JPH05157897A - 放射性廃棄物の処理方法 - Google Patents

放射性廃棄物の処理方法

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JPH05157897A
JPH05157897A JP32055391A JP32055391A JPH05157897A JP H05157897 A JPH05157897 A JP H05157897A JP 32055391 A JP32055391 A JP 32055391A JP 32055391 A JP32055391 A JP 32055391A JP H05157897 A JPH05157897 A JP H05157897A
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induction heating
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努 田中
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    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies

Abstract

(57)【要約】 【構成】 核分裂で生じた硝酸塩の形態の放射性廃棄物
を、冷却されたるつぼ型誘導加熱炉で電磁誘導加熱によ
り溶解し、電磁ピンチ力によって容器中央部に白金族元
素を集積させ、次いで冷却・凝固後に、白金族元素の固
化体と、残りのセラミック状固化体とを分離回収する。 【効果】 溶解処理中に長寿命の核種を揮発・回収で
き、凝固後に白金族元素を分離・回収できる。残ったセ
ラミック状固化体は、安定でそのまま処分でき、廃棄物
の大幅な減容と貯蔵期間の短縮が図れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原子炉での核分裂によ
り生じた放射性廃棄物の処理方法に関するものであり、
特に、例えば、使用済核燃料の再処理過程で発生する、
硝酸塩の形態の放射性廃棄物の処理方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】軽水炉型原子炉で使用された核燃料(使
用済核燃料)は、核分裂で生じた高放射性の核分裂生成
物のほかに未燃焼の 235Uや高速増殖炉において核燃料
となる 239Puを含有している。そのため、使用済核燃
料からこれらの有用成分を回収するための再処理が行わ
れている。
【0003】使用済核燃料の再処理方法には湿式法と乾
式法があるが、現在実用化されているのは溶媒抽出を利
用した湿式法だけであり、中でもPurex 法が最も一般的
である。湿式法においては、まず燃料棒の状態の使用済
核燃料をそのまま冷却して放射能を減衰させた後、細断
し、硝酸に溶解して、溶解しない被覆を分離する。得ら
れた硝酸溶液を、抽出溶媒、例えばリン酸トリブチル(P
urex法の場合) と接触させると、ウランとプルトニウム
は一緒にリン酸トリブチル中に抽出され、残りの核分裂
生成物は水相 (硝酸)中に残留する。ウランとプルトニ
ウムを含有する抽出液は、次いで逆抽出を含む種々の処
理をくりかえして、ウランとプルトニウムを分離および
精製し、原子炉での再利用に供される。
【0004】一方、ウランとプルトニウム以外の元素
(核分裂生成物) を含む抽残液 (硝酸溶液) は、加熱し
て水分を蒸発させると、固体の硝酸塩となる。この固体
は、種々の金属の硝酸塩の混合物であり、高レベルの放
射能を帯びており、いわゆる高レベル放射性廃棄物とし
て処理されることになる。
【0005】このような硝酸塩、即ち、核分裂で生じ
た、放射能を帯びた廃棄物で、硝酸塩の形態で存在する
ものを、以下「硝酸塩」と称することとする。「硝酸
塩」に含まれる金属元素は、主として原子番号が43以
上の元素である。この金属元素には、ネオジウム、サマ
リウムなどのランタン系列の元素、ストロンチウムやバ
リウムのようなアルカリ土類(IIa族) の金属元素があ
る。また、白金族元素であるパラジウム(Pd)、ロジウム
(Rh)、ルテニウム(Ru)なども「硝酸塩」に含まれてい
る。
【0006】この高レベル放射性廃棄物である「硝酸
塩」の処理法として従来より各国で考えられてきた方法
は、容積比で「硝酸塩」1部に対してガラス9部を混合
して溶融・凝固させることにより長期間安定なガラス固
化体とし、放射能減衰のために30〜50年間地表の施設で
冷却・保管して一時貯蔵した後、地下500 m以下の深地
層中あるいは岩塩中に埋め込んで処分するという方法で
ある。しかし、この方法は、廃棄物の容積が10倍と増大
すること、および廃棄物中に含まれる、例えば、上記の
白金族元素のような高価な有用金属を回収できないとい
う難点、さらにはCs、Srなどの長寿命放射能核種が廃棄
物中に含まれるという問題がある。
【0007】「硝酸塩」の別の処理法として、「硝酸
塩」をまず200 ℃から800 ℃に加熱し、硝酸塩を分解さ
せて酸化物とし (以下、「硝酸塩」の加熱分解により生
成する金属酸化物を「酸化物」という) 、この「酸化
物」を1800℃ないし2000℃に加熱して溶解 (溶融) させ
る方法が提案された。この加熱・溶融により「酸化物」
に含まれるPd、Rh、Ruなどの白金族元素は、酸化物から
金属に還元され、主として白金族元素とモリブデンとか
らなる合金として回収できると報告されている(M.Hori
e, Transactions of American Nuclear Society, Vol.
62, 1990, pp. 111-113 参照) 。以下、この「硝酸塩」
の処理方法を、「高温処理法」という。
【0008】この「高温処理法」によって白金族元素を
モリブデンとの合金として回収するには、1800℃〜2000
℃といった高温を必要とする。しかし、「硝酸塩」や
「酸化物」を安定して高温処理するための具体的な方法
や、使用する溶解容器 (例えば、るつぼ) についてはま
だ確立されておらず、従って、白金族金属が回収される
という利点があるにもかかわらず、「高温処理法」は実
用化できるとは認められていないのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の目的
は、「硝酸塩」の「高温処理法」の実用化を目指して、
これに使用することができる溶解装置と、その具体的な
処理方法を提供することである。
【0010】本発明の別の目的は、「硝酸塩」の高温処
理により、有用な白金族元素を、残りの廃棄物から容易
に分離・回収することできる方法を提供することであ
る。
【0011】本発明のさらに別の目的は、高温処理中に
「硝酸塩」中の高発熱量の元素 (例えば、セシウム、ス
トロンチウム) を分離・除去することができ、それによ
り最終的に固化体として得られる放射性廃棄物の貯蔵期
間を短縮することのできる方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、水冷され
たスリットを持つるつぼ型高周波誘導炉を用いて「硝酸
塩」を「酸化物」とした後高温処理すると、炉を損傷せ
ずに「硝酸塩」を2000℃程度まで加熱・溶融することが
でき、しかも電磁誘導で生ずるピンチ効果による力 (以
下、電磁ピンチ力という) によって、還元されない酸化
物は容器周囲に、還元された白金族元素のみが容器中央
部に集まるため、これを容易に分離・回収することがで
きることを見出し、本発明に到達した。
【0013】ここに、本発明の要旨は、硝酸塩の形態で
存在する核分裂で生じた放射性廃棄物を、外部に周回す
る通電コイルを備えたスリットを有する冷却された容器
内で電磁誘導加熱により溶解し、硝酸塩が分解して生成
した金属酸化物を容器周囲に、還元された白金属元素を
電磁ピンチ力によって容器中央部に集積させ、次いで冷
却・凝固後に、生成した固化体を回収することからな
る、放射性廃棄物の処理方法である。
【0014】ここで、硝酸塩の形態で存在する核分裂で
生じた固体放射性廃棄物とは、上述した「硝酸塩」のこ
とである。「硝酸塩」の代表的な供給源は、前述した使
用済核燃料の再処理過程で発生する放射性廃棄物である
が、これに限定されるものではなく、本発明は、例えば
ハルと称する燃料被覆管などの任意の硝酸塩の形態の放
射性廃棄物の処理に適用することができる。
【0015】放射性廃棄物の電磁誘導加熱は、加熱初期
に、電磁誘導加熱に加えて他の補助加熱手段を併用する
か、或いは容器内に装入した電気良導体を電磁誘導加熱
することにより誘起させることができる。
【0016】また、電磁誘導加熱中に放射性廃棄物から
揮発したセシウム、ストロンチウムなどの長寿命核種を
分離・回収することが好ましい。
【0017】
【作用】以下に、本発明の構成をその作用と共に、図面
を参照しながら説明する。図1は、本発明の方法により
「硝酸塩」をバッチで処理するのに使用できる溶解容器
の1例の略式半裁斜視図である。この溶解容器は、外部
に周回する通電コイルを備えた、冷却された容器、即
ち、冷却るつぼ型の高周波誘導炉からなる。以下、この
高周波誘導加熱による溶解容器を冷却るつぼと呼ぶ。
【0018】この溶解容器(冷却るつぼ)は、るつぼ本
体(容器)1と、その外部をらせん状に多重に周回する
水冷の通電コイル2と、栓4とから構成される。通電コ
イル2は高周波発振器3に接続され、高周波電流により
るつぼ内を電磁誘導加熱することができる。るつぼ壁の
内部は、入口7から出口8に抜けるように冷却水を流す
ことにより水冷され、この水冷構造により高温にも耐え
ることができる。るつぼ壁は縦方向に複数のスリット15
が設けられたセグメント構造を成し、互いに電気的に絶
縁されている。るつぼは雰囲気調整可能なチェンバー
(図示せず) に収納されており、加圧、減圧の圧力下お
よびAr、Heなどの雰囲気に置くことができる。あるい
は、つるぼには上蓋 (図示せず) を設け、るつぼ内を密
閉することもできる。
【0019】この冷却るつぼ内に「硝酸塩」を添加した
後、通電コイルに高周波電流を通電しても何も起こらな
い。なぜなら、常温では「硝酸塩」は電気不良導体で、
誘導加熱を期待できないからである。
【0020】そこで、電気良導体を事前に冷却るつぼ内
に装入した後、「硝酸塩」を添加する。電気良導体とし
ては、例えば、図2に示すような、るつぼ本体1に内挿
される形状のカーボンるつぼ9、或いはステンレス鋼製
のブロックなどを用いることができる。このように、加
熱初期に電気良導体が共存する状態で高周波電流をコイ
ルに通電すると、まず電気の良導体が誘導加熱される。
加熱の影響により「硝酸塩」の一部は伝熱により昇温
し、溶融する。「硝酸塩」は、一旦溶融状態になると電
気の良導体にその性質を変える。従って、今度は「硝酸
塩」自体が誘導加熱され、「硝酸塩」全体が溶融状態と
なる。
【0021】「硝酸塩」の電磁誘導加熱を誘起させるた
めの別の方法として、加熱初期に電子ビーム、レーザ
ー、マイクロ波照射などの補助加熱手段を併用しながら
誘導加熱する方法も可能である。補助加熱手段を併用す
る目的は、「硝酸塩」の一部を溶融して電気の良導体に
代えて、誘導電流を発生させ、自己発熱させる点にあ
る。このため、補助加熱手段の出力は大きくする必要は
ないが、加熱密度は高める必要がある。
【0022】上記方法で「硝酸塩」の全体を加熱・溶融
させることが可能となる。加熱中に「硝酸塩」から「酸
化物」に分解され、さらに「酸化物」が溶融して1500℃
程度に昇温すると、セシウム、ストロンチウムなどの長
寿命の、従って発熱性の高い核種が揮発するので、これ
を分離・回収することが望ましい。発熱性の高い核種が
分離されることで、最終的に放射性廃棄物を処分する時
の冷却時間を短縮することができる。核種分離された元
素は、原子炉を利用して短寿命核種または非放射性核種
に核変換すると、放射性廃棄物の資源化と処分の効率化
が図られる。
【0023】さらに電磁誘導加熱を続けて、冷却るつぼ
内の温度がおよそ1800〜2000℃に上昇すると、「硝酸
塩」中のロジウム、ルテニウム、パラジウムなどの白金
族元素は、このような高温では還元されて酸化物から金
属状態となるのに対し、残りの成分、例えばバリウム、
ジルコニウム、ネプツニウムなどを主成分とする部分は
酸化物の状態にとどまる。金属状態となった白金族元素
に対しては電磁気力が作用し、その電磁ピンチ力により
白金族元素は冷却るつぼの中央部に集まってくる。一
方、残りの酸化物状態の金属元素からなる部分(以下、
セラミックスと称する)には電磁気力が作用しないの
で、冷却るつぼの周囲に集まり、冷却るつぼの内壁に接
触するセラミックスの一部は、るつぼの水冷により一部
固化して壁に付着する。こうして、冷却るつぼを用いた
電磁誘導加熱により、白金族元素部分とセラミックス部
分とを分離することができる。
【0024】誘導加熱の前に電気良導体を装入した場
合、ステンレス鋼などの金属からなる電気良導体は白金
属元素部分に含まれ、カーボンはセラミックスに含まれ
ることになる。
【0025】溶解と分離が完了した後、高周波電流の通
電を停止すると、短時間のうちに冷却・凝固し、白金族
元素部分とセラミックスが分離した状態で固化体として
得られるので、これらを別々に回収することが望まし
い。冷却るつぼは、るつぼ壁が冷却されているため、20
00℃の高温にも十分に耐え、本発明の「硝酸塩」の処理
により炉壁が著しく損傷することはない。
【0026】白金族元素部分から得られた固化体は、ロ
ジウム、ルテニウム、パラジウムなどの白金族元素とモ
リブデンとの合金からなり、これは半減期が短いので、
放置して放射能を減衰させた後、工業用に再利用するこ
とが可能である。こうして、従来法のガラス固化法では
一緒に固化されていた高価な白金族元素を、放射性廃棄
物から回収して有効活用することができる。
【0027】セラミックス部分は凝固後に、セラミック
状の固化体として得られる。このセラミックス固化体
は、ガラス固化体と同様に長期間安定で成分の溶出が起
こらない。従って、ガラス固化体と同様に、放射能があ
る程度減衰、即ち、冷却するまで一時貯蔵した後、最終
的には深地層などに埋設処分することになる。ただし、
本発明によれば、このセラミックス固化体は従来のガラ
ス固化体に比較して下記の点で有利である。
【0028】1) セラミックス固化体は、約9倍量のガ
ラスを混ぜて固化していたガラス固化体に比べて、体積
が1/10と小さいので、貯蔵容積が少なくてすむ。 2) セラミックス固化体は、溶解処理中に半減期の長い
元素 (例、セシウム、ストロンチウム) が揮発・分離さ
れているので、発熱量が少ない。従って、冷却期間が短
くてすみ、貯蔵期間が短縮される。
【0029】放射性廃棄物を処理する冷却るつぼの構造
は、バッチ処理型に限定されるものではなく、図3に示
すような連続処理型の冷却るつぼも使用可能である。こ
の連続処理型の冷却るつぼは、形状が円筒形であり、底
部の底板5aが引き抜き棒5により上下させることがで
きる構造である点を除いて、図1に示したものと同様で
ある。この連続処理においては、「硝酸塩」はるつぼ内
に連続投入され、「硝酸塩」の投入量に見合う速度で引
き抜き棒を下降させて底板を下げることにより、溶融液
面の高さをほぼ一定に保持する。それにより、コイルが
周回する部分で「硝酸塩」の誘導加熱による溶融を連続
的に実現することができる。
【0030】なお、以上に説明した本発明の方法は複雑
な操作を必要とせず、管理区域内で自動化された装置を
用いて容易に実施することができる。
【0031】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明についてさら
に説明する。
【0032】実施例1 本実施例は、「硝酸塩」を本発明によりバッチ処理する
例を例示する。図1、2および4に、本実施例で使用し
た「硝酸塩」を高温処理するためのバッチ処理型の冷却
るつぼの略式半裁斜視図、バッチ処理型の冷却るつぼに
挿入するカーボン製のるつぼ型電気良導体容器の1例、
るつぼ内部の溶融流動状態の模式図をそれぞれ示す。
【0033】冷却るつぼ本体1の内径は45 mm 、高さは
100mmで、材質は銅である。まず、るつぼ内にカーボン
容器9をセットし、この中に使用済核燃料の再処理過程
でウランおよびプルトニウムを抽出した残渣として得ら
れる放射性廃棄物である「硝酸塩」約300 gを、るつぼ
の上蓋16に設けた硝酸塩供給部6から装入した。るつぼ
に冷却水を通して、上蓋16を密閉すると共に、不活性気
体供給口13から排出口14にアルゴンを流すことにより、
るつぼ内部をアルゴン雰囲気に保持した。周波数30 kH
z、コイル電流2000Aの高周波電流をるつぼ周囲に配置
されたらせん状コイル2に通電した。
【0034】高周波電流による電磁誘導加熱で、まずカ
ーボン容器が発熱し、赤熱溶融した後、「硝酸塩」がる
つぼ壁に近い側から一部溶融し、やがて溶融部は「硝酸
塩」全体に拡大した。運転開始から5分ほどで、排ガス
中のストロンチウムおよびセシウムが増大したので、こ
れをほぼ全量 (金属量で約20g) 回収した。その後、る
つぼ内の液体流れを水冷Vive'sセンサーで計測すると、
図3に示すように、中心軸を通る垂直断面において、中
心部の白金族元素部分10には4つの循環流、周辺部の溶
融セラミックス部分11には2つの循環流が観察された。
【0035】運転開始から10分後に通電を停止し、冷却
・凝固後、白金族元素固化体約 125gとセラミックス固
化体約 155gとを別個に取り出した。白金族元素固化体
の中には、ルテニウム17g、ロジウム 3.2g、パラジウ
ム10.4g、モリブデン26gが含まれていた。セラミック
ス固化体中には、バリウム14g、ジルコニウム29g、ネ
プツニウム4gなどが酸化物状態で含まれていた。冷却
るつぼの溶損は皆無であった。
【0036】実施例2 本実施例は、「硝酸塩」を本発明の方法により連続処理
する例を示す。図3および図5に、「硝酸塩」の連続処
理に用いた冷却るつぼの半裁斜視図とるつぼ内部の溶融
流動状態の模式図をそれぞれ示す。
【0037】冷却るつぼの内径は45 mm 、高さは100 mm
で、材質は銅である。まず、るつぼ内に50gのステンレ
ス鋼スクラップを装入して、るつぼに冷却水を通した
後、密閉した。実施例1とほぼ同じ条件で高周波電流を
印加した後、引き抜き棒を操作して、ステンレス鋼スク
ラップが、これに電磁場が最も作用する位置 (即ち、コ
イルの中間位置) にくるようにした。
【0038】およそ5分の通電でスクラップが完全に溶
解したので、るつぼの上蓋16に設けた硝酸塩供給部6か
ら毎分25gの速度で「硝酸塩」を冷却るつぼに供給する
と共に、この供給量に相当する速度で引き抜き棒を下方
に連続的に引き抜いて、上面、即ち、溶融液面がほぼ一
定高さになるように調節した。溶融部は下方から凝固し
ていき、凝固界面12が形成された。不活性気体排出口14
から排出されるアルゴンガスからは、コールドラップに
より混入する揮発性の金属成分 (セシウムなど) を回収
した。「硝酸塩」の供給開始からおよそ20分の連続運転
の後(合計投入量約 500g) 、高周波電流の通電を停止
した。なお、処理中のるつぼ内の溶融部の液体流れを実
施例1と同様に計測すると、図5に示すように実施例1
と同様の循環流が認められた。
【0039】冷却後、凝固したインゴット (約 600g)
を取り出すと、インゴットの中央部には白金族元素固化
体、周辺部にはセラミックス固化体が析出していた。こ
の両者は機械的破壊により容易に分離できた。白金族元
素固化体の中にはルテニウム28g、ロジウム 5.3g、パ
ラジウム17.3g、モリブデン43gが含まれており、セラ
ミックス固化体にはバリウム23g、ジルコニウム48g、
ネプツニウム 6.4gが酸化物として含まれていた。
【0040】実施例3 引き抜き棒の底板が、外径45 mm 、厚さ100 mmのステン
レス鋼製の円柱体である点を除いて、実施例2とほぼ同
じ構造の冷却るつぼを用いて、「硝酸塩」の連続溶解と
凝固を行った。溶解に際しては、「硝酸塩」をるつぼに
投入する前に、底板のステンレス鋼円柱体を、その上部
が通電コイル中間高さの電磁力が有効に作用する領域に
くる位置に設定して、通電を開始した。即ち、本実施例
においては、「硝酸塩」の電磁誘導加熱を誘起させるた
めの電気良導体を、下方からるつぼ内に配置したことに
相当する。
【0041】ステンレス鋼円柱体の上部 (電磁誘導加熱
を受けた部分) がおよそ1800℃に昇温して溶融金属にな
った状態で、毎分25gの速度で「硝酸塩」を冷却るつぼ
に連続的に投入すると共に、この投入量に相当する速度
で引き抜き棒を下方に連続的に引き抜いた。「硝酸塩」
は溶融ステンレス鋼により昇温されて溶解した。一旦、
溶融「硝酸塩」が形成されると、溶融部は電気良導体と
なるので、高周波加熱による連続運転が可能となった。
「硝酸塩」の投入開始からおよそ20分連続運転した後、
高周波電流の通電を停止した。
【0042】冷却後、凝固インゴットを取り出すと、イ
ンゴットの中央部には白金族元素固化体、周辺部にはセ
ラミックス固化体が析出しており、実施例2と同様に両
者は容易に分離できた。白金族元素固化体にはルテニウ
ム28g、ロジウム 5.3g、パラジウム17.3g、モリブデ
ン43gが含まれており、セラミックス固化体にはバリウ
ム23g、ジルコニウム48g、ネプツニウム 6.7gが酸化
物として含まれていた。
【0043】
【発明の効果】本発明の方法により放射性廃棄物である
「硝酸塩」を高温処理すると、下記の効果が得られる。
【0044】1) 放射性廃棄物から、高温処理中に半減
期の長い、高発熱性の元素を選択的に揮発分離できるの
で、最終的に処分すべき放射性廃棄物の冷却のための貯
蔵期間が短縮される。また、分離された長寿命の元素
は、原子核変換により有効利用できる。
【0045】2) 電磁ピンチ力が金属状態に還元された
白金族元素のみに作用するため、これらが容器中央部に
集積する。そのため、高温処理後に放射性廃棄物の冷却
・凝固により、白金族元素固化体とセラミックス固化体
とに容易に分離できる。
【0046】3) 放射性廃棄物から分離・回収された白
金族元素は、半減期が短いため、冷却してから工業的に
再利用することができ、従来のガラス固化法では一緒に
処分していた高価な白金族元素を回収して有効利用でき
る。
【0047】4) 白金族元素を分離した残りのセラミッ
クス固化体は、そのままで処分可能な固化体である。多
量のガラスと混ぜて固化する必要がなく、しかも高温処
理中に減容も起こるため、最終的に処分する放射性廃棄
物の量が、従来のガラス固化体に比べてほぼ1/10と大幅
な減容が図れる。
【0048】5) 本発明による放射性廃棄物の処理方法
で用いる冷却るつぼは、半永久的に使用でき、二次廃棄
物を生成しない。
【0049】従って、本発明により、「硝酸塩」の工業
的に実施可能な高温処理方法が確立された。しかも、こ
の方法は、従来のガラス固化法に比べて放射性廃棄物の
大幅な減容と貯蔵期間の短縮が可能で、しかも有用資源
を回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に使用可能なバッチ処理型冷却る
つぼの略式半裁斜視図である。
【図2】図1に示す冷却るつぼに装入可能な電気良導体
の1例を示す。
【図3】本発明の方法に使用可能な連続処理型冷却るつ
ぼの略式半裁斜視図である。
【図4】バッチ処理型冷却るつぼにおける内部の流動状
態を示す模式図である。
【図5】連続処理型冷却るつぼにおける内部の流動状態
を示す模式図である。
【符号の説明】 1:冷却るつぼ (容器) 2:通電コイル
3:高周波発振器 4:栓 5:引き抜き棒 5
a:引き抜き棒底板 6:硝酸塩供給部 7:冷却水入口
8:冷却水出口 9:電気良導体 10:白金族元素部分 1
1:セラミックス部分 12:凝固界面 13:不活性気体供給口 1
4:不活性気体排出口 15:スリット 16:るつぼ上蓋

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硝酸塩の形態で存在する核分裂で生じた
    放射性廃棄物を、外部に周回する通電コイルを備えたス
    リットを有する冷却された容器内で電磁誘導加熱により
    溶解し、硝酸塩が分解して生成した金属酸化物を容器周
    囲に、還元された白金属元素を電磁ピンチ力によって容
    器中央部に集積させ、次いで冷却・凝固後に、生成した
    固化体を回収することからなる、放射性廃棄物の処理方
    法。
  2. 【請求項2】 固化体のうち、容器中央部に集まった白
    金族元素含有固化体を、容器周辺部のセラミック状の固
    化体と分離して回収することを特徴とする、請求項1記
    載の方法。
  3. 【請求項3】 加熱初期に電磁誘導加熱に加えて他の補
    助加熱手段を併用して放射性廃棄物の電磁誘導加熱を誘
    起させることを特徴とする、請求項1または2記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 加熱初期に電気良導体を装入し、これを
    電磁誘導加熱することにより放射性廃棄物の電磁誘導加
    熱を誘起させることを特徴とする、請求項1または2記
    載の方法。
  5. 【請求項5】 電磁誘導加熱中に放射性廃棄物から揮発
    した長寿命核種を分離・回収することを特徴とする、請
    求項1〜4のいずれかに記載の方法。
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