JPH05225338A - 時系列距離画像入力処理方法 - Google Patents

時系列距離画像入力処理方法

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JPH05225338A
JPH05225338A JP4029146A JP2914692A JPH05225338A JP H05225338 A JPH05225338 A JP H05225338A JP 4029146 A JP4029146 A JP 4029146A JP 2914692 A JP2914692 A JP 2914692A JP H05225338 A JPH05225338 A JP H05225338A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、時系列距離画像入力において、左
右熱画像中の等温度領域の対応付け精度を上げることを
目的としている。 【構成】 先に出願している特願平3−279296を
改良し、本発明では、左右熱画像の各等温度領域を、一
つの領域を同一のエピポーララインを複数回横切らない
単位である部分領域に分割し、この部分領域を左右熱画
像の対応付けの単位として、弛緩法により対応を決定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シーン中の人間や自動
車等の3次元的動きを認識するための一連の処理におい
て、3次元の動き情報を入力する手段に関し、より具体
的には、通常のTVカメラのビデオレート程度の頻度
(1秒間に30フレーム程度)で距離画像(各画素の値
が3次元空間中の基準点からの距離値である画像)を入
力する時系列距離画像入力処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】関連する従来技術としては、特願平3−
279296号「距離動画像入力処理方法」がある。同
出願ではまず、2台の赤外線熱画像装置により入力され
たステレオ熱画像における等温度領域の形状の類似性に
基づき対応付けを行い、等温度領域の輪郭の距離情報を
取得する。次に、2台のTVカメラから入力されるステ
レオ濃淡画像を用いて、前述の等温度領域の内部の対応
付けを行い、補間的に距離を求める。この処理をビデオ
レートで同期入力される前述の2種類のステレオ画像に
ついて繰り返すことにより、結果的に時系列の距離画像
を得ると言うものである。
【0003】同出願においては、ステレオ熱画像におけ
る等温度領域に対して、図12に示すようにして、左右
の熱画像における対応候補領域205と206との対応
付けを決定していた。即ち、メモリ207上で領域20
5のパターンに領域206のパターンを重ね、図12の
ように、1画素ずつずらす都度類似度を計算し、その最
大値が閾値より大きければ、対応すると判定していた。
ここで類似度Sの例としては、領域205と206との
重なっている部分の面積(画素数)をA、重なっていな
い部分の面積をBとすると、S=A/(A+B)で定義
されるものが用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような領
域の対応付け法をとると、図13に示すような問題点が
生じる。即ち、左熱画像400に等温度領域402が存
在し、この領域に対応する右熱画像401における領域
が、オクルージョン等の影響で等温度領域403aと4
03bとに分割されていたとする。すると、領域402
と領域403aとの類似度は例えば0.4 、領域402と
403bとも0.4 程度となり、通常対応付けのための前
述の閾値を0.8 程度に設定するので、本来対応すべき領
域402と領域403a、403bとが、対応付け不能
と判定されると言う問題が生じる。
【0005】そこで、図14のように、類似度の定義を
S′=D/Cとするとも考えられる。ここで、Cは領域
403aの面積、Dは領域402と403aとが重なっ
ている部分の面積である。しかし、この類似度S′を用
いると、本来対応すべきでない領域同志を対応付けてし
まうという問題があった。
【0006】本発明は、時系列距離画像入力において、
左右熱画像中の等温度領域の対応付け精度を上げること
を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明では、左右熱画像の各等温度領域を、
一つの領域を同一のエピポーララインを複数回横切らな
い単位である部分領域に分割し、この部分領域を左右熱
画像の対応付けの単位として、弛緩法により対応を決定
するようにする。
【0008】図1は、本発明の動作原理を示す。まず、
物体11を赤外線熱画像装置12と13、TVカメラ1
4と15により撮像し、赤外線熱画像装置12と13、
TVカメラ14と15から画像を同期して入力する。な
お赤外線熱画像装置12と13、TVカメラ14と15
の視線方向は互いに平行になるように配置し、画角も互
いに一致させておく。また、赤外線熱画像装置12と1
3とは、視野内の物体が放射する赤外線を検出すること
により温度を測定して量子化し、熱画像をビデオレート
程度の頻度で取得できるものを利用する。
【0009】熱画像装置12と13とにより得られた熱
画像をそれぞれ熱画像22と23とし、TVカメラ14
と15とによる画像を濃淡画像24と25とする。図中
の11a、11b、11c、11dは各々画像22、2
3、24、25における物体11の像である。
【0010】本発明においては、これらの画像の中でま
ず熱画像22と23とを処理する。物体像11aと11
bとには、物体11の表面の等温線32がそれぞれ32
aと32bとのように観測される。ところで、物体上の
1点から放射される赤外線の強度は、その点における物
体への接線方向に近い場合を除き、一般には一定と考え
てよい。従って、32aと32bとのような左右熱画像
において互いに対応する等温線を検出すれば、撮像系の
幾何学的位置関係により、物体11の等温線32上の3
次元座標を求めることができる。
【0011】
【作用】即ち、画像22〜25における共通のエピポー
ラライン(y座標の等しいx軸に平行な直線)を図1の
ように34a〜34dとし、画像22と23とにおける
エピポーラライン34a、34bと等温線32a、32
bとの交点を図1のようにそれぞれ35a、36aおよ
び35b、36bとすると、35aと35b、36aと
36bが対応することを見いだせば、熱画像装置12と
13との幾何学的位置関係は予め分かっているので、三
角測量の原理で35aと35bおよび36aと36bに
対応する物体上の点35と36との3次元空間中の座標
を計算することができる。
【0012】このようにして得られた物体11上の点3
5と36の3次元座標から、35の画像24における位
置35c、画像25における位置35d、および36の
画像24における位置36c、画像25における位置3
6dを求めることができる。物体11の表面上で35と
36との間に等濃度線33が存在するとすると、画像2
4と25とにおいて、33cと33dとのように観測さ
れる。ただし、物体表面の濃度は、異なった位置にある
複数のTVカメラによりとらえた場合、必ずしもその複
数のTVカメラで得られた画像中の濃度が等しくならな
いという問題がある。しかし、等濃度線33の像は画像
24では35cと36cとの間、画像25では35dと
36dとの間という狭い範囲に限定されており、この狭
い範囲の濃度分布の対応関係は容易に取れるので、33
cと33dとの対応関係も求められる。従って、やはり
TVカメラ14と15との幾何学的位置関係により33
上の点の3次元空間における座標を求めることができ
る。
【0013】このように、まず2つの(ステレオ)熱画
像における等温線の対応関係を求め、3次元空間におけ
る位置を求めた後、TVカメラによるステレオ画像に、
3次元空間中の位置が得られた等温線を投影し、その等
温線の間で濃度情報の対応関係を求めることにより、等
温線の間の距離情報を補間的に求めるわけである。熱画
像装置12と13およびTVカメラ14と15はビデオ
レートで画像の取得が可能なので、これらの画像群に対
して前述の処理を施すことにより、ビデオレートで距離
画像を入力することが可能である。
【0014】
【実施例】上記の如く入力を行うが、現実には熱画像に
おける等温線の対応付け情報は、2台の熱画像装置の特
性が厳密に一致していないと必ずしも信頼できないの
で、図2のような構成を取ることによって、熱画像装置
とTVカメラの視野を一致させるようにする。図2は実
施例構成を示す。赤外線を反射し、可視光を透過する可
視赤外分離ミラー41を、視線方向を直交させた熱画像
装置42とTVカメラ44との視線の交わる位置に45
度の角度をもって配置する。このように配置することに
より、ミラー41により赤外線情報は熱画像装置42
に、可視光はTVカメラ44に分岐され、しかも熱画像
装置42とTVカメラ44との視野を一致させることが
できる。熱画像装置42とTVカメラ44とは左画像用
であり、図2に示すように右画像用に熱画像装置43と
TVカメラ45とを同様に設置し、前述のように左右画
像のマッチングを行い、距離情報を得る。以下図2の配
置を前提に説明を行うが、図1に示した一般的な配置で
も当然有効である。
【0015】図3は、図2の構成に対する本発明の実施
例を示す。本実施例の動作は、まず左熱画像装置42と
右熱画像装置43とから熱画像が入力され、それぞれ熱
画像用メモリ52と53とに格納される。次にラベリン
グ処理部56により、メモリ52と53とに格納された
熱画像に対するラベリング処理を施し、それぞれの処理
結果をラベリング結果用メモリ57(左熱画像用)と5
8(右熱画像用)とに格納する。
【0016】ここで、ラベリング処理部56では、メモ
リ52と53とに格納された熱画像において、同じ温度
値を持つ互いに隣接する画素を統合して行き、結果とし
て図4に示すように、熱画像を領域に分割する。図4
で、各領域に含まれる画素は同じ温度値を持ち、同一の
領域に含まれる全ての画素にはその領域の識別子が割り
付けられる。メモリ57と58とには、ラベリング処理
により得られた図4に示された領域分割結果とともに、
各領域の温度値、外接矩形枠の上下左右端の座標値とい
った各領域の属性値も併せて格納される。これらの属性
値は後述の対応探索部59で用いられる。
【0017】対応探索部59は本発明の内容であり、特
願平3−279296号の改良点の存在する個所であ
る。対応探索部59のより詳細な構成例を図5に示す。
図5の構成の動作は、まず部分領域分割部71でメモリ
57に格納された左熱画像の領域分割結果から各領域を
部分領域に分割する。
【0018】ここで、領域の部分領域への分割は、図6
に示すように、左熱画像404に等温度領域406が存
在するとすると、分割部71ではまず、領域406を部
分領域406a、406b、406cに分割する。これ
は、各領域が同一のエピポーララインを複数回横切らな
い、つまり1回だけ横切る単位に分割するわけである。
例えば、エピポーラライン411は領域406と2回交
差するが、部分領域406aと406bとはそれぞれ1
回だけ交差するものとなる。このようにすることによ
り、図6のように、領域406に対応するべき右熱画像
405中の領域が、オクルージョン等の影響で領域40
7a、407bに分裂したような場合にも、部分領域4
06aと407a、部分領域406bと407bとの類
似度を考えれば、対応付けが可能である。
【0019】以上の分割結果を部分領域分割結果メモリ
72に格納する。ここで、各部分領域の属性として、そ
の部分領域を含む領域の識別子、上下端のy座標を併せ
て格納する。また、本実施例では左熱画像を部分領域に
分割する場合を以後示すが、右熱画像を部分領域に分割
してもよい。
【0020】次に、メモリ72に格納された部分領域分
割結果とメモリ58に格納された右熱画像の領域分割結
果とを用いて、部分領域の対応候補を部分領域対応候補
抽出部73で抽出する。一般に、左右画像中の対応する
点は、同じエピポーラライン上に存在すると限定され
る。従って、左画像におけるある部分領域の上端と下端
のY座標をYu 、Yl とすると、右画像において対応す
る可能性がある部分領域と言うのは、同じ温度値を持
ち、部分領域の一部または全体がY=Yu とYl との間
に存在するものである。図6で、部分領域406aの上
下端にそれぞれ対応するエピポーララインを409、4
10とすると、右熱画像405の部分領域407a、4
07bがまず対応候補として存在する。さらに、右熱画
像405のもう一つの領域408も対応可能であるが、
部分領域406aに対応可能な部分は、領域408のう
ちエピポーラライン409と410にはさまれた範囲と
なる。
【0021】ここでもう一つ、エピポーラ拘束の条件
(左画像の部分領域に対応し得る右画像における領域
は、左画像における部分領域のX軸方向の位置より左側
にしか存在し得ない)がある。従って、具体的な処理の
流れとしては、メモリ57に格納されている領域406
の属性値(温度値、外接矩形枠の上下左右端の座標)と
メモリ72に格納されている部分領域406aの属性値
(含まれる領域の識別子、上下端の座標)とを読みだ
し、部分領域406aの上端と下端との座標範囲内にあ
り、領域と同じ温度値を持ち、部分領域406aの左端
と右端とのX軸方向の位置より左端と右端とがそれぞれ
左側にある右画像中の領域を探索し、406aの上下端
に挟まれる範囲を対応候補として抽出する。図6におい
て、406aと同じ温度を持つのが407a、407
b、408とすると、407aと407bとは対応候補
として抽出されるが、408はエピポーラ拘束を満たさ
ないために、対応候補として抽出されない。
【0022】次に、このようにして抽出された対応候補
との形状の類似度を類似度計算部74で計算する。その
原理は図12に示したものと同様である。即ち図12
で、205を部分領域、206を対応候補と考えるとす
る。本処理は画像404、405と同じサイズのメモリ
207上で行う。まず画像404から部分領域205
を、画像404における位置と等しい位置にコピーす
る。メモリ207上で、部分領域205に対応する画素
には部分領域205の識別子を、部分領域205以外の
画素には背景を表す識別子を格納する。ところで、左右
画像の部分領域の対応はまだ決定されていないので、X
軸方向の位置合わせも決定されていない。従って、メモ
リ207で左画像の部分領域205の位置は固定し、対
応候補領域206のパターンをメモリ207で1画素ず
つX軸方向に移動し、その都度類似度を計算し、最大の
類似度を領域205と206との類似度とする。
【0023】すなわち、図12のように、対応候補領域
206のY座標は右熱画像405におけるものとし、そ
のパターンをメモリ207にコピーするが、このとき既
に背景の識別子が格納されている画素は対応候補領域2
06の識別子に書き換え、既に部分領域205の識別子
が格納されている画素には、領域205と206とが重
なることを示す識別子を格納する。領域205と206
とが重なりを持つとすると、重なっている部分(図12
でハッチングで示した部分)の画素数(面積)をカウン
トしこれをA、領域205と206とにおける重なって
いない部分(同、白い部分)の画素数をBとし、領域2
06のX座標iにおける類似度をSi とすると、 Si =A/(A+B) (1) で計算される。次に、領域206をX軸方向に1画素ず
らしてコピーするが、その前に、重なり部分の画素には
領域205の識別子を、領域206がそれまであった部
分の画素には背景の識別子をそれぞれ格納しておき、そ
の後前述の領域206のコピー処理を行う。領域206
のX軸方向の移動をA≠0の範囲で行って式(1)によ
り類似度を計算し、その最大値を領域205と206と
の類似度Sとする。
【0024】類似度計算部74で、各対応候補について
類似度Sを計算した後、対応決定部75で対応を弛緩法
により決定する。ここでは、前述のようにして各部分領
域の対応候補を探索した結果、1つの部分領域に対し
て、対応候補が複数存在する場合があるので、以下のよ
うにして1:1の対応を決定する。
【0025】部分領域iの対応候補をλとし、iに対す
るλが正しい割当である確率をpi(λ)(0≦p
i (λ)≦1)とする。なお、この確率値としては、式
(1)により得られた類似度の値を用いることができ
る。いま、iがm個の対応候補を持つとすると、iの確
率ベクトルが Pi =(pi (λ1 )、・・・、pi (λm )) と定義される。ここで、他の部分領域jが、iの対応候
補λk を、やはり対応候補としている場合もある。従っ
て、互いに対応候補を共有する部分領域およびそれらの
対応候補をすべて考え、これらから1:1の対応を決定
する必要がある。そこで、このような互いに対応候補を
共有する部分領域がn個あるとすると、全確率ベクトル P=(P1 、P2 、・・・、Pn ) が得られる。0≦p1 (λ)≦1の条件を満たしつつ、
目的関数J
【0026】
【数1】
【0027】を最大にするPを求める。式(2)でrij
(λ、λ′)は適合係数である。rij(λ、λ′)の定
義は、iに対するλとjに対するλ′の対応付けが両立
する可能性が高い場合には正の数、逆の場合には負の数
をとる。例えば、図7のように、左熱画像420で上下
に接していた部分領域430a、431aの右熱画像4
21における対応候補430b、431bが接していな
い場合や、左熱画像420の接していない部分領域43
2a、433aが、右熱画像421で対応候補432
b、433bが重なっている場合には、絶対値の大きな
負の値を取る。式(2)を最大にするPにおいて、pi
(λ)>θ(θは閾値)を満たすiとλとの対応付けを
決定する。
【0028】このようにして、等温度領域に含まれる部
分領域の対応付けが行われた後、等温線上距離計算部6
0で、等温線(領域の輪郭線)上の画素の実空間におけ
る3次元座標を、図8のように計算する。図8で、左熱
画像210と右熱画像211とにそれぞれ対応すること
が決定された部分領域(以下、領域)212と213と
が存在しているとする。いま、エピポーラライン214
と領域212との交点を215aと216a、領域21
3との交点を215bと216bとすると、交点215
aと215b、交点216aと216bが、それぞれ対
応する点である。赤外線熱画像装置42と43の幾何学
的な位置関係は既知なので、三角測量の原理でこれらの
対応する点の3次元座標を計算することができる。
【0029】例えば、図9のように、左熱画像210の
視野中心(熱画像装置42の四角錘状の視野における四
角錘の頂点)221と右熱画像211の視野中心222
とがX軸上の原点に関して対称な位置にあり、Z軸が熱
画像装置42と43との視線と平行な方向、Y軸をX軸
とZ軸に直行するように3次元座標系を定義する。い
ま、図9の交点216aと視野中心221とを結んだ直
線と、交点216bと視野中心222と、を結んだ直線
とのX−Z平面への射影が、X軸となす角度をそれぞれ
φL 、φR とし、視野中心221と222との距離をd
とする(従って、それぞれのX座標は、−d/2、d/
2)。また、これら2つの直線の交点である実空間中の
点220(交点216aと216bとに対応する)と視
野中心221と222との3点から構成される平面とX
−Z平面のなす角度をΨとする。実空間中の点220の
3次元座標(X、Y、Z)は次式のように計算される。
【0030】 X=d(tan φL +tan φR )/{2(tan φR −tan φL )} (3) Y=dtan Ψ(tan φL −tan φR )/(tan φR −tan φL ) (4) Z=d(tan φL −tan φR )/(tan φR −tan φL ) (5) 距離画像中の点220に対応する画素には、 R=(X2 +Y2 +Z2 1/2 (6) で表される。点220と座標系の原点との距離Rが格納
される。
【0031】等温線上距離計算部60で、全ての対応す
る領域の輪郭線上の3次元座標が求められるので、距離
画像において、領域の輪郭に対応する画素には距離値が
格納されることになる。しかし、これだけでは領域の輪
郭以外の画素については、距離値が得られないことにな
る。そこで、以下に述べるように、ステレオ濃淡画像を
用いて、輪郭以外の画素について、距離値を補間する。
【0032】図3で、TVカメラ44と45とから得ら
れた濃淡画像は、まず画像用メモリ54と55とに格納
される。次に、補間計算部61で、図10、図11に示
すような方法で、熱画像における領域の輪郭線以外の距
離値を求める。図10では、メモリ54と55とに格納
された左濃淡画像250と右濃淡画像251とに、互い
に対応する領域252aと252bとが存在する場合を
示している。画像250と251とにおける共通のエピ
ポーラライン(Y座標値が等しい)を考え、このエピポ
ーララインの画像250における部分253aと領域2
52aとの交点を255aと256aとし、画像251
における部分253bと領域252bとの交点を255
bと256bとする。各エピポーラライン253aと2
53b上でそれぞれ、交点255aと256aとの間、
及び交点255bと256bとの間の濃度分布を示した
のが、図11である。
【0033】一般には、交点255aと256aの距離
と、交点255bと256bの距離とは異なるが、DP
(Dynamic Programming)マッチング等により、エピポー
ラライン253aと253bとの両者における濃度分布
の対応が求められる。図11で点線で示したのが、対応
の取れた画素同志の例であり、257a〜259a及び
257b〜259bが、濃度分布の対応付けにより得ら
れた対応点の例である。従って、対応点257aと25
7b、258aと258b等から、等温線上距離計算部
60と同様に式(3)〜(6)を用いて、対応点の距離
値が求まる。従って、熱画像における領域の輪郭線だけ
でなく、領域内部の距離情報も得られることになる。
【0034】なお、図10、図11では、図2で示した
可視赤外分離ミラー41を用いる配置を前提にしていた
が、図1のように、熱画像装置12、13及びTVカメ
ラ14、15を平行に配置した場合でも、同様に補間が
行える。即ちこの場合、図10に示した熱画像における
領域252aと252bとを濃淡画像250と251と
に重ね合わせることはできないが、領域252aと25
2bとの輪郭線上の点255a、256a、255b、
256bは、その対応関係から3次元座標が前述のよう
に計算できるので、TVカメラ14と15との幾何学的
位置関係から、濃淡画像250と251とにおける位置
を逆に求めるのは容易である。このようにして、熱画像
中の領域の輪郭線上の画素を濃淡画像中に投影できるの
で、その後の処理は、図11で説明したのと同様に行え
る。
【0035】以上のようにして、距離動画像62が得ら
れる。熱画像装置12と13、TVカメラ14と15に
おける画像入力を同期して行えば、ビデオレート程度の
頻度でステレオ熱画像とステレオ濃淡画像とが入力でき
る。これらの連続して入力される画像に対して、逐次本
発明の内容の処理を行えば、ビデオレートの頻度の距離
画像(距離動画像)の入力が実現される。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ステレオ熱画像における等温度領域の対応付けを、各領
域を同一のエピポーララインを複数回交差しない単位で
ある部分領域に分割し、弛緩法により対応付けを決定す
るようにしたので、左右の熱画像における対応付けが行
われるべき等温度領域の形状がオクルージョン等によっ
て大きく変化しても、正しい対応付けを実現する確率を
高めることができる。
【0037】本発明は、ロボットの視覚システム、商店
における万引防止や交通監視等を目的とした自動監視シ
ステムへ適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を示す。
【図2】可視赤外分離ミラーを用いた視野を一致させる
方式の説明図である。
【図3】本発明の実施例を示す。
【図4】熱画像の領域分割例を示す。
【図5】対応探索部の実施構成例を示す。
【図6】対応探索部の動作の説明図である。
【図7】弛緩法における適合係数の説明図である。
【図8】等温線上距離計算部の動作の説明図である。
【図9】等温線上の画素の距離の計算原理を示す。
【図10】ステレオ濃淡画像による距離情報の補間の原
理を示す。
【図11】ステレオ濃淡画像による距離情報の補間の原
理を示す。
【図12】左右熱画像における領域の類似度の説明図で
ある。
【図13】従来技術の問題点を示す図である。
【図14】従来技術の問題点を示す図である。
【符号の説明】
11 物体 12 左の熱画像装置 13 右の熱画像装置 14 左のTVカメラ 15 右のTVカメラ 22 左熱画像 23 右熱画像 24 左濃淡画像 25 右濃淡画像 11a 左熱画像22における物体11の像 11b 右熱画像23における物体11の像 11c 左濃淡画像における物体11の像 11d 右濃淡画像における物体11の像 32 物体11表面上の等温線 32a 物体像11aにおける等温線32の像 32b 物体像11bにおける等温線32の像 33 物体11上の等濃度線 34 画像22〜25における共通のエピポーラライン 42 左の熱画像装置 43 右の熱画像装置 44 左のTVカメラ 45 右のTVカメラ 52 左熱画像用メモリ 53 右熱画像用メモリ 54 左濃淡画像用メモリ 55 右濃淡画像用メモリ 56 ラベリング処理部 57 左熱画像ラベリング結果用メモリ 58 右熱画像ラベリング結果用メモリ 59 対応探索部 60 等温線上距離計算部 61 補間計算部 62 距離動画像 71 部分領域分割部 72 部分領域分割結果メモリ 73 部分領域対応候補抽出部 74 類似度計算部 75 対応決定部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに平行な視線方向および等しい画角
    をもつ2台の熱画像装置と2台のTVカメラとを備え、 これら2台の熱画像装置と2台のTVカメラとから左右
    の熱画像と左右の濃淡画像をフレームメモリに入力し、 2台の熱画像装置から入力された左右の熱画像中におけ
    る等温度領域の対応付けを行い、 対応付けの行われた領域の輪郭の距離情報を求め、 対応付けの行われた領域の内部の距離情報を、2台のT
    Vカメラから入力された左右の濃淡画像における濃淡情
    報の対応付けにより補間し、 以上の処理を連続して入力される左右熱画像と左右濃淡
    画像について逐次行うことにより時系列距離画像を入力
    する時系列距離画像入力処理方法において、 前記の等温度領域と交差するエピポーララインにおい
    て、同一のエピポーララインと最大一回だけ交差する単
    位である部分領域に、等温度領域を分割し、 次に、左(右)熱画像における各部分領域毎に、右
    (左)熱画像中における温度が等しく、エピポーラ拘束
    を満足する対応候補を探索し、 部分領域に複数の対応候補が存在する場合には、弛緩法
    により対応付けを決定し、 結果として等温度領域の対応付けを行うようにしたこと
    を特徴とする時系列距離画像入力処理方法。
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