JPH05212211A - エマルジョン混合物の相分離方法 - Google Patents

エマルジョン混合物の相分離方法

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JPH05212211A
JPH05212211A JP4776092A JP4776092A JPH05212211A JP H05212211 A JPH05212211 A JP H05212211A JP 4776092 A JP4776092 A JP 4776092A JP 4776092 A JP4776092 A JP 4776092A JP H05212211 A JPH05212211 A JP H05212211A
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JP
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liquid
phase
pipe
emulsion
separation
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JP4776092A
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Katsushi Tagawa
克志 田川
Kunihiko Yamashita
邦彦 山下
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 液・液相あるいは液・液・固相のエマルジョ
ン混合物を破壊し速やかに相分離する。 【構成】 液・液相あるいは液・液・固相のエマルジョ
ン混合物を加熱加圧状態から落圧、フラッシュさせてエ
マルジョンを破壊した後、静置することを特徴とするエ
マルジョン混合物の相分離方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液・液相あるいは液・
液・固相のエマルジョン混合物を破壊して二液相を分離
する方法に関するものである。さらに詳しくは、化学工
業において、液液抽出装置や液液系の蒸留装置、さら
に、二液相から成る化学反応系においては、二液相混合
物を分離する操作が必要であるが、このような操作にお
いて、エマルジョン混合物を形成し分離が困難な系に対
し、エマルジョンを速やかに破壊して相分離させる方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】通常、互いに混和しない液・液相あるい
は液・液・固相からなる混合物に攪拌などの機械的エネ
ルギーを加えると、一方の液が細かな液滴となり分散す
る。この際、しばしば分散した液滴が合一することなく
安定した乳濁状態を維持し、エマルジョン混合物を形成
することがある。このエマルジョン混合物は、加える機
械的エネルギーの程度、不純物の存在、両相の密度差や
界面張力などの物理的性質、さらには、液滴表面への固
体粒子の付着などの様々な要因により形成され、両相の
分離を困難にする。
【0003】従来、エマルジョンを破壊する方法として
は、電解質や溶剤などを添加する化学的方法、振動、濾
過、遠心分離機などの装置を使った機械的方法、高電圧
の電場をかけることによりエマルジョンを破壊する電気
的方法が提案されている。しかしながら、化学的方法は
コンタミの問題、機械的方法は装置が複雑であり付帯設
備の故障等の問題、また、電気的方法は爆発、火災など
の着火源となりやすい等の問題がある。
【0004】一方、エマルジョンを形成していない系の
相分離方法としては、装置として単純である静置分離等
の物理的な方法が有用である。例えば、環状オレフィン
を水と反応させて環状アルコールを製造する水和反応方
法として、固体酸触媒を用いる方法(特開昭60−10
4028号公報)が提案されている。
【0005】この方法においては、触媒として、微細化
された結晶性アルミノシリケートを用いる実施例が開示
されている。それによれば、攪拌機付オートクレーブ中
に水と触媒および環状オレフィンとしてシクロヘキセン
を仕込み、反応温度100〜170℃で反応時間15分
〜4時間反応を行った後、攪拌機を止めて静置し、環状
オレフィンとシクロヘキサノールの油相と触媒スラリー
が存在する水相とに分離し、油相より環状アルコールと
してシクロヘキサノールを取得する方法である。
【0006】この反応は、主に環状オレフィンを含む油
相と主に水を含む水相および水相に懸濁状態で存在する
触媒の固相といった三相から成る不均一系である。この
ような反応の場では、水が0.01〜10重量%溶解し
た油相と、油が0.01〜30重量%溶解した水相から
成る油・水が混合されている。反応終了後、反応物を静
置して油・水分離し、油相より環状アルコールを取得す
るのであるが、反応の場で油・水の混合があまり強い場
合や不純物の混入等により、油・水の分離時間が数十分
から数時間を必要とすることがあった。さらに、極端な
場合、エマルジョン化して油・水分離が不能となり、環
状アルコールを取得できないといった問題があった。こ
のような場合、エマルジョンを破壊し油・水分離する方
法として、遠心分離機でエマルジョンを破壊した後、油
相と触媒を含む水スラリー相に静置分離するという複雑
な方法をとっていた。
【0007】また、この方法は連続的にも行うことがで
きる。すなわち、攪拌槽等の反応器内に触媒を含む水お
よび原料環状オレフィンを連続的に供給し、混合攪拌を
行いながら混合液を攪拌槽から抜き出し、それを静置槽
で油・水分離した後、水相は循環ポンプ等により反応槽
に戻し、油相は反応物として取り出すのである。この
際、混合液が一旦エマルジョン化すると、油・水分離が
不能となり設備の緊急停止が必要であった。さらに、再
スタートのために反応器内のエマルジョン混合物を遠心
分離機で破壊した後、油・水分離するなどの煩雑な非定
常操作を行っていた。また、エマルジョンを破壊する方
法として、反応器と静置槽の間に遠心分離機を設置し、
混合液を常時遠心分離機で処理する方法もあるが、この
場合、遠心分離機が固形物の付着等による故障で停止し
たり、触媒が摩耗劣化するなどの問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の方法は、エマル
ジョンが発生するたびに、エマルジョン化した油・水混
合物を遠心分離機で破壊する必要があるため、二液相分
離操作が非常に複雑なものとなっており、まだ充分実用
的なエマルジョン破壊後、相分離する方法になっていな
かった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するため鋭意研究を重ねた結果、従来の方法に比
し装置が単純で安全性が高く、しかも、コンタミなどの
問題のない、エマルジョン破壊後、相分離する方法を発
明するに至った。すなわち、本発明は、液・液相あるい
は液・液・固相のエマルジョン混合物を加熱加圧状態か
ら落圧、フラッシュさせてエマルジョンを破壊した後、
静置することを特徴とするエマルジョン混合物の相分離
方法に関するものである。
【0010】エマルジョン混合物をフラッシュさせる方
法としては、例えば、回分式前記水和反応装置において
は、反応を終了し攪拌を停止した後、オートクレーブの
気相部に取り付けたバルブより気相部のガスを抜いて減
圧し、オートクレーブの内圧を2〜3kg/cm2 ゲージ程
度に落圧すると、エマルジョン混合物が沸騰する。この
際、沸騰という機械的エネルギーが加わることによっ
て、安定化した液滴膜が破壊され液滴の合一が起こり、
エマルジョン混合物が破壊する。その後、静置すること
によって、油・水の分離が容易に達成される。
【0011】この操作は、連続的にも行うことができ
る。すなわち、加熱加圧状態の攪拌槽等の反応器内に触
媒を含む水および原料環状オレフィンを供給し、混合攪
拌を行いながら混合液を攪拌槽から抜き出して落圧フラ
ッシュし、それを静置槽で液・液分離する。水相は、循
環ポンプ等により反応槽に戻すことができる。また、油
相は、反応物として取り出すものである。
【0012】ここで、加熱加圧状態とは、エマルジョン
混合物がフラッシュして沸騰現象が起こる温度、圧力で
ある。具体的には、フラッシュ前のエマルジョン混合物
の圧力は0.1〜100kg/cm2 ゲージが好ましく、さ
らに好ましくは0.1〜80kg/cm2 ゲージである。フ
ラッシュ前のエマルジョン混合物の温度は、フラッシュ
後の液温度より10〜200℃高いことが好ましく、フ
ラッシュ前後の圧力差は0.5〜50kg/cm2 が好まし
い。また、静置に必要な時間は、取り扱う系にもよる
が、数秒〜10分程度が好ましい。
【0013】また、本発明の方法は、加熱加圧状態にお
いてエマルジョン化した液・液もしくは液・液・固混合
物に限ったものではない。すなわち、いかなる状態でエ
マルジョン化した混合物においても、密閉した状態、好
ましくは窒素などの不活性ガスを当該内圧に対して0.
1〜100kg/cm2 程度加圧状態となるように封入した
状態で、当該温度に対して10〜200℃高温状態とな
るように加熱した後、落圧、フラッシュさせることによ
っても、その目的を達成せしめることが可能である。こ
こで、液・液・固相とは、液・液相であって、一方の液
に0.01〜40重量%の固体粉が含まれている状態を
いう。
【0014】
【実施例】以下、実施例および比較例によって、本発明
をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実
施例に限定されるものではない。 実施例1 本発明では、水に対してZSM−5ゼオライトを重量比
で0.30混ぜ合わせた触媒スラリーを用い、シクロヘ
キセンを水和反応し油相からシクロヘキサノールを取得
する場合について説明する。
【0015】まず、回分式反応装置における実施例につ
いて説明する。反応器は1リットルの攪拌機付きガラス
製オートクレーブで、上記触媒スラリーを480cc仕込
んだ後、装置内を密閉状態として直ちに窒素を封入し、
2.0kg/cm2 ゲージに加圧した。オートクレーブの内
温を120℃にした後、シクロヘキセン120ccを直ち
に圧入した。オートクレーブの内温120℃、内圧6.
0kg/cm2 ゲージ一定とし、沸騰しない状態で1000
回転/分の攪拌回転数で約1時間攪拌反応を行った後、
攪拌を停止したところ、触媒スラリー相と油相はエマル
ジョンを形成していた。そこで、直ちにオートクレーブ
に取り付けたバルブを操作して、3.0kg/cm2 ゲージ
一定となるように減圧沸騰させた。その結果、落圧した
瞬間からエマルジョンが破壊し、上層が油相、下層が触
媒スラリー相に液・液分離するのに必要な時間は40秒
であった。なお、落圧した瞬間からエマルジョンが破壊
し、液・液分離するまでの所要時間は、目視により計測
した。
【0016】実施例2〜3 実施例1と同様の方法で、落圧後の圧力のみをかえて、
落圧した瞬間から液・液分離するまでの所要時間を計測
した。その結果は表1のとおりであり、いずれの場合も
沸騰によりエマルジョンが破壊し、液・液分離を容易に
達成することができた。
【0017】
【表1】
【0018】実施例4 実施例1〜3と同様の水和反応を連続式反応装置で行
い、連続的にシクロヘキサノールを取得する場合につい
て説明する。使用した連続装置は図1に示すものであ
り、主に水和反応器および油相と触媒スラリー相から成
る反応液を沸騰させた後分離する静置分離槽から成って
いる。
【0019】水和反応器4は、4リットルのステンレス
製攪拌機6付オートクレーブで、その内部には温度計さ
や管、原料導入管3、反応液抜き出し管7、窒素加圧管
5、圧力計、および気液界面計が取り付けられている。
原料導入管には、シクロヘキセン供給管1と水供給管2
および触媒スラリー循環管17が取り付けられている。
また、反応器4には、電気ヒーター18を取付け反応温
度が一定になるようになっており、さらに、窒素で常時
加圧することによって、反応圧力を一定にすると共に、
反応液が内部で沸騰しないように工夫されている。
【0020】反応した液は油相と触媒スラリー相からな
る混合液であり、反応液抜き出し管を介して静置分離槽
9に導かれる。この反応液抜き出し管7には液面調整弁
8が取り付けられており、反応器に取り付けた気液界面
計と連動し、反応器内の気液界面が一定となるように反
応液が取り出される。また、この液面調整弁は減圧弁と
しての機能を持っており、反応液はここで落圧されフラ
ッシュを開始する。
【0021】次に、静置分離槽9はステンレス製の容器
であり、その内部は、エマルジョンを沸騰破壊する沸騰
部と油相・触媒スラリー相を分離する静置分離部からな
っている。この沸騰部と静置分離部は、波消し板11で
仕切られており、沸騰による乱れが静置分離部に及ばな
いようになっている。なお、波消し板の下部は、反応液
が沸騰部から静置分離部へ流れるように開口部を形成し
ており、10はフラッシュされた反応液の分散板であ
る。また、静置分離槽の気相部にはガス抜き管13が取
付けられており、反応液中に溶存している窒素ガスを系
外へ抜き出すようになっている。さらに、このガス抜き
管には圧力調整弁14が取り付けられており、静置分離
槽内部の圧力を一定にすることができる。また、このガ
ス抜き管には窒素ガスに同伴する油、水を取り除くため
に凝縮器12が取り付けられている。
【0022】また、静置分離部では比重の軽い油相が上
層に、下層に触媒スラリー相が形成されており、油相
は、静置分離部に取り付けられた気液界面計により、気
液界面が一定になるように油相抜き出し管15から系外
へ抜き出される。一方、触媒スラリー相は、静置分離部
に取り付けた油・触媒スラリー界面計により油・触媒ス
ラリー界面が一定となるように触媒スラリー循環管から
触媒スラリー循環ポンプ16を介して反応器へ循環され
る。
【0023】この反応器に、まずはじめにZSM−5ゼ
オライトを重量比で0.30混ぜた触媒スラリー2.7
kg仕込み、攪拌機を600回転/分の回転数で攪拌し、
電気ヒーターで昇温して反応器内温を120℃一定とな
るように制御した。フレッシュなシクロヘキセン液を徐
々に供給し、定常時約1.37kg/hとした。反応器内
圧は、6kg/cm2 ゲージとなるように窒素にて常時加圧
した。また、反応で消費する分に見合った水を水供給管
より常時供給すると共に、反応器内の油相の容量比が2
0容量%になるように、反応器内の気液界面の位置を制
御した。また、静置分離槽は、内圧が3.0kg/cm2
ージ一定となるように制御した。エマルジョンを形成し
た反応液を約6.9kg/hで反応液抜き出し管より抜き
出し、液面調整弁において落圧フラッシュさせながら静
置分離槽へ導いた。その後、静置分離槽の沸騰部におい
てエマルジョンは破壊し、静置分離部にて上層が油相、
下層が触媒スラリー相に完全に分離し、シクロヘキサノ
ールを含む油相の取り出しと触媒スラリーの循環使用を
連続的に行うことが可能であった。また、この時沸騰部
での滞留時間は約30秒、静置分離部でのそれは約5分
であった。
【0024】実施例5〜6 実施例4と同様の方法で、静置分離槽の内圧のみをかえ
て連続運転を実施した。静置分離槽の内圧は、2.0kg
/cm2 ゲージと0.01kg/cm2 ゲージの2条件につい
て行った。その結果、どちらの条件も沸騰によるエマル
ジョン破壊が起こり、連続運転を継続することが可能で
あった。
【0025】比較例1 実施例1〜3と同様の装置、液を使用して、実施例1〜
3と同様の攪拌条件で混合した後、攪拌を停止した。オ
ートクレーブの内温120℃、内圧6.0kg/cm2 ゲー
ジの状態で静置したところ、懸濁水溶液とシクロヘキセ
ンはエマルジョンを形成した。懸濁水溶液とシクロヘキ
センを液・液分離するのに10分〜数時間を必要とし
た。
【0026】比較例2 実施例4〜6と同様の方法で、静置分離槽の内圧を5.
6kg/cm2 ゲージとなるように制御して連続運転を行っ
た。この場合、反応器内で形成されたエマルジョンは、
静置分離槽の内圧が高く液の沸騰が起こらないために破
壊されなかった。したがって、油相と触媒スラリーを分
離することができず連続運転を継続できなかった。
【0027】
【発明の効果】本発明の方法は、互いに混和しない液・
液相あるいは液・液固相からなるエマルジョン混合物を
速やかに破壊することができるので、エマルジョン混合
物を二液相分離する場合において、その目的を容易に達
成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4〜6、比較例2で用いたシクロヘキサ
ノールを連続的に水和反応する場合の実施態様を示す説
明図である。
【符号の説明】
1 シクロヘキセン供給管 2 水供給管 3 原料導入管 4 水和反応器 5 窒素加圧管 6 攪拌機 7 反応液抜き出し管 8 液面調整弁 9 静置分離槽 10 分散板 11 波消し板 12 凝縮器 13 ガス抜き管 14 圧力調整弁 15 油相抜き出し管 16 触媒スラリー循環ポンプ 17 触媒スラリー循環管 18 電気ヒーター

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液・液相あるいは液・液・固相のエマル
    ジョン混合物を加熱加圧状態から落圧、フラッシュさせ
    てエマルジョンを破壊した後、静置することを特徴とす
    るエマルジョン混合物の相分離方法。
JP4776092A 1992-02-05 1992-02-05 エマルジョン混合物の相分離方法 Withdrawn JPH05212211A (ja)

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Legal Events

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Effective date: 19990518