JPH05204530A - 座標入力用振動伝達板 - Google Patents
座標入力用振動伝達板Info
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- JPH05204530A JPH05204530A JP1125492A JP1125492A JPH05204530A JP H05204530 A JPH05204530 A JP H05204530A JP 1125492 A JP1125492 A JP 1125492A JP 1125492 A JP1125492 A JP 1125492A JP H05204530 A JPH05204530 A JP H05204530A
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- vibration
- input
- layer
- transmission plate
- plate
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 振動入力装置の座標検知精度を向上させる。
【構成】 振動伝達板を入力層8Bと振動伝播層8Aの
2層構造となし、振動伝播層8Aにはガラス板を使用
し、入力層8Bには曲げ弾性率180.0〜720.0
kgf/mm2 の部材を用いる。
2層構造となし、振動伝播層8Aにはガラス板を使用
し、入力層8Bには曲げ弾性率180.0〜720.0
kgf/mm2 の部材を用いる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、座標入力装置、特に、
振動入力ペンから入力された弾性振動波を振動伝達板に
複数設けられたセンサにより検出し、前記振動入力ペン
から振動伝達板に入力された弾性振動の伝達時間に基づ
き振動入力ペンによる振動入力位置の座標を検出する装
置の座標入力用振動伝達板に関するものである。
振動入力ペンから入力された弾性振動波を振動伝達板に
複数設けられたセンサにより検出し、前記振動入力ペン
から振動伝達板に入力された弾性振動の伝達時間に基づ
き振動入力ペンによる振動入力位置の座標を検出する装
置の座標入力用振動伝達板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、手書きの文字、図形などをコ
ンピューターなどの情報処理装置に入力する座標入力装
置として種々の方式のものが提案されている。これら方
式の中で構造が簡単でしかも信頼性の高い方式として超
音波振動の伝達を利用して、その波の伝播遅延時間を測
定して座標を算出する方式が知られている。また振動伝
達板をプラスチック、ガラス等の透明材料で構成できる
ため、液晶表示器などの振動伝達板を重ねて配置するこ
とにより、あたかも紙に画像を書き込む感覚で使用でき
る操作感覚の高い情報入力装置を構成できる。この方式
で用いられる振動伝達板に要求されることは、座標入力
装置の使用者の種々の操作環境下において振動入力ペン
による超音波振動を板波としてセンサに伝達することで
ある。
ンピューターなどの情報処理装置に入力する座標入力装
置として種々の方式のものが提案されている。これら方
式の中で構造が簡単でしかも信頼性の高い方式として超
音波振動の伝達を利用して、その波の伝播遅延時間を測
定して座標を算出する方式が知られている。また振動伝
達板をプラスチック、ガラス等の透明材料で構成できる
ため、液晶表示器などの振動伝達板を重ねて配置するこ
とにより、あたかも紙に画像を書き込む感覚で使用でき
る操作感覚の高い情報入力装置を構成できる。この方式
で用いられる振動伝達板に要求されることは、座標入力
装置の使用者の種々の操作環境下において振動入力ペン
による超音波振動を板波としてセンサに伝達することで
ある。
【0003】振動伝達板の材質選択において透明度の高
さや振動の減衰係数が小さいという点では、ガラスの使
用が有効である。しかし振動伝達板をガラス板単体とす
ると、実際にこの座標入力装置の使用状況下では振動入
力ペンを傾斜した場合、評定位置の変動が起きてしま
う。この変動は振動入力ペンの傾斜に伴いガラスに入力
される振動の力ベクトルが変化するために、振動伝達板
を伝播する板波の位相が変動することに起因する。その
結果センサで検知する波の到達時間が変化し、検出位置
精度が低下してしまうという欠点が生じる。
さや振動の減衰係数が小さいという点では、ガラスの使
用が有効である。しかし振動伝達板をガラス板単体とす
ると、実際にこの座標入力装置の使用状況下では振動入
力ペンを傾斜した場合、評定位置の変動が起きてしま
う。この変動は振動入力ペンの傾斜に伴いガラスに入力
される振動の力ベクトルが変化するために、振動伝達板
を伝播する板波の位相が変動することに起因する。その
結果センサで検知する波の到達時間が変化し、検出位置
精度が低下してしまうという欠点が生じる。
【0004】この振動伝達板の性能を確認するために使
用したモデルの構成を図12に示す。このモデルは振動
伝達板をガラス板のみで構成した均一な振動伝達板のモ
デルである。図中、振動入力ペンによる入力位置から左
右等距離にセンサ6A,6Cが設けてあり、この2つの
センサと振動入力ペン3の入力位置は同一断面上にあ
る。図13に振動入力ペンが振動伝達板に対し垂直に接
触した場合と、30°垂直の状態から傾斜した場合とで
センサ6A,6Cにおいてそれぞれ受信する振動波の様
子を横軸に時間、縦軸に振幅をとり示す。
用したモデルの構成を図12に示す。このモデルは振動
伝達板をガラス板のみで構成した均一な振動伝達板のモ
デルである。図中、振動入力ペンによる入力位置から左
右等距離にセンサ6A,6Cが設けてあり、この2つの
センサと振動入力ペン3の入力位置は同一断面上にあ
る。図13に振動入力ペンが振動伝達板に対し垂直に接
触した場合と、30°垂直の状態から傾斜した場合とで
センサ6A,6Cにおいてそれぞれ受信する振動波の様
子を横軸に時間、縦軸に振幅をとり示す。
【0005】図中、点線にて示すのは振動入力ペンがθ
=90°で振動伝達板に接触した際のセンサ6A,6C
で受信した振動波であり、実線にて示すのはそれぞれ振
動入力ペンがθ=60°で振動伝達板に接触した際のセ
ンサ6A,6Cで受信した振動波である。
=90°で振動伝達板に接触した際のセンサ6A,6C
で受信した振動波であり、実線にて示すのはそれぞれ振
動入力ペンがθ=60°で振動伝達板に接触した際のセ
ンサ6A,6Cで受信した振動波である。
【0006】振動入力ペンを傾斜させることにより、セ
ンサ6A,6Cで受信する振動波がそれぞれ異なり、図
中の円内に示すように振動波が振幅値=0の直線と交わ
る点に時間的な遅れが生じてしまう。また、この時間遅
れ、すなわち振動波の位相遅れεは振動伝達板がガラス
に限らず均一材質の単一層で構成された場合に発生する
ことが判明している。この位相遅れεが大きくなると、
センサ6A,6Cで受信した振動波が信号波形検出回路
を経て、演算制御回路にて位置認識を行う際に位置検出
誤差を増大させる原因となる。
ンサ6A,6Cで受信する振動波がそれぞれ異なり、図
中の円内に示すように振動波が振幅値=0の直線と交わ
る点に時間的な遅れが生じてしまう。また、この時間遅
れ、すなわち振動波の位相遅れεは振動伝達板がガラス
に限らず均一材質の単一層で構成された場合に発生する
ことが判明している。この位相遅れεが大きくなると、
センサ6A,6Cで受信した振動波が信号波形検出回路
を経て、演算制御回路にて位置認識を行う際に位置検出
誤差を増大させる原因となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来この振動入力ペン
傾斜の影響を除去する目的にて、振動伝達板を多層構造
としたものが提案されているが振動伝達板の材質や多層
構造の構成までは深く考慮されておらず、検出位置精度
にはなお、改善の余地があった。
傾斜の影響を除去する目的にて、振動伝達板を多層構造
としたものが提案されているが振動伝達板の材質や多層
構造の構成までは深く考慮されておらず、検出位置精度
にはなお、改善の余地があった。
【0008】そこで、本発明は、上述の点に鑑みて、振
動入力位置の検出精度を向上させた座標入力用振動伝達
板を提供することを目的とする。
動入力位置の検出精度を向上させた座標入力用振動伝達
板を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、第1の発明は、振動入力装置に用いられ、振
動入力ペンの接触により入力された弾性波振動を、振動
伝達板に複数設けられたセンサにより検出して前記振動
入力ペンの当該振動伝達板上での接触位置の座標を検知
するための座標入力用振動伝達板において、前記振動伝
達板を振動入力側の入力層と超音波振動を伝播させる振
動伝播層との2層構造となし、前記振動伝播層側に前記
センサを取り付け、前記振動伝播層の材質にはガラスを
使用し前記入力層には曲げ弾性率が180.0〜72
0.0kgf/mm2 の範囲内である材質を使用したこ
とを特徴とする。
るために、第1の発明は、振動入力装置に用いられ、振
動入力ペンの接触により入力された弾性波振動を、振動
伝達板に複数設けられたセンサにより検出して前記振動
入力ペンの当該振動伝達板上での接触位置の座標を検知
するための座標入力用振動伝達板において、前記振動伝
達板を振動入力側の入力層と超音波振動を伝播させる振
動伝播層との2層構造となし、前記振動伝播層側に前記
センサを取り付け、前記振動伝播層の材質にはガラスを
使用し前記入力層には曲げ弾性率が180.0〜72
0.0kgf/mm2 の範囲内である材質を使用したこ
とを特徴とする。
【0010】第2の発明は、振動入力装置に用いられ、
振動入力ペンの接触により入力された弾性波振動を、振
動伝達板に複数設けられたセンサにより検出して前記振
動入力ペンの当該振動伝達板上での接触位置の座標を検
知するための座標入力用振動伝達板において、前記振動
伝達板を少なくとも3層以上で構成し、各層を未接着に
て当接するように重ねあわせて構成し、当該振動伝達板
の入力面に対して反対側の面に前記センサを取りつけた
ことを特徴とする。
振動入力ペンの接触により入力された弾性波振動を、振
動伝達板に複数設けられたセンサにより検出して前記振
動入力ペンの当該振動伝達板上での接触位置の座標を検
知するための座標入力用振動伝達板において、前記振動
伝達板を少なくとも3層以上で構成し、各層を未接着に
て当接するように重ねあわせて構成し、当該振動伝達板
の入力面に対して反対側の面に前記センサを取りつけた
ことを特徴とする。
【0011】
【作用】第1の発明では、振動伝播層にガラス板を用い
て、入力層の曲げ弾性率を180.0〜720.0kg
f/mm2 の範囲に限定することによって、振動入力ペ
ンの傾斜により生じる振動波の位相遅れが緩和され、以
って位置検出誤差が小さくなる。第2の発明では、(振
動伝播可能な)層を少なくとも、3層で構成し、各層を
未接着で当接させる構造とすることにより、直角方向の
振動成分が主に次の層に伝達され、振動入力ペンの傾斜
により生じる振動伝達形態の非対象性が緩和される。
て、入力層の曲げ弾性率を180.0〜720.0kg
f/mm2 の範囲に限定することによって、振動入力ペ
ンの傾斜により生じる振動波の位相遅れが緩和され、以
って位置検出誤差が小さくなる。第2の発明では、(振
動伝播可能な)層を少なくとも、3層で構成し、各層を
未接着で当接させる構造とすることにより、直角方向の
振動成分が主に次の層に伝達され、振動入力ペンの傾斜
により生じる振動伝達形態の非対象性が緩和される。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。
に説明する。
【0013】〈第1実施例〉本発明に関わる振動伝達板
を用いた座標入力装置の構成を図2に示す。図中、1は
装置全体を制御すると共に、座標位置を算出する演算制
御回路である。2は振動子駆動回路であって、振動入力
ペン3内のペン先を振動させるものである。8は本発明
に関わる振動伝達板であり、振動入力ペン3による座標
入力は、この振動伝達板8上をタッチすることで行な
う。つまり、図中、実線で示す符号Aの領域内を振動入
力ペン3で指定することで、振動入力ペン3で発生した
振動が振動伝達板8に入射され、入射されたこの振動を
計測、処理することで振動入力ペン3の位置座標を算出
することができるようにしたものである。
を用いた座標入力装置の構成を図2に示す。図中、1は
装置全体を制御すると共に、座標位置を算出する演算制
御回路である。2は振動子駆動回路であって、振動入力
ペン3内のペン先を振動させるものである。8は本発明
に関わる振動伝達板であり、振動入力ペン3による座標
入力は、この振動伝達板8上をタッチすることで行な
う。つまり、図中、実線で示す符号Aの領域内を振動入
力ペン3で指定することで、振動入力ペン3で発生した
振動が振動伝達板8に入射され、入射されたこの振動を
計測、処理することで振動入力ペン3の位置座標を算出
することができるようにしたものである。
【0014】伝播してきた波が振動伝達板8の端面で反
射し、その反射波が中央部に戻るのを防止するために、
振動伝達板8の外周には防振材7が設けられ、防振材7
の内側近傍に圧電素子等、機械的振動を電気信号に変換
する振動センサ6A〜6Dが固定されている。9は各振
動センサ6A〜6Dで振動を検出した信号を演算制御回
路1に出力する信号波形検出回路である。11は液晶表
示器等のドット単位の表示が可能なディスプレイであ
り、振動伝達板の背後に位置している。そしてディスプ
レイ駆動回路10の駆動により振動入力ペン3によりな
ぞられた位置にドットを表示し、それを振動伝達板8を
透かしてみることが可能になっている。
射し、その反射波が中央部に戻るのを防止するために、
振動伝達板8の外周には防振材7が設けられ、防振材7
の内側近傍に圧電素子等、機械的振動を電気信号に変換
する振動センサ6A〜6Dが固定されている。9は各振
動センサ6A〜6Dで振動を検出した信号を演算制御回
路1に出力する信号波形検出回路である。11は液晶表
示器等のドット単位の表示が可能なディスプレイであ
り、振動伝達板の背後に位置している。そしてディスプ
レイ駆動回路10の駆動により振動入力ペン3によりな
ぞられた位置にドットを表示し、それを振動伝達板8を
透かしてみることが可能になっている。
【0015】振動入力ペン3に内蔵された振動子4は振
動子駆動回路2によって駆動される。振動子4の駆動信
号は演算制御回路1からパルス信号として供給され、振
動子駆動回路2によって所定のゲインで増幅された後、
振動子4に印加される。電気的な駆動信号は振動4によ
って機械的な振動に変換され、ペン先5を介して振動伝
達板8に伝達される。図1に本発明を適用した振動伝達
板の構造を示す。
動子駆動回路2によって駆動される。振動子4の駆動信
号は演算制御回路1からパルス信号として供給され、振
動子駆動回路2によって所定のゲインで増幅された後、
振動子4に印加される。電気的な駆動信号は振動4によ
って機械的な振動に変換され、ペン先5を介して振動伝
達板8に伝達される。図1に本発明を適用した振動伝達
板の構造を示す。
【0016】図1において、振動伝達板は入力層8Bと
振動伝播層8Aの2層にて構成される。また入力層にお
ける板長手方向の振動成分を振動伝播層に伝えにくくす
るため、各層を未接着にて構成する。これは振動入力ペ
ンの傾斜の影響が振動伝播層内に伝わることを防ぐ効果
を大きくするためである。振動子4によって発生された
機械振動は振動入力ペン3により入力層8Bに対して入
力され、振動波は入力層8Bを介して振動伝播層8Aへ
と伝播する。そして振動伝播層8Aに取り付けられたセ
ンサ6A〜6Dにて振動波が検出される。また、図1に
おいて示す振動入力ペン3と振動伝達板8とのなす接触
角θは、本座標入力装置の使用にあたり予想される人為
的な想定接触角であり、その範囲を60°〜90°とし
た。つまり振動伝達板に対し振動入力ペンが垂直にあた
る状態から最大30°傾斜した際においても、センサ6
A〜6Dにて受信する振動波が信号波形検出回路9を介
して演算制御回路1に至る際、その傾斜の影響を除去す
ることが可能である。
振動伝播層8Aの2層にて構成される。また入力層にお
ける板長手方向の振動成分を振動伝播層に伝えにくくす
るため、各層を未接着にて構成する。これは振動入力ペ
ンの傾斜の影響が振動伝播層内に伝わることを防ぐ効果
を大きくするためである。振動子4によって発生された
機械振動は振動入力ペン3により入力層8Bに対して入
力され、振動波は入力層8Bを介して振動伝播層8Aへ
と伝播する。そして振動伝播層8Aに取り付けられたセ
ンサ6A〜6Dにて振動波が検出される。また、図1に
おいて示す振動入力ペン3と振動伝達板8とのなす接触
角θは、本座標入力装置の使用にあたり予想される人為
的な想定接触角であり、その範囲を60°〜90°とし
た。つまり振動伝達板に対し振動入力ペンが垂直にあた
る状態から最大30°傾斜した際においても、センサ6
A〜6Dにて受信する振動波が信号波形検出回路9を介
して演算制御回路1に至る際、その傾斜の影響を除去す
ることが可能である。
【0017】また本実施例について振動伝達板の具体的
な構成には入力層に曲げ弾性率が300kgf/mm2
であるポリカーボネイトのシートを使用し、振動伝播層
にはガラス板を使用している。表1にはその材質の物性
を示す。
な構成には入力層に曲げ弾性率が300kgf/mm2
であるポリカーボネイトのシートを使用し、振動伝播層
にはガラス板を使用している。表1にはその材質の物性
を示す。
【0018】
【表1】
【0019】また、従来例の説明に用いたモデルと対比
させるために、本実施例において、振動入力ペンをθ=
60°で接触させた場合のセンサ6A,6Cで受信した
振動波を図3に示す。図中、円内にて示す位相遅れεの
値はほぼ“0”に近い値となり、この振動伝達板が超音
波波動伝達を利用した座標入力装置に際して、位置の検
出誤差を小さくするという目的にて有効であることがわ
かる。
させるために、本実施例において、振動入力ペンをθ=
60°で接触させた場合のセンサ6A,6Cで受信した
振動波を図3に示す。図中、円内にて示す位相遅れεの
値はほぼ“0”に近い値となり、この振動伝達板が超音
波波動伝達を利用した座標入力装置に際して、位置の検
出誤差を小さくするという目的にて有効であることがわ
かる。
【0020】本実施例の振動伝達板による位相遅れ減少
の効果をより明確に説明するため、図4,図5に振動伝
達板をガラス板単体で構成した従来例の振動の様子を示
した。図中の矢印は各振動伝達板の質点における変位ベ
クトルを表す。また、図6,図7には図1の振動伝達板
を用いた場合の振動の様子を示した。
の効果をより明確に説明するため、図4,図5に振動伝
達板をガラス板単体で構成した従来例の振動の様子を示
した。図中の矢印は各振動伝達板の質点における変位ベ
クトルを表す。また、図6,図7には図1の振動伝達板
を用いた場合の振動の様子を示した。
【0021】図5のガラス板単体(従来例)の場合、振
動入力ペンをθ=60°で接触させると振動伝達板内の
振動形態は非対称性を持ち、センサで検知する波の到達
時間が変化してしまう。それに対し図7の本実施例の振
動伝達板では、θ=60°で接触させた場合は振動形態
が入力層においては振動入力ペン傾斜に起因する左右非
対称性を示しているのに対し、振動伝播層ではほぼ対称
となっていることがわかる。つまりこの入力層における
振動形態の非対称性の緩和が、位相遅れεの値を小さく
しており、その結果として、算出される座標値の精度が
向上するわけである。
動入力ペンをθ=60°で接触させると振動伝達板内の
振動形態は非対称性を持ち、センサで検知する波の到達
時間が変化してしまう。それに対し図7の本実施例の振
動伝達板では、θ=60°で接触させた場合は振動形態
が入力層においては振動入力ペン傾斜に起因する左右非
対称性を示しているのに対し、振動伝播層ではほぼ対称
となっていることがわかる。つまりこの入力層における
振動形態の非対称性の緩和が、位相遅れεの値を小さく
しており、その結果として、算出される座標値の精度が
向上するわけである。
【0022】ここで本実施例の振動伝達板の入力層の材
質によって位相遅れεがどう変化するかを説明するた
め、図8に位相遅れに対する入力層の曲げ弾性率の影響
を示す。図8において、横軸は入力層の曲げ弾性率をと
っている。縦軸には位相遅れεの値を本座標入力装置に
おける精度(分解能)0.1mmを達成しうる位相遅れ
εc の値で除して正規化した値をとっている。
質によって位相遅れεがどう変化するかを説明するた
め、図8に位相遅れに対する入力層の曲げ弾性率の影響
を示す。図8において、横軸は入力層の曲げ弾性率をと
っている。縦軸には位相遅れεの値を本座標入力装置に
おける精度(分解能)0.1mmを達成しうる位相遅れ
εc の値で除して正規化した値をとっている。
【0023】図8から位相遅れに対する入力層の曲げ弾
性率の効果は、図中一点鎖線にて示すしきい値(ε/ε
c =2.7)付近で、大きくその傾向が変化することが
わかる。つまり振動入力ペンの傾斜が30°以内である
際に、座標入力装置において振動入力ペンの傾斜の影響
を除去するにあたり効果的な入力層の曲げ弾性率の範囲
を示すものであり、180.0〜720.0kgf/m
m2 の範囲であった。図8を用いれば、座標入力装置の
目標精度に応じて入力層の材質を限定することが可能で
ある。例えばε/εc の値が1.0より小さい場合、座
標入力装置の分解能が0.1mm以下になることを示
し、その際の入力層の曲げ弾性率の範囲は、270.0
〜543.0kgf/mm2 である。
性率の効果は、図中一点鎖線にて示すしきい値(ε/ε
c =2.7)付近で、大きくその傾向が変化することが
わかる。つまり振動入力ペンの傾斜が30°以内である
際に、座標入力装置において振動入力ペンの傾斜の影響
を除去するにあたり効果的な入力層の曲げ弾性率の範囲
を示すものであり、180.0〜720.0kgf/m
m2 の範囲であった。図8を用いれば、座標入力装置の
目標精度に応じて入力層の材質を限定することが可能で
ある。例えばε/εc の値が1.0より小さい場合、座
標入力装置の分解能が0.1mm以下になることを示
し、その際の入力層の曲げ弾性率の範囲は、270.0
〜543.0kgf/mm2 である。
【0024】なお、入力層に使用する材質は本実施例で
述べたポリカーボネイトの他に以下に示すプラスチック
の使用が可能である。
述べたポリカーボネイトの他に以下に示すプラスチック
の使用が可能である。
【0025】ポリエチレン ポリプロピレン ポリエーテルケトン ポリブチレンテレフタレート ポリサルホン 〈第2実施例〉第2実施例の振動伝達板の構造を図9に
示す。
示す。
【0026】本実施例では、厚さ0.7mmのガラス板
3層を重ね合わせて振動伝達板を構成してある。ここで
各層をそれぞれ入力層20A、中間層20B、振動伝播
層20Cと呼び、センサ6A〜6Dは振動伝播層に取り
付けてある。また各層間において、板長手方向の振動成
分を伝えにくくするため、各層を未接着にて当接するよ
うに構成する。これは振動入力ペンの傾斜の影響が振動
伝播層内に伝わることを防ぐ効果を大きくするためであ
る。振動子4によって発生された機械振動は振動入力ペ
ン3により入力層20Aに対して入力され、振動波は入
力層20Aを介して中間層20B、振動伝播層20Cへ
と伝播する。そして振動伝播層20Cに取り付けられた
センサ6A〜6Dにて振動波が検出される。また図9中
に示す振動入力ペン3と振動伝達板20とのなす接触角
θは、本座標入力装置の使用にあたり予想される人為的
な想定接触角であり、その範囲を60°〜90°とし
た。つまり振動伝達板に対し振動入力ペンが垂直にあた
る状態から最大30°傾斜した際においても、センサ6
A〜6Dにて受信する振動波が信号波形検出回路9を介
して演算制御回路1に至る際、その傾斜の影響を除去す
ることが可能である。また本実施例に用いたガラスの具
体的な材質特性を表2に示す。
3層を重ね合わせて振動伝達板を構成してある。ここで
各層をそれぞれ入力層20A、中間層20B、振動伝播
層20Cと呼び、センサ6A〜6Dは振動伝播層に取り
付けてある。また各層間において、板長手方向の振動成
分を伝えにくくするため、各層を未接着にて当接するよ
うに構成する。これは振動入力ペンの傾斜の影響が振動
伝播層内に伝わることを防ぐ効果を大きくするためであ
る。振動子4によって発生された機械振動は振動入力ペ
ン3により入力層20Aに対して入力され、振動波は入
力層20Aを介して中間層20B、振動伝播層20Cへ
と伝播する。そして振動伝播層20Cに取り付けられた
センサ6A〜6Dにて振動波が検出される。また図9中
に示す振動入力ペン3と振動伝達板20とのなす接触角
θは、本座標入力装置の使用にあたり予想される人為的
な想定接触角であり、その範囲を60°〜90°とし
た。つまり振動伝達板に対し振動入力ペンが垂直にあた
る状態から最大30°傾斜した際においても、センサ6
A〜6Dにて受信する振動波が信号波形検出回路9を介
して演算制御回路1に至る際、その傾斜の影響を除去す
ることが可能である。また本実施例に用いたガラスの具
体的な材質特性を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】振動入力ペンにより振動伝達板に振動を与
えた場合の振動伝達板断面の振動の様子を図11,図1
2に示す。
えた場合の振動伝達板断面の振動の様子を図11,図1
2に示す。
【0029】図11は振動入力ペンの傾斜角θ=90°
とした場合であり、図12は振動入力ペンの傾斜角=6
0°とした場合である。
とした場合であり、図12は振動入力ペンの傾斜角=6
0°とした場合である。
【0030】振動入力ペンをθ=90°で接触させると
振動伝達板内の振動形態は左右対称となる。
振動伝達板内の振動形態は左右対称となる。
【0031】振動入力ペンをθ=60°で接触させた場
合は振動形態が入力層、中間層においては振動入力ペン
傾斜に起因する左右非対称性を示しているのに対し、振
動伝播層ではほぼ対称となり、θ=90°で接触させた
場合とほぼ同一になっていることがわかる。
合は振動形態が入力層、中間層においては振動入力ペン
傾斜に起因する左右非対称性を示しているのに対し、振
動伝播層ではほぼ対称となり、θ=90°で接触させた
場合とほぼ同一になっていることがわかる。
【0032】この入力層における振動形態の非対称性の
緩和が、位相遅れεの値を小さくし、その結果として、
算出される座標値の精度が向上するわけである。
緩和が、位相遅れεの値を小さくし、その結果として、
算出される座標値の精度が向上するわけである。
【0033】
【発明の効果】以上から説明したように、第1の発明に
よれば、振動伝達板の構成を入力層と振動伝播層の2層
構造とし、前記振動伝播層側に前記センサを取り付け、
入力層の材質をその曲げ弾性率=180.0〜720.
0kgf/mm2 の範囲内に限定すると、振動入力ペン
の入力時における傾斜の影響が緩和された振動が振動伝
播層に伝達する。その結果実使用状態における入力環境
の変化に対しても、算出される座標値の精度の低下を招
くことがなく信頼性のある座標入力装置を提供すること
が可能となる優れた効果がある。
よれば、振動伝達板の構成を入力層と振動伝播層の2層
構造とし、前記振動伝播層側に前記センサを取り付け、
入力層の材質をその曲げ弾性率=180.0〜720.
0kgf/mm2 の範囲内に限定すると、振動入力ペン
の入力時における傾斜の影響が緩和された振動が振動伝
播層に伝達する。その結果実使用状態における入力環境
の変化に対しても、算出される座標値の精度の低下を招
くことがなく信頼性のある座標入力装置を提供すること
が可能となる優れた効果がある。
【0034】また、第2の発明によれば、振動伝達板を
少なくとも3層以上の振動伝播層を未接着にて重ね合わ
せて当接するように構成し、前記振動伝達板の入力面に
対し反対側の面に前記センサを取り付けることで、振動
入力ペンの入力時における傾斜の影響が振動伝播層の当
接面で緩和され、次の振動伝播層に直角方向成分の振動
が伝達する。その結果、実使用状態における入力環境の
変化に対しても、算出される座標値の精度の低下を招く
ことがなく信頼性のある座標入力装置を提供することが
可能となる優れた効果がある。
少なくとも3層以上の振動伝播層を未接着にて重ね合わ
せて当接するように構成し、前記振動伝達板の入力面に
対し反対側の面に前記センサを取り付けることで、振動
入力ペンの入力時における傾斜の影響が振動伝播層の当
接面で緩和され、次の振動伝播層に直角方向成分の振動
が伝達する。その結果、実使用状態における入力環境の
変化に対しても、算出される座標値の精度の低下を招く
ことがなく信頼性のある座標入力装置を提供することが
可能となる優れた効果がある。
【図1】第1実施例の構造を示す斜視図である。
【図2】第1実施例における座標入力装置の回路構成を
示すブロック図である。
示すブロック図である。
【図3】第1実施例の振動伝達状態を示す特性図であ
る。
る。
【図4】従来例の振動伝達状態を示す断面図である。
【図5】従来例の振動伝達状態を示す断面図である。
【図6】第1実施例の振動伝達状態を示す断面図であ
る。
る。
【図7】第1実施例の振動伝達状態を示す断面図であ
る。
る。
【図8】第1実施例の入力層の曲げ弾性率の影響を示す
特性図である。
特性図である。
【図9】第2実施例の構造を示す斜視図である。
【図10】第2実施例の振動伝達状態を示す断面図であ
る。
る。
【図11】第2実施例の振動伝達状態を示す断面図であ
る。
る。
【図12】従来例のモデルの構造を示す断面図である。
【図13】従来例の振動伝達状態を示す特性図である。
1 演算制御回路 2 振動子駆動回路 3 振動入力ペン 4 振動子 5 ペン先 6A〜6D センサ 7 防振材 8 振動伝達板 8A 振動伝播層 8B 入力層 9 信号検出回路 20A 入力層 20B 中間層 20C 振動伝播層
Claims (2)
- 【請求項1】 振動入力装置に用いられ、振動入力ペン
の接触により入力された弾性波振動を、振動伝達板に複
数設けられたセンサにより検出して前記振動入力ペンの
当該振動伝達板上での接触位置の座標を検知するための
座標入力用振動伝達板において、 前記振動伝達板を振動入力側の入力層と超音波振動を伝
播させる振動伝播層との2層構造となし、前記振動伝播
層側に前記センサを取り付け、前記振動伝播層の材質に
はガラスを使用し前記入力層には曲げ弾性率が180.
0〜720.0kgf/mm2 の範囲内である材質を使
用したことを特徴とする座標入力用振動伝達板。 - 【請求項2】 振動入力装置に用いられ、振動入力ペン
の接触により入力された弾性波振動を、振動伝達板に複
数設けられたセンサにより検出して前記振動入力ペンの
当該振動伝達板上での接触位置の座標を検知するための
座標入力用振動伝達板において、 前記振動伝達板を少なくとも3層以上で構成し、各層を
未接着にて当接するように重ねあわせて構成し、当該振
動伝達板の入力面に対して反対側の面に前記センサを取
りつけたことを特徴とする座標入力用振動伝達板。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1125492A JPH05204530A (ja) | 1992-01-24 | 1992-01-24 | 座標入力用振動伝達板 |
US08/005,213 US5491305A (en) | 1992-01-24 | 1993-01-15 | Vibration transmission plate for inputting coordinates |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1125492A JPH05204530A (ja) | 1992-01-24 | 1992-01-24 | 座標入力用振動伝達板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05204530A true JPH05204530A (ja) | 1993-08-13 |
Family
ID=11772805
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1125492A Pending JPH05204530A (ja) | 1992-01-24 | 1992-01-24 | 座標入力用振動伝達板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05204530A (ja) |
-
1992
- 1992-01-24 JP JP1125492A patent/JPH05204530A/ja active Pending
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