JPH05128917A - 自己潤滑性絶縁電線 - Google Patents

自己潤滑性絶縁電線

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JPH05128917A
JPH05128917A JP31362491A JP31362491A JPH05128917A JP H05128917 A JPH05128917 A JP H05128917A JP 31362491 A JP31362491 A JP 31362491A JP 31362491 A JP31362491 A JP 31362491A JP H05128917 A JPH05128917 A JP H05128917A
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末治 茶畑
Kazuo Hanaoka
和夫 花岡
Teruo Yamazawa
照夫 山沢
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた潤滑性を有する自己潤滑性絶縁電線。 【構成】 少なくとも一つの分子の末端が炭素数9以上
の直鎖ペルフルオロアルキル基であるポリアミド樹脂又
はポリエステル系樹脂を主成分とする塗料が最外層に塗
布・焼付けられてなる絶縁電線。 【効果】 優れた潤滑性を有し、外観および機械的特性
が良好なものである。従って、スロット内により多くの
電線を損傷を受けることなく挿入することができるので
占積率を高めることができ、モータの効率を高めること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、潤滑性の優れた自己
潤滑性絶縁電線に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エナメル線を使用する電気メーカ
ー等においては、機器の製造工程の迅速化を図るため、
高速自動巻線機を使用している。最近では、モータの高
効率化のため、さらに多くのエナメル線を狭いスロット
の中に挿入し、占積率を高めることが要求されている。
しかしながら、従来のエナメル線では、潤滑性に欠ける
ため、スロット内にさらに多くのエナメル線を挿入しよ
うとしても、挿入できない。また、大きな力で無理に挿
入したとしても、摩擦等により、被膜が機械的損傷を受
け、レヤーショートが増大する。このようなことから、
スロット内のエナメル線を挿入時の作業性の向上や、機
械的損傷を低減するため、潤滑性の優れたエナメル線が
要望されている。これを解決する手段として、分子鎖の
末端に炭素数21以上の直鎖アルキル基を付加した変性
ポリエステルを含むポリエステルからなる塗料を、導体
上に直接もしくは他の絶縁物を介して、少なくとも最外
層に塗布し、焼き付け、被膜を形成した自己潤滑性絶縁
電線や、同じく分子鎖の末端に炭素数21以上の直鎖ア
ルキル基を付加した変性ポリアミドを含むポリアミドか
らなる塗料を、導体上に直接もしくは他の絶縁物を介し
て、少なくとも最外層に塗布し、焼付け、被膜を形成し
た自己潤滑性絶縁電線がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このも
のはポリアミドなどからなる潤滑層を用いた自己潤滑性
絶縁電線に比べて、潤滑性はかなり優れるものの、さら
に優秀な潤滑性を要求される用途等に適用するには特性
が不足し、この自己潤滑性絶縁電線よりも格段に優れた
潤滑性を有する自己潤滑性絶縁電線の出現が望まれてい
る。
【0004】よって、この発明における課題は、格段に
優れた潤滑性を有する自己潤滑性絶縁電線を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明では、少なくとも
一つの分子の末端が炭素数9以上の直鎖ペルフルオロア
ルキル基であるポリエステル系樹脂又はポリアミド樹脂
を主成分とする塗料を、絶縁電線の少なくとも最外層を
構成する様に、塗布・焼付けるものである。少なくとも
最外層に塗布・焼付けをすることで本発明の目的とする
優れた潤滑性を有する絶縁電線を得ることができる。
【0006】本発明で用いる塗料は、導体上に直接もし
くは、他の絶縁物を介して塗布・焼付けられる。塗布・
焼付けられて得られる樹脂皮膜は、薄くても非常に優れ
た潤滑性及び優れた熱的機械的損傷に耐える特性を示す
ので、特に潤滑性に乏しい他の絶縁物の上に塗布・焼付
け保護層として活用する事が効果的である。
【0007】他の絶縁物としては、いかなるものであっ
てもよく、例えばポリウレタン、ポリビニルホルマー
ル、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリヒダント
イン、ポリアミドイミド、ポリエステルアミドイミド、
ポリヒダントインエステル、ポリエステルアミド等があ
る。
【0008】本発明の絶縁電線を冷凍機モーター等の分
野への適用を考えた場合、これら各種の絶縁物の中でも
耐冷媒用の絶縁電線の絶縁物として用いられるポリエス
テル、ポリエステルイミド、ポリエステルアミドイミド
を用いる事が望ましい。
【0009】本発明で用いる少なくとも一つの分子の末
端が炭素数9以上の直鎖ペルフルオロアルキル基である
ポリエステル系樹脂は、多価アルコール(以下成分
(I)と呼ぶ)、多価カルボン酸もしくはその誘導体
(以下成分(II)と呼ぶ)、分子中に炭素数9以上の直
鎖ペルフルオロアルキル基を有し、かつ成分(I)もし
くは成分(II)と反応し得る官能基を有する化合物(以
下成分(III) と呼ぶ)とを反応せしめて得る事ができる
ものであることが好ましい。
【0010】また、樹脂に占める炭素数9以上の直鎖ペ
ルフルオロアルキル基の量は0.05〜10重量%であ
るものが最適である。
【0011】
【作用】以下、本発明を更に詳細に説明する。この発明
において用いる分子鎖の末端に炭素数9以上の直鎖フル
オロアルキル基を付加した変性ポリエステル又は変性ポ
リアミドは、下記一般式(i)または(ii)で示される
ものであり、分子鎖の末端に炭素数9以上の直鎖ペルフ
ルオロアルキル基を付加した変性ポリエステル又は変性
ポリアミドは、下記一般式(i),(ii),(iii) のう
ち、少なくとも一般式(i)または(ii)のどちらか一
方を含むものを意味する。 R−[P]−R ・・・(i) R−[P]− ・・・(ii) −[P]− ・・・ (iii) (式中、[P]は主鎖を構成するポリエステル又はポリ
アミド、Rは炭素数9以上の直鎖ペルフルオロアルキル
基を表わす。)
【0012】炭素数9以上の直鎖フルオロアルキル基は
下記一般式(iv)で表わされる。 CF3(CF2n-1− ・・・(iv) (式中、n≧9である。) また、上記の一般式(iv)の中のフッソの一部が水素に
置換されたものを用いても良く、それは下記一般式
(v)で表わされる。 CF3(CF2n-1(CH2m− ・・・(v) (式中、n+m≧9である。)
【0013】主鎖の末端に結合する直鎖ペルフルオロア
ルキル基の炭素数としては、良好な潤滑性を得るために
は9以上である必要があり、9に満ない場合は潤滑性が
十分でない。すなわち、直鎖ペルフルオロアルキル基が
一般式(iv)で表わされるとき、n≧9である。また、
直鎖ペルフルオロアルキル基の鎖は完全な直鎖状である
ことが望ましいが、直鎖状の部分の炭素数さえ9以上で
あれば、少々分枝したペルフルオロアルキル基であって
も良い。
【0014】この発明においては、分子鎖の末端に炭素
数9以上の直鎖ペルフルオロアルキル基を付加した変性
ポリエステル又は変性ポリアミドが占める末端の直鎖ペ
ルフルオロアルキル基の割合が0.05重量%以上であ
ることが望ましく、さらに好ましくは0.05重量%〜
10重量%である。このポリエステル又はポリアミドに
占める末端の直鎖ペルフルオロアルキル基の割合が0.
05重量%未満であると、被膜の潤滑性が乏しく、10
重量%より大きいと、塗料としての貯蔵安定性、また、
電線としての外観および機械的特性に悪影響を及ぼす。
上記範囲において、塗料としての貯蔵安定性、また、電
線としての外観の点で、より好ましいのは0.1〜5重
量%である。
【0015】本発明で用いるポリエステル系樹脂を得る
に使用される多価アルコール(成分(I))の例として
は二価のものとして、例えばエチレングリコール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−
プロピレングリコール、1,8−プロパンジオール、各
種のブタン−、ペンタン−、またはヘキサンジオール、
例えばブタンジオール−1,3、ブタンジオール−1,
4、ペンタンジオール−1,5、ブチン−2−ジオール
−1,4又は2,2−ジメチルプロパンジオール−1,3,
3−エチル−2−ブチル−プロパンジオール−1,3、
1,4−ジメチロールシクロヘキサン、ブテンジオール
−1,4、水素化したビスフェノール(即ち水素化した
P,P′−ジヒドロキシジフェニルプロパン又はその同
族体)環状グリコール、例えば2,2,4,4−テトラメ
チル−1,3−シクロブタンジオール、ヒドロキノン−
ジ−β−ヒドロキシエチルエーテル、1,4−シクロヘ
キサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノ
ール等がある。三価又はそれ以上のものとして、グリセ
リン、ペンタエリスリット1,1,1−トリメチロールエ
タン、1,1,1−トリメチロールプロパン、ソルビトー
ル、マンニトール、ジペンタエリスリトール、ジグリセ
ロール、トリス−(ヒドロキシアルキル)−イソシアヌ
レート、例えばトリス−(β−ヒドロキシエチル)−イ
ソシアヌレート、トリス−(β−ヒドロキシプロピル)
−イソシアヌレート等があり、又この他イソシアヌル酸
にエポキシ(例えばアルキレンオキシド、スチレンオキ
シド、エビクロルヒドリン等)を作用させて得られるも
のがあり、これらは単独もしくは混合して使用できる。
これらの中でも得られる絶縁電線の可撓性、耐熱性の点
で好ましいものは、エチレングリコール、グリセリン、
トリス−(βヒドロキシエチル)−イソシアヌレートを
主として用いる場合である。
【0016】次に多価カルボン酸及びその誘導体(成分
(II)の例として芳香族、脂環族、脂肪族多価カルボン
酸が有り、例えば、テレフタル酸、一般式(A)
【0017】
【化1】
【0018】(Rは、水素及び炭素原子1〜3を含むア
ルキル基から成る群から選ばれる)を有するフェニルイ
ンダンジカルボン酸(例えば、3−(4−カルボキシフ
ェニル)−5−インダンカルボン酸、3−(3−カルボ
キシフェニル)−5−インダンカルボン酸、3−カルボ
キシフェニル−1,1,3−トリエチル−6−インダンカ
ルボン酸、3−(4−カルボキシフェニル)−1−メチ
ル−1,3−ジプロピル−5−インダンカルボン酸、3
−(4−カルボキシフェニル)−1−メチル−1,3−
ジエチル−6−インダンカルボン酸等である)、フタル
酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロテレフタール酸、ヘキ
サヒドロイソフタール酸、アジピン酸、フタル酸、コハ
ク酸、マレイン酸、セバシン酸、イソセバシン酸、ダイ
マー酸、テトラクロルフタル酸、ヘキサクロルエンドメ
チレンテトラヒドロフタル酸、4,4′−ジカルボキシ
ジフェニルメタン、4,4′−ジカルボキシジフェニル
プロパン、ベンゾフェノンジカルボン酸、トリメリット
酸、トリメリット酸無水物、ヘミメリット酸、ヘミメリ
ット酸無水物、トリメシン酸、トリメシン酸無水物等が
ある。
【0019】また、多価カルボン酸の誘導体としては、
例えば、これら上述の酸の低級ジアルキルエステル、例
えばテレフタール酸の場合、ジメチルテレフタレート、
ジエチルテレフタレート、プロピルテレフタレート、ブ
チルテレフタレート、アミルテレフタレート、ヘキシル
テレフタレート、オクチルテレフタレート或は、これら
の半エステル、例えばモノメチルテレフタレート等のほ
か、アリールエステル化物、例えばテレフタル酸ジフェ
ニル、トリメリット酸モノフェニルエステル等や酸ハラ
イド、例えばテレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸
ジクロライド、トリメリット酸モノクロライド等があ
り、これらは単独もしくは混合して使用できる。
【0020】これらの中でも得られる絶縁電線の耐熱性
の点で好ましいのはテレフタル酸、イソフタル酸、或は
この誘導体又はこれらの一部を、次に述べる五員環イミ
ドを有する多価カルボン酸類で置き換える場合である。
五員環イミドを有する多価カルボン酸類とは、例えば次
の二種の化合物間の反応によって得ることができる。
【0021】(a):五員環のカルボン酸無水物基の他
になお少くとも1個のその他の反応性基を含有する芳香
族カルボン酸無水物。この後者の反応性基はカルボキシ
ル基、さらにカルボン酸無水物基またはヒドロキシル基
であることができる。最初に挙げた環状カルボン酸無水
物基の代りに、隣接した炭素原子に結合した2価のカル
ボキシル基またはそのエステルまたは半エステル、なら
びにイミド基を形成することの出来る限りにおいて下記
(b)に挙げられた第一級アミンとの半アミドも使用し
得る。
【0022】(b):第一級アミノ基の他になお少くと
も1個のその他の反応性基を含有する第一級アミン。こ
の後者の反応性基はカルボキシル基、ヒドロキシル基ま
たはさらに第一級アミノ基であることができる。第一級
アミンの代りに、その結合している第一級アミノ基がイ
ミドを形成することのできる限りにおいて、そのアミン
の塩、アミド、ラクタムまたはポリアミドも使用し得
る。
【0023】環状カルボン酸無水物基及びその他の官能
性基を有する化合物(a)としては例えば、トリカルボ
ン酸無水物、例えばトリメリット酸無水物、ヘミメリッ
ト酸無水物、1,2,5−ナフタリントリカルボン酸無水
物、2,3,6−ナフタリントリカルボン酸無水物、1,
8,4−ナフタリントリカルボン酸無水物、3,4,4′
−ジフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4′−ジフ
ェニルメタントリカルボン酸無水物、3,4,4′−ジフ
ェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4′−ベ
ンゾフェノントリカルボン酸無水物、テトラカルボン酸
二無水物、例えばピロメリット酸二無水物、メロファニ
酸二無水物、2,3,8,7−ナフタリンテトラカルボン
酸二無水物、1,3,4,5−ナフタリンテトラカルボン
酸二無水物、1,2,5,6−ナフタリンテトラカルボン
酸二無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルテトラカル
ボン酸二無水物、2,2′,3,3′−ジフェニルテトラ
カルボン酸二無水物3,3′,4,4′−ジフェニルエー
テルテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ジ
フェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、3,3′4,
4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物があ
る。特に好ましいのはトリメリット酸無水物である。イ
ミド基を与える多価カルボン酸の他の例としては、ブタ
ンテトラカルボン酸、マレイン酸無水物等の脂肪族の多
価カルボン酸も使用する事ができる。
【0024】第一級アミノ基およびその他の官能性基を
有する化合物(b)としては例えば、4,4′−ジアミ
ノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルエ
ーテル、ペンチジン、3,3′−ジアミノジフェニル、
1,4−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミ
ン、p−フェニレンジアミン、α,ω−ノナメチレンジ
アミン、1,7−ジメチルヘプタメチレンジアミン、4,
4′−ジアミノジフェニルケトン、ビス−(4−アミノ
フェニル)−α,α−p−キシレン、トルイレンジアミ
ン、キシレンジアミン、キシリレンジアミン、ヘキサメ
チレンジアミン、エチレンジアミン、4,4′−ジシク
ロヘキシルメタンジアミン、ジアミノジフェニルスルホ
ンベンゾグアナミンの如き一級ジアミン(特に好ましい
のは芳香族ジアミン)であり、さらにまた、例えばモノ
エタノールアミン、モノプロパノールアミンまたはジメ
チルエタノールアミンのようなアミノアルコールならび
に、例えばグリシン、アミノプロピオン酸、アミノカプ
ロン酸、アミノ安息香酸のようなアミノカルボン酸も使
用し得る。
【0025】化合物(a)と化合物(b)を反応させる
際に両者の使用比は、化合物(a)がトリカルボン酸無
水物であり、化合物(b)がジアミンの場合は、化合物
(a)の1モルに対し、化合物(b)は0.1〜1.0モ
ルの間であり、好ましくは0.5〜1.0モルの間であ
る。この場合、化合物(b)の0.5モル以上の分は、
トリカルボン酸無水物のカルボキシル基と反応して、ア
ミド結合を生成する。又、化合物(a)がテトラカルボ
ン酸二無水物であり、化合物(b)がジアミンの場合
は、化合物(a)の1モルに対し化合物(b)は0.1
モル〜1.0モルの間である。又、化合物(a)がトリ
カルボン酸無水物であり、化合物(b)がモノアミンの
場合は、化合物(a)の1モルに対し、化合物(b)は
0.1モルから2モルの間であり、好ましくは1〜2モ
ルの間である。但し、化合物(b)の1モルを超える分
は、アミド結合、エステル結合等を生成する。
【0026】特によく用いられるのは、化合物(a)と
してトリカルボン酸無水物を用い、化合物(b)として
芳香族ジアミンを(a):(b)=1:0.5〜1のモ
ル比で用いる場合である。より好ましいのは、トリメリ
ット酸無水物2モルと4,4′−ジアミノジフェニルメ
タン或は4,4′−ジアミノジフェニールエーテル1モ
ルより得られる、式(B)
【0027】
【化2】
【0028】(R:−CH2−、又は−O−)を有する
多価カルボン酸である。この他に、トリカルボン酸無水
物2モルに対し4,4′−ジアミノフェニルメタン或は
4,4′−ジアミノジフェニルエーテル1〜2モル用い
て得られる式(C)
【0029】
【化3】
【0030】(nの値は平均的にn≦4が好ましい。
R:−CH2−、又は−C−)を有する多価カルボン酸
類がある。また、 (c):m−フェニレンジイソシアネート、2,4−ト
リレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシア
ネート、1,2,5−トリイソシアネートベンゼン、ジフ
ェニルエーテル−4,4′−ジイソシアネート、ジフェ
ニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニル
スルホン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルス
ルホン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニルチオ
エーテル−4,4′−ジイソシアネート、ナフタリンジ
イソシアネート、ポリメチレンポリフェニレン、ポリイ
ソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシ
リレンジイソシアネートの如きポリイソシアネートと上
記化合物(a)の如き酸無水物化合物とを化合物(a)
を2モルに対し化合物(c)を0.1〜2モルに、好ま
しくは化合物(c)を1.0〜3.0モルの範囲で反応さ
せて得られる多価カルボン酸類がある。
【0031】化合物(a)としてトリカルボン酸無水物
を用いる場合は、アミド結合と五員環イミド結合を有す
る多価カルボン酸類が得られる。特によく用いられるの
は、化合物(a)としてトリカルボン酸無水物を用いる
場合であり、更に好ましくは、化合物(a)としてトリ
メリット酸無水物を用い、化合物(c)としてジフェニ
ールメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジフェニル
エーテル−4,4′−ジイソシアネートを用いて得られ
るものである。
【0032】これら、化合物(a)と化合物(b)、或
は化合物(a)と化合物(c)の反応は無溶剤或は溶剤
の存在下に於て行なわれる。イミド変成したポリエステ
ル系樹脂を得る際には化合物(a)と化合物(b)の組
合せの場合、前以って、五員環イミド結合を有する多価
カルボン酸類を作る事なく、一挙に化合物(a)と化合
物(b)と多価アルコールを反応させる事もできる。
又、化合物(a)に於て芳香族カルボン酸無水物の一部
を多価カルボン酸で置き換えてアミド結合を生成させる
事もでき、更には多価カルボン酸或はその誘導体(酸ハ
ライド)とジアミンとを1:0.5〜1のモル比で反応
させて末端にアミノ基を有するジアミン類を得てこれを
化合物(b)として用いるか、或は分子中にアミド基を
有するジアミンを化合物(b)として用いるかしてイミ
ド及びアミド変成したポリエステル系樹脂を得る事も出
来る。
【0033】これら五員環イミドを有する多価カルボン
酸類の製法については、日本特許公報昭38−2150
0号、昭40−9018号、昭42−27071号、昭
45−18816号、特願昭42−43547号、特願
昭42−43548号、特願昭43−89689号、特
願昭44−67497号、米国特許3426098、フ
ランス特許2009052に詳しく述べられている。
【0034】また五員環イミドを分子中に有する多価カ
ルボン酸類の合成の際に、炭酸アルキレンを一部反応成
分兼溶媒として加える事も出来る。この製法については
特公昭48−17837号、特公昭48−17838号
に詳しい。またイミド環の他の複素環で本発明の重合体
の合成時のカルボン酸原料として有用なものにラクタム
環を含む酸があり、その製法は米国特許2626,22
3号、2821,517号、3793,250号及び特公
昭48−12198号に述べられている。
【0035】本発明で用いるポリアミド樹脂の例として
はいかなるものでもよい。例えば6,6−ナイロン、6
−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロン、
11−ナイロン、12−ナイロン等のほか、これらの各
モノマー成分を適宜組み合わせて共重合させた共重合ナ
イロンがある。これらの中でもポリアミド樹脂を保護層
の目的で用いる場合には6,6−ナイロン、6−ナイロ
ンが好ましく、またポリアミド樹脂を自己融着皮膜層の
目的で用いる場合には12−ナイロンのユニットを含む
共重合ナイロンを用いることが好ましい。
【0036】これら主鎖を構成するポリアミド樹脂を得
るに使用されるモノマー成分としては、ε−カプロラク
タム、ω−ラウリルラクタム等のラクタム類、アジピン
酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の多価カ
ルボン酸類、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレン
ジアミン等の多価アミン類、ε−アミノカプロン酸、ω
−アミノドデカン酸等のアミノ酸類等がある。
【0037】一方、ポリエステル樹脂又はポリアミド樹
脂等の分子末端に炭素数9以上の直鎖ペルフルオロアル
キル基を導入するために用いる化合物の例としては脂肪
酸及びアルキルエステル、高級アルコール、アミン等が
ある。脂肪酸の例としては、ペルフルオロドコサン酸、
ペルフルオロオクタデカン酸等があり、これらの脂肪酸
の誘導体としてエステル等がある。高級アルコールの例
としては、ペルフルオロドコサノール、ペルフルオロデ
カノール等がある。アミンの例としては、ペルフルオロ
トコシルアミン、ペルフルオロオクタデカシルアミン等
がある。
【0038】もちろん、これら化合物を用いてポリエス
テル又はポリアミド等の分子末端に長鎖ペルフルオロア
ルキル基を導入するにあたっては先に述べた主鎖のポリ
エステル又はポリアミド等を得るに使用される各種の原
料と反応しうる様な官能基を有するものを選ぶ必要があ
る。又、これらの化合物は、各々単独で用いる必要はな
く、混合物であっても良い。
【0039】本発明に用いる分子鎖の末端に直鎖ペルフ
ルオロアルキル基を付加した変性ポリエステル樹脂を含
むポリエステル樹脂又は変性ポリアミド樹脂を含むポリ
アミド樹脂は先に述べたポリエステル又はポリアミドの
主鎖を構成するための各種原料と上に述べた分子の末端
に直鎖ペルフルオロアルキル基を導入するための化合物
とを、反応させて得られるものである。
【0040】この発明において、分子鎖の末端に炭素数
9以上の直鎖ペルフルオロアルキル基を付加した変性ポ
リエステルを含むポリエステルを主成分とし、又は分子
鎖の末端に炭素数9以上の直鎖ペルフルオロアルキル基
を付加した変性ポリアミドを含むポリアミドを主成分と
し、この直鎖ペルフルオロアルキル基の割合が、0.0
5重量%以上である上記重合体溶液には必要に応じて、
その重合体溶液に特性を損なわない範囲内で、その他の
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、フィラー、顔料、染料等
の一種または二種以上を加えても良い。
【0041】以上述べたように、格段に優れた潤滑性を
有する自己潤滑性絶縁電線を得るためには、分子鎖の末
端に炭素数9以上の直鎖ペルフルオロアルキル基を付加
した変性ポリエステル基を含むポリエステルを主成分と
する塗料、又は変性ポリアミドを含むポリアミドを主成
分とする塗料を導体上に直接もしくは他の絶縁物を介し
て、少なくとも最外層に塗布し、焼付け、被膜を形成す
る。この被膜は、薄くても非常に優れた潤滑性および機
械的損傷に耐える優れた特性を示すので、特に潤滑性の
乏しい他の絶縁物の上に塗布、焼付け保護膜として活用
することが効果的である。
【0042】他の絶縁物は、いかなるものであってもよ
く、例えば、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリ
ヒダントイン、ポリアミドイミド、変性アミドイミド、
ポリヒダントインエステル、ポリウレタン、ポリビニル
ホルマール、等がある。この発明の自己潤滑性絶縁電線
を冷凍機モータ等の分野への適用を考えた場合、これら
各種の絶縁物の中でも、耐冷媒用の絶縁電線の絶縁物と
して用いられるポリエステル、ポリエステルイミド、ポ
リエステルアミドイミドが好ましく、より好ましくはポ
リエステル、ポリエステルイミドである。又、炭素数9
以上のペルフルオロアルキル基を付加する樹脂として、
ポリエステル、ポリアミドの他にエポキシ、ポリビニル
ホルマール等が用いられる。
【0043】
【実施例】以下、実施例、参考例、比較例によりこの発
明をさらに詳しく説明するが、この発明は、これらに限
定されるものではない。以下の参考例において、反応は
2リットルの四ツ口フラスコに、塩化カルシウム管を取
り付けた冷却管、温度計、窒素導入管、攪拌機をそれぞ
れ取り付けた反応容器を用いて行ない、この反応容器の
加熱はマントルヒータを用いた。また、実施例、比較例
における重合体溶液の塗布、焼付けは炉長7.6mの堅
型炉を用い、炉温上部500℃、中部500℃、下部4
50℃にて線速20m/分で行なったものである。
【0044】得られた自己潤滑性絶縁電線の特性は、静
摩擦係数を除きJIS C 3003またはNEMA
MW−1000に従って測定した。静摩擦係数は自己潤
滑性絶縁電線どうしの間の静摩擦係数を測定したもので
ある。その測定方法は金属ブロックに2本の自己潤滑性
絶縁電線を平行に取り付け、これを平面上に固定された
2本の平行な当該自己潤滑性絶縁電線の上に、各々の自
己潤滑性絶縁電線が直角をなす様に置き、前者の金属性
ブロックを平面上の2本の自己潤滑性絶縁電線に沿って
動かすに必要な最小荷重を、金属性ブロックの荷重で除
したものである。
【0045】((ポリエステルの実施例)) (参考例1) テレフタル酸ジメチル 388.4g(2.0モル) エチレングリコール 93.1g(1.5モル) グリセリン 92.1g(1.0モル) 酢酸鉛 0.8g キシレン 300.0g をフラスコ内に仕込み、撹拌しながら除々に昇温させ1
40℃にて2時間反応させた後、20℃/時間の割合で
さらに昇温をつづけた。
【0046】この間キシレン及び反応副生成物は冷却管
を通じ系外へ溜去させた。内容物の粘度は除々に上昇し
た。240℃になったらその温度を保ちながら系を減圧
にしてさらに反応を続けた。内容物の粘度はさらに上昇
した。減圧を開始してから30分後に系内を常圧に戻
し、加熱を止めて樹脂分40%となる様にクレゾールを
添加し樹脂を加熱溶解させた。その後、樹脂分に対して
テトラブチルチタネートとオクチル酸亜鉛をそれぞれ2
重量%添加し、ポリエステル塗料とした。得られた塗料
の粘度は72ポイズであった。この塗料を直径1.0mm
の銅線上に6回塗布・焼付けをくり返して絶縁電線を得
た。得られた絶縁電線の特性を表1に示す。
【0047】(比較例1) テレフタル酸ジメチル 388.4g(2.0モル) エチレングリコール 93.1g(1.5モル) グリセリン 92.1g(1.0モル) オクタコサン酸 3.9g 酢酸鉛 0.8g キシレン 300.0g をフラスコ内に仕込み、以下参考例1と同様にしてポリ
エステル塗料を得、ついで絶縁電線を得た。得られた絶
縁電線の特性を表1に示す。
【0048】(比較例2)比較例1において、オクタコ
サン酸3.9gをペルフルオロカプリル酸3.9gに置き
換えたほかは比較例1と同様にして、ポリエステル塗料
を得、ついで絶縁電線を得た。得られた絶縁電線の特性
を表1に示す。
【0049】(比較例3)比較例1において、オクタコ
サン酸3.9gをペルフルオロカプリル酸19.5gに置
き換えたほかは比較例1と同様にして、ポリエステル塗
料を得、ついで絶縁電線を得た。得られた絶縁電線の特
性を表1に示す。
【0050】(実施例1)比較例1において、オクタコ
サン酸3.9gをペルフルオロオクタデカン酸3.9gに
置き換えたほかは比較例1と同様にしてポリエステル塗
料を得、ついで絶縁電線を得た。得られた絶縁電線の特
性を表1に示す。
【0051】(実施例2)比較例1において、オクタコ
サン酸3.9gをペルフルオロオクタデカン酸0.2gに
置き換えたほかは比較例1と同様にしてポリエステル塗
料を得、ついで絶縁電線を得た。得られた絶縁電線の特
性を表1に示す。
【0052】(実施例3)比較例1において、オクタコ
サン酸3.9gをペルフルオロオクタデカン酸0.4gに
置き換えたほかは比較例1と同様にしてポリエステル塗
料を得、ついで絶縁電線を得た。得られた絶縁電線の特
性を表1に示す。
【0053】(実施例4)比較例1において、オクタコ
サン酸3.9gをペルフルオロオクタデカン酸19.5g
に置き換えたほかは比較例1と同様にしてポリエステル
塗料を得、ついで絶縁電線を得た。得られた絶縁電線の
特性を表2に示す。
【0054】(実施例5)比較例1において、オクタコ
サン酸3.9gをペルフルオロオクタデカン酸39.0g
に置き換えたほかは比較例1と同様にしてポリエステル
塗料を得、ついで絶縁電線を得た。得られた絶縁電線の
特性を表2に示す。
【0055】(実施例6)比較例1において、オクタコ
サン酸3.9gをペルフルオロオクタデカン酸78.0g
に置き換えたほかは比較例1と同様にしてポリエステル
塗料を得、ついで絶縁電線を得た。得られた絶縁電線の
特性を表2に示す。
【0056】(実施例7)比較例1において、オクタコ
サン酸3.9gをペルフルオロデカン酸3.9gに置き換
えたほかは比較例1と同様にしてポリエステル塗料を
得、ついで絶縁電線を得た。得られた絶縁電線の特性を
表2に示す。
【0057】(比較例4) ジメチルテレフタレート 388.4g(2.0モル) エチレングリコール 186.0g(3.0モル) グリセリン 184.2g(2.0モル) 酢酸鉛 0.8g キシレン 300.0g をフラスコに仕込み、よく撹拌しながら内容物が140
℃になる迄昇温させ、1.5時間その温度で反応させた
後、20℃/時間の割合でさらに昇温させ200℃に達
っしたらその温度で1時間反応させた。この間にキシレ
ン及び反応副生物であるメタノールは、冷却管を通じ系
外へ溜去させた。その後、内容物の温度を110℃迄冷
却し、系内に 4,4′−ジアミノジフェニルメタン 396.5g(2.0モル) トリメリット酸無水物 768.5g(4.0モル) を加えた。内容物の温度を再び上昇させると、120℃
付近で内容物の中に黄色の沈澱が生じ内容物が固化し
た。
【0058】一旦撹拌を停止し、140℃に30分間保
った後、約1時間かけて180℃に迄昇温させた。この
間反応副生成物である水を冷却管を通じ系外へ溜去せし
めた。内容物に流動性が出て来るので再び撹拌を開始
し、さらに1時間かけて230℃に迄昇温させる間に内
容物は透明となり粘度も徐々に上昇した。230℃で2
時間反応をつづけた後、系内を減圧にしてさらに1時間
反応させ、系内を常圧に戻し、ただちに樹脂分約35%
となる様クレゾールを添加し、反応を停止させると共に
内容物をクレゾールに溶解せしめた。ここに、樹脂10
0重量部に対して、テトラブチルチタネート、オクチル
酸亜鉛をそれぞれ2重量部添加混合し、ポリエステルイ
ミド塗料とした。この塗料を直径1.0mmの銅線上に7
回塗布焼付けをくり返して絶縁電線を得た。得られた絶
縁電線の特性を表2に示す。
【0059】(実施例8) ジメチルテレフタレート 388.4g(2.0モル) エチレングリコール 186.0g(3.0モル) グリセリン 184.2g(2.0モル) ペルフルオロオクタデカン酸 15.8g 酢酸鉛 0.8g キシレン 300.0g をフラスコに仕込み、よく撹拌しながら内容物が140
℃になる迄昇温させ、1.5時間その温度で反応させた
後、20℃/時間の割合でさらに昇温させ200℃に達
っしたら、その温度で1時間反応させた。この間にキシ
レン及び反応副生物であるメタノールは、冷却管を通じ
系外へ溜去させた。その後、内容物の温度を110℃迄
冷却し系内に 4,4′−ジアミノジフェニルメタン 396.5g(2.0モル) トリメリット酸無水物 768.5g(4.0モル) を加えた。内容物の温度を再び上昇させると、120℃
付近で内容物の中に黄色の沈澱が生じ内容物が固化し
た。
【0060】一旦撹拌を停止し、140℃に30分間保
った後、約1時間かけて180℃に迄昇温させた。この
間、反応副生成物である水を冷却管を通じ系外へ溜去せ
しめた。内容物に流動性が出て来るので再び撹拌を開始
し、さらに1時間かけて230℃に迄昇温させる間に内
容物は透明となり粘度も徐々に上昇した。230℃で2
時間反応をつづけた後、系内を減圧にしてさらに1時間
反応させ、系内を常圧に戻し、ただちに樹脂分約35%
となる様クレゾールを添加し、反応を停止させると共
に、内容物をクレゾールに溶解せしめた。ここに、樹脂
100重量部に対してテトラブチルチタネート、オクチ
ル酸亜鉛をそれぞれ2重量部添加混合し、塗料とした。
こうして得られた少なくとも一つの分子の末端が炭素数
17の直鎖ペルフルオロアルキル基であるポリエステル
イミド樹脂塗料の粘度は、44ポイズであった。得られ
た絶縁電線の特性を表2に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】表1と表2から明らかな如く、少なくとも
1つの分子の末端が炭素数9以上の直鎖ペルフルオロア
ルキル基であるポリエステル系樹脂を用いた本願発明の
絶縁電線(実施例1〜8)は従来の絶縁電線(比較例
1,2,3)に比べて非常に静摩擦係数が低く、極めて
潤滑性に優れている事が明白である。又、分子末端に結
合する直鎖ペルフルオロアルキル基の炭素数が9に満た
ない場合(比較例2)は潤滑性が充分ではなく、又たと
え直鎖アルキル基を導入する為に用いられる成分の配合
量を多くしても(比較例3)潤滑性はほとんど改良でき
なかった。
【0064】又、直鎖ペルフルオロアルキル基の量は
0.05wt%以下では潤滑性はほとんど改良できない
し、10wt%以上では外観・ワニスの安定性が悪くな
る。
【0065】((ポリアミドの実施例)) (参考例2)6,6−ナイロン(東レ製CM300I
N)100g、m−クレゾール400gを1リットルの
フラスコに仕込み攪拌しながら昇温し、185℃で8時
間かけ溶解しポリアミド塗料を得た。直径1.0mmの銅
線上に市販のポリエステル塗料(大日精化製テレベック
E−1150)を5回くり返して塗布焼付けた後、その
上に前記ポリアミド塗料を1回塗布焼付けて絶縁電線を
得た。得られた絶縁電線の特性を表3に示す。
【0066】(比較例5)参考例2のポリアミド塗料に
オクタコサン酸1.0gを加え、撹拌しながら昇温し、
185℃で8時間反応させポリアミド塗料を得た。直径
1.0mmの銅線上に市販のポリエステル塗料(大日精化
製テレベックE−1150)を5回くり返して塗布焼付
けた後、その上に前記ポリアミド塗料を1回塗布焼付け
て絶縁電線を得た。得られた絶縁電線の特性を表3に示
す。
【0067】(実施例9)比較例5のオクタコサン酸の
代りにペルフルオロオクタデカン酸を用いた他は比較例
5と同様にしてポリアミド塗料を得た。直径1.0mmの
銅線上に市販のポリエステル塗料(大日精化製テレベッ
クE−1150)を5回くり返して塗布焼付けた後、そ
の上に前記ポリアミド塗料を1回塗布焼付けて絶縁電線
を得た。得られた絶縁電線の特性を表3に示す。
【0068】(実施例10)比較例5のオクタコサン酸
の代りにペルフルオロデカン酸を用いた他は比較例5と
同様にしてポリアミド塗料を得た。直径1.0mmの銅線
上に市販のポリエステル塗料(大日精化製テレベックE
−1150)を5回くり返して塗布焼付けた後、その上
に前記ポリアミド塗料を1回塗布焼付けて絶縁電線を得
た。得られた絶縁電線の特性を表3に示す。
【0069】(実施例11)比較例5のオクタコサン酸
の代りにペルフルオロカプリル酸を用いた他は比較例5
と同様にしてポリアミド塗料を得た。直径1.0mmの銅
線上に市販のポリエステル塗料(大日精化製テレベック
E−1150)を5回くり返して塗布焼付けた後、その
上に前記ポリアミド塗料を1回塗布焼付けて絶縁電線を
得た。得られた絶縁電線の特性を表3に示す。
【0070】
【表3】
【0071】表3から、少なくとも1つの分子の末端が
炭素数9以上の直鎖ペルフルオロアルキル基であるポリ
アミド樹脂を用いた本願発明の絶縁電線(実施例9〜1
0)は、従来の絶縁電線(参考例2、比較例5,6)に
比べて非常に静摩擦係数が低く、極めて潤滑性に優れて
いることが明白である。
【0072】
【発明の効果】本発明の自己潤滑性絶縁電線は、少なく
とも一つの分子の末端が炭素数9以上の直鎖ペルフルオ
ロアルキル基であるポリアミド樹脂又はポリエステル系
樹脂を主成分とする塗料が最外層に塗布・焼付けられて
なるものであって、格段に優れた潤滑性を有し、しかも
本発明の使用する絶縁塗料は化学的に安定しているので
貯蔵安定性に優れ、また、絶縁電線としての外観および
機械的特性が良好なものである。従って、スロット内に
より多くの電線を損傷を受けることなく挿入することが
できるので占積率を高めることができ、モータの効率を
高めることができる。また、塗布・焼付けられて得られ
る樹脂皮膜は、薄くても非常に優れた潤滑性及び優れた
熱的機械的損傷に耐える特性を示すので、特に潤滑性に
乏しい他の絶縁物の上に塗布・焼付け保護層として活用
することもできる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 7/18 B 7244−5G (72)発明者 花岡 和夫 東京都江東区木場一丁目5番1号 藤倉電 線株式会社内 (72)発明者 山沢 照夫 東京都江東区木場一丁目5番1号 藤倉電 線株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁塗料を、導体上に直接もしくは他の
    絶縁物を介して、塗布・焼付けて得られる絶縁電線にお
    いて、少なくとも一つの分子の末端が炭素数9以上の直
    鎖ペルフルオロアルキル基であるポリアミド樹脂又はポ
    リエステル系樹脂を主成分とする塗料が最外層に塗布・
    焼付けられてなることを特徴とする自己潤滑性絶縁電
    線。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の自己潤滑性絶縁電線にお
    いて、ポリアミド樹脂又はポリエステル系樹脂に占める
    直鎖ペルフルオロアルキル基の割合が0.01〜10重
    量%であることを特徴とする自己潤滑性絶縁電線。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の自己潤滑性絶縁電線にお
    いて、ポリアミド樹脂が12−ナイロンのユニットを含
    む共重合ナイロンであることを特徴とする自己潤滑性絶
    縁電線。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の自己潤滑性絶縁
    電線において、少なくとも一つの分子の末端が炭素数9
    以上の直鎖ペルフルオロアルキル基であるポリエステル
    系樹脂が、 成分(I) :多価アルコール 成分(II) :多価カルボン酸もしくはその誘導体 成分(III):分子中に炭素数9以上の直鎖ペルフルオ
    ロアルキル基を有し、成分(I)もしくは成分(II)と
    反応し得る官能基を有する化合物 とを反応せしめて得られる樹脂であることを特徴とする
    自己潤滑性絶縁電線。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の自己潤滑性絶縁電線にお
    いて、多価アルコールが、エチレングリコール及びグリ
    セリンと/又はトリス−2−ヒドロキシエチルイソシア
    ヌレートを主成分とすることを特徴とする自己潤滑性絶
    縁電線。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の自己潤滑性絶縁電線にお
    いて、多価カルボン酸が芳香族多価カルボン酸であるこ
    とを特徴とする自己潤滑性絶縁電線。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016031926A (ja) * 2014-07-25 2016-03-07 海鴻電気有限公司 絶縁紙の含浸工程
WO2019009037A1 (ja) * 2017-07-03 2019-01-10 東レ株式会社 樹脂、樹脂組成物、および、これらを用いた不織布、繊維製品、セパレーター、二次電池、および、電気二重層キャパシターならびに不織布の製造方法

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