JPH051932Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、地下に埋設した地下ケーブルの抜
き取り撤去作業の自動化を図つた地下ケーブルの
抜き取り処理装置に関する。

（従来の技術） 従来の地下ケーブルの抜き取り処理装置として
は、たとえば第８図に示すようなものがある。す
なわち、ケーブルC′を抜き取るための引出し手段
１００と、引出し手段１００の巻胴１００Ａに巻
掛けられたケーブルC′を前方に移送案内するため
の移送輪１０１と、移送輪１０１によつて移送さ
れたケーブルC′を所定長さに切断する切断器１０
２とが、車両１０３後部の基台１０４上に後方か
ら前方に向けて順に設けられている。そして車両
１０３前部の運転室１０５のルーフ１０５Ａに
は、前方に傾けたシユータ１０６が配設されてい
る。

一方、地下に埋設されたケーブルC′は地中の適
当な深さに管路１０７が設けられ、通常100〜200
〔ｍ〕ごとにマンホールＡが設けられていて、マ
ンホールＡを通じてケーブルC′を地上に抜き出す
ようになつている。すなわち、車両１０３後部を
マンホールＡ近くまで寄せて停車し、ウインチ等
により予じめ引出したケーブルC′の先端部分を巻
胴１００Ａに巻付け、さらにケーブルC′先端を移
送輪１０１に挟持してケーブルC′に張力を加え
る。そして巻胴１００Ａを回転させて巻胴１００
ＡとケーブルC′間の摩擦力によりケーブルC′を引
張つて管路１０７から抜き出し、一方抜き出した
ケーブルC′を移送輪１０１によつて車両１０３前
方に送り出す。そして切断器１０２によつてケー
ブルC′を所定長さごとに切断し、シユータ１０６
を介してケーブル断片C′₁を運搬用車両１０８の
荷台上に自由落下させて積み込んでいた（実開昭
58−70019号公報参照）。

（考案が解決しようとする問題点） しかし斯かる従来技術の場合には、移送輪１０
１によつてケーブルC′に張力を加えて巻胴１００
ＡとケーブルC′間に摩擦力を付与しているので、
移送輪１０１と引出し手段１００の巻胴１００Ａ
の速度との同期をとつて移送輪１０１と巻胴１０
０Ａとの間のケーブルC′が弛まないようにする必
要がある。そこで、移送輪１０１によるケーブル
移送速度を引出し手段１００によるケーブル引出
し速度より大きく設定することが考えられるが、
ケーブルC′が途中で引掛つたりしてケーブル移送
速度が遅くなると、ケーブル移送速度が引出し速
度に比べて過大になつてケーブルC′の張力が増大
し、巻胴１００Ａに複数回巻回したケーブルC′の
巻線同士の摩擦力が大きくなつてスムーズな移送
ができなくなる。また許容張力を越えると破断す
るおそれもあつた。

本考案は、上記した従来技術の問題点を解決す
るためになされたもので、その目的とするところ
は、引出し手段と移送輪との間のケーブルの張力
を常に適正値に維持し得るようにしてケーブルの
移送をスムーズに行い得る地下ケーブル抜き取り
処理装置を提供することにある。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案にあつて
は、ケーブルを抜き取るための引出し手段と、引
出されたケーブルを送出する移送輪と、該移送輪
により送出されたケーブルを所定長さに切断する
切断器と、前記引出し手段と移送輪間のケーブル
のテンシヨンを検出する張力検出手段を有すると
共に、前記引出し手段のケーブル引出し速度より
も予め定めた値だけ移送輪のケーブル移送速度を
大きく設定し、前記引出し手段と移送輪間のケー
ブルのテンシヨンが予め定めた所定値を越えたと
き、前記張力検出手段の検出信号に基づき前記移
送輪のケーブル移送速度を遅らせる制御手段を具
備したことを特徴とする。

（作用） 而して移送輪のケーブル移送速度を引出し手段
によるケーブル引出し速度より大きく設定したの
で、移送輪と引出し手段の間のケーブルには常に
張力が加わり、ケーブルはスムーズに移送され
る。また引出し手段と移送輪との間のケーブルの
テンシヨンが過大になると、制御手段によつて移
送輪のケーブル移送速度が遅くなつてテンシヨン
が緩和される。

（実施例） 以下に本考案を図示の実施例に基づいて説明す
る。本考案の一実施例に係る地下ケーブル抜き取
り処理装置を示す第１図乃至第６図において、１
は車両２の荷台２Ａ上に搭載された地下ケーブル
抜き取り処理装置全体を示している。この抜き取
り処理装置１は、概略ケーブルＣを地下のケーブ
ル管３から抜き取るための引出し手段４と、この
引出し手段４によつて引出されたケーブルＣを車
両２前方に送り出す移送輪５と、移送輪５によつ
て送出されたケーブルＣを所定長さごとに切断す
る切断器６とを備えている。そして、これら引出
し手段４、移送輪５、切断器６は、荷台２Ａの後
方から前方に向けて順に配設されており、さらに
運転室２Ｂのルーフ２Ｃ上には切断器６から連続
して車両２前方に延びるシユータ７が設けられて
いる。

上記引出し手段４は、荷台２Ａ上に架台４１を
介して回動自在に支持される巻胴４２と、巻胴４
２を回転作動させる駆動モータ４３とから構成さ
れている。また巻胴４２の片面側には、ウインチ
４４が巻胴４２と同軸的に設置され、巻胴４２と
共に回転駆動されるようになつている。

一方、移送輪５および切断器６は、荷台２Ａ前
部に設けた昇降台８上に配置されている。昇降台
８は、上下方向に伸縮する伸縮手段としての油圧
シリンダ９によつて昇降可能となつている。ま
た、この昇降台８の前後縁には、昇降台８の昇降
作動を案内する案内部材１０，１１が立設されて
おり、昇降台８の前後縁を各案内部材１０，１１
に摺接させて昇降台８を案内するようになつてい
る。案内面は、たとえばＶ溝等の溝形状に形成し
ておけばよい。そして、上記油圧シリンダ９は昇
降台８の略中央に配設される主シリンダ９１と、
主シリンダ９１の前後に配設される補助シリンダ
９２とから構成されており、昇降台８の姿勢を補
助シリンダ９２，９２によつて保持して昇降作動
を円滑にしている。

一方移送輪５は、上部無端状ベルト５１と、モ
ータ５８によつて駆動される下部無端状ベルト５
２とから成つており、これら上下の無端状ベルト
５１，５２の軌道面を互いに対向させて配置せし
められている。下部無端状ベルト５２はその軌道
面を前記巻胴４２の頂点と略水平に位置せしめて
架台５２ａに固定している。一方上部無端状ベル
ト５１は手動ポンプ５３によつて作動するシリン
ダ５４のピストンロツド５４ａを上部無端状ベル
ト５１に備える受け板５５に連設して昇降自在に
なつており、この上下の無端状ベルト５１，５２
間にケーブルＣを挟持するようになつている。こ
れら上下の無端状ベルト５１，５２の軌道面に
は、その軌道方向に複数のゴム履板５６，…が設
けられている。各ゴム履板５６，…の中央には円
弧状の凹部５７，…が設けられており、各凹部５
７，…が連なつて直線状の凹溝が構成され、ケー
ブルＣの方向性を規制している。一方、移送輪５
前後の入口側および出口側には、それぞれカラー
１２を有する短軸１３，１３，１４，１４が立設
されている。

また引出し手段４の巻胴４２と移送輪５との間
には、巻胴４２と移送輪５間のケーブルＣのテン
シヨンを検出する張力検出手段としての張力セン
サ１５が設けられている。張力センサ１５は、た
とえば第２図に示すように三角形に組んだ３本の
ロール１５ａ，１５ｂ，１５ｃのうち頂点位置の
ロール１５ａを検出ロールとし、このロール１５
ａに検出部１５ｄを設けた公知の構成が採られ
る。すなわち検出部１５ｄには検出ロール１５ａ
に掛けられたケーブルＣの張力Ｔの垂直方向の合
成力Ｆが作用することになり、したがつて検出部
１５ｄには張力Ｔの大きさに比例した荷重が作用
する。検出部１５ｄとしてはたとえば、荷重をば
ねのたわみに変換し、たわみ量を電気信号に変換
するばね変位式のものとしてもよく、また荷重の
変動をダイアフラムによつて空気圧信号に変換す
るようにしてもよく、さらに荷重変動を半導体等
の圧力センサによつて直接電気信号に変換するよ
うにしてもよく、その他各種の方式を採ることが
できる。

一方、上記移送輪５によるケーブル移送速度
V_Aは引出し手段４によるケーブル引出し速度V_B
より大きく設定している。本実施例にあつてはケ
ーブル移送速度V_Bは移送輪５の下部無端状ベル
ト５２の周速により決まるもので、このベルト５
２を駆動するモータ５８の回転数により制御され
る。また引出し手段４によるケーブル引出し速度
V_Bは、巻胴４２の周速により決まり、巻胴４２
を駆動する駆動モータ４３の回転数により制御さ
れる。この巻胴４２と移送輪５との間のケーブル
Ｃには、引出し手段４および移送輪５のケーブル
引出し速度V_Bとケーブル移送速度V_Aは、各モー
タ４３，５８の駆動を制御する制御手段２０によ
つてケーブル移送速度V_Aをケーブル引出し速度
V_Bより予め定めた値だけ大きく設定してある。

このようにケーブル移送速度V_Aと引出し速度
V_Bとの間に速度差を設けることにより、引出し
手段４の巻胴４２と移送輪５との間のケーブルＣ
にテンシヨンを加えている。そして上記ケーブル
Ｃの張力センサ１５の検出信号に基づいて、ケー
ブルＣの張力が予め定めた所定値を越えたとき、
制御手段２０によつて移送輪５のモータ５８の回
転数を下げて、ケーブル移送速度V_Aを遅らせ、
ケーブルＣの張力の増大を緩和するようになつて
いる。

また、切断器６は截断ケース６１と刃物６２と
から成り、截断ケース６１は内部中空の偏平な箱
型部材で、略中央にケーブルＣが挿通される挿通
孔６３が貫通形成されている。そして上記刃物６
２は截断ケース６１側面から截断ケース６１内部
に差し込まれ、上記截断ケース６１の挿通孔６３
を通過自在に設けられている。すなわち刃物６２
はシリンダ６４のピストンロツド６４ａに取付け
られ、ピストンロツド６４ａの作動によつて刃物
６２を截断ケース６１の挿通孔６３へ押圧挿入す
るようになつている。

一方、前記シユータ７は断面Ｕ字状に形成した
板状部材で、運転室２Ｂのルーフ２Ｃ上に車両２
の前方下方に向つて延長突設されている。シユー
タ７には、ケーブルＣを一方の側壁側に案内する
ための案内壁７１が設けられている。さらにシユ
ータ７にはケーブルＣの所望の切断長さ位置にリ
ミツトスイツチ７２が設けられ、切断器６を通過
したケーブルＣの延長先端部Ｃ１がリミツトスイ
ツチ７２に達した際に、リミツトスイツチ７２が
作動して巻胴４２および移送輪５の駆動を停止さ
せると共に、切断器６の刃物６２を作動させてケ
ーブルＣを切断するようになつている。また切断
されたケーブル断片Ｃ２の後端がリミツトスイツ
チ７２を通過し終るとリミツトスイツチ７２がオ
フとなつて巻胴４２と移送輪５の各モータ４３，
５８を駆動せしめるように制御するようになつて
いる。

さらにまた、本実施例では上記引出し手段４が
車両２前後方向に移動可能となつており、後部案
内部材１１と架台４１間に配設された油圧シリン
ダ等の伸縮手段１７によつて引出し手段４の前後
位置調整がなされる。

上記構成の地下ケーブル抜き取り処理装置にあ
つては、ケーブルの抜き取り処理作業は次のよう
にしてなされる。まづ、従来例と同様に車両２後
部をマンホールＡ近くまで寄せて停車し、スタツ
ド２Ｄによつて車両２を路面に対して固定する。
ここでマンホールＡに対する引出し手段４の位置
調整が必要な場合には、伸縮手段１７によつて巻
胴４２の位置を調整する。つぎにケーブル管３か
らケーブルＣを引き抜く場合、引き抜き開始時に
は約10トン以上の力が必要なので、たとえばケー
ブルＣ先端にワイヤを引掛けてウインチ４４によ
りケーブルＣをある長さまで引き出す。その後巻
胴４２を回転させ、巻胴４２に巻回するロープ
（図示せず）を案内としてケーブルＣを巻胴４２
に１回乃至３回程度巻き付ける。そして巻胴４２
の回転によつてケーブルＣの先端を移送輪５の上
下のベルト５１，５２の間に差し込み、さらに切
断器６の挿通孔６３に挿通させてシユータ７に延
長移送させる。この移送輪５の駆動によつて巻胴
４２によるケーブルＣの移送が補助されると共
に、ケーブルＣは各ベルト５１，５２のゴム履板
５６，…間で確実に挟持される。さらにゴム履板
５６，…に設けた凹部５７，…と移送輪５の前後
に配した短軸１３，１３，１４，１４によつて巻
胴４２と切断器６間のケーブルＣの方向性が維持
されて、ケーブルＣが軌道から外れることを防止
される。

そして移送輪５および引出し手段４の各モータ
５８，４３の回転駆動は、制御手段２０によつて
ケーブル移送速度V_Aがケーブル引出し速度V_Bよ
り大きくなるように制御されており、この速度差
によつてケーブルＣは引出し手段４に対して移送
輪５側に引張られて張力が付与されている。この
張力によつてケーブルＣは引出し手段４と移送輪
５間をスムーズに移動する。

ここで、たとえば地下ケーブル管３内でケーブ
ルＣが引掛つて引出し手段４の巻胴４２の回転が
阻害されると、ケーブル引出し速度V_Bが低下し
て、ケーブル移送速度V_Aの相対的な速度差が大
きくなり、ケーブルＣのテンシヨンが増大する。
そして、ケーブルＣのテンシヨンは張力センサ１
５によつて検出され、所定値以上のテンシヨンが
作用した場合に、この張力センサ１５の検出信号
に基づいて、制御手段２０により移送輪５のモー
タ５８の回転数を小さくしてケーブル移送速度
V_Aを遅らせる。その結果、引出し手段４の引出
し速度V_Bと移送輪５による移送速度V_Aとの間の
相対的な速度は小さくなつてケーブルＣの張力が
緩和される。したがつて張力過大によるケーブル
Ｃの破断等は防止される。

第７図は本考案の一実施例を示すもので、張力
センサ１５とコンパレータCOMP、トランジス
タTr、リレーRy、および回転制御用の抵抗R₁，
R₂とからなる制御手段２０を有し、R₁＞R₂なる
抵抗値に設定されている。

そして、ケーブルＣの先端部Ｃ１がシユータ７
のリミツトスイツチ７２に達するとリミツトスイ
ツチ７２がオンとなり、巻胴４２と移送輪５の作
動が停止し、同時に切断器６の刃物６２が作動し
てケーブルＣが切断される。切断されたケーブル
断片Ｃ２は自重によつてシユータ７上を滑り、車
両２の前方に停車した運搬車１８に落下して自動
的に積み込まれることになる。一方、ケーブル断
片Ｃ２の後端がリミツトスイツチ７２を通過し終
ると、リミツトスイツチ７２がオフとなり、巻胴
４２および移送輪５が再び駆動してケーブルＣの
先端がシユータ７のリミツトスイツチ７２に達す
るまで移送される。以上の動作を順次繰り返すこ
とにより、ケーブルＣを引き抜くと同時に連続的
に切断すると共に、運搬車１８へ自動的に積載す
ることができる。

（考案の効果） 本考案は、以上の構成および作用から成るもの
で、移送輪によるケーブル移送速度を引出し手段
によるケーブル引出し速度より大きくしたので、
引出し手段と移送輪との間のケーブルに常にテン
シヨンを付与することができ、ケーブルの弛みに
起因するケーブルの移送不良を防止することがで
きる。さらに、ケーブルの引出し速度と移送輪の
移送速度との速度差が大きくなつた場合には、制
御手段によつてケーブル移送速度が制御されてケ
ーブルに作用する張力が過大になることはなく、
ケーブルの円滑な移送、およびケーブル破断を未
然に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る地下ケーブル
抜き取り処理装置の全体構成図、第２図は第１図
の装置の引出し手段および移送輪の制御ブロツク
図、第３図は第１図の装置の張力センサの一例の
原理的構成を示す模式図、第４図は第１図の装置
の要部構成を示す平面図、第５図は第１図の装置
の移送輪の斜視図、第６図は第１図の装置のシユ
ータ近傍の斜視図、第７図は本考案に係る一実施
例の回路図、第８図は従来の地下ケーブル抜き取
り処理装置の全体構成図である。 符号の説明、１……ケーブル抜き取り処理装
置、４……引出し手段、４２……巻胴、４３……
モータ、５……移送輪、５１，５２……無端状ベ
ルト、５８……モータ、６……切断器、１５……
張力センサ、２０……制御手段、Ｃ……ケーブ
ル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ケーブルを抜き取るための引出し手段と、引出
   されたケーブルを送出する移送輪と、該移送輪に
   より送出されたケーブルを所定長さに切断する切
   断器と、前記引出し手段と移送輪間のケーブルの
   テンシヨンを検出する張力検出手段を有すると共
   に、前記引出し手段のケーブル引出し速度よりも
   予め定めた値だけ移送輪のケーブル移送速度を大
   きく設定し、前記引出し手段と移送輪間のケーブ
   ルのテンシヨンが予め定めた所定値を越えたと
   き、前記張力検出手段の検出信号に基づき前記移
   送輪のケーブル移送速度を遅らせる制御手段を具
   備したことを特徴とする地下ケーブル抜き取り処
   理装置。