JPH0512810B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は大電流遮断部と消弧チユーブに覆わ
れた小電流遮断部とを備えた限流ヒユーズに関す
るものである。

従来技術 大電流遮断部とを消弧チユーブに覆われた小電
流遮断部とを備える２要素のヒユーズエレメント
を内装した限流ヒユーズは変圧器の励磁突入電流
に耐え、しかも全領域遮断ができるものである。

ところが、この種の限流ヒユーズの受電設備へ
の装着に際してはそのホルダー等の設備の統一化
によりヒユーズ容量の大小に関係なくある一定範
囲内においては同一外形寸法のヒユーズリンクで
形成されているのが実状である。この為、同一寸
法のヒユーズリンクにおけるヒユーズ容量の大小
ではその溶断特性に差異が生じる虞れがあつた。

すなわち、同一外形寸法のヒユーズリンクはそ
の定格電流容量の大なものに対応しているが、一
方通常定格電流容量が小さい場合にはヒユーズエ
レメントの発熱量が小さいのに対し熱容量が大き
いため熱放散が大きい。この結果、溶断時間の長
い小電流域においては第１図Ａで示すように溶断
時間−電流特性曲線の傾きが大きく急に立上るた
め変圧器等の被保護機器の過負荷保護が困難であ
つた。

発明の目的 この発明は前記問題点に着目してなされたもの
であつて、小定格電流から大定格電流の各種定格
の異なる限流ヒユーズの絶縁筒を統一化するとと
もに被保護機器の過負荷保護特性を維持すること
ができる限流ヒユーズを提供することを目的とす
る。

発明の構成 この発明は大電流遮断部と小電流遮断部とを接
続し、同小電流遮断部を消弧チユーブにより空〓
を介して被覆するとともに、同消弧チユーブの両
端を石綿等の不燃材にて閉塞し、さらに、前記消
弧チユーブ外には空気層を形成するように絶縁チ
ユーブを配置し、同絶縁チユーブの両端を石綿等
の不燃材にて閉塞したものである。

実施例 以下この発明の限流ヒユーズを具体化した一実
施例を第２図及び第３図に従つて説明すると、限
流ヒユーズは全領域型の限流ヒユーズと呼ばれる
ものであつて、磁器のように特に耐熱性が優れた
絶縁材よりなる絶縁筒１の両端にはそれぞれ有底
筒状の電極金具２が冠着されている。同絶縁筒１
内に軸心方向に沿つて収納された絶縁コア３には
両端が両電極金具２の中央部に接続されたヒユー
ズエレメント４が巻装されている。

同ヒユーズエレメント４は大電流遮断部として
の銀線等よりなる主エレメント５の中央部に対し
小電流遮断部としての金−硅素合金等からなる低
融合金線６が直列に接続されている。そして、前
記低融合金線６にはポリテトラフルオロエチレン
等のフツ化ポリマーからなる消弧チユーブ７が小
間隙をもつて被覆されている。消弧チユーブ７の
両端には石綿等の不燃材８により外部へ放圧可能
に栓がなされている。

さらに、その消弧チユーブ７外にはシリコン樹
脂又はフツ化ポリマー（例えばポリテトラフルオ
ロエチレン）のようにアークにより消弧性ガスを
発生し、耐電圧特性、耐アーク特性に優れる絶縁
チユーブ９が消弧チユーブ７と所定の間隙を有す
るように被覆されている。同絶縁チユーブ９の両
端は消弧チユーブ７よりも長く形成されるととも
に、石綿等の不燃材１０により外部へ放圧可能に
かつ消弧砂が侵入しないように閉塞されている。
すなわち消弧チユーブ７と絶縁チユーブ９間には
空気層１１が形成されている。

前記電極金具２により密閉された絶縁筒１内に
は前記ヒユーズエレメント４及び絶縁チユーブ９
を囲むようにケイ砂、アルミナ等からなる消弧砂
１２が充填されている。

次に上記のように構成された限流ヒユーズの作
用を説明する。

まず、短絡等の事故により大電流が両電極金具
２間に流れると主エレメント５及び低融合金線６
が同時に溶断発弧し、その金属蒸気は消弧砂１２
中に拡散されて冷却されるとともに、消弧砂１２
とによりいも虫状の高低抗体を形成し、前記大電
流を急速に限流遮断する。

また、過負荷等の事故により小電流が前記両電
極金具２間に流れると、この限流ヒユーズは低融
合金線６部分において遮断が行われる。すなわ
ち、小電流で低融合金線６が溶断発弧すると、そ
のアーク熱により消弧チユーブ７から消弧ガスが
発生し、そのガスは消弧チユーブ７にてその圧力
が高められ放圧時のガス流により、前記のように
発生したアークは細隙消弧される。

このとき高圧の消弧ガスは消弧チユーブ７の不
燃材８、絶縁チユーブ９の不燃材１０を介して外
部へ放圧される。

一般に小電流遮断時においては小電流遮断部の
溶断時間が長くかかるがこの実施例では消弧チユ
ーブ７と絶縁チユーブ９との間に空気層１１が設
けられているため、低融合金線６から発熱した熱
の消弧チユーブ７外への放散が軽減される。その
結果、消弧チユーブ７内にて熱がこもるため小電
流遮断部としての低融合金線６の溶断時間が短く
なる。

例えば、第１図のＡで示すＩ−ｔ特性を有する
限流ヒユーズは前記実施例のように絶縁チユーブ
９にて空気層１１を形成するように消弧チユーブ
７を覆うと溶断時間の長時間域で傾きが緩かにな
り、Ｂで示すように左へ移行したＩ−ｔ特性とな
る。この結果被保護機器の過負荷保護範囲が広が
り、従来のＩ−ｔ特性Ａでは保護が不可能であつ
た電流域Ｃについても保護が可能となる。

その結果小定格電流品から大定格電流品まで同
一寸法で限流ヒユーズの大きさを統一する場合、
小定格電流品についても熱放散による過負荷保護
特性の低下を防ぎ、過負荷保護範囲を拡大するこ
とができる。

この効果はヒユーズエレメント４が絶縁コア３
に対して巻装したものに限らず絶縁コア３を省略
してエレメントをつり状態にしたものや、また複
数本のヒユーズエレメントを並列配置した場合に
おいても発揮されるものである。

発明の効果 以上詳述したようにこの発明は大電流遮断部と
小電流遮断部とを接続し、同小電流遮断部を消弧
チユーブにより空〓を介して被覆するとともに、
同消弧チユーブの両端を石綿等の不燃材にて閉塞
し、さらに、前記消弧チユーブ外には空気層を形
成するように絶縁チユーブを配置し、同絶縁チユ
ーブの両端を石綿等の不燃材にて閉塞したことに
より、小定格電流から大定格電流の各種定格の異
なる限流ヒユーズの絶縁筒を統一化するととも
に、特に小電流遮断時において、小電流遮断部か
ら発熱した熱の消弧チユーブ外への放散が空気層
にて軽減され、同消弧チユーブ内にその熱がこも
るため、小電流遮断部の溶断時間を短くすること
ができ、溶断時間−電流特性曲線の傾きを緩やか
にできるので、被保護機器の過負荷保護特性を維
持することができる優れた効果を奏し、産業利用
上優れた発明である。

【図面の簡単な説明】

第１図は溶断時間−電流特性曲線を示すグラ
フ、第２図はこの発明を具体化した一実施例の限
流ヒユーズの縦断面図、第３図は同じく要部断面
図である。 １……絶縁筒、２……電極金具、３……絶縁コ
ア、４……ヒユーズエレメント、５……主エレメ
ント（大電流遮断部）、６……低融合金線（小電
流遮断部）、７……消弧チユーブ、８……不燃材、
９……絶縁チユーブ、１０……不燃材、１１……
空気層、１２……消弧砂。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 大電流遮断部５と小電流遮断部６とを接続
   し、同小電流遮断部６を消弧チユーブ７により空
   〓を介して被覆するとともに、同消弧チユーブ７
   の両端を石綿等の不燃材８にて閉塞し、さらに、
   前記消弧チユーブ７外には空気層１１を形成する
   ように絶縁チユーブ９を配置し、同絶縁チユーブ
   ９の両端を石綿等の不燃材１０にて閉塞したこと
   を特徴とする限流ヒユーズ。