JPH051670Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案はスクロール形流体機械における下部
ハウジング、詳しくは固定及び可動スクロールを
内装するケーシングの下方側に配設され、前記可
動スクロールを駆動するモータの支持面と、該モ
ータを固定するためのボルト挿通孔と、前記モー
タに結合される駆動軸の下方を支持する下部軸受
とを備えたスクロール形流体機械における下部ハ
ウジングに関する。

（従来の技術） 従来、スクロール形流体機械として、例えば特
開昭62−113881号公報に記載されたものが知られ
ており、この公報記載のスクロール形流体機械
は、第４図に示したごとく、固定及び可動スクロ
ール２，３を支持する上部ハウジング４と、下部
ハウジング６との間に、ステータ５１とロータ５
２とから成るモータ５を挟持状に介装させて、前
記各ハウジング４，６間に固定ボルトＢを挿通す
ることにより、前記各ハウジング４，６とモータ
５とを一体に組付けた組付体Ａを形成し、この組
付体Ａを密閉ケーシング１の内部に支持させるよ
うにしている。

また、前記組付体Ａを構成する各ハウジング
４，６には、それぞれ上部軸受８と下部軸受９と
を設け、該各軸受８，９を介して前記モータ５の
ロータ５２に結合した駆動軸７を支持し、前記モ
ータ５に伴う前記駆動軸７の回転駆動により、前
記可動スクロール３を固定スクロール２に対し公
転駆動させるようにしている。

しかして前記組付体Ａに使用される前記下部ハ
ウジング６は、ハウジング本体６１の上面側に、
前記モータ５におけるステータ５１の下部側を支
持する支持面６２を設け、かつ前記ハウジング本
体６１の複数箇所に、前記固定ボルトＢを挿通す
るためのボルト通孔６３を上下方向に貫通形成し
て、前記支持面６２に前記ステータ５１を支持さ
せた状態で、前記ボルト通孔６３から前記ステー
タ５１に設けた通孔５１ａを経て前記上部ハウジ
ング４のボルト通孔４１へと前記固定ボルトＢを
螺挿することにより、前記上下各ハウジング４，
６と前記モータ５とを一体に組付けるようにして
いる。

ところで、前記組付体Ａは、通常工場において
ロボツトなどを利用して組立てられることから、
前記ハウジング本体６１の下面側には、該本体６
１の平面座標系における位置及び回転姿勢を決定
する少なくとも２以上の位置決め孔を別途形成し
て、これら各位置決め孔を組立ラインコンベアの
パレツト上に突設された位置決めピンに挿嵌係止
させて、前記組付体Ａの組立てを行うことによ
り、前記各軸受８，９と前記駆動軸７との位置合
わせや、前記各ハウジング４，６と前記ステータ
５１に形成した前記各通孔６３，４１，５１ａの
位置合わせを行うようにしている。

また、以上のごとき組付体Ａに使用される前記
下部ハウジング６には、前記ハウジング本体６１
の下部側に、前記組付体Ａの軸振れ防止リングを
別途設けて、該リングで前記組付体Ａの軸振れを
防止したり、また前記ハウジング本体６１の下部
側にポンプ要素を取付け、このポンプ要素で前記
ケーシング１の内方底部の油溜から潤滑油を汲上
げて、前記駆動軸７の軸心内部に設けた給油孔７
１から前記各軸受８，９などの給油箇所に給油す
ることが行われており、これらポンプ要素や軸振
れ防止リングなどを取付ける場合には、前記ハウ
ジング本体６１の下面側に複数のネジ孔を別途形
成して、該各ネジ孔に固定ボルトを螺締すること
により前記リングなどの取付けを行うようにして
いる。

（考案が解決しようとする問題点） ところで以上のごとき下部ハウジング６では、
前記ハウジング本体６１に、前記ポンプ要素や軸
振れ防止リングなどを取付けるためのネジ孔と、
前記ハウジング本体６１の平面座標系における位
置及び回転姿勢を決定する少なくとも２以上の位
置決め孔とが、それぞれ別々に形成されることか
ら、前記下部ハウジング６の構造が複雑となつ
て、加工コストが高くなるなどの問題があつた。

本考案は以上のごとき問題に鑑みて考案したも
ので、その目的は、前記軸振れ防止リングなどを
取付けるためのネジ孔と、前記ハウジング本体の
平面座標系における位置及び回転姿勢を決定する
位置決め孔とを、同一箇所に連続して形成するこ
とにより、構造簡単で加工コストを低廉となし、
しかも前記軸振れ防止リングなどを取付けるとき
に、前記ネジ孔への固定ボルトの螺挿作業を簡単
に行うことができるスクロール形流体機械の下部
ハウジングを提供することにある。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、図面の実施例に示したごとく、固定
及び可動スクロール２，３を内装するケーシング
１の下方側に配設され、前記可動スクロール３を
駆動するモータ５の支持面６２と、該モータ５を
固定するためのボルト通孔６３と、前記モータ５
に結合される駆動軸７の下方を支持する下部軸受
９とを備えたスクロール形流体機械における下部
ハウジングであつて、ハウジング本体６１の底面
に、該本体６１の平面座標系における位置及びそ
の回転姿勢を決定する少なくとも２以上の位置決
め孔６４を設けると共に、この位置決め孔６４の
深さ方向に、ネジ孔６５を連続させて設ける一
方、前記位置決め孔６４を、前記ネジ孔６５に螺
合されるボルト先端部を該ネジ孔６５に案内する
丸孔形状としていることを特徴とするものであ
る。

（作用） しかして前記ハウジング本体６１の下部側に、
軸振れ防止リングなどの他部材を固定ボルトを介
して取付ける場合、前記位置決め孔６４の奥内部
側に前記ネジ孔６５が連続状の形成されているた
めに、前記固定ボルトＢは、前記位置決め孔６４
により前記ネジ孔６５へとスムーズに案内され
て、前記ハウジング本体６１に対する前記他部材
の取付作業が簡単に行えるのであり、しかも前記
位置決め孔６４とネジ孔６５とが、それぞれ同一
箇所で深さ方向内外位置に連続して形成され、両
孔６４，６５の形成位置が兼用されていることか
ら、前記ハウジング本体６１の構造及び加工が簡
素化されるのである。

（実施例） 以下本考案にかかるスクロール形流体機械の下
部ハウジングを図面の実施例によつて説明する。

第３図に示したスクロール形流体機械は、密閉
ケーシング１の内部に組付体Ａを支持させてお
り、この組付体Ａは、固定スクロール２及び可動
スクロール３を支持する上部ハウジング４と、ス
テータ５１及びロータ５２とから成るモータ５
と、下部ハウジング６とを備え、前記各ハウジン
グ４，６の間に前記モータ５を挟持状に介装させ
て、下部側から上部側へと固定ボルトＢを挿通さ
せることにより、前記各ハウジング４，６とモー
タ５とを一体に組付けて構成される。

また、前記ハウジング４，６の中心部には、そ
れぞれ上部軸受８と下部軸受９とを設けて、これ
ら各軸受８，９を介して前記モータ５のロータ５
２に結合された駆動軸７を軸受支持すると共に、
この駆動軸７の上部側を、前記上部ハウジング４
に内装した伝動機構１０を介して前記可動スクロ
ール３に連動連結させ、前記モータ５に伴う前記
駆動軸７の回転駆動により、前記可動スクロール
３を固定スクロール２に対し公転駆動させるよう
にしている。

更に、前記組付体Ａに使用される前記下部ハウ
ジング６は、概略有底筒状をなすハウジング本体
６１の上面側に、前記モータ５におけるステータ
５１の下部側を支持する支持面６２を設けると共
に、前記ハウジング本体６１の複数箇所に、前記
固定ボルトＢを挿通するためのボルト通孔６３を
上下方向に向けて貫通形成しており、斯く形成さ
れた前記下部ハウジング６の前記支持面６２に、
前記ステータ５１を支持させた状態で、前記ボル
ト通孔６３と、前記ステータ５１に設けた通孔５
１ａ並びに前記上部ハウジング４に設けたボルト
通孔４１を、それぞれ位置合わせして、前記ハウ
ジング本体６１の下方から前記各通孔６３，５１
ａ，４１へと前記固定ボルトＢを螺挿することに
より、前記上下各ハウジング４，６と前記モータ
５とを一体に組付けるようにしている。

また、前記第３図の実施例においては、前記上
部ハウジング４の外周部位に、半径方向外方に向
かつて膨出し、前記ケーシング１の内周上部側に
密接される径大な圧入部４２を一体に設けて、こ
の圧入部４２を前記ケーシング１内に圧入するこ
とにより、前記上部ハウジング４を介して前記組
付体Ａを前記ケーシング１内に宙架状に支持させ
ている。

そして、前記下部ハウジング６の下方部位に、
前記ケーシング１の内壁面に接触して、前記組付
体Ａの軸振れを防止する軸振れ防止リング１３を
固定ボルト１４で取付け、該リング１３でもつ
て、前記上部ハウジング４に設けた前記圧入部４
２を支点とする前記組付体Ａの軸振れを防止する
ようにしている。

尚、第３図において、１１は前記ケーシング１
の外周壁下方部に接続した吸入管、１２は前記ケ
ーシング１の外周壁上方部に接続した吐出管であ
る。

しかして以上のごときスクロール形流体機械に
使用される下部ハウジング６において、前記ハウ
ジング本体６１の底面側に、該ハウジング本体６
１の平面座標系における位置及びその回転姿勢を
決定する少なくとも２つ以上の位置決め孔６４を
形成すると共に、この位置決め孔６４の深さ方向
奥内部側に、該位置決め孔６４よりも径小とした
ネジ孔６５を連続状に形成して、前記位置決め孔
６４から前記ネジ孔６５へと前記固定ボルト１４
を螺挿することにより、前記ハウジング本体６１
の下部側に前記軸振れ防止リング１３を取付ける
ごとくなす一方、前記位置決め孔６４を丸孔形状
に形成して、この位置決め孔６４を介して前記固
定ボルト１４の先端部を前記ネジ孔６５へとスム
ーズに案内させるようにしたのである。

具体的には、第１図及び第２図で詳しく示した
ごとく、前記下部ハウジング６におけるハウジン
グ本体６１の下面側で、同一円周線上の２箇所
に、それぞれ下方に向かつて膨出する円形膨出部
６６を一体に形成し、これら各膨出部６６に丸孔
形状とされた径大な前記位置決め孔６４を、それ
ぞれ前記膨出部６６の下面側から所定深さにわた
つて形成すると共に、前記各位置決め孔６４の深
さ方向奥内部側に、該位置決め孔６４よりも径小
とされた前記ネジ孔６５を同心状に形成する。

また、前記ハウジング本体６１における前記各
位置決め孔６４の同一円周線上で、該各位置決め
孔６４の周方向中間部位には、概略楕円形状をな
す膨出部６７を一体に設け、この膨出部６７に
は、前記ネジ孔６５のみを形成している。

斯くして前記ハウジング本体６１の下部側に、
前記軸振れ防止リング１３を取付けるときには、
該リング１３を前記ハウジング本体６１の下面側
に設けた前記各膨出部６６に当接させ、かつ前記
リング１３に形成する複数のボルト挿通孔１３ａ
を、前記ハウジング本体６１に設けた各ネジ孔６
５と対向状に位置合わせして、前記各挿通孔１３
ａの下部側から前記各ネジ孔６５へと前記固定ボ
ルト１４をそれぞれ螺挿させるのである。このと
き、前記各位置決め孔６４の奥内部側に形成され
る前記各ネジ孔６５へと前記固定ボルト１４をそ
れぞれ螺挿する場合に、これら各固定ボルト１４
の先端部が前記各位置決め孔６４で前記ネジ孔６
５へと案内されることとなるため、前記固定ボル
ト１４の螺挿作業がスムーズに簡単に行えるので
ある。

（考案の効果） 以上説明したごとく本考案にかかるスクロール
形流体機械の下部ハウジングでは、ハウジング本
体６１の底面に、該本体６１の平面座標系におけ
る位置及びその回転姿勢を決定する少なくとも２
以上の位置決め孔６４を設けると共に、この位置
決め孔６４の深さ方向奥内部側に該位置決め孔６
４より径小としたネジ孔６５を連続状に形成する
一方、前記位置決め孔６４を、前記ネジ孔６５に
螺合されるボルト１４の先端部を前記ネジ孔６５
へと案内する丸孔形状としたから、前記下部ハウ
ジング６の全体構造を簡素化して、加工コストを
低廉ならしめることができ、しかも前記下部ハウ
ジング６の下部側に前記軸振れ防止リング１３な
どを取付けるときに、前記位置決め孔６４を利用
して前記ネジ孔６５への前記ボルト１４の螺挿作
業を簡単に行い得るに至つたのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかる下部ハウジングの要部
を示す縦断面図、第２図は同下部ハウジングの底
面図、第３図は同下部ハウジングを備えたスクロ
ール形流体機械の全体構造を示す縦断面図、第４
図は従来例を示す縦断面図である。 １……ケーシング、２……固定スクロール、３
……可動スクロール、５……モータ、６……下部
ハウジング、６１……ハウジング本体、６２……
支持面、６３……ボルト通孔、６４……位置決め
孔、６５……ネジ孔、７……駆動軸、９……下部
軸受。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 固定及び可動スクロール２，３を内装するケー
   シング１の下方側に配設され、前記可動スクロー
   ル３を駆動するモータ５の支持面６２と、該モー
   タ５を固定するためのボルト通孔６３と、前記モ
   ータ５に結合される駆動軸７の下方を支持する下
   部軸受９とを備えたスクロール形流体機械におけ
   る下部ハウジングであつて、ハウジング本体６１
   の底面に、該本体６１の平面座標系における位置
   及びその回転姿勢を決定する少なくとも２以上の
   位置決め孔６４を設けると共に、この位置決め孔
   ６４の深さ方向に、ネジ孔６５を連続させて設け
   る一方、前記位置決め孔６４を、前記ネジ孔６５
   に螺合されるボルト先端部を該ネジ孔６５に案内
   する丸孔形状としていることを特徴とするスクロ
   ール形流体機械における下部ハウジング。