JPH05123566A - 反応器および反応方法 - Google Patents

反応器および反応方法

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JPH05123566A
JPH05123566A JP31832491A JP31832491A JPH05123566A JP H05123566 A JPH05123566 A JP H05123566A JP 31832491 A JP31832491 A JP 31832491A JP 31832491 A JP31832491 A JP 31832491A JP H05123566 A JPH05123566 A JP H05123566A
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spiral
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casing
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Akira Yamashita
彰 山下
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 反応により二相に分液する反応液を、構造が
簡単で小型の反応器により簡単な操作で効率よく反応さ
せる。 【構成】 反応器は、中空ケーシング1と、この中空ケ
ーシング内に配設されたミキシングエレメント5とで構
成されている。このミキシングエレメント5は、交互
に、かつ90°の角度で連設された、右捩りの羽根から
なる螺旋状エレメント6と、左捩りの羽根からなる螺旋
状エレメント7を有している。反応器に供給された反応
液は、螺旋状エレメント6,7により順次分割される。
そのため、反応後期では、分液した反応液の接触効率及
び反応効率が高まる。反応液は、前記反応器に、平均線
速度0.15〜1.5m/秒、液滴径と関係するウェバ
ー数30〜900で供給される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、反応により二相に分離
する反応系に適用される反応器、およびこの反応器によ
る反応方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】二成分以
上の反応成分は、通常、撹拌混合槽や中空筒状のプラグ
型反応管などを用いて反応させている。一方、反応によ
り二液に分液する反応系が存在する。このような反応系
においては、反応初期には反応が円滑に進行するもの
の、反応後期には、反応速度が著しく低下する。例え
ば、プロピオンアルデヒドとホルムアルデヒドとのマン
ニッヒ反応によりメタクロレインを製造する場合、反応
率60%以降の反応後期には油相を構成するメタクロレ
インと、生成する水相とが分液し始める。しかもプロピ
オンアルデヒドの多くは油相に分配し、酸や第2級アミ
ンからなる触媒の多くは水相に分配する。従って、特に
反応後期には、撹拌速度を大きくし、油相と水相との接
触効率を高める必要がある。
【0003】しかし、撹拌混合槽からなる反応装置で
は、撹拌のための駆動部に大きな負荷がかかるだけでな
く、装置が大型化する。しかも反応後期における油相と
水相との接触効率を高めるには限界がある。また、プラ
グ型の反応管では、滞留時間を長くする必要があるもの
の、油相と水相との接触効率が小さい。そのため、反応
管の長さを大きくする必要がある。特に、油相と水相と
の接触効率を高めるため、複数の撹拌混合槽やプラグ型
反応器を接続する場合には、反応装置がさらに大型化す
るだけでなく、反応効率がさほど向上しない。
【0004】従って、本発明の目的は、反応により二相
に分離する反応系であっても効率よく反応でき、小型で
構造が簡単な反応器を提供することにある。
【0005】また、本発明の他の目的は、反応により二
相に分離する反応系を簡単な操作で効率よく反応できる
反応方法を提供することにある。
【0006】
【発明の構成】本発明者らは、前記目的を達成するた
め、鋭意検討の結果、駆動部がなく反応液の供給だけで
効率よく混合できる反応器を用いることにより、反応装
置を小型化できると共に、反応により二相に分離する反
応系において、反応効率を高めることができることを見
いだし、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、反応により二相に分
離する反応系に適用される反応器であって、前記反応器
が、中空ケーシングと、この中空ケーシング内に配設さ
れたミキシングエレメントとで構成され、該ミキシング
エレメントが、互いに異なる角度で軸方向に形成された
複数の羽根状エレメントを有する反応器を提供する。
【0008】また、本発明は、前記反応器に、平均線速
度0.15〜1.5m/秒、ウェバー数30〜900
で、反応により二相に分離する流体を供給する反応方法
を提供する。
【0009】以下、必要に応じて添付図面を参照しつ
つ、本発明を詳細に説明する。
【0010】図は本発明の反応器の一例を示す概略断面
図である。反応器は、中空円筒状ケーシング1と、この
ケーシング内に配設されたミキシングエレメント5とで
構成されている。前記ケーシング1の両端には、フラン
ジ2,3が形成され、これらのフランジ2,3は、ボル
ト・ナットなどの締結手段による接合に利用される。な
お、符号4は環状パッキンである。
【0011】前記ミキシングエレメント5は、交互に位
置する、複数の螺旋状エレメント6,7で構成されてい
る。各エレメント6,7は、それぞれ、1つの矩形状の
板材を180°捩った形状である。すなわち、一方の螺
旋状エレメント6は右捩りの羽根で構成され、他方の螺
旋状エレメント7は、左捩りの羽根で構成されている。
さらに複数の各エレメント6,7は、一方のエレメント
の端部が他方のエレメントの端部に対して90°の角度
で連設されている。
【0012】このような反応器では、交互に配列された
螺旋状エレメント6,7により流体の流れが反転する。
しかも流体が、螺旋状エレメント6,7の捩れ面に沿っ
て、中心部からケーシング1の内壁方向へ、ケーシング
1の内壁から中心部方向へ流れが移動する。そのため、
反応の進行に伴なって二液に分液する反応系の接触効率
を高めることができる。
【0013】また、前記反応器に、反応により二相に分
離する反応流体を供給すると、流体は、第1の右捩りの
螺旋状エレメント6により2分割されて左方向へ旋回
し、第1の左捩りの螺旋状エレメント7との交点におい
て剪断されると共に、さらに2分割されて右方向へ旋回
し、剪断と旋回流により撹拌効率が高まる。4分割され
た流体は、第2の右捩りの螺旋状エレメント6及び左捩
りの螺旋状エレメント7により、剪断されながらさらに
4分割され、流路内を通過する。従って、反応器に供給
する成分の数をN0 、螺旋状エレメントの数をnとする
とき、n番目の螺旋状エレメントを経た流体の分割数N
は、N=N0 ×2N となる。
【0014】そして、このような反応器では、反応後期
に対応する下流側の螺旋状エレメントでは反応系の混合
効率が著しく高くなる。そのため、反応の進行に伴なっ
て二液に分液する反応系において、反応後期に分離した
相の接触効率及び反応効率を高めることができる。しか
も、反応器がケーシングと螺旋状エレメントで構成さ
れ、構造が簡単で小型であり、メインテナンスなどが容
易である。さらに、撹拌翼などの可動部がなくても、反
応液体の供給自体により、効率よく混合撹拌できるの
で、所要動力を著しく低減できる。
【0015】なお、反応器を構成する中空ケーシング
は、用途に応じて種々の材質、例えば、金属、セラミッ
クなどで形成できる。ケーシングの内径は反応系の種類
や粘度などに応じて選択できる。反応成分が低粘度の液
状である場合、例えば2〜200mm、好ましくは10
〜100mm程度である。ケーシングの内面は、ライニ
ング加工などが施されていてもよい。また、反応温度を
コントロールするため、ケーシングを二重構造とし、ジ
ャケットなどを設けてもよい。なお、反応に際しては、
ケーシングとミキシングエレメントとを備えた少なくと
も1つの反応器を使用すればよく、前記フランジなどを
利用して接合した複数の反応器を使用してもよい。ま
た、ケーシングのフランジは必ずしも必要ではなく、前
記ケーシングは単管状であってもよい。
【0016】ミキシングエレメントは、直接又は間接的
に、互いに異なる角度で、ケーシングの軸方向に形成さ
れた複数の羽根状エレメントを有していればよく、複数
の羽根状エレメントの間には、ケーシングの軸方向に対
して、例えば、45°の角度で配列された複数の棒状片
が介在していてもよい。複数の棒状片は互いに交差して
いてもよい。好ましいミキシングエレメントは、羽根状
エレメントが75〜120°、特に90°の角度で連設
されている。
【0017】また、羽根状エレメントは、螺旋状である
必要はなく、ケーシング内で互いに交差する波板状であ
ってもよい。さらに各羽根状エレメントは、単一のエレ
メントで構成されていてもよく、複数のエレメント、例
えば、面が互いに直交して連設された平板などの両面
に、前記捩り羽根などを固着したエレメントで構成され
ていてもよい。羽根状エレメント数は、反応系の種類な
どに応じて適当に選択でき、例えば、4〜50、好まし
くは6〜30程度である。
【0018】なお、前記のような反応器は、いわゆるス
タティックミキサとして市販されている。
【0019】反応器は、流体の平均線速度が0.15〜
1.5m/秒であるとき、ウェバー数が30〜900、
特に100〜500程度であるのが好ましい。ウェバー
数が30未満では油相と水相との接触効率が小さく、9
00を越える場合には、エマルジョンが生成し易くな
る。なお、ウェバー数Weは分散相の液滴径の指標とな
る値であり、下記式で表される。
【0020】We=(D・u2 ・ρc )/σs [式中、Dは反応器の内径(cm)、uは流体の平均線
速度(cm/秒)、ρcは連続相の密度(g/c
3 )、σs は界面張力(dyn /cm)である] 本発明の反応方法では、前記反応器の一方の開口部か
ら、反応により二相に分離する流体を供給する。流体
は、平均線速度0.15〜1.5m/秒、好ましくは
0.3〜1m/秒程度、ウェバー数30〜900、好ま
しくは100〜500程度の条件で供給される。
【0021】このような条件で前記流体を供給すると、
反応の進行に伴なって二相に分離する反応系の接触効率
及び反応効率が損われることがない。なお、反応系が液
体である場合、流体の平均線速度が0.15m/秒未満
であると、油相と水相との接触効率が低下し、物質移動
が十分に行なえず、1.5m/秒を越えると、エマルジ
ョンが生成し、目的化合物の分離・精製に支障を来す。
【0022】反応効率及び分離効率を向上させるため、
反応後期における液滴径は0.1〜8mm、好ましくは
0.4〜5mm、さらに好ましくは1〜2mm程度であ
る。また、反応系における好ましいレイノルズ数は、1
×104 〜5×104 、特に1.2×104 〜3×10
4 程度である。
【0023】反応は、必要に応じて溶媒や触媒の存在
下、反応成分の反応性などに応じて適当な温度で行なう
ことができる。
【0024】このような反応方法では、可動部により撹
拌することなく、反応成分を反応器に供給するだけで、
効率よく接触させることができ、反応効率を高めること
ができる。また、連続的に反応を行なうことができる。
【0025】本発明は、反応の進行により二相に分離す
る気相反応や液相反応、特に油相と水相との二相に分液
する液相反応に適用できる。このような反応の種類は、
特に制限されないが、液相反応としては、例えば、ケト
ン、エステル、有機カルボン酸やアルデヒド類などの活
性メチレン基を有する化合物と、ホルムアルデヒド、パ
ラホルムアルデヒドとのマンニッヒ反応、メチロール基
の脱水縮合反応、エステル化反応などが挙げられる。よ
り具体的な一例としては、例えば、プロピオンアルデヒ
ドとホルムアルデヒドとのマンニッヒ反応によるメタク
リロニトリルの製造などが挙げられる。
【0026】
【発明の効果】本発明の反応器は、ケーシングとミキシ
ングエレメントとで構成されているので、反応により二
相に分離する反応系であっても効率よく反応でき、駆動
部や可動部がなく小型で構造が簡単である。
【0027】本発明の反応方法によれば、撹拌翼などの
可動部がなくても、反応液体の供給自体により、効率よ
く混合撹拌できるので、反応により二相に分離する反応
系を簡単な操作で効率よく反応できる。
【0028】
【実施例】以下に、実施例及び比較例に基づいて本発明
をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によ
り限定されるものではない。
【0029】実施例 内径2cmφ、長さ64cm、内容積約200Lの中空
円筒状ケーシング内に、右捩りの羽根からなる螺旋状エ
レメントと左捩りの羽根からなる螺旋状エレメントを交
互に、かつ90°の角度で連設したミキシングエレメン
トを装着した。なお、各螺旋状エレメントの数は、それ
ぞれ、10個である。
【0030】そして、プロピオンアルデヒドを160g
/hr、35重量%のホルムアルデヒド水溶液を240
g/hr、ジエタノールアミンとリン酸からなる触媒
(3重量%水溶液)を0.9g/hrの速度で連続的に
供給し、55℃の温度で反応させたところ、プロピオン
アルデヒドの転換率は99.9%であり、メタクロレイ
ンの収率は99%であった。なお、上記の供給速度は平
均線速度0.6m/秒に相当し、ウェバー数は240で
あった。
【0031】比較例1 内容積100Lの2つの撹拌混合槽を接続ラインで接続
し、第1の撹拌混合機に、実施例と同様の供給速度で反
応成分を供給し、反応混合液を第2の撹拌混合槽へ連続
的に供給し、実施例と同様にして反応させた。なお、反
応装置における反応成分の滞留時間は実施例と同様であ
る。その結果、プロピオンアルデヒドの転換率は90%
であり、メタクロレインの収率は85%であった。
【0032】比較例2 実施例で用いた中空円筒状ケーシングをそのままプラグ
型反応管として用い、平均線速度1m/秒で反応成分を
供給する以外、実施例と同様にして反応させたところ、
プロピオンアルデヒドの転換率は70%であり、メタク
ロレインの収率は50%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図は本発明の反応器の一例を示す概略断面図で
ある。
【符号の説明】
1…ケーシング 5…ミキシングエレメント 6,7…螺旋状エレメント

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応により二相に分離する反応系に適用
    される反応器であって、この反応器が、中空ケーシング
    と、この中空ケーシング内に配設されたミキシングエレ
    メントとで構成され、このミキシングエレメントが、互
    いに異なる角度で軸方向に形成された複数の羽根状エレ
    メントを有する反応器。
  2. 【請求項2】 ミキシングエレメントが、交互に、かつ
    90°の角度で連設された、右捩りの羽根からなる複数
    の螺旋状エレメントと左捩りの羽根からなる複数の螺旋
    状エレメントとで構成されている請求項1記載の反応
    器。
  3. 【請求項3】 流体の平均線速度が0.15〜1.5m
    /秒であるとき、ウェバー数が30〜900である請求
    項1記載の反応器。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の反応器に、平均線速度
    0.15〜1.5m/秒、ウェバー数30〜900で、
    反応により二相に分離する流体を供給する反応方法。
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