JPH05200277A - ペロブスカイト皮膜の作製方法 - Google Patents

ペロブスカイト皮膜の作製方法

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JPH05200277A
JPH05200277A JP4241138A JP24113892A JPH05200277A JP H05200277 A JPH05200277 A JP H05200277A JP 4241138 A JP4241138 A JP 4241138A JP 24113892 A JP24113892 A JP 24113892A JP H05200277 A JPH05200277 A JP H05200277A
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coating
film
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substrate
lead
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JP4241138A
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E Bernacki Steven
スティーヴン・イー・バーナッキ
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Raytheon Co
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Raytheon Co
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ABOの一般化学式を有するペロブスカイ
ト皮膜を基板上に作製する方法を提供する。 【構成】 本発明の方法は、アルコキシドと有機塩を使
用してAとBを含んだ組成のゾル−ゲル溶液を調製する
工程、及びこのゾル−ゲル溶液を基板上に薄膜として付
着させる工程を含む。この皮膜は、エキシマーレーザー
からのエネルギーで照射することによってペロブスカイ
ト皮膜に転化される。このような集成体を使用すること
によって、極めて速やかな結晶化が起こる。これによ
り、基板の加熱及び金属導体の酸化が少なくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は一般には、誘電体、特に
強誘電体の処理加工に関する。さらに詳細には、本発明
は、半導体用として有用な特性を有するこうした物質の
処理加工に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】当業界
ではよく知られていることであるが、最新のデジタルコ
ンピューターにおいて最も広く使用されている回路の1
つは半導体メモリー回路である。半導体メモリー回路に
は一般に、ランダムアクセスメモリー(RAM)、電気
的に変更可能な読み取り専用メモリー(EAROM)、
電気的にプログラム可能な読み取り専用メモリー(EP
ROM)、及び読み取り専用メモリー(ROM)等のい
くつかのタイプがある。一般にこのような半導体メモリ
ーは、トランジスター、ダイオード、コンデンサー、及
びこれらの類似物を使用して製造され、メモリー素子や
必要に応じてそれに関連した制御回路として使用されて
いる。一般には、あとの2つのタイプであるEPROM
とROMは、1回だけプログラムできるよう設計されて
おり、またプログラム可能な読み取り専用メモリー(P
ROM)は、例えば電気経路を断つなどの電気的手段に
よってプログラムできるよう設計されているが、ROM
はデバイスの製造プロセス時にプログラムできるように
設計されている。最初のタイプ(すなわちランダムアク
セスメモリー)は、スタティックメモリータイプであろ
うとダイナミックメモリータイプであろうと、相当多く
の回数(一般には1012〜1015回というオーダ
ー)にわたってプログラム及び再プログラムができるよ
う設計されている。RAMは一般には、デジタルコンピ
ューターにおける基本的な高速メモリーとして使用され
ている。RAMは、ほぼ同じ時間の読み取りサイクル時
間(すなわちデータ検索)と書き込みサイクル時間(す
なわちデータ記憶)を有していることを特徴とする。
【0003】しかしながら、これらのメモリーに対して
は1つの問題点がある。それは、これらのメモリーが一
般には非持久性であって、且つ放射線の影響を受けやす
い、という点である。すなわち、エネルギーの損失時や
異常な出来事の発生〔例えば、地球軌道における核事象
(nuclear event)や宇宙線等によるイオ
ン化放射線への暴露時において〕により、メモリーの内
容が一般には失われる。後者においては、このイオン化
事象が、光により誘起される電流の急激な増大を引き起
こし、この電流増大が半導体デバイスによって感知さ
れ、これによってその状態変化を引き起こすか、あるい
は半導体が破壊され、この結果メモリー中のデータの消
失が起こる。従って、エネルギーの消失もしくは核事象
の結果、メモリー中に含まれているデータが失われる。
多くの用途において、これらメモリーに含まれている惰
報が突然消失することは好ましくないことである。例え
ば、これらのメモリーは、ミサイルや衛星におけるガイ
ダンスコンピューターに使用されており、メモリー中の
データの消失はシステムの異常を引き起こす。さらに、
他のコンピューターシステムにおいても、このようなこ
とが問題となる。
【0004】これらの問題点を解決するために、いくつ
かのアプローチが使用されている。弾道ミサイル等の重
要な誘導システムにおいては、持久性(non−vol
atility)、及び特に耐放射線性(radiat
ion hardness)を確実に付与させるため
に、磁気コアメモリーや、より最近ではプレーテッドワ
イヤメモリー(plated wire memori
es)が使用されている。プレーテッドワイヤメモリー
や磁気コアメモリーによるアプローチは望ましくない。
なぜなら、これらのメモリーは半導体メモリーと比べる
と、いずれもサイズが大きく、データの記憶密度が低い
からである。さらに、造り上げるのにかなりのコストが
かかり、重く、そしていくつかの高エネルギー電源を必
要とする。しかしながら、プレーテッドワイヤメモリー
や磁気コアメモリーは“耐放射線性”であって且つ持久
性であり、従って、こうした重要な用途に対して得られ
る最良の選択である。他のアプローチでは、ランダムア
クセスメモリーに対するバッテリー・バックアップを設
けている。バッテリー・バックアップを使用した場合の
問題点は、耐用年数が限られ、バッテリーの交換を必要
とし、従って回路により多くのコスト増大をもたらす、
という点である。さらに、バッテリー・バックアップの
使用は、放射線暴露の問題を解決していない。
【0005】EAROMも同様に適切な解決策ではな
い。なぜなら、EAROMは放射線暴露の間題を解決せ
ず、またランダムアクセスメモリーではないからであ
る。電気的に変更可能な読み取り専用メモリーはランダ
ムアクセスではない。なぜなら、このようなデバイスに
対する書き込みサイクル時間は、一般には読み取りサイ
クル時間と同等かあるいはそれ以上だからであり、この
ことが本デバイスをランダムアクセスメモリー用として
は不適切なものにしている。現在、持久性を有していて
且つ耐放射線性のランダムアクセスメモリーを得るのに
試みられている1つのアプローチは、強誘電性物質を使
用することをベースにしている。強誘電性物質(例え
ば、ABOという形のペロブスカイト物質)は多くの
有用な特性を有し、これらの特性を利用して種々の電子
デバイスや光電子デバイス(例えば、前記の持久性メモ
リーの他に、光スイッチ、光学変調素子、ピロ電気検波
器、集積回路人工知能ニューラルネットワーク、及び種
々のマイクロメカニカルデバイス等)を作製することが
できる。
【0006】さて、説明を前記の持久性メモリー用途に
戻すと、これらの用途においては、一般には数多くのト
ランジスターを含んだ半導体基板上に強誘電性皮膜が設
けられる。メモリー素子の1つのタイプにおいては、ペ
ロブスカイト物質の皮膜が一対の導体間に配置され、コ
ンデンサー用の分極可能な誘電体として使用されてい
る。コンデンサーのキャパシタンス−電圧特性は高度に
非線形であり、特に、高い残留分極を有する。すなわ
ち、コンデンサーに電圧が加えられる方向に応じて、コ
ンデンサー中の強誘電体の分極の方向が変わる。従っ
て、こうした分極の変化をメモリーにおいて利用して、
メモリーの特定の場所に記憶される諭理1(logic
one)又は論理0(logic zero)(すな
わちデジタルデータビット)を与える。あらゆる半導体
メモリー用途における主要な開発駆動力は、ビット(す
なわち、半導体メモリーのある与えられたエリアに配置
することのできるメモリーセル)の密度を増大させるこ
とであるので、一般には、半導体メモリーの個々のメモ
リー素子にアドレスするのに使用されるトランジスター
に隣接して及びその上にコンデンサーを形成させるのが
望ましい。メモリーに対する他の集成体、並びにこのよ
うなペロブスカイト物質の他の用途では、不安定な物
質、すなわち容易に酸化もしくは還元される物質の基板
上にメモリーを配置しなければならない場合がある。従
ってこれらの要件は、ペロブスカイト物質を形成させる
のに使用される製造プロセスに対し、厳しい制約条件を
課すことになる。
【0007】例えば、これらの基板上に形成された一対
の導体層の間に強誘電体層がサンドイッチされている場
合、下側の半導体回路(すなわちトランジスターとダイ
オード)、半導体の金属接触層、並びに強誘電性コンデ
ンサーを与えるために強誘電体層と共に使用されている
導電層は、長時間にわたる高温暴露による損傷を極めて
受けやすい。さらに、金属や半導体物質がペロブスカイ
ト物質の処理加工時に耐えることのできる雰囲気の種類
により、ペロブスカイト物質の形成が制約を受ける。上
記の用途に対して有用な強誘電体の1つは、(Pb
Ti1−y)(以後PZTと記す)という一般
化学式を有する、ジルコン酸チタン酸鉛として知られて
いる物質である。PZTや他のペロブスカイト物質を得
るためのいくつかの方法が知られている。これらの方法
としては、物理的付着法(例えばエバポレーション)、
スパッタリング蒸着法〔例えば化学蒸着(CVD)〕、
及び溶液ゲル化(ゾル−ゲル)法等の方法がある。
【0008】PZTは多成分物質(すなわち、酸化鉛、
酸化ジルコニウム、及び酸化チタンの三元合金)である
ので、組成を制御すること、及び皮膜全体を通しての組
成の均一性を制御することが非常に重要なことであり、
一般には困難な場合が多い。組成を制御するという上記
の問題を考慮すると、一般には溶液ゲル化法(ゾル−ゲ
ル法)がより適切である。なぜなら、ゾル−ゲル処理を
使用すると、他の方法(例えば、真空付着法、物理的付
着法、又は蒸気付着法)に比べて、これら物質の比率を
比較的容易に制御できるようになるからである。このよ
うなゾル−ゲル法の1つが、Buddらによる「“Pb
TiO,PbZrO,PZT,及びPLZT薄膜の
ゾル−ゲル処理”,英国セラミック協会議事録,Vo
l.36(1985),pp.107−121」に記載
されている。上記文献の著者らは、脱水和処理された酢
酸鉛に所望のアルキルオキシド(alkyl oxid
e)物質を加えて溶液を作製し、次いでこの溶液を基板
上に付着させ、400〜800℃の温度である時間(明
記されていない)焼成してゲルを形成させる、という方
法を記載している。著者らはさらに、流動酸素雰囲気が
与えられている炉の中でゲルを熱分解することを説明し
ている。ゲル化皮膜を含んだ炉の温度を徐々に上昇させ
て、最終的に400〜800℃の温度にする。温度の変
化は、1分当たり10℃という制御された加熱速度にて
行っている。従って著者らは、比較的ゆっくりした炉温
変化速度を使用して、皮膜を薄いセラミック結晶質被膜
に転化させている。著者らは、皮膜をゲルから結晶質物
質に転化させる際の皮膜の亀裂生成を防止するために、
この方法を選択しているようである。特に、薄いPZT
皮膜の場合、PZTのバルク体とは異なって薄いPZT
皮膜が約700℃の温度で焼成される。
【0009】当業界に知られている他のゾル−ゲル法
は、Yiらによる「“ゾル−ゲル処理によるPb (Z
r,Ti)O薄膜の作製: 電気特性,光学特性.及
び電子−光学特性”.Journal of Appl
ied Physics,Vol.64,No.5(1
988年9月),pp.2717−2724」に記載さ
れている。このアプローチの場合、著者らは、酢酸鉛三
水和物の脱水和処理された溶液を形成させ、これにジル
コニウムプロポキシドとチタンイソプロポキシドを加え
ている。次いで、この溶液に水とエチレングリコールを
加えて粘度を調節することによって原液としている。次
いでこの原液をスピンキャスト(spincast)し
て基板上に湿潤皮膜を形成させ、オーブンもしくは炉中
にて300〜500℃の温度で焼成して皮膜を乾燥し安
定化させる。次に、この皮膜を600℃で約6時間アニ
ールして、結晶質のPZT皮膜を形成させる。上記アプ
ローチのいずれの場合も、結晶化は、一般には約400
〜800℃の温度にて適切な時間(通常は数時間)行わ
れる。さらに、これらの方法では、皮膜が炉中でアニー
ルされ、従って基板に支持された皮膜だけでなく、ウエ
ハや基板も加熱されることになる。
【0010】上記のアプローチは、高温にて長時間にわ
たるPZT皮膜の結晶化を必要とすることから、いくつ
かの問題点を有している。上記の持久性メモリー用途に
おいては一般に、強誘電性皮膜が強誘電性コンデンサー
用の誘電体として使用されている。従って、皮膜は一般
に、金属導体の電極を覆う形で付着される。上記のアプ
ローチの場合、皮膜を結晶化させるには、高温にて調製
された酸素の雰囲気が必要とされる。高温で酸素に長時
間暴露されると、下側の金属層の酸化を引き起こす。こ
の酸化により金属層の抵抗率が増大し、従って金属層を
電極として望ましくないものにし、そしてさらに、回路
の他の部分に付着されている金属皮膜のテナシティも増
大する。金属皮膜は一般には、PZT層の結晶化後にパ
ターン付けされるので、皮膜のテナシティが増大する
と、皮膜のエッチングや除去がより一層困難となる。上
記の熱処理により生じるさらなる問題点は、強誘電性P
ZT層の下でもしばしば皮膜が酸化され、この結果、電
気抵抗が増大し、これらの皮膜のエッチングがより一層
困難になる、という点である。場合によっては、これら
の層の酸化が応力や金属層の密着不良を引き起こし、こ
のため金属層に亀裂が生じたり、あるいは金属層が基板
から薄片状にはがれたりする。熱処理はさらに、あらか
じめ存在している金属/半導体界面を悪化させることも
ある。例えば、熱処理は、金属接点の接触抵抗を増大さ
せるか、あるいはこのような接点と該接点の下の浅い半
導体ジャンクションとの間の相互拡散を増大させ、従っ
て半導体ジャンクショシをショートさせる。
【0011】さらに、種々のエレクトロニクス向けやマ
イクロエレクトロニクス向けの用途にコンデンサーが使
用されていることはよく知られているとおりである。マ
イクロエレクトロニクス向け用途においては、大容量の
コンデンサーが必要とされることが多い。オンチップ・
コンデンサー(on−chip capacitor)
のキャパシタンスは、誘電体(通常は、誘電率が4のS
iO)の誘電率及びコンデンサーに充てることのでき
る面積によって制限される。面積による制約を受けるの
で、大きなコンデンサーは通常オフチップ(off−c
hip)の状態で配置され、従って実装コストや組み立
てコストが増大する。ダイナミック・ランダムアクセス
メモリー(DRAM)のような他の用途においては、コ
ンデンサーはオンチップの状態で製造しなければならな
い。従って、トランジスター・スケーリング(tran
sistor scaling)によってセルの寸法を
小さくすることとは関係なく、コンデンサーの面積によ
りセルのサイズが、そして最終的にはメモリーのサイズ
が決まる。
【0012】これらの制約は、コンデンサーの誘電体に
対して高い誘電率をもった物質を使用することによって
解消することができる。集積回路に組み込むためには、
誘電体を2つの導電性電極間に薄膜として付着させて
(その後の処理に対してインパクトは最小となる)、コ
ンデンサー構造体を形成させなければならない。強誘電
性物質(例えばPZT)は、一般にはかなり高い誘電率
を有するが、前述したように、これらの物質の皮膜を付
着させるプロセスは、酸化性雰囲気での高温処理を必要
とする。この熱処理は、下側のシリコン回路に損傷を与
え、この結果ボトム電極が酸化される。従って、その後
のパターン付け工程がを極めて困難となり、複雑な多層
ボトム電極を使用せざるを得なくなる。さらに、強誘電
性物質の分極ヒステリシスのためにキャパシタンスは電
圧に関して非線形となり、従って回路設計の作業は複雑
化し、印加電圧に対するコンデンサーの有用な動作範囲
は制限されるようになる。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、ABO
の一般化学式を有するペロブスカイト皮膜を基板上に
結晶化させる方法は、ペロブスカイト物質の皮膜を基板
上に付着させる工程を含む。本発明のプロセスはさら
に、ペロブスカイト物質の皮膜をコヒーレントな電磁エ
ネルギー源で照射して、前記皮膜を速やかに加熱し、皮
膜をペロブスカイト結晶質物質に転化させる工程を含
む。このような集成体の場合、コヒーレントな電磁エネ
ルギー源を使用して皮膜を速やかに加熱することによっ
て、皮膜が高温状態に暴露される時間量を実質的に短く
することができる。こうした皮膜の高温暴露の減少は、
高温酸化性環境からの皮膜に付きものの金属接点の暴露
も同時に減少させることになる。従って、皮膜に付きも
のの金属接点の酸化は大幅に少なくなり、同時に、こう
した接点の抵抗率の悪化もより少なくなる。さらに、こ
のような皮膜を使用している回路素子の半導体部分にお
ける相互拡散や崩壊も少なくなる。
【0014】本発明の他の態様によれば、基板上に支持
された金属接点の上に配置されたジルコン酸チタン酸鉛
の皮膜を結晶化させる方法は、85〜351ナノメート
ルの範囲の波長を有するコヒーレントな電磁放射線源で
皮膜を照射する工程を含む。一般には、このようなエネ
ルギーの複数のパルスが、皮膜に向けて当てられる。パ
ルスは10〜50ナノ秒の範囲の持続時間を有し、繰り
返し割合は1秒当たり1〜30パルスである。加えるパ
ルスの総数は、1〜100パルスの範囲で変えることが
できる。各パルスのエネルギーレベルは50〜500m
J/cmの範囲である。このような集成体の場合、1
0〜50ナノ秒という比較的短い時間にわたってコリメ
ート化されたエネルギーを使用すると、ジルコン酸チタ
ン酸鉛の皮膜が速やかに結晶化する。しかしながら、時
間が比較的短いので、結晶化プロセス時に皮膜中に引き
起こされる熱は、下側の金属接点や基板(半導体構造物
を支持している)によって吸収されるよりむしろ、皮膜
を介して実質的に散逸される。さらに、本発明の方法の
場合、暴露時間が比較的短いことから、金属接点の酸化
反応が起こるのに利用できる時間がより少なくなるだけ
でなく、浅い半導体ジャンクションや、半導体素子上に
配置された金属接点の相互拡散に利用できる時間もより
少なくなる。本発明の方法は、公知の方法を使用して得
られるジルコン酸チタン酸鉛を結晶化させるのに使用す
ることができる。例えば、皮膜は、ゾル−ゲル法を使用
して付着させることもできるし、あるいはこれとは別
に、真空蒸着法や物理的付着法を使用して付着させるこ
ともできる。
【0015】本発明のさらに他の態様においては、基板
上にジルコン酸チタン酸鉛の皮膜を作製する方法は、鉛
塩、ジルコニウムアルコキシド、及びチタンアルコキシ
ドを含んだ組成物を溶液の形で調製する工程を含む。前
記溶液を基板上に所望の厚さに付着させ、100℃〜4
00℃の範囲の温度にて配置された局在化熱源に皮膜を
暴露して、前記熱源に隣接した皮膜の部分を先ず最初に
安定化させることによって皮膜を安定化させつつ、前記
熱源から取り除かれた皮膜の部分を先ず最初に不安定化
させる。局在化した熱を継続的に加えると、薄膜ゲル中
の有機物が追い出され、継続的で徐々に進行するある方
向をもった皮膜の安定化熱分解が起こる。皮膜の充分な
安定化熱分解が起こった後、皮膜は収縮して実質的に最
終的な厚さになる。次いで、85〜351ナノメートル
の波長を有するコヒーレントな電磁エネルギー源を使用
し、10〜50ナノ秒の範囲の時間にわたり、1パルス
当たり50〜500mJ/cmの範囲の付着用エネル
ギー(depositedenergy)で皮膜が照射
される。このような特定の集成体の場合、先ず最初にア
ンディレクション法(undirection tec
hnique)を使用して皮膜を安定化させることによ
って、皮膜の表面上に安定化されたスキン層が形成され
ないと考えられる。オーブン又は炉中での加熱雰囲気に
て皮膜が安定化され、熱分解されるときに、このような
安定化されたスキン層が形成される。さらに、350〜
400℃のより高い温度を使用することによって、皮膜
がより一層安定化される。この集成体は、比較的高いグ
リーン状態密度(greenstate densit
y)をもった安定化皮膜を与える。従って、結晶化時に
おいては、最初に付着させた皮膜厚さから比較的小さい
程度の収縮が起こるにすぎない。皮膜厚さの急激な減少
(比較的低いグリーン状態密度を有する安定化皮膜を極
めて高い出力の電源にて処理することによって起こる)
は、皮膜に亀裂や剥落を引き起こす。従って、より高温
で行われ、且つ皮膜により高いグリーン状態密度を付与
するアンディレクショナル安定化工程(undirec
tional stabilizing step)を
施すことによって、皮膜は、剥落や亀裂を殆ど起こすこ
となく、極めて高出力の電源を使用して結晶化される。
【0016】図1〜4を参照すると、強誘電性デバイス
(特に、例えばトランジスターのような一対の活性区域
間に配置された強誘電性コンデンサー)をシリコン基板
中に製造する際の工程が記載されている。図1を参照す
ると、半導体基板12(ここでは、シリコンで構成され
ているか、あるいは他の公知の半導体物質を使用して構
成されている)が、トランジスターや他の類似のデバイ
スを設けることができる程度にまで処理加工されてい
る。例えば、図1には、トランジスターや他の適切なデ
バイスを設けるための、適切にドープされたn−タイプ
物質及び/又はp−タイプ物質で構成された埋め込み区
域又は拡散区域14が示されている。基板12上に、酸
化物の層16(好ましくは、下側半導体層12の物質の
その場で形成された酸化物)が配置されている。従っ
て、ここでは層16は酸化ケイ素で構成されている。酸
化ケイ素層16を所定のプロセス(図示せず)でエッチ
ングして、デバイスの部分14を露出させるためのウイ
ンドーを設ける。層14の上に(そして層16の上
に)、第1の金属で構成された層18が、接触した状態
で配置される。ここでは前記金属は、チタン−タングス
テン合金(Ti−W)であり、酸化ケイ素又はシリコン
接触ウインドーと、引き続きその上に付着される層との
間のバリヤー層として使用される。チタン−タングステ
ン合金層18は、複合ボトム電極構造物(これについて
は後述する)の一部を形成する。
【0017】図2を参照すると、チタン−タングステン
層18の上に、チタン層20と白金層22が順次配置さ
れている。ここでは、ゾル−ゲル処理(これについて
は、図5及び図6に関連させて説明する)を使用して、
PZTの層24が設けられている。層24は、基板12
上において、にコンデンサーが形成されるための誘電体
を区域14間に提供している、というにとどめておく。
さらに具体的に言えば、層24は、非線形の誘電率特性
(これについては図5に関連させて後述する)を有する
誘電体を与えるために使用されている。これとは別に、
層24は、30〜900の範囲の印加電圧に対して実質
的に線形であるような、比較的高い誘電率を有してもよ
い(これについては図6に関連させて後述する)。
【0018】図3を参照すると、層24の上に金属層
(図示せず)が設けられ、従来のマスキング法やエッチ
ング法を使用して(すなわちバックスパッタリングによ
って)パターン付けされて、トップ電極27が形成され
ている。トップ電極27が形成された後、従来のマスキ
ング法やエッチング法(ここでは、エッチング剤として
緩衝剤入りフッ化水素酸溶液を使用)を使用して強誘電
体層24がエッチングされて、デバイスの区域14間に
て基板12の上に配置された隔離部分24’が形成され
る。これとは別に、隔離された部分24’を、デバイス
のエリア14の上に設けることもできる。従来のマスキ
ング法や、PtとTi(層20,22)をエッチングす
るためのバックスパッター工程の組み合わせを使用し
て、ボトム金属層20と22を同様にエッチングして、
ボトム電極25が形成される。上部電極接点27は、こ
こでは白金、金、アルミニウム、酸化インジウム錫、又
は酸化ルテニウムで構成されており、誘電体24’及び
接点25と組合わさって強誘電性コンデンサー29が形
成されている。
【0019】図4を参照すると、コンデンサー29の上
に絶縁層31が配置され、図示のように絶縁層にウイン
ドーが開けられている。絶縁層は、例えば酸化ケイ素、
窒化ケイ素、又はポリアミドを含む。アルミニウム導体
やTiW/アルミニウム複合導体等の金属層(図示せ
ず)がウインドーを通して付着されて、上部電極27に
に対する複合金属接点33が形成されている。TiW層
18がエッチングされて、コンデンサーボトム電極25
から半導体接触ウインドー14までの導体が形成され
る。図5を参照すると、ジルコン酸チタン酸鉛の皮膜す
なわち層24、又はABOの一般化学式を有する他の
ペロブスカイト皮膜を作製する工程が記載されている。
本方法は図5においてプロセスフローの形で示されてい
る。
【0020】ジルコン酸チタン酸鉛の皮膜を作製する最
初の工程42は、先ず鉛塩溶液を調製することである。
鉛塩と元素Bのアルコキシド前駆体を使用するゾル−ゲ
ル法は水の影響を受けやすいので、溶液調製プロセス
は、乾燥した不活性雰囲気(例えば、乾燥窒素グローブ
ボックスにより得られるような乾燥窒素雰囲気)中で行
わなければならない。鉛塩の適切な溶液を得るために
は、所定量の酢酸鉛三水和物〔Pb(CHCOOH)
・3HO〕(ウィスコンシン州ミルウォーキーのア
ルドリッチケミカル社から市販)を適切な量の酢酸中に
溶解する。酢酸は溶媒として使用される。次いで、酢酸
鉛三水和物と酢酸とを含んだ溶液を、開放状態の三角フ
ラスコ中でホットプレート上にて、継続的に撹拌しなが
ら105〜108℃(107℃が好ましい)の範囲の温
度に加熱することによって脱水和処理する。脱水和の速
度を制御するために、この工程に対してはビーカーより
むしろ三角フラスコが使用される。溶液の沸騰が観察さ
れなくなるまで加熱プロセスを継続する。
【0021】この時点において、溶液は充分に脱水和さ
れており、次いである程度の放置冷却が施される。溶液
が80℃に冷却されたら、ジルコニウムアルコキシド
(ここでは、モートン・チオコール社から市販のジルコ
ニウムプロポキシド)とチタンソプロポキシド(アルド
リッチケミカル社から市販)を、個々のポリエチレン製
ビーカー中に適切な量にて個々に計り取る。ジルコニウ
ムプロポキシドとチタンイソプロポキシドを計り取るの
にポリエチレン製ビーカーが使用されるのは、ポリエチ
レン製ビーカーから抜き取られる汚染物は、その後の熱
処理工程において容易に除去することができるが、ガラ
スビーカー又はその類似物から抜き取られる汚染物はそ
の除去が困難だからである。脱水和された酢酸鉛溶液の
温度が所定の温度(ここでは80℃)に達したら、酢酸
鉛溶液に測定量のジルコニウムプロポキシドを加え(工
程46)、次いでチタンイソプロポキシドを加える(工
程48)。この工程順序により適切な結果が得られる
が、他の工程順序を使用することもできる。
【0022】ジルコニウムプロポキシドとチタンイソプ
ロポキシドを加えた後、撹拌棒を使用してホットプレー
ト上で溶液を混合し(工程50)、ソリッドやゲル(そ
の前の添加工程において形成されている)が溶液中に溶
解していくまで穏やかに加熱する。この時点において、
溶液は、所望の比の鉛、ジルコニウム、及びチタンを含
有し、さらに有機物も含んでいる。皮膜の正確な組成
は、初期前駆体の重量を変えることによって調整され
る。皮膜の組成を変えることによって、その特性を特定
の用途に適するよう調節することができる。酢酸の量を
変えることによって、溶液の物理的・化学的特性を、そ
の後の処理工程に影響を与えるよう調節することができ
る。
【0023】ホットプレート上にて溶液を混合した後、
脱イオン水を加えることによって溶液の粘度が調節され
る(工程52)。ここでは、溶液の粘度は、PZT溶液
と脱イオン水とを2〜1.0:1の容量比にて混合する
ことによって慎重に調節される。PZT溶液に対して脱
イオン水を加えることは2つの目的を有している。第1
の目的は、PZT溶液のゲルへの転化時に起こる加水分
解縮合反応に関与する水を組み込むことにある。脱イオ
ン水を加えることの第2の目的は、その後の付着プロセ
ス時において所望の厚さの皮膜が基板上に得られるよ
う、溶液の粘度を調節することにある。次いで、PZT
溶液と水との混合物を濾過してから付着工程を施す。濾
過に際しては、0.2マイクロメーター以下の孔径を有
するフィルターを使用するのが適切である。
【0024】前記の持久性メモリー用途及び/又はダイ
ナミック・ランダムアクセスメモリー用途向けの強誘電
性コンデンサー又は高誘電率コンデンサーを作製するに
は、第1の表面上に金属被膜を有する図1のような基板
を用意する。特に、強誘電性コンデンサーの作製に適切
であることが明らかとなっている金属被膜は、シリコン
ウエハの転化された表面部分である酸化ケイ素の層を含
んだ被膜であり、この上に、チタンの層、白金の層、そ
してジルコン酸チタン酸鉛の層が付着されている。これ
とは別の層集成体は、酸化ケイ素層の上にチタン−タン
グステンの合金を配置し、次いでチタン層と白金層を配
置してなるものである。トップ電極は白金上Ti、又は
白金上TiWであり、いずれもその次にアルミニウムが
配置されている。
【0025】いずれの場合も、Ti−Pt複合層又はT
i/W−Ti−Pt複合層が設けられてコンデンサー用
のボトム電極接点を形成している。結晶化後に、PZT
の上に白金パターン層を形成させることによって上部電
極接点が作製される。いずれの場合も、ボトム電極金属
表面を有するウエハが標準的なフォトレジストスピナー
(spinner)中に配置され、鉛、ジルコニウム、
及びチタンを含んだ有機溶液が基板上に付着される(工
程54)。次いで、基板を加速して1,000〜7,0
00rpmの速度で回転させる。この回転速度で所定時
間回転させる。好ましいサイクルは4,500rpmで
60秒である。使用されるサイクルは一般には、工程5
2において調製された溶液の粘度、所望の皮膜厚さ、及
び皮膜を乾燥させるのに必要な時間に関係する。
【0026】付着工程のあと直ちに、100〜400℃
の範囲の温度にて配置されたホットプレート上に置くこ
とによってウエハを加熱する(工程56)。ここでは、
300℃で60秒の条件が適用される。しかしながら、
より高いグリーン状態密度(すなわち結晶化前の密度)
を有し、且つ結晶化プロセス時に収縮を受けにくい安定
化皮膜を得るには、300〜400℃の範囲の温度で約
30秒という条件が適用される。このベーキング工程
は、基板から溶媒を追い出し、且つ皮膜を緻密化するよ
う作用する。安定化熱分解工程がオーブン中で行われる
従来のアプローチと異なり、ホットプレートの使用は、
プロセスに対して利点をもたらすことがわかる。基板上
に配置された皮膜の部分、従ってホットプレートに近接
した皮膜の部分が先ず最初に安定化熱分解を起こすが、
一方、基板から取り除かれた層の部分は先ず最初に不安
定化されて熱分解をおこさず、その後の層の継続的な加
熱によってはじめて安定化する、と考えられる。この集
成体の場合、皮膜の上部が安定化熱分解される前に、溶
媒が皮膜の上部を介して皮膜から追い出される。従来の
オーブンを使用したアプローチの場合、一般には皮膜全
体上にスキン又はクラストが形成されると考えられ、こ
れによって皮膜からの溶媒や他の汚染物の除去が阻害さ
れる。さらに、この工程をより高い温度範囲にて使用す
ることによって、その後の結晶化時において収縮を起こ
しにくいより緻密な皮膜が得られる。安定化された皮膜
を、高パワーレーザーや他のコヒーレソトエネルギー源
で処理する場合、急激な照射を行うと、皮膜の収縮が大
きいと皮膜に亀裂が生じる。ベーキング工程(結晶化プ
ロセスより比較的遅いプロセス)時により多くの収縮を
起こさせることによって、結晶化時における収縮は少な
くなり、従って亀裂の生成も少なくなる。このベーキン
グ工程56の後において、皮膜は空気中で安定であり、
その後の処理を施すまで長時間保存することができる。
【0027】上記のプロセスにより、一般には、ベーキ
ング温度範囲の下限においては3,000Å未満の最終
厚さを、そして好ましい上限においては1000Åの最
終厚さを有する皮膜が得られる。より薄い皮膜が必要な
場合には、回転速度を増大させる及び/又は粘度を低下
させればよい。より厚い皮膜は、回転速度を減少させる
こと及び/又は粘度を増大させることによって得られ
る。しかしながら、単一の層の厚さか3,000Åを越
えると、通常は皮膜に亀裂が生成するようになる。亀裂
を避けるためには、そしてより厚い皮膜を得るために
は、前記の安定化熱分解による熱処理工程56を各層の
付着工程間において施して、多層を付着させるのが望ま
しい。さらに、下記にて説明するように、別個の結晶化
工程58も施さなければならない。皮膜の正確な厚さは
主として、PZT層に対する要件により決まる。一般
に、持久性RAM又は耐放射線性RAM用のコンデンサ
ー用途においては、1000〜2000Åの皮膜厚さ
(特に1700Å)が適切である。
【0028】皮膜を安定化した後、ホットプレート上で
安定化された非晶質の有機物含有皮膜をペロブスカイト
結晶質構造の結晶質皮膜に転化させる熱処理によって皮
膜を結品化させる(工程58)。図6に示されているよ
うに、安定化皮膜の非晶質物質をペロブスカイト結晶質
物質に速やかに転化させるのに使用することのできる装
置70の集成体は、従来のレーザー源72とそれに付き
ものの光学集成部品74を含んでいる。この光学集成部
品74は、一般には円筒伏のレーザービームを、ここで
は、85nm〜351nmの範囲の波長にて1〜2mm
の範囲の比較的狭いスポットサイズを有するエキシマー
レーザーから、該ビームを均一に横切る実質的な強度と
約2.5mのスポットサイズを有する準矩形ビーム
(quasi rectangular beam)に
転化させる。レーザー源72は、上記の特徴をもったレ
ーサービーム72aを光学集成部品74に向ける。光学
集成部品74は、レーザービームを所望の量になるよう
若干広げ、レーサービームにビームの幅を横切る均一な
強度を付与するのが好ましい。このような集成体は従来
のタイプである。このような集成体の1つが、例えば
K.W.Weinerによる「“BipolarTra
nsistor Process developme
nt forSilicon on Insulato
r(SOI) Substrates”,Radiat
ion Hardened Electronics
Technology Meeting(RHET),
Air Force Academy,Colorad
o,October,9−11,1990」に記載され
ている。
【0029】次いで均一に分散されたレーザービーム7
4aが反射用表面76に当てられ、前記ビームの一部が
皮膜24を有する基板に向けられる。基板は、酸素78
を念有したチャンバー77中に配置されている。一般に
は100%酸素が使用される。これとは別に、基板は周
囲雰囲気中に配置されることもある。皮膜24にこのエ
ネルギーを加えると、皮膜は速やかに加熱される。この
急速な加熱により、非晶質状態の皮膜は結晶質状態に転
化する。皮膜24の一部を照射した後、コンピュータ制
御装置80により制御されたX−Yステッパーテーブル
79上に配置されている基板が第2の場所に位置決めさ
れ、皮膜24の異なる部分に対する第2の暴露シーケン
スが施される。このようなステッピング法は、半導体工
業において広く使用されているものである。
【0030】さらに具体的には、エキシマーレーサー源
を使用することによって、高い入射エネルギーをPZT
層24に当てることができる。PZTは354ナノメー
トルの光子吸収エッジを有し、またエキシマーレーザー
は一般には85〜351ナノメートルの範囲の波長を有
するので、PZT物質に当てられたレーザービーム中の
光子はPZTによって強く吸収される。PZT皮膜24
による入射光子の吸収はPZT皮膜の加熱を促進し、光
子がPZT皮膜を通るのを起こりにくくし、従って半導
体基板の加熱が少なくする。このことは、PZT皮膜2
4の結晶化時に起こる大きな問題の1つである半導体基
板の加熱を大幅に低下させる。
【0031】さらに、PZT層の下のボトム電極は一般
には金属であるので、金属電極に入射する放射線は、金
属表面に吸収されるよりむしろ金属表面から強く反射さ
れる。このことはさらに、基板だけでなく金属電極の加
熱も少なくし、これによって電極の酸化が少なくなる。
さらに、本発明のこの態様に従って皮膜を局部的に結晶
化させるステッピング法を使用することによって、放射
線を皮膜の選定された部分に向けることができ、また金
属層(ボトム電極を形成するのに使用され、引き続き表
面から除去される)の上の皮膜の他の部分から離して向
けることができる。しかしながら、このようなエキシマ
ーレーザーや他の適切なコリメート化エネルギーが利用
できるならば、この方法は、ウエハ上のPZT皮膜のブ
ランケット暴露にも適用可能である。
【0032】一般に、エキシマーレーザーは、種々の波
長のレーザービームを生成させるために種々のガスを含
有している。エキシマーレーザーの代表的な例として
は、351ナノメートルの波長を生成するXeFl(フ
ッ化キセノン);308ナノメートルの波長を生成する
XeCl(塩化キセノン);248ナノメートルの波長
を生成するKrFl(フッ化クリプトン);及び193
ナノメートルの波長を生成するArFl(フッ化アルゴ
ン);等がある。エキシマータイプのレーザー源に有用
な、対応した波長範囲のガスを含んだ他の多くの例があ
る。一般に、エキシマーレーザーはパルスモードで作動
し、ここでは10〜50ナノ秒の持続時間を有するパル
スが基板に向けて当てられる。一般に、PZT皮膜24
の下側部分を結晶化させるのには、50〜500mJ/
cmの範囲の付着エネルギーを有する入射放射線の1
パルスが必要とされるだけである。しかしながら、場合
によっては、操作を何回も繰り返すと、得られる皮膜の
結晶化度が増大することがある。特定の例を以下に示
す。皮膜を結晶化させた後、誘電体皮膜24の上にトッ
プ電極を付着させることによってコンデンサーが与えら
れる。トップ電極に対する適切な物質システムは白金で
あるが、金、アルミニウム、他の金属、又は導電性酸化
物等の他の物質も使用することができる。導電性電極皮
膜は従来法を使用して付着させることができるが、ここ
ではシャドーマスクを介したイオンビーム・スパッタリ
ングが、パターン付けされた接点を与えるための適切な
方法として使用される。上記の結晶化プロセスの実施例
を以下に記載する。
【実施例】実施例 以下の実施例はPb1.18Zr0.53Ti0.47
の組成を有していると考えられる。実際、酸素含量
は2.8〜3.0である。すなわち、本物質はやや酸素
含量の多い固溶体である。このような組成物は、12g
の酢酸鉛三水和物 (Pb)(CHCOO)・3H
O;6.579gのジルコニウムプロポキシド (Z
r)(3870);及び3,279gのチタンイソプロ
ポキシド (Ti)(CHCHO;を使用する
ことによって得られる。酢酸鉛を6ミリリットルの酢酸
中に溶解する。これらの実施例に対する溶液は、前記溶
液を脱イオン水と2:1の容量比で混合することによっ
て調製した。これら溶液のそれぞれを、0.2マイクロ
メートルの孔径のフィルターにより濾過してから直ちに
付着工程に付した。
【0033】次いで、エキシマーレーザーの波長及びエ
ネルギーレベルを変えることによって、異なる照射暴露
条件にて皮膜を処理した。これらの異なる処理条件を以
下の表に示す。 図7を参照すると、印加電圧に関して実質的に線形の誘
電率を有する誘電体を得るのに使用される工程のシーケ
ンス60が、図5に関して概略的に説明した工程41の
シーケンスを含む形で示されている。すなわち、酢酸鉛
三水和物を酢酸中に溶解して溶液とする工程、酢酸鉛溶
液を脱水和処理する工程、ジルコニウムプロポキシドと
チタンイソプロポキシドを加える工程、及びこれら3つ
の成分をホットプレート上で混合する工程を含んでい
る。成分をホットプレート上で混合した後、脱イオン水
を2.0〜1.0(PZT溶液):1.0(脱イオン
水)の容量比で加えることによって溶液を調製する。次
いで前述のスピン法によって溶液を基板上に付着させ、
被覆された基板を前述のようにホットプレート上でベー
キングする。ここでは前記皮膜が、実質的に100%の
酸素を含有した雰囲気中で速やかに結晶化されるよりむ
しろ、実質的に窒素、アルゴン、他の不活性もしくは還
元性ガス、又は形成ガス〔例えば、比較的低い分圧の水
素(すなわち約4%)をヘリウムやアルゴン等の不活性
ガスと組み合わせたもの(残りの分圧を構成しているの
はOであり、通常は約1%未満である)〕を含有した
雰囲気中で速やかに結晶化される(工程62)。速やか
な結晶化は、図5の工程58に関して説明したように行
われる。すなわち、前記の窒素、アルゴン、他の不活性
もしくは還元性ガス、又は形成ガスを含んだ雰囲気を有
するチャンバー中に基板を配置する。図6に関して概略
説明した装置は、均一な強度をもったレーザーエネルギ
ーのビームを有し、このビームが皮膜24の部分に向け
て当てられる。皮膜24は、図5の工程58に関して概
略説明した入射エネルギーによって速やかに加熱され、
結晶化される。表に記載したのと類似の処理条件を使用
して、安定化された皮膜を、高い誘電率を有するペロブ
スカイト物質に転化させることができる。被膜を窒素、
形成ガス(水素4%、残部はHeやAr等)、又はアル
ゴンの雰囲気(一般にはOがいくらかの分圧を構成し
ている)中で速やかに結晶化させることによって、30
0〜900ボルト又はそれ以上の範囲(上記の物質が酸
化性雰囲気中で処理される場合同じようにあまり強くは
印加電圧を変化させない)で比較的線形の誘電率を有す
る誘電性の結晶質物質が得られる。形成ガスを使用した
場合、誘電率は30〜40の範囲である。これらの皮膜
には、層24の亀裂や剥落は殆ど認められない。
【0034】この特定の物質は、例えばダイナミック・
ランダムアクセスメモリー用の薄膜コンデンサーを製作
するのに特に適している。高い誘電率をもった物質が得
られれば、より小さなコンデンサーを、従ってより緻密
な構造体を作製することもできる。この物質はさらに、
多くのアナログ回路用途にも有用である。上記の結晶化
プロセスは、特に、PZT皮膜を得るためのゾル−ゲル
法に関して説明してきたけれども、この結晶化プロセス
は、非晶質であるか又はあまり結晶質でない皮膜をアニ
ールするための、すなわち非晶質であるか又はあまり結
晶質でない皮膜をペロブスカイト結晶質皮膜に転化させ
るための結晶化プロセスを工程の1つとして必要とする
ような、PZT皮膜や他のペロブスカイト皮膜を得るい
かなる方法にも適用しうる、ことは言うまでもない。従
って例えば、スパッタリング処理された皮膜、他の物理
的に付着された皮膜、あるいは蒸着された皮膜なども、
コヒーレントエネルギー源(例えば、図6に関して説明
したエキシマーレーザー装置からのもの)の使用によっ
て得られる急速加熱により処理することができる。この
プロセスから得られる利点は、例えば、半導体基板や金
属皮膜を高温や酸化性環境に暴露する時間が少なくなる
ことである。このような利点は、他の方法によって作製
されるPZT皮膜や他のペロブスカイト皮膜にとっても
有用である。
【0035】本発明の好ましい実施態様について説明し
てきたが、当業者にとっては、これらの概念を組み込ん
だ他の実施態様も使用できることは明らかであろう。従
って、実施態様は開示の実施態様に限定されることはな
く、特許請求の範囲に規定の精神と範囲によって限定さ
れると考えるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】図1〜4は、本発明によるジルコン酸チタン酸
鉛の皮膜を備えたコンデンサーを有する代表的な強誘電
性メモリーセルを作製する際の工程を示した、一連の断
面図である。
【図5】本発明の1つの態様に従った強誘電性物質及び
耐放射線性メモリーとして使用するためのジルコン酸チ
タン酸鉛の皮膜の形成に使用されるプロセス工程を示し
た流れ図である。
【図6】コヒーレントエネルギーを供給してジルコン酸
チタン酸鉛の皮膜を結晶化させるための、レーザー・光
学部品集成体を示した概略図である。
【図 7】本発明の他の態様に従った、実質的に線形の
かなり高い誘電率を有するジルコン酸チタン酸鉛の皮膜
を作製する際の工程を示した流れ図である。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物質の層を結晶化させて、ペロブスカイ
    ト結晶構造を有する物質を作製する方法であって、 前記物質の層をコヒーレントエネルギーで照射して前記
    皮膜を速やかに加熱し、これによって前記皮膜をペロブ
    スカイト結晶質物質に転化させる工程を含む前記方法。
  2. 【請求項2】 前記照射工程が、約85nm〜351n
    mの範囲の波長を有するコヒーレントエネルギーのビー
    ムを前記皮膜に向けて当てることによって行われる、請
    求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記照射工程が、10ns〜50nsの
    範囲のパルス幅を有する前記コヒーレントエネルギーの
    パルスビームを当てることによって行われる、請求項1
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記照射工程が酸化性雰囲気中にて行わ
    れる、請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記照射工程が不活性雰囲気中にて行わ
    れる、請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記不活性雰囲気が、窒素;不活性ガ
    ス;及び水素と不活性ガスもしくは室素とを含んだ形成
    ガス;からなる群から選ばれる、請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 基板上にジルコン酸チタン酸鉛の皮膜を
    作製する方法であって、 (a) 鉛塩、ジルコニウムアルコキシド、及びチタン
    アルコキシドを所定の組成比で含んだ溶液を調製する工
    程; (b) 前記基板上に前記溶液を付着させて、所望の厚
    さを有する非晶質皮膜を形成させる工程;及び (c) 前記非晶質皮膜をコヒーレントエネルギーで照
    射して、前記皮膜をジルコン酸チタン酸鉛の結晶質物質
    に転化させる工程;を含む前記方法。
  8. 【請求項8】 前記鉛塩が酢酸鉛三水和物であり、前記
    ジルコニウムアルコキシドがジルコニウムプロポキシド
    であり、そして前記チタンアルコキシドがチタンイソプ
    ロポキシドである、請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記の溶液調製工程が、前記酢酸鉛三水
    和物を酢酸中に溶解した後に、前記酢酸鉛三水和物に対
    し脱水和処理を施す工程をさらに念む、請求項8記載の
    方法。
  10. 【請求項10】 前記の溶液調製工程が、脱イオン水1
    部に対して溶液2.0〜1.0部の比率で脱イオン水を
    導入することによって、溶液の粘度を調節する工程をさ
    らに含む、請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 皮膜をコヒーレントエネルギーで照射
    する工程において、このようなエネルギー源が85nm
    〜351nmの範囲の波長を有するエネルギーを供給す
    る、請求項10記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記コヒーレントエネルギーが、パル
    ス1つ当たり50〜500mJ/cmの範囲のエネル
    ギーレベルを有する、請求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記炉が、炉全体を流動している状態
    の、主として酸素で構成された雰囲気を有する、請求項
    7記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記炉が、窒素、アルゴン、不活性ガ
    ス、ヘリウム、及び形成ガスからなる群から選ばれるガ
    スを含んだ、炉全体を流動している状態の非酸化性雰囲
    気を有する、請求項7記載の方法。
  15. 【請求項15】 基板上にジルコン酸チタン酸鉛の皮膜
    を作製する方法であって、 (a) 鉛塩、ジルコニウムアルコキシド、及びチタン
    アルコキシドを所定の組成比で含んだ組成物を溶液の形
    で調製する工程; (b) 前記基板上に前記溶液を付着させて、所望の厚
    さを有する皮膜を形成させる工程; (c) 被覆された基板を100℃〜400℃の範囲の
    温度を有する局在化された熱源にて処理することによっ
    て前記皮膜を安定化させて、前記熱源に隣接した皮膜の
    部分を先ず最初に安定化させつつ、前記熱源から取り除
    かれた皮膜の部分を先ず最初に不安定化させ、これによ
    って皮膜を通して有機物を追い出す工程;及び (d) エキシマーレーザーからのコヒーレントエネル
    ギーのビームを前記皮膜に当てて、前記皮膜をジルコン
    酸チタン酸鉛の結晶質物質に転化させる工程;を含む前
    記方法。
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KR20230094485A (ko) * 2021-12-21 2023-06-28 포항공과대학교 산학협력단 페로브스카이트 화합물의 광전도성 조작 방법 및 이를 이용한 광전자 소자
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