JPH0523225Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は遠心力を利用して沈澱、分離、脱水
などを行う遠心分離機において回転体の振動を防
止する防振機構に関する。

「従来の技術」 従来のこの種の防振機構を第３図に示す。外箱
１１の上板１２に開口が形成され、その開口には
蓋１３が開閉自在に取付けられ、前記開口の周縁
部に内槽１４が掛けられて外箱１１内に収容され
る。内槽１４の底板と対向してモータ１５が外箱
１１内に配され、モータ１５の回転軸１６は内槽
１４の底板にあけられた中心孔を通じて内槽１４
内に挿入される。内槽１４内で回転軸１６上にロ
ータ１７が取付けられ、ロータ１７にはバケツト
１８が吊下げられている。モータ１５のブラケツ
トにフランジ１９が取付けられ、フランジ１９と
対向した固定板２１が外箱１１の底板２２上に支
柱２３で固定されている。フランジ１９と固定板
２１との間に、少なくとも３個所でコイルばね２
４が介在され、コイルばね２４を介してモータ１
５を含む回転体が固定板２１上に保持される。

モータ１５の回転によりロータ１７が回転さ
れ、バケツト１８内に入れられた試料に遠心力が
与えられ、その試料に対し分離、沈澱などが行わ
れる。モータ１５を含む回転体の回転にもとずく
振動はコイルばね２４で吸収され、外部へ伝達さ
れない、逆に外部の振動もコイルばね２４で遮断
され、モータ１５を含む回転体へ伝達されない。

「考案が解決しようとする問題点」 バケツト１８内には試料として例えば血液が充
填されたバツクが入れられるが、その各バケツト
１８に入れる血液バツクの重量が同一でないとロ
ータ１７が不平衡となる。この不平衡が僅かでも
回転体の回転がコイルばねの固有振動数附近で大
きな振動が発生したり、その振動のため折角分離
した試料を混合してしまうことがあり、場合によ
ると危険を伴うことがあつた。

すなわち前記不平衡が生じることは第４図に示
すようにロータ１７の周縁の一部に、不平衡に対
応する重量をもつ付加物２５が付けられたことと
等価になる。このためその付加物２５側に回転軸
１６が傾き、コイルばね２４に加わる重力はコイ
ルばね２４の軸心に対し斜めとなりコイルばね２
４は比較的容易に座屈する。このため回転軸１６
の傾きが大きくなり、回転軸１６が大きく振れ回
り、ロータ１７に振動が発生すると考えられる。

このため従来においては各バケツト１８に入れ
る試料を計量して同一重量になるようにしてお
り、試料を遠心分離機に掛けるために比較的多く
の手数と時間とを要していた。

「問題点を解決するための手段」 この考案によればモータを含む回転体を少なく
とも３点の支持個所でコイルばねで支持するが、
その各支持個所で３つ以上のコイルばねの集合体
が用いられる。その各コイルばねの集合体はその
各コイルばねの軸心が、回転体の回転軸心と平行
した軸心をもつ円錐の周面上に等角間隔で配され
る。従つて各コイルばねの集合体において、その
各コイルばねの軸心は前記円錐の軸心上で一点で
交差し、これより末広がりに放射状にコイルばね
が配される。各コイルばねとしては軟かいものを
圧縮し、その圧縮状態が保持されるようにコイル
ばねにバンドを巻付けたものが望ましい。

このような構成によればモータを含む回転体に
不平衡が生じても、各支持個所において、そのコ
イルばねの集合体の何れかのコイルばねの軸心方
向が抗力方向となりコイルばねに座屈が生じ難
く、回転体に多少の不平衡が発生してもこれに影
響されることなく遠心力による沈澱、分離などを
良好に行うことができる。

「実施例」 第１図はこの考案の実施例を示し、第３図と対
応する部分には同一符号を付けてある。この例で
はフランジ１９を、回転軸１６を中心とした等角
間隔の３個所で支持し、その３つの支持個所はそ
れぞれコイルばねの集合体３１で支持され、各コ
イルばねの集合体３１は第２図にその平面図を示
すように、この例ではそれぞれ３つのコイルばね
３２，３３，３４により構成され、これらコイル
ばね３２，３３，３４としては軟かいコイルばね
をその軸心方向から圧縮し、その圧縮した状態が
保持されるようにそれぞれバンド３５，３６，３
７で巻付けたものが用いられている。

コイルばね３２，３３，３４の各軸心４１，４
２，４３は回転軸１６と平行な軸心４５を軸心と
する円錐の周面上に等角間隔で配され、軸心４
１，４２，４３は軸心４５上で１点で交差してい
る。なおコイルばね３２，３３，３４の上端はバ
ンドをそれぞれ介して各軸心４１，４２，４３と
直角な上部傾斜座４６によりフランジ１９に固定
され、下端はバンドをそれぞれ介して各軸心と直
角な下部傾斜座４７により固定板２１に固定され
る。

支柱２３は天然コルクのような防振層５１を介
して底板２２に支持される。

上述したこの考案の防振機構によればロータ１
７に掛けた試料が均等にならず不平衡になつて
も、コイルばねによる支持は複数のコイルばねの
集合体３１により行われるため、その集合体の何
れかのコイルばねがその軸心方向の抗力を受ける
ことになり、コイルばねが座屈するおそれがな
く、回転軸１６が振れ回りを起すおそれがなく、
大きな振動を発生することもない。

なお上述において回転体の固定板に対する保持
は３点のみならず、４点以上としてもよい、また
各コイルばね集合体３１のコイルばねの数も３個
に限らず４個以上にしてもよい。

「考案の効果」 以上述べたようにこの考案によればロータへの
試料の装着に多少の不均一があつても、つまり回
転体が多少不平衡になつても回転軸の振れ回りが
発生しないため、例えば前記血液バツクをバケツ
トに入れて血液を遠心分離する場合に、血液バツ
ク内の血液量を目分量で合せても支障がなく、遠
心分離処理を短時間で行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示す断面図、第２
図はコイルばね集合体の平面図、第３図は従来の
遠心分離機防振機構を示す断面図、第４図は従来
機構が回転体の不平衡によりコイルばねが座屈す
る様子を示す図である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 外箱に対し、モータを含む回転体が３点以上の
   支持個所でコイルばねにより保持された遠心分離
   機の防振機構において、 上記各支持個所のコイルばねは、それぞれ３つ
   以上のコイルばねの集合体として構成され、 これら各コイルばねの集合体は、その各コイル
   ばねの軸心が上記回転体の回転軸心と平行した軸
   心をもつ円錐の周面上に等角間隔で配されている
   ことを特徴とする遠心分離機の防振機構。