JPH05145271A - 筒状電磁波遮蔽装置 - Google Patents

筒状電磁波遮蔽装置

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JPH05145271A
JPH05145271A JP3309320A JP30932091A JPH05145271A JP H05145271 A JPH05145271 A JP H05145271A JP 3309320 A JP3309320 A JP 3309320A JP 30932091 A JP30932091 A JP 30932091A JP H05145271 A JPH05145271 A JP H05145271A
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JP
Japan
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rubber
electromagnetic wave
ferrite
shielding device
cylindrical
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Pending
Application number
JP3309320A
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English (en)
Inventor
Sadao Inoue
貞夫 井上
Saburo Toki
三郎 土岐
Akashi Sakuma
証 佐久間
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Bando Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Bando Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 良好な電磁波遮蔽能力を有するとともに、柔
軟性に優れ、難燃性であり、かつ生産性のよい筒状の電
磁波遮蔽装置を得る。 【構成】 フェライト粉末60〜90重量%と難燃性を
有するゴム40〜10重量%とを含む混合材料から成る
層22を導電性ゴムの被覆層23で被覆する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種電子装置およびそ
の付属部品から生じる電磁波を遮断し、かつ外部から進
入する不要電磁波を遮断するために、これら電子装置お
よび付属部品に装着される筒状電磁波遮蔽装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】各種電子装置やケーブルなどの付属品か
らは30〜1000MHzの帯域の電磁波が発生して他
の電子機器の電源ラインや接続ラインなどに侵入し、該
電子機器にあってノイズを生じさせる場合がある。電子
機器にこのようなノイズが混入すると、電子機器が誤動
作したり、暴走する場合がある。このような事態を防ぐ
ために、前記電源ラインや接続ラインに電磁波を遮断す
るシールド材を設けるようにしている。
【0003】シールド材の第1の従来例はフェライトの
焼結品であり、ノイズを除去する機能の点から以下フィ
ルタと総称する。図8のフィルタ1は、フェライトコア
と称され、直方体状であってケーブル2が挿通する透孔
3が形成され、ケーブル2はこの透孔3を挿通して1回
または複数回フィルタ1に巻回される。すなわちケーブ
ル2が巻回されたフィルタ1はコイルを構成することに
なり、フィルタ1のインピーダンスを適宜定めることに
よって、所定周波数帯域のノイズを遮断するフィルタと
して機能する。
【0004】図9に示されるような円筒状の焼結体のフ
ィルタ1はフェライトビーズと称され、ケーブル2がフ
ィルタ1内を挿通する。機能は、図8に示されるフィル
タ1とほぼ同等である。図10のフィルタ1は、半割れ
状の焼結体4,5を相互に着脱可能に構成し、各焼結体
4,5間でケーブル2を挟持するようにしている。この
ような構成であっても、ケーブル2中の所定周波数帯域
のノイズ成分を吸収することができる。
【0005】このようなフェライト焼結品は、フェライ
ト成分すなわち複数種類の酸化金属の組成の選択によっ
て所望のノイズ減衰特性は満足されるが、製造にあたっ
てたとえば1000℃以上で焼結するため、製品が硬直
であり、しかも複雑な形状や大サイズ化が困難であるな
ど、製造できる形状や寸法に制限が付されており、長尺
の製品は製造が困難である。また、製造コストがかさん
でしまうという問題がある。
【0006】他の従来例は、熱可塑性高分子材料にいわ
ゆるソフトフェライトを混入し、射出成形法によって図
8〜図10に示すようなコア形状、ビーズ形状などに成
形する。このような成形品では、成形性を向上するため
には、配合されるフェライトの含有量を抑制する必要が
あり、ノイズ減衰作用は前記フェライトの焼結体よりも
低下することになる。また成形性の点で、フェライトの
粒径を比較的大きな数値範囲に選ぶ必要があり、この点
においてもノイズ減衰特性が低下するとともに、性状が
硬直になり、ケーブルにおける装着部位の形状に対応し
て変形することが困難であるなど、使用性が低いという
課題がある。また前記フェライトの粒径および混合量の
点で、除去されるノイズの周波数帯域が狭いという問題
を有している。
【0007】既存品では、特開昭64ー41202「ケ
ーブルシールドビーズ」に示されるように、600MH
z〜1000MHzの周波数範囲において10dB〜3
0dBの減衰効果が得られている。このような減衰効果
の状態は、図11に示す前記公開公報に記載された減衰
特性のグラフに示される。図11のラインL21はケー
ブルのみの場合であり、ラインL22は前記成形品で被
覆した場合である。一方、このような従来例では、本件
発明者の実験によれば100MHz〜500MHzの周
波数帯域では減衰効果がほとんどないことが確認され
た。すなわち、電子機器に関する電磁ノイズの遮断の点
で不充分である。またこのようなシールド材は、床下や
壁など屋内で使用される場合が多く、難燃性が要求され
るが、前記公開公報に記載されたオレフィン系プラスチ
ックでは難燃性に欠けるという問題がある。
【0008】第3の従来例は、図12に示す遮蔽筒体1
1である。このような遮蔽筒体11はジッパチューブと
称され、ポリビニルクロライド(塩化ビニル)のフィル
ム8に外部からの信号を遮蔽するための金属化繊維や金
属材料から成る細線を網状に編成した部材または、通常
の繊維の表面に金属めっきまたは金属物質のスパッタリ
ングなどを施した部材などで網状筒体9を形成し、フィ
ルム8と固着する。これを用いてケーブル2を被覆す
る。この従来例では、繊維の網目から電磁波が漏れてケ
ーブル2に侵入し、またはケーブル2から放射される場
合があるという問題がある。
【0009】第4の従来例は、たとえばPET(ポリエ
チレンテレフタレート)フィルムなどの合成樹脂製フィ
ルムの一方表面上にアルミニウムや銅などの金属薄膜を
蒸着し、他方側表面に粘着剤を塗布した構成や、導電性
を有する合成樹脂材料から成る導電性テープなどであ
る。この従来例の構成は、図12に示す従来例に類似す
る。図12を参照して、フィルム8の一方表面には、金
属薄膜9aが形成され、他方側表面には粘着剤層10が
形成され、シート状体11aを構成する。
【0010】このような従来例のシート状体11aは、
ケーブル2を巻回して周方向両端部は前記粘着剤層10
で貼着される。従来例のシート状体11aをケーブル2
に巻回したとき、シート状体11aの周方向両端部付近
の重ね合わせ部分などで電磁波が漏れまたは侵入してし
まう。またこのようなシート状体11aは、シート状ま
たは帯状であっても、このような部材をたとえば床下な
ど比較的狭溢な空間でケーブル2に装着する作業をする
場合、作業性が悪いという課題がある。またシート状体
11aを構成するフィルム8の材料によっては、前述し
た難燃性の点で問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上のように各従来例
では、比較的硬直であって使用性が悪く、また柔軟なも
のでは、難燃性に劣るという課題を有している。また成
形性の点で、配合されるフェライトの量の増大やまたは
粒径の小径化を図ることができず、吸収されるノイズの
帯域に制限があり、電磁波を遮蔽する作用が不充分であ
った。
【0012】本発明の目的は、上述の技術的課題を解消
し、弾性および柔軟性を有していて使用性が良好であ
り、かつ遮蔽される電磁波の周波数帯域が格段に広い筒
状電磁波遮蔽装置を生産性を高く、安価に提供すること
である。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、平均粒径3〜
15μmのフェライト粉末60〜90重量%と、難燃性
を有するゴム40〜10重量%とを含む混合材料から成
る層を導電性ゴムで被覆して構成されていることを特徴
とする筒状電磁波遮蔽装置である。
【0014】また本発明は、前記フェライトは、Mn−
Zn系フェライトであることを特徴とする。
【0015】また本発明は、Mn−Zn系フェライト
は、MnO30〜70重量%、ZnO10〜40重量%
およびFe2310〜60重量%を含むことを特徴とす
る。
【0016】さらにまた本発明は、前記難燃性を有する
ゴムはクロロプレンゴム、クロルスルホン化ポリエチレ
ンゴム、塩素化ポリエチレンゴムのいずれかから選ばれ
ることを特徴とする。
【0017】また本発明は、前記難燃性を有するゴム
は、難燃剤を配合して加硫した天然ゴムおよび/または
合成ゴムであることを特徴とする。
【0018】また本発明は、前記導電性を有するゴム
は、クロロプレンゴム、クロルスルホン化ポリエチレン
ゴム、塩素化ポリエチレンゴムのいずれかから選ばれた
ゴムに導電性材料を混合したものであることを特徴とす
る。
【0019】さらにまた本発明は、前記導電性を有する
ゴムは、難燃剤と導電性材料とを配合して加硫した天然
ゴムおよび/または合成ゴムであることを特徴とする。
【0020】
【作用】以上のように本発明に従えば、フェライト粉末
および難燃性を有するゴムを含む混合材料の層を導電性
ゴムで被覆して筒状電磁波遮蔽装置が形成される。この
ような筒状電磁波遮蔽装置は、難燃性を有するととも
に、比較的柔軟性を有しており加工処理が容易になり、
またフェライト粉末の粒径を3〜15μmと比較的大き
くし、また含有量を60〜90重量%と比較的増大した
ので、遮蔽する電磁波の周波数帯域を拡大する。とりわ
け比較的低周波数帯域側へ拡大する。
【0021】本発明に用いられるフェライトは、初透磁
率μ0が比較的高いものが選ばれる。このようなフェラ
イトは、MnーZn系フェライトであり、好ましくはM
nO30〜70重量%、ZnO10〜40重量%および
Fe2310〜60重量%の組成のものである。このよ
うな組成のフェライトは、30〜1000MHzの広帯
域に亘る磁気損失に所定レベル以上の効果を表す。また
フェライト粉末の平均粒径は、3〜15μmに選ばれて
いるが、これが3μm未満であれば、電磁波の遮蔽作用
が低減し、15μmを超えれば混合材料が物性的に脆く
なり混合ムラを生じ、成形性が低下する。
【0022】前記難燃性を有するゴムは、代表的な合成
ゴムとしてクロロプレンゴム、クロルスルホン化ポリエ
チレン、塩素化ポリエチレンが挙げられる。その他、難
燃剤を含むゴムは次のものが挙げられる。ゴムの種類と
しては、天然ゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレン
ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、アクリルニトリルブ
タジエン共重合ゴム、およびその水素化ゴム、ポリイソ
プレンゴムなど、全ての合成ゴムが使用可能である。
【0023】難燃剤には、臭素化難燃剤、塩素化難燃剤
および無機系難燃剤がある。臭素化難燃剤としては、ヘ
キサブロモベンゼン、ヘキサブロモビフエニルエーテ
ル、トリブロモフェノール、およびテトラブロモビスフ
ェノールAなどが用いられる。塩素化難燃剤としては、
塩素化パラフィンおよび塩素化ポリエチレンなどが用い
られる。また無機系難燃剤には三酸化アンチモン、アン
チモンナトリウム、ジルコニウム化合物、水酸化アルミ
ニウムおよびホウ素化合物などが挙げられる。また難燃
性を有するゴムには必要に応じて、充填剤、老化防止
剤、軟化剤などのゴム用配合薬品を添加してもよい。
【0024】混合材料の組成においてフエライト粉末が
60重量%未満であれば、電磁波の遮蔽効果が低減し、
特に比較的低周波帯域における遮蔽効果が失われる。一
方、フェライト粉末が90重量%を超えれば、物性的に
脆くなり、本件発明の特徴の一つである柔軟性が失われ
てしまう。
【0025】本発明における導電性ゴムは、前記の難燃
性を有するゴムと同一のゴムとし、これに一般的によく
知られた導電材料を混合したものである。導電材料とし
ては、たとえばAKZO社製「ケッチンブラックE
C」、電気化学(株)製「アセチレンブラック」、東海
カーボン(株)製「トーカ5500」などの商品名で一
般に市販されているカーボンブラックや、炭素繊維や
銅、鉄、アルミニウムなどの金属粉末が挙げられる。加
工性の点からは、カーボンブラックが好ましい。
【0026】前記難燃性を有するゴムを作るにあたっ
て、前記混合材料は、従来技術の項で説明したような射
出成形法ではなく、押出成形にて製造される。これによ
って、配合されるフェライト粉末の含有量や粒径を増大
することができ、電磁波の遮蔽性能や製造の際の加工性
が向上される。すなわち押出成形の場合には、射出成形
程に流動性が要求されず、したがって前記混合物を分布
密度が均一となるように混練しつつ押出成形を行えば、
組成の分散が均一、かつ表面性状も良好な成形品が得ら
れる。
【0027】混合材料を導電性ゴムで被覆する方法は、
混合材料と同時に導電性ゴムを押出し一体形成するもの
であり、一般によく知られた2軸成形技術を用いる。
【0028】このような押出成形にて、筒状の電磁波遮
蔽装置を形成する。このような電磁波遮蔽装置は、各種
電子機器の電力ケーブルの接続ケーブルを所望の長さに
わたって被覆することができる。これによって、従来技
術の項で説明したように、ケーブルを被覆していても電
磁波が漏れ出てしまう事態または侵入する事態を防止す
ることができる。
【0029】
【実施例】図1は、本発明の一実施例の電磁波遮蔽装置
である遮蔽筒体21の斜視図である。遮蔽筒体21は、
フェライトと難燃性を有するゴムの混合材料から成る層
22と、導電性ゴムの被覆層23とから成る。遮蔽筒体
21の大きさは、例として内径d1、外径d2、被覆層
23の厚さD、長さL1の直円筒状に形成され、前記寸
法d1、d2、DおよびL1は、例としてそれぞれ10
mm、20mm、1mm、1000mmに選ばれる。本
実施例の遮蔽筒体21は、後述するように、広範な周波
数帯域の電磁波に関する遮蔽効果を有するとともに、可
撓性および難燃性を有するものである。
【0030】そのような遮蔽筒体21は、難燃性を有す
る合成ゴムまたは天然ゴムから形成される。合成ゴムと
してはクロロプレンゴム、クロルスルホン化ポリエチレ
ン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CPE)などが用
いられ、または後述する難燃化剤を混合したエチレンプ
ロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴ
ム、アクリロニトリルブタジエン共重合ゴム、およびそ
の水素化ゴム、ポリイソプレンゴムなど全ての合成ゴム
が使用可能である。
【0031】難燃剤には、臭素化難燃剤、塩素化難燃剤
および無機系難燃剤がある。臭素化難燃剤としては、ヘ
キサブロモベンゼン、ヘキサブロモビフェニルエーテ
ル、トリブロモフェノール、およびテトラモビスフェノ
ールAなどが用いられる。塩素化難燃剤としては、塩素
化パラフィンおよび塩素化ポリエチレンなどが用いられ
る。また無機系難燃剤には三酸化アンチモン、アンチモ
ンナトリウム、ジルコニウム化合物、水酸化アルミニウ
ムおよびホウ素化合物などが挙げられる。
【0032】このような難燃化ゴムに一方ではフェライ
トゴムを混合し、これを混練りゴムとし、他方では導電
材料を混合して混練り導電性ゴムとする。そして、フェ
ライト粉末含有の混練りゴムを導電性の混練りゴムで被
覆するように、ゴム用押出機で筒状に一体的に押出成形
し加硫する。このようにして、図1に示す遮蔽筒状体2
1が得られる。
【0033】導電性材料としては、カーボンブラック、
炭素繊維、および鉄、銅、アルミニウムなどの金属粉末
が挙げられる。
【0034】通常の電子機器から漏洩する電磁波は、3
0MHz〜1000MHzの周波数帯域であり、この周
波数帯域で磁気損失の大きな強磁性材料としてMnーZ
n系フェライトがある。このようなMnーZn系フェラ
イトとして好ましいものには、MnO30〜70重量
%、ZnO10〜40重量%、Fe2310〜60重量
%の組成のフェライトを用いる。このようなフェライト
自身の磁気損失効果を比較的高く維持し、かつ難燃化ゴ
ムの強度を損なわない点から鑑みて、平均粒径3μm〜
15μmのものを用いるようにする。このようなフェラ
イトの粉末が混合された混練ゴムを、前述したように導
電性の混練りゴムで被覆してゴム用押出機で筒状体に押
出成形し、加硫して前記遮蔽筒体21を成形する。した
がって、被覆層23は混合材料層22の前記実施例にお
いて説明した柔軟性などを損なうことなく、電磁波の遮
蔽効果および障害電波の侵入防止効果を向上することが
できる。
【0035】図2は、プリンタ24を備えるコンピュー
タ本体25の全体の構成を示す系統図である。コンピュ
ータ本体25は、一端がプラグ28に接続された電源ケ
ーブル26の他端と、コネクタ29を介して接続され
る。またプリンタ24は、両端にコネクタ31,32が
接続された接続ケーブル27を介して、コンピュータ本
体25と接続される。コンピュータ本体25、プリンタ
24、電源ケーブル26、接続ケーブル27およびコネ
クタ29,31,32からは、図2に矢符で示すよう
に、空中に電磁波が放射される。
【0036】本実施例の遮蔽筒体21は、電源ケーブル
26および接続ケーブル27の全長において発生し、漏
洩する電磁波を遮蔽しようとするものであり、コネクタ
29,31,32において局所的に発生される電磁波を
合わせて遮蔽しようとするものである。
【0037】図3は、本実施例で用いられるフェライト
の磁性的性質を説明するグラフである。本実施例に用い
るフェライトは、遮蔽すべき電磁波の磁界Hの強さが比
較的低いことから鑑みて、そのような強度の電磁波を良
好に吸収するために、フェライトの磁束密度Bの変化曲
線L15,L16,L17における初透磁率μ0が可及
的に大きい種類が望ましい。またさらに好ましくは、電
磁波が放射されている環境下で電磁波遮蔽に用いられた
本実施例の遮蔽筒体21が、磁界除去後にフェライトに
起因する磁力を生じないように残留磁束密度Brが0ま
たは可及的に小さいことが望ましい。しかしながら、本
発明に用いられるフェライトに本質的に重要な要素は前
記初透磁率μ0であり、残留磁束密度Brは本件実施例
の遮蔽筒体21の実際使用上の使用性の点で要求される
のみであり、本件発明の本質には特段の関係は有してい
ない。
【0038】実施例1,2,3 表2に示すマトリックスゴム100重量部と表1に示す
フェライトとを表3に示す3種類の割合で混合した混練
りゴムを、導電性の混練りゴムで被覆するようにして、
ゴム用押出機で筒状体に一体的に押出成形し加硫して、
外径21mm、内径10mm、長さ300mmの円筒状
成形物を得、これを実施例1,2,3とした。なお、導
電性ゴムの組成はマトリックスゴムの「カーボンブラッ
クFEF」50重量部の代わりに、導電性材料である
「トーカ5500」40重量部としたものであり、その
被覆厚さは1mmとした。
【0039】これらの円筒状成形物の柔軟性試験を行っ
た結果を表3に示す。柔軟性の試験方法は、円筒状成形
物の両端を手で接触させ輪を作り、亀裂の発生を確認す
るものである。
【0040】比較例1,2,3 実施例と同一の組成のマトリックスゴム100重量部と
フェライトとを表3に示す3種類の割合で混合した。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】混練りゴムをゴム用押出機で筒状体に押出
成形し加硫して、外径20mm、内径10mm、長さ3
00mmの円筒状成形物を得、これを比較例1,2,3
とした。これらの円筒状成形物の柔軟性試験を実施例と
同一の方法で行った結果を表3に示す。
【0045】実施例4,5 実施例1,3で成形した円筒状成形物の電磁波遮断特性
を測定した。その方法の概略を図4の系統図を用いて説
明する。遮断特性の測定は、予め定められる波形の信号
を所定の周波数範囲にわたって発生できる信号発生装置
33と、この信号発生装置33に接続ケーブル27を介
して接続されている信号解析装置34とを用いる。すな
わち、信号発生装置33によって接続ケーブル27に一
端から供給された信号が、接続ケーブル27の他端にお
いて表れる状態を観察した。これらの結果は、比較例
4,5,6の結果とともに図7〜図9に示す。
【0046】比較例4,5 比較例1,3で成形した円筒状成形物の電磁波遮断特性
を、実施例4,5と同じ方法で測定した。
【0047】比較例6 比較例3で成形した円筒状成形物に、網角度45°、線
径0.2〜0.3mmφの銅線から成る網状の被覆体を
被覆して、これの電磁波遮断特性を実施例4,5と同じ
方法で測定した。
【0048】表3に示すように、本発明の筒状電磁波遮
蔽装置は、柔軟性に優れていることが判る。特に、フェ
ライト粉末の混合量の多いときにその効果が顕著であ
る。
【0049】図5〜図7に示すように、本発明の筒状遮
蔽装置は、電磁波遮断特性が優れていることが判る。
【0050】図5のL1は接続ケーブル27のみ、L2
は接続ケーブル27に比較例4の円筒状成形体を装着し
たもの、L3は接続ケーブル27に実施例4の円筒状成
形体を装着したものの周波数と信号減衰量の関係を表
す。円筒状成形体による信号減衰の効果は100MHz
付近から表れ、周波数が大きくなる程その効果も出てく
る。
【0051】図6のL4は接続ケーブル27のみ、L5
は接続ケーブル27に比較例5の円筒状成形体を装着し
たもの、L6は接続ケーブル27に実施例5の円筒状成
形体を装着したものの周波数と信号減衰量の関係を表
す。円筒状成形体による信号減衰の効果は50MHz付
近から表れ、周波数が大きくなる程その効果が大きくな
る。その効果は図5の場合よりも大きく、200MHz
付近で接続ケーブル27単体と比較して約10dBも減
衰量が増大する。
【0052】図7のL4は接続ケーブル27のみ、L6
は接続ケーブル27に実施例5の円筒状成形体を装着し
たもの、L7は接続ケーブル27に比較例6の円筒状成
形体を装着したものの周波数と信号減衰量の関係を表
す。この例でも図6と同様に、円筒状成形体による信号
減衰効果が大きいことが判る。
【0053】以上のように本発明の筒状電磁波遮蔽装置
は、電磁波の遮蔽効果は、他の円筒状筒状体を用いたも
のと同程度で、かつ柔軟性に富み、また網状の被覆体を
被せるなどの手間もかからない。
【0054】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、良好な電
磁波遮蔽能力を有するとともに、柔軟性に優れ、しかも
後加工による被覆体を設ける必要のないことからも生産
性にも優れている。また難燃性材料でできているため、
室内で用いる場合であっても防火の点で安全である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の遮蔽装置21の斜視図であ
る。
【図2】本発明の利用分野を説明する系統図である。
【図3】本発明に用いられるフェライトの磁性的特性を
説明するグラフである。
【図4】本発明における電磁波吸収性能の試験を行う構
成の系統図である。
【図5】本発明の各実施例の電磁波吸収性能を説明する
グラフである。
【図6】本発明の各実施例の電磁波吸収性能を説明する
グラフである。
【図7】本発明の各実施例の電磁波吸収性能を説明する
グラフである。
【図8】典型的な従来例のフィルタ1の外観を説明する
斜視図である。
【図9】典型的な従来例のフィルタ1の外観を説明する
斜視図である。
【図10】典型的な従来例のフィルタ1の外観を説明す
る斜視図である。
【図11】従来例の電磁波吸収性能を説明するグラフで
ある。
【図12】他の従来例の構成を説明する斜視図である。
【符号の説明】 21 遮蔽筒体 22 混合材料から成る層 23 被覆層 26 電源ケーブル 27 接続ケーブル 28 プラグ 29,31,32 コネクタ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径3〜15μmのフェライト粉末
    60〜90重量%と、難燃性を有するゴム40〜10重
    量%とを含む混合材料から成る層を導電性ゴムで被覆し
    て構成されていることを特徴とする筒状電磁波遮蔽装
    置。
  2. 【請求項2】 前記フェライトは、Mn−Zn系フェラ
    イトであることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載
    の筒状電磁波遮蔽装置。
  3. 【請求項3】 Mn−Zn系フェライトは、MnO30
    〜70重量%、ZnO10〜40重量%およびFe23
    10〜60重量%を含むことを特徴とする特許請求の範
    囲第1項記載の筒状電磁波遮蔽装置。
  4. 【請求項4】 前記難燃性を有するゴムはクロロプレン
    ゴム、クロルスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリ
    エチレンゴムのいずれかから選ばれることを特徴とする
    特許請求の範囲第1項記載の筒状電磁波遮蔽装置。
  5. 【請求項5】 前記難燃性を有するゴムは、難燃剤を配
    合して加硫した天然ゴムおよび/または合成ゴムである
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の筒状体電
    磁波遮蔽装置。
  6. 【請求項6】 前記導電性を有するゴムは、クロロプレ
    ンゴム、クロルスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポ
    リエチレンゴムのいずれかから選ばれたゴムに導電性材
    料を混合したものであることを特徴とする特許請求の範
    囲第1項記載の筒状電磁波遮蔽装置。
  7. 【請求項7】 前記導電性を有するゴムは、難燃剤と導
    電性材料とを配合して加硫した天然ゴムおよび/または
    合成ゴムであることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    記載の筒状電磁波遮蔽装置。
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