JPH05167086A - 共鳴トンネル障壁構造とその製作方法 - Google Patents
共鳴トンネル障壁構造とその製作方法Info
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- JPH05167086A JPH05167086A JP35066191A JP35066191A JPH05167086A JP H05167086 A JPH05167086 A JP H05167086A JP 35066191 A JP35066191 A JP 35066191A JP 35066191 A JP35066191 A JP 35066191A JP H05167086 A JPH05167086 A JP H05167086A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 量子箱を用いた共鳴トンネル障壁構造が本来
持っている大きなピークを実現可能にする。 【構成】 第1のGaAsバッファ層202と、このバ
ッファ層202中のキャリアに対して障壁として作用す
る第1および第2のAlAs障壁層203,205と、
これら第1,第2の障壁層で挟まれたGaAS量子井戸
層204と、Al金属粒101を含む金属錘体102か
ら構成する。そして、この金属錘体102は、その頂点
が量子井戸層204に対して第1のバッファ層202と
対向した位置にある第2の障壁層205中にあり、量子
井戸層204と反対方向に広がった構造を有する。これ
により、電子の閉じ込め領域およびその近傍において、
エッチング,再成長に伴って導入される加工ダメージが
皆無となり、量子箱における量子準位を反映した共鳴ト
ンネル特性が得られる。
持っている大きなピークを実現可能にする。 【構成】 第1のGaAsバッファ層202と、このバ
ッファ層202中のキャリアに対して障壁として作用す
る第1および第2のAlAs障壁層203,205と、
これら第1,第2の障壁層で挟まれたGaAS量子井戸
層204と、Al金属粒101を含む金属錘体102か
ら構成する。そして、この金属錘体102は、その頂点
が量子井戸層204に対して第1のバッファ層202と
対向した位置にある第2の障壁層205中にあり、量子
井戸層204と反対方向に広がった構造を有する。これ
により、電子の閉じ込め領域およびその近傍において、
エッチング,再成長に伴って導入される加工ダメージが
皆無となり、量子箱における量子準位を反映した共鳴ト
ンネル特性が得られる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、共鳴トンネルダイオー
ドおよび共鳴トンネルトランジスタに用いられる共鳴ト
ンネル障壁構造およびその製造方法に関するものであ
る。
ドおよび共鳴トンネルトランジスタに用いられる共鳴ト
ンネル障壁構造およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】共鳴トンネル障壁構造で実現される電流
電圧特性における負性抵抗特性を利用して、多数のダイ
オード,トランジスタが提案されている。共鳴トンネル
特性は、共鳴トンネル障壁構造において、共鳴トンネル
を起こす量子準位を決める部分の量子閉じ込め効果に強
く依存する。即ち、従来広く用いられている量子井戸構
造から、量子閉じ込め効果の強い量子箱構造にすれば、
より強い共鳴効果を得ることができ、大きな負性抵抗を
伴った共鳴トンネル特性が得られることは、理論的に予
測されている。
電圧特性における負性抵抗特性を利用して、多数のダイ
オード,トランジスタが提案されている。共鳴トンネル
特性は、共鳴トンネル障壁構造において、共鳴トンネル
を起こす量子準位を決める部分の量子閉じ込め効果に強
く依存する。即ち、従来広く用いられている量子井戸構
造から、量子閉じ込め効果の強い量子箱構造にすれば、
より強い共鳴効果を得ることができ、大きな負性抵抗を
伴った共鳴トンネル特性が得られることは、理論的に予
測されている。
【0003】図6に量子箱を用いた共鳴障壁構造、およ
びその製作方法の従来例を示す。まず、図6(a) に示し
たように、n形の導電性を有するGaAs(001)基
板201上に、n形導電性を有するGaAsバッファ層
202,AlAsからなる第1の障壁層203,GaA
s量子井戸層204,AlAsからなる第2の障壁層2
05,n形導電性を有するGaAsエミッタ層206
を、順次分子線エピタキシャル法で成長する。次に図6
(b) に示したように、周知の加工方法により、上記エピ
タキシャル層から100〜400nmの円筒状部分を残
して、他の部分207を選択的にエッチングする。更
に、そのエッチング部分207にAlAsの再成長部分
208を形成し、量子箱211を形成する。しかる後
に、エミッタ電極層209,コレクタ電極層210を形
成する。
びその製作方法の従来例を示す。まず、図6(a) に示し
たように、n形の導電性を有するGaAs(001)基
板201上に、n形導電性を有するGaAsバッファ層
202,AlAsからなる第1の障壁層203,GaA
s量子井戸層204,AlAsからなる第2の障壁層2
05,n形導電性を有するGaAsエミッタ層206
を、順次分子線エピタキシャル法で成長する。次に図6
(b) に示したように、周知の加工方法により、上記エピ
タキシャル層から100〜400nmの円筒状部分を残
して、他の部分207を選択的にエッチングする。更
に、そのエッチング部分207にAlAsの再成長部分
208を形成し、量子箱211を形成する。しかる後
に、エミッタ電極層209,コレクタ電極層210を形
成する。
【0004】このように構成された共鳴トンネル障壁構
造は、電極209,210間に適切なバイアス電圧を印
加すれば、負性抵抗を伴った、図3の(a) に示すような
共鳴トンネル特性が得れれる。特に、本構造において
は、基板に垂直方向にAlAs障壁層により電子が閉じ
込められていることに加えて、基板面内方向にもエッチ
ング加工,およびAlAs選択的成長によって閉じ込め
られており、量子箱211が形成されている。従って、
強い共鳴効果が得られると期待されていた。
造は、電極209,210間に適切なバイアス電圧を印
加すれば、負性抵抗を伴った、図3の(a) に示すような
共鳴トンネル特性が得れれる。特に、本構造において
は、基板に垂直方向にAlAs障壁層により電子が閉じ
込められていることに加えて、基板面内方向にもエッチ
ング加工,およびAlAs選択的成長によって閉じ込め
られており、量子箱211が形成されている。従って、
強い共鳴効果が得られると期待されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の加工お
よび再成長の工程、とりわけ、量子箱211の部分を円
筒状に残し、その他の部分207をエッチングする過程
で多量の加工ダメージが量子箱211の部分に導入され
る。このダメージのため、その詳細機構は不明であるが
共鳴トンネル特性が大きく損なわれてしまうことが実験
的に明らかにされている(M. A. Reed et al., "Observ
ation of Discrete Electronic States ina Zero-Dimen
sional Semiconductor Nanostructure ",Phys. Rev. Le
tt., 60(6), 535-537 (1988) )。即ち、理論的に予測
される谷電流値と比較して、実際のIv’は大きく、共
鳴トンネル現象で特徴的な負性抵抗は小さいという問題
点があった。
よび再成長の工程、とりわけ、量子箱211の部分を円
筒状に残し、その他の部分207をエッチングする過程
で多量の加工ダメージが量子箱211の部分に導入され
る。このダメージのため、その詳細機構は不明であるが
共鳴トンネル特性が大きく損なわれてしまうことが実験
的に明らかにされている(M. A. Reed et al., "Observ
ation of Discrete Electronic States ina Zero-Dimen
sional Semiconductor Nanostructure ",Phys. Rev. Le
tt., 60(6), 535-537 (1988) )。即ち、理論的に予測
される谷電流値と比較して、実際のIv’は大きく、共
鳴トンネル現象で特徴的な負性抵抗は小さいという問題
点があった。
【0006】このように、従来構造の共鳴トンネル障壁
構造では、量子箱を用いたとしても、共鳴トンネル電流
成分Ipに対する非共鳴電流成分Iv’の割合が大きい
ため、ダイオード特性における、ピーク電流値と谷部分
の電流値との比率、いわゆるピーク・バレー比が理論予
測を大幅に下回る値しか得られない。このため、所望の
大きな負性抵抗値が得られず、ダイオードの周波数応答
特性が低下したり、機能素子における設計マージンが小
さいという問題点があった。
構造では、量子箱を用いたとしても、共鳴トンネル電流
成分Ipに対する非共鳴電流成分Iv’の割合が大きい
ため、ダイオード特性における、ピーク電流値と谷部分
の電流値との比率、いわゆるピーク・バレー比が理論予
測を大幅に下回る値しか得られない。このため、所望の
大きな負性抵抗値が得られず、ダイオードの周波数応答
特性が低下したり、機能素子における設計マージンが小
さいという問題点があった。
【0007】本発明は、量子箱を用いた共鳴トンネル障
壁構造が本来持っている大きなピーク・バレー比を実現
するための、全く新規の構造を有する共鳴トンネル障壁
構造およびその形成方法を提供することを目的とする。
壁構造が本来持っている大きなピーク・バレー比を実現
するための、全く新規の構造を有する共鳴トンネル障壁
構造およびその形成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記目的を
達成するため、共鳴トンネル障壁における量子箱を形成
する方法として、共鳴トンネル特性を著しく損なう加工
ダメージをもたらす、従来方法で用いていたエッチング
および再成長の工程を取りやめ、それに代わる電子の閉
じ込め手段として、半導体表面に形成した金属粒が融解
するとき、その一部が鋭角的先端を有して半導体内部に
浸透するという、本発明者らが最近得た知見に基づき、
その先端に発生する集中電界を用いることを最大の特徴
としている。
達成するため、共鳴トンネル障壁における量子箱を形成
する方法として、共鳴トンネル特性を著しく損なう加工
ダメージをもたらす、従来方法で用いていたエッチング
および再成長の工程を取りやめ、それに代わる電子の閉
じ込め手段として、半導体表面に形成した金属粒が融解
するとき、その一部が鋭角的先端を有して半導体内部に
浸透するという、本発明者らが最近得た知見に基づき、
その先端に発生する集中電界を用いることを最大の特徴
としている。
【0009】具体的には、本発明の共鳴トンネル障壁構
造は、第1の半導体薄膜と、第1の半導体薄膜中のキャ
リアに対して障壁として作用する第1および第2の障壁
層と、第1および第2の障壁層で挟まれた量子井戸層
と、金属錘体とからなり、この金属錘体は、その頂点が
量子井戸層に対して第1の半導体薄膜と対向した位置に
ある第2の障壁層中にあり、かつ量子井戸層と反対方向
に広がった構造を有するものである。
造は、第1の半導体薄膜と、第1の半導体薄膜中のキャ
リアに対して障壁として作用する第1および第2の障壁
層と、第1および第2の障壁層で挟まれた量子井戸層
と、金属錘体とからなり、この金属錘体は、その頂点が
量子井戸層に対して第1の半導体薄膜と対向した位置に
ある第2の障壁層中にあり、かつ量子井戸層と反対方向
に広がった構造を有するものである。
【0010】また、本発明による共鳴トンネル障壁構造
の製作方法は、第1の半導体薄膜,第1の障壁層,量子
井戸層,第2の障壁層を順に基板上に積層して、この第
1の半導体薄膜中のキャリアに対して障壁として作用す
る第1および第2の障壁層で量子井戸層が挟まれた積層
構造体を形成する工程と、この工程で得られた積層構造
体上に島状に金属を形成する工程と、この工程の金属の
融点より僅かに高い温度で加熱処理を行い、その金属の
島状成長核の融解に伴い島状成長核の一部を第2の障壁
層中に浸透させる工程とを有するものである。
の製作方法は、第1の半導体薄膜,第1の障壁層,量子
井戸層,第2の障壁層を順に基板上に積層して、この第
1の半導体薄膜中のキャリアに対して障壁として作用す
る第1および第2の障壁層で量子井戸層が挟まれた積層
構造体を形成する工程と、この工程で得られた積層構造
体上に島状に金属を形成する工程と、この工程の金属の
融点より僅かに高い温度で加熱処理を行い、その金属の
島状成長核の融解に伴い島状成長核の一部を第2の障壁
層中に浸透させる工程とを有するものである。
【0011】
【作用】したがって本発明によれば、電子の閉じ込め領
域およびその近傍において、従来方法で行っていたよう
なエッチング,再成長に伴って導入される加工ダメージ
がなくなり、量子箱における量子準位を反映した鋭い電
流ピークを有する共鳴トンネル特性が得られる。
域およびその近傍において、従来方法で行っていたよう
なエッチング,再成長に伴って導入される加工ダメージ
がなくなり、量子箱における量子準位を反映した鋭い電
流ピークを有する共鳴トンネル特性が得られる。
【0012】
【実施例】以下、本発明を図に示す実施例に基づいて詳
細に説明する。図1により本発明の実施例を説明する。
図1において、201から205は図6と同一の構造で
あるが、101はAl金属粒、102はこの金属粒10
1に接続し、そこから第2障壁層205へ浸透した鋭角
的先端を有するAl四角錘体である。この構造を形成す
る方法を図2で説明する。まず、公知の分子線エピタキ
シャル成長法でGaAs(001)基板201上に、G
aAsバッファ層202,AlAsからなる第1の障壁
層203,GaAs量子井戸層204,AlAsからな
る第2の障壁層205の各層を順次成長する(図2
(a))。
細に説明する。図1により本発明の実施例を説明する。
図1において、201から205は図6と同一の構造で
あるが、101はAl金属粒、102はこの金属粒10
1に接続し、そこから第2障壁層205へ浸透した鋭角
的先端を有するAl四角錘体である。この構造を形成す
る方法を図2で説明する。まず、公知の分子線エピタキ
シャル成長法でGaAs(001)基板201上に、G
aAsバッファ層202,AlAsからなる第1の障壁
層203,GaAs量子井戸層204,AlAsからな
る第2の障壁層205の各層を順次成長する(図2
(a))。
【0013】次に、同一成長室中、または別に用意され
た蒸発室で第2の障壁層205上に、Alを蒸着する。
蒸着開始と共に、Al原子は表面拡散し、図2(b) に示
したように、基板上にAlの島状成長核401が形成さ
れるが、島状成長核401はそのときの基板温度で決ま
る表面拡散長程度の間隔Lでほぼ一様に分布する。この
時、円錐状にAlがなるのはAs,Ga等がAlに固溶
されるためと推察される。またAl膜は例えば基板温度
500〜600℃で、数100Å程度の膜厚に形成し
た。なお、本実施例では基板上にAlを島状に形成する
のにAlの島状成長を利用したが、Al膜を形成した
後、フォトリソグラフィ等でパターニングして島状にし
てもよい。
た蒸発室で第2の障壁層205上に、Alを蒸着する。
蒸着開始と共に、Al原子は表面拡散し、図2(b) に示
したように、基板上にAlの島状成長核401が形成さ
れるが、島状成長核401はそのときの基板温度で決ま
る表面拡散長程度の間隔Lでほぼ一様に分布する。この
時、円錐状にAlがなるのはAs,Ga等がAlに固溶
されるためと推察される。またAl膜は例えば基板温度
500〜600℃で、数100Å程度の膜厚に形成し
た。なお、本実施例では基板上にAlを島状に形成する
のにAlの島状成長を利用したが、Al膜を形成した
後、フォトリソグラフィ等でパターニングして島状にし
てもよい。
【0014】次に、Alの融点(660℃)より僅かに
高い温度で短時間、例えば680℃で30秒間の加熱処
理を行い、その後、急速(毎秒5℃)に500℃以下に
冷却したのち、徐冷した。この時、各層202〜205
のエピタキシャル結晶薄膜の高品質性を保つには、この
処理を10-5Torr程度のAs圧下で行うことが望ま
しい。熱処理を所定のAs分圧化で行うのは、加熱によ
りGaAs基板中のAsが蒸発して、表面の結晶性が悪
化するのを防止するためである。
高い温度で短時間、例えば680℃で30秒間の加熱処
理を行い、その後、急速(毎秒5℃)に500℃以下に
冷却したのち、徐冷した。この時、各層202〜205
のエピタキシャル結晶薄膜の高品質性を保つには、この
処理を10-5Torr程度のAs圧下で行うことが望ま
しい。熱処理を所定のAs分圧化で行うのは、加熱によ
りGaAs基板中のAsが蒸発して、表面の結晶性が悪
化するのを防止するためである。
【0015】この加熱処理により、Alの島状成長核4
01は一旦溶けたのち再び凝固してAl金属粒101と
なる。更に、溶けた一部のAlはAlAs障壁層205
中に浸透し、Al四角錘102が形成される(図2(c)
)。この現象は液相エピタキシャル成長におけるメル
トバック現象と類似した現象で、AlAs層205の一
部がAl金属粒101中に溶け出す結果発生する構造で
ある。本発明者らは詳細にこの過程を観察した結果、溶
け出す速度に結晶面方位依存性があり、(111)面が
他の面に比べて遅いため、図2(c')の102の拡大図に
より示したように、四角錘102の側面が結晶的に等価
な4つの(111)面402で構成されていることを明
らかにした。次に、n形導電性を有するGaAs層40
3で覆い(図2(d) )、更に、この層403にコレクタ
電極層404,基板201にエミッタ電極層405を形
成した。
01は一旦溶けたのち再び凝固してAl金属粒101と
なる。更に、溶けた一部のAlはAlAs障壁層205
中に浸透し、Al四角錘102が形成される(図2(c)
)。この現象は液相エピタキシャル成長におけるメル
トバック現象と類似した現象で、AlAs層205の一
部がAl金属粒101中に溶け出す結果発生する構造で
ある。本発明者らは詳細にこの過程を観察した結果、溶
け出す速度に結晶面方位依存性があり、(111)面が
他の面に比べて遅いため、図2(c')の102の拡大図に
より示したように、四角錘102の側面が結晶的に等価
な4つの(111)面402で構成されていることを明
らかにした。次に、n形導電性を有するGaAs層40
3で覆い(図2(d) )、更に、この層403にコレクタ
電極層404,基板201にエミッタ電極層405を形
成した。
【0016】このようにして形成した共鳴トンネル障壁
構造は、基板201に接続されたエミッタ電極405を
接地し、Al金属粒101に接続されたコレクタ電極4
04に正の電圧を印加すると、その電位差により発生し
たポテンシャル分布により規定された経路を経て、電子
がエミッタ電極405からGaAs基板201,エピタ
キシャル層202〜205を通じて、Al四角錘102
の先端を経て、Al金属粒101へ流入する。
構造は、基板201に接続されたエミッタ電極405を
接地し、Al金属粒101に接続されたコレクタ電極4
04に正の電圧を印加すると、その電位差により発生し
たポテンシャル分布により規定された経路を経て、電子
がエミッタ電極405からGaAs基板201,エピタ
キシャル層202〜205を通じて、Al四角錘102
の先端を経て、Al金属粒101へ流入する。
【0017】図4は、このような状態のポテンシャル分
布を示したもので、本発明者らがラプラス方程式を解い
て得た等ポテンシャル線を501,502,503,5
04により示す。Al四角錘102の先端が鋭角的に形
成されているため、先端付近に急激なポテンシャルの傾
斜部分が発生し、等ポテンシャル線503と、AlAs
障壁層203及び205とGaAs量子井戸層204と
のヘテロ界面とにより囲まれた領域505に量子箱が形
成され、電子を閉じ込めることができた。
布を示したもので、本発明者らがラプラス方程式を解い
て得た等ポテンシャル線を501,502,503,5
04により示す。Al四角錘102の先端が鋭角的に形
成されているため、先端付近に急激なポテンシャルの傾
斜部分が発生し、等ポテンシャル線503と、AlAs
障壁層203及び205とGaAs量子井戸層204と
のヘテロ界面とにより囲まれた領域505に量子箱が形
成され、電子を閉じ込めることができた。
【0018】その結果、エミッタ電極405から、Ga
As基板201,GaAs層202を経てきた電子は、
二重トンネル障壁構造203,204,205を共鳴ト
ンネルで透過するにしても、共鳴準位が上記に述べた閉
じ込め効果によって生じた量子箱に形成されているた
め、量子箱の準位を介する共鳴トンネル電流としてAl
四角錘体102,Al金属粒101へ流入し、更に、コ
レクタ電極404へ到達する。従って、電極405,4
04間の電流電圧特性には、図3の(b) に示したよう
に、量子箱505における量子準位を反映した鋭い電流
ピークを有する共鳴トンネル特性が得られた。
As基板201,GaAs層202を経てきた電子は、
二重トンネル障壁構造203,204,205を共鳴ト
ンネルで透過するにしても、共鳴準位が上記に述べた閉
じ込め効果によって生じた量子箱に形成されているた
め、量子箱の準位を介する共鳴トンネル電流としてAl
四角錘体102,Al金属粒101へ流入し、更に、コ
レクタ電極404へ到達する。従って、電極405,4
04間の電流電圧特性には、図3の(b) に示したよう
に、量子箱505における量子準位を反映した鋭い電流
ピークを有する共鳴トンネル特性が得られた。
【0019】なお、本実施例では基板面方位として(0
01)面を用いたため、金属粒101から浸透する部分
の形が、(111)面を側面とする四角錘102となっ
たが、別方位面の基板を用いれば、その結晶方位によっ
て決まる別形状を有する浸透部分となるが、先端部分が
針状であれば、上記に説明した効果と全く同様の効果が
得られることは明かである。また、本実施例ではAlA
s/GaAs積層構造上のAlを例として説明したが、
その融点以上の温度で、下地のエピタキシャル結晶薄膜
を融解しうる金属であれば、In,Ga等の金属を、ま
た積層構造としてはInGaAs/InAlAs系等他
の半導体ヘテロ構造を、それぞれ用いて、ここで説明し
た構造と同一のものが得られることも明かである。
01)面を用いたため、金属粒101から浸透する部分
の形が、(111)面を側面とする四角錘102となっ
たが、別方位面の基板を用いれば、その結晶方位によっ
て決まる別形状を有する浸透部分となるが、先端部分が
針状であれば、上記に説明した効果と全く同様の効果が
得られることは明かである。また、本実施例ではAlA
s/GaAs積層構造上のAlを例として説明したが、
その融点以上の温度で、下地のエピタキシャル結晶薄膜
を融解しうる金属であれば、In,Ga等の金属を、ま
た積層構造としてはInGaAs/InAlAs系等他
の半導体ヘテロ構造を、それぞれ用いて、ここで説明し
た構造と同一のものが得られることも明かである。
【0020】また更に、上記金属の融解処理を行い、四
角錘体を形成する過程を、As,P等の雰囲気ガス中で
行い、上記金属中にこれらのガス成分が取り込まれた結
果、上記四角錘体がGaAs等の化合物半導体で形成さ
れたとしても、共鳴トンネル特性としては同様の特性が
得られる。また、第2の障壁層が1つのAlAs層では
なく、障壁作用を有する複数の層、例えばAlGaAs
層とAlAs層との組合せから構成しても、上記に述べ
た効果と全く同様のものが得られることも明かである。
角錘体を形成する過程を、As,P等の雰囲気ガス中で
行い、上記金属中にこれらのガス成分が取り込まれた結
果、上記四角錘体がGaAs等の化合物半導体で形成さ
れたとしても、共鳴トンネル特性としては同様の特性が
得られる。また、第2の障壁層が1つのAlAs層では
なく、障壁作用を有する複数の層、例えばAlGaAs
層とAlAs層との組合せから構成しても、上記に述べ
た効果と全く同様のものが得られることも明かである。
【0021】図5に第2の実施例を示す。同図におい
て、601は共鳴トンネル障壁構造に接近させて配置し
た金属錘体、602は真空を示す。この構造は、例え
ば、走査型トンネル顕微鏡内で、探針を共鳴トンネル障
壁構造を有するウエハに接近させることにより得られ
る。このように構成されているため、電子はGaAs基
板201から、GaAs層202,AlAs障壁層20
3,量子井戸層204,AlAs障壁層205,真空6
02を経て探針601に到達するが、この場合、第2の
障壁層としてはAlAs障壁層205およびGaAs層
206が実効的に一体となって障壁層として作用する。
即ち、第1の実施例とは、第2の障壁層の構造が異な
る。しかし、現象自体は第1の実施例と同様に観察さ
れ、強い共鳴トンネル効果に起因する大きなピーク/谷
比が得られた。
て、601は共鳴トンネル障壁構造に接近させて配置し
た金属錘体、602は真空を示す。この構造は、例え
ば、走査型トンネル顕微鏡内で、探針を共鳴トンネル障
壁構造を有するウエハに接近させることにより得られ
る。このように構成されているため、電子はGaAs基
板201から、GaAs層202,AlAs障壁層20
3,量子井戸層204,AlAs障壁層205,真空6
02を経て探針601に到達するが、この場合、第2の
障壁層としてはAlAs障壁層205およびGaAs層
206が実効的に一体となって障壁層として作用する。
即ち、第1の実施例とは、第2の障壁層の構造が異な
る。しかし、現象自体は第1の実施例と同様に観察さ
れ、強い共鳴トンネル効果に起因する大きなピーク/谷
比が得られた。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、電子の
閉じ込め領域およびその近傍において、従来方法で行っ
ていたようなエッチング,再成長に伴って導入される加
工ダメージが導入されないため、共鳴特性を損なう要因
が除外でき、図3の(b) に示したように、量子箱におけ
る量子準位を反映した共鳴トンネル特性が得られた。そ
の結果、所望の大きな負性抵抗が得られ、素子の周波数
応答特性を低下させることなく、しかも機能素子におけ
る設計マージンが大きくとれるなどの優れた効果があ
る。
閉じ込め領域およびその近傍において、従来方法で行っ
ていたようなエッチング,再成長に伴って導入される加
工ダメージが導入されないため、共鳴特性を損なう要因
が除外でき、図3の(b) に示したように、量子箱におけ
る量子準位を反映した共鳴トンネル特性が得られた。そ
の結果、所望の大きな負性抵抗が得られ、素子の周波数
応答特性を低下させることなく、しかも機能素子におけ
る設計マージンが大きくとれるなどの優れた効果があ
る。
【図1】本発明の一実施例を示す構造断面図である。
【図2】本発明の構造を形成する方法を示す工程図であ
る。
る。
【図3】本発明により得られた共鳴トンネル特性を従来
例のものと対比して示す特性図である。
例のものと対比して示す特性図である。
【図4】本実施例における量子箱の状態のポテンシャル
を示す図である。
を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施例を示す図である。
【図6】量子箱を用いた共鳴障壁構造およびその製作方
法の従来例を示す図である。
法の従来例を示す図である。
101 Al金属粒 102 Al四角錘体 201 GaAs基板 202 GaAsバッファ層 203 AlAsからなる第1の障壁層 204 GaAs量子井戸層 205 AlAsからなる第2の障壁層 403 n形導電性のGaAs層 404 コレクタ電極層 405 エミッタ電極層
Claims (2)
- 【請求項1】 第1の半導体薄膜と、第1の半導体薄膜
中のキャリアに対して障壁として作用する第1および第
2の障壁層と、第1および第2の障壁層で挟まれた量子
井戸層と、金属錘体とからなり、 上記金属錘体は、その頂点が上記量子井戸層に対して第
1の半導体薄膜と対向した位置にある第2の障壁層中に
あり、上記量子井戸層と反対方向に広がった構造を有す
ることを特徴とする共鳴トンネル障壁構造。 - 【請求項2】 第1の半導体薄膜,第1の障壁層,量子
井戸層,第2の障壁層を順に基板上に積層して、この第
1の半導体薄膜中のキャリアに対して障壁として作用す
る第1および第2の障壁層で量子井戸層が挟まれた積層
構造体を形成する工程と、 上記工程で得られた積層構造体上に島状に金属を形成す
る工程と、 上記工程の金属の融点より僅かに高い温度で加熱処理を
行い、その金属の島状成長核の融解に伴い、該島状成長
核の一部を上記第2の障壁層中に浸透させる工程と、 を有することを特徴とする共鳴トンネル障壁構造の製作
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35066191A JPH05167086A (ja) | 1991-12-12 | 1991-12-12 | 共鳴トンネル障壁構造とその製作方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35066191A JPH05167086A (ja) | 1991-12-12 | 1991-12-12 | 共鳴トンネル障壁構造とその製作方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05167086A true JPH05167086A (ja) | 1993-07-02 |
Family
ID=18412003
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35066191A Pending JPH05167086A (ja) | 1991-12-12 | 1991-12-12 | 共鳴トンネル障壁構造とその製作方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05167086A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1999028959A1 (en) * | 1997-11-27 | 1999-06-10 | Japan Science And Technology Corporation | Fine protuberance structure and method of production thereof |
-
1991
- 1991-12-12 JP JP35066191A patent/JPH05167086A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1999028959A1 (en) * | 1997-11-27 | 1999-06-10 | Japan Science And Technology Corporation | Fine protuberance structure and method of production thereof |
KR100368298B1 (ko) * | 1997-11-27 | 2003-01-24 | 가가쿠 기쥬츠 신코 지교단 | 미세 돌기 구조체 및 그 제조방법 |
US6577005B1 (en) | 1997-11-27 | 2003-06-10 | Kabushiki Kaishia Toshiba | Fine protuberance structure and method of production thereof |
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