JPH05220199A - 蒸気吐出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 蒸気発生装置で発生した蒸気を浴室空間に吐
出する蒸気流を利用し、室温度の均一化と蒸気吐出温度
を低下させる優れた蒸気吐出装置を提供する。 【構成】 蒸気吐出装置１に略Ｌ字状の吐出部４と本体
ケース２に突起部２ａを設け、前記吐出部４と突起部２
ａとの間に空気流通口２ｂを構成する。前記吐出部４の
吐出ノズル４ａから吐出する蒸気９の流速によって空気
流入口２ｂの負圧域Ｖがエジェクタ作用により負圧とな
り、本体ケース蓋３の開口部５より空気１０を強制導入
させる。したがって、前記空気１０の流れにより浴室空
気を強制循環させ、浴室温度を均一化させるとともに混
合蒸気出口８の空気混合蒸気の吐出温度を低下させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は浴室空間の壁面等に設置
する蒸気吐出装置に係るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の蒸気吐出装置は、図６に
示すように、蒸気浴室２１の壁面２２に臨んで設けた蒸
気吐出装置（以下、吐出装置とも言う）は、ごく一般的
な構成では略Ｌ字状をし、蒸気発生装置から搬送させた
蒸気の入口２３ａから蒸気流をＬ字に変向した下向きの
出口２３ｂを有していた。

【０００３】また、他の構成として図７では、壁面２２
に設けた吐出装置本体２４は蒸気搬送管２６との接続口
を兼ねた蒸気入口２５と、下向きに開口した蒸気出口２
８からなる半密閉型で、かつ拡室２７を蒸気出口２８に
向けて徐々に狭め、蒸気吐出音を軽減緩和する構成とし
たものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに従来の蒸気吐出装置では、単に蒸気を浴室に吐出す
る構成手段にすぎなく、浴室温度の均一化に対する考慮
はなかった。つまり、下方（床面）に出口２３ｂや蒸気
出口２８から勢い良く吐出した蒸気が、浴室空気と混合
して高温の蒸気混合空気となり、他の浴室空気との温度
差に基づいた浮力により上方に短時間に急速に上昇す
る。そして、天井部に高温蒸気による無駄な高温域を作
り、人体が立座する空間の加熱所要時間が長くなる欠点
を有していた。

【０００５】さらに、蒸気そのものを吐出させるため、
吐出温度はほぼ蒸気温度としての１００℃と高く、この
高温気体が接触する床面等の浴室構成材料は高温の耐熱
温度を配慮した材料使用が必要であった。

【０００６】本発明は、このような上記の問題点を解決
するもので、室内の空気を装置内に強制的に導入するこ
とにより、室内空気を浴室内で強制循環させて室内温度
の均一化を図り、蒸気吐出温度を低下させて人体への接
触による温度危険の回避と吐出流周辺の室構成材料の耐
熱温度の低減を可能にした蒸気吐出装置を提供する。

【０００７】

【課題を解決するための手段】そして、上記目的を達成
するために、本発明による蒸気吐出装置の第１手段は、
上部の空気取入口と下部の蒸気吐出口を開口したケース
本体と、ケース本体内を上部の空気取入室と下部の空気
混合蒸気室に区画し、ケース本体に気密に固定した区画
壁と、区画壁の下面に蒸気噴射する蒸気噴射口を有し、
ケース本体外から誘導した流入蒸気を前記蒸気噴射口か
ら前記空気混合蒸気室に噴射する蒸気噴射筒と、蒸気噴
射筒外周に穿孔して前記空気取入口から吸入した空気を
前記空気取入室を介して前記空気混合蒸気室に流通させ
る空気流通口を備え、前記蒸気噴射口から噴射する蒸気
流のエジェクタ効果により、前記蒸気流の外周で、かつ
前記空気流通口の前記空気混合蒸気室側にケース本体外
の空気より雰囲気圧力が低い負圧域を生成して前記空気
取入口、前記空気取入室および空気流通口よりケース本
体外の空気を前記空気混合蒸気室に吸入し、前記蒸気流
に混入して前記蒸気吐出口よりケース本体外に吐出する
ものである。

【０００８】また、本発明の第２手段は、前記空気取入
室側に前記蒸気噴射口より開口率の小さい蒸気供給口を
有した蒸気噴射筒を備え、前記蒸気供給口から蒸気を受
給する蒸気受給口と、芳香剤または薬用剤を収納して前
記蒸気で加熱し、芳香または薬用成分を蒸気に混合して
発散する芳香剤収納室と、芳香剤収納室が発散する蒸気
を前記空気取入室に放出する芳香放出口より構成した芳
香発生器を蒸気噴射筒に着脱自在に備えるものである。

【０００９】

【作用】そして、上記した第１手段により本発明の蒸気
吐出装置は、ケース本体外から誘導されて蒸気噴射筒に
流入した蒸気が、区画壁の下面近辺に位置する蒸気噴射
口から空気混合蒸気室に勢い良く噴射される。この蒸気
流は空気流通口下面の外周に高速の蒸気流により、周囲
の停滞空気を吸引する負圧域を発生する、所謂エジェク
タ効果を発揮する。このとき、空気混合蒸気室の開口部
である蒸気吐出口外の空気は蒸気の吐出により外気より
高圧となるが、本体ケースが外気に開口したもう一方の
空気取入口は前記負圧域の作用によって外気よりも低圧
となる。そして、空気取入口から室内空気（外気）が空
気取入室に強制的に吸引され、この空気は空気流通口を
通過すると前記蒸気流に誘引され、蒸気流は室内空気が
混入した空気混合蒸気となる。

【００１０】こうして、蒸気噴射筒と空気流通口による
エジェクタ作用により室内空気が蒸気流に混入して強制
的に循環され、かつ低温の空気を混合して蒸気温度より
低温化した空気混合蒸気が蒸気吐出口より室内下方の浴
室床面等に勢い良く吐出する。そして、この吐出流は低
温化されたことにより、この吐出流が接触する浴室床面
等の材料は耐熱温度の低減化が可能となり、またこの吐
出流に人体が接触してもより安全となる。さらに、室内
空気が強制循環されることにより浴室空気が対流して浴
室温度の均一化が図れると共に、低温化した空気混合蒸
気流の天井への上昇速度が低下し、上昇時における周囲
空気との熱交換量が増加して天井より下の人体が立座す
る空間の有効加熱量が増加し、より快適で適切な蒸気浴
空間を作れる。

【００１１】また、上記した第２手段により本発明は、
ローズ等の芳香性の良い花や他の植物の乾燥剤としての
芳香剤および芳香エキス等の芳香剤や、カモミール等の
薬用効果を有した植物の乾燥剤としての薬用剤を芳香収
納室に投入し、蒸気噴射筒に着装する。そして、ケース
本体外から誘導されて蒸気噴射筒に流入した蒸気の一部
が、蒸気噴射口より開口率の小さな蒸気供給口を経由
し、蒸気受給口から芳香発生器に少量流入する。

【００１２】この蒸気は蒸気熱と湿度により芳香収納室
に流入して芳香剤や薬用剤から芳香や薬用成分を発散さ
せ、この発散成分を含んだ蒸気が蒸気受給口から連続し
て流入する蒸気の圧力により芳香放出口から空気取入室
に放出される。この放出された芳香や薬用成分を含んだ
蒸気は前記エジェクタ作用により蒸気噴射口より噴射さ
れた蒸気流に混合され、室内に放出されて拡散し、浴室
空間を芳香や薬用成分を含んだ空気混合蒸気で充満し、
快適で健康効果のある空間を効果的に創造できる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明による蒸気吐出装置（以下、吐
出装置とも言う）の実施例について図面を参照しながら
説明する。

【００１４】図１は本発明の第１実施例を示し、（ａ）
は吐出装置の上面構成図、（ｂ）は図１（ａ）のＡ−Ｂ
断面構成図である。吐出装置１の主要構成は本体ケース
２に区画壁としての突起部２ａ、前記突起部２ａと略Ｌ
字状の蒸気吐出筒としての吐出部４との間に空気流通口
２ｂ、前記本体ケース２の上部空間である空気取入室Ｒ
に着脱自在な本体ケース蓋３、前記本体ケース蓋の一部
に空気導入用の空気取入口としての開口部５、図３に示
す蒸気発生装置Ｘで発生した蒸気の蒸気搬送管Ｙと接続
する接続部６、さらに前記本体ケース２はは空気混合蒸
気室としての混合室７と下底に蒸気吐出口としての混合
蒸気出口８とからなる。

【００１５】図２は図１（ａ）のＣ−Ｄ断面を示し、図
３は浴室１３内における空気の強制循環流を示したもの
である。搬送された蒸気９は接続部６の入口６ａより略
Ｌ字状の吐出部４の吐出ノズル４ａから混合室７に噴射
される。この噴射した蒸気９の流速によって空気流通口
２ｂの下部にエジェクタ作用が生じ、室内より低圧の負
圧域Ｖができる。そして、本体ケース蓋３の開口部５よ
り空気１０が負圧力により強制的に導入される。導入さ
れた空気１０は空気導入口部２ｂを通り、吐出ノズル４
ａから噴射した蒸気９と混合室７で混合し、空気混合蒸
気１１となって、混合蒸気出口８より浴室１３内に吐出
する。

【００１６】このとき、吐出した空気混合蒸気１１は浴
室１３内に対流拡散し、さらに新たな空気１０が吐出装
置１に強制導入され、強制循環サイクル現象によって浴
室１０の温度が均一化される。また、空気混合蒸気１０
は低温の空気と混合して吐出温度が低下しているため、
吐出域である浴室床１３ａ等の温度上昇も鈍化し、入浴
者に接触しても高温によるやけど危険も少なくなる。さ
らに、低温化した空気混合蒸気は上昇速度が低下し、入
浴者が立居振る舞う立座空間を効率的に加熱し、快適な
蒸気浴ができる。

【００１７】図４は吐出部４の吐出ノズル４ａ，４ｃを
示し、（ａ）は中央に噴射口４ｂを１箇備えた形状、
（ｂ）は複数個の噴射口４ｄを備えた形状である。特に
（ｂ）は複数の噴射口径の小さな噴射口４ｄを外側に分
散して配置することにより、蒸気１０の噴射流速を早く
して、負圧力を向上させる。

【００１８】図５は本発明の第２実施例を示し、本体ケ
ース蓋３の開口部５と空気流通口２ｂとの間に芳香発生
器１５を設ける。前記芳香発生器１５は蒸気９の一部を
吐出部４の蒸気供給口１４から受給する蒸気受給口１
６、ローズ等の芳香を有した芳香剤やカモミール等の薬
用成分を有した薬用剤等のいわゆるハーブ１８を収納す
る芳香剤収納室１９を蒸気通過孔２０を備えた多孔板１
７で区画する。そして、上部は開放して芳香放出口２１
となし、底部の装着用の凹部である装着部２２を吐出部
４に着脱自在に構成する。２３は結露水の放出口であ
る。

【００１９】こうして、蒸気受給口１６より一部の蒸気
を受給し、蒸気通過口２０から芳香剤収納室１９に入っ
た蒸気はハーブ１８を蒸して芳香や薬用成分を発生する
と、芳香放出口２１から空気取入室Ｒに放出される。そ
して、室内空気１０とともに空気流通口２ｂから混合室
７に入り、空気混合蒸気として吐出させる。芳香剤収納
器１５は空気取入室Ｒの空気通路断面（Ｚ−Ｚ断面の
上）の一部に位置して空気通路の一部を閉塞はするが、
室内空気が空気取入室Ｒを通過するスペースを残し、室
内空気の循環作用を阻害しないように配置する。そし
て、ハーブ１８の蒸気成分を空気混合蒸気に乗せて浴室
１３内に均一に拡散でき、快適で健康的な蒸気浴を提供
できる。

【００２０】なお、上記両実施例において、空気取入室
Ｒは本体ケース２の外周部にも空気取入口を備え、特に
第２実施例での芳香発生器１５による空気通路断面の減
少を補ってもよい。また、本体ケース２は芳香剤発生器
１５を備えない単純な構成とするときは、突起部２ａよ
り上部の本体ケース２を備えなくても同様の効果が期待
できる。

【００２１】

【発明の効果】以上の説明により明らかにしたように、
本発明の蒸気吐出装置の請求項１では、蒸気吐出筒と空
気流通口によるエジェクタ作用によって室内空気を蒸気
流に混入し、低温の空気混合蒸気を蒸気吐出口から室内
下方の浴室床面等に吐出することにより、この吐出流が
接触する浴室材の耐熱温度を低下することができる。ま
た、人体に接触しても高温によるやけど危険を防止でき
る。

【００２２】さらに、蒸気流が室内空気の強制循環作用
を有することにより、浴室内の空気を効果的に対流して
浴室温度の均一化ができる。

【００２３】さらにまた、低温下した空気混合蒸気の天
井への上昇速度を低減することにより、入浴者が立居振
る舞う立座空間を効果的に加熱してより快適な浴室温度
を提供できる。

【００２４】また、本発明の請求項２では、芳香剤や薬
用剤を芳香剤収納器に収納して蒸気噴射筒から受給する
蒸気で芳香や薬用成分を空気取入室に発散放出し、空気
取入口よりエジェクタ効果によって吸入する空気で空気
混合蒸気室に誘導し、蒸気噴射口より噴射する蒸気流に
混入しているので、浴室内を強制的に対流循環する空気
混合蒸気に乗せて浴室内に均一に拡散でき、より快適で
健康的な環境を効果的に創造できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は本発明による蒸気吐出装置の第１実施
例を示す上面図 （ｂ）は同装置における図１（ａ）のＡ−Ｂ断面図

【図２】同装置における図１（ａ）のＣ−Ｄ断面図

【図３】同浴室内における空気の強制循環流図

【図４】（ａ）は本発明による蒸気噴射口の吐出ノズル
の単一噴射口を示す断面図 （ｂ）は同じく複数噴射口の断面図

【図５】本発明の第２実施例を示す断面図

【図６】従来の蒸気吐出装置を示す要部拡大断面図

【図７】従来の他の蒸気吐出装置を示す要部拡大断面図

【符号の説明】

２ 本体ケース ２ａ 突起部 ２ｂ 空気流通口 ４ 吐出部 ４ａ，４ｃ 吐出ノズル ５ 開口部 ７ 混合室 ８ 混合蒸気出口 １５ 芳香発生器 １８ ハーブ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉村 昌知 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上部の空気取入口と下部の蒸気吐出口を開
   口したケース本体と、ケース本体内を上部の空気取入室
   と下部の空気混合蒸気室に区画し、ケース本体に気密に
   固定した区画壁と、区画壁の下面に蒸気噴射する蒸気噴
   射口を有し、ケース本体外から誘導した流入蒸気を前記
   蒸気噴射口から前記空気混合蒸気室に噴射する蒸気噴射
   筒と、蒸気噴射筒外周に穿孔して前記空気取入口から吸
   入した空気を前記空気取入室を介して前記空気混合蒸気
   室に流通させる空気流通口を備え、前記蒸気噴射口から
   噴射する蒸気流のエジェクタ効果により、前記蒸気流の
   外周で、かつ前記空気流通口の前記空気混合蒸気室側に
   ケース本体外の空気より雰囲気圧力が低い負圧域を生成
   して前記空気取入口、前記空気取入室および空気流通口
   よりケース本体外の空気を前記空気混合蒸気室に吸入
   し、前記蒸気流に混入して前記蒸気吐出口よりケース本
   体外に吐出する蒸気吐出装置。
2. 【請求項２】空気取入室側に蒸気噴射口より開口率の小
   さい蒸気供給口を有した蒸気噴射筒を備え、前記蒸気供
   給口から蒸気を受給する蒸気受給口と、芳香剤または薬
   用剤を収納して前記蒸気で加熱し、芳香または薬用成分
   を蒸気に混合して発散する芳香剤収納室と、芳香剤収納
   室が発散する蒸気を前記空気取入室に放出する芳香放出
   口より構成した芳香発生器を蒸気噴射筒に着脱自在に備
   える請求項１記載の蒸気吐出装置。