
である。
【0033】好ましいタイプI.a)の置換基は以下の
ものを含む:
【化52】
【化53】
【化54】
【化55】 式中、X=O、S、又はNRc。タイプI.a)の構造
式では、Rcは不特定の位置を占めることが示され、そ
れは環のいずれかの炭素に結合している。
【0034】好ましいタイプI.b)の置換基は以下の
ものを含む:
【化56】
【化57】
【化58】
【化59】 式中、X=O、S、又はNRcそしてX'=O又はS。タ
イプI.b)の構造式では、Rc及び/又はA'は不特定
の位置を占めることが示され、それらはそれぞれ環のい
ずれかの炭素に結合している。
【0035】好ましいタイプI.c)の置換基は以下の
ものを含む:
【化60】 式中、WはO、S、NRe、N(O)Re、SO、S
2、又はN+(Re)そしてW'はN+e又はNOであ
る。タイプI.c)の構造式では、Rqが不特定の位置
を占めることが示され、それは環のいずれかの炭素に結
合している。
【0036】好ましいタイプI.d)の置換基は以下の
ものを含む:
【化61】 タイプI.d)の構造式では、Rq及び/又はA'qが不
特定の位置を占めることが示され、それは環のいずれか
の炭素に結合している。
【0037】ここにRc 置換基は、ベンゾクマリニル環
のタイプI.a)又はI.b)の置換基のさらなる置換基
を表わしている。前に見たように、これらのタイプI.
a)又はI.b)の置換基はヘテロ原子を有する単環又
は二環の芳香族基である。この一群の第1の置換基が決
まれば、さらなる適当な置換基は、ペネム及びカルバペ
ネムの分野の技術で簡単に見つけられる。たとえば、タ
イプI.a)又はb)に対する適当な置換基について
は、Merck and Co. の有する米国特許第4,729,
993号又はBristol-Myers Co. の有する米国特許
第4,746,736号に教示されている。これらの特
許は本出願書に引用されとりこまれている。
【0038】大まかには、Rc は同じでも異なってもよ
く、前記で定義した基とは独立に選択できる。そのよう
な置換基が1個だけあるのが好ましいが、たとえば複数
の置換基を用いてある特定の置換基の効果を高めること
が望ましい場合には、Ra に2個までのそのような置換
基を用いることがある。具体的なRc の選択は、状況に
よって変わる。たとえば、特定のRc は窒素カチオンに
特に安定性を与えるであろう。別の場合には、たとえば
一方で水への溶解度又は分子全体の作用の持続等の他の
性質を向上させることがわかっている置換基を用いるこ
とが望ましいこともあるし、特定の微生物に対する分子
全体の抗菌作用を高めることがわかっている置換基もま
た用いるのが望ましいこともあるだろう。
【0039】ここでのRc の範囲には、タイプI.a)
又はb)の置換基と結合する2つの特定のタイプのさら
なる置換基が含まれる。第1のタイプのRc は環の炭素
に結合するものであり、第2のタイプのRc は中性の環
窒素に結合するものである。この分野に精通する者なら
ば、広い範囲の有機置換基をRc として適切に用いるこ
とができるのが容易にわかるだろう。又、この分野に精
通する者は、−NRyz を含めたいくつかの置換基
が、Rc の一方の目的、すなわち炭素の置換に有用であ
っても、他方の目的、すなわち窒素の置換には同じよう
な有用でないのがわかるだろう。
【0040】環の炭素原子と結合する好ましいRc は、
−NH2、−SCH3、−SOCH3、−CH2OH、−
(CH22OH、−OCH3、−COOMb、−CH2
OOMb、−CH2CH2COOMb、−CH2SOCH3
−CH2SCH3、−SO3b、−CH2SO3b、−CH
2CH2SO3b、−Br、−Cl、−F、−I、−CH
3、CH2CH3、CH2CONH2 及びCH2CON(C1
−C4アルキル)である。ただしここにMb は前記に定
義したものである。中性の環の窒素と結合する好ましい
cは−H、−CH2OH、−(CH22OH、−CH2
COOMb、−CH2CH2COOMb、−CH2SOC
3、−CH2SCH3、 −CH2SO3b、−CH2CH2
SO3b、−CH3、CH2CH3、CH2CONH2 及び
CH2CON(C1−C4アルキル)である。ただしここ
にMb は前記に定義したものである。
【0041】タイプI.a)又はb)の置換基それぞれ
が、水素以外のRc 置換基を2個しか持たないことが好
ましい。したがって、前者のタイプI.a)の置換基に
関する構造式は、2個までRc 置換基を持ち、もちろん
残りは水素である。さらに、タイプI.b)の置換基の
構造式もまた、2個までのRc を許容する。これらの構
造式に対応して、すでに掲げたより具体的な構造は各単
環又は二環基に対して2個しかRc を持たないと考える
べきである。タイプI.c)又はd)の置換基に関して
も同様に、各単環又は二環基は1個のRq 置換基しか持
たないのが好ましい。
【0042】Rd の範囲には、タイプI.b)又はd)
の置換基に結合する一種類のタイプのさらなる置換基が
含まれる。Rd 置換基はカチオン性窒素原子に結合する
が、芳香族であってもなくてもよい。カチオン性の窒素
原子と結合する好ましいRdは水素、−CH3、−CH2
CH3、−CH2CH2CH3、−CH2COOMb、−CH
2SO3b、−NH2及びO(-)であるが、ここにMbは前
記に定義したものである。
【0043】タイプIa、Ib、Ic及びIdの置換基
を示す構造式は、これら置換の正に帯電した状態を示
す。これらの置換基のうちのあるものについては、窒素
原子に結合するプロトン付与性水素原子を持つためにカ
チオン性になっているが、一定の条件下、たとえば、そ
のような水素原子が存在しない時には(すなわち、タイ
プIbではRdがない場合、タイプIcではRwがない場
合、そしてタイプIdでは0ないし1個のRd がある場
合、といようにヘテロ環のタイプに依存する)、中性の
置換基としても存在する、あるいは生成できると考えら
れる。このようなタイプIa、Ib、Ic又はIdの置
換基が与えられた物理的状態で主にカチオン性となるか
又は中性となるかは、酸塩基化学の原理により決定する
が、これはこの分野に精通する者にはよく知られてい
る。たとえばカチオンの形態に対する中性の形態の特定
の比率は、アミンの塩基性度と溶液の酸性度に左右され
る。そのような置換基がプロトン化された第4級の状態
の時、化合物は、電気的に分子内部で中性である双性イ
オンか、あるいは分子外部で電気的に中和されたアンモ
ニウム塩として存在する。説明のため、もしタイプIb
の置換基上にRd が存在しなければ、その置換基は中性
と考えられる(窒素に正の荷電がない)。このような置
換基を有する化合物は、通常は塩のかたちで生成する
が、ここにMはアルカリ金属であり、その中性の形態で
溶液として存在することもできる。しかし、条件によっ
ては、中性のタイプIbの置換基を有する化合物は、第
4級化したプロトン化された置換基を有する、対応する
化合物と平衡状態にあり、又、その化合物を示す構造式
で表わすことができるが、この式中にはRd が存在し、
それは水素原子である。さらに、同じ化合物は、完全に
プロトン化されて第4級化した形態、たとえば、当量の
強い鉱酸の存在下の水溶液の形態でタイプIbの置換基
を有して存在できる。本出願書では、今述べた種類のタ
イプIa、Ib、Ic及びIdの置換基のプロトン化さ
れた(カチオン性の)形態と、プロトン化されない(中
性の)形態のいずれも、本発明の範囲内にあると考え
る。
【0044】適当なAスペーサー部分には、−CH
2−、−CH2CH2 −、−CH2CH2CH2−、−CH2
CH2CH2CH2−、−OCH2CH2−、−SOCH
2−、−SO2CH2−、−SCH2CH2−、−SOCH2
CH2−、−SO2CH2CH2−、−NHCH2CH2−、
−N(CH3)CH2CH2−、−CH2N(CH3)CH2
CH2−、−CONHCH2CH2−、−SO2NHCH2
CH2−、−COCH2−、−CH=CHCH2−及び−
CH2OCH2CH2−が含まれる。好ましくは、Qが
O、S、NH又はN(C1-4アルキル)であれば、その
時n=2〜6である。
【0045】適当なA'は上にAとして掲げたものであ
り、さらに、A’は−O−、−S−、−NH−、−SO2
−、−SO2NH−、−CONH−、−CH=CH−、
−CH2S−、−CH2NH−、−CONHCH2−又は−
SO2NHCH2−であってよい。
【0046】ベンゾクマリンをカルバペネムに結合され
た後、一般的には、タイプIのカチオン性置換基をベン
ゾクマリンに付加する。簡単には望ましいカチオン性置
換基へと仕上げのできる先駆体置換基を有するベンゾク
マリンの側鎖を合成する。先駆体置換基の種類は、望ま
しい個々のRaによって異なる。たとえば、このような
先駆体置換基の1つは、ヒドロキシメチルのような−A
−OHである。
【0047】ヒドロキシメチル先駆体置換基は、水酸基
をヨウ化物などの(−A−Iを与える)活性脱離基にか
えた後に、望みの窒素を有する芳香族化合物と反応させ
ることによって、タイプI.a)のカチオン性置換基へ
と仕上げることができる。さらに具体的には、−A−部
分上に脱離基を作って、ひきつづきこの脱離基を今述べ
たタイプのカチオン性置換基で置換するのに、2つの別
の工程が利用できる。
【0048】最初の工程では、−A−OHの水酸基を、
トリエチルアミンの存在下に塩化メタンスルホニルで処
理して、スルホン化メタンに変える。たとえばジクロロ
メタンなどの適当な溶媒を用いて、反応は低い温度で行
なう。次にそれ自体が脱離基であるこのスルホン化メタ
ン中間体を、たとえばアセトン等の適当な溶媒中で、低
い温度又は室温で、ヨウ化ナトリウムと処理して、反応
性ヨウ化物誘導体に変える。別の方法としては、水酸基
を、この分野で周知の方法で直接にヨウ化物基に変えて
もよい。たとえば、水酸基を、ジメチルホルムアミド等
の適当な溶媒中で、低い温度又は室温で、ヨウ化メチル
トリフェノキシホスホニウムで処理すると、ただちに望
みのヨウ化物が得られる。いったんヨウ化物が形成され
ると、このヨウ化物を、例えばピリジン等のヘテロ芳香
族化合物である所望の窒素を有する化合物と処理するだ
けで、カチオン性置換基の導入が行なえる。又、この置
換反応は、反応混合物に過剰のトリフルオロメタンスル
ホン化銀を加えることで促進できるが、この場合には、
しばしば低い温度が望ましい。
【0049】第2の工程では、−A−OHの水酸基は、
反応性トリフルオロメタンスルホン化物(トリフラー
ト)基に変えられる。しかし、このような活性化基は、
従来の技術では単離できず、形成してそのままの状態で
用いる。したがって、水酸基を、2,6−ルチジン、
2,4,6−コリジン又は2,6−ジ−t−ブチル−4
−メチルピリジン等の束縛された非求核性塩基の存在下
に、ジクロロメタン等の適当な溶媒中で低い温度で、ト
リフルオロメタンスルホン酸(トリフリック)無水物で
処理して、トリフレート活性化基を作る。その後、その
まま前記トリフレートを、望ましい窒素を有する化合物
と低い温度で反応させることによって、カチオン性の基
の導入が行なわれる。ある場合には、反応する窒素を有
する化合物を、トリフレート活性基の形成のための塩基
として用いることが可能であり望ましい。この場合、水
酸基を、少なくとも倍当量の反応する窒素化合物の存在
下に、前記の条件の下に無水トリフレート酸で処理する
と、カチオン性置換基が得られる。
【0050】以下は適当な脱離基の代表例である。すな
わちアルキルスルホニルオキシ、置換したアルキルスル
ホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、置換したア
リールスルホニルオキシ、フルオロスルホニルオキシ及
びハロゲンである。通常のスルホン酸塩脱離基は、メタ
ンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオ
キシ、フルオロスルホニルオキシ、p−トルエンスルホ
ニルオキシ、2,4,6−トリ−イソプロピルベンゼン
スルホニルオキシ、p−ブロモ−ベンゼンスルホニルオ
キシ及びp−ニトロベンゼンスルホニルオキシである。
好ましいハロゲン脱離基は、臭素とヨウ素である。これ
らのアルキル及びスルホン酸アリールの脱離基は、塩化
スルホニル又は無水スルホン酸に用いた前記の経路と類
似の経路を用いて製造できる。
【0051】カチオン性置換基が置換基Rc を有する場
合に、この置換基を得る最も簡単な方法は、前記の製造
方法において、すでに所望の置換基を持っている窒素を
有する化合物を反応物として用いることである。このよ
うな置換された化合物は、容易に入手できる出発物質で
あり、もしくは既知の文献に記載の方法を用いた単純な
方法で製造できる。
【0052】タイプI.b)のカチオン性置換基は、ベ
ンゾクマリン環上で、中性先駆体置換基の芳香族環の窒
素を第4級化することにより製造する。中性先駆体置換
の例は、−CONHCH2−(2−ピリジル)、−CO
NHCH2−(4−ピリジル)又は−SO2CH2−(4
−ピリジル)である。第4級化は、不活性有機溶媒中で
(例えばCH2Cl2)、約0゜ないし室温で、窒素化合
物をアルキル化剤Rd−Yと反応させて行なうが、ここ
にRdは前記のものであり、Yはヨウ化物、臭化物、メ
シレート(メタンスルホン酸塩)、トシレート(p−ト
ルエンスルホン酸塩又はO−トリフレートのような脱離
基である。別の方法としては、適当な溶媒中で(例えば
ジクロロメタン又はCH3CN)、ほぼ室温で、3−クロ
ロ過安息香酸等の(N−オキシドを与える)酸化剤、又
はo−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホ
ニル)ヒドロキシアミン等の(N−アミノ誘導体を与え
る)アミジン化剤と反応させて、芳香族環窒素を第4級
化できる。さらに、中性先駆体置換基は、塩基性芳香族
環窒素のプロトン化によってカチオン性になる。これ
は、中性先駆体を適当な無機又は有機酸、たとえば塩
酸、リン酸、臭化水素、酢酸又は安息香酸で処理して行
なえる。さらに、プロトン化は、カルバペネム上のC−
3位カルボキシルを含めた、分子中の他の場所のカルボ
ン酸官能基によって行なえる。中性先駆体置換基は、カ
ルバペネムへナフタレンを組合させる時に、すでにベン
ゾクマリン環に結合していてもよいし、カルバペネムへ
ナフタレンを結合した後に、より簡単な先駆体から仕上
げてもよい。仕上げのための先駆体置換基の例は、ヒド
ロキシメチル等の−A'−OHである。提案した合成の
ひとつでは、ヒドロキシを、前記のヨード等の反応性脱
離基に変えることができる。その後ヨーソは、CH2
H又はCH2NH2 等の求核性の側鎖置換基を持った窒
素を有する芳香族化合物と、求核置換反応させる。この
置換反応によって、反応性求核試薬は側鎖置換基であっ
て、芳香族環の窒素ではない。この反応の適当な基質に
は、2−(メルカプトメチル)ピリジン、2−アミノピ
リジン、2−(アミノメチル)ピリジン又は4−(メル
カプトメチル)ピリジンが含まれる。反応は、たとえば
塩化メチレン等の不活性有機溶媒中で、約0℃から室温
において、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチル
アミン等の非求核塩基の存在下に行なう。その後、前記
の芳香族環窒素の第4級化又はプロトン化を行なうと、
タイプI.b)のカチオン性置換基が得られる。先駆体
−A’−OH(たとえばヒドロキシメチル)を開始物質
とする、提案された第2のタイプI.b)のカチオン性
置換基の合成は、アルコール官能基を酸化してアルデヒ
ドに変えた後に、適当な窒素を有する芳香族置換基試薬
を用いてウイッティヒのオレフィン化を行ない、最後に
第4級化することから成る。酸化は、塩化オキザリル−
ジメチルスルホキシド、つづいてトリエチルアミンを用
いたスウェーン(Swern)酸化により簡単に行なえ
る。反応は、溶媒の塩化メチレン中で−70℃から0℃
で行なう。ウィッティヒ反応は、アセトニトリル又はジ
メチルスルホキシド等の極性溶媒中で、およそ室温で、
アルデヒドと望ましいウィッティヒ試薬を反応させて行
なう。適当なウィッティヒ試薬には、ピリジルメチレン
トリフェニルホスホラン、キノリルメチレントリフェニ
ルホスホラン及びチアゾリルメチレントリフェニルホス
ホランが含まれる。その後前記の第4級化又はプロトン
化により、タイプI.b)のカチオン性置換基の合成が
完了する。この分野に精通する有機化学者には明らかな
ように、所望のタイプI.b)のそれぞれRa によっ
て、多くの他の合成計画を用いる。
【0053】タイプI.c)のカチオン性置換基は、置
換反応に用いる窒素を有する化合物が脂肪族アミン(す
なわち NRyzw)であることをのぞけば、I.a)
置換基について述べたのと同様のやり方で製造できる。
しかし、アミノ基が直接にベンゾクマリン核に結合して
いる場合には(すなわち−Ap+yzw、ここでp
=0)、アミンは、カルバペネム系にとり込まれるのに
先立ってベンゾクマリンと結合させるのが最も都合がよ
い。このアミンが第1級又は第2級であれば、ベンゾク
マリンをカルバペネムに結合させるステップのあいだ、
適当なアミン保護基で保護する必要がある。第3級アミ
ンは保護を必要とせず、タイプI.b)のカチオン性置
換基について述べたように第4級化するかプロトン化す
ることができる。
【0054】タイプI.d)のカチオン性置換基は、ベ
ンゾクマリン環上の適当な中性先駆体置換基の芳香族で
ない環の窒素を第4級化するか、又はプロトン化するこ
とにより製造する。第4級化又はプロトン化は、タイプ
I.b)の置換基について前に述べたのと同様に行な
う。タイプI.d)の置換基に関しては、中性先駆体
は、ベンゾクマリンをカルバペネムに結合する時点で、
すでにベンゾクマリン環に結合していてもよく、あるい
はベンゾクマリンのカルバペネムへの結合後に、ベンゾ
クマリン環上のより簡単な先駆体置換基から中性先駆体
に仕上げてもよい。中性先駆体置換基の例は、−CON
H(3−キヌクリジニル)、−CONH〔4−(N−メ
チルピペリジニル)〕、−SO2CH2CH2〔2−(N
−メチルピロリジニル)〕、−SO2NH〔1−(4−
メチルピペリジニル)〕及び−CH2〔1−(4−メチ
ルピペリジニル)〕である。ヒドロキシメチル等のより
簡単な置換基からこの中性先駆体置換基を仕上げるに
は、タイプI.b)の置換基についてすでに述べたのと
同様なやり方で、後で第4級化又はプロトン化されるタ
イプI.d)の芳香族でない環の窒素部分を導入するた
めの適当な試薬を用いて行なえる。
【0055】タイプI.a)乃至I.b)置換基のいず
れについても、その置換基はカルバペネムへの結合に先
立ってベンゾクマリン上に好適に形成することができる
ことは明白である。従って、その置換基はC3上に形成
し、C2と反応させて保護されたカルバペネムC4を形
成することができる。例えば、3−ヒドロキシメチル−
9−トリメチルスタニルベンゾクマリン、すなわちC3
は、−78℃乃至室温において、窒素下で、ジクロロメ
タンのような好適な溶媒中において無水トリフリックお
よびN−メチルイミダゾールと反応させることにより置
換され、タイプI.a)置換ベンゾクマリン、すなわち
C3を形成することができる。この置換ベンゾクマリン
は、また本明細書中に記載の条件を用い、特に塩化アン
モニウム源を使用することでC2と反応させることがで
きる。
【0056】好適なRa については式Iの説明に関連し
て上述した。とりわけ、好ましいタイプIIのRa はヒ
ドロキシでモノ置換されたC1-4 アルキル、例えば、ヒ
ドロキシメチル;ホルミル;アルコキシカルボニル、例
えば;−COOCH3;カルバモイル、例えば −CON
2;ヒドロキシイミノメチル、例えば−CH=NOH
又はシアノである。
【0057】この好ましい置換に関連して、Ra につい
ては、7,1,2,3又は4位のいずれの位置において
もヒドロキシメチルを以下のようにして得ることができ
る。一つの方法として、ヒドロキシメチルは、環A1−
及びA1−5又はA2−1及びA2−2のいずれの環
上においても、標準的操作により置換されることがで
き、適切に保護される。あるいは、前駆体置換基として
のメチルは、出発物質A1−4及びA1−5又はA2−
及びA2−2上において、周知の手段により適切な位
置で置換され、出発物質はフローシートA1またはA2
のそれぞれに従って反応して対応するメチル置換B1−
又はB1−2となる。続いて、メチル置換B1−1
B1−2のメチル置換基はN−ブロモスクシンイミド
を用いてブロモメチルへ酸化されることができる。前駆
体置換基メチルのこの酸化は、好適には、アゼチジン−
2−オン上でのベンゾクマリンの置換に先立って行なわ
れる。その理由は、酸化性条件はアゼチジン−2−オン
又は続くカルバペネムのいずれかに適合しないためであ
る。ブロモメチル置換基の場合、ヒドロキシメチル置換
B1−1又はB1−2への変換は三段階シーケンスによ
って達成することができる。80℃におけるDMF中で
の酢酸カリウムとのブロモメチル化合物の反応は、対応
するアセトキシメチル化合物を与える。メタノール性水
酸化ナトリウムでの加水分解又はTHF中水素化ジイソ
ブチルアルミニウムでの還元等によるアセテート基の除
去により、ヒドロキシメチル置換化合物B1−1又は
1−2が得られる。フローシートBに従いヒドロキシメ
チル置換A1−7又はA2−4をさらに処理して対応す
B4及びB5が得られる。
【0058】ベンゾクマリン上の好ましいホルミルへの
置換は、スウェン酸化により、Raの場合にはヒドロキシ
メチルの置換でB5上で得られる。たとえば、B5を、
塩化メチレン中で、−70℃から室温で、塩化オキザリ
ル−ジメチルスルホキシド、さらにトリエチルアミンを
活性化剤に用いて酸化する。明らかに、得られたホルミ
ル置換基の位置は、B5上のヒドロキシメチル置換の位
置によって決まる。
【0059】ベンゾクマリン上での好ましい−CH=N
OHへの置換は今述べたホルミルへの置換により簡単に
行なえる。これはただ、ホルミルへ置換した化合物を、
室温で適当な溶媒中のヒドロキシアミンに浸して行な
う。
【0060】ベンゾクマリン上のシアノへの置換は、今
述べた−CH=NOHの置換により行なえる。−CH=
NOHに置換した化合物を、−70℃の溶媒中で、無水
トリフリック酸及びトリエチルアミンで脱水する。
【0061】ベンゾクマリン上の−COOCH3 への置
換は、今述べたヒドロキシメチルで置換したB4から得
られる。たとえば、化合物B4をジョーンズ試薬で酸化
して、ヒドロキシメチル置換基をカルボン酸基に変換す
る。ジョーンズ試薬を用いる酸化は、カルバペネムには
適切でないかもしれず、そのため、最適には環を閉じる
前に行なう。環を閉じる前に、カルボン酸基を、室温に
おいて、有機溶媒中で、1−エチル−3−(3−ジメチ
ル−アミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、1−ヒド
ロキシベンゾトリアゾール、及びメタノールに連続して
接触させることによりエステル化する。置換エステル
は、勿論メタノールを対応する置換アルコールに代える
ことにより得ることができる。また、上述したメチル置
B1−1又はB1−2は、三酸化クロム又はnBu4
n4で酸化してカルボキシを形成することができる。
【0062】ベンゾクマリン上の好ましいカルバモイル
への置換は、前記のようなジョーンズ試薬を用いて、ヒ
ドロキシメチル基を対応するカルボン酸基へと酸化する
ことにより、B3又はB4より得られる。このカルボン
酸置換基をさらに順番に塩酸1−エチル−3−(3−ジ
メチルアミノプロピル)カルボジイミド、1−ヒドロキ
シベンゾトリアゾール及びアンモニアと、室温で有機溶
媒中で接触させることにより、カルボキサミド基−CO
NH2 に変える。アンモニアのかわりに対応する置換し
たアミンによって、置換したアミドを得られるのはもち
ろんである。カルボキシルの置換とはちがって、このカ
ルバモイル基は、カルバペネムの環化条件に対して保護
を必要としない。
【0063】又、今述べたタイプIIの好ましいRa
置換した化合物を、フローシートCに示した合成を用い
て得ることができる。この場合、今述べた合成変換は、
ベンゾクマリン側鎖がカルバペネムに結合する以前に中
間体B1−1又はC3上で行なうか、あるいはその結合
の後にC4上で行なう。
【0064】さらに前記のものに加えて、タイプIIの
適当なRa には以下のものが含まれる。すなわち: −OCH3 −OCH2CO2CH3 −OCH2CH2OH −CF3 −F −Cl −Br −I −OH −OCOCH3 −OCONH2 −SCH3 −SOCH3 −SO2CH3 −SCH2CH2OH −SOCH2CH2OH −SO2NH2 −SO2N(CH32 −NHCHO −NHCOCH3 −NHCO2CH3 −NHSO2CH3 −CN −CHO −COCH3 −COCH2OH −CH=NOH −CH=NOCH3 −CH=NOCH2CO2CH3 −CH=NOCMe2CO2CH3 −CH=NOCMe2CONH2 −CO2CH2CH2OH −CONH2 −CONHCH3 −CON(CH32 −CONHCH2CN −CONHCH2CONH2 −CONHCH2CO2CH3 −CONHOH −CONHOCH3 −テトラゾリル −CO2CH3 −SCF3 −CONHSO2Ph −CONHSO2NH2 −SO2CF3 −SO2NHCN −SO2NHCONH2 −CH=CHCN −CH=CHCONH2 −CH=CHCO2CH3 −C≡C−CONH2 −C≡C−CN −CH2OH −CH23 −CH2CO2CH3 −SO2CH2CH2OH −SCH2CONH2 及び −CH2I。
【0065】前記の製造方法において、カルバペネムの
3位のカルボキシル基と8位の水酸基は、最終生成物の
直前生成物が製造されるまで、保護基でブロックされた
ままである。適当な水酸基の保護基P’は以下のもので
ある。すなわち、トリアルキルシリル、アリール(アル
キル)アルコキシシリル、アルキルオキシジアリールシ
リル及びジアリールアルキルシリル等のシリル基、そし
て、アルキルオキシカルボニル、置換したアルキルオキ
シカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、置換したベ
ンジルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル及び
置換したアリルオキシカルボニル等の炭酸塩基である。
合成計画で示したものに加えて、又はそれらを含めた好
ましい保護基は、t−ブチルメトキシフェニルシリル、
t−ブトキシジフェニルシリル、トリメチルシリル、ト
リエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、o−ニト
ロベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキ
シカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、t−ブチル
−オキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエチルオ
キシカルボニル及びアリルオキシカルボニルである。合
成計画で示したものに加えて、又はそれらを含めた適当
なカルボキシル保護基Mは、後述する。
【0066】脱ブロック化は従来のやり方で行なえる。
フローシートBに従って製造した化合物に関しては、脱
保護は、2−エチルヘキサン酸カリウム及び2−エチル
ヘキサン酸、あるいはまた、ピロリジン等の他の適当な
求核試薬を含んだ溶液中で、パラジウムを触媒とした反
応で行なう。別の方法としては、フローシートCによっ
て製造した化合物に関しては、脱保護は、次の手順で行
なう。すなわち、化合物C4を、まず若干の水を含有す
るテトラヒドロフラン等の有機溶媒中で、0℃ないし室
温で、数分から数時間、酢酸又は希釈HCl等の水性酸
性条件にさらす。この結果得られた脱シリル化したカル
バペネムを、従来の技術で単離することもできるが、よ
り簡単には、そのまま最終的な脱保護工程に入る。すな
わち、NaHCO3又はKHCO3等の無機塩基と10%
Pd/Cや5%Al23のような触媒を加えた後に、水
素添加すると、p−ニトロベンジル保護基が除去され
て、構造式Iの最終的化合物が生成する。
【0067】分子全体は電気的に中性でなければならな
い。第4級の窒素が本発明の化合物中に存在するので、
中和する陰イオンも又、この場合、存在する必要があ
る。これは通常、COOMをCOO-としてやることに
より行なわれる。しかし、Mが、たとえば薬剤用エステ
ルの時、対立イオン(陰イオン)Z- を提供する必要が
あり、もしくはアニオン性置換基を利用してもよい。
又、2個以上の第4級窒素があるときは、やはり対立イ
オンを提供する必要があり、もしくはさらなるアニオン
性置換基を利用する。さらに、第4級窒素がすでにCO
OM(すなわちCOO-)で中和されている場合に、ア
ニオン性の置換基を利用するのは、本発明の範囲内のこ
とである。その場合、アニオン性置換基に対する対立イ
オン(陰イオン)を提供することが必要だとわかるだろ
う。しかし、このような選択をするのは、多くの適当な
陰イオン及び陽イオンの対立イオンを用いることのでき
る医化学者の技術の範囲である。
【0068】前記の定義に関して、「アルキル」は、直
鎖又は分岐状脂肪族炭化水素ラジカルである。
【0069】本出願書に用いた「第4級窒素」は、以下
を含む四価のカチオン性窒素原子である。すなわち、テ
トラ−アルキルアンモニウム基(たとえば、テトラメチ
ルアンモニウム、N−メチルピリジニウム)中のカチオ
ン性窒素原子、プロトン化したアンモニウム類(たとえ
ばトリメチルヒドロアンモニウム、N−ヒドロピリジニ
ウム)中のカチオン性窒素原子、N−酸化アミン(たと
えば、N−酸化−N−メチルモルホリン、N−酸化ピリ
ジン)中のカチオン性窒素原子、及びN−アミノアンモ
ニウム基(たとえばN−アミノピリジニウム)中のカチ
オン性窒素原子である。
【0070】「ヘテロ原子」は独立した基準で選択した
N、S、又はOを意味する。
【0071】本出願書で定義した「ヘテロアリール」
は、Rx 基に関して、特定の限定された意味を持ち、単
環だけを意味する。タイプI.a)及びb)の置換基に
は、明らかに単環だけでなく二環のヘテロアリール基も
また含まれるが、「ヘテロアリール」の語は前記のカチ
オン性基の定義と関連して用いていない。単環ヘテロア
リールは、少なくとも1個の窒素原子を持つ必要があ
り、任意に最大1個のさらなる酸素又は硫黄のヘテロ原
子が存在してもよい。このタイプのヘテロアリールは、
ピロール及びピリジン(N1個)、オキサゾール、チア
ゾール又はオキサジン(N1個と、OかS1個)であ
る。第1の窒素及び、酸素又は硫黄に加えてさらに窒素
原子が存在して、たとえばチアジアゾール(N2個とS
1個)を成してもよいが、好ましいヘテロアリールは、
ヘテロ原子が2個以上のとき1個だけ窒素ヘテロ原子が
存在するものである。これらの代表的なものは、ピラゾ
ール、イミダゾール、ピリミジン及びピラジン(N2
個)、及びトリアジン(N3個)である。
【0072】Rxのヘテロアリール基は、つねに前記に
定義したRaによって任意に1価置換される。置換は炭
素原子のひとつに、又はヘテロ原子の1つにも行なうこ
とができるが、後者の場合、ある種の置換基を選択する
のが適当でないことがある。
【0073】本発明の具体的な化合物を表Iに列挙す
る。
【化62】
【化63】
【化64】
【化65】
【化66】
【化67】
【化68】
【化69】
【化70】
【化71】
【化72】
【化73】
【化74】
【化75】
【0074】本発明のカルバペネム化合物は、それ自体
で、そして薬剤用の塩やエステルの形態で、動物及びヒ
トの患者における微生物感染の治療に有用である。「薬
剤用のエステル又は塩」とは、医化学者には明かであろ
うが、無毒性で、前記化合物の薬物動態学的特性すなわ
ち、服用しやすく、吸収性、分配、代謝及び排泄に好ま
しい効果のある、本発明の化合物の塩及びエステルの形
態を意味する。性格上より実際的で、また同様に選択す
るのに重要な他の要素は、原料物質の費用、結晶化の容
易で、収率、安定性、吸湿性及び作った原薬剤の流動性
である。簡単には、薬剤混合物は、薬剤用担体と組み合
わせた活性成物から製造する。したがって、又、本発明
は、本発明の新規なカルバペネム化合物を活性成分とし
て用いる薬剤用混合物及び微生物感染の治療方法にも関
する。
【0075】前記の薬剤用の塩は、−COOMの形態を
とってもよい。このMは、ナトリウム又はカリウム等の
アルカリ金属カチオンでよい。Mに用いる他の薬剤用カ
チオンは、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アンモニ
ウム、あるいはテトラメチルアンモニウム、テトラブチ
ルアンモニウム、コリン、トリエチルヒドロアンモニウ
ム、メグルミン、トリエタノールヒドロアンモニウム等
のアルキルアンモニウムカチオンでもよい。
【0076】前記薬剤用塩にはまた、無毒性の酸付加塩
が含まれる。したがって、構造式Iの化合物は、無機又
は有機酸から誘導した塩の形態で用いることができる。
このような塩のうちには以下のものが含まれる。すなわ
ち:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギ
ン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素
塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウ
スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグル
コン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマ
ル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ
硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水
素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホ
ン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、
2−ナフタレン−スルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ
酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過流酸塩、3−フェニ
ルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピ
オン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、ト
シル酸塩及びウンデカン酸塩である。
【0077】本発明の新規なカルバペネム化合物の薬剤
用エステルは医化学者には容易に明らかであるが、たと
えば、米国特許第4,309,438号、第9段落、6
1行目から第12段落51行目にくわしく述べられてい
るようなものを含み、ここにそれを引用することによっ
てその内容を本明細書に組み入れたものとする。このよ
うな薬剤用エステルに含まれるのは、ピバロイルオキシ
メチル、アセトキシメチル、フタリジル、インダニル及
びメトキシメチル等の生体条件下に加水分解するもの、
そして本出願書に引用されとり込まれている米国特許第
4,479,947号に詳しく述べられているものであ
る。
【0078】本発明の新規なカルバペネム化合物は、C
OOMの形をとり得るが、ここにMは、容易にとり除く
ことのできるカルボキシル保護基である。このような従
来の保護基は、前記合成過程中にカルボキシル基を保護
してブロックするのに用いる既知のエステル基から成
る。これらの従来の保護基は容易にとりのぞける。つま
り、それらは、必要な場合には、分子の他の部分の切断
やその他の破壊を生じない工程によってとりのぞくこと
ができる。そのような工程に含まれるのは、化学的及び
酵素的加水分解、穏やかな条件下での化学的還元剤又は
酸化剤処理、遷移金属触媒及び求核剤での処理、そして
触媒的水素添加である。大まかにいって、そのようなエ
ステル保護基には、アルキル、置換したアルキル、ベン
ジル、置換したベンジル、アリール、置換したアリー
ル、アリル、置換したアリル及びトリオルガノシリルが
含まれる。それらのエステル保護基の具体例には、ベン
ズヒドリル、p−ニトロベンジル、2−ナフチルメチ
ル、アリル、2−クロロアリル、ベンジル、2,2,2
−トリクロロエチル、トリメチルシリル、t−ブチルジ
メチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、2−(ト
リメチルシリル)エチル、フェナシル、p−メトキシベ
ンジル、アセトニル、o−ニトロベンジル、4−ピリジ
ルメチル及びt−ブチルが含まれる。
【0079】本発明の化合物は多種のグラム陽性菌と、
それよりはせまい範囲のグラム陰性菌に対して作用する
有用な抗菌剤であり、したがって、ヒト及び家畜の薬剤
として有用性がある。本発明の抗菌剤は、医薬としての
有用性に限定されず、あらゆる産業に用いることができ
る。たとえば、飼料の添加物として、食料の保存に、殺
菌剤として、そして微生物の成長抑制が必要な他の産業
のシステムにおいて用いることができる。たとえば、こ
れらを水性混合物中に0.1ないし100ppmの濃度
で用いて、医科及び歯科器具に有害な微生物が成長する
のを滅菌したり抑制することができ、そして殺菌剤とし
て工業的に適用して、たとえば、水性ペンキや製紙工場
の白水に用いて、有害な微生物の成長を抑制することが
できる。
【0080】本発明の化合物は、あらゆる種類の薬剤処
法で用いることができる。それらは、カプセル剤、末粉
の形態、溶液中、又は懸濁液中で用いることができる。
それらは種々の方法で投与できる。とりわけ重要な方法
には、(静脈内又は筋肉内)注射による局所又は非経口
投与が含まれる。
【0081】好ましい投薬経路である注射用の組成物
は、アンプル中の単位服用量の形態で、又はバイアルび
ん中に製造する。組成物は、懸濁剤、溶液、あるいは油
性又は水性賦形剤中のエマルジョン剤等の形態をとるこ
とができ、また処方用剤を含んでよい。別の方法として
は、活性成分を、投薬時に滅菌水等の適当な賦形剤で再
構成するための粉末の形態にしてもよい。局所への適用
は、軟膏、クリーム剤、外用水剤、塗布剤又は粉剤など
の疎水性又は親水性の基剤中に処法してよい。
【0082】投与する服用量は、大部分は治療を受ける
対象の状態や大きさ、また同様に投与経路、投与頻度、
全身の感染に対して好ましい注射による非経口投与経路
に左右される。しかし、このような問題は、抗微生物の
分野で周知の治療原則にしたがって治療者のルーチンの
判断にまかせられる。感染の性質や治療を受ける個体の
特殊な個性の他に、的確な投与量管理に影響する別のフ
ァクターは、選択した本発明の化合物のモル重量であ
る。
【0083】ヒトへ単位服用量の投薬をするための組成
物は、液体の場合にも固体の場合にも、0.1%ないし
99%の活性物質を含むが、好ましくは、約10〜60
%の範囲である。通常、組成物は約15mgから約15
00mgの活性成分を含むが、一般に、約250mgな
いし1000mgの範囲の服用量を用いるのが好まし
い。非経口投与の際には、単位服用形態は通常、純粋な
化合物Iの滅菌水溶液又は、溶液とするための溶解性の
粉末の形態である。
【0084】構造式Iの抗菌剤化合物の好ましい投与方
法は、静脈内点滴、静脈内ボーラス投与、又は筋肉内注
射による非経口投与である。
【0085】大人には、体重1kgあたり5〜50mg
の構造式Iの抗菌剤化合物を、一日に2、3又は4回与
えるのが好ましい。好ましい服用は、250mgないし
1000mgの構造式Iの抗菌剤を、一日あたり2回で
(b.i.d.)、3回で(t.i.d.)又は4回で
(q.i.d.)与えることである。さらに具体的に
は、軽度の感染に対してはt.i.d.又はq.i.
d.で250mgの服用量が好ましい。非常に感受性の
あるグラム陽性生物に対する中程度の感染に関しては、
t.i.d.又はq.i.d.で500mgの服用量が
好ましい。生物に対する重度で生命をおびやかす感染に
関しては、抗生物質に対する感受性の上限で、t.i.
d.又はq.i.d.で1000mgの服用量が好まし
い。
【0086】子供には、体重1kgあたり5〜25mgの
服用量を一日あたり2、3又は4回与えるのが好ましい
が、通常、t.i.d.又はq.i.d.で10mg/
kgの服用が望ましい。
【0087】構造式Iの抗菌剤化合物は、カルバペネム
又は1−カルバデチアペネムとして知られる広範囲の類
に属する。天然のカルバペネムは、デヒドロペプチダー
ゼ(DHP)として知られる腎の酵素の攻撃に弱い。こ
の攻撃、又は分解が、カルバペネム抗菌剤の効果を減ず
ることもあるだろう。それに対して、本発明の化合物
は、このような攻撃に非常にさらされることが少なく、
したがって、DHP抑制物質の使用を必要としない。し
かし、抑制物質の使用は任意であるから、これは本発明
の一部と考えられる。DHP抑制物質及びそれらのカル
バペネム抗菌剤との使用については、従来より説明され
ている(ヨーロッパ特許出願第79102616.4、
1979年7月24日出願(特許第0.007614
号);及び第82107174.3、1982年8月9
日出願(公告第0072014号)を参照)。
【0088】本発明の化合物は、DHP抑制物質が望ま
しいか必要な場合には、前記の特許及び公開出願書が説
明する適当なDHP抑制物質と組み合わせるか、又は併
用してよい。したがって、引用したヨーロッパ特許出願
が、1)本発明のカルバペネムのDHP感受性の決定方
法を定義し、そして2)適切な抑制物質、組み合わせた
混合物及び治療方法を説明する、このかぎりにおいて、
それらをここに引用することによりその内容を本明細書
に組み入れたものとする。組み合わせた混合物中の、構
造式Iの化合物とDHP抑制物質の質量比の好ましい一
例は、約1:1である。好ましいDHP抑制物質は、7
−(L−2−アミノ−2−カルボキシエチルチオ)−2
−(2,2,−ジメチルシクロプロパンカルボキサミ
ド)−2−ヘプテン酸又はその有用な塩である。
【0089】構造式Iのベンゾクマリン環は、本文中お
よび特許請求項中において慣用的な様式にそってナンバ
リングしていない。本実施例において、この環の慣用的
なナンバリングは以下の構造式に記載してある通りであ
る。
【化76】
【0090】
【実施例】実施例1
【化77】 乾燥THF(103mL)中に溶解した(7.0g、
27.3mmol)の溶液に攪拌しながら、−78℃に
て窒素置換下クロロトリメチルシラン(10.4mL、
81.9mmol、3.0当量)を添加した。tert−
ブチルリチウム(23.1mL、30mmol、1.1
当量)を45分間かけて−78℃にて滴下添加した。反
応溶液を氷浴中で0℃まで暖め、その後飽和塩化アンモ
ニウム溶液(25mL)で反応を終了させた。THFを
減圧溜去し、反応混合物をエーテル(400mL)に注
ぎ、水、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×50m
L)、水、食塩水の順で洗浄した。エーテル層を乾燥し
(MgSO4)、濾過後、減圧乾固した。フラッシュク
ロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)にて
精製し、5.7g(87%)のアリールシランを白色
固体として得た。1H−NMR〔400MHz、CDCl3、回転異性
体〕:δ0.24(s、9H)、1.08(ブロード
s、3H)、1.21(ブロードs、3H)、3.23
(ブロードs、2H)、3.51(ブロードs、2
H)、7.30(d、J=8.1Hz、2H)、7.50
(d、J=8.1Hz、2H)IR(CHCl3):3
010、1615cm-1
【0091】実施例2
【化78】 無水THF(100mL)に溶解したN,N,N’,
N’−テトラメチルエチレンジアミン(2.7mL、1
7.6mmol、1.1当量)溶液に−78℃、窒素置
換下、セカンダリーブチルリチウム(13.0mL、1
6.8mmol、1.05当量)を攪拌しながら滴下し
た。15分後、黄色の混合物を、乾燥THF(40m
L)に溶解した(4.0g、16.0mmol)の溶
液で処理し、できた赤色混合物を1時間、−78℃にて
攪拌した。ホウ酸トリメチル(2.0mL、17.6m
mol、1.1当量)を滴下した。反応容器を氷浴中で
0℃まで暖め、5分間攪拌した。緑色の反応混合物を8
%HCl(60ml)で反応停止し、10分間攪拌し、
有機層を減圧濃縮した。混合物をエーテルに注ぎ、エー
テル層を水(2×)、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO
4)、濾過後、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフ
ィー(5:3:1、EtOAc/アセトン/水)で精製
することにより、3.77g(80%)のボロン酸(bo
ronic acid)を白色泡状物質として得た。1H−NMR〔200MHz、CDCl3、回転異性
体〕:δ0.27(s、9H)、0.88から1.16
(m、6H)、3.27から3.36(m、4H)、7.
28(d、J=6.4Hz、1H)、7.52(d、J
=7.6Hz、1H)、8.15(s、1H). IR(CHCl3):2960、1615、1601c
-1
【0092】実施例3
【化79】 乾燥THF(30mL)に溶解したブロモヒドロキシ安
息香酸(1.0g、4.6mmol)溶液に0℃、窒素
置換下、THF・BH3(13.8mL、13.8mmo
l、3.0当量)を滴下した。添加が完全に完了した
ら、氷浴を取り去り、溶液を30分間還流加熱した。反
応容器を0℃に冷却し、トリエチルアミン(1mL)を
含むMeOH(30mL)で反応を停止した。溶媒を減
圧溜去した。残渣をMeOHに溶解し、MeOHを減圧
溜去した(3×)。残った固体をピリジン(10mL)
に溶解し、無水酢酸(10mL)で処理した。室温にて
1時間攪拌した後、反応容器中の内容物をEt2Oに注
ぎ、2N HCl溶液(2×)、水(1×)、2N HC
l(2×)、および食塩水で洗浄した。エーテル層を乾
燥し(MgSO4)、濾過後、減圧乾固した。油状残渣
を溶離液としてEtOAc/ヘキサン(20%)を用い
たシリカゲルクロマトグラフィーを行い、1.32g
(定量的収率)のビス酢酸塩を得た。1 H−NMR〔400MHz、CDCl3〕:δ2.09
(s、3H)、2.34(s、3H)、5.04(s、
2H)、7.08−7.14(m、2H)、7.57
(d、J=8.0Hz、1H)。
【0093】実施例4
【化80】 トルエン(5.0mL)に溶解したボロン酸(20
0.0mg;0.68mmol)にテトラキス(トリフ
ェニルホスフィン)パラジウム(O)(23.0mg;
3mol%)、Na2CO3(680μL;1.36mmo
l;2.0当量)、およびエタノール(2.0mL)に
溶解したアリールブロミド(196.0mg;0.6
8mmol;1.0当量)を添加した。不均一混合物を
60分間、窒素置換下、還流加熱した。反応混合物をE
2Oに注ぎ、水(3×)、食塩水(2×)で洗浄し、
乾燥(MgSO4)し、濾過後、溶媒を減圧溜去した。
フラッシュクロマトグラフィー(40%EtOAc/ヘ
キサン)により精製し、147.0mg(47%)のビ
フェニルを得た。1 H−NMR〔400MHz、CDCl3、回転異性
体〕:δ0.24(s、9H)、0.75(t、J=
6.5Hz、3H)、0.85(t、J=6.5Hz、
3H)、2.04(s、3H)、2.08(s、3
H)、2.60−3.10(ブロード、3H)、3.5
5−3.85(b、1H)、5.08(s、2H)、
7.13(s、1H)、7.20(d、J=8.0H
z、1H)、7.33(d、J=6.4Hz、1H)、
7.39(s、1H)、7.41−7.48(ブロー
ド、1H)、7.52(d、J=6.4Hz、1H)。
【0094】実施例5
【化81】 ジクロロメタン(1mL)に溶解したビフェニル(9
8.0mg;0.215mmol)に室温にてジクロロ
メタンに溶解したICl(2.15mL;2.15mm
ol;10.0当量)をゆっくりと滴下した。反応混合
物を1晩攪拌した。次の朝反応混合物をEt2Oに注
ぎ、飽和チオ硫酸ナトリウム溶液、水、および食塩水で
洗浄した。エーテル層を乾燥(MgSO4)し、濾過
後、溶媒を減圧溜去し、110mgのヨウ化物を得
た。1 H−NMR〔200MHz、CDCl3、回転異性
体〕:δ0.70−0.91(m、6H)、2.10
(s、3H)、2.15(s、3H)、2.60−3.
10(ブロード、3H)、3.30−3.80(ブロー
ド、1H)、5.10(s、2H)、7.10−7.2
9(コンプレックスm、3H)、7.42(d、J=
7.2Hz、1H)、7.67(s、1H)、7.78
(d、J=7.6Hz、1H)。
【0095】実施例6
【化82】 MeOH(8mL)に溶解したヨウ化物(109.0
mg、0.215mmol)の攪拌した溶液に25重量
%NaOMe(250μl、1.15mmol、5.3
当量)を添加した。の消費をシリカゲルTLC(50
%EtOAc/ヘキサン)で確認した後、反応混合物を
Et2Oに注ぎ、飽和NH4Cl溶液、水、食塩水の順に
洗浄した。乾燥(MgSO4)後、濾過し、溶媒を減圧
溜去し、粗残渣をトルエン(10mL)に懸濁し、触媒
量のパラトルエンスルホン酸存在下、還流加熱した。中
間体であるジオールの消費をシリカゲルTLC(50%
EtOAc/ヘキサン)で確認した後、反応混合物をE
2Oに注ぎ、飽和NaHCO3、水、食塩水の順に洗浄
した。乾燥(MgSO4)し、濾過後、溶媒を減圧溜去
し 75.7mg(定量的収量)のベンゾクマリン
白色固体として得た。1 H−NMR〔400MHz、D6 DMSO〕:δ4.1
8(s、2H)、6.88(m、2H)、7.53
(m、2H)、7.85 (m、1H)、8.35(s、
1H)。
【0096】実施例7
【化83】 トルエン(25mL)に溶解したヨウ化物(510.
0mg、1.45mmol)にテトラキス(トリフェニ
ルホスフィン)−パラジウム(O)(84.0mg、
0.0725mmol、5mol%)、トリフェニルホ
スフィン(11.0mg、0.044mmol、3mo
l%)およびヘキサメチルジチン(327.6mg、
1.59mmol、1.1当量)を添加した。窒素置換
下還流加熱する前に、窒素を約5分間バブリングした。
ヨウ化物の消費をシリカゲルTLC(50%EtOA
c/ヘキサン)で確認した後、反応混合物をEtOAc
に注ぎ、飽和NaHCO3(2×)、水(1×)および
食塩水(1×)で洗浄した。有機層を乾燥(MgS
4)し、濾過後、減圧濃縮することにより、黄褐色の
固体を得、これはEtOAc/ヘキサン溶液からくり返
し沈殿し、458mg(81%)の黄褐色固体スタナン
を得た。1 H−NMR〔400MHz、D6 アセトン〕:δ0.4
1(s、9H)、4.75(s、2H)、7.36−
7.39(m、2H)、7.82(d、J=7.6H
z、1H)、8.22(d、J=7.6Hz、1H)、
8.34(d、J=8.0Hz、1H)、8.55(s、
1H)。
【0097】実施例8
【化84】 乾燥THF(2.0mL)に溶解した2環状βケトエス
テル(134.6mg、0.386mmol)の攪拌
溶液に−78℃、窒素置換下ジイソプロピルアミン(6
0.0μL、0.43mmol、1.1当量)を添加し
た。生成した黄色混合溶液を10分間攪拌した後、無水
トリフルオロメタンスルホン酸(71.0μL、0.4
3mmol、1.1当量)を添加した。15分後、トリ
エチルアミン(60μL、0.43mmol、1.1当
量)、次にトリメチルシリルトリフルオロメタンメタン
スルホネート(82.0μl、0.43mmol、1.
1当量)を添加し、反応混合溶液を20分間攪拌した。
反応混合液を無水N−メチルピロリジノン(2.0m
L)、Pd2(dba)3・CHCl3 触媒(8.0m
g、2.0mol%)、アリールスタナン(100.
0mg、0.257mmol、0.66当量)、塩化亜
鉛(0.19mL、0.257mmol、0.66当
量)で順に処理した。低温浴を取り除き、反応容器を温
浴中に移し、直ちに室温にした。溶液を15分間、その
温度にて攪拌した。反応物をエーテルに注ぎ、飽和炭酸
水素ナトリウム、水、食塩水で洗浄した。有機層を乾燥
(MgSO4)し、 濾過し、減圧濃縮した。フラッシュ
クロマトグラフィー(65%EtOAc/ヘキサン)で
精製することにより、146mg(90%)の縮合物
を得た。1 H−NMR〔400MHz、CDCl3〕:δ 0.1
4(s、9H)、1.29(d、J=6.2Hz、3
H)、2.34(t、J=6.0Hz、1H)、 3.
25−3.34(コンプレックス m、2H)、3.4
1(1/2 ABX、JAB=18.5Hz、JAX=8.9Hz、1
H)、 4.23−4.29(m、1H)、4.35
(dt、J=10.0、3.0Hz、1H)、4.74
(d、J=5.8Hz、2H)、5.22(ABq、J
AB=13.5Hz、ΔυAB=69.8Hz、2H)、
7.23(d、J=8.0Hz、1H)、7.28
(s、1H)、7.40(d、J=8.8Hz、2
H)、7.44(dd、J=8.3,1.6Hz、1
H)、7.74(d、J=8.2Hz、1H)、7.95
(d、J=1.5Hz、1H)、7.99(d、J=
8.7Hz、2H)、8.27(d、J=8.3Hz、
1H)。 IR (CHCl3):3640−3580、3020、
2960、1780、1730、1610、1540c
-1。 UV(CH3CN)λ=322nm、ε=13,500;
λ=305nm、ε=16,900。
【0098】実施例9
【化85】 THF/H2O(9mL、2:1)に溶解した10(6
6.0mg、0.105mmol)の攪拌溶液に0℃に
てEt2Oに溶解したHCl(52.0μL、0.05
2mmol、0.5当量)を添加した。0℃にて10分
間放置した後、飽和NaHCO3(210μL、0.2
1mmol、2.0当量)、次に10%Pd/C(6.
6mg、10重量%)を添加した。氷浴を取り除き、反
応容器を風船を用いてH2置換した。45分後、H2を窒
素に置換し、更に攪拌を15分間行った。反応混合物を
水を溶離液としたセライトカラムにて濾過した。THF
を減圧溜去し、THFを減圧溜去し、残った水を0℃で
凍結除去した。生成した固体を逆相調製薄層クロマトグ
ラフィー(6:1 H2O/CH3CN)により精製し、
35.7mg(76.6%)のカルバペネム11を得
た。1 H−NMR〔400MHz、D2O/CD3CN(2:
1)〕δ 1.61(d、J=6.5Hz、3H)、3.
50(1/2 ABX、JAB =16.5Hz、JAX =9.
8Hz、1H)、3.81−3.88(コンプレックス
m、2H)、4.51−4.57(m、1H)、4.6
5(dt、J=9.7、3.2Hz、1H)、5.02
(s、3H)、7.67(s、1H)、7.71(d、
J=8.3Hz、1H)、7.92(d、J=8.3H
z、1H)、8.46(d、J=8.2Hz、1H)、
8.48−8.51(m、2H). IR(KBr):1755、1715、1610c
-1。 UV(MOPS緩衝液):λ=330nm、ε=14,
700;λext=340nm、εext=10,500。
【0099】実施例10
【化86】 乾燥ジクロロメタン(1.0mL)に溶解した10(3
3.0mg、0.0526mmol)、N−メチルモルホ
リン−N−オキシド(9.2mg、0.0788mmo
l、1.5当量)、および粉状4オングストロームモル
キュラーシーブ(26.0mg、500mg/mmo
l)の攪拌溶液を、室温、窒素置換下にて過ルテニウム
酸テトラプロピルアンモニウム(1.0mg、5.0m
ol%)で処理した。20分後更に“TPAP”0.5
mgを反応を完全に進行させるために添加した。反応混
合液を更に5分間攪拌した後、生成した黒色混合物を7
0%EtOAc/ヘキサンを溶離液としたシリカゲルの
ショートカラムを用いて濾過した。濾液を減圧濃縮する
ことにより21.0mg(64%)のアルデヒド12
得た。1 H−NMR〔400MHz、CDCl3〕:δ 0.14
(s、9H)、1.29(d、J=6.3Hz、3
H)、3.27−3.36(コンプレックスm、2
H)、3.43(1/2 ABX、JAB=18.3Hz、J
AX=8.7Hz、1H)、4.24−4.30(m、1
H)、4.37(dt、J=10.0、2.8Hz、1
H)、5.28(ABq、JAB=14.2Hz、ΔυAB
=68.1Hz、2H)、7.50(d、J=8.6H
z、2H)、7.58(dd、J=8.3、1.5H
z、1H)、7.80−7.83(m、2H)、8.0
4−8.11(m、3H)、8.18(s、1H)、
8.37(d、J=8.4Hz、1H)、10.05
(s、1H)。 IR(CHCl3): 3030、2970、1785、
1740、1705、1610、1525cm-1。 UV(CH3CN):λ=320nm、ε=20,40
0;λ=291nm、ε=26,500。
【0100】実施例11
【化87】 化合物10にて記載した通常の脱保護手順を利用して
から4.6mg(30%)のカルバペネム13を得
た。1 H−NMR〔400MHz、2:1 D2O/CD3
N〕δ 1.64(d、J=6.3Hz、3H)、3.5
4(1/2 ABX、JAB =16.5Hz、JAX =9.9
Hz、1H)、3.85−3.92(コンプレックス
m、2H)、4.53−4.60(m、1H)、4.6
6−4.72(m、1H)、8.07(d、J=8.1
Hz、1H)、8.23(d、J=1.4Hz、1
H)、8.29(d、J=8.1Hz、1H)、8.5
9(d、J=8.4Hz、1H)、8.64(s、1
H)、8.74(d、J=8.1Hz、1H)、10.3
7(s、1H)。IR(KBr):1730、169
5、1610cm-1。 UV(MOPS緩衝液):λ=302nm、ε=18,
000;λext=315nm、εext=8,500。
【0101】実施例12
【化88】 無水ピリジン(1.0mL)に溶解したアルコール
(100.0mg、0.257mmol)の攪拌溶液に
無水ピリジン(1.0mL)に溶解したnBu4NMO4
(123.0mg、0.342mmol、1.33当量)
の溶液を滴下した。15分後、反応混合液をEt2Oに
注ぎ、NaHSO3溶液、1N HCl溶液、水、食塩
水で順に洗浄した。エーテル層を乾燥(MgSO4)し、
濾過し、減圧濃縮することにより粗製の酸を得た。こ
れを分離しないでTHF(6.5mL)およびCH3
N(1.5mL)に溶解し、1−(3−ジメチルアミノ
プロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(98.
5mg、0.514mmol、2当量)、1−ヒドロキ
シベンゾトリアゾール水和物(104.2mg、0.7
71mmol、3当量)、およびアンモニアエタノール
溶液(500μL、1.28mmol、5当量)で順に
処理した。生成したミルク状の白色溶液を約1時間攪拌
した後、飽和塩化アンモニウムで反応停止した。THF
およびCH3CNを減圧溜去した後、残渣をEt2Oに注
ぎ、水、食塩水で洗浄した。エーテル層を乾燥(MgS
4)し、 濾過し、減圧濃縮した。再結晶化によって2
5.0mgの14の純物質を得た。母液をフラッシュク
ロマトグラフィー(100%EtOAc/ヘキサン)で
精製することにより、更に22.0mgの14を得た。
合計収率は45%であった。1 H−NMR〔200MHz、CDCl3〕:δ 0.43
(s、9H)、5.70−6.30(ブロード、2
H)、7.75−7.90(コンプレックスm、3
H)、8.20(d、J=8.3Hz、1H)、8.2
7(s、1H)、8.32(d、J=7.7Hz、1
H)。 IR(CHCl3): 3520、3420、3020、
2920、1730、1680、1600cm-1
【0102】実施例13
【化89】 化合物15(50.0mg、収率70%)を、スタナン
の代りにスタナン14を用いたことを除いて化合物
調製において記載した通常のカップリング手順に従っ
て調製した。1 H−NMR〔300MHz、CDCl3〕δ 0.14
(s、9H)、1.30(d、J=6.2Hz、3H)、
3.25−3.37(コンプレックスm、2H)、3.
45(1/2 ABX、JAB =18.5Hz、JAX =8.
9Hz、1H)、4.23−4.32(m、1H)、
4.37(dt、J=9.9、2.8Hz、1H)、5.
25(ABq、JAB=13.6Hz、ΔυAB =49.
8Hz、2H)、5.85−6.10(ブロード、1
H)、6.35−6.60(ブロード、1H)、7.4
5(d、J=8.8Hz、1H)、7.52(dd、J
=8.2、1.5Hz、1H)、7.71−7.74
(m、2H)、7.89(d、J=8.2Hz、1
H)、8.03−8.07(m、3H)、8.29(d、
J=8.2Hz、1H)。 IR(CHCl3): 3520、3420、3020、
2960、1780、1730、1680、1610c
-1。 UV(CH3CN):λ=310nm、ε=17,40
0。
【0103】実施例14
【化90】 化合物10において記載した通常の脱保護化手順を利用
して15(25.0mg、0.039mmol)から1
2.5mg(70%)のカルバペネム16)を得た。1 H−NMR〔400MHz、2:1 D2O/CD3
N〕δ 1.62(d、J=6.5Hz、3H)、3.5
2(1/2 ABX、JAB =15.7Hz、JAX =9.1
Hz、1H)、3.83−3.90(コンプレックス
m、2H)、4.54−4.58(m、1H)、4.6
7(t、J=8.0Hz、1H)、8.01(d、J=
8.2Hz、1H)、8.13(s、1H)、8.16
(d、J=8.4Hz、1H)、8.54−8.58
(m、2H)、8.61(d、J=8.4Hz、1
H)。 IR(KBr): 1725、1670、1600cm
-1。 UV(MOPS緩衝液):λ=308nm、ε=15,
000;λext=342nm、εext=9,400。
【0104】実施例15
【化91】 ピリジン(5mL)に溶解したオルトブロモフェノール
(500mg、2.89mmol)に無水酢酸(5m
L)を添加した。出発物質の消費をシリカゲルTLCに
て確認した後、溶媒を減圧溜去し621.0mg(当量
的収率)のアリールブロミド17を得た。1 H−NMR〔200MHz、CDCl3〕:δ 2.35
(s、3H)、7.08−7.18(m、2H)、7.
25−7.40(m、1H)、7.58−7.65
(m、1H)。
【0105】実施例16
【化92】 化合物の調製において記載したSuzukiの方法に
よって(70.0mg、0.24mmol)および
(51.0mg、0.24mmol)から、44.0
mg(48%)のビフェニル18を得た。1 H−NMR〔200MHz、CDCl3、回転異性体〕
δ 0.28(s、9H)、0.72−0.80(コン
プレックスm、6H)、2.09(s、3H)、2.6
0−3.90(ブロード、4H)、7.13−7.60
(コンプレックスm、7H)。 IR(CHCl3): 3000、2860、2800、
1760、1740、1610cm-1
【0106】実施例17
【化93】 MeOH(5mL)に溶解したビフェニル18(161
mg、0.42mmol)の攪拌溶液に25重量%のN
aOMe溶液(9.0μL、0.042mmol、10
mol%)を添加した。約1時間後、トルエン(15m
L)、次にTsOH・H2O(16.0mg、0.08
4mmol、20mol%)を添加した。反応混合液を
Dean−Stark装置で20分間還流加熱した。反応混合
液をEt2Oに注ぎ、飽和炭酸水素ナトリウム(3
×)、食塩水(2×)で洗浄し、乾燥(MgSO4
後、濾過し、溶媒を減圧溜去した。フラッシュ クロマ
トグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)により7
1.5mg(63%)のベンゾクマリン19を白色結晶
性固体として得た。1 H−NMR〔200MHz、CDCl3〕:δ 0.39
(s、9H)、7.31−7.52(コンプレックス
m、3H)、7.73(d、J=8.7Hz、1H)、
8.14(d、J=8.0Hz、1H)、8.27
(s、1H)、8.35(d、J=7.7Hz、1
H)。 IR(CHCl3):3010、2980、1728、1
600cm-1
【0107】実施例18
【化94】 CH2Cl2(1mL)に溶解した19(71.5mg、
0.266mmol)の攪拌溶液にCH2Cl2に溶解し
たICL溶液(1.33mL、1.3mmol、5.0当
量)を1時間かけて添加した。完全に添加が終了した
ら、反応混合液をEt2Oに注ぎ、Na224水溶液、
水、食塩水で洗浄した。エーテル層をMgSO4で乾燥
し、濾過し、溶媒を減圧溜去することにより85.6m
g(当量的収率)のヨウ化物20を得た。1 H−NMR〔200MHz、CDCl3〕:δ 7.32
−7.40(m、2H)、7.48−7.56(m、1
H)、7.92 (d、J=8.5Hz、1H)、8.
05(d、J=8.2Hz、1H)、8.09(d、J
=8.4Hz、1H)、8.50(s、1H)。 IR(CHCl3): 3010、1730、1600c
-1
【0108】実施例19
【化95】 ヨウ化物20(87.0mg、0.266mmol)を
乾燥トルエン(10mL)に溶解した。テトラキス(ト
リフェニルホスフィン)パラジウム(O)(15mg、
5mol%)、次にトリフェニルホスフィン(2mg、
3mol%)およびヘキサメチルジチン(96.0m
g、0.29mmol、1.1当量)を添加した。窒素
を溶液に5分間バブリングした後、反応混合液を窒素置
換下、還流加熱した。反応が完全に終了してから(TL
C)、混合液をEt2Oに注ぎ、飽和NaHCO3、水、
食塩水で洗浄した。エーテル層を乾燥(MgSO4
後、濾過し、溶媒を減圧溜去した。フラッシュクロマト
グラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)で精製するこ
とにより71mg(74%)のスタナン21を得た。1 H−NMR〔200MHz、CDCl3〕:δ 0.42
(s、9H)、7.31−7.53(コンプレックス
m、3H)、7.73 (d、J=7.8Hz、1
H)、8.13(d、J=7.8Hz、1H)、8.2
6(s、1H)、8.32(d、J=7.8Hz、1
H)。 IR(CHCl3): 3020、2980、2920、
1725、1600cm-1
【0109】実施例20
【化96】 (103.0mg、0.30mmol)およびスタナ
21(71.0mg、0.2mmol、0.66当
量)から化合物10の調製において記載した通常のクロ
スカップリング手順に従って82.0mg(69%)の
22を得た。1 H−NMR〔400MHz、CDCl3〕:δ 0.14
(s、9H)、1.30(d、J=6.1Hz、3
H)、3.26−3.33(コンプレックスm、2
H)、3.41(1/2 ABX、JAB=18.3Hz、JAX
=8.8Hz、1H)、4.25−4.28(m、1
H)、4.33−4.38(dt、J=9.8、2.8
Hz、1H)、5.24(ABq、JAB=13.5Hz、
ΔυAB=64.0Hz、2H)、7.26−7.35
(m、2H)、7.43−7.87(m、3H)、7.
87(d、J=6.6Hz、1H)、8.04−8.0
7(m、2H)、8.33(d、J=8.4Hz、1
H)。 IR(CHCl3):3020、2960、1760、
1730、1610、1520cm-1
【0110】実施例21
【化97】 化合物11の調製において記載した通常の脱保護化手順
により、22(41.0mg、0.068mmol)か
ら4.4mg(15%)のカルバペネム23を得た。1 H−NMR〔400MHz、2:1 D2O/CDC
3〕:δ1.60(d、J=6.3Hz、3H)、3.
51(1/2 ABX、JAB=16.8Hz、JAX=10.
0Hz、1H)、3.81−3.90(コンプレックス
m、2H)、4.52−4.56(m、1H)、4.6
5(t、J=8.0Hz、1H)、7.74(d、J=
8.1Hz、1H)、7.78−7.80(m、2
H)、7.89−7.98(m、2H)、8.54−
8.56(m、3H)。 IR(KBr):1780−1720(ブロード)、1
610cm-1。 UV(MOPS緩衝液)λ=328nm、ε=10,5
00;λext=338nm、εext=7,100。
【0111】実施例22
【化98】 化合物10(146mg、0.23mmol)をCH2
Cl2(3.0mL)に溶解し、窒素置換下、−78℃
に冷却した。この攪拌溶液にN−メチルイミダゾール
(46.0μL、0.58mmol、2.5当量)、次
に無水トリフルオロメタンスルホン酸(43.0μL、
0.26mmol、1.1当量)添加した。反応容器を
約10分間−30℃から−20℃の間で暖め、Et2
を少量含むEtOAcに注いだ。有機層を水(5×)で
洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濾過後、減圧濃縮する
ことにより175mg(89%)の化合物24を黄色泡
状物質として得た。1 H−NMR〔400MHz、CDCl3〕:δ 0.1
4(s、9H)、1.30(d、J=6.2Hz、3
H)、3.29(1/2 ABX、JAB=18.3Hz、J
AX=10.1Hz、1H)、3.37(dd、J=5.
8、2.8Hz、1H)、3.45(1/2 ABX、JAB
=18.6Hz、JAX=8.9Hz、1H)、4.00
(s、3H)、4.23−4.31(m、1H)、4.
37(dt、J−10.3、2.9Hz、1H)、5.
21(ABq、JAB=13.4Hz、ΔυAB=69.0
Hz、2H)、5.47(s、3H)、7.20(s、1
H)、7.27−7.46(コンプレックスm、1
H)、7.78(d、J=8.4Hz、1H)、7.9
2−7.95(m、2H)、8.17(d、J=8.1
Hz、1H)、9.39(s、1H)。
【0112】実施例23
【化99】 シリル基を除去するために0℃、1時間、Et2Oに溶
解した2.0当量のHClを用い、3.0当量のNaH
CO3で酸を中和すること以外は、化合物10調製にお
いて記載した通常の脱保護化手順を利用して化合物25
(8.5mg、33%)を化合物24(44.0mg、
0.05mmol)から得た。1 H−NMR〔400MHz、2:1 D2O/CDC
3〕:δ1.62(d、J=6.1Hz、3H)、3.
51(1/2 ABX、JAB=15.3Hz、JAX=9.7
Hz、1H)、3.82−3.90(コンプレックス
m、1H)、4.19(s、3H)、4.53−4.5
8(m、1H)、4.67(dt、J=8.9、2.4
Hz、1H)、5.80(s、2H)、7.73(s、
1H)、7.76(d、J=8.0Hz、1H)、7.
97(d、J=8.0Hz、1H)、8.54(コンプ
レックスm、4H)。 IR(KBr):1760、1725、1600c
-1。 UV(MOPS緩衝液): λ=328nm、ε=1
0,200、;λext=340nm、εext=7,60
0。
【0113】実施例24
【化100】 −78℃、窒素置換下、CH2Cl2(1.0mL)に溶
解した10(33.0mg、0.053mmol)の攪
拌溶液にコリジン(8.3μL、0.063mmol、
1.2当量)次に無水トリフルオロメタンスルホン酸
(9.7μL、0.058mmol、1.1当量)を添
加した。35分後、4−メチル−1,2,4−トリアゾ
ール(9.6mg、0.116mmol、2.2当量)
を添加した。反応容器を−30℃まで暖め、30分間攪
拌した後、少量のEt2Oを含むEtOAcに注いだ。
有機層を水(4×)で洗浄、乾燥(Na2SO4)し、濾
過後、減圧濃縮した。固体残渣をCH2Cl2に溶解し、
Et20(2×)を用いて沈殿し、26mg(63%)
の化合物26を黄色固体として得た。1 H−NMR〔400MHz、CDCl3〕:δ 0.13
(s、9H)、1.28(d、J=6.2Hz、3
H)、3.26(1/2 ABX、JAB=18.6Hz、J
AX=10.2Hz、1H)、3.38(dd、J=6.
1、3.0Hz、1H)、3.45(1/2 ABX、JAB
=18.3Hz、JAX=9.9Hz、1H)、4.17
(s、3H)、4.26(m、1H)、4.36(t、
J=9.8Hz、1H)、5.18(ABq、JAB=1
3.2Hz、ΔυAB=65.3Hz、2H)、5.61
(s、2H)、7.33−7.44(コンプレックス
m、6H)、7.75(d、J=8.4Hz、1H)、
7.86(s、1H)、7.89(d、J=8.8H
z、2H)、8.06(d、J=8.4Hz、1H)、
8.74(s、1H)。 IR(CHCl3):1775、1725、1601c
-1。 UV(CH3CN) λ=305nm、ε=19,50
0。
【0114】実施例25
【化101】 0℃、3mLのTHF/H2O(2:1)に溶解した
(28mg、0.033mmol)の攪拌溶液に1M
HCl溶液(16.6μL、0.016mmol、
0.5当量)を添加した。16分後、0℃にて、NaH
CO3の1M溶液(50.0μL、0.05mmol、
1.5当量)、次に10%Pd/C(8.4mg、30
重量%)を添加した。氷浴を取り除き反応容器をH
2(風船)で1時間置換した。反応混合液を水を溶離液
としてセライト濾過した。凍結乾燥し、粗製の固体を得
た。これを逆相調製薄層クロマトグラフィー(3:1
2O/CH3CN)で精製し、11.9mg(74%)
の化合物27を得た。1 H−NMR〔200MHz、2:1 D2O/CD3
N〕:δ1.68(d、J=6.4Hz、3H)、3.
50−3.68(m、1H)、3.82−3.99
(m、2H)、4.47(s、3H)、4.55−4.
78(m、2H)、5.97(s、3H)、7.82−
7.92(m、2H)、8.05(d、J=8.7H
z、1H)、8.59−8.68(m、3H)。 IR(KBr):1755、1730、1610c
-1。 UV(MOPS緩衝液): λ=330nm、ε=1
2,000、;λext=340nm、εext=9,00
0。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/415 7252−4C 31/44 7252−4C 31/495 7252−4C (72)発明者 トマス エー.ラノ アメリカ合衆国,08876 ニュージャーシ ィ,ソマーヴィル,カスケード テラス 34 (72)発明者 マーク エル.グリーンリー アメリカ合衆国,07065 ニュージャーシ ィ,ローウェイ,キャンベル ストリート 1470,ナンバーピービー−1

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式の化合物 【化1】 〔式中、 RはHまたはCH3であり;R1およびR2は独立的に
    H、CH3−、CH3CH2−、(CH32CH−、HO
    CH2−、CH3CH(OH)−、(CH32C(OH)
    −、FCH2CH(OH)−、F2CHCH(OH)−、
    3CCH(OH)−、CH3CH(F)−、CH3CF2
    −、または(CH32C(F)−であり;XhはOまた
    はSであり;Raは水素および以下に列挙する基から成
    る群より独立的に選ばれ、但し1個のしかし1個より多
    くないRaはタイプIの置換基であり、残りの非水素置
    換基はタイプIIから選ばれ、そして合計で4個より多
    くないRa基は水素以外のものである: I. a) 【化2】 式中、 Aは(CH2m−Q−(CH2nであり、ここにおいて
    mは0〜6であり、nは1〜6であり、Qは共有結合、
    O、S、SO、SO2、NH、−SO2NH−、−NHS
    2−、−CONH−、−NHCO−、−SO2N(C1
    〜C4アルキル)−、−N(C1〜C4 アルキル)SO2
    −、−CON(C1〜C4アルキル)−、−N(C1〜C4
    アルキル)CO−、−CH=CH−、−CO−、−OC
    (O)−、−C(O)O−またはN(C1〜C4アルキ
    ル)であり、そして(CH2mはベンゾクマリニル部分
    に結合している; 【化3】 は5−員または6−員の単環式複素環または8−員、9
    −員または10−員の二環式複素環であり、その複素環
    は芳香族5−員または6−員の第一の環中に第一の窒素
    を含んでおり、さらに前記第一の窒素を経由してその複
    素環はAに結合し、該第一の窒素は結合と環結合とによ
    って第四級であり、第一の環はゼロ個または1個のOま
    たはSを含有し、第一の環はゼロ〜3個の追加の窒素原
    子を含有し、場合によっては、第一の環は3−員または
    4−員の部分と融合して随意の第二の環を形成し、その
    部分は少なくとも1個の炭素原子を含有し、その部分は
    ゼロ個または1個のOまたはSを含有し、その部分はゼ
    ロ〜2個の窒素原子を含有し、その部分は飽和または不
    飽和であり、第二の環は芳香族または非芳香族であり;
    c は下記のIIに定義されるRa、水素、または−N
    yz(但し、RyおよびRzは下記のIIにおいて定義
    する)であるが、Rcが1個より多く存在する場合に
    は、Raおよび互いから独立的に選ばれ、炭素原子また
    は窒素ヘテロ原子に結合し、その原子価は環結合により
    満たされない;Pは0または1であり; b) 【化4】 式中、 【化5】 は5−員または6−員の単環式複素環、または8−員、
    9−員または10−員の二環式複素環であり、該複素環
    は5−員または6−員の第一の環中に第一の窒素を含有
    し、さらに前記第一の窒素は環結合に加えて置換基Rd
    によって第四級であり、該第一の窒素は置換基Rdの不
    在によって、中性であり、複素環は環の炭素原子を経由
    してA’に結合し、第一の環はゼロ個または1個のOま
    たはSを含有し、第一の環はゼロ乃至2個の追加の窒素
    原子を含有し、場合によっては、第一の環は3−員また
    は4−員の部分と融合して随意の第二の環を形成し、そ
    の部分は少なくとも1個の炭素原子を含有し、その部分
    はゼロ個または1個のOまたはSを含有し、その部分は
    ゼロ〜2個の窒素原子を含有し、その部分は飽和または
    不飽和であり、第二の環は芳香族または非芳香族であ
    り;Rcは前記に定義した通りであり;Rdは水素、NH
    2、O-またはC1〜C4アルキル(但し、アルキル基は、
    場合によっては、下記のIIcに定義されるRqによって
    モノ置換される)であり;A’は(CH2m−Q−(C
    2nであり、但しmはゼロ〜6であり、nはゼロ〜6
    であり、Qは上記に定義した通りであり; c) −Ap−N+y(Rw0-1(Rz) 式中、 RyおよびRzは下記IIに定義される通りであり、 RyおよびRz は、C2〜C4アルキリデン基と共に、N
    (O)Re またはN+(Re2(ここにおいてReは水
    素、C1〜C4アルキル、または以下に定義されるRq
    よってモノ置換されたC1〜C4アルキルである)によっ
    て分断された環(所望によって、以下に定義されるRq
    によってモノ置換された)を形成することもでき、 Rw は水素、C1〜C4アルキル、O-、NH2、または窒
    素が中性である場合には存在せず、 Rw、Ry およびRz は、さらに、N+ と二環式複素環
    を形成するC5〜C10tertアルキリデン基を生成
    し、ここにおいて、そのtertアルキリデン基は、場
    合によっては、以下に定義されるRqによってモノ置換
    され、該tertアルキリデン基の第三級炭素は場合に
    よっては窒素、N+e(但しReは上文に定義されてい
    る)、またはN+−O-によって置換され、 pは0または1であり、そしてAは上文に定義された通
    りであり; d) 【化6】 は5−員または6−員の単環式複素環または8−員、9
    −員または10−員の二環式複素環であり、その複素環
    は第一の環中に第一の窒素を含有し、そして第一の環
    は、飽和または不飽和であって、かつ非芳香族であり、
    第一の窒素は環結合に加えて1個または2個の置換基R
    d によって第四級であり、または第一の窒素は、環結合
    に加えて、ゼロ個または1個の置換基Rd によって中性
    であって環の炭素原子または非第四級窒素原子を経由し
    てA’へ複素環が結合し、第一の環は、炭素および第一
    の窒素のほかに、結合している非第四級窒素、O、S、
    S(O)、S(O22 およびNRe(但しReは上記に
    定義されている)より成る群から選ばれたゼロ個乃至1
    個の構成員を含有し、第一の環は、場合によっては、2
    −員、3−員または4−員の部分と融合して随意の第二
    の環を形成し、その部分は、場合によっては、炭素のほ
    かに、結合している非第四級窒素を含有し、その部分は
    飽和または不飽和であり、第二の環は非芳香族であり;
    dは上記に定義されており、1個より多いRdが窒素上
    に存在する場合には、少なくとも1個のRdは水素また
    はC1〜C4アルキルであり;A’は上記に定義されてお
    り;そしてPは上記に定義されており;Rqは以下に定
    義される; II. a)トリフルオロメチル基:−CF3; b)ハロゲン原子:−Br、−Cl、−Fまたは−I; c)C1〜C4アルコキシ基:−OC1〜C4アルキル、但
    しアルキルは場合によってはRqによってモノ置換され
    ていて、ここにおいて Rqは−OH、−OCH3、−CN、−C(O)NH2
    −OC(O)NH2、CHO、−OC(O)N(C
    32、−SO2NH2、−SO2N(CH32、−SO
    CH3、−SO2CH3、−F、−CF3、−COOMa(こ
    こにおいて、Maは水素、アルカリ金属、メチルまたは
    フェニルである)、テトラゾリル(ここにおいて、結合
    個所はテトラゾール環の炭素原子であり、窒素原子の1
    個は上記に定義されたようにMa によってモノ置換され
    ている)および−SO3b(ここにおいて、Mbは水素
    またはアルカリ金属である)より成る群から選ばれる一
    員であり; d)ヒドロキシル基:−OH; e)カルボニルオキシル基:−O(C=O)Rs、ここ
    において Rs はC1〜C4アルキルまたはフェニルであり、そのお
    のおのは、場合によっては上記に定義したようにRq
    よってモノ置換されるか、または−Fによって三置換さ
    れる; f)カルバモイルオキシ基:−O(C=O)N(Ry
    z、ここにおいて RyとRzは独立的にH、C1〜C4アルキル(場合によっ
    ては上記に定義したようなRqによってモノ置換され
    る)であり、3−員〜5−員のアルキリデン基と一緒に
    環(場合によっては上記に定義したようなRqによって
    置換される)環を形成し、または−O−、−S−、−S
    (O)−または−S(O)2−によって、分断された2
    −員〜4−員のアルキリデン基と一緒に環(但し、環は
    場合によっては上記に定義したようなRqによってモノ
    置換される)を形成し; g)スルフル基;−S(O)n−Rs、ここにおいてnは
    0〜2、Rsは上記に定義されている; h)スルファモイル基:−SO2N(Ry)Rz、ここに
    おいて、RyおよびRzは上記に定義された通りであり; i)アジド:N3 j)ホルムアミド基:−N(Rt)(C=O)H、ここ
    において Rt はHまたはC1〜C4アルキルであり、そのアルキル
    は場合によっては上記に定義したようなRqによってモ
    ノ置換され; k)(C1〜C4アルキル)カルボニルアミノ基:−N
    (Rt)(C=O)C1〜C4アルキル、ここにおいて、
    tは上記に定義した通りであり、またアルキル基は場
    合によっては、上記に定義したようなRqによってモノ
    置換され; l)(C1〜C4アルキル)カルボニルアミノ基:−N
    (Rt)(C=O)OC1〜C4アルキル、ここにおいて
    tは上記に定義した通りであり、またアルキル基は場
    合によっては、上記に定義したようなRqによってモノ
    置換され; m)ウレイド基:−N(Rt)(C=O)N(Ry
    z、ここにおいてRt、RyおよびRzは上記に定義した
    通りであり; n)スルホンアミド基:−N(Rt)SO2s、ここに
    おいてRsおよびRt は上記に定義した通りであり; o)シアノ基:−CN; p)ホルミルまたはアセタール化ホルミル基:−(C=
    O)Hまたは−CH(OCH32; q)カルボニルがアセタール化されている(C1〜C4
    ルキル)カルボニル基:−C(OCH321〜C4アル
    キル、ここにおいてアルキルは、場合によっては、上記
    に定義したようなRqによってモノ置換され; r)カルボニル基:−(C=O)Rs、ここでRsは上記
    に定義した通りであり; s)場合によっては酸素または炭素原子がC1〜C4アル
    キル基によって置換されているヒドロキシイミノメチル
    基:−(C=NORz)Ry、ここにおいて、Ryおよび
    zはそれらが一緒に結合して環を形成できないこと以
    外は、上記に定義した通りであり; t)(C1〜C4アルコキシ)カルボニル基:−(C=
    O)OC1〜C4アルキル、ここにおいてアルキルは、場
    合によっては、上記に定義したようなRqによってモノ
    置換され; u)カルバモイル基:−(C=O)N(Ry)Rz、ここ
    においてRyおよびRzは上記に定義した通りであり; v)窒素原子がさらにC1〜C4アルキル基により置換さ
    れることができるN−ヒドロキシカルバモイルまたはN
    (C1〜C4アルコキシ)カルバモイル基:−(C=O)
    −N(ORy)Rz、ここにおいてRyおよびRzは、それ
    らが一緒に結合して環を形成できないこと以外は、上記
    に定義した通りであり; w)チオカルバモイル基:−(C=S)N(Ry)Rz
    ここにおいて、RyとRzは上記に定義した通りであり; x)カルボキシル:−COOMb、ここにおいて、Mb
    上記に定義した通りであり; y)チオシアネート:−SCN; z)トリフルオロメチルチオ:−SCF3; aa)テトラゾリル、ここにおいて結合個所はテトラゾ
    ール環の炭素原子であり、窒素原子の1個は水素、アル
    カリ金属または場合によっては上記に定義したようなR
    qによって置換されたC1〜C4アルキルによってモノ置
    換され; ab)ホスホノ〔P=O(OMb2〕;アルキルホスホ
    ノ{P=O(OMb)−〔O(C1〜C4アルキ
    ル)〕};アルキルホスフィニル〔P=O(OMb)−
    (C1〜C4アルキル)〕;ホスホルアミド〔P=O(O
    b)N(Ry)Rz およびP=O(OMb)NHRx〕;
    スルフィノ(SO2b);スルホ(SO3b);構造C
    ONMbSO2x、CONMbSO2N(Ry)Rz、SO2
    NMbCON(Ry)Rz;およびSO2NMbCNより成
    る群から選ばれたアニオン性官能、ここにおいて Rx はフェニルまたはヘテロアリールであり、ここにお
    いてヘテロアリールは5員または6員環原子を有する一
    環式芳香族炭化水素基であり、そこの1個の炭素原子が
    結合個所であり、そこの該炭素原子の1個は窒素原子に
    よって置換されており、そこにおいては1個の追加の炭
    素原子は、場合によっては、OまたはSから選ばれたヘ
    テロ原子によって置換され、そこにおいては1個〜2個
    の追加の炭素原子は、場合によっては、窒素ヘテロ原子
    によって置換され、そしてここにおいてはフェニルおよ
    びヘテロアリールは、場合によっては、上記に定義した
    如きRqによってモノ置換され;Mb は上記に定義した
    通りであり;RyおよびRzは上記に定義した通りであ
    り; ac)環中の炭素原子の1個がO、S、NHまたはN
    (C1〜C4アルキル)から選ばれたヘテロ原子によって
    置換され、追加の1個の炭素原子が、NHまたはN(C
    1〜C4アルキル)によって置換されることができ、各窒
    素ヘテロ原子に隣接した少なくとも1個の炭素原子が、
    1個の酸素につて置換される結合した水素原子を2個有
    し、かくしてカルボニル部分を生成し、1個または2個
    のカルボニル部分が環中に存在するC5−C7シクロアル
    キル基; ad)場合によっては上記の置換基a)〜ac)の1個
    によってモノ置換されたC2〜C4アルケニル基、および
    場合によっては上記に定義されたようなRqにより置換
    されたフェニル; ae)場合によっては上記の置換基a)〜ac)の1個
    によってモノ置換されたC2〜C4アルキニル基; af)C1〜C4アルキル基; ag)上記の置換a)〜ac)の1個によってモノ置換
    されたC1〜C4アルキル; ah)結合個所がオキサゾリジノン環の窒素原子であ
    り、環の酸素原子が場合によっては−S−およびNRt
    (ただしRtは上記に定義された通りである)から選ば
    れたヘテロ原子によって置換され、オキサゾリジノン環
    の飽和炭素原子の1個が場合によっては上記の置換基
    a)〜ag)の1個によってモノ置換された2−オキサ
    ゾリジノニル部分;および Mはi)水素; ii)薬学的に許容し得るエステル化基または除外可能な
    カルボキシル保護基; iii)アルカリ金属またはその他の薬学的に許容し得る
    カチオン;または iv) 正に帯電された基によって平衡させられた負電荷
    から選択される。
  2. 【請求項2】 R1が水素であり、R2が(R)-CH3
    H(OH)−または(R)−CH3CHF−である請求
    項1記載の化合物。
  3. 【請求項3】 該タイプIの置換基aが、下記の群から
    選択される請求項2記載の化合物 【化7】 【化8】 【化9】 【化10】
  4. 【請求項4】 該タイプIの置換基bが、下記の群から
    選択される請求項2記載の化合物 【化11】 【化12】 【化13】 【化14】
  5. 【請求項5】 該タイプIの置換基cが、下記の群から
    選択される請求項2記載の化合物 −Ap+N(CH33、−Ap+N(CH2CH33
    −Ap+N(CH32CH2q、−Ap+N(CH2
    32CH2CH2q、 【化15】 〔式中、WはO、S、NRe、N(O)Re、SO、SO
    2またはN+(Re2であり、W’はN+eまたはNOで
    ある〕。
  6. 【請求項6】 該タイプIの置換基dが、下記の群から
    選択される請求項2記載の化合物。 【化16】
  7. 【請求項7】 該タイプIIの置換基Raが、下記の群
    から選択される請求項2記載の化合物 −OCH3 −OCH2CO2CH3 −OCH2CH2OH −CF3 −F −Cl −Br −I −OH −OCOCH3 −OCONH2 −SCH3 −SOCH3 −SO2CH3 −SCH2CH2OH −SOCH2CH2OH −SO2NH2 −SO2N(CH32 −NHCHO −NHCOCH3 −NHCO2CH3 −NHSO2CH3 −CN −CHO −COCH3 −COCH2OH −CH=NOH −CH=NOCH3 −CH=NOCH2CO2CH3 −CH=NOCMe2CO2CH3 −CH=NOCMe2CONH2 −CO2CH2CH2OH −CONH2 −CONHCH3 −CON(CH32 −CONHCH2CN −CONHCH2CONH2 −CONHCH2CO2CH3 −CONHOH −CONHOCH3 −tetrazolyl −CO2CH3 −SCF3 −CONHSO2Ph −CONHSO2NH2 −SO2CF3 −SO2NHCN −SO2NHCONH2 −CH=CHCN −CH=CHCONH2 −CH=CHCO2CH3 −C≡C−CONH2 −C≡C−CN −CH2OH −CH23 −CH2CO2CH3 −SO2CH2CH2OH −CH2CONH2 および −CH2I。
  8. 【請求項8】 下記の式を有する請求項2記載の化合物 【化17】 〔式中、R″はFまたはOHであり、RはHまたはMe
    であり、Eは 【化18】 であり、そしてMおよびRaは下記の群から選択され
    る〕。 【化19】 【化20】 【化21】 【化22】 【化23】 【化24】 【化25】 【化26】 【化27】 【化28】 【化29】 【化30】 【化31】
  9. 【請求項9】 薬学的に許容しうるキャリヤーと、請求
    項1の活性物質の0.1乃至約99重量%とを含有する
    組成物。
  10. 【請求項10】 下記の群から選択された化合物。 【化32】
  11. 【請求項11】 下記式の化合物 【化33】 (式中、 Rは−Hまたは−CH3であり;Ra はH、OP’、C
    l、Br、I、SCH3、CN、CHO、SOCH3、S
    2CH3、CO2M、CH2OP’およびCONH2から
    成る群より選択され;P’はヒドロキシル基のための脱
    離可能な保護基であり;Mはカルボキシル基のための脱
    離可能な保護基であり;そしてZはアルキルスルホニル
    オキシ、置換されたアルキルスルホニルオキシ、アリー
    ルスルホニルオキシ、置換されたアリールスルホニルオ
    キシ、フルオロスルホニルオキシおよびハロゲンから成
    る群より選択される;ただし、 −CH2-Zの部分は上記に番号を付したベンゾクマリン
    の3−位または4−位にある)〕。
  12. 【請求項12】 Mが、ベンゾヒドリル、p−ニトロベ
    ンジル、2−ナフチルメチル、アリル、2−クロロアリ
    ル、ベンジル、t−ブチル、2,2,2−トリクロロエ
    チル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニ
    ルシリル、トリメチルシリル、2−(トリメチル)シリ
    ルエチル、フェナチル、p−メトキシベンジル、アセト
    ニル、o−ニトロベンジル及び4−ピリジルメチルから
    なる群から選択される請求項11の化合物。
  13. 【請求項13】 P’が、t−ブチルメトキシフェニル
    シリル、t−ブトキシジフェニルシリル、トリメチルシ
    リル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、
    o−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベン
    ジルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、t
    −ブチルオキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエ
    チルオキシカルボニル及びアリルオキシカルボニルから
    なる群から選択される請求項11の化合物。
  14. 【請求項14】 Zが、メタンスルホニルオキシ、トリ
    フルオロメタンスルホニルオキシ、フルオロスルホニル
    オキシ、p−トルエンスルホニルオキシ、2,4,6−
    トリ−イソプロピルベンゼンスルホニルオキシ、p−ブ
    ロモベンゼンスルホニルオキシ、p−ニトロベンゼンス
    ルホニルオキシ、ブロモ及びヨードからなる群から選択
    される請求項11の化合物。
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