JPH05194933A - 還元剤 - Google Patents

還元剤

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JPH05194933A
JPH05194933A JP16969992A JP16969992A JPH05194933A JP H05194933 A JPH05194933 A JP H05194933A JP 16969992 A JP16969992 A JP 16969992A JP 16969992 A JP16969992 A JP 16969992A JP H05194933 A JPH05194933 A JP H05194933A
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清則 古川
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律司 鳥羽
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威 嶋崎
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Abstract

(57)【要約】 【目的】銅と樹脂との接着において使用する、銅表面の
銅酸化物層を金属銅に還元するための還元剤を提供する
こと。 【構成】 下記の一般式、 BH3・NHRR' (式中、R, R' は H , CH3, CH2CH3のいずれかを示すで
ある。)で表わされる群の中から選ばれた少なくとも一
つの化合物を含むことを特徴とする銅表面の銅酸化物層
を金属銅に還元するための還元剤。 【効果】 この還元剤を使用すれば、銅と樹脂との接着
前後における耐酸性の問題を避けて良好な接着を行うこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、接着力と耐酸性とを両
立させた銅と樹脂との接着において使用する銅表面の銅
酸化物層を金属銅に還元するための還元剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属と樹脂の接着に際しては、直
接平滑な金属表面を接着することでは十分な接着力が得
られないため、Plating and Surface Finishing, vol.6
9, No.6pp96〜99 (1982年6月) に記載のように、金属
表面に接着力を向上させるための酸化物層を形成する方
法が知られていた。しかしながら、一般に多くの金属の
酸化物は、酸性水溶液に接触すると容易に加水分解して
金属イオンとして溶解するという問題があった。
【0003】従来より、銅と樹脂との接着のための銅の
表面処理法として、種々の方法が検討されている。しか
しながら、銅表面にそのまま樹脂を接着しても十分な接
着力を得ることは困難である。このため、接着力を向上
させる目的で銅の表面処理法として、種々の方法で銅表
面に酸化第1銅、酸化第2銅等の酸化物層を形成する方
法が検討されている。例えば、過硫酸カリウムを含むア
ルカリ性水溶液、あるいは、亜塩素酸ナトリウムを含む
アルカリ性水溶液を用いて、接着する銅表面を処理し、
酸化物層を形成する方法が知られていた。このような、
銅酸化物層を形成する方法は、接着力の向上にはきわめ
て有効な方法であった。しかし、一般に銅の酸化物は酸
と接触すると加水分解により容易に溶解してしまうた
め、処理後接着までの間に酸との接触を避ける必要があ
った。また接着後においても、酸処理を行なう場合、接
着面を貫通する穴の内面や切断面端部に露出した接着界
面の酸化物層が溶解して界面に酸がしみ込み、接着界面
の酸化物層が失なわれるという、接着上好ましくない現
象が起こることが指摘されていた。この現象は、特に接
着後に、接着界面を貫通するスルーホール孔あけ工程
と、スルーホールめっきのための各種酸処理工程とを有
する。多層印刷配線板の積層接着工程における、銅回路
とプリプレグ樹脂の接着において、大きな問題であっ
た。
【0004】特開昭56−153797では、酸化第二銅を酸化
第一銅に還元する方法により、この耐酸性の問題を解決
した旨の記載がある。一般に酸化第一銅は酸化第二銅に
比べると酸に対して溶解しにくいと云われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、耐酸
性が良好で、かつ十分高い接着力を与える銅と樹脂との
接着、特に、高い信頼性を要求される多層印刷配線板の
積層接着に好適な、銅と樹脂との接着において使用す
る、銅表面の銅酸化物層を金属銅に還元するための還元
剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】一般に、酸化物層の形成
による接着力の向上は、銅酸化物と樹脂との化学的親和
性が金属銅と樹脂との化学的親和性より高いことが寄与
していると考えられる。例えば、プリント配線板に使用
されている銅張積層板においては、接着面 (いわゆるマ
ットサイド) は大きな凹凸を有する粗面となっており、
この投錯効果により十分な接着力を与えうる。これに対
し、研磨した銅表面、通常のめっき表面、エッチング面
等平坦な表面を有する銅表面では、そのまま樹脂を接着
しても十分な接着力を得ることは困難であった。ところ
で、前述のような処理により形成された酸化物層は微細
な凹凸を持った表面となっている。この微細な凹凸によ
る機械的投錯効果が接着力の向上の主因であるとすれ
ば、必ずしも酸化物層を形成しなくとも十分な接着力を
得ることが可能なはずである。例えば、酸によって溶解
しない金属銅によってこのような微細な凹凸を実現し、
十分な接着力を得ることができれば、前述した耐酸性の
問題を回避することができると考えられる。このような
観点から種々検討を行った結果、発明者らは、銅表面に
一旦酸化物層を形成した後、この酸化物層を還元して金
属化することにより、良好な耐酸性と、酸化物層を介し
て接着した場合と同等の接着力を実現できることを見出
した。このことは、酸化物層の形成による接着力向上の
主因が、酸化物層形成に伴って生じた表面の微細な凹凸
による機械的投錯効果にあるという前記推論を裏づける
ものである。この場合、はじめに銅酸化物層を形成する
方法としては、酸化剤を含む中性もしくはアルカリ性の
水溶液を適用するのが良い。例えば、亜塩素酸ナトリウ
ム、過硫酸カリウム等の酸化剤を含むアルカリ性水溶液
で処理する方法が接着力の点で良好な結果が得られる。
また、形成される酸化物層は酸化第一銅、酸化第二銅い
ずれでも良い。
【0007】一方、形成した酸化物層を還元する方法と
しては、電解質溶液中で外部より電流を通じ電気化学的
に還元する方法が考えられる。しかしながら電気化学的
な還元方法を適用するためには、還元処理部分がすべて
電気的に接続されていることが必要であり、電気的に独
立した部分のある場合には適用できない。例えば、プリ
ント配線板を例にとると、配線パターンを形成した後で
は、多くの場合外周部とは電気的に接続されていない島
状部分が存在するために、電気化学的な還元方法を全面
にわたって適用することは困難である。これらの場合に
は、化学的な薬品処理により、酸化物層を金属銅に還元
することが望ましい。水溶液とで用いる還元剤として
は、ホルムアルデヒド、次亜リン酸塩、ヒドラジン等が
あり、ホルムアルデヒドは、無電解銅めっき還元剤とし
て有効である。しかし、発明者らが検討した結果によれ
ば、これらの還元剤によっては、前記酸化物層を金属銅
に還元することは、通常の条件下では困難であった。例
えば、ホルマリンによって処理された銅箔の表面は、酸
化物層の形成によって焦茶色を呈したが、ホルマリン処
理後も同じ焦茶色のままであった。しかし、これを1:
1塩酸に浸漬すると、焦茶色は容易に消失し、金属銅特
有の明るい肌色に変化した。これは、酸化物層が金属化
されずに酸と接触し、溶解したためである。次亜リン酸
塩、或いはヒドラジンについても同様の結果であった。
これらの還元剤については、濃度、pH、処理温度と変え
ても、酸化物層の金属化は達成されなかった。
【0008】発明者らの検討した範囲では、銅表面に形
成した酸化物層を金属銅に還元できる還元剤はきわめて
限らており、一般式、BH3・NHRR'(式中、R, R' は H , C
H3,CH2CH3のいずれかを示す。) で表わされる限られた
アミンボラン類、例えば、ジメチルアミンボラン、アン
モニアボラン等のみであった。これらのアミンボラン類
の少なくとも一種類を含む水溶液を用いて予め酸化物層
を形成した銅表面を処理すると、1:1塩酸に直接浸漬
しても、変色, 溶解が見られなかった。これは、酸化物
層がジメチルアミンボランを含む溶液を用いた還元処理
により、酸に不溶な金属銅に還元されたためである。上
記銅酸化物層形成処理後の銅箔をX線回折により分析し
た結果、CuO 特有の回折線が観測され、銅表面に酸化第
二銅の皮膜が形成されていることが確認された。一方、
ジメチルアミンボラン溶液による還元処理後の銅箔表面
からは、 CuOに対応する回折線は検出されなかった。
【0009】またCu2O に対応する回折線も観測され
ず、酸化物層が完全に金属銅に還元されていることが確
認された。還元処理後の銅表面は、平坦な金属銅表面特
有の明るい肌色ではなく、前述のようにむしろ酸化膜の
色調に近い焦茶色を呈していた。このことは、酸化物層
の形成によって生じた焦茶色の色調が、表面の微細な凹
凸を持った形状に由来しており、その形状が、還元処理
後の金属化された表面層でも保持されていることを示し
ている。このような表面での触媒活性の差は、電気化学
的な手法により明らかに示すことができる。ホルムアル
デヒド、ホウ水素化ナトリウム, ヒドラジン等の銅電極
上でのアノード分極曲線を測定すると、電極表面が金属
銅である領域では、電位が貴になる程電流値の増加が観
測されるが、更に貴な電位の銅電極表面が酸化されて銅
酸化物層で覆われる領域に入ると、電流値が急激に減少
することが知られている。このことは、銅酸化物上で
の、これらの還元剤の活性の低さを表わしている。これ
に対し、発明者らが検討した結果によれば、前記特定の
アミンボラン類の場合、銅表面に銅酸化物が形成される
電位領域においても、電流値は減少することはなく、電
位が貴になる程増加することが見出された。これは、前
記特定のアミンボラン類が、銅酸化物上でも、十分良好
な還元力を持っていることの現れである。
【0010】このように、特定のアミンボラン類のみ
が、形成された酸化物層の還元に有効なのは、主として
銅酸化物上での各種還元剤の反応の活性の差に基づくも
のと推定される。承知のように、ホルムアルデヒドは、
無電解銅めっきの還元剤として広く用いられており、銅
表面で起るホルムアルデヒドの酸化反応は、熱力学的に
みて銅酸化物を金属銅に還元するに十分な標準電極電位
を持っている。しかしながら、既に述べたように、ホル
ムアルデヒドによっては、銅酸化物を金属銅に還元でき
ないのである。銅表面でのホルムアルデヒドの酸化反応
は、金属銅表面の触媒能に大きく依存しており、銅酸化
物上では、銅酸化物表面が金属銅表面のように良好な触
媒作用を持たないために、銅酸化物を還元することがで
きないものと推定される。ホウ水素化ナトリウム、ヒド
ラジン等についても、同様であろう。これに対し、前記
特定のアミンボラン類の場合には、その酸化反応が表面
の触媒能にあまり依存しないために、銅酸化物上でもす
みやかに反応が起こり、これを金属銅に還元できるもの
と思われる。このような、表面での触媒活性の差は、電
気化学的な手法により明らかに示すことができる。ホル
ムアルデヒド、ホウ水素化ナトリウム, ヒドラジン等の
銅電極上でのアノード分極曲線を測定すると、電極表面
が金属銅である領域では、電位が貴になる程電流値の増
加が観測されるが、更に貴な電位の銅電極表面が酸化さ
れて銅酸化物層で覆われる領域に入ると、電流値が急激
に減少することが知られている。このことは、銅酸化物
上での、これらの還元剤の活性の低さを表わしている。
これに対し、発明者らが検討した結果によれば、前記特
定のアミンボラン類の場合、銅表面に銅酸化物が形成さ
れる電位領域においても、電流値は減少することはな
く、電位が貴になる程増加することが見出された。これ
は、前記特定のアミンボラン類が、銅酸化物上でも、十
分良好な還元力を持っていることの現れである。
【0011】図に参考のため各種還元剤の銅電極上の分
極特性図を示す。曲線iは0.5MのNaOHに、0.1MのHC
HOを、曲線iiはN2H4を、曲線iiiはNaBH4を、曲線ivはBH
3・NH(CH3)2 をそれぞれ加えた還元液の場合である。こ
れによればi, ii, iiiの場合は−1.0〜−0.6Vまで
は電極の電位を上げるにつれて電流が良く流れるが、電
位が−0.6Vを越えると急に電流降下が起ってしまう。
しかしivの場合は−0.6Vを越えても電流が上昇してい
る。これはivの還元剤を加えた場合−0.5V付近で電極
表面上の酸化銅が金属銅に変換するためと考えられる。
【0012】また、前記特定のアミンボラン類の溶液を
用いて酸化物層の還元処理を行った場合、還元処理後の
銅と樹脂との接着力は、銅表面に酸化物層を設けること
によって達成された水準を維持しており良好な接着力と
耐酸性とが同時に実現されていることが確認された。こ
れらの特定のアミンボランを用いると、銅酸化物層が酸
化第一銅であるか、酸化第二銅であるかを問わず、金属
銅に還元することができ、酸に対する不溶化を達成する
ことができる。
【0013】一方、アミンボラン類の中でもトリメチル
アミンボラン、トリエチルアミンボランのように、アミ
ン部分の水素原子の全てをアルキル基で置換した化合物
は、水への溶解度が小さく、水溶液として用いることが
困難であり、また還元力も十分ではなく、良好な結果は
得られなかった (本願発明に係るアミンボランでは、窒
素原子に直接結合する水素原子が多い程、還元力が強い
傾向を示した。) また、同じホウ素化合物の還元剤とし
て知られているホウ水素化物、例えばホウ水素化ナトリ
ウムについても良好な結果が得られなかった。また、ホ
ウ水素化ナトリウム溶液への浸漬時間が長くなると、酸
化物層形成処理で形成した焦茶色の表面層が次第にまだ
らに褐色した。これは浸漬中に、表面形状が次第に変化
し、微細な凹凸が失われたためと考えられる。このよう
な現象は、均一な接着力を確保する点で望ましくない。
またホウ水素化物は、水溶液中では次第に水と反応して
分解してしまうため、長期間安定に使用することがむず
かしい。液を安定に保つためには、高アルカリに保つ必
要があり、取扱い上の問題が生ずる。また、分解反応
は、温度を上げることにより、促進されるので、温度を
上げて還元力を強めることがむずかしい。
【0014】本発明らは、銅と樹脂とを加熱圧着して接
着する方法として、銅表面に予め銅酸化物層を設けた
後、これに還元性溶液を適用して金属銅とすることによ
り、接着力と耐酸性とを合わせて実現することを可能と
した。還元に使用する還元剤としては、一般式、BH3・N
HRR'(R, R': H, CH3, CH2CH3) で表わされる一群の、特
定されたアミンボラン類が良好な結果を与える。尚、銅
酸化物層の形成には酸化剤を含む中性もしくはアルカリ
性の水溶液を適用することが望ましい。
【0015】本発明で使用する還元性溶液としては、弱
酸性、中性、アルカリ性の溶液を用いることができる。
pHが小さくなると、還元反応と競合して酸化物層の溶解
が起こるので好ましくない。還元反応速度は、還元剤濃
度、液温、pHに依存する。これらを高めることにより、
還元力を強めることができ、還元時間を短縮することが
できる。但し温度については、アミンボランの分解が起
こらない範囲で選ぶことが望ましい。例えばジメチルア
ミンボランの場合は70℃以下で用いることが望ましく、
また、これ以下の温度で十分還元を行うことができる。
pHについては、水酸化ナトリウム, 炭酸ナトリウム, リ
ン酸ナトリウム等を加えることにより、調整することが
できる。既に述べたように、特にアルカリを加えなくと
もすみやかに銅酸化物を還元することができるが、アル
カリを加えることにより、更に処理時間を短縮すること
ができる。
【0016】本願発明の還元剤を適用する銅としては、
電気めっき銅, 化学めっき銅, 圧延銅などを用いること
ができ、加工法によらない。銅の特性改善のため少量の
異種金属を添加しても良い。また、酸化物層の形成に先
立って、表面を研磨したり、エッチングしたりすること
は、本願発明の実施上問題はなく、表面清浄化の点で
は、これらの処理を行うことは好ましい。尚、銅の他に
も銅の合金または他の金属、例えばニッケル、コバルト
あるいはニッケルの合金、コバルトの合金等であっても
本願発明の適用の余地があるだろう。
【0017】本願発明を適用する樹脂としては、エポキ
シ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステ
ル樹脂、フェノール樹脂等を用いることができる。ま
た、ポリエチレン、ポリフェニレンサルファイド等の熱
可塑性樹脂を使用しても良い。本発明を多層印刷配線板
に適用する場合には、ガラス布等の補強材を含むこれら
の樹脂板の両面あるいは片面に、電気めっき銅, 化学め
っき銅, 圧延銅等の銅箔を設け、所望のパターンを形成
したものを用いることができ、更に、ガラス布等の補強
材にこれらの樹脂を含浸させたプリプレグを介して積層
し、加圧, 加熱することにより、接着することができ
る。このような工程により接着力、耐酸性にすぐれた、
信頼性の高い多層印刷配線板を得ることができる。
【0018】以上のように、本発明の還元剤を適用する
ことにより、接着力と耐酸性にすぐれた接着を行うこと
ができる。また、接着に際して加圧, 加熱を行わない、
常温, 常圧での接着に対しても、本発明に記載された方
法を適用することができる。また、銅と樹脂の接着は、
常温の空気中で実施しても何ら問題を生じない。通常、
金属銅表面は、空気と接触すると単分子ないし数分子層
程度の銅酸化物層が形成されると云われている。前記還
元処理によって、予め形成した厚い酸化物層を金属銅に
還元した場合でも、還元後、積層接着を行うまでの間の
空気との接触によって、再び表面にごく薄い銅酸化物皮
膜が形成されることが考えられる。しかしながら、この
程度の酸化物層の存在は、表面処理層の耐酸性について
も、接着力についても特に問題を生じない。銅と樹脂と
の親和性という観点からは、数分子層程度の酸化物層の
存在はむしろ好ましいものであるとも考えられる。
【0019】以下、多層印刷配線板の積層接着を例にと
って、本発明の還元剤の使用例を説明する。 使用例1. 1) ガラス布入りポリイミド樹脂銅張層板の銅箔表面
を、 CuCl2・H2O 50 g/l HCl (36%) 500 g/l 温度 40℃ の水溶液に1分間浸漬してエッチングを行った。 2) 次に水洗を行った後、 NaClO4 30 g/l NaOH 10 g/l Na3PO4・2H2O 5 g/l 温度 75℃ の水溶液で2分間処理し、表面に銅酸化物層を形成し
た。 3) 次に、水洗を行った後、実施例1の還元剤溶液で25
℃、2分間処理して酸化物層を還元した。 4) 以上のように処理した銅張積層板を水洗し、乾燥し
た後ガラス布にポリイミド樹脂を含浸させたプリプレグ
を介して積層し、 170℃で、20kgf/cm2 の圧力を80分間
かけて接着した。
【0020】このようにして積層接着した銅箔とプリプ
レグ層のポリイミド樹脂との接着は良好であり、ピール
強度は、1.2kgf/cmであった。また、積層接着に先立っ
て、還元処理後の銅張積層板を1:1塩酸に浸漬して
も、表面処理層の変色, 溶解は見られなかった。更に、
多層化接着後に、貫通スルーホールをあけ、1:1塩酸
に浸漬したが、3時間以上浸漬しても、スルーホール壁
からの酸のしみ込みや接着界面層の変色は見られなかっ
た。
【0021】使用例1の(2)の工程までを行ない、銅
表面に酸化銅皮膜を形成した後、第1表の各種の還元剤
を含む溶液に20分間浸漬し、還元性を検討した。酸化
銅は17.5%HClに速やかに溶解するが、金属銅は容易
には溶解しないので、表面の色の変化で金属銅へ還元さ
れたかどうか判定できる。還元処理条件は第2表に示し
た。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】使用例2. 使用例1の、ガラス布入りポリイミド樹脂銅張積層板に
かえて、ガラス布入りエポキシ樹脂銅張積層板を用い、
ガラス布にポリイミド樹脂を含浸したプリプレグにかえ
て、ガラス布にエポキシ樹脂を含浸したプリプレグを用
い、これ以外は、使用例1と同様な工程を用いて積層接
着した。
【0025】銅箔とプリプレグ層のエポキシ樹脂との接
着は良好であり、ピール強度は、2.2kgf/cmであった。
また耐塩酸性も良好で、貫通スルーホール穴あけ後、
1:1塩酸に3時間以上浸漬しても、スルーホール壁か
らの酸のしみ込みや接着界面の変色は見られなかった。 使用例3. 使用例1において、工程3) に記載した還元処理溶液に
かえて、実施例2の還元剤溶液を用いて50℃で還元処理
を行った。この場合、還元反応は30秒以内に終了した。
接着力、耐酸性共に、実施例1と同様、良好な結果が得
られた。 使用例4. 使用例1において、工程3) に記載した還元処理溶液に
かえて、実施例3の還元剤溶液を用いて25℃酸化物層の
還元処理を行い、使用例1と同様に積層接着を行った。
酸化物層の還元はすみやかに起り、接着後の接着力、耐
酸性は、使用例1と同様良好であった。 使用例5. 使用例1の工程1) に先立って、市販のフォトレジスト
をマスクとして、銅張積層板表面の銅箔をエッチングし
て回路パターンを形成し、実施例1の工程1)〜4) を
行い、積層接着を行った。この後ドリルにより必要な貫
通スルーホールを明け、市販の塩酸型パラジウム−錫系
触媒水溶液を用いて穴内面を活性化し、無電解めっきに
よりスルーホールめっきを行って多層プリント配線板を
製造した。スルーホール穴明け後、実施例1と同様に
1:1塩酸に浸漬して耐酸性の試験を行ったが、3時間
以上経過しても、接着界面の変色、酸のしみ込みは見ら
れなかった。また銅箔とプリプレグ樹脂との接着も、実
施例1と同様良好であった。また、スルーホールめっき
前処理として行った、塩酸型触媒液への浸漬によって
も、スルーホール壁面からの接着界面への酸のしみ込み
や変色は見られなかった。 使用例6. 使用例5において、フォトレジストをマスクしたエッチ
ングによるパターン形成に先立って、銅張積層板にスル
ーホール穴あけ、市販の塩酸型パラジウム−錫系触媒水
溶液を用いて活性化した後穴内及び表面銅箔上に、 エチレンジアミン四酢酸 35 g/l 硫酸銅 6 g/l ホルマリン (37%) 5ml/l ポリエチレングリコール 10 g/l 2−2'ジピリジル 50mg/l pH 12.5 温度 75℃ 化学銅めっき液を用いて、厚さ15μm のめっきを行なっ
た。
【0026】この後、使用例5と同様に市販のフォトレ
ジストをマスクとしてエッチングによりパターンを形成
し、表面のエッチング、酸化物層の形成及びその還元処
理を行った後積層接着を行った。化学めっきされた銅に
対しても、使用例5と同様、良好な接着力と耐酸性が得
られた。 比較例1. 使用例1において、工程3) に記載された還元処理工程
を行わずに工程4) の積層接着を行った。銅箔とプリプ
レグ層とのピール強度は1.2kgf/cmと良好であったが、
スルーホール穴明け後1:1塩酸に浸漬した結果、約10
分後には、接着界面の変色、溶解が起こり、耐酸性に問
題があった。また、工程2) で酸化物層を形成した銅箔
を直接1:1塩酸に浸漬すると、酸化物層は1秒以内で
溶解し、失なわれる。 比較例2. 使用例2において、比較例1と同様、還元処理を行わず
に積層接着を行った。銅箔とプリプレグ層間のピール強
度は2.2kgf/cmで、使用例2と同じ値であったが、比較
例1と同様、耐酸性の問題があった。 比較例3. 使用例1において、工程3) の還元処理にかえて、 ホウ水素化ナトリウム 2 g/l 水酸化ナトリウム 15 g/l 温度 50℃ の溶液に20分浸漬した。水洗後1:1塩酸に浸漬すると
表面処理層は容易に溶解し、変色が見られた。また、ホ
ウ水素化ナトリウム溶液への浸漬時間が長くなると、酸
化物層形成処理で形成した焦茶色の表面層が次第にまだ
らに褐色した。 比較例4. 使用例1において、工程3) の還元処理にかえて、 ホルマリン (37℃) 50ml/l 水酸化ナトリウム 4 g/l 温度 70℃ の溶液に20分浸漬した。水洗後1:1塩酸に浸漬すると
表面処理層は容易に溶解し、変色が見られた。表面処理
層は、使用例1に比較すると、容易に酸に溶解した。 比較例5. 使用例1において、工程2) の酸化物層形成処理、及び
工程4) の還元処理工程を行わずに積層接着を行った。
銅箔とプリプレグ層とのピール強度は0.2kgf/cm以下で
あり十分な接着力は得られなかった。
【0027】
【実施例】
実施例1 メチルアミンボラン10 gを水1リッターに溶解して還元
剤溶液を調製した。 実施例2 ジメチルアミンボラン 5g 及び水酸化ナトリウム 5g を
水1リッターに溶解して還元剤溶液を調製した。 実施例3 アンモニアボラン 3 g及び水酸化ナトリウム 4 gを水1
リッターに溶解して還元剤溶液を調製した。 実施例4 アンモニアボラン 3 g及び水酸化ナトリウム 4 gを水1
リッターに溶解して還元剤溶液を調製した。
【0028】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の還元剤を使
用すれば、酸に溶解し易い銅酸化物によらずに高い接着
力を得ることができるので、銅と樹脂の接着前後におけ
る耐酸性の問題を避けて良好な接着を行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種還元剤の銅電極上の分極特性図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古川 清則 神奈川県秦野市堀山下1番地 株式会社日 立製作所神奈川工場内 (72)発明者 鳥羽 律司 神奈川県秦野市堀山下1番地 株式会社日 立製作所神奈川工場内 (72)発明者 嶋崎 威 神奈川県秦野市堀山下1番地 株式会社日 立製作所神奈川工場内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の一般式、 BH3・NHRR' (式中、R, R' は H , CH3, CH2CH3のいずれかを示
    す。)で表わされる群の中から選ばれた少なくとも一つ
    の化合物を含むことを特徴とする銅表面の銅酸化物層を
    金属銅に還元するための還元剤。
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