JPH052034A - 屋外用光センサー装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 軽量で、取付けが簡単であり、測定精度が良
く、任意の径のケーブルにも対応でき、かつ耐候性、耐
衝撃性に優れた屋外用光センサーを、簡単な工程で組立
てて提供する。 【構成】 電圧センサーおよび／または磁界センサーを
収納するモールド碍管と導体を挿通するモールドコアか
らなる屋外用光センサー装置であり、該モールドコアを
分割可能とし、かつモールド部材をポリヒドロキシブタ
ジエン重合体の水素添加物に紫外線吸収剤および耐光安
定剤の少なくとも１種と酸化防止剤とを配合してなる主
剤、ならびに硬化剤としての分子内に２個以上のイソシ
アネート基を有する多官能イソシアネート化合物からな
る低温硬化性の樹脂で、センサーを一体的に注型硬化し
て成形する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば送電線ケーブル
等導体の電圧および電流を感知するセンサーの信号を、
光により伝達する屋外用光センサー装置に関するもので
ある。さらに詳しくは本発明は、導体を挿通するモール
ドコア部を分割可能とし、モールドコアおよびモールド
碍管部を、軽量でかつ耐候性、耐衝撃性にすぐれた硬化
性樹脂で構成し、センサー部をこれに一体モールドした
屋外用光センサー装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、送電や配電の導体における電圧、
電流を検出する装置として、導体を支持する碍子内に電
圧センサーおよび電流センサーを設け、この信号を光フ
ァイバーにより外部に取り出すことにより、電磁誘導を
受けずに、ＳＮ比および精度の高い測定ができる屋外セ
ンサーが知られている(特開昭61-214308号公報)。また
これらのセンサーにおいてセンサー部を保護するため、
導体の挿通部を一体化したモールドコア方式のものも知
られている（特開昭59-9565号公報）。しかしながら、
これらのモールドに使用されている樹脂はシリコンゴ
ム、ＥＰＴゴム等であり、屋外用としては耐候性に劣る
のみならず、粘度が高いので、注入硬化時に鉄芯の相対
的位置が変化したりするきらいがあった。またポリヒド
ロキシブタジエンの水素添加物を屋外電気装置に使用し
た例はあるが（特開昭60-127606号公報）、屋外用光セ
ンサーに応用した例は未だかってない。

【０００３】従来の屋外用センサーの１例を図２に示
す。この屋外用センサーは、モールドコア部(11)および
碍管部(12)からなり、モールドコア部(11)は、ＥＰＴゴ
ム等のモールドコア部材(11a) 、ギャップ付鉄心(11b)
、センター穴(11e) ギャップ付鉄心のギャップに設け
られた磁界センサー(13)の一部により構成され、センタ
ー穴(11e)には導体が挿通されている。また、磁界セン
サー(13)、分極電極(14)、電圧センサー(16)、分極電極
間の絶縁カラー(17)等がこれに付随し、さらにこれらに
光ファイバー(18)、(19)が接続され、これらはモールド
コア(11)とセラミック碍管(12)により保護されている。
モールドコア部(11)とセラミツク碍管(12)とは、固定用
ボルト(20)により固定されている。この屋外用センサー
装置においては、モールドコア部(11)のセンター穴(11
e)内に電線ケーブルを設置し、この電線ケーブルに印加
される電圧により、分極電極(14)に電圧が生じ、電圧セ
ンサー(16)により検出する。さらに電線ケーブルに流れ
る電流により、モールドコア部(11)内のギャップ付鉄心
(11b) に磁界が生じ、このギャツプ付鉄心のギャップに
設けられた磁界センサー(13)により電流を検出する。こ
れらの電圧センサー(16)および磁界センサー(13)により
検出された信号は、光ファイバーにより外部に導かれ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の屋外用センサー
装置は以上のように構成されているので、セラミック碍
管の重量が重く、装置の取り付け、固定が大掛かりなも
のとならざるを得なかった。このような状況において
は、ボルト１本でも軽量化、省略化できれば大きなメリ
ットになり、もしこれを注入成形可能な硬化性樹脂で一
体モールドすることができれば、組立て工数も減少する
ことができる。しかしながら、これをより軽量な合成樹
脂で置き換えようとしても、屋外の直射日光や激しい温
度差、さらに汚染性の空気が存在する場合等を想定する
と、おのずからその選択は厳しいものとなる。さらに樹
脂として粘度の高いＥＰＴゴム等を使用すると、鉄芯の
相対的位置が変化したりして、測定精度を不安定にする
などの問題があった。さらにコア部分に導体を取り付け
ようとする場合、従来のように単に挿通孔が開いている
だけでは導体を切断する必要があった。屋外用光センサ
ー装置はまた、電線ケーブルの径に応じたセンター穴を
有するモールドコアが作製されているが、異なる径の電
線ケーブルの測定を行う場合においては、電線ケーブル
に絶縁テープ等を巻く必要があり、作業が煩雑となりそ
れに伴うコストの上昇および絶縁テープ等による防水性
能の低下という問題もあった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は上記のような課
題を解消するためになされたものであり、電線ケーブル
等への取付が簡単にでき、軽量であるために装置自体の
固定も不必要であり、任意の径の電線ケーブルに対応で
き、ケーブルのどの位置でも、ケーブルを切断すること
なく設置でき、中づりの状態でも使用でき、かつ耐衝撃
性および耐候性に優れた屋外用光センサー装置を提供し
ようとするものである。すなわち本発明は、その一面に
おいて、電圧センサーおよび／または磁界センサーを収
納するモールド碍管と導体を挿通するモールドコアから
なる屋外用光センサー装置において、該モールドコアが
分割可能であり、かつモールド部材がポリヒドロキシブ
タジエン重合体の水素添加物に紫外線吸収剤および耐光
安定剤の少なくとも１種と酸化防止剤とを配合してなる
主剤、ならびに硬化剤としての分子内に２個以上のイソ
シアネート基を有する多官能イソシアネート化合物から
なる硬化性樹脂により、該電圧センサーおよび／または
磁界センサーを一体モールドした、屋外用光センサー装
置を提供するものである。

【０００６】本発明においてモールド形成用の樹脂とし
ては、ポリヒドロキシブタジエン重合体の水素添加物を
使用し、これに紫外線吸収剤および耐光安定剤の少なく
とも１種を配合する。ポリヒドロキシブタジエン重合体
の水素添加物としては、例えばポリテーテル（商品名、
三菱化成株式会社製）等がある。紫外線吸収剤または耐
光安定剤としては、光分解による樹脂組成物の劣化を防
止するためのものである。紫外線吸収剤としては、ベン
ゾトリアゾール系化合物が好適に使用でき、例えば２-
(２'ヒドロキシ-４'-ｎ-オクトキシフェニル）ベンゾト
リアゾール、２-(２'ヒドロキシ-５'-メチルフェニル）
ベンゾトリアゾール、２-(２'ヒドロキシ-３'-ジターシ
ャリーブチルフェニル）-５-クロロベンゾトリアゾール
等が含まれる。耐光安定剤としては、ヒンダードアミン
系化合物が好適に使用でき、例えばサノール LS-770
（商品名、三共株式会社製）、サノール LS-744（商品
名、三共株式会社製）等が含まれる。酸化防止剤はフェ
ノール系化合物が好適に使用でき、例えばオクタデシル
３-（３,５-ジターシャリーブチル-４-ヒドロキシフェ
ニル）プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラ
キス〔３-（３,５-ジターシャリーブチル-４-ヒドロキ
シフェニル）プロピオネート〕、２,２'-チオジエチル
ビスー〔３-（３,５-ジターシャリーブチル-４-ヒドロ
キシフェニル）プロピオネート〕、ｎ,ｎ'-ヘキサメチ
レンビス（３,５-ジターシャリーブチル-４-ヒドロシン
ナムアミド）、１,３,５-トリス（４-タシャリーブチル
-３-ヒドロキシ-２,６-ジメチルベンゾイル）イソシア
ヌル酸等が含まれる。本発明においてはさらに硬化剤と
して、分子内に２個以上のイソシアネート基を有する他
官能イソシアネート化合物を配合する。このような他官
能イソシアネート化合物としては、ジフェニルメタンジ
イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等
が、好適に使用される。

【０００７】

【作用】本発明の屋外用光センサー装置は、軽量で分割
型で、形状も任意のものが製作可能であるため、電線ケ
ーブル等の着脱も容易であり、任意の径の電線ケーブル
も一々穴の径を変更することなく適用可能である。さら
にモールド部材として、容易に注型可能な低粘度を有す
るポリヒドロキシブタジエン重合体の水素添加物組成物
を用いて一体的に製作されるため、電線ケーブル、ギャ
ップ付鉄心および磁界センサー等の形状や相対的位置の
変化がなく、測定精度も優れた屋外用センサー装置を製
作することができる。またケーブルのどの位置でも、ケ
ーブルを切断することなく設置でき、中づりの状態でも
使用できる。またこの樹脂組成物には、紫外線吸収剤ま
たは耐光安定剤が添加されているので、極めて耐候性に
優れ、長期間の屋外での使用によっても、機械的特性、
電気的特性ともに劣化が少ない。以下、本発明を実施例
によりさらに詳しく説明する。

【０００８】

【実施例】図１は、本実施例による分割型モールドコア
を備えた屋外用センサー装置の垂直断面図である。図に
おいて、(1)は分割モールドコア全体を示し、(1a)はモ
ールドコア部材、(1b)は分割されたギャップ付鉄心、(1
c)は上部モールドコアと下部のモールド碍管を連繋する
止め金、(1d)は着脱金具、(1e)は電線ケーブル用のセン
ター穴、(2)はモールド碍管、(3)は磁界センサー、(4)
は分極電極、(5)は取付板、(6)は電圧センサー、(7)は
絶縁カラー、(8)および(9)は光フアイバーである。分割
型モールドコアの上部金型および下部金型を用意し、分
割されたギャップ付鉄心をセットし、センター穴用中子
および磁界センサー並びに分極電極等用の中子をセット
し、それぞれの金型へモールド部材を注入成形後、磁界
センサー、分極電極、絶縁カラー、取付板、電圧センサ
ーおよび光ファイバーを取付け、さらに止め金および着
脱金具により、上部分割モールドコアと下部分割モール
ドコアをセットした。使用したモールド部材としては、
ポリヒドロキシブタジエン重合体の水素添加物に紫外線
吸収剤、耐光安定剤を配合し、さらに硬化剤としての分
子内に２個以上のイソシアネート基を有する多官能イソ
シアネート化合物からなる硬化性液状ゴム組成物を使用
した。この液状ゴムは約８０℃において1000〜3000cpの
低粘度の液体となるものであり、その使用可能時間は約
６０分であった。使用した樹脂は低粘度の液体であるた
め、注型時の圧力が非常に小さく、セットした鉄心の位
置の移動もなく碍管ひだ形状も自由に設計できた。また
低加圧でゲル化／硬化できるため、簡易金型での成形が
可能であった。さらに、磁界センサーの耐熱温度(１０
０℃)以下の約８０℃で硬化できるので、モールドコ
ア、磁界センサー、碍管の一体モールドが可能になる。
このようなモールドコアを使用することにより、分極電
極と電圧センサーを組込むだけで、屋外用光センサーの
組立てが完了する。電線ケーブルへの取付けは、着脱金
具(1d)をはずし、蝶番式止め金(1c)により分割型モール
ドコア(1)を開き、センター穴(1e)に電線ケーブルをセ
ットし、分割型モールドコアを閉じ、着脱金具をセット
することにより測定準備が完了する。

【０００９】

【発明の効果】以上のように、本発明によればモールド
コアを分割型とし、モールド部材を小さな圧力で注入で
きる低粘度ポリヒドロキシブタジエン重合体の水素添加
物の組成物を使用して一体モールドするので、軽量で取
付が非常に簡単であり且つ測定精度が良く、任意の径の
電線ケーブル等に対応できる屋外用光センサー装置が得
られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例の屋外用光センサー装置の断面
を示す図である。

【図２】従来品の例の断面を示す図である。

【符号の説明】

１：モールドコア ２：モールド碍管 ３：磁界センサー ４：分極電極 ５：取付け板 ６：電圧センサー ７：絶縁カラー ８：光ファイバー ９：光ファイバー １１：モールドコア １２：碍管 １３：磁界センサー １６：電圧センサー １８：光ファイバー １９：光ファイバー ２０：固定用ボルト

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】電圧センサーおよび／または磁界センサー
   を収納するモールド碍管と導体を挿通するモールドコア
   からなる屋外用光センサー装置において、該モールドコ
   アが分割可能であり、かつモールド部材がポリヒドロキ
   シブタジエン重合体の水素添加物に紫外線吸収剤および
   耐光安定剤の少なくとも１種と酸化防止剤とを配合して
   なる主剤、ならびに硬化剤としての分子内に２個以上の
   イソシアネート基を有する多官能イソシアネート化合物
   からなる硬化性樹脂により、該電圧センサーおよび／ま
   たは磁界センサーを一体モールドしたものであることを
   特徴とする、屋外用光センサー装置。