JPH05142043A - 赤外線チヨツパおよびその製造方法 - Google Patents

赤外線チヨツパおよびその製造方法

Info

Publication number
JPH05142043A
JPH05142043A JP3333991A JP33399191A JPH05142043A JP H05142043 A JPH05142043 A JP H05142043A JP 3333991 A JP3333991 A JP 3333991A JP 33399191 A JP33399191 A JP 33399191A JP H05142043 A JPH05142043 A JP H05142043A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
infrared
substrate
chopper
shielding portion
slit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3333991A
Other languages
English (en)
Inventor
Osamu Tabata
修 田畑
Ryoji Asahi
良司 旭
Masahito Kimura
雅人 木村
Susumu Sugiyama
進 杉山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP3333991A priority Critical patent/JPH05142043A/ja
Publication of JPH05142043A publication Critical patent/JPH05142043A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photometry And Measurement Of Optical Pulse Characteristics (AREA)
  • Radiation Pyrometers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 赤外線断続の精度が高く、また外部からの振
動による影響が少なく、検出部と同程度に小型化でき、
かつ全体が一体的に形成されており安価である赤外線チ
ョッパを提供すること。 【構成】 SOI基板60上に、両側が合計4本の支持
ビーム70で支持された赤外線遮蔽部72と、駆動電極
74,76−1,76−2を形成する。そして、前記赤
外線遮蔽部72に、その振動方向と直交する方向に赤外
線透過用スリット78を形成し、さらに前記スリット7
8に対向するようシリコン基板62上に赤外線反射膜8
0を形成する。そして、前記基板62に垂直に入射する
赤外線を、前記赤外線遮蔽部72の振動により断続的に
遮断する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は非冷却型赤外線センサ用
の赤外線チョッパ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、赤外線センサとして量子型と
熱型が知られている。量子型赤外線センサは、その感度
に波長依存性が強いので使用可能波長領域が限られ、ま
た測定に際して素子を冷却しなければならないため室温
での使用ができず、しかも高価であるなどの不具合があ
る。これに対し、熱型の赤外線センサは、上記量子型の
不具合がなく、近年活発に開発が進められている。
【0003】熱型赤外線センサは赤外線が照射される
と、これを検出部の赤外線吸収膜により熱エネルギーに
変換して、検出部の温度を上昇させる。この温度上昇を
温度センサにより検出することにより入射した赤外線の
強度を検出する。
【0004】例えば焦電型赤外線センサの場合は、検出
部の温度変化により焦電材料の自発分極が変化する。外
部回路によりこの自発分極の変化を検出することにより
赤外線の強度を検出する。しかし焦電材料は温度の変化
速度に比例した出力しか得られない。すなわち一定の赤
外線を連続的に照射した場合、検出部の温度は一定にな
り、焦電型赤外線センサでは赤外線強度を連続的に検出
することができない。このため、入射赤外光をチョッピ
ングして断続的な光とし、これに対する交流的な応答を
測定する検出方法がとられることが多い。
【0005】また、ボロメータなどのその他の熱型赤外
線センサにおいても、零点オフセットの変動を防ぐため
に、入射赤外光をチョッピングして断続的な光とし、こ
れに対する交流的な応答を測定する検出方法がとられる
ことが多い。
【0006】このために用いられる赤外線チョッパとし
ては、モータを用いるものが一般的であるが、装置が大
型で高価になるため、近年バイモルフ振動子等の往復駆
動装置により光遮蔽板を駆動させるものが提案されてい
る。
【0007】図8(A),(B)には、このような赤外
線チョッパの一例が示されている。この赤外線チョッパ
は、ケーシング10の側面に赤外線導入窓12を設ける
と共に、このケーシング10内に、上記赤外線導入窓1
2に対面させて配線基板14を配設している。この配線
基板14に、上記赤外線導入窓12から導入される赤外
線を受光する焦電型赤外線センサ16を取り付け、上記
赤外線導入窓12と焦電型赤外線センサ16の間に赤外
線チョッパ34を設けている。
【0008】この赤外線チョッパ34は、一対のバイモ
ルフ振動子20、22を含む。この一対のバイモルフ振
動子20、22は、一端が支持プレート18に固定さ
れ、他端は自由端となし、上記赤外線導入窓12から導
入される赤外線に対して直交する方向に配置され、しか
も各々の振動方向が図中矢印AおよびB方向となるよう
に配置されている。
【0009】上記一対のバイモルフ振動子20、22の
各自由端には、チョッパプレート24、26が取り付け
られており、これらチョッパプレート24、26を光軸
方向と直交する方向に移動するようになっている。チョ
ッパプレート24、26には、それぞれスリット28、
30が形成されており、これらスリット28、30は上
記バイモルフ振動子20、22の振動に伴う上記チョッ
パプレート24、26の変位によって相互に重なりあっ
たりずれたりするようになっている。このためバイモル
フ振動子20、22が振動すると、これらスリット2
8、30によって上記赤外線導入窓12から焦電型赤外
線センサ16に向かう赤外線を遮断したり導通させたり
するのでチョッピングが行えるものとなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしこの赤外線チョ
ッパ34は、バイモルフ振動子20、22によりチョッ
ピングプレート24、26が円弧方向に振動され、スリ
ット28、30も相対的に円弧方向に移動される。その
ためスリット28、30は赤外線の導通時に相互に傾斜
してしまい、赤外線の透過率が減少し、赤外線センサの
感度を低下させる不具合があった。
【0011】このような欠点を防止するため、図9
(A),(B)に示すような赤外線チョッパが考えられ
る。このチョッパ機構は、ケーシング10に側面に固定
スリット40を形成し、さらにこのケーシング10内に
一端がホルダ42により支持されると共に他端が自由端
となった1枚のプレート状バイモルフ振動子44を設置
し、このバイモルフ振動子44の自由端にスリット48
を開口したチョッピングプレート46を取り付けてい
る。上記バイモルフ振動子44は、上記固定スリット4
0から導入される赤外線の光軸方向に平行に設置され、
かつこの光軸に対して交差する方向、つまり矢印C方向
に振動されるように設定される。さらに、固定スリット
40、チョッピングプレート46に形成されたスリット
48は横長に形成されている。
【0012】このように構成された赤外線チョッパで
は、バイモルフ振動子44の振動によりチョッピングプ
レート46が移動しても、スリット48が固定スリット
40に対して傾斜することなく重なるため、赤外線の透
過率が減少して赤外線センサの感度が低下する不具合は
改善される。しかし、バイモルフ振動子44、チョッピ
ングプレート46は、上記バイモルフ振動子の固定端を
中心として円弧方向に振動され、スリット48も相対的
に円弧方向に移動される。そのためスリット48と固定
スリット40は互いに平行状態を常に維持することが困
難となり、赤外線断続の精度が悪くなるという問題があ
る。
【0013】また、前記図8、図9に示す赤外線チョッ
パ機構は、いずれも固有振動数が低いため外部からの振
動により共振が引き起こされ赤外線断続の精度が悪くな
るという問題がある。またスリット間及びスリットと赤
外線センサ16との距離が大きいため、入射した赤外線
を効率よく検出部に到達させるためには、赤外線が十分
にコリメートされている必要がある。さらに、赤外線セ
ンサに比べ大型、組立てが複雑で高価である等の問題が
ある。
【0014】発明の目的 本発明は、このような従来の課題に鑑みて成されたもの
であり、その目的は、赤外線断続の精度が高く、また外
部からの振動による影響が少なく、検出部と同程度に小
型化でき、かつ全体が一体的に形成されており安価であ
る赤外線チョッパ及びその製造方法を提供する。
【0015】
【課題を解決するための手段及び作用】前記目的を達成
するために、本発明の赤外線チョッパは、赤外線透過材
料を用いて形成された基板と、前記基板上に両側が支持
ビームで支持された赤外線遮蔽部と、前記赤外線遮蔽部
を、前記基板と平行な面内でかつ支持方向と交叉する方
向に振動的に静電駆動する駆動電極と、前記赤外線遮蔽
部に、その振動方向と交叉する方向に形成された赤外線
透過用スリットと、前記赤外線透過用スリットに対向す
るよう前記基板上に形成された赤外線反射膜と、を含
み、前記基板に入射する赤外線を、前記赤外線遮蔽部の
振動により断続的に遮断することを特徴とする。
【0016】ここにおいて、前記基板としては、シリコ
ン基板上にSiO2からなる酸化膜と、表面活性層とし
ての単結晶シリコン膜を被覆形成したSOI基板を用い
ることが好ましい。シリコン基板は、約1μm以上の波
長を持つ赤外線に対して良好な透過特性を持つため、赤
外線フィルタとして好適であるからである。
【0017】また、表面活性層である単結晶シリコンに
は、導電性を持たせること、残留応力を引張り応力にす
ることの2つの目的のために不純物、特に高濃度のボロ
ンを拡散することが好ましい。
【0018】また、前記赤外線透過用スリットは、赤外
線遮蔽部に複数列に亘って格子状に設けることが好まし
い。この場合、前記赤外線反射膜は、前記各スリットに
対向するよう複数列に亘って設けるよう、パターン形成
が行なわれ、この結果、赤外線遮蔽部と対向する赤外線
透過基板の表面には、赤外線反射膜パターンと、赤外線
を透過する基板露出スリットパターンとが交互に現われ
ることになる。
【0019】本発明は以上の構成からなり、次にその作
用を説明する。
【0020】本発明の赤外線チョッパでは、赤外線遮蔽
部の両側が支持ビームで基板に取り付けられ、この赤外
線遮蔽部は、駆動電極により基板と平行な面内でかつ支
持方向と交叉する方向に振動的に静電駆動される。この
際、赤外線遮蔽部に設けられた赤外線透過用スリット
は、基板上に形成された赤外線反射膜パターンと赤外線
を透過する基板露出スリットパターンとに交互に対向す
ることになるため、基板面に垂直に入射した赤外線は、
断続的な透過光に変換されることになる。
【0021】特に、本発明では、赤外線遮蔽部の両側が
支持ビームで支持されているため、この支持方向と交叉
する方向に赤外線遮蔽部を振動的に駆動した場合でも、
赤外線遮蔽部が円弧状に動くことはない。従って、この
赤外線遮蔽部に、その振動方向と交叉する方向に赤外線
透過用スリットを形成することにより、赤外線透過用ス
リットは、従来のように円弧状の動きをすることなく、
基板に平行な面内で振動的に駆動されることになる。こ
のように、本発明の赤外線チョッパでは、赤外線透過用
スリットは、赤外線遮蔽部と対向する基板上に形成され
た赤外線反射パターンに対して、常に平行状態を維持し
ながら動作するため、赤外線断続精度が極めて高いもの
となる。
【0022】しかも、本発明のように、駆動電極を用い
た静電力による駆動は、赤外線遮蔽部を基板と平行な面
内で振動的に駆動する場合に極めて好適であり、さらに
モータや電磁力を利用する場合のようにコイルや電磁力
を必要としないため、チョパ全体を小型化することがで
きる。
【0023】さらに、前記赤外線遮蔽部は、赤外線透過
スリットが形成できれば充分であるため、これを薄く小
さなものとして形成することができ、その結果、赤外線
遮蔽部自体の固有振動数を高く設定でき、外部からの振
動に影響されにくく、安定なチョッパ動作が保証される
ことになる。
【0024】製造方法 次に、本発明に係る赤外線チョッパの製造方法について
説明する。
【0025】本発明の方法は、赤外線透過基板の表面
に、SiO2 層及び単結晶シリコン層を被覆してSOI
基板を形成する工程と、前記単結晶シリコン層に不純物
を拡散する工程と、前記単結晶シリコン層のパターニン
グを行なって、前記SOI基板に両側が支持ビームで支
持された赤外線遮蔽部と、前記赤外線遮蔽部を前記基板
と平行な面内でかつ支持方向と交叉する方向に振動的に
静電駆動する駆動電極と、前記赤外線遮蔽部にその振動
方向と交叉する方向に設けられた赤外線透過用スリット
とを形成する工程と、前記赤外線遮蔽部、前記支持ビー
ムおよび前記駆動電極と、前記赤外線透過基板との間に
あるSiO2 層をエッチング除去して前記支持ビーム、
赤外線遮蔽部及び駆動電極の一部を赤外線透過基板より
分離する工程と、前記赤外線透過用スリットに対向する
よう、赤外線反射膜を赤外線透過基板上に形成する工程
と、を含むことを特徴とする。
【0026】このように、本発明によれば、赤外線チョ
ッパの製造にあたりSOI基板を用いることにより、中
間層である酸化膜(SiO2 )を犠牲膜として除去する
ことで、表面活性層としての単結晶シリコン層をシリコ
ン基板から容易に分離することができる。
【0027】さらに、本発明のようにSOI基板を用い
ることにより、全体を一体的に形成した赤外線チョッパ
を得ることができ、しかもLSIの製造技術を用いてそ
の加工を容易に行なうことができる。このため、赤外線
チョッパを精度よく、且つ、安価に製造することがで
き、しかもシリコン基板もしくは表面活性層である単結
晶シリコンを用いて赤外線センサのみならずその駆動回
路、その他の回路を同時に形成し、多機能を有するワン
チップデバイス等を製造することも可能である。
【0028】また、本発明の赤外線センサでは、赤外線
反射膜を赤外線透過スリットに対向するよう基板上に形
成する必要があるが、本発明の方法によれば、赤外線遮
蔽部を形成した後、基板面に垂直方向から赤外線反射膜
を蒸着等により容易に形成することができる。即ち、赤
外線遮蔽部と赤外線透過基板とのギャップを決定する酸
化膜(SiO2 )の膜厚を極めて薄く形成できるため、
蒸着時に赤外線反射膜が回り込むことなく所望の位置に
これを精度よく形成することができる。さらに、この狭
いギャップを持つことにより、ある程度斜め方向から入
射してくる赤外線に対しても、良好なチョッパとして機
能することになる。
【0029】
【発明の効果】以上の構成とすることにより、本発明に
よれば、赤外線断続の精度が高く、また外部からの振動
よる影響が少なく、検出部と同程度に小型化でき、かつ
全体が一体的に形成された、安価な赤外線チョッパとそ
の製造方法が実現される。
【0030】
【実施例】次に、本発明の好適な実施例を図面に基づき
詳細に説明する。
【0031】第一実施例 図1には、本発明が適用された赤外線センサ装置の一例
が模式的に示されている。この赤外線センサ装置は、入
射される赤外線100を断続的な透過光に変換する赤外
線チョッパ50と、この透過光から赤外線100の強度
を検出する赤外線センサ52とを含む。
【0032】図2,図3には、本実施例で用いられる赤
外線チョッパが示されており、図2はその平面を模式的
に表わしており、図3はその斜視断面を模式的に表わし
ている。実施例の赤外線チョッパ50は、SOI基板6
0と、このSOI基板60の表面に、その両側が少なく
とも2本のビーム70で支持された赤外線遮蔽部72と
を含む。
【0033】前記SOI基板60は、赤外線透過基板と
してのシリコン基板62と、その表面に〜1μm膜厚に
被覆形成されたSiO2 膜64と、さらにその表面に1
μm以上の膜厚で被覆形成された単結晶シリコン膜66
とを含む。
【0034】前記シリコン基板62は、約1μm以上の
波長を持つ赤外線に対し透過特性を持つため、赤外線フ
ィルタとして極めて好適なものとなる。
【0035】また、前記赤外線遮蔽部72は、その左右
両側がSOI基板60にそれぞれ2本の平行なビーム7
0を用いて支持され、その支持方向と直交する方向へ所
定範囲で移動可能に形成されている。この赤外線遮蔽部
72の前記移動方向両側には、櫛歯状の可動電極74が
それぞれ設けられており、またSOI基板60側には、
前記可動電極74と所定間隔を置いて噛み合うように櫛
歯状の固定電極76−1,76−2が設けられている。
【0036】実施例において、前記赤外線遮蔽部72の
両側に配置された一対の固定電極76−1,76−2は
それぞれ電気的に絶縁されており、これら各固定電極7
6−1,76−2および可動電極74の間には図1に示
すよう電圧が交互に印加されるようになっている。従っ
て、スイッチ56を交互に切替えることにより、電源5
4の電圧が可動電極74と、固定電極76−1,76−
2の間に交互に印加され、赤外線遮蔽部72は、シリコ
ン基板62と平行な面内で、且つビーム70による支持
方向と直交する方向に振動的に駆動されることになる。
【0037】また、前記赤外線遮蔽部72上には、前記
振動方向と交叉する方向に複数列の赤外線透過用可動ス
リット78が形成されている。実施例では、前記各スリ
ット78は、振動方向と直交する方向に形成されてい
る。
【0038】また、前記シリコン基板62の表面には、
赤外線遮蔽部72が中立状態(電圧を印加しない状態)
に位置する場合に、複数本の可動スリット78と相対向
する位置に膜厚0.1μm程度にアルミニウム膜80が
赤外線反射膜として被覆形成されている。したがって、
シリコン基板62の表面には、アルミニウム膜80が被
覆形成された赤外線反射領域と、アルミニウム膜80が
被覆されない赤外線透過用の固定スリットパターン82
とが交互に位置することになる。
【0039】従って、前記赤外線遮蔽部72を振動的に
駆動すると、この赤外線遮蔽部72上に形成された複数
本の固定スリット78は、シリコン基板62の表面に設
けられた赤外線反射膜であるアルミニウム膜80と赤外
線透過用のスリットパターン82と交互に対向すること
になる。このため、図1に示すよう、SOI基板60に
垂直に入射する赤外線100は、この赤外線チョッパ5
0で断続的な透過光に変換され、赤外線センサ52に入
射されることになる。
【0040】特に、本実施例の赤外線遮蔽部72は、そ
の両側をそれぞれ2本のビーム70で支持されているた
め、この赤外線遮蔽部72に設けられたスリット78は
円弧状の動きをすることなく、基板60と平行な平面内
で振動的に駆動される。このように、赤外線遮蔽部72
上に形成されたスリット78は、シリコン基板62の表
面に設けられたアルミニウム膜80およびスリットパタ
ーン82に対し常に平行状態を維持しながら動作するた
め、赤外線断続精度が極めて高くなり、赤外線センサ5
2による赤外線の検出精度を高めることができる。
【0041】さらに、前記赤外線遮蔽部72は、スリッ
ト78が設けられるのみであるため、極めて薄く小さな
板状に形成できる。従って、赤外線遮蔽部72自体の質
量を小さく、その固有振動数を高く設定できるため、外
部からの振動に影響されることなく安定なチョッパ動作
を行なうことができる。
【0042】図4には、実施例の赤外線チョッパ50の
製造工程が示されている。
【0043】同図(A)に示すよう、シリコン基板62
の表面に、〜1μmの膜厚でSiO2 膜64を被覆形成
し、さらにその表面に1μm以上の膜厚で単結晶シリコ
ン膜66を被覆形成する。このようにして、SOIウエ
ハ60を形成した後、最表面の単結晶シリコン膜66に
ボロンを熱拡散法によりドープする。このようなボロン
の拡散は、表面活性層である単結晶シリコン膜66に導
電性を持たせることと、残留応力を引張り応力にするこ
との2つの目的のために行なわれる。尚、SOIウエハ
60の最表面シリコンに不純物が予めドープされている
場合には、ボロンのドーピングは必しも必要ではない。
【0044】次に、同図(B)に示すよう、フォトリソ
グラフィ及びリアクティブイオンエッチング(RIE)
により、最表面の単結晶シリコン膜66をパターニング
し、図2に示すよう、4本のビーム70,赤外線遮蔽部
72,可動電極74,固定電極76およびスリット78
を形成する。
【0045】次に、同図(C)に示すよう、フッ化水素
を用いてSiO2 膜64をエッチングすることにより、
パターニングされた最表面の単結晶シリコン膜66とシ
リコン基板62との間を分離しビーム70および赤外線
遮蔽部72を可動部として形成する。
【0046】即ち、実施例では単結晶シリコン膜66
と、シリコン基板62との間の中間層(SiO2 )膜を
犠牲層として除去することで、シリコン基板62に対し
単結晶シリコン膜66の一部を容易に分離することがで
きる。
【0047】次に同図(D)に示すよう、SOI基板6
0の表面側からアルミニウムを蒸着する。このとき、ス
リット78を介してシリコン基板62の表面に装着され
るアルミニウムは、赤外線反射膜であるアルミニウム膜
80を形成することになる。
【0048】このようにして、本実施例によれば、小型
で精度がよく、且つ全体が一体的な赤外線チョッパ50
を形成することができる。
【0049】特に、本実施例では、LSIの製造技術を
用いているため、量産化が可能であり、低コストでしか
も安定した加工精度を持つ赤外線チョッパを実現するこ
とができる。
【0050】第二実施例 次に、本発明の好適な第二実施例を図面に基づき詳細
に説明する。尚、前記第一実施例と対応する部材には同
一符号を付しその説明は省略する。
【0051】前記第一実施例に係る赤外線チョッパ50
は、SiO2 膜64の膜厚を1μm以下に形成したもの
であるため、最表面の単結晶シリコン膜66とシリコン
基板62との間の間隔が極めて狭い。
【0052】従って、図1に示すよう任意電圧を印加し
た際に櫛歯状の固定電極76とシリコン基板62との間
に発生する静電力が、固定電極76をシリコン基板方向
に変形する程強い場合には、固定電極76と可動電極7
4との基板面に対し垂直方向の静電力が発生することと
なるため、赤外線社弊部72の正常な振動動作が妨げら
れるおそれがある。
【0053】特に、このような状態は、最表面のシリコ
ン膜66の膜厚が薄い場合に、基板との静電力により容
易に変形するため起こり易くなる。
【0054】本実施例の特徴は、このような問題を解決
するために、シリコン基板62と固定電極76との間の
ギャップを大きく形成することにある。このような方法
の一つとして、SOIウエハ60のSiO2 膜64の膜
厚を大きく形成してもよいが、もしこのSiO2 膜64
の膜厚にスルホールのプロセス等で制限が加えられてい
る場合には、次のような製造方法によって形成すること
ができる。
【0055】図5には、本実施例に係る赤外線チョッパ
の製造工程が示されている。
【0056】まず、図5(A)に示すよう、SOI基板
60の表面を薄く熱酸化し、SiO2 薄膜68を被覆形
成する。
【0057】次に、同図(B)示すよう、イオン注入お
よび熱処理により、ボロンを高濃度(1020cm-3以上)
にドープする。尚、本工程も、前記第一実施例と同様、
SOIウエハ60の最表面シリコンに不純物が予め充分
にドープされている場合には必ずしも必要ではなない。
【0058】次に、同図(C)に示すすよう、フォトリ
ソングラフィ及びリアクティブイオンエッチング(RI
E)により、最表面シリコンをパターニングし、図2,
図3に示すうよに、ビーム70,赤外線遮蔽部72,可
動電極74,固定電極76,スリット78を形成する。
【0059】次に、同図(D)示すよう、フッ化水素を
用いてSOIウエハ60の中間層であるSiO2 膜64
をエッチング除去することにより、最表面の単結晶シリ
コン膜66の一部とシリコンウエハ62を分離し可動部
を形成する。
【0060】この酸化膜エッチングは、洗浄液の表面張
力による赤外線遮蔽部72とシリコンウエハ62の間の
固着を防止するため、純水洗浄の後アルコールに置換
し、その後加熱して乾燥を行なった。
【0061】次に、同図(E)に示すよう、水酸化カリ
ウム,テトラメチルハイドロキシド等のシリコン異方性
エッチング液を用いて、シリコンウエハ62の表面を所
定深さまでエッチング除去する。このとき、最表面の単
結晶シリコン膜66は、よく知られているエッチストッ
プ効果によりエッチングされない。
【0062】次に、同図(F)に示すよう、基板面垂直
方向より赤外線反射膜であるアルミニウム膜80を蒸着
する。
【0063】このように、本実施例によれば、最表面の
単結晶シリコン膜66が薄いSOIウエハを使用した場
合においても、中間層であるSiO2 膜64の膜厚を増
加することなく、常に正常に駆動される赤外線チョッパ
を実現することができる。
【0064】図6には、本実施例の方法により形成され
た赤外線チョッパ50の特性が示されている。ここで
は、ビーム70が幅5μm,長さ180μm,赤外線遮
蔽部72が200μm角に形成された赤外線チョッパを
対象としてその測定を行なった。
【0065】同図において、横軸は可動電極74,固定
電極76間に印加する電圧の二乗を表わし、縦軸は赤外
線遮蔽部72の変位量を表わしている。印加電圧の二乗
と、変位量の比例関係が120V以上で成立しない原因
は、固定電極76がシリコン基板62との静電力により
下方へたわみ、固定電極76と可動電極74間に発生す
る静電駆動力が低下する効果と支持ビーム70の大変形
による非線形部等のためと考えられる。
【0066】第三実施例 次に、本発明の好適な第三実施例を図面に基づき詳細に
説明する。なお、前記各実施例と対応する部材には同一
符号を付しその説明は省略する。
【0067】図7には、本実施例に係るデバイスの断面
構造が模式的に示されている。本実施例の特徴は、赤外
線チョッパ50と、その駆動回路90と、赤外線センサ
52と、その駆動回路92とを結合し、多機能な一体的
デバイスを形成したことにある。
【0068】実施例において、SOI基板60の一方の
表面60A側には、前記第一,第二実施例により形成さ
れる赤外線チョッパ50と、その駆動回路90が形成さ
れている。
【0069】また、SOI基板60の他方の表面60B
側には、前記赤外線チョッパ50とシリコン基板62を
介して対向する位置に赤外線センサ52が設けられ、こ
の赤外線センサ52に隣接してセンサ駆動回路92が形
成されている。
【0070】そして、SOI基板60に垂直に入射した
赤外線100は、赤外線チョッパ50を通過する際に断
続光となる。この断続的な赤外光は、シリコン基板62
を透過した後、赤外線センサ52に到達し、その強度が
検出されることになる。
【0071】前記赤外線チョッパ50と赤外線センサ5
2との位置合せは、シリコンプロセスにおける両面露光
機を用いることにより精度よく行うことができるため、
赤外線100を効率よくセンサ52に到達させることが
できる。したがって、赤外線センサ52は、断続的な赤
外光を受光することにより高感度な検出を行なうことが
できる。
【0072】このように、本実施例によれば、SOI基
板60の両面に、赤外線チョッパ50,その駆動回路9
0,赤外線センサ52,その駆動回路92を一体型デバ
イスとして形成することができるため、多機能,高精度
且つ高感度な赤外線検出システムを実現することができ
る。
【0073】尚、本実施例では、赤外線チョッパ50と
赤外線センサ52を同一基板にて形成したが、それぞれ
別々の基板上に作成した後、これらを精度よく結合して
もよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された赤外線検出システムの断面
を概略的に表わした模式図である。
【図2】第1実施例に係る赤外線チョッパの平面構造を
概略的に示した模式図である。
【図3】図2に示す赤外線チョッパの斜視断面を概略的
に表わした模式図である。
【図4】第1実施例に係る赤外線チョパの製造工程の説
明図である。
【図5】第2実施例に係る赤外線チョッパの製造工程の
説明図である。
【図6】第2実施例に係る赤外線チョッパの特性図であ
る。
【図7】赤外線チョッパおよび赤外線センサを結合した
多機能一体的デバイスの断面構造を概略的に表わした模
式図である。
【図8】従来の赤外線チョッパの説明図である。
【図9】従来の赤外線チョッパの説明図である。
【符号の説明】
50 赤外線チョッパ 52 赤外線センサ 60 SOI基板 62 シリコン基板 64 SiO2 膜 66 単結晶シリコン基板 70 ビーム 72 赤外線遮蔽部 74 可動電極 76 固定電極 78 スリット 80 赤外線反射膜 100 赤外線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 雅人 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 杉山 進 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 赤外線透過材料を用いて形成された基板
    と、 前記基板上に両側が支持ビームで支持された赤外線遮蔽
    部と、 前記赤外線遮蔽部を、前記基板と平行な面内でかつ支持
    方向と交叉する方向に振動的に静電駆動する駆動電極
    と、 前記赤外線遮蔽部に、その振動方向と交叉する方向に形
    成された赤外線透過用スリットと、 前記赤外線透過用スリットに対向するよう前記基板上に
    形成された赤外線反射膜と、 を含み、 前記基板に入射する赤外線を、前記赤外線遮蔽部の振動
    により断続的に遮断することを特徴とする赤外線チョッ
    パ。
  2. 【請求項2】 赤外線透過基板の表面に、SiO2 層及
    び単結晶シリコン層を被覆してSOI基板を形成する工
    程と、 前記単結晶シリコン層に不純物を拡散する工程と、 前記単結晶シリコン層のパターニングを行なって、前記
    SOI基板に両側が支持ビームで支持された赤外線遮蔽
    部と、前記赤外線遮蔽部を前記基板と平行な面内でかつ
    支持方向と交叉する方向に振動的に静電駆動する駆動電
    極と、前記赤外線遮蔽部にその振動方向と交叉する方向
    に設けられた赤外線透過用スリットとを形成する工程
    と、 前記赤外線遮蔽部、前記支持ビームおよび前記駆動電極
    と、前記赤外線透過基板との間にあるSiO2 層をエッ
    チング除去して前記支持ビーム、赤外線遮蔽部及び駆動
    電極の一部を赤外線透過基板より分離する工程と、 前記赤外線透過用スリットに対向するよう、赤外線反射
    膜を赤外線透過基板上に形成する工程と、 を含むことを特徴とする赤外線チョッパの製造方法。
JP3333991A 1991-11-22 1991-11-22 赤外線チヨツパおよびその製造方法 Pending JPH05142043A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3333991A JPH05142043A (ja) 1991-11-22 1991-11-22 赤外線チヨツパおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3333991A JPH05142043A (ja) 1991-11-22 1991-11-22 赤外線チヨツパおよびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05142043A true JPH05142043A (ja) 1993-06-08

Family

ID=18272276

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3333991A Pending JPH05142043A (ja) 1991-11-22 1991-11-22 赤外線チヨツパおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05142043A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014194389A (ja) * 2013-03-29 2014-10-09 Simics Co Ltd 赤外線センサー

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014194389A (ja) * 2013-03-29 2014-10-09 Simics Co Ltd 赤外線センサー

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5629790A (en) Micromachined torsional scanner
JP2007527508A (ja) 感熱装置
US7734131B2 (en) Fabry-Perot tunable filter using a bonded pair of transparent substrates
JP3770326B2 (ja) 分析装置
EP0668490A2 (en) Electrically tunable fabry-perot interferometer produced by surface micromechanical techniques for use in optical material analysis
US5101664A (en) Optical pressure transducer
JPH07243963A (ja) 光共振器とその製造方法
JPH0392729A (ja) センサ
JP2009093105A (ja) マイクロミラー装置、およびミラー部形成方法
US20080043310A1 (en) Vibrating mirror, light writing device, and image forming apparatus
JP2009156614A (ja) 偏光赤外線検出素子およびその製造方法、並びに偏光赤外線検出素子アレイ
JPH10281862A (ja) 振動式赤外線センサとその製造方法
JP2007086038A (ja) 光学式ガスセンサ
JP2005045463A (ja) 音響電気変換素子
JPH05142043A (ja) 赤外線チヨツパおよびその製造方法
JPH10270714A (ja) 半導体慣性センサの製造方法
JP2000321125A (ja) 赤外線センサ素子
EP2005127A1 (en) Cantilever light detectors
JPH10270718A (ja) 半導体慣性センサの製造方法
US20230047188A1 (en) Optical scanning device, distance measuring device, and method for manufacturing optical scanning device
JPH08327927A (ja) 光走査装置
US11385421B2 (en) Optical device, gas sensor, methods of forming and operating the same
CN117871422B (zh) 光声光谱气体传感器及其制备方法
KR100358635B1 (ko) 쵸퍼 내장 초전형 적외선 센서
TW490554B (en) Miniaturized infrared gas analyzing apparatus

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20000822