JPH05132887A - プレスロール装置とその使用方法 - Google Patents

プレスロール装置とその使用方法

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JPH05132887A
JPH05132887A JP32674691A JP32674691A JPH05132887A JP H05132887 A JPH05132887 A JP H05132887A JP 32674691 A JP32674691 A JP 32674691A JP 32674691 A JP32674691 A JP 32674691A JP H05132887 A JPH05132887 A JP H05132887A
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press
roll
outer cell
nip
support
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JP32674691A
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Akira Sakurabayashi
皓 櫻林
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Kobayashi Engineering Works Ltd
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Kobayashi Engineering Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ロールプレスの圧力分布パターンを、より衝
撃の少ないソフトなパターンに改善するとともに、操作
要素としてのニップ圧の増減が該ニップ圧変化の広い範
囲で曲げによるロールクラウン変化の影響を実用上無視
可能とする範囲内で、結果的にニップ幅を増減可能と
し、脱水効率と加熱効率の向上を図ること。 【構成】 一対のプレスロール11、12間にてウエブ
13を圧搾するプレスロール装置10において、少なく
とも一方のプレスロール11が、支持体21両端部に外
セル22両端部を一体化する状態で、支持体21中間部
まわりに一定の間隙を介して外セル22を装着して構成
され、支持体21はロール軸方向での十分な曲げ剛性を
備え、外セル22は支持体21との間隙の範囲内でロー
ル周方向にて円環弾性変形できるようにしたものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ウエブの処理、例えば
抄紙機の脱水プレスパートにおける如くの脱水処理、ス
ムーザーパートにおける如くの湿紙の表面平滑化処理等
に用いて好適なプレスロール装置とその使用方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、プレスロール装置には、(A) ロー
ルプレス方式として、 2本の通常ロールの組合わせによ
るロールプレス、(B) シュープレス方式として、固定シ
ューを用いた広幅ニッププレス(Extended Nip Press、
略してENP)、或いは特公平3-41586 号公報に記載の
如くのものがある。特公平3-41586 号の技術は、支持体
両端部に可撓性外セルを液密状態で回動式に支持し、外
セル内面を潤滑剤で潤滑状態とするプレスロールを用い
るものであり、該プレスロールを相手ロールに押圧する
ことにより、可撓性外セルが内部のガイドシュー(支持
体)の長さ範囲にて支持体上を潤滑するようになってい
る。
【0003】尚、プレスロール装置にてウエブを圧搾す
る場合にニップ圧N(kg/cm )にて加圧したとき、装置
間における加圧幅を、ロールプレス装置においては両ロ
ールが互いに喰い込む如くに変形する部分のロール周方
向長さ(ウエブのプレス領域の長さ)を、ニップ幅W
(cm)とし、N/Wを比ニップ圧P(Kg/cm2)と称する
こととしている。近年の抄紙機プレスにおける脱水理論
の進歩から、プレス出口での湿紙のドライネスSo は下
記の如く表されている。
【0004】
【数1】 So :湿紙のドライネス k :比例係数 P :比ニップ圧(kg/cm2) T :通過時間(sec ) α、β:指数係数
【0005】ここで、坪量約80g/m2以下の薄紙について
は、湿紙よりの搾水の原理が比ニップ圧支配型(Pressu
re controlled )でα>βであるとし、特にα≒β≒ 1
のときのP×Tをプレスインパルス(Press Impulse 、
略してPI )と呼び、長らく、中芯ライナー(坪量範囲
115g/m2 〜220g/m2 )をプレスする場合に対しても脱水
能力の評価指標とされてきた。
【0006】 PI =P×T =(N/W)×(W×60)/(V×100 ) =0.6 ×N/V …(2) V :抄速(m/min )
【0007】然しながら、プレスインパルスにおいて
は、(2) 式の如く、ニップ幅Wが消去され、プレス入口
水分その他に依存する湿紙強度に無関係にニップ圧Nさ
え高くすれば良いことになり、少なくとも中芯ライナー
に関しては、事実と反することが証明されつつある。一
方、中芯ライナー以上の原紙に関しては、湿紙からの搾
水の原理が時間支配型(Flow controlled、搾水のし易
さは湿紙内を通過する水の流れ易さに依存し、湿紙強度
に見合った比ニップ圧Pの上限が制約されれば、これを
時間でカバーするという考え)であるとし(1) 式におい
てα<βとしている。そこでα=1/2 、β= 1を採用
し、これをプレス脱水能力の新評価指標としてフロウイ
ンパルス(Flow-Impulse、略してFI )と名付けると、
フロウインパスルは、
【数2】 a :比例定数 となる。この(3) 式は流れの基本式における有効差圧ヘ
ッド(水柱)をhとするとき、
【数3】 q=vT …(5) v :流速 g :重力加速度 q :単位面積当たり流量
【0008】また、hは、
【数4】 ΣPL:湿紙フェルトを通過する際の流体抵抗及びそれ
らの圧縮仕事等により消費されるもの及びその他ニップ
荷重にて発生する圧力のうちの有効差圧となり得ぬもの
の合計であり、故にqは、
【数5】 となって、フロウインパルスは単位面積当たりのプレス
脱水量とほぼ相似となり、中芯ライナーはもちろん80g/
m2程度の洋紙にまでプレスの脱水能力の評価指標として
採用可能であることが実証されつつある。
【0009】ここで重要なことは、(3) 式にて表現され
ているように効率の良いプレスの脱水にはプレス入口水
分や各抄造品種、坪量、M.R.V.(Water Retention Valu
e 、水切れの特性を示す数値)、抄速、湿紙強度に応
じ、更にフェルトマーク等による平滑性を落さない範囲
での適切な比ニップ圧(図7)と適切な通過時間(即
ち、ニップ幅)が肝要となることである。そしてこの比
ニップ圧が高圧側にずれた場合には、目に見えるツブレ
(crashing)、ふくれ(blister or delamination)が
発生し、製品にならない場合は論外としても、表面上識
別できないマイクロブリスタ、マイクロデラミネーショ
ンが発生し、ウエブにおける垂直方向の水分移動(即
ち、脱水)を阻害し、脱水効率を落し、層間接着強度等
の物性を低下させ、最終製品のグロスイメージをも悪化
させ、また、嵩(キャリパ)を減少させて、加斤(かき
ん)と称する坪量操作による嵩の増量補正を必要とする
等々の不都合を発生する。また、ニップ幅に関してもそ
れが広ければ良いというものではなく、広すぎた場合に
は、一定の比ニップ圧の下では、湿紙中に発生する流体
圧力が脱水とともに減少して脱水効率を落し、湿紙やフ
ェルトの圧縮を来たして動力損失のみ大とし、更に、湿
紙の嵩を不要に減らすと同時にフェルトマークを生じ、
また、湿紙からの水分がニップの加圧幅においてフェル
ト側に移行するが、この移行をスムーズに行なうに十分
な受け入れ容量(Void Volume )がフェルト側に無い場
合に湿紙からの水分の移動を阻害する背圧がフェルト内
に発生し、ツブレ、ふくれ等のトラブルとなる。このよ
うに、フェルトの能力からも、坪量抄速によっても許容
ニップ幅は制約を受けることになる。
【0010】故に80g/m2以上の厚紙及び板紙にとって理
想的なプレスロール装置とは、運転中のグレードチェン
ジ等に応じて、前述の諸条件に見合った適切なニップ圧
とニップ幅を適切に変更選定できるものでなければなら
ない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】然しながら、従来技術
のロールプレス方式、シュープレス方式には、それぞれ
以下の如くの問題点がある。
【0012】(A) ロールプレス方式 (1) 比ニップ圧(平均圧力)に対し、ニップ中央におけ
る最大圧力の比が大きく衝撃が大である。そのためロー
ルプレスは、圧力パターン可変のベルトプレス、又は、
シュープレス等に比べて、デラミネーションやフェルト
マークによる平滑性悪化防止の点から同一湿紙入口水分
において、比ニップ圧を1/1.5 〜1/2 低く設定せざるを
得ない。
【0013】Pmax/Pa ≧1.5 [Pa:比ニップ圧、Pmax:
最大圧力](図11) 注)Pmax/Pa は静的条件において1.5 。動的条件では抄
速にもよるが、これ以上安全をみるならば 2と考えるべ
きとされている。Pa≒Pmax. (従来のシュープレス)
(図12)
【0014】(2) 入口水分に対応する湿紙強度から許容
比ニップ圧が限定される(図7)。厚紙(Flow control
led board )に対しニップ幅が比較的少ないため、高ニ
ップ圧をかける事ができない。
【0015】(3) ロール被覆材及びフェルト目付等の選
定において、圧縮歪み量を大にすると、多少のニップ幅
の増大及び衝撃の緩和は可能であるが、寿命、操業性等
の点から制約が多く自由度が少ない(ロール径、抄速、
比ニップ圧により強度的な面からゴム硬度、厚みが限定
される)。
【0016】(4) ロール被覆材及びフェルト等の圧縮膨
張は大きなヒステリシスを伴うため、ゴム被覆材の発熱
を抑えるための冷却機構及び大きな動力損失に見合うモ
ーター容量を必要とする。
【0017】(5) 湿紙入口水分変動及び幅方向水分ムラ
変動に対しクリティカルであるため、湿紙強度の最も弱
い条件に対し安全であるように比ニップ圧を選定せざる
を得ず、効率を落す。また夏と冬での相違、グレードチ
ェンジ等により起こると予測される変化に対しては、設
定ニップ圧を変化させるだけで良いが、このためには荷
重の変化に対応する撓み変化を補正するクラウンコント
ロール・ロールを必要とし、設備コストが大幅にアップ
する。
【0018】(6) 現在のクラウンコントロール・ロール
は油圧にて曲げを補正する原理が主流であるため、補正
可能な限界径が面長に応じて存在する(面長の小さいも
のほど小径であることが要求される)。このことはニッ
プ幅が大である事、即ち、大径ロールであることが好ま
しい時間支配型の80g/m2以上の厚紙に関しては脱水率の
向上の点から大きな問題となる。
【0019】(7) ニップ幅及び衝撃を改善する方法とし
て、シングルフェルトの場合、湿紙に直接タッチするロ
ールをストナイトからゴムに変えて、硬度をJIS 95°程
度にするソフトトップ方式が採用されている。然し、十
分なニップ幅を得るには不十分であり、ドクターを必要
とするため、耐摩耗性、操業の安定性の点から広く採用
されるに至ってはいない。また、(4) で述べた欠陥もあ
る。
【0020】(8) 湿紙に直接タッチするロールを加熱
し、脱水強化と平滑性の向上を図るのがホットプレス方
式である。従来のセルは曲げと座屈双方の荷重に対し
て、変形を少なく抑えるに十分な剛性を持たせるため、
極めて厚肉のセル(例:荷重及び外径にもよるが60〜12
0mm )を採用せざるを得ない。然し、このことにより、
熱伝導率が極めて悪くなり、マシンの立上り時間を遅く
し、熱ロスも大きくなり、加熱方法の種類(内部もしく
は外部加熱)を問わず大きな弊害となる。また膨張を伴
う圧搾となるので、湿紙のデラミネーションが問題とな
り、湿紙入口水分の周期変動、厚み及び幅方向の水分ム
ラ等、局部的湿紙強度変化に敏感で高ニップ、高温度が
かけられなくなり易い。
【0021】尚、ホットプレスと言えども適切なニップ
幅は必要であり従来方式では不十分である。
【0022】(9) 従来のダブルフェルトプレスは、表面
の平滑性を特に重視する品種の最終プレスには使用でき
ないという欠陥がある。ダブルフェルト方式は湿紙を両
面からフェルトでサンドイッチして搾水する両面脱水方
式である。ドクター使用の必要がないため、トップロー
ルもソフト化できること及びフェルトが倍になるため、
シングルフェルトプレスと比べニップ幅も大きく、脱水
効率の極めて優れたプレスであり、ライナーマシン等で
広く使用されている。然し、最近平滑性の低下が問題と
なり始めている。
【0023】(10)ロールプレスにおいての共通欠点は、
図14に示す圧力分布パターンを制御できない事であ
る。湿紙に作用する水圧が搾水の推進力であるが、ニッ
プ中央の手前で最大となり以後暫減し、図中4では負圧
となり、リウェッティングの原因となる。極論すればロ
ールプレスのニップ幅において脱水に有効なのは入口側
2/3 で、残り1/3 は害になるという事である。発生する
水圧カーブの傾斜が急であればあるほど、アンダーシュ
ートとしての負圧も大きくなる。
【0024】(B) シュープレス方式 (1) ロングニップが必要と言っても、現在のシュープレ
スのようにニップ幅250mm 固定では抄造品種、速度範
囲、使用場所等が限定される。即ち、脱水量の絶対値及
び緊度による物性の向上等を最重視し、脱水効率と嵩の
減少、フェルト面の平滑性の低下等を特に問題としない
速度範囲、使用場所及び抄造品種に限られる。
【0025】(2) 固定シューを分割し圧力パターンを理
想に近づけるベルトプレスも最近実用化され、改善が次
々と図られている。そのため着脱可能な分割固定シュー
という形でニップ幅可変のシュープレスも実現可能と考
えられる。然し、構造が益々複雑となり、設備コスト及
びメンテナンス・フィーの上昇をもたらす。
【0026】(3) 摺動部分(固定シュー、ブランケット
及び回転セル)を有し油圧によるサポート及び潤滑を兼
ねたタイプのプレスは、摺動部分の摩耗による寿命及び
シール洩れによるオイル・コンタミナントの問題がつい
てまわり、メンテナンス・フリーとは言えない。
【0027】本発明は、ロールプレスの圧力分布パター
ンを、より衝撃の少ないソフトなパターンに改善すると
ともに、操作要素としてのニップ圧の増減が該ニップ圧
変化の広い範囲で曲げによるロールクラウン変化の影響
を実用上無視可能とする範囲内で、結果的にニップ幅を
増減可能とし、脱水効率と加熱効率の向上を図ることを
目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
は、一対のプレスロール間にてウエブを圧搾するプレス
ロール装置において、少なくとも一方のプレスロール
が、支持体両端部に外セル両端部を一体化する状態で、
支持体中間部まわりに一定の間隙を介して外セルを装着
して構成され、支持体はロール軸方向での十分な曲げ剛
性を備え、外セルは支持体との間隙の範囲内でロール周
方向にて円環弾性変形できるようにしたものである。
【0029】請求項2に記載の本発明は、請求項1記載
の本発明において更に、前記支持体中間部の表面に弾性
体が被覆され、前記外セルは該支持体との間隙の範囲、
及び上記弾性体の変形可能範囲内でロール周方向にて円
環弾性変形できるようにしたものである。
【0030】請求項3に記載の本発明は、請求項1記載
のプレスロール装置の使用方法であって、ニップ圧の操
作時に、ニップ幅の変化を得て、今回圧搾対象としての
ウエブ品種に応じた最適比ニップ圧を確保するようにし
たものである。
【0031】請求項4に記載の本発明は、請求項1記載
のプレスロール装置の使用方法であって、外セルの外側
に該外セルの軸方向に沿って配置される外部加熱装置に
より、外セルを加熱するようにしたものである。
【0032】請求項5に記載の本発明は、請求項1記載
のプレスロール装置の使用方法であって、外セルと支持
体との間隙に蒸気を供給し、外セルを加熱するようにし
たものである。
【0033】
【作用】本発明によれば、下記(1) 〜(13)の作用効果が
ある。 (1) 外セルの円環弾性変形により、ニップ部のセル曲率
が大となり圧力分布パターンが改善され衝撃が大幅に緩
和される。そのためフェルト面の平滑性を落さず、平均
入口湿紙水分に対する許容比ニップ圧を上昇させること
ができる。また同一比ニップ圧であれば水分変動もしく
は水分ムラによる局部的湿紙強度変化に対し、デラミネ
ーション等のトラブルを発生させない許容度が広がるこ
とになる。Pmax./Pa≦1.3 が可能となる(図13)。
【0034】(2) 外セルの円環弾性変形量、即ち外セル
肉厚:h及びロール径を適切に設計する事により比ニッ
プ圧を低く抑えてもニップ幅を大きくすることが可能と
なり、従来のロールプレスに比べて高ニップ圧をかける
ことができる。
【0035】(3) 従来のプレスロール装置ではロール径
が抄速に比べて小さければ、ロール径を大にするか、ダ
ブルフェルトにするか、でしか脱水効率の向上を図る方
法はなく、ゴム硬度等での対応は不可能であった。然し
外セルの変形量で改善する手法が追加されたので、同一
径でも自由度が大幅に増加する。また相手ロールの被覆
材の寿命もより分散荷重となるので大幅に改善できる。
【0036】(4) 鋼製外セルの円環微少変形はゴム、フ
ェルト等の場合と異なり、完全弾性領域であるのでヒス
テリシス等一切伴わず動力損失を大幅に改善できる。
【0037】(5) 外セルはニップ荷重により容易に円環
弾性変形し、長手方向の曲げを受けにくい構造となって
いる。外セル端部のフランジ端面より支持体の例えば内
セルに伝わる荷重に対し、内セルは曲げ変形に耐える構
造となっているため、フランジの近傍をのぞいてニップ
荷重の変化に対し、曲げの影響を相手ロールに対し与え
ない。そこで実用上差し支えない範囲で相手ロールも十
分に面長(幅方向の長さ)を大とし、フランジ部の曲げ
の影響を無視できるように設計すれば、実際的な範囲で
のニップ荷重の変化に対し、クラウン調整等の必要を一
切なくすことができる。
【0038】(6) 従来のソフトトッププレスの効果を、
はるかに上まわるニップ幅及び脱水効果を得ることがで
きる上に、サーメットコートされた表面は離型性、対摩
耗性ともに優れ、ドクターを使用しても操業性を悪化さ
せることは一切ない。
【0039】(7) ホットプレスとして使用した場合も外
セルと支持体の二重構造は、外部荷重の分担効果により
外セルは従来のプレスの肉厚に比べ、大幅に薄くするこ
とができる(例:1/2 〜1/10)。また外部加熱の場合に
は、外セルと支持体の間に設けられる隙間による断熱効
果により、単にニップ幅の広幅化にとどまらず熱伝導率
の向上、立上り時間の短縮、熱ロスの削減による省エネ
ルギー効果があり衝撃を緩和をすることによるデラミネ
ーション・トラブルの減少等、画期的なメリットが期待
できる。
【0040】(8) ダブルフェルトプレスに使用された場
合でも、(1) の効果により衝撃力を緩和できるので平滑
性を大幅に改善できる。そのため、平滑性の許容範囲内
で、ニップ幅を大にしてトータル荷重を大にすれば、最
終プレスにも十分使用可能となる。またシングルフェル
トプレスでもホットプレスとすれば、従来のダブルフェ
ルトプレス以上の脱水能力と、優れた平滑性を得ること
ができる。
【0041】(9) (1) の効果により発生する湿紙内流体
圧力のピーク値を抑えることにより、アンダーシュート
としての負圧の絶対値を抑え、更に加熱により発生する
圧力を加味することで、ロールプレスの宿命的欠陥をカ
バーできる。またリウェッティングを減少させることに
より、大幅な脱水効果も期待できる。
【0042】(10)使用ニップ圧範囲とロール径から、外
セル肉厚を適切に選定することで、抄造品種、速度範囲
及び使用場所ごとに、嵩、平滑性、脱水効率等の総合的
見地からみた最適ニップ幅が得られるような設計が可能
である。複数の場所に使用する場合や万一の事故に備え
る場合でも支持体に互換性を持たせ、外セルのみを変更
することで大きな経済的メリットを得ることができる。
【0043】(但し、ニップ幅の最大は約200mm 程度で
あるので、抄速800m/min以下、坪量80g /m2 以上のプレ
スに特に適する。但し、1000m/min 以上でも効率は多少
低下するが使用可能)。
【0044】(11)外セルと支持体を二重とし外部荷重の
負荷分担をするだけであるため、構造が極めてシンプル
である。シュープレス等に比べると脱水能力の絶対値が
やや劣るものの、嵩、平滑性、脱水効率の総合効率では
大幅に優れている上に、極めて設備コストが低いのが特
徴である。
【0045】(12)外セルと支持体が同時回転で、摺動部
分は一切なく油圧等も使用しないため、メンテナンス・
フリーに近く消耗部品もほとんどない。
【0046】(13)本発明の外セルの外部に誘導加熱装置
等を配置し、加熱量をコントロールすれば、幅方向の局
部的な水分ムラ及び平滑ムラ等を自由に調整することが
できる。そしてこのことにより、曲げ調整し易い径を選
定することにより、ニップ幅が犠牲となる従来の油圧式
クラウンコントロール方式の欠点を完全に除去できる。
【0047】
【実施例】図1は本発明の第1実施例に係るプレスロー
ル装置を示す模式図、図2は本発明の第2実施例に係る
プレスロール装置を示す模式図、図3はロール加圧装置
を示す模式図、図4は本発明の変形例を示す模式図、図
5は本発明の他の変形例を示す模式図、図6は本発明の
具体的実施例を示す模式図、図7は最適比ニップ圧を示
す線図、図8は外径1100mmのプレスロールのニップ圧/
比ニップ圧線図、図9は外径1500mmのプレスロールのニ
ップ圧/比ニップ圧線図、図10はロールプレスにおけ
るフェルト圧縮歪を示す線図、図11は従来のロールプ
レス方式におけるPmax/Pa を示す模式図、図12は従来
のシュープレス方式におけるPmax/Paを示す模式図、図
13は本発明方式におけるPmax/Pa を示す模式図、図1
4はロールプレスの圧力分布モデルを示す模式図であ
る。
【0048】(第1実施例)(図1) プレスロール装置10は、図1に示す如く、一対のプレ
スロール11、12間にてウエブ13を圧搾する。プレ
スロール装置10は、例えば抄紙機の脱水プレスパート
にて、 2枚のフェルト14A、14Bに挟まれたウエブ
13を圧搾し(ダブルフェルトプレス)、湿紙ウエブの
脱水処理に供される。このとき、プレスロール装置10
は、 1枚のフェルト14Aに担持されたウエブ13を圧
搾するものであっても良い(シングルフェルトプレ
ス)。
【0049】尚、プレスロール装置10は、例えば抄紙
機のスムーザーパートにてフェルト無しにて湿紙ウエブ
を圧搾し、ウエブの表面平滑化処理に供されるものであ
っても良い。
【0050】プレスロール11は、支持体21の両端部
に外セル22の両端部を一体化する状態で、支持体21
の中間部まわりに一定の間隙(図1のg参照)を介して
外セル22を装着して構成され、支持体21はロール軸
方向での十分な曲げ剛性を備え、外セル22は支持体2
1との間隙の範囲内でロール周方向にて円環弾性変形で
きるようになっている。
【0051】ここで、支持体21は、左右の両端支軸2
3と、両支軸23のフランジ23A内側面間に固定され
る内セル24とから構成されており、内セル24の外周
部に弾性被覆材ストッパ25を備え、外セル22の内面
とストッパ25との間に上記間隙gを形成することとし
ている。また、両支軸23のフランジ23A外側面には
左右のドーナツ状側板26の内周部が固定され、両側板
26の外周部にはクッションリング29及び弾性被覆材
29Aを介して外セル22の端部がボルト26Aにより
固定されている。
【0052】ここで、支持体21の支軸23、内セル2
4は、SS材(軟鋼)、FC材(鋳鉄)、又はSC材
(鋳鋼)にて構成され、それらの表面に所望により弾性
樹脂被覆、又はゴム被覆を施したもの(被覆を施さなく
ても良い)にて構成される。
【0053】また、外セル22は軟鋼又はステンレス鋼
の表面に耐食性及び離型性の良いサーメット溶射又はク
ロムメッキを施したものにて構成される。
【0054】尚、プレスロール装置10は、プレスロー
ル11に相対するプレスロール12の軸方向長さを、プ
レスロール11が備える外セル22の軸方向長さより短
くし、外セル22の前述した円環弾性変形がフランジ2
3A及び側板26によって阻害される影響を湿紙が受け
ないように設定されている。
【0055】また、クッションリング29は、上述の如
くクッション被覆材29Aを有し、支持体21に対する
外セル22の初期芯出し、及びボルト26Aに作用する
曲げ応力を緩和する機能を持つ。但し、外セル22の軸
方向長さがプレスロール12の軸方向長さより十分長け
れば(図1のLが大)、クッションリング29は側板2
6と一体構造とし、クッション被覆材29Aを備えるこ
とを必要としない。
【0056】このとき、プレスロール11は、外セル2
2の肉厚を、プレスロール11外径の例えば1/20〜1/10
0 の薄肉とし、プレスロール11外径の例えば 0.1〜 1
%程度の、最大円環弾性変形量を生ずることができるよ
うに構成されている。そして、外セル22は上述の最大
円環弾性変形に達したとき、前述の間隙gを失って、弾
性被覆材ストッパ25に支えられ、それ以上の余剰外力
を支持体21に伝える。
【0057】また、プレスロール11は、外セル22の
外周面にソフトラバー等の軟質被覆層、或いはセラミッ
ク溶射等の硬質被覆層を付加されるものであっても良
い。
【0058】また、プレスロール11は、外セル22の
外周面に排水溝、排水孔等の排水路を設けられるもので
あっても良い。
【0059】(第2実施例)(図2) プレス装置10のプレスロール11は、内部蒸気加熱式
であり、外セル22と内セル24の間に、内セル24の
外周部に設けたスパイラル状ストッパ25が形成するス
パイラル状空隙27を備え、このスパイラル状空隙27
に蒸気を流通して外セル22を加熱することとしてい
る。28Aは一方の支軸23を貫通して空隙27に連通
する蒸気流入管、28Bは他方の支軸23を貫通して空
隙27に連通する蒸気流出管である。空隙27を流通す
る蒸気は、スポイラー攪乱効果にて熱伝達効率を良好と
する。
【0060】然るに、第1実施例、第2実施例のプレス
ロール装置10にあっては、図3に示す如くのロール加
圧装置30により、プレスロール12をニップ圧Nにて
プレスロール11に加圧し、このニップ圧を調整可能と
している。ロール加圧装置30は、プレスロール12の
左右の両端支軸12A、12Bを加圧する加圧シリンダ
31A、31Bを有している。各加圧シリンダ31A、
31Bは、油圧源32が圧送する作動油を、電磁切換弁
33、制御装置34にて制御される電磁比例パイロット
弁35、パイロット作動減圧弁36、シャットオフ弁3
7、速度制御弁38を介して供給され、操作される。
【0061】そして、プレスロール装置10にあって
は、今回圧搾対象としてのウエブ品種を制御装置34に
入力する等により、制御装置34によって加圧シリンダ
31A、31Bの操作量を制御し、結果として、ニップ
圧Nの操作時に、ニップ幅Wの変化を得て、今回圧搾対
象としてのウエブ品種に応じた最適比ニップ圧N/Wを
確保する。
【0062】尚、最適比ニップ圧N/Wは、プレスロー
ル装置10の入口水分量に対して、例えば図7に示す如
くに予め定められている。図7において、Aはウエブ品
種Aについての最適比ニップ圧N/W、Bはウエブ品種
Bについての最適比ニップ圧N/Wである。
【0063】次に、上記プレスロール装置10の作用に
ついて説明する。 外セル22は支持体21との間隙gの範囲内でロール
軸方向にて円環弾性変形できる。従って、ニップ圧Nの
変化時に、外セル22はニップ圧に応じた円環弾性変形
をし、必ず一定のニップ幅Wの変化を得ることができ、
今回圧搾対象としてのウエブ品種に応じた最適比ニップ
圧を確保できる。
【0064】従って、脱水量を大ならしめるためにニッ
プ圧Nを増加するとき、ニップ幅Wも必ず増加し、最適
比ニップ圧の近傍を維持する。
【0065】また、ウエブ密度を低くしてウエブ厚を大
ならしめ、ウエブの嵩を増加させるためにニップ圧Nを
低減すると、ニップ幅Wがこれに応じて適度に低減し、
脱水のために必要十分なニップ幅Wを確保し、最適比ニ
ップ圧の近傍を維持する。
【0066】尚、外セル22が最大円環弾性変形に達し
たとき、外セル22は支持体21表面に支えられて安定
となる。このとき、外セル22は支持体21に接するも
のの、両者は一体回転するものであり、互いに摺接する
ことがないから、両者の間隙内に潤滑剤を密封する如く
の複雑な構成を採るを要しない。
【0067】支持体21はロール11軸方向での十分
な曲げ剛性を備える。従って、ロールの曲げに対する抵
抗力は支持体21がこれを担持する。従って、ニップ圧
Nを増加させ、外セル22がニップ圧Nに応じた円環弾
性変形によってニップ幅Wを増加させるとき、外セル2
2は側板26の近傍を除いてロール周方向にて変形する
のみであり、かつ支持体21は曲げ変形しない剛性を備
えているから、ロール軸の曲げ変形に起因するロールク
ラウンの変化を生ずることがない。よって、ロールクラ
ウンの変化を補填するための複雑なロールクラウン制御
を伴う必要がない。
【0068】外セル22と支持体21との間隙に蒸気
を導入でき、外セル22を加熱できる。従って、加熱効
率を向上し、加熱ロールによって脱水効率を向上でき
る。
【0069】尚、本発明の実施においては、上述の蒸気
加熱方式によらず、図1に示す如く、外セル22の外側
に、該外セル22の軸方向に沿って、外部加熱装置40
を配置し、この外部加熱装置40によって外セル22を
加熱しても良い。外部加熱装置40としては、誘導加熱
装置、誘電加熱装置等を用いることができる。この外部
加熱装置を採用する場合には、熱量は、外セル22と支
持体21との間隙の断熱空気層により遮断され、支持体
21側に逃げることなく外セル22を加熱する。従っ
て、加熱効率を向上し、加熱ロールによって脱水効率を
向上できる。
【0070】また、上述の外部加熱装置40を採用する
とき、外部加熱装置40を図1に示す如く外セル22の
軸方向にて分割し、各外部加熱装置40による加熱量を
互いに制御し、外セル22の温度を、各外部加熱装置4
0に対面する当該外セル22の区分(外セル22の軸方
向にて分割された区分)毎に制御するものとしても良
い。これによれば、プレスロール装置10がウエブ13
に及ぼす脱水量、或いはウエブ表面平滑度をウエブ13
の幅方向(外セル22の軸方向)で制御できる。
【0071】また、本発明の実施においては、図4に示
す如く、プレスロール11の両端部をころ50にて転動
可能に支持することもできる。
【0072】また、本発明の実施においては、プレスロ
ール11とプレスロール12とを1対 1で対応配置する
のでなく、図5に示す如く、1 対 3の如くに配置し、プ
レスロール11の周囲の複数箇所にウエブプレス領域を
設けることもできる。これによれば、 3段プレス等を実
現できる。
【0073】(本発明の具体的実施例)(表1〜表6、
図6、図8〜図10) 図6に本発明のプレスロールを、印刷用高級白板紙及び
箱用白板紙併抄機の 4段最終プレスロール装置( 4P)
の上ロール11に使用した例を示す。
【0074】表1〜表3、図8は、上下ロール11、1
2とも外径が1100mmのプレスロールにおいて、ニップ圧
200kg/cmのとき、本発明ロール11の外セル22の円環
弾性変形が外径の0.2 %、2.2mmになるように、設計さ
れたものの実施結果を示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【0078】表4〜表6、図9は、上下ロール11、1
2とも外径が1500mmのプレスロールにおいて、ニップ圧
250kg/cmのとき、本発明ロール11の外セル22の円環
弾性変形が外径の0.2 %、3.0mmになるように、設計さ
れたものの実施結果を示す。
【0079】
【表4】
【0080】
【表5】
【0081】
【表6】
【0082】尚、表1〜表6において、*1 〜*6 は以
下の通りである。 *1 :印刷用高級白板紙及び箱用白板紙併抄紙の、 4段
最終プレス( 4P)を例にとる。 *2 :箱用片面コート板紙350g/m2 ×200m/minを想定し
た計算による推定値。 *3 :H/P :ホットプレスが直接、湿紙に接触する面を
加熱し、脱水と平滑性の強化を計るプレス方式。 *4 :熱をかけない場合の出口湿紙水分と、熱をかけた
場合の出口湿紙水分の差(加熱による脱水効果)。 *5 :箱用片面コート板紙では表面の平滑性を重視する
ので、実際に最終プレスをダブルフェルトにすることは
ない。あくまで脱水面からの参考値。 *6 :DNP (本発明のプレスロール)の場合、外セルが
円環変形し曲率大となるので、ニップ中央における最大
圧力と比ニップ圧との比が低下し衝撃を緩和することが
できる。この分従来プレスに比べ同一入口水分におい
て、比ニップ圧を上昇させることができる。
【0083】下ロール12については、外径1100mm、15
00mmの両者とも、弾性樹脂又はゴム被覆ロールであり、
硬度JIS 95°、有効厚み20mmである。また、使用フェル
トは外径1100mm、1500mmの両プレスロールにおいて共通
であり、目付量は1550g/m2、歪み特性は図10の実線で
示した通りである。
【0084】プレス入口水分は、箱用片面コート白板
紙、坪量350g/m2 、抄速200m/minのときに、夏期:58〜
56%、冬期:60〜58%(年間平均:58%、最大60%、最
小:56%)である。
【0085】比ニップ圧の設定は、入口水分変動の最大
値で湿紙強度が弱い場合でも、デラミネーションや平滑
性低下等のトラブル発生がないように安全側にセットす
る必要がある。そのため図7にて認められるように、 (従来のロールプレス) :夏−20.0kg/cm2、冬−
17.7kg/cm2 (本発明ロールプレス(DNP)):夏−22.6kg/cm2、冬−
20.0kg/cm2となる。 従来のロールプレスに比べて本発明のロールプレス(DN
P )の方が比ニップ圧を大きくすることができるのは
[作用](1) で述べた理由によるものである。即ち、本
発明のロールプレスでは、従来ロールプレスに比して、
入口水分に対する比ニップ圧を同一とするとき、入口水
分を約 2%多くでき、湿紙強度の弱いものについて適応
できる。
【0086】以下、本発明プレスロールの具体的効果を
明らかにするため、冬期、入口水分60%のときのみにつ
いて、従来プレスロールと比較して説明する。
【0087】(A) 外径1100mmのプレスロール(表1〜表
3、図8) 従来プレスロール1については、設定比ニップ圧:17.7
kg/cm2、総合ニップ幅:64.7mm。これらをかけ合わせた
ニップ圧:114.5kg/cm、出口湿紙水分:56.04%、水分
差:60-56.04=3.96 %。ロール11の表面温度を140 ℃
のホットプレスロールにした場合でも、出口湿紙水分:
55.1%、水分差:60-55.1=4.9 %である。
【0088】これに対し、本発明のロールプレスは設定
比ニップ圧:20.0kg/cm2、総合ニップ幅:98.0mm(51.5
%アップ)、ニップ圧:197.0kg/cm(72%アップ)、出
口湿紙水分:54.51 %、水分差:60-54.51=5.49 %であ
る。従来ロールプレス1よりドライパート入口において
水分を1.53%減少させることができ、これにより蒸気使
用量:約6.4 %の節約ができる。
【0089】また、本発明ロールプレスを140 ℃のホッ
トプレスロールにした場合、出口湿紙水分:53.15 %、
水分差:60-53.15=6.85 %で、従来プレスロール1の熱
を加えない場合と比べ、出口湿紙水分:2.8 %の減少
(蒸気節約11.7%)となり、熱を加えた場合と比較して
も、出口湿紙水分:1.95%の減少(蒸気節約8.14%)が
得られる。
【0090】(B) 外径1500mmのプレスロール(表4〜表
6、図9) 外径1500mmのロールプレスの場合の効果は更に増大し、
従来ロールプレス1の設定比ニップ圧:17.7kg/cm2、総
合ニップ幅:69.8mm、ニップ圧:123.5 kg/cm、出口湿
紙水分:55.86 %、水分差:60-55.86=4.14 %。表面温
度を140 ℃のホットプレスロールにした場合も、出口湿
紙水分:54.86%、水分差:60-54.86=4.14 %である。
【0091】これに対し、本発明のロールプレスは設定
比ニップ圧:20.0kg/cm2、総合ニップ幅:126.5 mm、
(81.2%アップ)、ニップ圧:253.0kg/cm(105 %アッ
プ)、出口湿紙水分:53.46 %、水分差:60-53.46=6.5
4 %である。従来ロールプレス1より、ドライパート入
口において水分を 2.4%減少させることができ、これに
より蒸気使用量:約9.8 %の節約ができる。
【0092】また、本発明プレスロールで140 ℃のホッ
トプレスの場合と比較すると、出口湿紙水分:51.94
%、水分差:60-51.94=8.06 %で、従来プレスロール1
の熱を加えない場合と比較して、出口湿紙水分:3.92%
の減少(蒸気節約15.5%)となり、熱を加えた場合と比
較しても出口湿紙水分:2.92%の減少(蒸気節約12.3
%)となり、本発明プレスロールにて大きな省エネルギ
ー効果を期待できる。
【0093】尚、本実施例において、比ニップ圧:20kg
/cm2のときに円環弾性変形量を外径1100mmの場合0.2 %
(外径1500mmのとき0.3 %)と設定したのは、箱用白板
紙は、嵩(低密度であること)を重視するので通過時間
と、嵩の減少及び脱水効率、また抄速:200m/minと低速
のため、総合的に判断して最大通過時間を40ms以下に抑
えたからである。
【0094】嵩やフェルト平滑性をあまり問題としない
抄造品種及び高速の場合は、円環弾性変形量を大きく設
定すれば、さらなる効果を期待できる。また、外セルの
支持体である内セル24の表面の外セルと接する部分に
弾性被覆材(樹脂又はゴム)25を使用する場合は、こ
の圧縮弾性の範囲で比ニップ圧をステップ状に上昇させ
ることができる。
【0095】このようにして円環弾性変形の範囲内で使
う、嵩、平滑性を重視する抄物、一定のニップ幅を確保
した後、比ニップ圧のみを上昇させ脱水強化及び層間強
度を重視する抄造品種等、幅広い併抄が可能となる。
【0096】尚、このプレスロールを加熱ロール仕様と
する場合は上記の弾性被覆材を耐熱のものとする必要が
ある。
【0097】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、ロールプ
レスの圧力分布パターンを、より衝撃の少ないソフトな
パターンに改善するとともに、操作要素としてのニップ
圧の増減が該ニップ圧変化の広い範囲で曲げによるロー
ルクラウン変化の影響を実用上無視可能とする範囲内
で、結果的にニップ幅を増減可能とし、脱水効率と加熱
効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1実施例に係るプレスロール
装置を示す模式図である。
【図2】図2は本発明の第2実施例に係るプレスロール
装置を示す模式図である。
【図3】図3はロール加圧装置を示す模式図である。
【図4】図4は本発明の変形例を示す模式図である。
【図5】図5は本発明の他の変形例を示す模式図であ
る。
【図6】図6は本発明の具体的実施例を示す模式図であ
る。
【図7】図7は最適比ニップ圧を示す線図である。
【図8】図8は外径1100mmのプレスロールのニップ圧/
比ニップ圧線図である。
【図9】図9は外径1500mmのプレスロールのニップ圧/
比ニップ圧線図である。
【図10】図10はロールプレスにおけるフェルト圧縮
歪を示す線図である。
【図11】図11は従来のロールプレス方式におけるPm
ax/Pa を示す模式図である。
【図12】図12は従来のシュープレス方式におけるPm
ax/Pa を示す模式図である。
【図13】図13は本発明方式におけるPmax/Pa を示す
模式図である。
【図14】図14はロールプレスの圧力分布モデルを示
す模式図である。
【符号の説明】
10 プレスロール装置 11 プレスロール 13 ウエブ 21 支持体 22 外セル 25 弾性被覆材 27 スパイラル状空隙 40 外部加熱装置
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年10月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】然しながら、プレスインパルスにおいて
は、(2) 式の如く、ニップ幅Wが消去され、プレス入口
水分その他に依存する湿紙強度に無関係にニップ圧Nさ
え高くすれば良いことになり、少なくとも中芯ライナー
に関しては、事実と反することが証明されつつある。一
方、中芯ライナー以上の原紙に関しては、湿紙からの搾
水の原理が時間支配型(Flow controlled、搾水のし易
さは湿紙内を通過する水の流れ易さに依存し、湿紙強度
に見合った比ニップ圧Pの上限が制約されれば、これを
時間でカバーするという考え)であるとし(1) 式におい
てα<βとしている。そこでα=1/2 、β= 1を採用
し、これをプレス脱水能力の新評価指標としてフロウイ
ンパルス(Flow-Impulse、略してFI )と名付けると、
フロウインパスルは、
【数2】 a :比例定数 となる。この(3) 式は流れの基本式における有効差圧ヘ
ッド(水柱)をhとするとき、
【数3】 q=vT …(5) v :流速 g :重力加速度 q :単位面積当たり脱水量
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】ここで重要なことは、(3) 式にて表現され
ているように効率の良いプレスの脱水にはプレス入口水
分や各抄造品種、坪量、W.R.V.(Water Retention Valu
e 、水切れの特性を示す数値)、抄速、湿紙強度に応
じ、更にフェルトマーク等による平滑性を落さない範囲
での適切な比ニップ圧(図7)と適切な通過時間(即
ち、ニップ幅)が肝要となることである。そしてこの比
ニップ圧が高圧側にずれた場合には、目に見えるツブレ
(crashing)、ふくれ(blister or delamination)が
発生し、製品にならない場合は論外としても、表面上識
別できないマイクロブリスタ、マイクロデラミネーショ
ンが発生し、ウエブにおける垂直方向の水分移動(即
ち、脱水)を阻害し、脱水効率を落し、層間接着強度等
の物性を低下させ、最終製品のグロスイメージをも悪化
させ、また、嵩(キャリパ)を減少させて、加斤(かき
ん)と称する坪量操作による嵩の増量補正を必要とする
等々の不都合を発生する。また、ニップ幅に関してもそ
れが広ければ良いというものではなく、広すぎた場合に
は、一定の比ニップ圧の下では、湿紙中に発生する流体
圧力が脱水とともに減少して脱水効率を落し、湿紙やフ
ェルトの圧縮を来たして動力損失のみ大とし、更に、湿
紙の嵩を不要に減らすと同時にフェルトマークを生じ、
また、湿紙からの水分がニップの加圧幅においてフェル
ト側に移行するが、この移行をスムーズに行なうに十分
な受け入れ容量(Void Volume )がフェルト側に無い場
合に湿紙からの水分の移動を阻害する背圧がフェルト内
に発生し、ツブレ、ふくれ等のトラブルとなる。このよ
うに、フェルトの能力からも、坪量抄速によっても許容
ニップ幅は制約を受けることになる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】また、外セル22は軟鋼又はステンレス鋼
又はバネ鋼の表面に耐食性及び離型性の良いサーメット
コート又はクロムメッキを施したものにて構成される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正内容】
【0073】(本発明の具体的実施例)(表1〜表6、
図6、図8〜図10) 図6に本発明のプレスロールを、印刷用高級ブリストル
及び箱用白板紙併抄機の 4段最終プレスロール装置( 4
P)の上ロール11に使用した例を示す。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正内容】
【0075】
【表1】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0076
【補正方法】変更
【補正内容】
【0076】
【表2】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0079
【補正方法】変更
【補正内容】
【0079】
【表4】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0080
【補正方法】変更
【補正内容】
【0080】
【表5】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正内容】
【0082】尚、表1〜表6において、*1 〜*6 は以
下の通りである。 *1 :印刷用高級ブリストル及び箱用白板紙併抄機の、
4段最終プレス( 4P)を例にとる。 *2 :箱用片面コート板紙350g/m2 ×200m/minを想定し
た計算による推定値。 *3 :H/P :ホットプレスが直接、湿紙に接触する面を
加熱し、脱水と平滑性の強化を計るプレス方式。 *4 :熱をかけない場合の出口湿紙水分と、熱をかけた
場合の出口湿紙水分の差(加熱による脱水効果)。 *5 :箱用片面コート板紙では表面の平滑性を重視する
ので、実際に最終プレスをダブルフェルトにすることは
ない。あくまで脱水面からの参考値。 *6 :DNP (本発明のプレスロール)の場合、外セルが
円環変形し曲率大となるので、ニップ中央における最大
圧力と比ニップ圧との比が低下し衝撃を緩和することが
できる。この分従来プレスに比べ同一入口水分におい
て、比ニップ圧を上昇させることができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正内容】
【0087】(A) 外径1100mmのロールプレス(表1〜表
3、図8) 従来プレスロール1については、設定比ニップ圧:17.7
kg/cm2、総合ニップ幅:64.7mm。これらをかけ合わせた
ニップ圧:114.5kg/cm、出口湿紙水分:56.04%、水分
差:60-56.04=3.96 %。ロール11の表面温度を140 ℃
のホットプレスロールにした場合でも、出口湿紙水分:
55.1%、水分差:60-55.1=4.9 %である。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0090
【補正方法】変更
【補正内容】
【0090】(B) 外径1500mmのプレスロール(表4〜表
6、図9) 外径1500mmのロールプレスの場合の効果は更に増大し、
従来ロールプレス1の設定比ニップ圧:17.7kg/cm2、総
合ニップ幅:69.8mm、ニップ圧:123.5 kg/cm、出口湿
紙水分:55.86 %、水分差:60-55.86=4.14 %。表面温
度を140 ℃のホットプレスロールにした場合も、出口湿
紙水分:54.86%、水分差:60-54.86=5.14 %である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のプレスロール間にてウエブを圧搾
    するプレスロール装置において、少なくとも一方のプレ
    スロールが、支持体両端部に外セル両端部を一体化する
    状態で、支持体中間部まわりに一定の間隙を介して外セ
    ルを装着して構成され、支持体はロール軸方向での十分
    な曲げ剛性を備え、外セルは支持体との間隙の範囲内で
    ロール周方向にて円環弾性変形できることを特徴とする
    プレスロール装置。
  2. 【請求項2】 前記支持体中間部の表面に弾性体が被覆
    され、前記外セルは該支持体との間隙の範囲、及び上記
    弾性体の変形可能範囲内でロール周方向にて円環弾性変
    形できる請求項1記載のプレスロール装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のプレスロール装置の使用
    方法であって、ニップ圧の操作時に、ニップ幅の変化を
    得て、今回圧搾対象としてのウエブ品種に応じた最適比
    ニップ圧を確保するプレスロール装置の使用方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のプレスロール装置の使用
    方法であって、外セルの外側に該外セルの軸方向に沿っ
    て配置される外部加熱装置により、外セルを加熱するプ
    レスロール装置の使用方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のプレスロール装置の使用
    方法であって、外セルと支持体との間隙に蒸気を供給
    し、外セルを加熱するプレスロール装置の使用方法。
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Cited By (2)

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