JPH0523136A - 経口脂質吸収材およびその利用 - Google Patents

経口脂質吸収材およびその利用

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JPH0523136A
JPH0523136A JP3186659A JP18665991A JPH0523136A JP H0523136 A JPH0523136 A JP H0523136A JP 3186659 A JP3186659 A JP 3186659A JP 18665991 A JP18665991 A JP 18665991A JP H0523136 A JPH0523136 A JP H0523136A
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JP
Japan
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meth
acrylate
lipid
crosslinked polymer
polymerization
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Application number
JP3186659A
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English (en)
Inventor
Osamu Kaneuchi
内 理 金
Keiji Ideuchi
内 桂 二 出
Yoshiyuki Hozumi
積 義 幸 穂
Takakiyo Goto
藤 隆 清 後
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kirin Brewery Co Ltd
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Kirin Brewery Co Ltd
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 食事制限をせずに脂質の消化吸収を阻害させ
る。 【構成】 長鎖アルキル=(メタ)アクリレートの架橋
重合体(I)からなる、経口脂質吸収材。 【効果】 消化管内で脂質が架橋重合体(I)に吸収さ
れて排泄される。糞便量も多くなるので、便秘改善効果
もある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の背景〕
【産業上の利用分野】本発明は、経口脂質吸収材および
その利用に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、食生活の向上ないし洋風化に伴っ
て、脂質の摂取量が増加している。昭和63年の厚生省
「国民栄養調査結果」では、脂質からの熱エネルギー摂
取比率が平均で適正な摂取比率である25%を越えたと
されている。
【0003】このような恒常的な脂質の過剰摂取が肥満
という問題を引き起こし、それに続く様々な合併症(た
とえば、心臓循環器系疾患、呼吸器系疾患、糖尿病等)
が先進および一部の中進国において社会問題化してき
た。
【0004】このため、肥満の予防あるいは治療を目的
としたアプローチが先進諸国で精力的に行なわれてお
り、様々な食事療法や抗肥満素材が提案されている。し
かし、これらの食事療法が過度の制限食であったり、素
材が嗜好的に優れないものであったり、またある抗肥満
素材によってはそれ自体が健康を害する物であったりす
るために、十分な目的を達成する以前に放棄されること
が多いのが現状である。
【0005】また、一部の食物繊維が脂質の消化吸収率
を低下させることが知られているが(Am.J.Clin.Nutr.3
3:1745-1756.1980 Stasse-Wolthuis,M等、ならびにAm.
J.Clin.Nutr.31:1149-1153.1978 J.L.Kelsay 等)、そ
の効果は必ずしも高くないようである。
【0006】また、コラーゲン架橋物を脂質吸着担体と
して脂質の体外排泄量を増加させようとする脂肪低減剤
が提案されているが(特開平2−215722号公
報)、その効果は必ずしも明らかではない。
【0007】〔発明の概要〕
【発明が解決しようとする課題】上述のような従来技術
に鑑み、本発明は、様々な食事制限を行なうことなく脂
質の消化吸収を阻害させることにより、摂取した過度の
エネルギーを体外へ排泄し得る、脂質消化吸収阻害作用
を有する、経口脂質吸収材を提供しようとするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは摂取された
食餌脂質を消化管内で効率よく吸収し、体外へたとえば
便として排泄させる作用を有する種々の化合物を合成し
てその効力を比較検討した結果、以下に特定される架橋
重合体が脂質消化吸収阻害および排泄効果に優れている
ことを知り、本発明を完成するに至った。
【0009】<要旨>すなわち、本発明による経口脂質
吸収剤は、炭素数8〜18の1価の脂肪族アルコールの
(メタ)アクリレートを主成分とするモノエチレン性不
飽和単量体(A)90〜99.999重量%および分子
中に少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有する架橋
剤単量体(B)0.001〜10重量%(ただし、単量
体(A)および(B)の合計は、100重量%である)
からなる単量体成分を重合させて得られる架橋重合体
(I)からなる、ものである。また、本発明は非脂質食
品にも関するものであって、それは実質的に脂質を含ま
ない食品と上記の架橋重合体(I)とを含んでなる、も
のである。さらにまた、本発明は、便秘改善剤にも関す
るものであって、それは上記の架橋重合体(I)からな
る、ものである。
【0010】<効果>上記の特定の架橋重合体(I)
は、摂取容易で吸脂質容量および速度が大きく、効率よ
く食餌由来の脂質を消化管内で吸収して体外に排出させ
ることができる。従って、摂取された脂質すなわちエネ
ルギーを食事制限によらずに減少させることができる。
そして、体外排出に際して、糞便の量を増加させるの
で、便秘改善の効果も得られる。
【0011】架橋重合体(I)は無味無臭の軟質ないし
ゼリー状の形態であって、経口摂取が容易であり、しか
も体内に吸収されないため安全性が高いので、連続使用
が可能であって、継続使用ないし投与によって過剰な脂
質の取りすぎを有効に防止することができる。
【0012】消化管内という特殊な環境で特定の架橋重
合体がこのような効果を有するということは、本発明者
らによってはじめて見出された事実であって、思いがけ
なかったことと解される。
【0013】〔発明の具体的説明〕 <架橋重合体(I)> <モノエチレン性不飽和単量体(A)>本発明に従って
消化管内での脂質吸収のために使用する架橋重合体は、
下式で示される(メタ)アクリレートを主成分とするモ
ノエチレン性不飽和単量体である。なお、ここで「(メ
タ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレ
ートを総称するものである。 (ただし、式中Rは水素またはメチル基、Rは炭素
数8〜18の脂肪族炭化水素基である。)
【0014】本発明では、当該エステルの一価アルコー
ル成分由来の基であるRは、炭素数が8〜18、のも
のであることが必要である。すなわち、Rが炭素数8
未満のように短鎖であると吸脂質能力の不十分な架橋重
合体が得られないし、一方炭素数18超過のように過度
に長鎖であると架橋重合体の側鎖同志の結晶性が高くな
って、体液での吸脂質能力が著しく低下する傾向が大き
い。好ましいRは、炭素10〜16のものである。
【0015】一価アルコールの炭化水素残基Rは飽和
のアルキル基であることが代表的であるが、不飽和のア
ルケニル基であってもよい。また、この炭化水素残基R
は直鎖状であるものが代表的であるが、分岐鎖状のも
のであってもよい。
【0016】このような一価アルコールと(メタ)アク
リル酸とのエステルの具体例を挙げれば、n‐オクチル
=(メタ)アクリレート、n‐デシル=(メタ)アクリ
レート、n‐ドデシル=(メタ)アクリレート、n‐テ
トラデシル=(メタ)アクリレート、およびn‐ヘキサ
デシル=(メタ)アクリレート、n‐オクタデシル=
(メタ)アクリレート、がある。これらは、単独で、あ
るいは組合せて、使用することができる。
【0017】吸脂質性架橋重合体を形成すべきモノエチ
レン性不飽和単量体は、上記の長鎖(メタ)アクリレー
トを主成分とするものである。ここで、「主成分とす
る」ということは、この長鎖(メタ)アクリレートがモ
ノエチレン性不飽和単量体の50重量%以上、好ましく
は80重量%以上、を占めるということを意味する。モ
ノエチレン性不飽和単量体中の長鎖(メタ)アクリレー
トの含量が50重量%未満であると、生成架橋重合体の
食餌脂質消化吸収阻害機能が不当に損われる。
【0018】必要に応じて用いられる共単量体は、生成
共重合体にポリ長鎖(メタ)アクリレートに生得的な吸
脂質性を不当に損わないように、親油性単量体であるこ
とが望ましい。そのような共単量体の具体例を示せば、
下記の通りである。
【0019】(i)炭素数7以下の1価の脂肪族アルコ
ールの(メタ)アクリレート類、たとえば、メチル=
(メタ)アクリレート、エチル=(メタ)アクリレー
ト、ブチル=(メタ)アクリレートなど、(ii)炭素数1
9以上の1価脂肪族アルコールの(メタ)アクリレート
類、たとえば、ベヘニル=(メタ)アクリレートなど、
(iii) 炭素数6〜12程度の脂環族アルコールの(メ
タ)アクリレート類、たとえば、シクロヘキシル=(メ
タ)アクリレート、メンチル=(メタ)アクリレートな
ど、(iv)フェノール類の(メタ)アクリレート類、たと
えば、フェニル=(メタ)アクリレート、オクチルフェ
ニル=(メタ)アクリレートなど、(v) アミノアルキル
(メタ)アクリレート類(アルキル基は炭素数2〜4程
度)、たとえば、ジメチルアミノエチル=(メタ)アク
リレート、ジエチルアミノエチル=(メタ)アクリレー
トなど、(vi)ポリオキシエチレン鎖(エチレンオキシド
重合度:100程度まで)を有する(メタ)アクリレー
ト類、たとえば、ポリエチレングリコール=モノ(メ
タ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール=
モノ(メタ)アクリレートなど、(vii)(メタ)アクリ
ルアミド類、たとえば、(メタ)アクリルアミド、N‐
メチロール(メタ)アクリルアミド、N‐ジメチルアミ
ノエチル(メタ)アクリルアミドなど、(viii)オレフィ
ン類、たとえば、エチレン、プロピレン、ブテン‐1な
ど、(ix)芳香族ビニル化合物類、たとえば、スチレン、
α‐メチルスチレン、t‐ブチルスチレンなど、(x) そ
の他のモノマー、たとえば、塩化ビニル、酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビ
ニル、ステアリン酸ビニル、(メタ)アクリロニトリ
ル、(メタ)アクリル酸など。これらは、各群内および
(または)各群間で2種以上を併用することができる。
【0020】<架橋剤単量体(B)>上記のようなモノ
エチレン性不飽和単量体と共重合させて架橋重合体を形
成させるべき架橋剤単量体は、分子内に少なくとも2個
のエチレン性不飽和結合を有する単量体である。分子中
のエチレン性不飽和基の数は2個であること、すなわち
この単量体がジエチレン性不飽和単量体であること、が
代表的であるが、それよりもエチレン性不飽和基の高い
もの、たとえば、トリまたはテトラエチレン性不飽和単
量体であってもよい。
【0021】そのような架橋剤単量体の具体例を示せ
ば、下記の通りである。 (イ)(ポリ)アルキレングリコール=ジ(メタ)アク
リレート類、好ましくはC〜Cアルキレングリコー
ルまたはそのオリゴマー(重合度:100程度まで)の
ジ(メタ)アクリレート類、たとえば、エチレングリコ
ール=ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール
=ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール=
ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリ
プロピレングリコール=ジ(メタ)アクリレート、ポリ
プロピレングリコール=ジ(メタ)アクリレート、1,
3‐ブチレングリコール=ジ(メタ)アクリレート、
1,6‐ヘキサンジオール=ジ(メタ)アクリレートな
ど、(ロ)ビス(メタ)アクリルアミド類、たとえば、
N,N‐メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N
‐プロピレンビス(メタ)アクリルアミド、ジ(メタ)
アクリルアミドジメチルエーテルなど、(ハ)3価以上
の低級アルコール、好ましくは3〜4価のC〜C
ルコール、のジないしポリ(メタ)アクリレート類、た
とえば、グリセロール=ジ(メタ)アクリレート、ネオ
ペンチルグリコール=ジ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパン=トリ(メタ)アクリレート、テトラ
メチロールプロパン=テトラ(メタ)アクリレートな
ど、(ニ)3価以上の多価アルコール、好ましくは炭素
数6程度までのもの(たとえば、グリセリン、ネオペン
チルグリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロ
ールエタンあるいはテトラメチロールメタン)のアルキ
レンオキシド付加物と(メタ)アクリル酸とのエステル
化によって得られる多官能(メタ)アクリレート、およ
び(ホ)ジビニル化合物、たとえばジビニルベンゼンな
ど。これらは、各群内または各群間で2種以上を併用す
ることができる。
【0022】<架橋重合体の製造>架橋重合体を製造す
る際に用いられる単量体成分中の単量体(A)および
(B)の比率は、単量体(A)および(B)の合計量に
対して、単量体(A)が90〜99.999重量%の範
囲、単量体(B)が0.001〜10重量%の範囲、で
ある。単量体(A)が99.999重量%を越えたり、
架橋性単量体(B)が0.001重量%未満では、得ら
れる架橋重合体の脂質に対する可溶性が増大して、食餌
脂質消化吸収阻害機能が損われるので、好ましくない。
また、架橋性単量体(B)が10重量%を越える多量
で、得られる架橋重合体の架橋密度が高くなりすぎて、
脂質吸収能が損われるため、やはり食餌脂質消化吸収阻
害機能が低下するので、好ましくない。好ましい比率
は、A:99〜99.99重量%、B:0.01〜1重
量%、である。
【0023】なお、本発明では架橋重合体の組成を重合
に付す仕込み単量体(A)および(B)の量比で規定し
ているが、重合率が100%でなければ、生成架橋重合
体の組成は仕込み単量体の組成と一致しない。しかし、
賞用される懸濁重合法(詳細後記)では重合率は事実上
100%であり、また重合法として実用可能な他の重合
法でも重合率はほぼ100%であることが多いから、一
般に生成架橋重合体の組成を仕込み単量体の量比として
取扱うことができる。
【0024】さて、架橋重合体(I)を製造するには、
重合開始剤を用いて前記単量体成分を共重合させればよ
い。共重合は塊状重合、懸濁重合、乳化重合などの公知
の方法により行なうことができるが、重合中の反応熱除
去が容易で、しかも消化管内で脂質吸収速度が高く、か
つ取扱いが容易な微粒状の架橋重合体が得られることか
ら、懸濁重合により行なうのが好ましい。
【0025】懸濁重合は、公知の方法により行なうこと
ができる。例えば、高HLB値を有する乳化剤や、ポリ
ビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロースなどの
保護コロイド剤を使用し、単量体成分を水中に懸濁さ
せ、油溶性重合開始剤の存在下に重合させればよい。重
合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキシド、ラ
ウロイルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシドな
どの有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾ
ビスジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物などを用
いることができ、また重合時の温度は0〜150℃の範
囲が好ましい。
【0026】懸濁重合によれば、架橋重合体(I)は通
常粒子径が10〜1000μ程度の微粒状樹脂の水性懸
濁液として得られる。この懸濁液をそのまま本発明で脂
質吸収材として用いてもよいが、経口使用することから
すれば、この懸濁液を濾過や乾燥などの方法により脱水
してから、また経口利用するところから充分に洗浄して
から、用いることが好ましい。
【0027】<生成架橋重合体>生成架橋重合体は、一
般に、透明で弾性を有する重合体である。採用した重合
法に応じてこの架橋重合体の物理的形状は異なるが、懸
濁重合の場合に得られるのが粒子径が10〜1000μ
m程度の微粒状であることは前記したところである。食
品添加物として利用する場合には粉末状のものが好まし
いことがあろうが、粉末状の架橋重合体は重合条件を適
当に選び、あるいは上記のような微粒状物を粉砕(弾性
体であるところより、凍結状態で粉砕することが考えら
れる)することによって、希望の粒度のものとすること
ができる。
【0028】この架橋重合体(I)は、用途に適した色
を有するように着色したものであることができる。
【0029】<経口脂質吸収材等/用途>本発明による
経口脂質吸収材は、上記の架橋重合体からなるものであ
る。ここで「からなる」ということは、経口脂質吸収材
がこの架橋重合体のみからなる場合の外に、両立性ない
し合目的的な資材と混合状態あるいは組合せた状態にあ
ってもよいことを意味する。この場合の併用する資材
は、本発明の精神からいって、脂質ではないものが望ま
しい。
【0030】この架橋重合体の経口脂質吸収材としての
性能を生かした具体的な産物は非脂質食品であって、そ
れは、実質的に脂質を含まない食品とこの架橋重合体
(I)とを含んでなるもの、である。ここで、「含んで
なる」ということは、両立性ないし合目的的な資材と混
合状態あるいは組合せた状態にあってもよいことを意味
する。
【0031】このような非脂質食品の一つの具体例は、
果物および(または)野菜あるいはそのジュースのゼリ
ーまたはプリンである。これを肉料理のつけ合せとして
食することによって、胃ないし腸内で肉由来の脂質を吸
収させることができる。ゼリー入りジュースもこの範疇
に入れることができよう。なお、本発明では、魚肉スリ
身も非脂質食品と考えることとする。
【0032】そのような非脂質食品の他の具体例は、所
謂グミ菓子あるいは可食性チューインガムである。これ
らのすべてをこの架橋重合体で構成してもよく、また単
に配合するだけでもよい。
【0033】この特定の架橋重合体は、吸脂質機能を有
するだけでなく、それを食したときに糞便量を増加させ
る作用を有していて、便秘状態の改善に有用である。
【0034】従って、本発明は便秘改善剤にも関するも
のであって、それは上記の架橋重合体(I)からなるも
のである。この場合も、「からなる」ということは、便
秘改善剤がこの経口脂質吸収材のみからなる場合の外
に、両立性ないし合目的的な資材と混合状態または組合
せた状態にある場合を包含するものである。併用される
資材の具体例としては、食物繊維ないしそれを含有する
食品、ビフィズス菌、ビフィズス菌用栄養源であるオリ
ゴ糖、その他がある。
【0035】架橋重合体(5)のこれらの用途は医薬で
はなくて食品の範疇に入るものと解され、従ってその摂
取量に関しては、医薬の場合のような薬理作用発現のた
めの、たとえばmg/日という単位によるような投与量と
いう概念は馴染まない。供試ラットの血液生化学検査か
ら、架橋重合体(I)は腸管で事実上吸収されないと解
され、これを摂取したヒトに対して重大な毒性を有する
とは考えられないから、この架橋重合体は比較的多量
(たとえば、成人1日当り50g程度まで)ないし長期
の摂取に耐えるということができる。
【0036】
【実施例】以下の諸例は、本発明をさらに具体的に説明
するためのものである。これらは例示であって、本発明
はこれだけに限定されるものではない。なお、例中特に
ことわりない限り、部は重量部を表すものとする。
【0037】〔実施例1〕 <重合例1>温度計、攪拌機、ガス導入管および還流冷
却器を備えた500mlフラスコに、ゼラチン3部を水3
00部に溶解して仕込み、攪拌下フラスコ内を窒素置換
し、窒素気流下に40℃に加熱した。その後、単量体
(A)としてオクチル=アクリレート99.839部、
架橋剤単量体(B)として1,4‐ブタンジオール=ジ
アクリレート0.161部および重合開始剤としてアゾ
ビスジメチルバレロニトリル0.500部からなる溶液
をフラスコ内に一度に加え、400rpm の条件で激しく
攪拌した。次いで、フラスコ内温度を60℃に昇温し、
同温度で2時間維持して重合反応を行ない、その後さら
にフラスコ内温度を80℃に昇温し、この温度と2時間
維持して重合を完了させた。重合完了後、粒状の架橋重
合体を濾別し、水で洗浄した後60℃で乾燥させること
により、粒径100〜1000μmの架橋重合体(1)
を得た。
【0038】<重合例2>重合例1において、オクチル
=アクリレート99.839部の代わりにデシル=アク
リレート99.860部、1,4‐ブタンジオール=ジ
アクリレート0.161部の代わりにその0.140部
を用いた以外は重合例1と同様の方法により、粒径10
0〜1000μmの架橋重合体(2)を得た。
【0039】<重合例3>重合例1において、オクチル
=アクリレート99.839部の代わりにドデシル=ア
クリレート99.876部、1,4‐ブタンジオール=
ジアクリレート0.161部の代わりにその0.124
部を用いた以外は重合例1と同様の方法により、粒径1
00〜1000μmの架橋重合体(3)を得た。
【0040】<重合例4>重合例1において、オクチル
=アクリレート99.839部の代わりにテトラデシル
=アクリレート99.889部、1,4‐ブタンジオー
ル=ジアクリレート0.161部の代わりにその0.1
11部を用いた以外は重合例1と同様の方法により、粒
径100〜1000μmの架橋重合体(4)を得た。
【0041】<重合例5>重合例1において、オクチル
=アクリレート99.839部の代わりにヘキサデシル
=アクリレート99.900部、1,4‐ブタンジオー
ル=ジアクリレート0.161部の代わりにその0.1
00部を用いた以外は重合例1と同様の方法により、粒
径100〜1000μmの架橋重合体(5)を得た。
【0042】<重合例6>重合例1において、オクチル
=アクリレート99.839部の代わりにオクタデシル
=アクリレート99.908部、1,4‐ブタンジオー
ル=ジアクリレート0.161部の代わりにその0.0
92部を用いた以外は重合例1と同様の方法により、粒
径100〜1000μmの架橋重合体(6)を得た。
【0043】<生物実験>上記、重合例1〜6にて合成
した架橋重合体(1)〜(6)を用いて、その脂質消化
吸収阻害能を測定した。
【0044】(i) 実験方法 供試動物として、SD系雄ラット(5週令、150g)
を1週間、固形飼料で予備飼育して実験環境に馴化した
ものを、各群5匹づつの8群に区分けして使用した。実
験中は、表1に示す基本飼料で飼育した。
【0045】なお、実施例群には、飼料摂取量の10%
にあたる架橋重合体を別途投与した。対照群には、食餌
の嵩による糞および脂質排泄量の増加分を見るため、飼
料摂取量の10%にあたるセルロース粉末を別途投与し
た。比較群は、基本飼料以外は無投与とした。実施例1
〜6は、それぞれ重合例1〜6の架橋重合体を給餌した
ものである。
【0046】1週間飼育後3日間採糞し、糞乾燥重量を
測定して、Folch法にて糞脂質含量を測定した(Folch e
t al: J.Biol.Chem.,226,497(1957))。また、最終日に
は、1夜絶食した後、剖検および血液生化学検査を行な
った。
【0047】
【0048】(ii)結果 糞乾燥重量、糞中脂質排泄量ならびに脂質消化吸収率
は、表2および図1〜3に示す通りであった。糞乾燥重
量は、比較群に比べて、対照群および実施例1〜6群の
すべてにおいて有意に増加した。脂質消化吸収率は、対
照群に比べて、実施例群において減少したが、特に実施
例2〜5群において有意に減少した。なお、実験後の剖
検および血液生化学検査においては、なんら異常は認め
られなかった。血液生化学検査結果は、表3に示す通り
であった。
【0049】 表2 糞中脂質排泄量ならびに脂質消化吸収率 糞乾燥質量 糞中脂質排泄量*1 脂質消化吸収率*2 (g/3日) (%) (%) 比較群 7.53 ±0.12 85.9 ± 5.2 96.6±0.2 対照群 12.40 ±0.47 100.0 95.1±0.2 実施例1 12.96 ±0.33 146.2 ± 5.9 94.0±0.6 実施例2 13.28 ±0.66 156.2 ± 3.9 92.3±0.7 実施例3 12.96 ±0.53 168.0 ± 4.4 92.6±0.6 実施例4 13.87 ±0.62 145.4 ±10.7 92.4±0.4 実施例5 13.88 ±0.25 156.0 ± 8.2 92.9±0.4 実施例6 10.16 ±0.49 155.5 ± 7.1 94.3±0.2 *1 各群のデータを算出した後に対照を100としてそ
れぞれ相対値で示した。 *2 (摂取した脂質−糞中に排泄された脂質)÷(摂取
した脂質)×100
【0050】 表3 血液の生化学検査結果 コレステロ トリグリセ GOT* GPT* ALP* ール リド (mg/dl) (mg/dl) (IU/1) (IU/1) (IU/1) 対照群 41.8±1.9 30.0± 5.6 78.0± 3.9 25.8±2.8 602.5 ±59.6 実施例1 41.0±6.1 35.0± 1.7 91.3± 7.9 27.7±2.2 627.7 ±58.8 実施例2 41.8±3.9 30.3± 3.1 72.3± 2.5 24.0±2.1 549.8 ±45.2 実施例3 44.2±5.5 40.6± 6.3 64.8± 3.6 23.2±1.2 545.0 ±13.2 実施例4 42.3±5.8 42.3± 9.0 84.3± 4.7 24.0±2.5 661.0 ±82.1 実施例5 42.5±4.2 40.5± 3.9 93.0±10.8 32.8±4.4 695.5 ±42.1 実施例6 60.3±6.1 52.5±11.0 90.3± 9.5 28.5±3.4 774.0 ±90.9 * GOT:Glutamate oxaloacetate transaminase GPT:Glutamic pyruvic transaminase ALP:Alkaline phosphatase
【0051】〔実施例2〕市販のオレンジドリンク10
0部に対して、重合例2〜6で得られた架橋重合体
(2)〜(6)10部を加えて、市販ゼリー入り飲料に
類似したオレンジドリンク(5種)を製造した。
【0052】〔実施例3〕重合例2〜6で得られた架橋
重合体(2)〜(6)100部に0.1部のリンゴ香料
を浸潤させ、10部の液糖および0.2部のクエン酸と
混合して乾燥することにより、グミ菓子類似食品(5
種)を製造した。
【0053】
【発明の効果】本発明による特定の架橋重合体(I)
が、食餌由来の脂質を消化管内で吸収して、体外へ便と
して排泄する作用を有するため、摂取された脂質即ちエ
ネルギーを食事制限することなく減少させ得ること、糞
便量を増加させる作用も有するため、いわゆる便秘の改
善効果をも有していること、等の効果を有すること、ま
た無味、無臭のジェリー状であって例えば飲料に混合し
経口投与することにより簡便に所期の作用を得ることが
できること、は「発明の概要」の項において前記したと
ころである。
【図面の簡単な説明】
【図1】糞乾燥重量を示す棒グラフ。
【図2】糞中脂質排泄量を示す棒グラフ。
【図3】脂質消化吸収率を示す棒グラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 穂 積 義 幸 神奈川県川崎市川崎区千鳥町14番1号 株 式会社日本触媒川崎研究所内 (72)発明者 後 藤 隆 清 神奈川県川崎市川崎区千鳥町14番1号 株 式会社日本触媒川崎研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素数8〜18の1価の脂肪族アルコール
    の(メタ)アクリレートを主成分とするモノエチレン性
    不飽和単量体(A)90〜99.999重量%および分
    子中に少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有する架
    橋剤単量体(B)0.001〜10重量%(ただし、単
    量体(A)および(B)の合計は、100重量%であ
    る)からなる単量体成分を重合させて得られる架橋重合
    体(I)からなる、経口脂質吸収材。
  2. 【請求項2】単量体(A)が、該(メタ)アクリレート
    を単量体(A)中に50重量%以上含有してなるもので
    ある、請求項1に記載の経口脂質吸収材。
  3. 【請求項3】実質的に脂質を含まない食品と請求項1ま
    たは2に記載の架橋重合体(I)とを含んでなる、非脂
    質食品。
  4. 【請求項4】請求項1または2に記載の架橋重合体
    (I)からなる、便秘改善剤。
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