JPH05238738A - ストロンチウムドープランタンクロマイト及びその混合物並びにそれを用いた固体電解質燃料電池 - Google Patents
ストロンチウムドープランタンクロマイト及びその混合物並びにそれを用いた固体電解質燃料電池Info
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Abstract
度(1300〜1500℃)で使用されても電解質であ
る安定化ジルコニアと反応しないストロンチウムドープ
ランタンクロマイトを提供する。 【構成】 定比ストロンチウムドープランタンクロマイ
トの主成分の各々の元素が、(La1-x Srx )CrO
3-z であり、かつxの値が、0<x<0.28を満足す
る。不定比ストロンチウムドープランタンクロマイトの
主成分の各々の元素が、(La1-x Srx )Cr1-y O
3-z であり、かつx,yの値が0<x<0.28、0<
y≦0.05を満足する。電解質部材とインターコネク
タあるいはセパレータ部材が接触する特殊な電池構造を
もつ固体電解質燃料電池において、ストロンチウムドー
プランタンクロマイトがインターコネクタあるいはセパ
レータとして使用されている。
Description
ンタンクロマイトとそれを利用する固体電解質燃料電池
に関する。更に詳述すると、本発明は、安定化ジルコニ
アと反応して電解質の変質および電気抵抗を高めること
のないストロンチウムドープランタンクロマイトおよび
それを電解質部材とインターコネクタあるいはセパレー
タ部材が接触する特殊な電池形状をもつ固体電解質燃料
電池のインターコネクタ材あるいはセパレータ材として
用いたものに関する。
化物は、固体電解質燃料電池のインターコネクタやセパ
レータ材料として長い間研究されてきた。その理由は、
固体電解質燃料電池のインターコネクタやセパレータ材
料として要求される 1)耐酸化性雰囲気、 2)耐還元性雰囲気、 3)高い電子伝導性、 4)イオン伝導性がないこと、 5)他の電池構成材料との熱膨張係数の一致、 等の優れた特性を有するからである。
高温で発電するため、電池構成材料はセラミックスを中
心に選択されている。そのため、固体電解質燃料電池の
実用化の課題の一つはセラミックスの脆性の克服即ち機
械的強度の確保による信頼性の確立にあり、現在この課
題を最優先させて固体電解質燃料電池の開発が進められ
ている。
的強度に優る電池形状の採用がある。このような電池形
状としては、比較的機械強度の高い多孔質支持体上に電
池構成材料を順に積層していく、いわゆる円筒型タイプ
のものがある。更に、円筒型には多孔質支持体上に1個
の単電池を構成している縦縞式と多孔質支持体上に単電
池を複数個接続している横縞式の2種類があるが、中で
も図1に例示するような横縞式のものは、同じ電力でも
電圧を高くして取り出せるため、ジュール熱による電力
損失が少ないので、発電効率の高い固体電解質燃料電池
の実用化に最も近い電池形状と思われる。この横縞式電
池構造にあって、図1に示すようにインターコネクタ1
は、空気極2と燃料極3をくっつけて電池電圧を高くす
る役割と、空気と燃料ガスが混合しないようにするガス
シールの役割をもっている。尚、図中、符号4は電解
質、5は保護膜、6は基体を示す。
は溶射法により通常作製されることから、インターコネ
クタにランタンクロマイトを使用することができず、ニ
ッケルアルミニウム−アルミナサーメット(NiAl/
Al2 O3 )が用いられて種々の評価試験が行われてい
た。この材料は、比較的酸化・還元雰囲気に強く、溶射
もしやすいことが特徴であるが、燃料電池の必須耐久時
間(40,000時間)の使用に対しては劣化(特に酸
化)の問題がある。
り、従来溶射しにくい材料と思われていたランタンクロ
マイトも溶射できるようになりつつある。このため、今
後、ニッケルアルミニウムアルミナサーメットはランタ
ンクロマイトに代わる可能性は高い。
ンチウムドープランタンクロマイトと電解質材料として
最有力候補であるイットリア安定化ジルコニアとは、特
定の組成では作動温度1000℃でも反応することがわ
かった。
円筒型では、インターコネクタと電解質は接触すること
はないので、電解質材料の候補材である安定化ジルコニ
アとインターコネクタ材料の候補材であるランタンクロ
マイトの熱力学的安定性を研究した例はなかった。ま
た、この2つの化合物は、空気極であるランタンマンガ
ナイト((La,Sr)MnO3 )よりは乏しい反応性
をもつであろうと推測されていた。
従来インターコネクタ材として考えられていたストロン
チウムドープランタンクロマイト((La1-x Srx )
CrO3-z ,0<x≦0.40)は、組成によっては安
定化ジルコニアと反応しストロンチウムジルコネート
(SrZrO3 ,Sr4 Zr3 O10等)が生成し、 (1)安定化ジルコニアの導電率が低くなる (2)ストロンチウムドープランタンクロマイトの導電
率が低くなる という問題を知見するに至った。
なり、固体電解質燃料電池の大きな魅力である高効率発
電特性が得られなくなるという問題を誘引する。更に、
固体電解質燃料電池の寿命は、電池構成材料同士の反応
および変質に大きく左右されるため、このランタンスト
ロンチウムクロマイトとイットリア安定化ジルコニアの
反応性は大きな問題となる。
℃)や作製温度(1300〜1500℃)で使用されて
も電解質である安定化ジルコニアと反応しないストロン
チウムドープランタンクロマイトを提供することを目的
とする。また、本発明は、電解質部材とインターコネク
タあるいはセパレータ部材が接触する特殊な電池形状を
もつ固体電解質燃料電池において、ストロンチウムドー
プランタンクロマイトをインターコネクタとして用いて
も、長寿命化、高性能化を達成することを目的とする。
め、本発明のストロンチウムドープランタンクロマイト
は、定比ストロンチウムドープランタンクロマイトの主
成分の各々の元素が、(La1-x Srx )CrO3-z で
あり、かつxの値が、0<x<0.28を満足するよう
にしている。ストロンチウム(Sr)の添加により焼結
性と導電率は高くなるが、置換量xが多くなると、ペロ
ブスカイト構造の安定性が低くなり、xが0.28より
多くなると導電率の低いストロンチウムジルコネート
[Sr4 Zr3 O10]が生成される。
タンクロマイトは、不定比ストロンチウムドープランタ
ンクロマイトの主成分の各々の元素が、(La1-x Sr
x )Cr1-y O3-z であり、かつx,yの値が0<x<
0.28、0<y≦0.05を満足するようにしてい
る。この組成のものはクロムが少ないことによりランタ
ンクロマイトをち密に焼結させやすいが、不定比量yが
0.5以上であると、過剰なランタンやストロンチウム
が安定化ジルコニアと反応し、導電率の低いランタンジ
ルコネートやストロンチウムジルコネートが生成され
る。ただし、不定比量yが多い場合においてはその組成
領域において現れる他の化合物との混合物となってい
る。
プランタンクロマイトをインターコネクタあるいはセパ
レータとして使用することによって、電解質部材とイン
ターコネクタあるいはセパレータ部材が接触する特殊な
電池構造をもつ固体電解質燃料電池は得られる。
は(La1-x Srx )CrO3- z 、不定比のものは(L
a1-x Srx )Cr1-y O3-z で表すことができる。こ
れらストロンチウムドープランタンクロマイトにおい
て、ストロンチウム(Sr)の置換量xが比較的多い方
が焼結性と導電率は高いが、x>0.28となるとスト
ロンチウムが安定化ジルコニアと反応して導電率の低い
ストロンチウムジルコネートを生成してしまう。また、
不定比のストロンチウムドープランタンクロマイトにお
いて、クロムの不定比量yが、0.05より大きいと、
ち密に焼結させやすいが過剰なランタンやストロンチウ
ムが安定化ジルコニアと反応し、同じくランタンジルコ
ネートやストロンチウムジルコネートが生成する。
づいて詳細に説明する。
ロマイトは、主成分の各々の元素が、定比のものが、
(La1-x Srx )CrO3-z であり、0<x<0.2
8を満足したものである。
ロマイトは、(La1-x Srx )Cr1-y O3-z であ
り、0<x<0.28、かつ0<y≦0.05を満足し
たものである(ただし、不定比量が多い場合においては
ランタンクロマイトはその組成領域において現れる他の
化合物(La2 CrO6 やSrCrO4 等)との混合物
となっている)。ここで、zの値は温度、雰囲気、置換
量xによって変化することから、その値を正確に規定す
ることは意味がないのでここでは特に説明しない。
イト粉体の合成は、粉混ぜ法、ゾル−ゲル法、共沈法、
燃焼合成法等により準備可能である。例えば、このスト
ロンチウムドープランタンクロマイトが、正確な組成比
で合成できる粉混ぜ法により作られる場合について、具
体的に説明すると、以下の通りとなる(図2参照)。
酸ストロンチウム(SrCO3 )と、酸化クロム(Cr
2 O3 )とを所定のモル比で、例えばLa2 O3 9.20
43g、SrCO3 0.9759g、Cr2 O3 4.8200gを
混合し、La0.9 Sr0.1 CrO3-z の組成の混合粉末
を得た。このとき、酸化ランタンは吸湿性であるため、
1200℃、4時間で焼成して水酸根と炭酸根をとばし
乾燥させてから秤量した。また、各試薬は最も不純物が
少ない特級試薬(ナカライテスク社製の99.99%)
のものを用いた。しかしながら、酸化クロムだけは、手
に入る中の最も不純物の少ない99%の和光純薬製のも
のを用いた。
後、1500℃、24時間焼成した。このとき、他のク
ロマイト化合物((La2 CrO6 やSrCrO4 等)
が現れないように、1500℃/hで急速昇温した。
ットに加圧成型した後、再び、1500℃、24時間焼
成し、合成した。
ンチウムクロマイトの結晶系をX線粉末回折法を用いて
解析した。その結果を図3に示す。上述の合成法で作製
した試料は、全てLaCoO3 型ペロブスカイト型構造
で、結晶構造はストロンチウムの量が少ないと斜方晶系
および斜方晶系と六方晶系との混合系、多いと六方晶系
をとることがわかった。ドープ量に対するランタンスト
ロンチウムクロマイトの格子定数の変化を図4に示す。
ットリア(Y2 O3 )をドープした安定化ジルコニア
(東ソー製)のX線回折図形を図5に示す。この化合物
は、ホタル石型構造で結晶系は立方晶系であることがわ
かった。
作動温度である1000℃付近および作製温度である1
300〜1500℃で行う必要がある。しかしながら、
1000〜1300℃では、反応が遅いため(例えば、
La0.7 Sr0.3 CrO3-zは、1000℃では500
時間、1300℃で300時間で反応する(図6))、
1500℃で加速試験を行った。1500℃でイットリ
ア安定化ジルコニアとランタンストロンチウムクロマイ
トを24時間、48時間、96時間、168時間反応さ
せた後のX線回折図形(2θ=28〜34°)を図7に
示す。この図から、x=0.3のものは、イットリア安
定化ジルコニアと24時間反応させた後、既にストロン
チウムジルコネート[Sr4 Zr3 O10]が生成してい
ること、x=0.1,0.2のものは何も生成していな
いことがわかる。更に、0.2<x<0.3の組成領域
で反応性を検討した結果、0.28≦x<0.30のラ
ンタンストロンチウムクロマイトのものまで安定化ジル
コニアと反応することが明らかになった。また、本現象
から置換量xが多くなると、ペロブスカイト構造の安定
性が低くなることがわかり、安定化ジルコニアと接触す
るストロンチウムドープランタンクロマイトは最適組成
をもつことが明らかになった。
ために、1500℃でイットリア安定化ジルコニアと焼
成させた後のランタンストロンチウムクロマイトの格子
定数の変化を時間とともに調べた(図8(A),
(B))。このグラフから明らかなように、ランタンス
トロンチウムクロマイトの格子定数は、反応時間に依存
して、大きくなっていくことが明らかになった。これ
は、ストロンチウムが安定化ジルコニアと反応して、ペ
ロブスカイト格子中のストロンチウムの量が相対的に少
なくなっていき格子定数が大きくなったと考えられる。
ムクロマイトと1500℃で反応させた後の8モル%イ
ットリア安定化ジルコニアの格子定数を時間の経過とと
もに調べた。イットリア安定化ジルコニアの格子定数
は、ランタンクロマイトに置換したストロンチウムの量
に依存して、ペロブスカイト構造中のストロンチウムの
量が少ない程、大きくなっていることがわかる。このこ
とは、ストロンチウムの量が多いとストロンチウムが、
少ないとイオン半径の大きいランタンが安定化ジルコニ
ア中に固溶していることを意味しており、イットリア安
定化ジルコニアに、ある決まったランタンに対する許容
量があることがわかる。このことから、x=0.2の付
近を境にランタンとストロンチウムの反応支配性が変わ
ることがわかった。
に正確に組成がわかった8モル%イットリア安定化ジル
コニア(東ソー株式会社製ジルコニア商品名:TZ−8
YS,ロットNo.S808662p)を用いて、酸化
ランタンを1500℃、24時間で反応させて調べた。
その結果、図10のような8モル%イットリア安定化ジ
ルコニアの格子定数が得られた。約5モル%の1/2L
a2 O3 を固溶させたときに、ランタンジルコネートが
生成することと、8モル%イットリア安定化ジルコニア
の格子定数が一定になる、言い換えれば、約5モル%1
/2La2 O3で固溶限度となることが明らかになっ
た。このことは、ち密に焼結させやすい不定比ランタン
マグネシウムクロマイト、(La1-x Srx )Cr1-y
O3-z を用いたとしても、不定比量が0<y≦0.05
の領域であれば、安定化ジルコニアとランタンストロン
チウムクロマイトの界面にランタンジルコネートを生ず
ることがなく高性能な電解質部材とインターコネクタ部
材が接触する特殊な電池構造をもつ固体電解質燃料電池
が作製できることがわかった。
のランタンストロンチウムクロマイトによると、電池作
製時(1300〜1500℃)や電池作動時(1000
℃)にも電解質の安定化ジルコニアと反応してランタン
ジルコネートを生成し、安定化ジルコニアを変質させる
ことがない。このことから、本発明のランタンストロン
チウムクロマイトは、電解質部材とインターコネクタあ
るいはセパレータ部材が接触する特殊な電池構造をもつ
固体電解質燃料電池のインターコネクタあるいはセパレ
ータ材料に適している。
特殊な電池構造をもつ固体電解質燃料電池の一例である
横縞円筒型固体電解質燃料電池を示すもので、(A)は
中央半截断面図、(B)は電池部を拡大図である。
ートである。
0.1,0.2,0.3のランタンクロマイトのX線回
折図形である。
から求めたランタンストロンチウムクロマイトの格子定
数である。
トリア安定化ジルコニアのX線回折図形である。
0.3 CrO3 を1300℃、300時間で反応させた後
の25〜35°のX線回折図形である。
1,0.2,03のランタンクロマイトとイットリア安
定化ジルコニア(YSZ)と1500℃で24,48,
96,168時間反応させた後の28〜34°のX線回
折図形である。
ニアと反応させた後のランタンクロマイト(La1-x S
rx CrO3-z ,x=0.2,0.3)の六方晶系のa
軸の格子定数の時間依存性である。(B)はc軸の格子
定数の時間依存性である。
1,0.2,0.3)と1500℃で反応させた後の8
モル%イットリア安定化ジルコニアの格子定数である。
24時間反応させた後の8モル%イットリア安定化ジル
コニアの格子定数の変化である。
Claims (4)
- 【請求項1】 定比ストロンチウムドープランタンクロ
マイトの主成分の各々の元素が、(La1-x Srx )C
rO3-z であり、かつxの値が、 0<x<0.28 を満足するストロンチウムドープランタンクロマイト。 - 【請求項2】 不定比ストロンチウムドープランタンク
ロマイトの主成分の各々の元素が、(La1-x Srx )
Cr1-y O3-z であり、かつx,yの値が、 0<x<0.28 0<y≦0.05 を満足するストロンチウムドープランタンクロマイト。 - 【請求項3】 請求項2記載の組成領域において表れる
他の化合物との混合物であることを特徴とするストロン
チウムドープランタンクロマイト。 - 【請求項4】 電解質部材とインターコネクタあるいは
セパレータ部材が接触する電池構造をもつ固体電解質燃
料電池において、請求項1または2記載のストロンチウ
ムドープランタンクロマイトをインターコネクタあるい
はセパレータとして用いたことを特徴とする固体電解質
燃料電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4072093A JPH05238738A (ja) | 1992-02-24 | 1992-02-24 | ストロンチウムドープランタンクロマイト及びその混合物並びにそれを用いた固体電解質燃料電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4072093A JPH05238738A (ja) | 1992-02-24 | 1992-02-24 | ストロンチウムドープランタンクロマイト及びその混合物並びにそれを用いた固体電解質燃料電池 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05238738A true JPH05238738A (ja) | 1993-09-17 |
Family
ID=13479451
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4072093A Pending JPH05238738A (ja) | 1992-02-24 | 1992-02-24 | ストロンチウムドープランタンクロマイト及びその混合物並びにそれを用いた固体電解質燃料電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05238738A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014038186A1 (ja) | 2012-09-05 | 2014-03-13 | 日本特殊陶業株式会社 | 酸素透過膜 |
-
1992
- 1992-02-24 JP JP4072093A patent/JPH05238738A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014038186A1 (ja) | 2012-09-05 | 2014-03-13 | 日本特殊陶業株式会社 | 酸素透過膜 |
EP2893972A4 (en) * | 2012-09-05 | 2016-06-15 | Ngk Spark Plug Co | OXYGEN PERMEABLE FILM |
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