JPH05177491A - 工作機械における切込み台の緊急後退装置 - Google Patents

工作機械における切込み台の緊急後退装置

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JPH05177491A
JPH05177491A JP36003691A JP36003691A JPH05177491A JP H05177491 A JPH05177491 A JP H05177491A JP 36003691 A JP36003691 A JP 36003691A JP 36003691 A JP36003691 A JP 36003691A JP H05177491 A JPH05177491 A JP H05177491A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】加工動作中の停電事故の時に工具の切込み台が
自動的に安全方向に後退し、工具とワークの接触を強制
的に切り離すことを目的とする。 【構成】切込み台の送りねじ軸にラチェットホイールを
固着するとともに該送りねじ軸にラチェット爪アームを
回転自在に軸支し、ラチェット爪アームの先端に枢着し
たラチェット爪を通常時にはラチェットホイールから離
れるように保持し、停電時にラチェット爪アームを別の
駆動源で回転させてラチェット爪をラチェットホイール
に係合させて回転せしめ、これによって送りねじ軸を逆
転させるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工作機械の動作中の異
常発生時における安全装置に関し、特にNC付き研削盤
等において停電事故等による制御不能時に切込み台を安
全方向に自動的に緊急退避させる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に旋削工作機械においては、工具の
動作とワーク側の移動動作は1つの駆動源から歯車列を
介して連動するようにしており、したがって停電等で前
記駆動源が停止したときは工具側とワーク側が同時に停
止するため、停電時に工具あるいはワークの一方を緊急
退避させる機構は設けられていないのが普通である。し
かし例えば歯車伝動による従来のねじ研削盤では、ワー
クのねじリードが変わるごとに、これに対応した歯車の
変換を行わなければならない等の理由で、砥石台の切込
み送りやワークの主軸回転等をNC制御で行うNC付き
研削盤が開発されている。このようなNC付き研削盤に
おいても停電時の安全機構は研削盤本体側には何ら設け
られておらず、もっぱらNC装置に停電時の動作維持装
置や保全装置を付加しているのみである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】工具側とワーク側の動
作が歯車連結で同期化がとられている旋削機械では停電
時に工具とワークの相対切込み送り自体が停止し、工具
とワークの衝接による工具破損等の危険は少ない。しか
し前述したNC付き研削盤等のNC工作機械では、停電
事故があった場合、電動機や油圧モータで駆動される例
えばワーク主軸の回転停止位置やテーブルの停止位置と
NC制御で動作する砥石台の切込み送り位置がばらばら
になり、砥石破損の大事故につながるおそれがある。N
C装置に停電時の維持装置を付加しても、研削機の本体
側の駆動部が停止するために砥石とワークの相互位置関
係が狂ってしまい、事故となる危険があった。
【0004】本発明は、加工動作中の停電事故の時に工
具またはワークの切込み台が自動的に安全方向に後退
し、前記工具とワークの接触を強制的に切り離すように
した工作機械における切込み台の緊急後退装置を提供す
ることにある。
【0005】本発明の他の目的は、既存の工作機械に簡
単に取り付け得、かつ作動が確実で外部からの保守,点
検も容易な切込み台の緊急後退装置を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、切込み
台の送りねじ軸に固着されたラチェットホイールと、前
記送りねじ軸に回転自在に軸支されかつ側面にラチェッ
ト爪アームを固着したピニオンギヤと、前記ラチェット
爪アームの先端に枢着されかつ前記ラチェットホイール
と噛み合う方向に付勢されているラチェット爪と、前記
ラチェット爪が前記ラチェットホイールから離れるよう
に該ラチェット爪に接当しているストッパと、前記ピニ
オンギヤと噛み合うラックピストンを内蔵したシリンダ
装置と、非常時に前記シリンダ装置のラックピストンを
移動させる駆動源とを有し、前記ラックピストンの移動
で前記ラチェット爪アームが回転されて前記ラチェット
爪が前記ストッパから離れ、かつ該ラチェット爪によっ
て前記ラチェットホイールが前記送りねじ軸の切込み台
後退回転方向に回転されるようにした工作機械における
切込み台の緊急後退装置が提供される。
【0007】
【作用】本発明を研削盤の砥石軸の切込み台(砥石軸
台)の緊急後退装置に適用した場合、正常動作時には砥
石軸台の送りねじに固着したラチェットホイールとラチ
ェット爪は前記ストッパによって離間しており、前記砥
石軸台は緊急後退装置に無関係に前記送りねじにより動
作する。この動作中に停電になった場合は、停電に係る
電源とは別系統の、当該停電の影響を受けない圧力供給
源、例えばエヤモータやアキュムレータなどのエヤ圧力
で前記シリンダ装置のラックピストンが移動し、前記ラ
ックピストンと噛み合っているピストンギヤおよび該ギ
ヤに固着したラチェット爪アームが回転し、前記ストッ
パからラチェット爪が外れて前記ラチェットホイールと
係合し、該ラチェットホイールの回転で前記砥石軸台の
送りねじ軸を該砥石軸台の後退方向に回転させる。
【0008】
【実施例】次に、本発明を実例例について図面を参照し
て説明する。図1は本発明の実施例によるねじ研削盤の
正面図であり、図2は図1の略A−A線に沿った部分的
な拡大側面断面図である。図1,図2を参照してこの研
削盤を簡単に説明すれば、研削盤のベッド15上にワー
クテーブル16が載せられ、ベツド15の後部中央に前
記テーブルの移動方向(X方向)に対して直角方向(Y
方向)に前進,後退移動する切込み台17が載置されて
いる。テーブルの下部には、テーブル送りねじ軸18と
螺合するナット33が固定され、ベッド15に取り付け
られたサーボモータ34によってテーブル送りねじ軸1
8が回転され、これによってテーブル16が往復移動す
る。主軸台19とテーブル16上の心押台20間に装着
されたワーク21は別の主軸回転用サーボモータ35に
よって回転駆動される。切込み台17の前部には砥石車
22が軸支され、また切込み台17の後部でベッド15
上面に固定された軸支台23に切込み台送りねじ軸1が
回転可能かつ軸方向移動不能に軸支され、このねじ軸1
に切込み台17のナット部24が螺合している。送りね
じ軸1はベッド15上の軸支台23を貫通してその後方
へ突出し、かつ該軸の外周に固着された切込み台駆動用
の大径ギヤ2と切込み駆動モータ4(図3)の出力軸に
設けられた出力軸ギヤ3(図3)との噛合により回転さ
れ、これによって切込み台17の切込み動作がなされ
る。なお砥石車22は切込み台上の砥石軸モータ36に
よって回転駆動され、切込み駆動モータ4はNC装置
(図示省略)によって制御されるようになっている。
【0009】図2,図3を参照すれば、切込み台17の
送りねじ軸1の後端部に、ピニオンギヤ7が回転フリー
に軸支されている。ピニオンギヤ7はベッド15上に設
けられたシリンダ装置28のラックピストン8にシリン
ダ壁の切欠部を通して噛み合っている。またピニオンギ
ヤ7の片端面にはラチェット爪アーム6が固着され、さ
らにこのラチェット爪アーム6に対面するように前記大
径ギヤ2の後端面にラチェットホイール5が固着されて
いる。図3に最も明瞭に示されるようにラチェット爪ア
ーム6の先端にはラチェットホイール5と係合可能なラ
チェット爪9が枢着されている。ラチェット爪9は該爪
の先端付近とラチェット爪アーム6との間に掛け止めら
れた引張りばね29によって常にラチェットホイール5
と係合する方向に付勢されているが、研削盤の正常動作
時にはベッド15上の適当な固定位置、例えばシリンダ
装置28の上側部位置に立設されかつ引張りばね29と
ラチェット爪9の枢着点Pとの間に位置するストッパ1
0と接当するようになっており、この状態においてはラ
チェット爪9はその爪先端がラチェットホイール5から
離れるように該ストッパにより持ち上げられている。な
おこれらのラチェット爪9、引張りばね29およびラチ
ェット爪アーム6はピニオンギヤ7と同様に切込み台1
7の送りねじ軸1に対して回動フリーとなっている。
【0010】シリンダ装置28のシリンダ室両端は配管
31およびエヤソレノイドバルブ11を介してエヤ源例
えばエヤアキュムレータ32につながっており、研削盤
の正常動作時には研削盤の駆動電源でエヤバルブ11は
閉じており、ラックピストン8はシリンダ室の片側位置
に維持され、この状態でワークのねじ溝研削動作が行わ
れる。この研削動作中に停電事故があると、エヤバルブ
11の電源断により、内蔵されたばね力等によって自動
的にエヤソレノイドバルブ11が開き、エヤアキュムレ
ータ32のエヤ圧がシリンダ装置28に供給され、ラッ
クピストン8が反対側へ移動し、これと噛み合うピニオ
ンギヤ7が回転する。本発明では送りねじ軸1に対して
回転自在に保持したピニオンギヤ7の所定方向の回転動
作により送りねじ軸1を強制的に回転させ、切込み台1
7をワークから離れる方向に後退させる。このときのピ
ニオンギヤ7の回転方向は、正常運転時に切込み台を後
退させる送りねじ軸1の回転方向と同方向としてある。
なおエヤソレノイドバルブ11は停電に係る電源とは別
系統の電源により前記停電と同時に開動作するようにし
てもよい。
【0011】上述の停電時後退動作を具体的に説明すれ
ば、前記方向のピニオンギヤ7の回転によりラチェット
爪アーム6が同方向に回転すると、その先端のラチェッ
ト爪9がストッパ10から離れ、同時に引張りばね29
によってラチェット爪9がラチェットホイール5と噛合
し、爪アーム6の回転でラチェット爪9がラチェットホ
イール5を前記方向に回転させ、ラチェットホイール5
と一体の切込み台送りねじ軸1が切込み台後退方向に回
転し、切込み台17が後退する。したがって停電により
NC装置の制御系のくるいに関係なく切込み台17が安
全方向に緊急後退し、ワークとの不規則な接当で砥石車
22が破損する危険が回避される。
【0012】上述の実施例では、既存のNC付きねじ研
削盤に切込み台後退装置を付加した例を示したが、本発
明は他の工作機械にも同様に適用可能であり、また砥石
軸を保持する切込み台の後部に本装置を設ける場合に限
らず、切込み台の送りねじ軸の前部、あるいは工具に対
してワークが前進,後退する場合のワーク切込み台に本
発明の緊急後退装置を取り付けることもできる。ラチェ
ット爪アームを作動させるシリンダ装置の駆動源もエヤ
供給源でなく油圧源としてもよい。
【0013】
【発明の効果】以上説明したように本発明の切込み台緊
急後退装置は、作業中の停電事故と同時に自動的に作動
して送りねじ軸を強制的に逆転(後退方向回転)させ、
工具とワークを即座に切り離すようにしたので、停電時
の工具とワークの不慮の接衝による工具破損やワークの
傷付きを未然に防止できる。本発明の装置は既存の各種
工作機械の工具またはワークの送りねじ軸を外方へ突出
させるというわずかな改造のみで送りねじ軸の突出端に
容易に取り付けることができ、また装置全体が外部に露
出しているので組付けや調整が容易であり、保守,点
検,修理等の作業も外部から簡単になし得る効果があ
る。本発明は特にNC付き工作機械や各種生産機械,N
C付きの測定機等に適用して有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るねじ研削盤の正面図であ
る。
【図2】図1の略A−A線に沿った部分的な拡大断面図
である。
【図3】図2のB−B線に沿った後部断面図である。
【符号の説明】
1 切込み台送りねじ軸 2 大径ギヤ 3 出力軸ギヤ 4 切込み駆動モータ 5 ラチェットホイール 6 ラチェット爪アーム 7 ピニオンギヤ 8 ラックピストン 9 ラチェット爪 10 ストッパ 11 エヤソレノイドバルブ 17 切込み台 21 ワーク 22 砥石車 24 ナット部 28 シリンダ装置 29 引張りばね 32 エヤアキュムレータ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】切込み台の送りねじ軸に固着されたラチェ
    ットホイールと、前記送りねじ軸に回転自在に軸支され
    かつ側面にラチェット爪アームを固着したピニオンギヤ
    と、前記ラチェット爪アームの先端に枢着されかつ前記
    ラチェットホイールと噛み合う方向に付勢されているラ
    チェット爪と、前記ラチェット爪が前記ラチェットホイ
    ールから離れるように該ラチェット爪に接当しているス
    トッパと、前記ピニオンギヤと噛み合うラックピストン
    を内蔵したシリンダ装置と、非常時に前記シリンダ装置
    のラックピストンを移動させる駆動源とを有し、前記ラ
    ックピストンの移動で前記ラチェット爪アームが回転さ
    れて前記ラチェット爪が前記ストッパから離れ、かつ該
    ラチェット爪によって前記ラチェットホイールが前記送
    りねじ軸の切込み台後退回転方向に回転されることを特
    徴とする工作機械における切込み台の緊急後退装置。
  2. 【請求項2】前記シリンダ装置の駆動源はエヤアキュム
    レータであり、該エヤアキュムレータから前記切込み台
    の駆動電源の切断で開となるエヤバルブを通して加圧エ
    ヤが前記シリンダ装置に供給されることを特徴とする請
    求項第1項記載の工作機械における切込み台の緊急後退
    装置。
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