JPH05196201A - P/f効果を利用した蒸気原動機 - Google Patents

P/f効果を利用した蒸気原動機

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JPH05196201A
JPH05196201A JP552792A JP552792A JPH05196201A JP H05196201 A JPH05196201 A JP H05196201A JP 552792 A JP552792 A JP 552792A JP 552792 A JP552792 A JP 552792A JP H05196201 A JPH05196201 A JP H05196201A
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gas
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deuterium
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JP552792A
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English (en)
Inventor
Shuzo Moroto
脩三 諸戸
Masao Kawai
正夫 川合
Hiroshige Fukatsu
裕成 深津
Shinichi Takagi
真一 高木
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Aisin AW Co Ltd
Original Assignee
Aisin AW Co Ltd
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  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃焼ガスを用いず、有毒ガス及びCO2 ガス
を排出しない蒸気原動機を提供し、重水の消耗がなく、
重水素ガスを利用することのできるP/F効果装置を蒸
気原動機の蒸気発生器として利用する。 【構成】 電解液13を含む重水中に、一部が水面上に
露出した陽極11と、水素吸蔵金属の陰極12が浸り、
それらが圧力容器16に密閉収容され、その内部に重水
素ガスD2 21が充填されている。この陰極12に接触
乃至近接した位置に作動流体を通し、蒸気生成管20を
配置して、陰極12で発生した過剰熱を利用して蒸気発
生管20内で作動流体を蒸気とする。この蒸気を蒸気原
動機の蒸気源とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、P/F効果を利用した
蒸気原動機装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、蒸気原動機には石油、石炭等の化
石燃料又は薪を利用したものや、核分裂を利用したもの
があった。図5に従来の蒸気原動機の全体構成図の一例
を示す。この蒸気原動機に用いる蒸気発生器101に
は、石油、石炭等の化石燃料等の燃料ガス102が供給
される。この蒸気発生器101内には作動流体105が
流れている多数のパイプが巡らされており、ここで燃焼
されたガスと作動流体105とが熱交換を行なってい
る。燃焼されたガスは、排ガス104となって、蒸気発
生器101外へ排出される。作動流体105には例え
ば、フロンなどの有機流体が用いられ、蒸気発生器10
1内での熱交換によりガス化されて、次いで例えば、レ
シプロエキスパンダ106等で機械エネルギーとして取
り出される。レシプロエキスパンダ106から排出され
たガスは冷却されて液化した作動流体105と再生熱交
換器107で熱交換され、さらに冷却ファン108を利
用したコンデンサ109で液体に凝縮される。液体にさ
れた作動流体105は給液ポンプ110により前記再生
熱交換器107で熱交換され再び蒸気発生器101内へ
供給される。このようにして、蒸気発生器101で発生
した蒸気を機械エネルギーとして利用していた。
【0003】一方、1989年3月、ユタ大学で、ポン
ズ教授とフライシュマン教授らにより、エネルギー発生
装置が発表された。その装置は、重水酸化リチウムLi
ODを含んだ重水D2 Oにパラジウム等の水素吸蔵金属
材料を陰極とし、白金を陽極としたものに直流電流を供
給して電気分解を行なうものであり、電気分解によって
陰極で発生した重水素原子を陰極に吸蔵し続けることに
よって、その装置によれば、入力エネルギーに対して高
い出力エネルギーが熱エネルギーとして得られた。この
ようなエネルギー発生の効果は、今ではP/F効果と呼
ばれ、このエネルギー発生装置はP/F効果装置と呼ば
れている。
【0004】そして、この過剰熱を利用する装置が国際
公開第90/10935号パンフレットの図1〜図8に
開示されている。この装置は、蒸気を通す管が電解液中
に通され、この蒸気が熱媒体となって過剰熱により昇温
された電解液から熱を奪い、該熱は蒸気発生装置で電気
エネルギーに変換されるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の蒸気原動機の蒸
気発生器では、化石燃料や薪を利用したものは、排気ガ
スとしてCO、NOX などの人体に有害なガスや、CO
2 のように地球温暖化に関与する排気ガスが生じてい
た。また、その蒸気発生器では作動流体を加熱するには
燃焼ガスを使用するので多大な熱交換面積を必要とし、
そのために蒸気発生器自体が大型になっていた。
【0006】核分裂による熱エネルギーを利用する蒸気
発生器では、放射線を閉じ込めるための隔壁を必要と
し、装置が大型のものとなり、また、使用中に放射性廃
棄物が生成するので、その放射性廃棄物の処理の問題が
あった。一方、従来、P/F効果装置は、比較的簡単な
装置で熱エネルギーが得られるので、その利用が期待さ
れていた。ところで従来のP/F効果装置においては、
電解質がアルカリ性のものと、酸性のものがあった。ア
ルカリ性電解質を用いるP/F効果装置では、陽極で式
(1)に示すような酸素ガスO2 を発生する反応が起こ
っている。
【0007】
【化1】
【0008】ここでOD- 及びe- は重水酸化イオン、
および電子を各々あらわす。この反応が起こるために
は、最低1. 7 V(RHE基準)程度の電位を必要と
し、このようにP/F効果装置に入力するエネルギーが
多大なため、その装置の出力/入力エネルギー比を低下
させる主要因となっていた。また、重水D2 O電解液に
含まれる重水酸化リチウムLiOD等の電解質は低電気
伝導性であるため電気分解を行なうと溶液の電気抵抗に
よるジュール熱が発生し、溶液及び電解槽が加熱される
ことになる。このような発熱も入力エネルギーを余計な
熱エネルギーにするだけで、この装置のエネルギー効率
を低下させる要因のひとつであった。
【0009】また、酸性電解質を用いたP/F効果装置
においては、陽極では、重水D2 Oが次式(2)で示さ
れるように反応し酸素ガスO2 を発生していた。
【0010】
【化2】
【0011】この酸性溶解液における酸素ガスO2 発生
反応はアルカリ性電解液での同反応(式(1))を行な
うための電位すなわち、最低1. 7 V(RHE基準)程
度の電位よりも更に高電位を必要とすることが知られて
いる。したがって、アルカリ性電解液を用いたP/F効
果装置と同様に、その装置の出力/入力エネルギー比を
低下させる主要因となっていた。
【0012】さらに、密閉型のP/F効果装置、すなわ
ち重水素ガスD2 と酸素ガスO2 を再び装置内で重水D
2 Oに変換する型の装置においては、白金やパラジウム
等の触媒を用いた変換装置、及びその温度を200℃程
度に保つ温度制御装置が必要である等の問題点があっ
た。そして、このP/F効果装置から取り出される熱エ
ネルギーを蒸気エネルギーの形態で利用することは具体
化されていなかった。
【0013】そこで、本発明は、上記の問題点を解決し
た、すなわち、蒸気原動機の作動流体を加熱するのに燃
焼ガスを用いることなく、また、健康に有害なガス、お
よび地球温暖化の原因となるCO2 ガスを発生すること
がなく、放射性廃棄物の処理の問題のない、蒸気原動機
を提供することを目的とする。さらに、本発明は、エネ
ルギー効率の良く、重水D2 Oの消耗が無く、重水素ガ
スD2 と酸素ガスO2 を重水D2 Oへ変換する装置を必
要としない連続運転可能なP/F効果装置を利用した、
蒸気原動機を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記した問題点を解決す
るために本発明は、蒸気原動機において、蒸気発生器の
構成を圧力容器中に電解液が上部空間部を残し、水素吸
蔵金属またはその合金からなる陰極が浸るように収容さ
れ、圧力容器中の残りの空間には加圧された重水素ガス
2 が充填されており、重水素ガスD2 が電極の反応点
まで気体の状態で供給される機能を持つ陽極が圧力容器
中に前記陰極に対向して配置されており、且つ陽極の少
なくともその一部が重水素ガスD2 中に露出し、陽極の
他の部分が前記電解液に接するように収容され、該陰極
と該陽極とに外部電圧が接続され、前記陰極に接触乃至
近接した位置に作動流体を通したことを特徴とする蒸気
発生器とするものである。
【0015】図1は、本発明の蒸気原動機で用いる蒸気
発生器に使用されるP/F効果装置の概念を示す図であ
る。6は、密閉可能な圧力容器である。この圧力容器6
中にパラジウム等の水素吸蔵金属からなる陰極2と、重
水素ガスD2 をイオン化する働きのある陽極1が配置さ
れている。この圧力容器6内には前記陽極1および陰極
2が浸るように電解液3が収容されている。電解液3と
しては、例えば、LiODを用いる。また、この圧力容
器6中には加圧された重水素ガスD2 が充填されてい
る。
【0016】陽極1の配置は、一部電解液3中に、他の
一部を重水素ガスD2 中に接触するように配置すると酸
素ガスO2 の発生のない反応が可能となる。その陽極1
となる材料には、ガス拡散電極またはパラジウム等があ
り、そのガス拡散電極は、通常、多孔質の反応層とガス
供給層がプレス成形されたものであり、反応層は親水性
カーボン粉末とポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)とによって成形した多孔質成形体に白金触媒を塗布
等により高分散状態で担持したものである。
【0017】前記圧力容器6の内壁は耐蝕性材料によっ
て被覆されている。この材料としては例えば、PTFE
が使用されるが、電解液3に対して耐蝕性のある金属、
例えば、白金、ニッケル等をメッキ等の方法によりコー
ティングしてもよい。陽極1および陰極2には外部電源
として、P/F効果の状況に応じて与えるべき電流が調
整されるよう電流制御装置7が接続されている。また、
圧力容器6内に導入される重水素ガスD2 は、そのガス
圧を調整するために、圧力容器6の外に重水素ガス供給
装置8、およびそれに続く重水素ガス制御装置9を通し
て圧力容器6中に導入される。
【0018】本発明の蒸気原動機の蒸気発生器は、P/
F効果装置から発生する熱エネルギーを蒸気エネルギー
の形態で取り出すものである。本発明の蒸気原動機に使
用するP/F効果装置の反応機構を次に説明する。その
P/F効果装置は、電解質を含む重水D2 O中で、陽極
と、水素吸蔵金属またはその合金から本質的になる陰極
とに電圧を印加してP/F効果反応を行なわせる形式の
P/F効果装置において、陽極に重水素ガスD2 を供給
することによって、陽極で酸素ガスO2 を発生させる反
応を行なわせることなく、次の式(3)
【0019】
【化3】
【0020】で示す重水素ガスD2 を重水素イオンD+
とする反応を行なわせるP/F効果装置である。本発明
をさらに説明すれば、本発明のP/F効果を利用した蒸
気原動機では、前記式(3)で示す重水素ガスD2 を重
水素イオンD+ とする反応を行なわせるためには、次の
手段によって行なう。
【0021】すなわち、本発明の蒸気原動機を密閉型と
し、この中に重水素ガスD2 を高圧で充填することによ
り、前記式(3)で示される電解液への重水素ガスD2
のイオン化反応(式(3))速度を速める。ところで、
電解法によるP/F効果反応ではパラジウム等の水素吸
蔵金属またはその合金を陰極とし、その陰極中に重水素
原子Dを高密度に充填しなければならない。その場合、
本発明における電解液として重水酸化リチウムLiOD
等のアルカリ性重水溶液を用いるP/F効果の陰極での
反応機構は、次の式のようになる。
【0022】
【化4】
【0023】
【化5】
【0024】
【化6】
【0025】式(4)により陰極表面に生じた吸着重水
素原子D(a)は、式(6)で示されるように陰極であ
るパラジウム内部へ吸収されるか(この状態をD(P
d)と表す)、さらにまたは式(5)で示されるよう
に、重水素ガスD2 となってパラジウム表面より遊離す
る。式(3)の反応をおこなわせるためには、陽極に十
分な量の重水素ガスD2 を供給し、印加する電圧を、従
来水の電気分解に必要とされていた1.7V(RHE基
準)よりはるかに少ない電圧を印加して行なう。
【0026】式(3)の反応は電気分解型の反応ではな
く燃料電池型の反応であるため、通常、式(3)の反応
を行なわせてP/F効果を行なわせるために、装置に印
加する電圧は約0.53V(1MLiOD中、電流密度
64mA/cm2 )程度である。さらに詳細に説明すれ
ば、陽極で起こる反応、すなわち、式(3)に示される
反応に必要な過電圧は上記の条件時0.01V程度であ
り、また陰極で起こる反応、すなわち式(4)、式
(5)、式(6)に示される反応に必要な過電圧は同条
件下で−0.52V程度であるので、P/F効果装置全
体に印加されるセル電圧は、陽極過電圧−陰極過電圧=
0.01V−(−0.52V)=0.53Vになる。し
たがってセル電圧の大部分は陰極過電圧による。ただ
し、その際考慮されるべきことは、電解液の種類、濃
度、および陰極/陽極間の距離によって異なるが、電解
液にはそれぞれ一定温度で固有の電気抵抗Rを有するの
で、電解電流iと電気抵抗Rとの積、iR分だけの電圧
が一般には余分に必要となる。したがって、このiRの
成分が大きい程、セル電圧と陰極過電圧の絶対値との差
が大きくなる。
【0027】また、本発明において電解液としてD2
4 、DCl等の酸性電解液を用いた場合には陰極では
重水D2 Oが式(4)のように放電する代わりに重水素
イオンD+ が次の式(7)のように放電する。
【0028】
【化7】
【0029】ここで、陰極表面に生じ、陰極に吸着され
た重水素原子D(a)はアルカリ性電解液中と同様に式
(5)に示されるように重水素ガスD2 となって遊離す
るか、あるいは式(7)で示されるように原子状のまま
陰極内部へ拡散し、溶解する。本発明においては、陽極
として重水素ガスD2 のイオン化反応(式(3))に対
して高活性を有するガス拡散電極等を配置し、該陽極へ
の重水素ガスD2 の供給を充分に保障することにより電
解液がアルカリ性でも酸性でも陽極での反応を式(3)
とすることができ、陰極への重水素原子D(a)の充填
に要する過電圧を大幅に減少させ、P/F効果を利用し
た蒸気原動機への必要な入力エネルギーを低くすること
ができる。
【0030】ここで、陽極および陰極における個別の反
応をまとめて装置全体としての反応という面からみると
従来型のP/F効果装置では電解液がアルカリ性では式
(4)、式(5)、式(6)、式(1)の総和として、
酸性では式(7)と式(2)の総和として、いずれの液
性でも、次の式(8)
【0031】
【化8】
【0032】で示されるように重水D2 Oが電気分解さ
れて重水素ガスD2 と酸素ガスO2 が発生し、重水素D
の一部は重水素原子D(a)としてパラジウム内部へ溶
解吸収される。このとき従来型のP/F効果装置では陰
極へ充填される重水素原子D(a)は重水D2 Oから供
給されるので、重水D2 Oの消耗が起きていた。しかし
ながら、本発明のP/F効果を利用した蒸気原動機にお
いては、アルカリ性電解液では陰極反応は従来型のもの
と同様に式(4)、式(5)、式(6)で与えられる
が、陽極反応は式(3)で与えられ、陽極で生じた重水
素イオンD + と陰極で生成した重水酸化イオンOD-
が反応して重水D2 Oに戻るため、全体として起きるの
は重水D2 Oの電気分解による消耗ではなく重水素ガス
2 の陰極中への溶解、吸収による重水素ガスD2 の消
耗のみである。
【0033】一方、酸性電解液でも同様に重水素ガスD
2 の陽極反応は式(3)のようになり、生成した重水素
イオンD+ が、式(7)に示されるように陰極で放電し
て再び重水素原子D(a)に戻るので、全体としては重
水D2 Oあるいは電解質の消耗は起きず、陰極中への重
水素Dの溶解、吸収による重水素ガスD2 の消耗のみで
ある。
【0034】つぎに、上記に説明した新しい原理に基づ
くP/F効果により発生する過剰熱を機械エネルギーと
して取り出すための蒸気原動機についてさらに説明す
る。本発明の蒸気原動機とは、発熱体である陰極に、作
動流体が通っている蒸気生成管を直接埋め込んだり、陰
極に極近接して、間接的に蒸気生成管を配設することに
よって、陰極から発生する熱により、液体である作動流
体を蒸気に変換するものである。なお、作動流体には、
前記圧縮水の他、通常蒸気原動機に用いられているもの
であれば、例えば、フロン系の有機流体などが使用可能
である。
【0035】
【作用】本発明の蒸気原動機の蒸気発生器は、P/F効
果により発熱する陰極に接触乃至近接した蒸気生成管を
配置しているので、P/F効果により発生する熱を蒸気
生成管内に搬送されている作動流体を蒸気に変換して取
り出すことができる。本発明のP/F効果を利用した蒸
気原動機の蒸気発生器は、従来型のP/F効果装置のよ
うに電解槽とそれを取り囲む圧力容器からなる二重構造
とせずに、電解液を圧力容器中に直接収容したので、次
の作用を有する。
【0036】P/F効果によって生じた熱および電解電
流によって生じたジュール熱により電解液が蒸発し、そ
の蒸発した電解液は、蒸気発生器の圧力容器壁で凝縮
し、圧力容器壁の底に次第に集まる。この場合、前記従
来の二重構造のP/F効果装置であれば、電解槽の外側
の圧力容器の底に凝縮した電解液が溜まり、電解槽の電
解液は最終的には電解できなくなるまで減ってしまう
が、本発明では、蒸気原動機に使用する蒸気発生器を前
記構成としたので、蒸発し、凝縮した電解液は電解槽に
戻るために連続して再利用することができる。
【0037】また、本発明によれば、本発明におけるP
/F効果反応は圧力容器内の重水素ガスD2 の圧力によ
ってガス拡散電極で前記式(3)の重水素ガスD2 をイ
オン化する反応が進み、その結果P/F効果反応が起こ
ることになる。
【0038】
【実施例1】図2は、本発明のP/F効果を利用した蒸
気原動機に使用する蒸気発生器の実施例を示す。16
は、密封可能な圧力容器である。この圧力容器16内に
は、パラジウム等の水素吸蔵金属からなる陰極12と、
重水素ガスD2 21をイオン化する働きのある陽極11
が配置され、前記陽極11および陰極12が浸るように
電解液13が収容されている。この圧力容器16内には
この圧力容器16中に作動流体が流れている蒸気発生管
20が、圧力容器16外から導入され、陰極12から熱
を奪い液体であった作動流体を蒸気に変換し、圧力容器
16から排出されている。この蒸気発生管20の電解液
13に浸されている一部分に前記陰極12が覆い包むよ
うに形成されている。
【0039】この陰極12に対向して、実質的等距離を
おいて、ガス拡散電極またはパラジウム等からなる陽極
11が配置されている。また、この圧力容器16中には
加圧された水素ガスH2 および重水素ガスD2 が充填さ
れている。陽極11の配置は、一部電解液13中に、他
の一部を重水素ガスD2 21中に接触するように配置す
ると酸素ガスO2 の発生のない反応が可能となる。その
陽極11となる材料がガス拡散電極である場合、その電
極は、多孔質の反応層とガス供給層がプレス成形されて
製造される。その成形材料は、反応層が親水性カーボン
粉末とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とによ
って成形した多孔質成形体に白金触媒を塗布等により高
分散状態で担持したものである。
【0040】前記圧力容器16の内壁はPTFE等の耐
蝕性材料によって被覆されている。一般的には、パラジ
ウム等の水素吸蔵金属は、その体積の900〜1000
倍程度の容積の重水素ガスD2 をその内部に吸収できる
ことが知られており、この点を考慮して予め本発明に使
用されるP/F効果装置の初期重水素圧を設定し、陰極
12への重水素充填後の最終重水素ガスD2 21のガス
圧が、電解液13の温度上昇による沸騰を防止するに充
分な圧力以下にならないようにしておけば、装置の運転
中はこの初期重水素圧が減少するだけで重水素ガスD2
21の補充の必要はない。
【0041】本実施例の蒸気発生器の陰極12および陽
極11に過電圧を印加してP/F効果による過剰熱を発
生させ、蒸気発生管20に作動流体を流すことにより、
陰極12で液体が蒸気になり、蒸気として取り出すこと
ができる。
【0042】
【実施例2】図3は、本発明のP/F効果を利用した蒸
気原動機に使用する蒸気発生器の別の実施例を示す。3
1は、重水素イオンD+ を生成する作用のある陽極であ
り、板状の2枚のガス拡散電極によって構成されてい
る。この陽極31は、蒸気発生器内に収容された電解液
33中に浸されており、その一部は液面上に突出して、
蒸気発生器中に加圧充填されている重水素ガスD2 41
に接触している。32は、水素吸蔵金属板からなる陰極
であり、重水素原子D(a)を吸蔵してP/F効果反応
を起こし、この陰極32内で過剰熱が発生する。
【0043】そして、この陰極32は、圧力容器36を
構成している熱伝導性の良い壁に接合されている。この
圧力容器32の壁は、耐水性・耐蝕性の材料でできてお
り、例えば、ステンレス、セラミックが用いられる。さ
らに、この圧力容器36の外側には、作動流体が流れて
いる蒸気発生管40が圧力容器36を包み込むように密
着して配管されている。
【0044】このように構成された蒸気発生器の陰極3
2および陽極31に過電圧を印加してP/F効果による
過剰熱を発生させ、蒸気発生管40に作動流体を流すこ
とにより、陰極32の近傍で作動流体は蒸気になり、蒸
気として取り出すことができる。
【0045】
【実施例3】図4に、本発明の蒸気原動機の全体構成図
の実施例を示す。この蒸気原動機には、前記実施例1又
は2で説明した蒸気発生器を使用することができる。2
01は蒸気発生器で、作動流体205が流れている多数
のパイプが巡らされており、ここで、P/F効果により
発生した過剰熱で熱せられた陰極と熱交換を行なってい
る。蒸気発生器201へ供給する作動流体205には、
例えば、フロン系の有機流体が用いられ、蒸気発生器2
01内での熱交換によりガス化されて、次いで、例え
ば、ロータリエキスパンダ206で機械エネルギーとし
て取り出される。ロータリエキスパンダ206から排出
されたガスは冷却されて液化した作動流体205と再生
熱交換器207で熱交換され、さらに冷却ファン208
を利用したコンデンサ209で液体に凝縮される。液体
にされた作動流体205は給液ポンプ210により前記
再生熱交換器207で熱交換され再び蒸気発生器201
内へ供給される。このようにして、蒸気発生器201で
発生した蒸気を機械エネルギーに変換して利用すること
ができる。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、本発明の蒸気原動機の
蒸気発生器は、P/F効果により発熱する陰極に接触乃
至近接した蒸気発生管を配置しているので、P/F効果
で発生する熱により、蒸気発生管に搬送されている作動
流体を蒸気に変換して取り出すことができる。したがっ
て、蒸気に変換するための熱源として燃焼ガスを用いな
いので、健康に有害なガス、および地球温暖化の原因と
なるCO2 ガスを発生することなく、また、放射性廃棄
物の処理の問題のない、コンパクトな蒸気原動機とする
ことができる。
【0047】また、本発明の蒸気原動機の蒸気発生器
は、電解質を含む重水D2 Oが圧力容器中に直接収容さ
れているので、すなわち、圧力容器がそのまま電解液を
収容した電解槽となっているので、電解質を含む重水D
2 Oが徐々に蒸発して凝縮をくりかえしても、陽極およ
び陰極は絶えず電解液に浸された状態となり、P/F効
果を連続して行なうことができる。
【0048】また、本発明の蒸気原動機の蒸気発生器で
行なわれるP/F効果反応は、エネルギー効率が良く、
重水D2 Oの消耗が無く、重水素ガスD2 と酸素ガスO
2 を重水D2 Oへ変換する装置を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蒸気原動機で用いるP/F効果装置の
概念を示す図。
【図2】本発明の蒸気原動機で用いるP/F効果を利用
した蒸気発生器を示す。
【図3】本発明の蒸気原動機で用いるP/F効果を利用
した別の蒸気発生器を示す。
【図4】本発明の蒸気原動機の全体構成図を示す。
【図5】従来の蒸気原動機の全体構成図を示す。
【符号の説明】
1,11,31 陽極 2,12,32 陰極 3,13,33 電解液 4 耐腐食コーティング 6,16,36 圧力容器 7 電流制御装置 8 重水素ガス供給装置 9 重水素ガス圧制御装置 20,40 蒸気発生管 21,41 重水素ガスD2 201 蒸気発生器 205 作動流体 206 ロータリーエキスパンダ 207 再生熱交換器 208 冷却ファン 209 コンデンサ 210 給液ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 真一 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蒸気原動機において、圧力容器中に電解
    液が上部空間を残し、水素吸蔵金属またはその合金から
    なる陰極が浸るように収容され、圧力容器中の残りの空
    間には加圧された重水素ガスD2 が充填されており、重
    水素ガスD2 が電極の反応点まで気体の状態で供給され
    る機能を持つ陽極が圧力容器中に前記陰極に対向して収
    容されており、且つ陽極の少なくともその一部が重水素
    ガスD 2 中に露出し、他の部分が前記電解液に接してお
    り、前記陰極と前記陽極とに外部電圧が接続され、前記
    陰極に接触乃至近接した位置に作動流体を通した蒸気発
    生機を用いたことを特徴とするP/F効果を利用した蒸
    気原動機。
JP552792A 1992-01-16 1992-01-16 P/f効果を利用した蒸気原動機 Withdrawn JPH05196201A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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