JPH05231432A - ボールケージ - Google Patents

ボールケージ

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JPH05231432A
JPH05231432A JP4069799A JP6979992A JPH05231432A JP H05231432 A JPH05231432 A JP H05231432A JP 4069799 A JP4069799 A JP 4069799A JP 6979992 A JP6979992 A JP 6979992A JP H05231432 A JPH05231432 A JP H05231432A
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    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
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    • F16C33/3856Massive or moulded cages having cage pockets surrounding the balls, e.g. machined window cages formed as one-piece cages, i.e. monoblock cages made from plastic, e.g. injection moulded window cages
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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Abstract

(57)【要約】 【目的】従来のボールリテーナやボールケージの取扱い
辛さや加工性の悪さに鑑み、極めて容易に製作をするこ
とができると共にその自動化も可能であり、且つ、ボー
ルが転がり落ちる心配がなく取扱いが極めて容易なボー
ルケージを提供する。 【構成】ベアリングレースを転走する多数のボールと、
これらボールが所定の配列で転動自在に組み込まれると
共に、互いに対向する一対のベアリングレースが形成す
る隙間に略合致する形状をした保持部材とから構成され
るボールケージにおいて、上記保持部材が上記ボールを
金型内の略平坦な面に中子として配置した合成樹脂の射
出成形によって作られ、使用時に折り曲げられ又は湾曲
させられて所定の形状をなすことを特徴とする

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば各種リニアベア
リングの軌道レールとスライダとの間や、旋回ベアリン
グの内輪と外輪との間等に挿入され、一対のベアリング
レースの間に生じる相対的な直線運動や回転運動を支承
するボールケージに関する。
【0002】
【従来の技術】リニアベアリングや旋回ベアリング等の
各種ボールベアリングでは、一対のベアリングレースの
間に挟み込まれたボールの転動を利用してこれらベアリ
ングレース相互の直線運動や回転運動を可能としている
が、ボール同士の接触を避けて摩擦抵抗の低減を図
る、ボールを所定の位置に整列させて円滑な運動を得
る、等の目的から、各ボールは金属薄板や合成樹脂から
なるボールリテーナに保持されてベアリングレースの間
に組み込まれるのが一般的である。
【0003】図19に示すように、ボールリテーナ51には
個々のボール53を収容するポケット52が多数設けられて
おり、各ボール53はこれらポケット52の中で転動するよ
う構成されている。このため前記した2つの目的を達成
することができる。しかし、このボールリテーナ51では
ポケット52に対するボール53の出入りが自由であるた
め、ボールリテーナ51をベアリングレース(図示せず)か
ら分離した際にはボール53が上記ポケット52から転がり
落ちる欠点がある。従って、ボールを収容したボールリ
テーナをベアリングレースに組み付ける作業には熟練を
要し、その自動化は困難である。また、このようなボー
ルリテーナ51をベアリングレースに組み付けるに当たっ
ては、所定のパターンで配列された複数のポケット55に
対してボール53を1つずつ挿入する必要があり、ボール5
3を配列する作業が大変面倒なものとなっている。しか
も、ボールが極端に小さい場合(例えば直径1mm程度)に
は、そのようなボール配列作業の自動化は著しく困難な
ので、これらボールの配列作業は人的労力に頼らざるを
得ないという問題点もあった。
【0004】一方、上記ボールリテーナと同様にベアリ
ングレースを転走するボールを整列させるものとしてボ
ールケージがある。従来のボールケージは金属薄板をプ
レス加工した保持部材に多数のボールを転動自在に組み
込んだものであり、各ボールが保持部材に形成されたポ
ケットから転がり落ちることがないよう加工が施されて
いる。すなわち、図20に示すように、保持部材54に形成
されたポケット55の周縁にはプレス加工時に予め突片56
が立設されており、ボール53をポケット55に収容した後
に上記突片56をかしめてボール53をポケット55内に封じ
込めている。従って、このボールケージ57はベアリング
レース(図示せず)から完全に分離した際にもボール53が
保持部材54のポケット55に係止されているので、上記リ
テーナ51に比較してベアリングレースへの組み付け作業
を容易に行えるといった利点を有している。
【0005】しかし、従来のボールケージはボール53を
ポケットへ収容した後に突片56をかしめる加工が必要が
あり、その製作に手間やコストがかかるといった問題点
があった。また、加工誤差等により突片56がボール53を
圧迫することもあり、ボール53の円滑な回転が阻害され
るといった問題点もあった。更に、このボールケージに
あっても、保持部材54に配列された複数のポケット55に
対してボール53を1つずつ挿入しなければならないのは
前記ボールリテーナ51と同様であり、この点においても
従来のボールケージはその製作に手間のかかるものであ
った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこれら従来の
ボールリテーナやボールケージの取扱い辛さや加工性の
悪さに鑑みなされたものであり、その目的とするところ
は、極めて容易に製作をすることができると共にその自
動化も可能であり、且つ、ボールが転がり落ちる心配が
なく取扱いが極めて容易なボールケージを提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは上記目的
を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、以下の技術的手段
を案出するに到った。すなわち、本発明は、ベアリング
レースを転走する多数のボールと、これらボールが所定
の配列で転動自在に組み込まれると共に、互いに対向す
る一対のベアリングレースが形成する隙間に略合致する
形状をした保持部材とから構成されるボールケージにお
いて、上記保持部材が上記ボールを金型内の略平坦な面
に中子として配置した合成樹脂の射出成形によって作ら
れ、使用時に折り曲げられ又は湾曲させられて所定の形
状をなすことを特徴とするものである。
【0008】本発明のボールケージの製造手順について
図1を参照しながら簡単に説明する。最初に図1(A)に示
すように、型開きされた金型5,6の略平坦な面にボール4
をセットする。ここで金型内の略平坦な面にボール4を
セットするのは、中子として所定の位置に配置されたボ
ール4が重力によって転がり出すのを防止するためであ
る。従って、厳密な平坦面にボールをセットする必要は
なく、金型を型締めするまでの間にボールが自重によっ
て転がり出すことさえなければ、多少の凹凸や傾斜があ
る面にボールをセットしても差し支えない。また、ボー
ル4は金型5,6に設けられた座7にセットされるが、この
座7は型締め時にボール4を所定の位置に固定する機能
と、ボール4の一部を被覆して後に成形される保持部材9
からその被覆した球面を露出させる機能とを有してい
る。次に、図1(B)に示すように金型5,6を型締めし、ボ
ール4が中子として固定されたキャビティ8を形成した
後、図1(C)に示すようにこのキャビティ8へ保持部材と
なる合成樹脂9を射出する。射出した合成樹脂9が金型温
度まで冷却された後に金型5,6とを型開きすると、図1
(D)に示すように、ボール4が保持部材9の所定の位置に
組み込まれたボールケージ1を取り出すことができる。
【0009】しかしながら、本発明ではボール4を金型
5,6に配置する際の作業性を考慮して金型内の略平坦な
面にのみボール4を配置するようにしているので、金型
5,6から取り出されたボールケージ1の形状は必ずしも一
対のベアリングレースの間に組み込まれるボールケージ
1の形状とは一致しない。また、これと同じ理由によ
り、ボールケージ1に組み込まれた各ボール4はその上側
及び下側の球面が保持部材9から露出するので、金型5,6
から取り出されたそのままの形状のボールケージ1では
全てのボール4についてベアリングレースとの接触方向
が略同一となり、保持部材9に組み込まれたボール4が異
なる多方向の荷重を負荷することはできない。そのた
め、射出成形された保持部材9は図2に示すように折り曲
げられ、あるいは図3に示すように湾曲させられ、所定
の形状に変形させられた後に一対のベアリングレースの
間に組み込まれ使用される。
【0010】つまり本発明では、ボールを中子とした射
出成形によってボールケージの保持部材を製作するに当
たり、金型内へのボールの配列作業を容易とするため
に、実際に使用される際の形状と異なった形状を射出成
形し、後に折り曲げあるいは湾曲を施して所定形状の保
持部材とするものである。
【0011】ところで、このようにボールを中子として
保持部材を射出成形した場合には、保持部材がボールに
密着してボールの円滑な回転を阻害することが懸念され
る。しかし、本発明においては以下の理由によりボール
の円滑な回転が確保されている。一般に、射出成形で作
られた合成樹脂の製品は、金型から取り出された後も僅
かではあるが数時間に亘って収縮が進行している。そし
て、その収縮は常に肉厚の中心に向かっている。例え
ば、成形品が円柱であるときは円柱の軸芯に向かって収
縮が進行するので、数時間放置した後の円柱の直径は金
型から取り出した直後の直径よりも小さくなる。また、
図18のように成形品15がドーナッツ状であるときは矢線
方向に向かって収縮が進行するので、数時間放置した後
の中心孔16の直径は金型から取り出した直後の直径より
も大きくなる。本発明は後者の原理を利用するものであ
り、成形されたボールケージを金型から取り出して数時
間放置しておくと、保持部材の収縮によってボールと保
持部材との間に極僅かな隙間(以下、この隙間をボール
クリアランスと記載する)が発生する。従って、本発明
のボールケージは金型から取り出した直後はボールと保
持部材とが密着しているのでボールは回転しないが、保
持部材が収縮を開始するとボールが回転するようにな
る。尚、金型からボールケージを取り出した後にボール
が回転するようになるまでの時間は、保持部材を成形す
る樹脂の材質によって異なる。
【0012】本発明において保持部材に適している合成
樹脂としては、射出成形後の保持部材の収縮を利用して
ボールを回転自在としているので、収縮率が大きく且つ
柔軟性のある材質であって、収縮を阻害するガラス繊維
等の添加物を含まない材質が好ましい。また、転動する
ボールが接触することから潤滑性及び耐磨耗性に優れ、
面粗度の小さい材質であることが好ましい。本願発明者
らが試作した結果によれば、ナイロン系の合成樹脂が好
ましく、特にナイロン-6が本発明に適している。また、
ナイロン-66やナイロン-46も射出条件等によっては使用
可能である。
【0013】本発明において保持部材の肉厚はボール直
径の約1/4〜3/4程度であるが、肉厚が薄くなるにつれ保
持部材に包持されているボールの球面は小さくなるの
で、保持部材の成形後に発生するボールクリアランスの
大きさによってはボールが保持部材から脱落することも
ある。従って、保持部材の肉厚はボール直径や使用する
合成樹脂の収縮率に応じて適宜決定される必要がある。
また、折り曲げや湾曲が予定される位置の肉厚はその周
囲より薄くしておくのが好ましい。
【0014】更に、本発明ではボールと保持部材との間
に生じる隙間は最大でも約0.1mm程度なので、ボールに
油膜が付着しているとボールの円滑な回転が阻害され
る。従って、ボールを射出成形の金型にインサートする
際には、予めこれを洗浄して油膜を取り除いておく必要
がある。
【0015】
【作用】上記技術的手段は次のように作用する。保持部
材はボールを金型内に中子として配置した合成樹脂の射
出成形によって製作されるので、上記保持部材はボール
が所定の配列で組み込まれた状態で成形される。従っ
て、ボールを一つづつ保持部材に挿入する手間がない。
【0016】また、合成樹脂が収縮するのに伴い保持部
材とこれに組み込まれたボールとの間には隙間が生じる
ので、ボールは保持部材に組み込まれた状態で自在に転
動する一方、ボールはその球面が保持部材に包持されて
いるので、故意に外力を加えない限り保持部材から抜け
落ちることはない。
【0017】更に、ボールを金型内の略平坦な面に配置
して保持部材の射出成形を行うので、金型内へのボール
の配列作業が著しく容易となる。
【0018】また、保持部材は使用時に折り曲げられ又
は湾曲させられて所定の形状をなすことから、射出成形
する形状は使用時の形状を任意に展開したものとするこ
とができ、金型の形状を簡素化することができる。
【0019】
【実施例】以下添付図面に基づいて本発明のボールケー
ジを詳細に説明する。図4及び図5は本発明を適用したボ
ールケージ1の第一実施例を示すものであり、また、図6
乃至図9はこの第一実施例に係るボールケージ1を用いた
リニアスライドベアリングを示すものである。先ず上記
リニアスライドベアリングの構成について説明し、その
後で本実施例のボールケージ1について説明する。
【0020】上記リニアスライドベアリングは、案内す
べき可動体(図示せず)をベッドやテーブル等の固定部
(図示せず)に沿って直線往復運動させるものであり、図
7に示す分解斜視図に示されるように、上記固定部に配
設されるチャネル状の軌道レール2(ベアリングレース)
と、上記可動体に配設されて軌道レール2の凹溝内を予
め定められたストロークで往復運動するスライダ3(ベア
リングレース)と、上記軌道レール2とスライダ3との間
に組み込まれたボールケージ1とから構成されている。
【0021】上記軌道レール2は、図10及び図11に示す
ように、基底部21の両側端から一対の側壁部22が立ち上
がったチャネル状に形成されており、各側壁部22の内面
側には夫々2条のボール転走溝23,23が軸方向に沿って設
けられている。各ボール転走溝23,23,…は基底部21の底
面と45°の角度をなす方向に、且つ、互いに隣接するボ
ール転走溝23と収束する方向に面して形成されている。
また、上記基底部21には、この軌道レール2を固定部へ
取り付けるためのボルトあるいはビスが螺合するねじ孔
24が設けられている。
【0022】また、上記スライダ3は、図12及び図13に
示すように、可動体が固定される取付部31の両側端から
一対の袖部32が垂下したチャネル状に形成されており、
各袖部32の外面側には上記軌道レール2のボール転走溝2
3,23,…と相対向するように一対の負荷ボール溝33,33が
形成されている。また、上記取付部31には、このスライ
ダ3を可動体へ取り付けるためのボルトあるいはビスが
貫通する取付孔34が設けられている。
【0023】このように構成される上記軌道レール2と
スライダ3は、図8に示すように、ボールケージ1のボー
ル4を相対向するボール転走溝23と負荷ボール溝33との
間に挟み込むようにして組み合わされ、ボール4の転動
によってスライダ3を軌道レール2内で自在に往復運動さ
せて使用される。この際、ボールケージ1もボール4の転
動に伴って軌道レール2内を移動するので、スライダ3は
上記ボールケージ1が軌道レール2から脱落しない範囲で
有限ストロークの往復運動をすることができる。
【0024】次に、本実施例のボールケージ1について
説明する。この実施例に係るボールケージ1は、図4及び
図5に示すように、合成樹脂製の保持部材9に多数のボー
ル4が所定の配列で転動自在に組み込まれたものであ
る。上記保持部材は、一対のボール保持部12,12が屈曲
部13を介して基部11の両側に連結されたものであり、各
ボール保持部12には上記軌道レール2の一方の側壁22に
形成された2条のボール転走溝23,23を転走するボール4
が2列で組み込まれている。また、各ボール保持部12に
は2列に配列されたボール4を仕切るように切込部14が形
成されている。
【0025】この保持部材9はボール4を金型(図示せず)
内に中子として配置した合成樹脂の射出成形によって製
作される。その際の金型内におけるボール4の配列は図4
に示される通りである。射出成形に用いられる合成樹脂
はナイロン-6であり、射出圧力は80kgf/cm2、充填時間
は0.2sec、射出後の金型保持時間は3.0secである。ま
た、金型の型締力は120kgf/cm2、金型温度は80〜120°C
である。このようにして本実施例ではボール4を中子と
して保持部材9を射出成形しているので、金型からは上
記保持部材9に所定の配列でボール4が組み込まれたボー
ルケージ1が取り出される。その際、ボール4はその球面
が保持部材9に包持されているので、故意に外力を加え
ない限り保持部材9から抜け落ちることはない。
【0026】金型から取り出した直後のボールケージ1
は、保持部材9とボール4とが密着しているのでボール4
は回転しない。しかし、ナイロン-6は射出成形後も約70
時間に亘って収縮が進行するので、成形後1〜2日すると
保持部材9とボール4との間に隙間が発生してボール4が
自在に転動するようになる。
【0027】図8に示されるように、ボールケージ1は軌
道レール2とスライダ3との間に挟み込まれた際に断面略
倒コ字状をしているが、保持部材9は図5に実線で示すよ
うな略平板状に射出成形される。これはボール4を金型
内に中子として配列する際の作業性の向上と金型形状の
単純化を図ったためである。つまり、図5に実線で示す
形状の保持部材9を射出成形するに当たっては、金型内
の略平坦な面にボール4を配列すれば良いので、その配
列作業を容易に行うことができる。これに対し、図8に
示す形状の保持部材9を射出成形しようとすれば、金型
内の互いに向き合った面に対してボール4を配列しなけ
ればならないので、その配列作業が困難となる他、配列
したボール4を金型に吸い付けるための手段が必要とな
り金型のコストが嵩む。従って、本実施例では上記保持
部材9を図5に実線で示す略平板状に射出成形し、軌道レ
ール2に組み込む際には屈曲部13を折り曲げて一対のボ
ール保持部12を一点鎖線で示す位置へ起こすようにして
いる。
【0028】尚、前記のように本実施例のボールケージ
1は強制的に折り曲げられて軌道レール2とスライダ3と
の間に挿入されるが、折り曲げられたボールケージ1は
軌道レール2の中で拡開しようとするので、このままで
はスライダ3の運動に余分な摺動抵抗が作用してしま
う。このため、本実施例では、軌道レール2とスライダ3
との間にボールケージ1を強制的に挿入したリニアベア
リングをオーブンに入れ、保持部材9を成形した際の金
型温度まで加熱してから空気中で自然冷却するようにし
ている。その結果、保持部材9の屈曲部13は折れ曲がっ
た形状に再成形されるので、ボールケージ1の拡開しよ
うとする力が失われ、スライダ3に作用する摺動抵抗を
大幅に減じることができる。
【0029】図14及び図15は本発明の第二実施例に係る
ボールケージ41を示すものであり、やはり図6に示すリ
ニアスライドベアリングに適用し得るものである。この
第二実施例に係るボールケージ41は保持部材10及びこれ
に組み込まれた多数のボール4から構成されており、上
記保持部材10は、第一実施例と同様に一対のボール保持
部43,43を屈曲部45を介して基部42の両側に連結したも
のである。また、各ボール保持部43には軌道レール2の
一方の側壁22に形成された2条のボール転走溝23,23を転
走するボール4が2列で組み込まれている。しかし、基部
42とこれに隣接するボール保持部43とを連結する屈曲部
45が金属プレートで形成されている点が第一実施例とは
異なる。
【0030】保持部材10は金型内に所定の配列で上記金
属プレート45及びボール4を固定した合成樹脂の射出成
形によって製作される。成形金型から取り出したボール
ケージ41の形状は図15に実線で示すものであるが、軌道
レール2とスライダ3との間に組み込む際には一点鎖線で
示すように金属プレート45を上方へ折り曲げて使用され
る。
【0031】次に、図16は本発明の第三実施例を示すも
のである。この実施例においてボール4はベルト状に射
出成形された保持部材61に一列で組み込まれている。保
持部材61は厚肉部62と薄肉部63とから構成されており、
厚肉部62は互いに隣接するボール4とボール4との間に形
成される一方、薄肉部63は上記厚肉部62を連結するよう
にして厚肉部の両側に形成されている。このように保持
部材61のボール周縁に厚肉部62と薄肉部63とを形成した
場合、ボール4は主に厚肉部62によって保持部材61に係
止されている。厚肉部62の方が薄肉部63よりボール4の
球面を包持している面積が広いからである。従って、本
実施例では厚肉部62の肉厚をボール直径の約2/3として
これに十分なボール4の保持機能を与える一方、薄肉部6
3は互いに隣接する厚肉部62と厚肉部62とを連結できる
強度さえ備えていればボール4を包持する必要はないの
で、その肉厚を約0.2mmとしている。この第三実施例に
係るボールケージは、例えばこれを環状に湾曲させた後
に旋回ベアリングの内輪と外輪との間に組み込んで使用
されるが、その保持部材61は厚肉部62を連結して長手方
向に延びる薄肉部63が極めて薄く形成されているので、
極めて容易にこれを湾曲させることができる。
【0032】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明のボー
ルケージによれば、保持部材はボールを金型内に中子と
して配置した合成樹脂の射出成形によって製作されるの
で、従来のボールケージのように保持部材にボールを一
つづつ保持部材に挿入する手間がなく、その製造を極め
て容易に行うことができる。また、ボールを中子として
保持部材が成形されることから、故意に外力を加えない
限りボールが保持部材から抜け落ちることはなく、保持
部材を射出成形する以外には何ら特別な加工が必要無い
ので、この点においてもその製造を極めて容易に行うこ
とが可能となる。更に、保持部材は使用時に折り曲げら
れ又は湾曲させられて所定の形状をなすことから、射出
成形する保持部材の形状は使用時の形状を任意に展開し
たものとすることができ、ボールを金型内の略平坦な面
に配置して保持部材の射出成形を行うことができるので
金型内へのボールの配列作業が著しく容易となる他、金
型の形状を簡素化することも可能であり、製造コストの
低下を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のボールケージの製作手順を示す図で
ある。
【図2】 射出成形された保持部材の折り曲げ例を示す
図である。
【図3】 射出成形された保持部材の湾曲例を示す図で
ある。
【図4】 本発明のボールケージの第一実施例を示す平
面図である。
【図5】 本発明のボールケージの第一実施例を示す正
面図である。
【図6】 第一実施例に係るボールケージを適用し得る
リニアスライドベアリングを示す斜視図である。
【図7】 リニアスライドベアリングの分解斜視図であ
る。
【図8】 リニアスライドベアリングの断面図である。
【図9】 リニアスライドベアリングの平面図である。
【図10】 リニアスライドベアリングの軌道レールを
示す正面図である。
【図11】 リニアスライドベアリングの軌道レールを
示す平面図である。
【図12】 リニアスライドベアリングのスライダを示
す正面図である。
【図13】 リニアスライドベアリングのスライダを示
す平面図である。
【図14】 本発明のボールケージの第二実施例を示す
平面図である。
【図15】 本発明のボールケージの第二実施例を示す
正面図である。
【図16】 本発明のボールケージの第三実施例を示す
側面図である。
【図17】 図16のXVII-XVII線断面図である。
【図18】 射出成形による合成樹脂製品の収縮方向を
示す参考図である。
【図19】 従来のボールリテーナの要部を示す断面図
である。
【図20】 従来のボールケージの要部を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
1…ボールケージ、2…軌道レール(ベアリングレース)、
3…スライダ(ベアリングレース)、4…ボール(ボール)、
9…保持部材、12…ボール保持部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベアリングレースを転走する多数のボー
    ルと、これらボールが所定の配列で転動自在に組み込ま
    れると共に、互いに対向する一対のベアリングレースが
    形成する隙間に略合致する形状をした保持部材とから構
    成されるボールケージにおいて、上記保持部材は上記ボ
    ールを金型内の略平坦な面に中子として配置した合成樹
    脂の射出成形によって作られ、使用時に折り曲げられ又
    は湾曲させられて所定の形状をなすことを特徴とするボ
    ールケージ。
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