JPH05158191A - 写真フイルムパトローネ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 パトローネ本体に段差が生じてもこれの影響
を受けず、しかもリブ自体やリブの段差によって擦り傷
が発生することのない写真フイルムパトローネを提供す
る。 【構成】 スプール５を、駆動側スプール本体５ａと従
動側スプール本体５ｂとカム機構１２とから構成する。
カム機構１２を、カム溝１３と、これに係合するピン１
４とから構成する。スプール本体５ａにはリップ１７付
きのフランジ１５を設ける。スプール本体５ｂには、ロ
ール状にした写真フイルムの巻取径よりも小さいフラン
ジ１６を設ける。このフランジ１６とパトローネ本体と
の間には円盤２０を配置する。この円盤２０を弾性変形
可能な材料で構成するとともに、リップ１７に対向する
位置でリップ２１を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ロール状に収容した写
真フイルムをスプールの回転によって外部へ送り出すよ
うにした写真フイルムパトローネに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】カメラへの写真フイルム装填操作を簡便
にするために、パトローネ本体に写真フイルムを完全に
収容しておき、カメラ側の機構によりスプールを回転さ
せて写真フイルム先端部をパトローネ本体外に送り出す
ようにした、いわゆる写真フイルム頭出し機能を有する
写真フイルムパトローネが提案されている（例えば米国
特許第４８４６４１８号、特願平１−１７２５９４
号）。これらの写真フイルムパトローネは、図１１及び
図１２に示すように、パトローネ本体の内周面に設けた
巻き弛み防止用のリブ６０，６５で巻き弛みを規制し
て、スプール６２，６７の回転を写真フイルムの最外周
に位置する写真フイルム先端に伝達して、写真フイルム
先端を写真フイルム出入り口から送り出すようにしてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、巻き弛
み防止用リブにより写真フイルム先端を案内する上記写
真フイルムパトローネでは、写真フイルムの頭出し時及
び巻取時に、写真フイルムの背面とリブとが擦れること
により、写真フイルムの背面に傷が発生する。特に、パ
トローネ本体は、２個のケース部材を合わせて超音波溶
着等により接合して構成されるため、溶着時のずれによ
って合わせ面に段差が生じやすい。この段差は、当然の
ことながら、パトローネ本体内のリブにも生じるため、
この段差によって、擦り傷が発生する他に、写真フイル
ム先端が引っ掛かって頭出しトルクが上昇したり、頭出
し不良が発生したりする。

【０００４】本発明は上記課題を解決するためのもので
あり、パトローネ本体に段差が生じてもこれの影響を受
けず、しかもリブ自体やリブの段差によって擦り傷が発
生することのないようにした写真フイルムパトローネを
提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１の発明は、ロール状に写真フイルムを巻き
つけたスプールと、スプールを回転自在に収容するパト
ローネ本体と、このパトローネ本体に設けられ、収容し
たロール状の写真フイルムをその最外周で出し入れする
ための写真フイルム出入り口とを備え、前記スプールを
写真フイルム送出方向に回転させて写真フイルム先端を
出入り口から外に送り出すようにした写真フイルムパト
ローネにおいて、前記スプールは、駆動側スプール本体
と従動側スプール本体とこれらスプール本体を連係する
カム機構とから構成され、カム機構は、駆動側スプール
本体を写真フイルム送出方向に回転すると両スプール本
体をスプールの軸方向で相対的に接近させ、駆動側スプ
ール本体を写真フイルム巻取方向に回転すると両スプー
ル本体をスプールの軸方向で相対的に離反させるように
構成され、駆動側スプール本体には、ロール状の写真フ
イルムの最外周面に接して巻き弛みを規制するととも
に、フランジの写真フイルム送出方向の回転を写真フイ
ルムに伝達するリップ付きのフランジが設けられ、従動
側スプール本体には写真フイルムの巻取径よりも小さい
フランジが設けられ、従動側スプール本体のフランジと
パトローネ本体との間には円盤が配置され、この円盤
は、前記リップに対向する位置でロール状のフイルムの
最外周面に接して巻き弛みを規制するリップを備え、且
つ弾性変形可能な材料で構成されたものである。

【０００６】また、請求項２の発明は、ロール状に写真
フイルムを巻きつけたスプールと、スプールを回転自在
に収容するパトローネ本体と、このパトローネ本体に設
けられ、収容した写真フイルムをその最外周で出し入れ
するための写真フイルム出入り口とを備え、前記スプー
ルを写真フイルム送出方向に回転させて写真フイルム先
端を出入り口から外に送り出すようにした写真フイルム
パトローネにおいて、前記スプールは、駆動側スプール
本体と従動側スプール本体とこれらスプール本体を連係
するカム機構とから構成され、カム機構は、駆動側スプ
ール本体を写真フイルム送出方向に回転すると両スプー
ル本体をスプールの軸方向で相対的に接近させ、駆動側
スプール本体を写真フイルム巻取方向に回転すると両ス
プール本体をスプールの軸方向で相対的に離反させるよ
うに構成され、駆動側スプール本体には、ロール状の写
真フイルムの最外周面に接して巻き弛みを規制するとと
もに、フランジの写真フイルム送出方向の回転を写真フ
イルムに伝達するリップ付きのフランジが設けられ、従
動側スプール本体には写真フイルムの巻取径よりも小さ
いフランジが設けられ、従動側スプール本体のフランジ
とパトローネ本体との間には円盤が回転不能に配置さ
れ、この円盤は、前記リップに対向する位置でロール状
の写真フイルムの最外周面に接して巻き弛みを規制する
リップを備え、且つリップの写真フイルム出入り口に対
面する位置には写真フイルム通過切欠きが形成されたも
のである。

【０００７】また、請求項３の発明は、ロール状に写真
フイルムを巻きつけたスプールと、スプールを回転自在
に収容するパトローネ本体と、このパトローネ本体に設
けられ、収容した写真フイルムをその最外周で出し入れ
するための写真フイルム出入り口とを備え、前記スプー
ルを写真フイルム送出方向に回転させて写真フイルム先
端を出入り口から外に送り出すようにした写真フイルム
パトローネにおいて、前記スプールは両端部にフランジ
を備え、一方のフランジは弾性変形可能な材料で構成し
た柔構造のフランジとされ、他方のフランジは、ロール
状の写真フイルムの巻取径よりも小さい径で形成された
剛構造のフランジとされ、前記柔フランジの側面に接す
るパトローネ本体には、柔フランジをスプールの軸方向
で剛フランジ側に押圧する凸部が設けられ、また、剛フ
ランジとパトローネ本体との間には円盤が配置され、こ
の円盤は弾性変形可能な材料で構成され、且つ、ロール
状の写真フイルムの最外周面に接して巻き弛みを規制す
るリップが突出して形成されたものである。

【０００８】また、請求項４の発明は、上記弾性変形可
能な円盤に代えて、リップを有する円盤を回動不能に配
置し、且つこの円盤のリップには、写真フイルム出入り
口に対面する位置で写真フイルム通過切欠きを形成した
ものである。

【０００９】本発明の写真フイルムパトローネについ
て、以下に実施例をあげて、より具体的に説明するが、
勿論これらに限定されるものではない。

【００１０】

【実施例】図１は、本発明の写真フイルムパトローネの
分解斜視図である。パトローネ本体１は、上ケース１
ａ，下ケース１ｂの２個に分かれ、これらの中にロール
状にして写真フイルム２が収容される。図２のように、
上ケース１ａと下ケース１ｂとの合わせ目には開口から
なる写真フイルム出入り口４が形成され、この出入り口
４が写真フイルムを出し入れするときの通路となる。写
真フイルム２は、その後端をスプール５に固着した状態
でスプール５に巻きつけられている。出入り口４の内側
には遮光用に周知のテレンプ６が貼付されているが、図
面の煩雑化を避けるために図１においては図示を省略し
た。また、下ケース１ｂの写真フイルム先端部２ａに対
面する位置には先端分離爪３が設けられている。この先
端分離爪３は合成樹脂性の薄板からなり、写真フイルム
送り出し時に写真フイルム先端部２ａを掬ってこれを出
入り口４に案内する。

【００１１】請求項１の発明である図３及び図４に示す
ように、スプール５は、駆動側スプール本体５ａと従動
側スプール本体５ｂとから構成されており、駆動側スプ
ール本体５ａに突出して形成された連結軸７を、従動側
スプール本体５ｂに凹設した連結孔８に嵌め込むこと
で、両者が軸方向で移動自在に連結される。また、駆動
側スプール本体５ａには、カメラや写真フイルム頭出し
装置等のフォーク１０が挿入される係合端部１１が設け
られている。更に、これらスプール本体５ａ，５ｂに
は、これらを連係するカム機構１２が設けられている。
カム機構１２は、従動側スプール本体５ｂに形成したカ
ム溝１３と、駆動側スプール本体５ａに設けたピン１４
とから構成されている。これにより、フォーク１０によ
り駆動側スプール本体５ａが回転すると、ピン１４及び
カム溝１３を介して従動側スプール本体５ｂも回転す
る。また、この回転時の回転方向が図３中の矢印Ａで示
す写真フイルム巻取方向の場合には、カム溝１３とピン
１４との係合によって、パトローネ本体１の隙間の範囲
内で、両スプール本体５ａ，５ｂが離反する。また、回
転方向が矢印Ｂで示す写真フイルム給送方向の場合に
は、カム機構１０によって両者が接近する。両スプール
本体５ａ，５ｂには、フランジ１５，１６が一体的に設
けられているため、スプール５に巻きつけられた写真フ
イルム２は、両スプール本体５ａ，５ｂの接近により各
フランジ１５，１６で挟持される。

【００１２】駆動側スプール本体５ａのフランジ１５に
は、ロール状の写真フイルム２の最外周の面に接触し
て、これの巻き弛みを規制するとともに、両スプール本
体５ａ，５ｂの接近の際に、写真フイルム２の最外周の
端面を挟持し、駆動側スプール本体５ａの矢印Ｂ方向の
回転を伝達するリップ（規制片）１７が写真フイルム接
触側に突出して形成されている。また、従動側スプール
本体５ｂのフランジ１６は、駆動側スプール本体５ａの
フランジ１５より小さい径で形成されており、このフラ
ンジ１６とパトローネ本体１との間には、円盤２０が回
動自在に取り付けられている。円盤２０には、フランジ
１５のリップ１７と対面する位置で、リップ２１が突出
して形成されている。このリップ２１は、図４に示すよ
うに、断面が円弧状となるように写真フイルム側に突出
して形成されている。このリップ付き円盤２０は、写真
フイルム頭出しの際に、写真フイルム先端部を各リップ
による規制から開放することができるように、充分柔ら
かい材質及び厚みで形成されている。具体的には、円盤
２０は、ＰＰ（ポリプロピレン）、ＰＳ（ポリスチレ
ン）、ＰＥ（ポリエチレン）、ＰＶＣ（ポリ塩化ビニ
ル）のシートから真空成形されたものであり、厚みは
０．１〜０．５mmが望ましい。好ましくは、ＰＳの０．
２mmがよい。また、リップ２１の突出量は１〜３mm、好
ましくは１．５〜２．５mm、更に好ましくは１．７〜
２．０mmにするのがよい。また、リップ２１の内側基部
は、反対側のフランジ１５のリップ１７の傾斜面内にあ
ることが望ましい。

【００１３】リップ付き円盤２０に対面するパトローネ
本体１の端面には、リップ付き円盤２０の変形を規制す
る規制突条２３が突出して形成されている。この規制突
条２３は、出入り口４に対面する部分を除いた円弧状に
形成されている。そして、規制突条２３が無い部分で
は、この空隙２４によりリップ付き円盤２０のリップ２
１が空隙２４側に突出するような変形が許容される。こ
れにより、写真フイルムの巻き取り時及び送り出し時
に、写真フイルム端縁部によりリップ２１は空隙２４側
に突出するように変形するため、写真フイルムの巻き取
り及び送り出しが円滑に行われる。

【００１４】次にこの実施例の作用を説明する。図３に
示すように、写真フイルム巻き取り時には、フォーク１
０により駆動側スプール本体５ａを巻き取り方向（矢印
Ａ）に回転する。これにより、従動側スプール本体５ｂ
も巻き取り方向に回転して、写真フイルムがスプール５
に巻き取られる。このとき、カム機構１２により両スプ
ール本体５ａ，５ｂが軸方向で離反するため、写真フイ
ルムの両側縁が各リップ１７，２１に当たる量が少なく
なり写真フイルムはスプール５に円滑に巻き取られる。
また、この巻き取り時には、リップ２１が空隙２４側に
逃げるため、写真フイルムの巻き取り抵抗は小さくな
り、写真フイルムは円滑にスプール５に巻き取られる。
巻き取られた写真フイルムは、各リップ１７，２１でそ
れ以上の巻き弛みが規制されるため、写真フイルムの背
面がパトローネ本体１の内周面に接触することがない。
このため、パトローネ本体１の内周面に接合時の段差が
発生していても、これが写真フイルム背面に接触するこ
とがないため、写真フイルムの背面に擦り傷が発生する
ことが無い。

【００１５】写真フイルム頭出し時には、フォーク１０
により駆動側スプール本体５ａを送り出し方向（図３中
の矢印Ｂ）に回転する。これにより、従動側スプール本
体５ｂも送り出し方向に回転する。また、カム機構１２
により両スプール本体５ａ，５ｂが軸方向で接近するた
め、フランジ１５，１６によりロール状の写真フイルム
２が挟持される。しかも、ロール状の写真フイルム２は
各リップ１７，２１により巻き弛みが防止されているた
め、スプール５の回転が写真フイルム最外周端面に確実
に伝達される。更に、巻き弛みが無いので、写真フイル
ム背面がパトローネ本体１の合わせ面の段差等に接触す
ることが無く、擦り傷の発生が防止される。そして、図
１に示すように、スプール５の送り出し方向への回転に
より写真フイルム先端部２ａは先端分離爪３により出入
り口４側に案内される。このとき、出入り口４に対面す
る位置にあるリップ２１は、変形規制用突条２３が形成
されていない空隙２４に位置するため、空隙２４側に容
易に変形し、これにより写真フイルム先端部２ａが出入
り口４側に円滑に送り出される。

【００１６】次に、上記請求項１の発明の第１実施例の
柔構造のリップ付き円盤２０の代わりに、請求項２の発
明は図５及び図６に示すように剛構造のリップ付き円盤
３０を用いた第２実施例について説明する。なお、この
第２実施例は、剛構造の円盤３０を用いる以外は第１実
施例と同じ構成であり、同一構成部材には同一符号を付
してその説明を省略している。

【００１７】剛構造のリップ付き円盤３０には、第１実
施例と同じように、リップ３１がロール状にした写真フ
イルム２側に突出して形成されている。また、出入り口
４に対面する位置でリップ３１には、写真フイルム通過
用切欠き３２が形成してあり、この切欠き３２から写真
フイルムが通過するようにされている。また、切欠き３
２がパトローネ本体１で変位することの無いように、円
盤３０には回転規制用突起３３が形成されている。この
突起３３はパトローネ本体１に形成した係止突条３４で
保持され、スプール５の回転に連動して円盤３０が回転
することの無いようにされている。

【００１８】前記リップ３１の内周面は多角形状に形成
されており、ロール状の写真フイルム２の最外周面との
接触面積が極力小さくされ、写真フイルム巻き取り及び
送り出し時に接触抵抗が小さくなっている。更に、この
リップ付き円盤３０は、リュブマー、テフロン等の非常
に滑り性に富んだ材料で成形されており、より一層接触
抵抗が小さくされている。

【００１９】この請求項２の発明である第２実施例の場
合にも、写真フイルム先端部２ａがパトローネ本体１内
に巻き込まれているときには、各リップ１７，３１によ
りロール状にした写真フイルム２が巻き弛むことのない
ように規制されているため、パトローネ本体１の段差等
で写真フイルムの背面に擦り傷が発生することがない。
また、写真フイルム頭出し時には、写真フイルム通過用
切欠き３２から写真フイルムが排出され、しかも写真フ
イルムはリップ３１でそれ以上巻き弛むことが無いよう
に規制されているため、同様に写真フイルムの背面に段
差等により擦り傷が発生することが防止される。

【００２０】請求項３の発明である第３実施例は、請求
項１の発明である第１実施例のカム機構１２による巻き
弛み防止に代えて、図７及び図８に示すように、柔構造
のフランジ４０を設けたものである。なお、この第３実
施例も、柔構造のフランジ４０を有するスプール４１を
用いる以外は第１実施例と同じ構成であり、同一構成部
材には同一符号を付してその説明を省略している。

【００２１】スプール４１はその軸端部の一方に柔構造
のフランジ４０が取り付けられており、他方の軸端部に
は剛構造のフランジ４２が形成されている。また、パト
ローネ本体１には、柔構造のフランジ４０に対面する位
置で押圧用突起部４４が突出して設けられており、これ
により、柔構造のフランジ４０は写真フイルム側に突出
するように変形される。したがって、写真フイルムの端
縁部が各フランジ４０，４２により挟持されるためその
巻き弛みが防止される。また、剛構造のフランジ４２側
には、第１実施例と同じように、リップ付き円盤２０が
設けられているため、これのリップ２１により巻き弛み
はより一層防止される。これにより、写真フイルムの背
面がパトローネ本体に接触することが無く、他の実施例
と同じように、写真フイルムに擦り傷が発生することが
防止される。また、写真フイルム頭出し時には、巻き弛
みがフランジ４０，４２及びリップ付き円盤２０によっ
て規制されているため、写真フイルム最外周端部にスプ
ール４１の回転が確実に伝達され、これにより写真フイ
ルム頭出しが行われる。

【００２２】請求項４の発明である第４実施例は、図９
に示すように第３実施例の柔構造のリップ付き円盤２０
に代えて、第２実施例と同じような剛構造のリップ付き
円盤３０を用いたものである。この第４実施例において
も、第２及び第３実施例と同一構成部材には同一符号を
付してその説明を省略している。この実施例では、図１
０に示すように、写真フイルム２がパトローネ本体１内
に巻き込まれた状態では、柔構造のフランジ４０及び剛
構造のリップ付き円盤３０によりロール状の写真フイル
ム２の巻き弛みが規制されているため、写真フイルムの
背面がパトローネ本体１の接合面の段差等に接触するこ
とが防止される。また、写真フイルム頭出し時には、写
真フイルム通過用切欠き３２を介し写真フイルム先端部
が出入り口４に案内されるため、写真フイルム頭出しを
円滑に行うことができる。

【００２３】次に、上記各実施例の実施結果を説明す
る。表１は、第１ないし第４実施例と比較例１ないし４
とを対比して示したものである。以下に各比較例の構成
を簡単に示す。

【００２４】〔比較例１〕米国特許第４８４６４１８号
に基づき作成した写真フイルムパトローネであり、図１
１に示すようにロール状の写真フイルムの最外周の巻き
弛みを規制するリブ６０をパトローネ本体側に形成し、
且つ第１実施例と同じようなカム機構６１をスプール６
２に設けて、カム機構６１により移動フランジ６３と固
定フランジ６４でロール状にした写真フイルムを挟持す
るようにして、巻き弛みを規制するようにしたものであ
る。

【００２５】〔比較例２〕特願平１−１７２５９４号に
基づき作成した写真フイルムパトローネであり、図１２
に示すようにロール状にした写真フイルムの最外周の巻
き弛みを規制するリブ６５をパトローネ本体側に形成
し、且つ第３実施例と同じような柔構造のフランジ６６
をスプール６７の両端に設けてパトローネ本体側の突起
６８で柔構造フランジ６６を変形させて、巻き弛みを規
制するようにしたものである。

【００２６】〔比較例３〕米国特許４８３４３０６号に
基づき作成した写真フイルムパトローネであり、図１３
に示すように、第１実施例のような柔構造のリップ付き
円盤７０をスプール７１の両端に設けてパトローネ本体
側の突条７２でリップ７３を変形させて、巻き弛みを規
制するようにしたものである。

【００２７】〔比較例４〕特願平２−２４５８３３号に
基づき作成した写真フイルムパトローネであり、図１４
に示すように、第２実施例のような剛構造のリップ付き
円盤７５をスプール７６の両端に設けて、巻き弛みを規
制するようにしたものである。

【００２８】

【表１】

【００２９】なお、「頭出しトルク」は、写真フイルム
パトローネのスプールとモータ軸との間にトルクセンサ
を設けるとともに、写真フイルム出入り口の近傍に光電
センサを設け、写真フイルム先端部が写真フイルム出入
り口から排出されるまでにモータ軸にかかるトルクを測
定したものである。また、「フイルム推進力」は、写真
フイルム出入り口の前方に共和電業社製の圧力センサを
設置するとともに、モータで写真フイルムパトローネの
スプールを回転させ、写真フイルム出入り口から送り出
された写真フイルムの先端部が圧力センサを押圧する力
を測定したものである。また、写真フイルムはスーパー
ＨＧ４００フイルムを使用し、モータの送り出し回転数
は６０ｒｐｍとした。また、「接触傷」，「フイルム先
端の引っ掛かり」は、写真フイルムを取り出して目視及
びプリントによる判定を行なったものである。

【００３０】表中の記号を説明する。「頭出しトルク」
においては、◎：１００ｇｆ・cm以下，○：１００〜１
５０ｇｆ・cm，△：１５０〜２００ｇｆ・cm，×：２０
０ｇｆ・cm以上とした。「フイルム推進力」において
は、◎：５００ｇｆ以上，○：３００〜５００ｇｆ，
△：１００〜３００ｇｆ，×：１００ｇｆ以下とした。
「接触傷」においては、◎：傷発生なし，○：傷が弱く
かつ非連続に発生するがプリントには影響なし，△：傷
が弱くかつ連続的に発生するがプリントには影響なし，
×：プリントに移る傷発生とした。「フイルム先端の引
っ掛かり」においては、◎：引っ掛かりなし，○：引っ
掛かり起因のトルク上昇０〜５０ｇｆ・cm，△：引っ掛
かり起因のトルク上昇５０ｇｆ・cm以上，×：引っ掛か
り起因の頭出し不良有とした。

【００３１】表１からも判るように、頭出し時のトルク
は、実施例２，実施例４，比較例１，比較例２のものが
小さくて済み、実施例１，実施例３が次に良く、比較例
３，比較例４は良くない結果が得られた。また、写真フ
イルム推進力については、比較例３，比較例４を除き、
良い結果が得られた。また、巻き弛み防止用リブとの接
触による擦り傷については、リブを有する比較例１，比
較例２で発生した以外は、良い結果が得られた。また、
同様に、リブの継ぎ目への写真フイルム先端部の引っ掛
かりについても、リブを有する比較例１，比較例２で発
生した以外は、良い結果が得られた。このように、本発
明の各実施例によれば、擦り傷の発生を防止することが
でき、しかも良好な写真フイルム推進力が得られ、且つ
頭出しトルクを小さくすることができた。

【００３２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
柔構造のリップ付き円盤と、スプールのフランジを接近
又は離反させるカム機構とを設けたから、円盤のリップ
によるロール状の写真フイルム最外周面の保持と、カム
機構によるフランジでのロール状写真フイルム最外周端
面の挟持との相乗効果により、写真フイルム推進力を向
上させることができるとともに、ロール状にした写真フ
イルムの巻き弛みを確実に防止することができる。した
がって、写真フイルムパトローネ側に巻き弛み防止用の
リブを設ける必要がなくなり、リブへの接触によって写
真フイルムの背面が傷つくことが無くなる。また、柔構
造のフランジと、剛構造のリップ付き円盤とを設けたか
ら、柔構造のフランジでのロール状写真フイルム最外周
端面の挟持と、円盤のリップによるロール状写真フイル
ムの最外周面の保持との相乗効果によって、上記と同じ
ように、写真フイルム推進力及びロール状にした写真フ
イルムの巻き弛み規制力を向上させることができる。し
たがって、上記同様に巻き弛み防止用のリブを設ける必
要がなくなり、写真フイルムの背面が傷つくことが無く
なる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の写真フイルムパトローネの分解斜視図
である。

【図２】図１の写真フイルムパトローネのスプールに直
交する方向での拡大断面図である。

【図３】請求項１の発明である第１実施例の要部を示す
斜視図である。

【図４】図３の写真フイルムパトローネのスプール軸方
向での断面図である。

【図５】請求項２の発明である第２実施例の写真フイル
ムパトローネの要部を示す斜視図である。

【図６】図５の写真フイルムパトローネのスプール軸方
向での断面図である。

【図７】請求項３の発明である第３実施例の写真フイル
ムパトローネの要部を示す斜視図である。

【図８】図７の写真フイルムパトローネのスプール軸方
向での断面図である。

【図９】請求項４の発明である第４実施例の写真フイル
ムパトローネの要部を示す斜視図である。

【図１０】図９の写真フイルムパトローネのスプール軸
方向での断面図である。

【図１１】比較例１の写真フイルムパトローネの要部を
示す斜視図である。

【図１２】比較例２の写真フイルムパトローネの要部を
示す斜視図である。

【図１３】比較例３の写真フイルムパトローネの要部を
示す斜視図である。

【図１４】比較例４の写真フイルムパトローネの要部を
示す斜視図である。

【符号の説明】

１ パトローネ本体 ２ 写真フイルム ３ 先端分離爪 ５，４１ スプール ５ａ 駆動側スプール本体 ６ａ 従動側スプール本体 １２ カム機構 １５，１６ フランジ １７ リップ ２０，３０ 円盤 ２１，３１ リップ ２３ 変形規制用突条 ３３ 回転規制用突起 ４０，４２ フランジ ４４ 押圧用突起部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ロール状に写真フイルムを巻きつけたス
   プールと、スプールを回転自在に収容するパトローネ本
   体と、このパトローネ本体に設けられ、収容した写真フ
   イルムをその最外周で出し入れするための写真フイルム
   出入り口とを備え、前記スプールを写真フイルム送出方
   向に回転させて写真フイルム先端を出入り口から外に送
   り出すようにした写真フイルムパトローネにおいて、前
   記スプールは、駆動側スプール本体と従動側スプール本
   体とこれらスプール本体を連係するカム機構とから構成
   され、カム機構は、駆動側スプール本体を写真フイルム
   送出方向に回転すると両スプール本体をスプールの軸方
   向で相対的に接近させ、駆動側スプール本体を写真フイ
   ルム巻取方向に回転すると両スプール本体をスプールの
   軸方向で相対的に離反させるように構成され、駆動側ス
   プール本体には、ロール状の写真フイルムの最外周面に
   接して巻き弛みを規制するとともに、フランジの写真フ
   イルム送出方向の回転を写真フイルムに伝達するリップ
   付きのフランジが設けられ、従動側スプール本体には写
   真フイルムの巻取径よりも小さいフランジが設けられ、
   従動側スプール本体のフランジとパトローネ本体との間
   には円盤が配置され、この円盤は、前記リップに対向す
   る位置でロール状の写真フイルムの最外周面に接して巻
   き弛みを規制するリップを備え、且つ弾性変形可能な材
   料で構成されたことを特徴とする写真フイルムパトロー
   ネ。
2. 【請求項２】 ロール状に写真フイルムを巻きつけたス
   プールと、スプールを回転自在に収容するパトローネ本
   体と、このパトローネ本体に設けられ、収容した写真フ
   イルムをその最外周で出し入れするための写真フイルム
   出入り口とを備え、前記スプールを写真フイルム送出方
   向に回転させて写真フイルム先端を出入り口から外に送
   り出すようにした写真フイルムパトローネにおいて、前
   記スプールは、駆動側スプール本体と従動側スプール本
   体とこれらスプール本体を連係するカム機構とから構成
   され、カム機構は、駆動側スプール本体を写真フイルム
   送出方向に回転すると両スプール本体をスプールの軸方
   向で相対的に接近させ、駆動側スプール本体を写真フイ
   ルム巻取方向に回転すると両スプール本体をスプールの
   軸方向で相対的に離反させるように構成され、駆動側ス
   プール本体には、ロール状の写真フイルムの最外周面に
   接して巻き弛みを規制するとともに、フランジの写真フ
   イルム送出方向の回転を写真フイルムに伝達するリップ
   付きのフランジが設けられ、従動側スプール本体には写
   真フイルムの巻取径よりも小さいフランジが設けられ、
   従動側スプール本体のフランジとパトローネ本体との間
   には円盤が回転不能に配置され、この円盤は、前記リッ
   プに対向する位置でロール状の写真フイルムの最外周面
   に接して巻き弛みを規制するリップを備え、且つリップ
   の写真フイルム出入り口に対面する位置には写真フイル
   ム通過切欠きが形成されたことを特徴とする写真フイル
   ムパトローネ。
3. 【請求項３】 ロール状に写真フイルムを巻きつけたス
   プールと、スプールを回転自在に収容するパトローネ本
   体と、このパトローネ本体に設けられ、収容した写真フ
   イルムをその最外周で出し入れするための写真フイルム
   出入り口とを備え、前記スプールを写真フイルム送出方
   向に回転させて写真フイルム先端を出入り口から外に送
   り出すようにした写真フイルムパトローネにおいて、前
   記スプールは両端部にフランジを備え、一方のフランジ
   は弾性変形可能な材料で構成した柔構造のフランジとさ
   れ、他方のフランジは、ロール状の写真フイルムの巻取
   径よりも小さい径で形成された剛構造のフランジとさ
   れ、前記柔フランジの側面に接するパトローネ本体に
   は、柔フランジをスプールの軸方向で剛フランジ側に押
   圧する凸部が設けられ、また、剛フランジとパトローネ
   本体との間には円盤が配置され、この円盤は弾性変形可
   能な材料で構成され、且つ、ロール状の写真フイルムの
   最外周面に接して巻き弛みを規制するリップを備えたこ
   とを特徴とする写真フイルムパトローネ。
4. 【請求項４】 ロール状に写真フイルムを巻きつけたス
   プールと、スプールを回転自在に収容するパトローネ本
   体と、このパトローネ本体に設けられ、収容した写真フ
   イルムをその最外周で出し入れするための写真フイルム
   出入り口とを備え、前記スプールを写真フイルム送出方
   向に回転させて写真フイルム先端を出入り口から外に送
   り出すようにした写真フイルムパトローネにおいて、前
   記スプールは両端部にフランジを備え、一方のフランジ
   は弾性変形可能な材料で構成した柔構造のフランジとさ
   れ、他方のフランジは、ロール状の写真フイルムの巻取
   径よりも小さい径で形成された剛構造のフランジとさ
   れ、前記柔フランジの側面に接するパトローネ本体に
   は、柔フランジをスプールの軸方向で剛フランジ側に押
   圧する凸部が設けられ、また、剛フランジとパトローネ
   本体との間には円盤が回転不能に配置され、この円盤
   は、ロール状の写真フイルムの最外周面に接して巻き弛
   みを規制するリップを備え、且つリップの写真フイルム
   出入り口に対面する位置には写真フイルム通過切欠きが
   形成されたことを特徴とする写真フイルムパトローネ。