JPH05138006A - エアバツグ展開用ガス発生装置のガス発生剤パツク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、エアバッグ展開用ガス発生装置
に、燃焼室を形成するために用いられるエアバッグ展開
用ガス発生装置のガス発生剤パックに関し、簡易な構成
により、着火性能に対する信頼性を従来より大幅に向上
することを目的とする。 【構成】 長尺状の筒状パック内に、中央に貫通孔の形
成される複数のガス発生剤を、軸長方向に積層状態で収
容するとともに、筒状パックの一側をキャップにより密
閉し、このキャップの中央に突出して形成される点火器
収納用の突出部を、筒状パックの一側端に配置されるガ
ス発生剤の貫通孔内に挿入し、さらに、筒状パックの一
側に配置されるガス発生剤の貫通孔内に、キャップの突
出部の端面に隣接して、着火薬を配置して構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、エアバッグ展開用ガス
発生装置に、燃焼室を形成するために用いられるエアバ
ッグ展開用ガス発生装置のガス発生剤パックに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、乗用車において、その衝突時のシ
ョックから運転者を保護するための衝突安全装置は、例
えば、６０リッターの容積を持つエアバッグと、このエ
アバッグをガスにより展開するためのエアバッグ展開用
ガス発生装置とから構成されており、乗用車の衝突時
に、エアバッグ展開用ガス発生装置内に充填した火薬
類、あるいはその類似組成物からなるガス発生剤を点火
燃焼させ、その発生ガスによりエアバッグを瞬時に展開
して、運転者を衝突から保護し、運転者の重大な負傷を
防止するようになっている。

【０００３】図５は、特開平２−１５５８５７号公報に
開示される従来のエアバッグ展開用ガス発生装置を示す
もので、図において符号１１は、複数のガス発生剤１３
が積層状態で収容される燃焼室を示している。

【０００４】ガス発生剤１３は、中央に貫通孔１５の形
成される環状板状をしており、貫通孔１５内には、着火
薬１７が収容されている。これ等のガス発生剤１３は、
密封容器１９内に収容されており、この密封容器１９の
中央には、ガス発生剤１３の貫通孔１５側に陥没する凹
部２１が形成されている。

【０００５】この凹部２１には、ガス発生剤１３を燃焼
するための点火器２３が配置されている。燃焼室１１の
内周に沿って燃焼室フィルタ２５が配置されており、ま
た、燃焼室１１を囲繞して燃焼室フィルタ２５を通過し
たガスを、オリフィス２６から流入する充気室２７が、
環状に配置されている。

【０００６】そして、この充気室２７内には、上部フィ
ルタ２９とガス濾過フィルタ３１とからなる充気室フィ
ルタが収容されている。また、充気室２７には、ガス濾
過フィルタ３１を通過したガスをエアバッグに流出する
ためのガス流出口３３が形成されている。

【０００７】このようなエアバッグ展開用ガス発生装置
では、点火器２３に電気が通電されると、点火器２３内
の火薬の燃焼により、着火薬１７が燃焼し、この燃焼に
より、ガス発生剤１３が燃焼し、このガス発生剤１３の
ガスが、燃焼室１１の内周に沿って配置される燃焼室フ
ィルタ１９を通り、充気室２７内に流入した後、上部フ
ィルタ２９とガス濾過フィルタ３１により浄化され、ガ
ス流出口３３を通りエアバッグ内に流入し、例えば、
０．０４秒程度の短時間でエアバッグが充分に膨張され
る。

【０００８】しかしながら、このような従来のエアバッ
グ展開用ガス発生装置では、ガス発生剤１３の燃焼ガス
の容量にも限界があり、また、燃焼ガスの浄化性能にも
限界があるという問題があった。

【０００９】すなわち、特に、助手席のエアバッグの展
開に使用する時には、助手席は、運転席とは乗車環境が
異なり、乗員の姿勢が一定でなく、また、子供が着座す
る場合もあり、乗員の体格差が大きいため、例えば、従
来の運転席用のエアバッグの２．５倍程度の大容量のエ
アバッグが必要になり、従って、ガス発生剤の燃焼ガス
容量が大きく、また、この大容量の燃焼ガスを確実に浄
化することのできるエアバッグ展開用ガス発生装置が要
望されていた。

【００１０】本出願人は、先に、かかる従来の問題を解
決したエアバッグ展開用ガス発生装置を開発し、平成２
年１０月８日に特許出願した。このエアバッグ展開用ガ
ス発生装置は、図６に示すように、中間部３７にガス流
出口３９の形成される長尺状の筒状部材４１の両側に、
ガス発生剤４３の収容される燃焼室４５，４６を、仕切
部材４７により形成するとともに、筒状部材４１の中間
部３７の内側に筒状の最終フィルタ４９を配置し、筒状
部材４１の内側の最終フィルタ４９と仕切部材４７との
間に中間フィルタ５１を配置し、仕切部材４７の中間フ
ィルタ５１の側方となる位置に、オリフィス５３を開口
したものである。

【００１１】そして、一側の燃焼室４５と他側の燃焼室
４６とが、一側の燃焼室４５のガス発生剤４３の燃焼開
始後、所定時間経過後に、他側の燃焼室４６のガス発生
剤４３に点火する導火装置５４により連結されている。

【００１２】このエアバッグ展開用ガス発生装置によれ
ば、ガス発生剤４３の燃焼ガス容量を従来より大幅に増
大することができるとともに、大容量の燃焼ガスを確実
に浄化することができる。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなエアバッグ展開用ガス発生装置では、筒状部材４１
の両側に、ガス発生剤４３の収容される燃焼室４５，４
６を、仕切部材４７により形成し、これ等の燃焼室４
５，４６を、導火装置５４により接続しているため、装
置が複雑になり、また、着火性能に信頼性が欠けるとい
う問題があった。

【００１４】本発明は、上記のような問題を解決したも
ので、簡易な構成により、着火性能に対する信頼性を従
来より大幅に向上することができるエアバッグ展開用ガ
ス発生装置のガス発生剤パックを提供することを目的と
する。

【００１５】

【課題を解決するための手段】本発明のエアバッグ展開
用ガス発生装置のガス発生剤パックは、長尺状の一側に
開放端を有する筒状パック内に、中央に貫通孔の形成さ
れる複数のガス発生剤を、軸長方向に積層状態で収容す
るとともに、前記筒状パックの一側をキャップにより密
閉し、このキャップの中央に内側へ突出して形成される
点火器収納用の突出部を、前記筒状パックの一側端に配
置されるガス発生剤の貫通孔内に挿入し、さらに、前記
筒状パックの一側に配置されるガス発生剤の貫通孔内
に、前記キャップの突出部の端面に隣接して、着火薬を
配置してなるものである。

【００１６】

【作用】本発明のエアバッグ展開用ガス発生装置のガス
発生剤パックでは、キャップの突出部に収容される点火
器に電気を通電すると、筒状パックの一側端に配置され
るガス発生剤の貫通孔内の着火薬が燃焼し、この着火薬
の燃焼が、ガス発生剤の貫通孔を介して、各ガス発生剤
に伝達され、ガス発生剤が燃焼する。

【００１７】

【実施例】以下、本発明の詳細を図面に示す実施例につ
いて説明する。図１は、本発明のエアバッグ展開用ガス
発生装置のガス発生剤パックの一実施例を示しており、
図２ないし図４は、図１のガス発生剤パックが配置され
るエアバッグ展開用ガス発生装置を示している。

【００１８】図２ないし図４において符号５５は、有底
長尺状の外側筒状部材を示している。この外側筒状部材
５５の外周には、全周にわたって、多数のガス流出口５
７が形成されている。

【００１９】外側筒状部材５５の内側には、筒状の最終
フィルタ５９が配置されている。この最終フィルタ５９
は、例えば、細目金網，畳み織り金網等を重ね巻きして
構成され、燃焼ガスをエアバッグが焼損しない程度にま
で冷却し、また、燃焼ガスに含まれる燃焼残渣を除去
し、エアバッグに無害の窒素ガスのみを供給する機能を
有している。

【００２０】この最終フィルタ５９の内側には、内側筒
状部材６１が挿入されている。内側筒状部材６１の外周
には、全周にわたって、多数のガス流通孔６３が形成さ
れている。

【００２１】内側筒状部材６１内には、本発明の一実施
例であるガス発生剤パック６５が収容されている。すな
わち、図１および図２において符号６７は、例えば、ア
ルミニウムからなる有底長尺状の筒状パックを示してい
る。

【００２２】この筒状パック６７内には、中央に貫通孔
６９の形成される複数のガス発生剤７１が、軸長方向に
積層状態で収容されている。筒状パック６７の一側は、
例えば、アルミニウムからなるキャップ７３により密閉
されている。

【００２３】なお、キャップ７３は、筒状パック６７に
外周を巻き締め成形されている。キャップ７３の中央に
は、点火器７５を収容するための突出部７７が形成され
ている。

【００２４】この突出部７７は、点火器ホルダ７９を介
して、有底状の筒状パック６７の一側端に配置されるガ
ス発生剤７１の貫通孔８１内に挿入されている。また、
筒状パック６７の一側に配置されるガス発生剤７１の貫
通孔８１内には、キャップ７３の突出部７７の端面に隣
接して着火薬８５が配置されている。

【００２５】この着火薬８５は、着火薬パック８７内に
収容されている。そして、図２に示すように、外側筒状
部材５５の開口端には、蓋部材８９が配置され、この蓋
部材８９は、外側筒状部材５５にかしめにより固定され
ている。

【００２６】また、蓋部材８９には、点火器７５が、か
しめにより固定されている。なお、この実施例では、着
火薬８５には、ガス発生剤７１の発火温度、例えば、１
５０℃より高い発火温度、例えば、１８０℃の発火温度
を有する発火温度調整物質が混入されている。

【００２７】この発火温度調整物質は、カルシュウム，
ストロンチューム，バリウムからなるアルカリ土類金属
のアジ化物の単体あるいはこれ等の混合物から形成され
ている。

【００２８】そして、さらに、発火温度調整物質とマグ
ネシウムとがポリ四弗化エチレンとポリ塩化三弗化エチ
レンを粘結剤として凝集処理されている。すなわち、こ
の実施例の着火薬８５は、例えば、アジ化バリウム５０
重量％，マグネシウム２８重量％，ポリ四弗化エチレン
１８重量％，ポリ塩化三弗化エチレン４重量％からなる
綿状着火薬であり、例えば、１．１ｇの着火薬を使用す
ると、発熱量が１９４０カロリー／ｇ、ガス発生量が４
１cc／ｇであり、従来の硼素−硝酸カリウムの着火薬の
発熱量１７９０カロリー／ｇ、ガス発生量が７９cc／ｇ
に比較して、発熱量が高く、ガス発生量が低いため、ガ
ス発生剤７１が割れず、かつ、時間遅れのない性能を得
ることができる。

【００２９】上述したエアバッグ展開用ガス発生装置で
は、点火器７５に電気が通電されると、着火薬８５が燃
焼し、この燃焼により、ガス発生剤７１が燃焼し、ガス
発生剤パック６５の筒状パック６７が、内側筒状部材６
１のガス流通孔６３の位置において破断し、燃焼ガス
は、内側筒状部材６１のガス流通孔６３を通り、最終フ
ィルタ５９に流入し、最終フィルタ５９により浄化さ
れ、外側筒状部材５５のガス流出口５７からエアバッグ
内に流入される。

【００３０】そして、この実施例では、内側筒状部材６
１の一側に配置される点火器７５に電気を通電すると、
筒状パック６７内の着火薬８５が燃焼し、この燃焼が、
ガス発生剤７１の貫通孔６９を介して各ガス発生剤７１
に伝達され、ガス発生剤７１が燃焼する。

【００３１】しかして、以上のように構成されたエアバ
ッグ展開用ガス発生装置のガス発生剤パックでは、長尺
状の一側に開放端を有する筒状パック６７内に、中央に
貫通孔６９の形成される複数のガス発生剤７１を、軸長
方向に積層状態で収容するとともに、筒状パック６７の
一側をキャップ７３により密閉し、このキャップ７３の
中央に内側へ突出して形成される点火器７５収納用の突
出部７７を、筒状パック６７の一側端に配置されるガス
発生剤７１の貫通孔８１内に挿入し、さらに、筒状パッ
ク６７の一側に配置されるガス発生剤７１の貫通孔８１
内に、キャップ７３の突出部７７の端面に隣接して、着
火薬８５を配置したので、簡易な構成により、着火性能
に対する信頼性を従来より大幅に向上することができ
る。

【００３２】すなわち、上述したガス発生剤パック６５
では、内側筒状部材６１の全長にわたり、貫通孔６９の
形成されるガス発生剤７１を積層したので、従来のよう
に筒状部材の両側に燃焼室を形成する場合に比較して、
装置が非常に簡易なものとなる。

【００３３】また、キャップ７３の突出部７７に収容さ
れる点火器７５に電気を通電すると、筒状パック６７の
一側端に配置されるガス発生剤７１の貫通孔８１内の着
火薬８５が燃焼し、この着火薬８５の燃焼が、ガス発生
剤７１の貫通孔６９を介して、各ガス発生剤７１に伝達
され、ガス発生剤７１が確実に燃焼するため、着火性能
に対する信頼性を従来より大幅に向上することが可能と
なる。

【００３４】また、上述したガス発生剤パック６５で
は、ガス発生剤７１の貫通孔８１内に着火薬８５を収容
したので、装置を小型でコンパクトなものにすることが
可能となる。

【００３５】さらに、上述したガス発生剤パック６５で
は、ガス発生剤７１および着火薬８５が、筒状パック６
７により確実にシールされるため、経年変化によりガス
発生剤７１および着火薬８５が湿る虞れを、低減するこ
とが可能となる。

【００３６】また、上述したガス発生剤パック６５で
は、着火薬８５に、ガス発生剤７１の発火温度より低
く、かつ、通常時に車内で起こりうる最高の温度より高
い発火温度を有する発火温度調整物質を混入したので、
車室内の温度が、ガス発生剤７１の発火温度より低く、
かつ、通常時に車内で起こりうる最高の温度より高くな
った時に着火薬８５が確実に発火することとなり、これ
により、内側筒状部材６１および外側筒状部材５５等の
燃焼室を形成する容器等の破損の虞れが解消される。

【００３７】すなわち、高温環境下における自動発火機
能を備えたエアバッグ展開用ガス発生装置を容易に得る
ことが可能となる。

【００３８】

【発明の効果】以上述べたように、本発明のエアバッグ
展開用ガス発生装置では、簡易な構成により、着火性能
に対する信頼性を従来より大幅に向上することができる
という利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のエアバッグ展開用ガス発生装置のガス
発生剤パックの一実施例を示す斜視図である。

【図２】図１のガス発生剤パックが配置されるエアバッ
グ展開用ガス発生装置の一例を示す縦断面図である。

【図３】図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿う横断面図であ
る。

【図４】図２の上面図である。

【図５】従来のエアバッグ展開用ガス発生装置を示す縦
断面図である。

【図６】本出願人が先に出願したエアバッグ展開用ガス
発生装置を示す縦断面図である。

【符号の説明】

６５ ガス発生剤パック ６７ 筒状パック ６９，８１ 貫通孔 ７１ ガス発生剤 ７３ キャップ ７５ 点火器 ７７ 突出部 ８５ 着火薬

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 長尺状の一側に開放端を有する筒状パッ
   ク内に、中央に貫通孔の形成される複数のガス発生剤
   を、軸長方向に積層状態で収容するとともに、前記筒状
   パックの一側をキャップにより密閉し、このキャップの
   中央に内側へ突出して形成される点火器収納用の突出部
   を、前記筒状パックの一側端に配置されるガス発生剤の
   貫通孔内に挿入し、さらに、前記筒状パックの一側に配
   置されるガス発生剤の貫通孔内に、前記キャップの突出
   部の端面に隣接して、着火薬を配置してなることを特徴
   とするエアバッグ展開用ガス発生装置のガス発生剤パッ
   ク。