JPH05238913A - 農園芸用殺虫剤 - Google Patents

農園芸用殺虫剤

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JPH05238913A
JPH05238913A JP7562492A JP7562492A JPH05238913A JP H05238913 A JPH05238913 A JP H05238913A JP 7562492 A JP7562492 A JP 7562492A JP 7562492 A JP7562492 A JP 7562492A JP H05238913 A JPH05238913 A JP H05238913A
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JP
Japan
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oryzacystatin
vermin
phytocystatin
insecticide
agricultural
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JP7562492A
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Hirato Kondo
平人 近藤
Yuji Shibano
裕次 柴野
Takaharu Tanaka
隆治 田中
Teruo Amachi
輝夫 天知
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Suntory Ltd
Original Assignee
Suntory Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 オリザシスタチン等のフィトシスタチンを有
効成分とする農園芸用殺虫剤。 【効果】 本発明の農園芸用殺虫剤は、貯蔵害虫や子実
害虫等に対する殺虫効果や生育阻害効果等の有効な駆除
効果を示し、また、その有効成分であるフィトシスタチ
ンは生体防御物質であり安全性が高いので安全な殺虫剤
として有利に使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、農園芸用殺虫剤に関
し、更に詳細には、穀類、豆類等の各種作物に寄生する
ゾウムシ類等の貯蔵害虫やカメムシ類などの子実害虫等
を始めとする多くの害虫に有効でかつ安全性の高い農園
芸用殺虫剤に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、農作物や穀物に発生する多くの害
虫を駆除するための農園芸用殺虫剤として、ピレスロイ
ド系殺虫剤、有機りん系殺虫剤およびカーバメイト系殺
虫剤などの有機合成化学物質が一般的に広く使用されて
いる。 しかし、これらの人工的に合成された化学物質
の中には、大量に用いた場合、環境汚染や人体に対する
悪影響などの危険性が指摘されている。
【0003】かかる問題点を解決する一方策として、す
でに植物自身が持っている生体防御物質をそのものを植
物に散布する方法や、更には遺伝子工学的手法を用いて
生体防御物質を植物体内で大量に発現させる方法が提案
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、貯蔵害
虫や子実害虫等に対して有効な効果を示す明確な生体防
御物質は、未だ見出されておらず、従来公知有機合成物
質を利用しているのが現状であり、これら害虫を駆除す
るためのより安全性の高い方法の開発が求められてい
た。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、昆虫に対
する生体防御物質について鋭意検索していたところ、植
物中に含まれるシステインプロティナーゼインヒビター
であるフィトシスタチンが貯蔵害虫や子実害虫等に対す
る有効な生体防御物質であることを見出し、本発明を完
成した。
【0006】すなわち本発明は、フィトシスタチンを有
効成分とする農園芸用殺虫剤を提供するものである。
【0007】本発明において有効成分として用いられる
フィトシスタチンは、植物中に含まれるシステインプロ
ティナーゼインヒビター(シスタチン)であり、イネ、
オオムギ、コムギ、ジャガイモあるいはトウモロコシな
どの栽培植物に由来するものであっても良く、また近年
報告されているバラ科植物等の観賞植物に含まれている
ものであっても良い。
【0008】上記フィトシスタチン中でも、稲〔Oryza
sativa L. japonica〕種子に由来するオリザシスタチン
は、植物中に初めて見いだされたシスタチンとして知ら
れるものである。 このオリザシスタチンは、それまで
知られていた動物由来のシスタチンとは異なる性質を示
し、これまでに2種類の存在が報告されており、それぞ
れオリザシスタチン−I〔Abe,K., Emori,Y., Kondo,
H.,Suzuki,K. and Arai,S.: J.Biol.Chem., 262, 16793
-16797 (1987)〕、オリザシスタチン−II〔Kondo,H.,
Abe,K., Nishimura,I., Watanabe,H.,Emori,Y. and S
oichi,A.: J.Biol.Chem., 265, 15832-15837 (1990)〕
と命名されている。
【0009】この2つのオリザシスタチンはパパイン
(papain)、カテプシン(cathepsin)などのシステイ
ンプロティナーゼの活性を強く阻害するタンパク質性の
シスタチンであり、オリザシスタチン−IはN末端のメ
チオニンよりC末端のアラニンまでの合計102残基の
アミノ酸より構成されており、オリザシスタチン−II
はN末端のメチオニンよりC末端のアラニンまでの10
7残基のアミノ酸より構成されている。 このオリザシ
スタチンについては、すでにピコルナウイルス種に属す
るポリオウイルスに対して効果的な増殖阻害作用を持つ
ことが報告されている〔日本農芸化学会誌1991年度大会
講演要旨集253ページ〕。
【0010】また、その他の栽培植物であるジャガイ
モ、コムギ、オオムギあるいはトウモロコシといったも
のにもシスタチンが存在することが証明されつつあり、
これらの一次構造、遺伝子構造などが判明されるにつ
れ、オリザシスタチンとの類似性が報告され、オリザシ
スタチンを中心とする「 フィトシスタチン・ファミリ
ー(phytocystatin family)」の存在が確認されつつあ
る。
【0011】更に、1990年以降には、他の植物中の
植物シスタチンの存在が次々と報告されるようになっ
た。 例えばバラ科のフジの花の種子より3つのタイプ
のシスタチンの存在が確認され〔Hirasgi-ki,I.,Ogata,
F.,Yoshida,N.,Makisumi,S.,Itou,A.:J.Biochem.,108,6
04−608(1990)〕、そのうちの1つは部分配列ながらオ
リザシスタチン−Iと非常によく似ており、このものも
フィトシスタチンに含まれるものとされている。
【0012】本発明の農園芸用殺虫剤に配合されるフィ
トシスタチンは、上記の各植物の植物体中から抽出した
ものであっても、また、上記各植物の遺伝子を利用し、
遺伝子工学的手法により製造したものでもあってもよ
い。
【0013】このうち、フィトシスタチンの好適な一例
である、稲種子に由来するオリザシスタチンは、例えば
次の方法により得ることができ、他の植物からのフィト
シスタチンもこれに準じて得ることができる。
【0014】すなわち、オリザシスタチンは、阿部らの
方法〔Abe,K., Kondo,H. and Arai,S.: Agric.Biol.Che
m., 51, 2763-2768 (1987)〕に従い、稲完熟種子より抽
出するか、または、サムブルークら(Sambrook et a
l.)のモレキュラー・クローニング(Molecular Clonin
g)第2版(Cold Spring Harbor, 1989)に記載の方法
を用い、阿部らの方法〔Abe,K., Emori,Y., Kondo, H.,
Suzuki,K. and Arai,S.: J.Biol.Chem., 262, 16793-16
797 (1987)〕および近藤らの方法〔Kondo,H., Abe,K.,
Nishimura,I., Watanabe,H., Emori,Y. and Soichi,A.:
J. Biol. Chem.,265, 15832-15837 (1990)〕に従っ
て、公知のオリザシスタチンをコードする遺伝子を用い
る遺伝子工学的手法により大腸菌内で発現させて取得す
ることができる。 ここで、オリザシスタチンの収量が
遺伝子工学的手法においては抽出法の約10万倍である
ので、遺伝子工学的手法により得たものを利用すること
がより好適である。 このフィトシスタチンは、完全精
製品に限らず、粗精製品や部分精製品であっても良い。
【0015】本発明の農園芸用殺虫剤の製造は、上記の
ようにして得られるフィトシスタチンを有効成分として
配合する以外は、一般に農薬製造分野で行なわれている
方法により製造することができる。
【0016】この製造に当っては、通常農薬の製剤化に
際して使用される各種担体および各種の補助剤を利用す
ることができ、粉剤、粒剤、液剤、水和剤など所望の形
態とすることができる。 使用される担体の例として
は、クレー、タルク、カオリン、けいそう土、シリカな
どの固体担体や、水、アルコール類(例えば、メタノー
ル、エタノール)などの液体担体が挙げられる。 これ
らに更に、適当な界面活性剤やその他の補助剤、例えば
安定剤、展着剤などを適量配合し、製剤化しても良い。
【0017】本発明の農園芸用殺虫剤中のフィトシスタ
チン含量は、特に制約はないが、完全精製品として、一
般に0.1〜30重量%、好ましくは1〜15重量%の
範囲とすることが適当である。
【0018】以上のようにして調製される本発明の農園
芸用殺虫剤は、主に貯蔵害虫あるいは子実害虫に有効で
あるが、これのみに限らずシステインプロティナーゼを
有する害虫全般の防除に使用することができる。 ま
た、当該農園芸用殺虫剤はこれを単独で使用しても良い
が、他の殺虫剤、あるいは殺菌剤、殺ネマ剤、殺ダニ
剤、除草剤、植物生長調整剤、肥料、BT剤等の微生物
農薬、昆虫ホルモン剤その他の農薬等と混合することに
よってさらに効力のすぐれた多目的組成物を作ることも
でき、それらの配合により効力の相乗効果も期待でき
る。
【0019】
【実施例】次に実施例および参考製造例を挙げ、本発明
を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等になんら
制約されるものではない。
【0020】製 造 参 考 例 オ リ ザ シ ス タ チ ン の 製 造 : (1)コメ種子全RNAの抽出 稲種子から全RNAの抽出を、日本型栽培稲の開花後2
週目の登熟期にあたる種子を用いて行なった。 すなわ
ち、この登熟途中の稲種子3gをコーヒー豆粉砕機を用
いて粉状に粉砕し、これに飽和フェノール溶液15ml
を加えて攪拌し、100mMトリスヒドロキシアミノメ
タン塩酸緩衝液(pH8.0;5mM EDTAおよび1
% ラウリル硫酸ナトリウムを含む)を15ml加え、
粉砕し、激 しく上下に10分間振とうした後、遠心し
(4,000rpm、10min、,4℃)、水層を得
た。 その水層に対してフェノール溶液15mlを加
え、攪拌し遠心を行なう操作を3回繰り返した。 得ら
れた水層に対して45mlのエタノールを添加し、遠心
した後、沈澱画分を凍結乾燥し、約3mgの稲種子全R
NAを得た。
【0021】(2)稲種子のcDNAライブラリーの調
製 上記(1)で得られた全RNAからのmRNAの単離、
cDNAライブラリーの作製を公知の方法によって行な
った。 すなわち、稲種子の全RNAよりポリA RNA
を分画し、これを鋳型としてcDNAを合成した。 こ
の合成cDNAをクローニング用のファージベクター、
例えばλgt10に組み込み、大腸菌、例えばC600
Hf1株の宿主を形質転換した。 これをχーブロース
の寒天培地(純水1lにトリペプトン25g、酵母エキ
ス10g、グルコース1g、硫酸マグネシウム4.9g
および塩化ナトリウム2.5gを溶かし、pH7.5に調
整し、寒天を3%添加したもの)上で培養することによ
り約12万個の独立なプラークよりなる稲種子のcDN
Aライブラリーを作製することができた。
【0022】(3)オリザシスタチンのcDNAのスク
リーニング プラークの大きさが直径2mmとなった時点で寒天培地
上にナイロンメンブレンフィルターをのせ、3分後にこ
れをはがし、アルカリ変性溶液(0.5MのNaOH溶
液に1.5MのNaClを含むもの)に5分間浸した
後、風乾した。次に、中和溶液(1.5Mのトリス塩酸
緩衝液、1.5MのNaClを含むもの)に20分間浸
し中和した。 これを2XSSC溶液(1lの水に17.
5gのNaClと8.8gのクエン酸ナトリウムを含む
もの)に浸した後、十分に風乾し、更に80℃で60分
間加熱処理し、UVランプで10分間照射することでD
NAを固定した。 このフィルターを用いてオリザシス
タチンをコードするcDNAをスクリーニングすること
ができた。
【0023】スクリーニングのために用いるプローブ
は、オリザシスタチン−Iについては既に公知となって
いるオリザシスタチン−I遺伝子の塩基配列(Abe,K.,
Emori,Y., Kondo,H., Suzuki,K. and Arai,S., J. Bio
l. Chem., 262, 16793 -16797(1987) )をもとに20m
er程度の長さのオリゴヌクレオチドプローブ、 例え
ば、5'−AAGCTCTATGAAGCTAAGGT
CTGGG−3'を合成し用いることができる。オリザ
シスタチン−IIについても同様に既に公知となってい
る遺伝子の塩基配列(Kondo,H.,Abe,K.,Nishimura,I.,
Emori,Y., and Arai,S., J.Biol.Chem., 265, 15832 -
15837 (1990) )をもとに約20mer程度のオリゴヌ
クレオチドプローブ、例えば、5'−AGGCAGCA
GGTGGTGGGCGGGTTC−3'を合成し用い
ることができる。 これらのオリゴヌクレオチドプロー
ブを用いた、ナイロンフィルターに固定された稲種子の
cDNAライブラリーのスクリーニングは、例えば放射
性同位元素化合物γ−32P−デオキシCTPを用いてオ
リゴヌクレオチドプローブを標識し、42℃の温度でハ
イブリダイゼーションを行い、オートラジオグラフィー
によって検出される陽性シグナルをプレート上のプラー
クと照合することによって行なった。
【0024】陽性シグナルに対応するプレート上プラー
クを含むソフトアガロースをSM溶液(0.1MのNa
Cl、8.1mMの硫酸マグネシウム)5μlに懸濁
し、クロロホルムを一滴加え、溶解することにより、オ
リザシスタチン−IをコードするcDNAインサートを
含むファージクローンを得ることができた。 オリザシ
スタチン−IIについても同様にファージクローンを得
ることができた。 これを適当な制限酵素、例えばEc
oRIで消化し、その消化断片をクローニング用のプラ
スミドベクター、例えばpUC18などにサブクローニ
ングして、既に公知となっているものと同様のオリザシ
スタチン−I、およびオリザシスタチン−IIの最長を
コードするプラスミドを得ることができた。
【0025】(4)発現プラスミドの調製 オリザシスタチン−Iおよびオリザシスタチン−IIを
大腸菌内で発現させるための発現プラスミドの構築は、
発現ベクタ−として既に公知となっているpKK 23
3−2プラスミドを用い、このマルチクローニングサイ
トの制限酵素切断点であるNcoIとPstIに上記
(3)で得られたたpUC18プラスミドベクターにク
ローニングされたオリザシスタチン−Iおよびオリザシ
スタチン−IIをコードする遺伝子を挿入することによ
り行なった。 pKK 233−2プラスミドへのオリザ
シスタチン遺伝子の挿入に当っては、オリザシスタチン
−Iの場合、そのアミノ酸配列の開始メチオニンの位置
に相当する塩基配列に制限酵素NcoIサイトを挿入す
ることにより始めた。
【0026】このNcoIサイトの構築はサムブルック
(Sambrook)らのモレキュラー・クローニング第二版(C
old Spring Harbor, 1989)に記載されている部位指定
変異法により行なった。 この場合、オリゴヌクレオチ
ドプローブとして5'−GCCATGGCGAGC−3'
を使用することにより、容易に塩基配列をGAAGAT
GGTCGAGCからGACCATGGGCGAGCと
変えることができ、CCATGGというNcoI制限酵
素サイトを構築することができた。
【0027】上記したようにNcoI制限酵素サイトを
構築した後、pUC18プラスミドベクターにクローニ
ングされたオリザシスタチン−Iをコードする塩基配列
をNcoIとPstIサイトで消化することによりDN
A断片を得、更にこれをpKK233−2プラスミドの
NcoIとPstIサイトに挿入することによりオリザ
シスタチン−Iの発現プラスミドを完成させることがで
きた。 得られた発現プラスミドを用いることにより、
後記のように天然の稲に存在するものと同じ102残基
のアミノ酸よりなるオリザシスタチン−Iを大腸菌内で
生産させることができた。
【0028】一方、オリザシスタチン−IIに関しても
同様に行なうことができた。 この場合、オリゴヌクレ
オチドプローブとして5'−GGCCATGGCCGA
GGA−3'を用いることにより、容易にGGCGAT
GGCCGAGGAの塩基配列をGGCCATGGCC
GAGGAと変えることができた。 この場合も得られ
た発現プラスミドを用いることにより、天然の稲に存在
するものと同じ107残基のアミノ酸よりなるオリザシ
スタチン−IIを後記のように大腸菌内で生産させるこ
とができた。
【0029】(5)大腸菌内での生産のための形質転換
大腸菌株の調製 大腸菌、例えば大腸菌YA21株を30mlのSOB液
体培地(1lの水あたり、20gのバクトトリプトン、
10gの酵母エキス、0.6gのNaClおよび0.2g
のKClを含む)で37℃、4時間培養し、550nm
で測定した吸光度が約0.4程度の菌濁度となるように
調製する。 遠心後、菌体を10mMの硫酸マグネシウ
ム水溶液に懸濁し、4℃にて15分間静置する。 再び
遠心後、菌体を2mlの50mM 塩化カルシウム水溶
液に懸濁し、4℃で10分間静置する。 この菌濁液2
10μlに(4)で調製したオリザシスタチン−Iある
いはオリザシスタチン−IIのそれぞれの挿入断片を含
む発現プラスミドを添加し、4℃で30分間静置するこ
とにより大腸菌を形質転換させた。 つづいて、42℃
で80秒間熱処理し、再び4℃にて2分間静置した後、
SOC(SOBに10mMのグルコースを含む)を80
0μl加え、37℃にて1時間振とう培養し、形質転換
菌を1.5%寒天と、50μg/mlのアンピシリンを
含むχ−ブロース寒天培地上で37℃、18時間選択培
養した。
【0030】(6)形質転換大腸菌内の培養方法 上記(5)でコロニーとして得られたオリザシスタチン
−Iあるいはオリザシスタチン−IIのそれぞれの形質
転換菌を800mlのχーブロース液体培地で37℃で
8時間培養した。 続いて、この菌体懸濁培養液を40
lの発現用培地(水1lあたり、25gのポリペプト
ン、10gの酵母エキス、4.9gの硫酸マグネシウ
ム、15.2gのリン酸水素ナトリウム12水和物、1.
2gのリン酸二水素カリウム、1gの塩化アンモニウ
ム、0.75gの塩化ナトリウム、0.0835gの塩化
マグネシウム6水和物、0.115gの硫酸ナトリウム
および0.4mlのシリコンKM72を含む)に添加
し、37℃で18時間培養した。 この際、密閉された
50リットルジャーを用いた。 また、培養終了4時間
前にIPTG(イソプロピルガラクトピラノシド)を最
終容量1mMとなるように添加した。
【0031】(7)菌体内に生産されたオリザシスタチ
ンの抽出方法 上記(6)で得られた菌体培養液を、連続遠心(4℃、
8,000rpm、約5時間)に付すことにより菌体を
回収した。 40リットルの培養液から約600g湿重
量の菌体を得た。 この600g湿重量の菌体を4リッ
トルの菌抽出液(25mM トリスー塩酸緩衝液<pH
7.8>;5mM EDTAおよび3mMメルカプトエタ
ノールを含む)中に懸濁し、ガラスビーズを充填させた
ダイノミルにて菌体を破砕し、菌体内生産物を抽出する
ことができた。 オリザシスタチン−Iとオリザシスタ
チン−IIは水溶性タンパク質であるため容易に抽出液
中に溶解させることができた。
【0032】(8)オリザシスタチンの精製方法 上記(7)で得られたオリザシスタチンIおよびオリザ
シスタチンII抽出液のそれぞれを80℃で10分間熱
処理し、遠心(7,000rpm、10分間、4℃)し
て、オリザシスタチン画分を含んだ上清液を得た。 こ
の上清液に対して3%のポリエチレンイミン水溶液を5
容量%添加し、室温にて10分間攪拌後、遠心(8,0
00rpm、10分間、4℃)することにより不要な核
酸を除いた。 このオリザシスタチンを含む上清液に対
して、25%から75%の濃度にて硫酸アンモニウム分
画を行い、それぞれオリザシスタチンを含む最終沈澱画
分を800mlのDEAE用緩衝液(25mM トリス
ー塩酸<pH7.5>;5mM EDTAおよび2mM
メルカプトエタノールを含む)に溶かした。
【0033】(9)オリザシスタチン−IおよびIIの
カラムクロマトグラフィーによる精製法 上記(8)にて説明したDEAE用緩衝液で平衡化し
た、DEAEセルロースカラム(7φ×50cm)に
(8)で得られた各オリザシスタチン抽出液を供した。
オリザシスタチンの溶出は0Mから0.6MのNaCl
を用いたリニアーグラディエントにより行なった。 オ
リザシスタチン−Iおよびオリザシスタチン−IIとも
に0.2Mの塩濃度にて溶出される画分に含まれてい
た。 続いて、このオリザシスタチン溶液を集め、最終
濃度30%となるように硫酸アンモニウムを加えた。
疎水クロマト用緩衝液(25mM トリスー塩酸<pH
7.5>;5mM EDTA、2mM メルカプトエタノ
ール、30%硫酸アンモニウムを含む)にて平衡化した
ブチルトヨパール 650Mカラム(5φ×30cm)
に30%硫酸アンモニウムを加えたオリザシスタチン溶
液を供した。 溶出は30%から0%の硫酸アンモニウ
ム濃度のリニアーグラディエントにて行なった。 オリ
ザシスタチン−Iおよびオリザシスタチン−IIともに
17%の硫酸アンモニウム濃度にて溶出される画分に含
まれていた。
【0034】このオリザシスタチン画分をQAE用緩衝
液(25mM トリスー塩酸<pH8.2>;2mM E
DTAを含む。)に対して透析し、この緩衝液にて平衡
化したQAEセルロースカラム(5φ×40cm)に供
した。 溶出は0Mから0.6MのNaClによるリニア
ーグラディエントにより行なった。 オリザシスタチン
−Iおよびオリザシスタチン−IIともに0.4Mの塩
濃度にて溶出される画分に含まれていた。 この画分を
水に対して透析後、更に凍結乾燥することにより、オリ
ザシスタチン−Iおよびオリザシスタチン−IIの精製
品を40リットル培養、すなわち菌体湿重量600gあ
たり、それぞれ約4gずつ得ることができた。
【0035】実 施 例 1 ホソヘリカメムシ(Riptortus clavaus)に対する生育
阻害効果:餌であるササゲ粉(Vigana Ungaiculate)
に、オリザシスタチン−I(参考製造例(9)によって
得た精製品;以下「OC−I」と略称する)またはオリ
ザシスタチン−II(参考製造例(9)によって得た精
製品;以下「OC−II」と略称する)をそれぞれ0.
1%、0.3%、0.5%、1.0%および2.0%の濃度
で加え、この餌を摂取したホソヘリカメムシの生育阻害
状況を調査した。 飼料は0.5g、放飼虫は5頭の6反
復によりおこなった。 21日間飼育した後の生存率を
第1表に示す
【0036】
【0037】実 施 例 2 ホソヘリカメムシ(Riptortus clavatus)の羽化率およ
び齢数に対するOC−IまたはOC−IIの効果:試験
例1と同様に飼料中にOC−IまたはOC−IIを添加
し、この飼料でホソヘリカメムシを21日飼育した後の
羽化率を調査した。また、OC−IまたはOC−IIを
それぞれ1.0%および2.0%の濃度で含む餌で21日
間飼育したホソヘリカメムシの生存虫の平均齢数と死亡
虫の平均齢数を調査した。ホソヘリカメムシについての
羽化率を第2表に、生存虫の平均齢数と死亡虫の平均齢
数を第3表にそれぞれ示す。
【0038】
【0039】 * ホソヘリカメムシは5回の不完全変態をして成虫に
なるが、ここで言う「齢」とは、幼虫の1から5までの
それぞれの不完全変態ステージを意味する。
【0040】第3表の結果から明らかなように、オリザ
シスタチンを含む餌で生育させたホソヘリカメムシは、
死亡虫の平均齢数は無処理のものと比べて若かった。
また、生存虫の平均齢数も無処理のものと比べ若かっ
た。 このことから、オリザシスタチンはホソヘリカメ
ムシの生育を阻害することが明かとなった。
【0041】なお、表中には記載していないが、1%
OC−IIで飼育したホソヘリカメムシの生存率は20
%、2% OC−IIで飼育したホソヘリカメムシの生
存率は3.37%であった。
【0042】試 験 例 3 アズキゾウムシに対する生育阻害効果:ササゲ種子粉砕
後のササゲ粉をアズキゾウムシの餌とし、この餌0.5
g中にOC−IまたはOC−IIをそれぞれ0.1%、
0.3%、0.5%、1.0%および2.0%の濃度で添加
し、アズキゾウムシの生存率に及ぼす影響を検討した。
個体数は20頭とし、3反復により試験を行った。 そ
の結果を第4表に示す。
【0043】
【0044】試 験 例 4 オリザシスタチンがアズキゾウムシの羽化率に及ぼす影
響:試験例1と同様に飼料中にOC−IまたはOC−I
Iを添加し、この飼料でアズキゾウムシを21日間飼育
した後の羽化率を調査した。 この結果を第5表に示
す。
【0045】
【0046】製 剤 例 1 粉 剤: ( 組 成 ) 精製オリザシスタチン−I(またはII)* 5% タ ル ク 95% * 製造参考例で得たもの。 ( 製 法 )オリザシスタチンをタルクと混合し、該混
合物を適当なミル中で磨砕することにより粉剤を得た。
【0047】製 剤 例 2 ( 組 成 ) 精製オリザシスタチンI(またはII)* 8% カオリン(微粉砕) 92% * 製造参考例で得たもの。 ( 製 法 )製剤例1と同様にして粉剤を得た。
【0048】製 剤 例 3 液 剤 :精製オリザシスタチンI(またはII)2
g及びポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル1g
を水100ml中に溶かし、これにピペロニルブトキシ
サイド5gを加えホモミキサー中で均等に混合分散させ
て液剤約100mlを得た。
【0049】
【発明の効果】本発明の農園芸用殺虫剤は、貯蔵害虫や
子実害虫等に対する殺虫効果や生育阻害効果等の有効な
駆除効果を示し、また、その有効成分であるフィトシス
タチンは生体防御物質であり安全性が高いので安全な殺
虫剤として有利に使用することができる。
【手続補正書】
【提出日】平成4年4月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】更に、1990年以降には、他の植物中の
植物シスタチンの存在が次々と報告されるようになっ
た。例えばバラ科のフジの花の種子より3つのタイプの
シスタチンの存在が確認され〔Hirashiki
I.,Ogata,F.,Yoshida,N.,Ma
kisumi,S.,Ito,A.:J.Bioche
m.,108,604−608(1990)〕、そのう
ちの1つは部分配列ながらオリザシスタチン−Iと非常
によく似ており、このものもフィトシスタチンに含まれ
るものとされている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】実施例 2 ホソヘリカメムシ(Riptortus clavat
us)の羽化率および齢数に対するOC−IまたはOC
−IIの効果:実施例1と同様に飼料中にOC−Iまた
はOC−IIを添加し、この飼料でホソヘリカメムシを
21日飼育した後の羽化率を調査した。また、OC−I
またはOC−IIをそれぞれ1.0%および2.0%の
濃度で含む餌で21日間飼育したホソヘリカメムシの生
存虫の平均齢数と死亡虫の平均齢数を調査した。ホソヘ
リカメムシについての羽化率を第2表に、生存虫の平均
齢数と死亡虫の平均齢数を第3表にそれぞれ示す。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正内容】
【0042】実施例 3 アズキゾウムシに対する生育阻害効果:ササゲ種子粉砕
後のササゲ粉をアズキゾウムシの餌とし、この餌0.5
g中にOC−IまたはOC−IIをそれぞれ0.1%、
0.3%、0.5%、1.0%および2.0%の濃度で
添加し、アズキゾウムシの生存率に及ぼす影響を検討し
た。個体数は20頭とし、3反復により試験を行った。
その結果を第4表に示す。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】実施例4 オリザシスタチンがアズキゾウムシの羽化率に及ぼす影
響:実施例1と同様に飼料中にOC−IまたはOC−I
Iを添加し、この飼料でアズキゾウムシを21日間飼育
した後の羽化率を調査した。この結果を第5表に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 天知 輝夫 大阪府三島郡島本町若山台1丁目1番1号 サントリー株式会社基礎研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィトシスタチンを有効成分とする農園
    芸用殺虫剤。
  2. 【請求項2】 フィトシスタチンがオリザシスタチンで
    ある請求項第1項記載の農園芸用殺虫剤。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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