JPH0524041B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、主として嘔吐物のような液状廃棄物
を集めるための、特に病院などの医療機関で使用
するのに適した手に持つ廃棄物容器に関するもの
である。

（従来の技術） 従来、病院などで所謂、キドニー皿が胃の内容
物を集めるための廃棄物容器として使用されてい
る。

（発明が解決しようとする課題） 従来のキドニー皿は、低い縁部を有し、嘔吐の
際にこの皿を片手で持つ場合、又はこの皿をベツ
ドテーブルに移動させる場合、キドニー皿から胃
の内容物をこぼさないようにするのが困難であ
る。更に、密閉型でないため嘔吐物の臭気が拡散
するのを防止出来ない。この臭気は、極めて不愉
快であつて他の患者に吐気を生ぜしめる。更に、
一般に小さ過ぎて充分な量を収容し得ず、大型の
キドニー皿も存在するが、その使用は極めて稀で
あつて、滅多に利用されない。

従つて、本発明の目的は、上述の問題を解決し
て、病院などで使用するのに適し、多量の嘔吐物
も集めることができ、内容物をこぼすことなく容
易に操作することができ、かつテーブルなどの支
持体などの上に配置した後に内容物及びその臭気
を逃さず廃棄物袋を分離でき、かつ組立が容易な
手に持つ廃棄物容器を提供することである。

（課題を解決するための手段） 上記目的は、本発明によれば、手に持つ廃棄物
容器は、嘔吐物などを集めるために手に持つ廃棄
物容器１において、前記廃棄物容器１は、環状部
分即ち手に持つ部分２と、前記環状部分２は、そ
の直径Ｄよりも相当に大きい長さＬを有し、前記
環状部分２に取付けられかつ環状部分２により開
口状に保持される可撓性の廃棄物袋３とを備え、
これにより前記廃棄物袋３が前記環状部分２を介
して自由に吊り下げられており、前記環状部分２
は、廃棄物袋３の開口端部３ａよりも大きな直径
を有するので、可撓性の廃棄物袋３の開口端部３
ａを拡張し、かつ環状部分２を廃棄物袋３中に導
入可能で、かつ廃棄物袋３中で旋回可能であり、
かくして可撓性の廃棄物袋３の開口端部３ａを折
返して環状部分２の外側で緊張保持されて構成さ
れることを特徴とする。

（実施例） 以下、添付図面を参照して本発明を実施例につ
き詳細に説明する。

第１図を参照すると、廃棄物容器１は、嘔吐に
より吐き出されるような胃の内容物を片手操作で
集めることを目的とするもので、この廃棄物容器
１は、環状部分又は手に持つ部分２と、これに取
付けられた可撓性材料からなる廃棄物袋３とから
なつている。

第２図を参照すると、環状部分２はリング状で
あつて、ほぼ軸方向に延在する壁部分２ａと、こ
れに接続するほぼ円周方向に延在する上端縁部分
２ｂと下端縁部分２ｅとを備える。壁部分２ａ
は、その自由上端縁部の方向へ円錐状に僅かに傾
斜して広がつており、かつ外側に丸みを付けられ
て反り返る部分２ｃを介してほぼ円周方向に延在
する上端延部分２ｂを有する。この配置設計は、
環状部分２を親指と人差指とで上端縁部分２ｂを
把持する場合にも、又は軸方向に延在する壁部分
２ｃを把持する場合にも、把持が容易でかつ便利
である。上端縁部分２ｂと部分２ｃは環状部分２
の強度を高める補強部分を構成する。このこと
は、後述の第８図におけるデイスペンサ４の使用
を可能とする。環状部分２は、その直径Ｄの1/6
より大きい、好適には1/4の高さを有し、この設
計は、廃棄物を含む廃棄物容器１をテーブルなど
の支持体上に載置する際に（第９図参照）、廃棄
物が漏れないよう効果的に防止する。更に、折畳
んだ状態の廃棄物袋３が、環状部分２の内部に収
容されるのを容易にする（第７図参照）。上記設
定は、極めて丈夫な環状部分２を与えるので、手
に持ち、かつ廃棄物袋３が嘔吐物で一杯になつた
際の重量を支持する時に、その形状を保持するこ
とが出来る。勿論、環状部分２の直径Ｄは、嘔吐
の際に胃の内容物を容易に捕らえ得るような大き
さである。環状部分２は、好適には、プラスチツ
ク材料で作成され、僅かに弾性体であつて、廃棄
物袋３を損傷しないよう丸み縁部を有する。環状
部分２の軸方向に延在する壁部分２ａは、１個又
はそれ以上の凹部２ｄを備えて、その中に折畳ん
だ又は捩つた状態の廃棄物袋３の横方向に延在す
る部分を挿入することができる。

第３〜６図は、第１図に示される廃棄物容器１
の組立てを順序に従つて説明する図である。

第３図を参照して、環状部分２の外形Ｄは、偏
平にした可撓性材料からなる廃棄物袋３中へ挿入
できる寸法に選択される。

第４図を参照して、膨張した廃棄物袋３は、環
状部分２の外径Ｄよりも小さい直径DAを有し、
従つて、環状部分２を廃棄物袋３中へ充分に挿入
した後、矢印Ａで示したように、環状部分２を廃
棄物袋３の軸線方向に直角に横断する位置まで旋
回させ、その下端縁部分２ｅを廃棄物袋３の開口
部に向け外方へ指向させる。廃棄物袋３の開口端
部３ａは環状部分２の周囲に圧縮状態で保持され
る。

第６図を参照して、第５図の状態から廃棄物袋
３の閉鎖端部を環状部分２中に通して引き伸ばし
た最終組立状態を示し、これにより廃棄物袋３の
開口部分３ａは、環状部分２の円周方向の上端縁
部分２ｂにおいて折り返されて、廃棄物袋３は環
状部分２に対して確実に強固に緊張保持される。
廃棄物袋３の開口端部３ａは、環状部分２全体を
覆うので、環状部分２を片手で保持した際に、環
状部分２と直接接触しないので、衛生上の理由で
有利である。環状部分２と廃棄物袋３とは別々の
部品であるため、環状部分２は、再使用し得るに
対して、内容物を含む廃棄物袋３は捨てることが
出来る。環状部分２から緩めて廃棄物袋３を捨て
る前に、開口部分を紐などで結ぶことにより廃棄
物袋３を密封することが出来る。代案として環状
部分２と廃棄物袋３とを一緒に捨てることも出来
る。廃棄物袋３がどの程度満たされたか計量し得
るように、廃棄物袋３を透明材料で作成し、目盛
りを施すこともできる。

第７図を参照して、第６図の組立てられた廃棄
物容器の廃棄物袋３の部分を折畳んで環状部分２
中に収容した状態を示し、必要に応じて迅速に第
６図の最終組立の廃棄物容器を、即ち、第１図の
廃棄物容器１を迅速に組立てて使用可能とされ
る。

第８図を参照して、第７図状態の複数の組立て
られた廃棄物容器をデイスペンサ４により保持す
る状態を示し、この場合、環状部分２の上端縁部
分２ｂと反り返る部分２ｃは、強度が補強される
のでデイスペンサ４を支持することが出来、そこ
から積み重ねられ懸垂された廃棄物容器１（第７
図の廃棄物袋３を折畳んで含む）を下方へ引つ張
つて一つずつ引き出すことが出来る。環状部分２
及び／又はデイスペンサ４の下部４ａは、廃棄物
容器１の引き出しを可能にするような弾性力を有
する材料で構成されている。

第９，１０図を参照して、廃棄物袋３は、環状
部分２の直径Ｄよりも相当に大きい長さＬを有す
る。このような寸法の廃棄物袋３は、充分量の廃
棄物を収容して胃の内容物を集めるのに使用する
ことができる。一般的に、嘔吐を催す患者は、嘔
吐に楽な姿勢で環状部分２を片手で把持して口に
押し当て、廃棄物袋３は、垂下げ状態で又は端部
を適当な支持体に持たせ掛けて嘔吐する。嘔吐が
終われば、廃棄物袋３又は環状部分２を他方の片
手で回転して廃棄物袋３を環状部分２に接する部
分３ｃで捩り、内容物を封止後、捩り部分３ｃを
回転部分２の凹部２ｄに挿入して押さえた後、廃
棄物容器１をテーブルなどの支持体上に配置す
る。廃棄物袋３は、極めて可撓性である為に、支
持体上への廃棄物容器１の配置に際し、廃棄物袋
３が、支持体上に載置されるように環状部分２下
側にて屈曲されることが出来る。支持体上へ廃棄
物容器１を載置するために下方へ移動する際に、
廃棄物袋３も支持体上に載置させられ、環状部分
２の開口部は上向きに配置される。この状態で廃
棄物袋３の捩り部分３ｃは、捩りが戻ることなく
そのままの状態が保持される。次いで、自由にな
つた両手で支持体面上で、環状部分２から廃棄物
袋３を取り外すことが出来る。

第９図は、どのように廃棄物袋３の部分３ｃ
が、下方へ押圧される環状部分２により支持体面
上で圧縮されるかを示している。廃棄物が流出し
ないように廃棄物袋３の捩り部分３ｃが環状部分
２の凹部２ｄ中に保持され、次いで両手により環
状部分２から廃棄物袋３を分離する。環状部分２
は、その高さにより「トラフ」を構成し、廃棄物
袋３が多量の嘔吐物で充分に満たされ、かつ万一
完全に封止されていない場合にも、廃棄物がこぼ
れるのを防止する。この場合、万一廃棄物が、溢
れ出る事態でもその前に、環状部分２の上端縁部
分２ｂまで前記「トラフ」中に流出することが出
来る。

第１０図は、第９図の斜視図である。

第１１図は、廃棄物容器１をブラケツト５に配
置して、これを壁又はベツド脇又はその他の適当
な場所に配置し、廃棄物容器１を手に持ち、又は
手に持つ必要なしに嘔吐し、その後廃棄物袋３を
捩つて捩り部分３ｃを環状部分２の凹部２ｄに挿
入して、上記したように支持体上に配置して廃棄
物袋３を環状部分２から取り外す。

（発明の効果） 本発明の手に持つ廃棄物容器１によると、構造
簡単でかつ組立容易であり、一般的に生じ得るよ
うな量の胃の内容物を集めるため、容器の傾斜を
正確に確かめる必要なしに、患者が容器を片手で
把持して口へ接近させることができ、嘔吐が止ま
つた際に、容器を内容物がこぼれる心配なしに処
理することができ、かつ容器を内容物や臭気が漏
れる危険なしに楽にテーブル上に載せることがで
き、次いで廃棄物袋３を環状部分２から分離して
処理することができ、病院などで使用するのに好
適である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る廃棄物容器１の部分断面
側面図であり、第２図は廃棄物容器１の手に持つ
環状部分２の部分断面側面図であり、第３図は第
１図に示した廃棄物容器１を形成する為に廃棄物
袋３中にどのように環状部分２を取付るかの組立
第一段階を示す説明図であり、第４図は環状部分
２を廃棄物袋３中でどのように旋回するかを示す
組立第二段階の説明図であり、第５図は環状部分
２を旋回した後の状態を示す説明図であり、第６
図は廃棄物袋３の端部を環状部分２に通して廃棄
物容器１を仕上げる最終組立段階を示す説明図で
あり、第７図は廃棄物袋３を折畳んで環状部分２
中に配置しインスタント廃棄物容器を示す説明断
面図であり、第８図はホルダー又はデイスペンサ
に多数の第７図のインスタント廃棄物容器を配置
した説明図であり、第９図は嘔吐物を集めた廃棄
物容器１を廃棄物袋３と環状部分２から分離する
為に支持体上に配置した状態を示す説明側面図で
あり、第１０図は第９図の説明図斜視図であり、
第１１図はブラケツトに装着した廃棄物容器１の
説明斜視図である。 １……廃棄物容器、２……環状部分、２ａ……
壁部分、２ｂ……上端縁部分、２ｃ……（反り返
る）部分、２ｄ……凹部、２ｅ……下端縁部分、
３……廃棄物袋、３ａ……開口端部、３ｃ……
（捩り）部分、４……デイスペンサ、４ａ……下
部、５……ブラケツト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 嘔吐物などを集めるために手に持つ廃棄物容
   器１において、前記廃棄物容器１は、環状部分即
   ち手に持つ部分２と、前記環状部分２は、その直
   径Ｄよりも相当に大きい長さＬを有し、前記環状
   部分２に結合されかつ環状部分２により開口状に
   保持される可撓性の廃棄物袋３とを備え、これに
   より前記廃棄物袋３が前記環状部分２を介して自
   由に吊り下げられており、前記環状部分２は、廃
   棄物袋３の開口端部３ａよりも大きな直径を有す
   るので、可撓性の廃棄物袋３の開口端部３ａを拡
   張し、かつ環状部分２を廃棄物袋３中に導入可能
   で、かつ廃棄物袋３中で旋回可能であり、かくし
   て可撓性の廃棄物袋３の開口端部３ａを折返して
   環状部分２の外側で緊張保持されて構成されるこ
   とを特徴とする手に持つ廃棄物容器。 ２ 前記環状部分２が、可撓性の廃棄物袋３の軸
   線に沿つて廃棄物袋３中に延在する位置から可撓
   性の廃棄物袋３の軸線を横断する位置まで可撓性
   の廃棄物袋３中で旋回可能である特許請求の範囲
   第１項記載の手に持つ廃棄物容器。 ３ 前記環状部分２が、その頂部において、実質
   的に半径方向外側に延在する上端縁部分２ｂを有
   する特許請求の範囲第１項又は第２項記載の手に
   持つ廃棄物容器。 ４ 前記環状部分２が、前記直径Ｄの1/6以上の
   高さＨ、好適には約1/4の高さＨを有する特許請
   求の範囲第１〜３項のいずれか１項に記載の手に
   持つ廃棄物容器。 ５ 前記環状部分２が、廃棄物袋３の捩り部分３
   ｃを受け入れる為の少なくとも一つの凹部２ｄを
   有する特許請求の範囲第１〜４項のいずれか１項
   に記載の手に持つ廃棄物容器。 ６ 前記廃棄物袋３が、均一厚さの弾性管状ブラ
   ンクよりなり、一端部において閉鎖され他端部に
   おいて閉鎖可能である特許請求の範囲第１〜５項
   のいずれか１項に記載の手に持つ廃棄物容器。 ７ 前記環状部分２が、ほぼ軸方向に延在する壁
   部分２ａを備える特許請求の範囲第１〜６項のい
   ずれか１項に記載の手に持つ廃棄物容器。 ８ 前記廃棄物袋３が、環状部分２の外側を全面
   的に又は一部的に被覆し、かつ環状部分２の上端
   縁部分２ｂを越えて延在する特許請求の範囲第１
   〜７項のいずれか１項に記載の手に持つ廃棄物容
   器。