JPH0514870U - 簡易引張試験機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は従来の一対の油圧シリンダにて作動
する方式に代わる簡易式引張試験機を提供することを目
的とする。 【構成】本考案は、スポット溶接してなる試験片Ｔの溶
接強度を引張試験する試験機であって、架台Ｔに固定さ
れ、試験片の一端Ｌを把持する固定チャック手段１と、
該固定チャック手段に対向し、試験片の一端Ｕを把持
し、引張方向にスライド移動する移動チャック手段４
と、該移動チャック手段４のスライド動作を案内する手
段２と、引張方向に押上動作を行う手動ジャッキ手段５
と、該ジャッキ手段５と上記移動チャック手段４とを連
結し、ジャッキ手段の押上動作を受け、上記移動チャッ
ク手段４を上記引張方向にスライドさせる伝達手段３
と、上記ジャッキ手段５の作動圧を表示する表示盤６と
を備えることを要旨とする簡易引張試験機にある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はスポット溶接強度を計測するための簡易引張試験機に関するものであ る。

【０００２】

【従来の技術】

通常、引張試験機は一対の油圧シリンダにて一対の試験片チャック手段を引っ 張ってそのシリンダの作動圧を正確に計測するようにしているが、高価であり、 汎用性に欠ける欠点がある。 そのため、手動でしかも安価に製造できる引張試験機の提供が望まれるが、未 だ開発されるに至っていない。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

そこで、本考案は従来の一対の油圧シリンダにて作動する方式に代わる簡易式 引張試験機を提供することを目的とする。 本考案者は上記目的を達成すべく、鋭意研究の結果、一方のチャック手段は固 定、他方は移動形式とすると、一対の油圧シリンダの引張動作に代えて一般に市 販されているジャッキ手段の押上動作を利用して、一対の矩形鉄板をスポット溶 接してなる試験片Ｔの溶接強度を引張試験する試験機を構成できることに着目し て本考案を完成するに至った。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、スポット溶接してなる試験片Ｔの溶接強度を引張試験する試験機で あって、架台Ｔに固定され、試験片の一端Ｌを把持する固定チャック手段１と、 該固定チャック手段に対向し、試験片の一端Ｕを把持し、引張方向にスライド移 動する移動チャック手段４と、該移動チャック手段４のスライド動作を案内する 手段２と、引張方向に押上動作を行う手動ジャッキ手段５と、該ジャッキ手段５ と上記移動チャック手段４とを連結し、ジャッキ手段の押上動作を受け、上記移 動チャック手段４を上記引張方向にスライドさせる伝達手段３と、上記ジャッキ 手段５の作動圧を表示する表示盤６とを備えることを要旨とする簡易引張試験機 にある。 上記試験機は試験片の引張方向を上下方向とする縦型または水平方向とする横 型の双方の形式に組み立てることができる。縦型方式にする場合は、上記移動チ ャック手段４のスライド動作を案内する手段２が、上記固定チャック手段１が固 定される架台Ｔに固定チャック手段１を挟んで立脚された左右一対の脚部２１、 ２１と該脚部２１、２１により両端を支持され、中央部に上下方向に貫通した案 内溝２３を有する横架部２２とからなる支持台２であって、 上記ジャッキ手段５の押上動作を受け、上記移動チャック手段４を上記引張方 向にスライドさせる伝達手段３が上記支持台２の横架部２２の案内溝２３に昇降 可能に挿通される矩形枠３で、該矩形枠３の下端中央から移動チャック手段４を 垂下して取付ける一方、上記ジャッキ手段５を上記支持台２の横架部２２上に固 定し、手動レバー５１により昇降するラム手段５２の先端を上記矩形枠３の上端 内側中央に当接固定してなるのが望ましい。 また、表示形式はデジタル表示も可能であるが、上記ジャッキ手段に連結され 、ジャッキ手段の作動圧をトン表示したメモリと、置針式にした支持針とを有す る油圧ゲージを使用するのが簡易であって望ましい。

【０００５】

【作用】

本考案によれば、ジャッキ手段を作動させて押し上げ動作を行うと、該押上動 作を伝達手段３が受け、架台Ｔに固定され、試験片の一端Ｌを把持する固定チャ ック手段１に対し、試験片の一端Ｕを把持する移動チャック手段４を案内しつつ 、ジャッキ手段の押上動作により引張方向にスライド移動させ、試験片の両端に 引張力を加え、上記ジャッキ手段の作動圧を表示盤が指示し、試験片のスボット 溶接強度を測定することになる。

【０００６】

【実施例】

以下、本考案を添付図面に示す具体例に基づき、詳細に説明する。 図１は本考案に係る簡易引張試験機の全体構成を示す斜視図、図２はその作動 説明図である。 図１において、Ｔは架台であり、その上には一対の鉄板Ｓ１、Ｓ２をスポット 溶接部Ｓ３で連結してなる試験片Ｓの下端Ｌを把持する固定チャック手段１が固 定されている。この固定チャック手段１はＬ形アングル１１、１１にてチャック 部１２、１３を立設固定し、一方のチャック部１３を他方のチャック部１２に対 し締め付けボルトＮ、Ｎにて締め付けることにより上記試験片Ｓの下端を取外し 可能に把持することができるようになっている。

【０００７】 該固定チャック手段に対向し、上記試験片の上端Ｕを把持し、引張方向にスラ イド移動する移動チャック手段４は、上記架台Ｔに立設された一対の脚部からな る支持台（案内手段）２にスライド可能に支持された枠（伝達手段）３に取りつ けられ、引張方向に押上動作を行う手動ジャッキ手段５の押上動作を受け、上記 引張方向にスライド可能となっている。

【０００８】 詳しくは、上記案内手段である支持台２は上記固定チャック手段１が固定され る架台Ｔに固定チャック手段１を挟んで一対のコ字形をなす脚本体２１、２１を 前後に一定間隔をおいて立脚し、該脚本体２１、２１の上部に中央部に上下方向 に貫通した案内溝２３を有する横架部２２を形成してなる。

【０００９】 上記伝達手段である枠体３は上記支持台２の横架部２２の案内溝２３に対しそ の側片３３、３３がＬ形アングル２４、２４の対向面に案内され、昇降可能に挿 通される矩形枠３で、該矩形枠３の下片３２の中央には上記移動チャック手段４ が垂下して取付けられる。この移動チャック手段４はチャック部４１、４２から なり、上記矩形枠３の下端中央から垂下するチャック部４１に対し他方のチャッ ク部４２に対し締め付けボルトＮ、Ｎにて締め付けることにより上記試験片Ｓの 上端を取外し可能に把持することができるようになっている。

【００１０】 上記ジャッキ手段５は手動式油圧ジャッキからなり、支持台２の横架部２２上 に固定し、手動レバー５１により昇降するラム手段５２の先端を上記矩形枠３の 上辺３１の内側中央に当接固定してなる。上記レバー５１の横側には油圧リリー ススクリュー５３が配置されており、上昇させたラム手段５２を下降させるため に使用される。また、６は上記ジャッキ手段５に連結された表示盤で、ジャッキ 手段の作動圧をトン表示したメモリ６１と、置針式にした支持針６２とを有し、 上記試験片Ｓのスポット溶接部の引張強度を測定することができるようになって いる。

【００１１】 以下に上記試験機の作動を図２に基づいて説明する。 試験片Ｓは一対の鉄板Ｓ１、Ｓ２をスポット溶接Ｓ３して調製される。 この試験片Ｓは上記固定チャック手段１に下端Ｌを、上端Ｕを上記移動チャッ ク手段４に把持させ、引張試験の用意を行う（図２（ａ）参照）。 ついで、上記レバー５１を手動で上下動させると、ジャッキ手段５のラム手段 ５２は枠体３の上辺３１を上方向に押し上げ、この動作を枠体３は支持台２の案 内溝２３およびＬ形アングル２４に案内され、その下辺３２から下方に垂下して 取りつけられた移動チャック手段に伝達し、上記試験片Ｓにはその長手方向（図 面では上下方向）に引張力がかかり、ジャッキ手段に連結する表示盤６に引張力 が表示される（図２（ｂ）参照）。 さらに、上記レバー５１を作動して移動チャック手段４を押し上げると、試験 片ＳはＳ１、Ｓ２に分断され、その時の引張力が置針式にした支持針６２によっ てトン表示したメモリ６１を指示することになる（図２（ｃ）参照）。 一旦、試験が終了すると、油圧リリーススクリュー５３を作動させてジャッキ 手段５の油圧を解除してそのラム手段５２を元の位置まで下降させ、移動チャッ ク手段４を試験片Ｓの把持位置に戻す。

【００１２】

【考案の効果】

以上の説明で明らかなように、本考案によれば、ジャッキ手段の押し上げ動作 を利用して試験片の下端を把持する固定チャック手段１に対し、試験片の上端を 把持する移動チャック手段４を案内しつつ、ジャッキ手段の押上動作により引張 方向にスライド移動させ、試験片の両端を引っ張る上記ジャッキ手段の作動圧を 表示盤に指示させ、その作動圧により試験片のスボット溶接強度を測定するよう にしたので、簡易で安価なスポット溶接の強度試験に最適な試験機を提供するこ とができる。

【図面の簡単な説明】

図１は本考案に係る簡易引張試験機の全体構成を示す斜
視図、図２は図１に示す試験機の作動説明図である。

【符号の説明】

１ 固定チャック手段 ２ 支持台 ２３ 案内溝 ３ 枠体 ４ 移動チャック手段 ５ ジャッキ手段 ６ 表示盤

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 スポット溶接してなる試験片Ｔの溶接強
   度を引張試験する試験機であって、架台Ｔに固定され、
   試験片の一端Ｌを把持する固定チャック手段１と、該固
   定チャック手段に対向し、試験片の一端Ｕを把持し、引
   張方向にスライド移動する移動チャック手段４と、該移
   動チャック手段４のスライド動作を案内する手段２と、
   引張方向に押上動作を行う手動ジャッキ手段５と、該ジ
   ャッキ手段５と上記移動チャック手段４とを連結し、ジ
   ャッキ手段の押上動作を受け、上記移動チャック手段４
   を上記引張方向にスライドさせる伝達手段３と、上記ジ
   ャッキ手段５の作動圧を表示する表示盤６とを備えるこ
   とを特徴とする簡易引張試験機。
2. 【請求項２】 縦型形式であって、上記移動チャック手
   段４のスライド動作を案内する手段２が、上記固定チャ
   ック手段１が固定される架台Ｔに固定チャック手段１を
   挟んで立脚された左右一対の脚部２１、２１と該脚部２
   １、２１により両端を支持され、中央部に上下方向に貫
   通した案内溝２３を有する横架部２２とからなる支持台
   ２であって、上記ジャッキ手段５の押上動作を受け、上
   記移動チャック手段４を上記引張方向にスライドさせる
   伝達手段３が上記支持台２の横架部２２の案内溝２３に
   昇降可能に挿通される矩形枠３で、該矩形枠３の下端中
   央から移動チャック手段４を垂下して取付ける一方、上
   記ジャッキ手段５を上記支持台２の横架部２２上に固定
   し、手動レバー５１により昇降するラム手段５２の先端
   を上記矩形枠３の上端内側中央に当接固定してなる請求
   項１記載の簡易引張試験機。
3. 【請求項３】 上記表示盤６が、上記ジャッキ手段５に
   連結され、ジャッキ手段の作動圧をトン表示したメモリ
   ６１と、置針式にした支持針６２とを有する油圧ゲージ
   である請求項２記載の簡易引張試験機。