JPH0522328U - 飲料用缶 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 缶に封入した飲料を飲むときに、その飲料が
飲み口から外にこぼれたり、口の両側からこぼれたりし
ないようにする。 【構成】 円形の上板部２に設けられている切取り片５
を切り取ったあとに形成される飲み口から封入されたジ
ュースを飲むことができる、いわゆる、缶ジュースに使
用される缶Ｋ₁ であって、胴部１は、封入したジュース
を飲む際に下唇が当たる部位に凹陥部９を有しており、
前記切取り片５は、上板部２の前記凹陥部５側の周縁沿
いに設けられ、かつ上板部２の径方向の幅が上板部２の
直径の１／４程度以下であり、上板部２の周縁方向の長
さが唇の幅以下であるもの。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、ジュース，コーヒー，清涼飲料，ビール等の飲料を封入する飲料 用缶に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来の飲料用缶としては、例えば、図４に示すジュース用缶Ｋがある。この缶 Ｋは、ジュースが封入されたアルミニウム製のものである。同図（ａ）はその側 面図、同図（ｂ）はその平面図である。

【０００３】 図において、２１は円筒状の胴部、２２は胴部２１の上部開口部に巻締めによ って取り付けた上板部、２３は胴部２１の下部開口部に同じく巻締めによって取 り付けた下板部である。２４は上記巻締め部である。

【０００４】 ２５は、上板部２２に薄肉部２６において切取り可能に設けた切取り片で、切 取られたとき、上板部２２にジュースの飲み口ｎ（図５ｂ）が形成される。２７ は切取り片２５を薄肉部２６において上板部２２から切り取るためのつまみであ る。このつまみ２７は、切取り片２５の上板部２２中心側の端部にリベット２８ で取り付けられていて、上方へ引き起こして引張れば、切取り片２５は上板部２ ２から切り取られる。切り取られたあとには、上述のように、ジュースの飲み口 ｎが形成される。なお、ジュースは、下板部２３を取り付けた胴部の中に注入し 、上板部２２を取り付けることによって封入される。

【０００５】 従来のジュース用缶Ｋは、上述のような構成となっているので、その中のジュ ースを飲むときは、つまみ２７を上板部２２から引き起こして引張り、切取り片 ２５を上板部２２から切り取り、上板部２２に開いた飲み口ｎに口を当てて飲め ばよい。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、従来のジュース用缶には、次のような問題点があった。 すなわち、図４（ｂ）のように、切取り片２５（飲み口ｎ）の形状が上板部２ ２の径方向に長く、上板部２２の巻締め部２４近傍から中央部にまで至っている ので、下唇２９が当たる胴部２１の側面から飲み口ｎの上板部２２中心側の口縁 までの水平距離Ｌが長くなっている。

【０００７】 このため、図５のように、缶を傾けて飲み口ｎからジュースを飲む場合、図５ のように、上唇３０が上板部２２の上に浅く（図５で言えば深さＤだけ）被さる だけで、飲み口ｎの全部を覆うことができない。すなわち、飲み口ｎの一部しか 口の中に入れることができない。

【０００８】 したがって、従来のジュース用缶Ｋによれば、ジュースを飲むときに、これが 飲み口ｎから鼻の回りにこぼれたり、口の両側からこぼれたりすることがあった 。

【０００９】 このような現象は、ジュース用缶に限らず現用のビール用缶や清涼飲料用缶に も共通してみられることであった。

【００１０】 この考案は、このような従来の問題点を解決するためになされたもので、封入 した飲料を飲むときに、その飲料が飲み口から外にこぼれたり、口の両側からこ ぼれたりするおそれのない飲料用缶を提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

この考案が提供する飲料用缶は、円筒状の胴部と、胴部の上部開口部を閉塞す る上板部と、胴部の下部開口部を閉塞する下板部と、上板部に薄肉部において切 り取り可能に設け、かつ切り取られたとき上板部に飲み口を形成する切取り片と 、切取り片を上板部から切り取るためのつまみとよりなる飲料用缶であって、前 記胴部は、缶に封入した飲料を前記飲み口から飲む際に下唇が当たる部位に凹陥 部を有し、前記切取り片は、上板部の前記凹陥部側の周縁沿いに設け、かつ上板 部の径方向の幅を上板部の直径の１／４程度以下とし、上板部の周縁方向の長さ を唇の幅以下としたものである。

【００１２】 上記切取り片の幅を、上板部の直径の１／４程度以下としたのは、この程度で あれば、飲料を飲み口から飲む場合、上唇で飲み口を覆うことができるからであ る。したがって、飲み口（切取り片）の幅は、実質的には、上唇で覆うことがで きる範囲であればよいことになる。

【００１３】

【作用】

この考案による缶は、胴部に下唇の当たる凹陥部が設けられており、また飲み 口が上板部の前記凹陥部側周縁沿いに設けられ、かつその幅が上板部の直径の１ ／４程度以下と狭くなっているので、下唇の当たる前記凹陥部から飲み口の上板 部中心側の口縁までの水平距離が短くなっている。

【００１４】 このため、缶を傾けて飲み口から飲料を飲む場合、下唇を凹陥部の中に入れて 飲み口を口の中に深く入れることができるとともに、上唇を上板部の上に深く被 せ、上唇で飲み口を完全に覆うことができる。

【００１５】 したがって、この考案の缶によれば、缶の中の飲料を飲むときに、その飲料が 飲み口から外にこぼれたり、口の両側からこぼれたりするおそれはなくなる。

【００１６】

【実施例】

以下、この考案の実施例を図１と図２によって説明する。図１はジュースを封 入した実施例のジュース用缶Ｋ₁ の側面図、図２はその平面図、図３はその作用 を説明するための図である。

【００１７】 図において、１は円筒状の胴部、２は胴部の上部開口部に巻締めによって取り 付けた上板部、３は胴部１の下部開口部に同じく巻締めによって取り付けた下板 部である。４は上記巻締め部である。

【００１８】 ５は、上板部２に薄肉部６において切取り可能に設けた切取り片で、切り取ら れたとき、上板部２にジュースの飲み口ｎ₁ （図２（ｂ））が形成される。７は 切取り片５を薄肉部６において上板部２から切り取るためのつまみである。この つまみ７は、切取り片５の上板部２中心側の端部にリベット８で取り付けられて いて、上方へ引き起こし、矢印Ａ方向へ廻して引張れば、切取り片５は上板部２ から切り取られる。切り取られたあとには、上述のように、ジュースの飲み口ｎ₁ が形成される。

【００１９】 上記薄肉部６は、上板部２の周縁（巻締め部４）沿いに楕円形に設けられてお り、上板部２の周縁方向の長さは、唇の幅以下となっており、上板部２の径方向 の幅は、上板部２の直径の約１／４となっている。したがって、上記飲み口ｎ₁ は、上板部２の周縁に上記大きさで楕円形に形成されることになる。

【００２０】 ９は缶Ｋ₁ に封入したジュースを飲み口ｎ₁ から飲む際に下唇が当たる部位に 設けた凹陥部である。凹陥部９は、この実施例では、胴部１の上端部に環状に設 けられている。

【００２１】 次に、上記構成に基く作用を説明する。 実施例のジュース用缶Ｋ₁ にあっては、図２（ｂ）に示すように、胴部１に下 唇１０が当たる凹陥部９が設けられている。また、ジュースの飲み口ｎ₁ が上板 部２の周縁（巻締め部４）沿いに設けられ、かつその幅が上板部２の直径の約１ ／４となっていて、従来のものより可成り狭くなっている。つまり、下唇１０の 当たる凹陥部９から飲み口ｎ₁ の上板部２中心側の口縁までの水平距離Ｌ₁ が、 図１および図２に示すように、従来より可成り短くなっている。

【００２２】 このため、図２のように、缶Ｋ₁ を傾けて飲み口ｎ₁ からジュースを飲む場合 、下唇１０を凹陥部９の中に入れることによって、飲み口ｎ₁ を口の中に深く入 れることができるとともに、上唇１１を上板部２の上に深く（深さＤ₁ ）被せ、 上唇１１で飲み口ｎ₁ を完全に覆う（包み込む）ことができる。

【００２３】 したがって、この実施例のジュース用缶Ｋ₁ によれば、ジュースを飲むとき、 これが飲み口ｎ₁ から外にこぼれたり、口の両側からこぼれたりするおそれはな くなる。

【００２４】 なお、上記実施例は、この考案をジュース用缶に適用した場合の例であるが、 この考案は、ビール用缶（いわゆる缶ビールの缶），コーヒー用缶，清涼飲料用 缶等の飲料用缶にも適用し得ることは言うまでもない。また、缶の材質は特に問 わない。さらに、この考案にいう缶は、切取り片が完全に切り取られないで、上 板部に残るタイプのものも含まれる。 図３は他の実施例を示す。 この実施例は、ジュースを飲むときに下唇が当たる部位のみに凹陥部１２を設 けた例である。その他の構成は図１に示すジュース用缶Ｋ₁ と同じである。した がって、缶Ｋ₁ と同一の部分には同一符号が付してある。作用効果は上記実施例 と同じである。

【００２５】

【考案の効果】

以上説明したように、この考案に係る飲料用缶によれば、請求項１に記載の構 成としたので、封入した飲料を飲むときに、その飲料が飲み口から外にこぼれた り、口の両側からこぼれたりするおそれがなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 実施例のジュース用缶を示し、同図（ａ）は
側面図、同図（ｂ）は平面図

【図２】 図１のジュース用缶の作用を説明するための
図で、同図（ａ）は側面図、同図（ｂ）は同図（ａ）の
矢印Ｂ方向からみた平面図

【図３】 他の実施例のジュース用缶を示し、同図
（ａ）は側面図、同図（ｂ）は平面図

【図４】 従来のジュース用缶を示し、同図（ａ）は側
面図、同図（ｂ）は平面図

【図５】 図４のジュース用缶の作用を説明するための
図で、同図（ａ）は側面図、同図（ｂ）は同図（ａ）の
矢印Ｃ方向からみた平面図

【符号の説明】

Ｋ₁ ，Ｋ₂ ジュース用缶 １ 胴部 ２ 上板部 ３ 下板部 ５ 切取り片 ６ 薄肉部 ７ つまみ ９，１２ 凹陥部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 円筒状の胴部と、胴部の上部開口部を閉
   塞する上板部と、胴部の下部開口部を閉塞する下板部
   と、上板部に薄肉部において切り取り可能に設け、かつ
   切り取られたとき上板部に飲み口を形成する切取り片
   と、切取り片を上板部から切り取るためのつまみとより
   なる飲料用缶であって、前記胴部は、缶に封入した飲料
   を前記飲み口から飲む際に下唇が当たる部位に凹陥部を
   有し、前記切取り片は、上板部の前記凹陥部側の周縁沿
   いに設け、かつ上板部の径方向の幅を上板部の直径の１
   ／４程度以下とし、上板部の周縁方向の長さを唇の幅以
   下としたことを特徴とする飲料用缶。