JPH05187220A - ディーゼル機関の排気浄化装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 排ガス中のカーボン等の粒子を捕集するフィ
ルタを長寿命化するようにしたディーゼル機関の排ガス
浄化装置を提供する。 【構成】 排ガスを流す筒状のケース６の内部に排ガス
中の微粒子を捕集するフィルタ８が設けられる。ケース
６の出口側外底部には、排ガス中の粗粒子を捕集するダ
ストパン１２が取り付けられ、ケース６の入口には、排
ガスの流れにより回転駆動される羽根７が設けられる。
この羽根７は、排ガス中に含まれる粒子を遠心分離す
る。排ガスのもつエネルギーにより駆動される羽根７の
回転により排ガス中の粒子が遠心分離される。これによ
り、排ガス中のカーボン粗粒子はフィルタ８の外周を回
ってケース６の内周壁に沿って旋回し、ダストパン１２
に捕集され、カーボン微粒子はフィルタ８で捕集され
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ディーゼル機関の排ガ
ス中のカーボン等の粒子を捕集し焼却する排ガス浄化装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、ディーゼル機関より排出され
る排ガス中の粒子を取り除く方法として排気管途中に排
ガス中の粒子を捕集する耐熱製フィルタを設けることが
知られている。例えば特開昭６４−２４１１０号公報に
開示されるように、フィルタに排ガス中の粒子を捕集
し、この粒子がある程度堆積した後、それを焼却してフ
ィルタを再生するものがある。またフィルタ近傍にバー
ナや電気ヒータを設け、排ガス温度を粒子の着火温度ま
で高めて粒子を焼却するものが知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の排ガス浄化装置によると、フィルタに熱負荷
が作用する構成であるから、熱応力によるフィルタの割
れが発生しやすいこと、フィルタに堆積した粒子の堆積
状態検知が困難なこと、フィルタを再生するための電力
確保が困難なこと等の問題がある。

【０００４】本発明者は、排ガス中に含まれるカーボン
等の粒子の粒径が小径のものから大径のものまで不均一
であることに着目し、排ガス中の粒子の粒径に応じて排
ガス中の粒子を粗粒子と微粒子とに分別し、排ガス中の
粒子を効率よくかつ的確に取り除く手法を見出した。本
発明が解決しようとする課題は、排ガス中のカーボン等
の粒子を捕集するフィルタを長寿命化するようにしたデ
ィーゼル機関の排ガス浄化装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の本発明によるディーゼル機関の排ガス浄化装置は、排
ガスを流す筒状のケースと、ケース内部に設けられ、排
ガス中の微粒子を捕集するフィルタと、前記ケースの出
口側外底部に設けられ、排ガス中の粗粒子を捕集するダ
ストパンと、前記ケースの入口に設けられ、排ガスの流
れにより回転駆動され、排ガス中に含まれる粒子を遠心
分離する羽根とを備えたことを特徴とする。

【０００６】

【作用】本発明によるディーゼル機関の排ガス浄化装置
によると、排ガスのもつエネルギーにより回転される羽
根の回転により排ガス中の粒子が遠心分離される。これ
により、排ガス中のカーボン粗粒子はケース内周壁に沿
って旋回し、ダストパンに捕集され、カーボン微粒子は
フィルタで捕集される。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図２に示すように、ディーゼル機関１の排気マニ
フォールド２に排気管３が連結され、この排気管３の途
中に消音器４が設けられ、さらに消音器４の下流側の排
気管３に排ガス浄化装置５が設けられている。

【０００８】排ガス浄化装置５は、図１に示すように、
円筒状のケース６の入口端６ａに排ガスエネルギーによ
り回転駆動される羽根７が回転自在に取り付けられてい
る。ケース６の出口部は段部６ｂを介して小径円筒部６
ｃが形成される。そして小径円筒部６ｃの出口端６ｄの
口径とほぼ同等の外径をもつフィルタ８が小径円筒部６
ｃの入口部上流側に取り付けられている。円筒状のフィ
ルタ８は、排ガス中のカーボン微粒子を捕集するように
網の目状のトラップ部９が内部に形成されている。

【０００９】そして、ケース６の底部６ｅに穴が形成さ
れ、この穴はフィルタ８の径外方向に対向する位置にあ
る。この穴に連通するようにケース６の外部に案内筒１
０が傾斜して取り付けられ、この案内筒１０の端部にダ
ストパン１２が取り付けられている。ダストパン１２の
後端部には排水弁１４が取り付けられている。ダストパ
ン１２には、案内筒１０のフランジ１０ａにダストパン
１２を着脱可能な係止部材１５が取り付けられている。

【００１０】ディーゼル機関１の排ガスが排気管３を通
してケース６の入口端６ａから図１に示す矢印方向に導
入されると、排ガスはケース６の内部を通り、フィルタ
８を経由して小径円筒部６ｃを経て出口端６ｄから矢印
方向に排出される。この排ガスのもつエネルギーにより
羽根７が回転駆動され、羽根７の回転によりケース６の
内部において排ガス流は遠心方向に案内され、ケース内
周壁に沿って旋回流が形成される。

【００１１】すると、排ガス中に含まれる粒子のうち粒
径の相対的に大きなカーボン粗粒子はフィルタ８の径外
側においてケース６の内周壁に沿って旋回して底部６ｅ
に落下し、前記穴から案内筒１０を経てダストパン１２
に溜められる。一方、排ガス中に含まれる粒径の相対的
に小さなカーボン微粒子は、トラップ部９で捕集され
る。また排ガスは、フィルタ８の内部、小径円筒部６ｃ
を経由して出口端６ｄから矢印右方向に排出される。

【００１２】このため、ケース６に導入される排ガス中
のカーボン粒子のうちの微粒子のみがフィルタ８の内部
のトラップ部６で捕集され、大きな粒径の粗粒子はダス
トパン１２に回収される。従って、フィルタ８において
は、あらかじめ排ガス中の微粒子のみが分別された状態
で捕集されるため、フィルタ８の微粒子の堆積量が相対
的に低減されるので、フィルタの再生頻度を低減するこ
とができる。このためフィルタ８の破損寿命を延長する
ことができる。

【００１３】一方、排ガス中に含まれる粒径の大きな粗
粒子は、前述の如く排ガスから遠心分離され、ダストパ
ン１２に溜められるため、ダストパン１２を案内筒１０
から取り外し清掃することにより、排ガス中のカーボン
粗粒子を取り除くことができる。次に、ダストパンとフ
ィルタとに捕集されたカーボン粒子の粒度分布について
の実験結果を図３に示す。

【００１４】この実験データは、案内羽根式直進流型サ
イクロンの１００％分離可能最小粒子径を示すストラウ
ス（Ｓｔｒａｕｓｓ）の式より算出した。図３から理解
されるように、排ガス中の１００％分離可能最小粒子径
Ｄｃ₁₀₀は、１．０μｍであった。粒径が１．０μｍ以
上のカーボン粒子はダストパンで捕集され、粒径が１．
０μｍ未満のカーボン粒子はフィルタで捕集された。

【００１５】前記実施例において、フィルタに捕集され
たカーボン微粒子は、バーナ、ヒータ等により焼却され
る。これによってフィルタが再生される。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のディーゼ
ル機関の排ガス浄化装置によれば、排ガスのもつエネル
ギーにより排ガスの流れを羽根で案内し、遠心分離を利
用して排ガス中の粒子の粒径に応じて粗粒子を遠心方向
のダストパン側に分別し、排ガス中の微粒子を中央方向
のフィルタ側に案内するので、ダストパンとフィルタを
適正に使い分け、フィルタに熱負荷を作用させることな
くフィルタへの負荷を低減し、排ガス中に含まれる粒子
の捕集を的確に行うことができるという効果がある。従
って、フィルタで捕集される粒子の堆積量を分別によっ
て相対的に減少することができるので、フィルタの再生
回数を低減し、フィルタの破損寿命を延長することがで
きるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例による排ガス浄化装置を示す概
略断面図である。

【図２】本発明の排ガス浄化装置を適用した実施例を示
す概略構成図である。

【図３】本発明の実験データを示す図である。

【符号の説明】

５ 排ガス浄化装置 ６ ケース ６ａ 入口端 ６ｄ 出口端 ７ 羽根 ８ フィルタ １２ ダストパン

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 排ガスを流す筒状のケースと、 ケース内部に設けられ、排ガス中の微粒子を捕集するフ
   ィルタと、 前記ケースの出口側外底部に設けられ、排ガス中の粗粒
   子を捕集するダストパンと、 前記ケースの入口に設けられ、排ガスの流れにより回転
   駆動され、排ガス中に含まれる粒子を遠心分離する羽根
   とを備えたことを特徴とするディーゼル機関の排気浄化
   装置。