JPH05121042A - 高分解能モードのイオントラツプ質量分析計の操作方法 - Google Patents

高分解能モードのイオントラツプ質量分析計の操作方法

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JPH05121042A
JPH05121042A JP4111018A JP11101892A JPH05121042A JP H05121042 A JPH05121042 A JP H05121042A JP 4111018 A JP4111018 A JP 4111018A JP 11101892 A JP11101892 A JP 11101892A JP H05121042 A JPH05121042 A JP H05121042A
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    • HELECTRICITY
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    • H01J49/427Ejection and selection methods
    • H01J49/429Scanning an electric parameter, e.g. voltage amplitude or frequency

Abstract

(57)【要約】 【目的】高分解能質量分析計としてのイオントラップ質
量分析計の操作方法を提供すること。 【構成】リング電極11と、互いに向き合った2つの端
部キャップ12及び13とを有する3次元イオントラッ
プが構成される。r. f.発振器14はリング電極11
に接続されて、r. f.電圧sin ωt(基本電圧) を端部
キャップとリング電極の間に供給する。この端部キャッ
プとリング電極とはイオンストレージ領域すなわちイオ
ントラップボリューム16内にイオンをトラップするた
めの実質的な4重極電界を与える。トラップに必要な電
界は、リング電極11と端部キャップ12及び13との
間のr. f.電圧を与えることによって形成される。追
加電界の適度な振動数と振幅を用いることに加え、スキ
ャン速度の変化割合を減少させることによって共鳴放出
を伴う質量選択不安定化モードにおいて操作されたイオ
ントラップ質量分析計の分解能が増大する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、広質量範囲かつ高分解
能モードのイオントラップ質量分析計を操作する方法に
関する。
【0002】
【発明の背景技術】イオントラップ質量分析計または、
4重極イオンストアは従来から知られており何人もの著
者のよって記述されている。これらのものは、イオンが
たとえば、r. f., DCまたはこれらの組み合わせに
かかる静フィールドによって形成され、そして、物理的
構造内に含まれるようする装置である。一般に、4重極
フィールドは、等価の4重極トラップフィールドを与え
る双曲線電極構造または球面電極構造を使用することに
よってイオンストレージ領域を与える。
【0003】イオントラップにおけるイオンのストレー
ジは有限範囲の質量対電荷比を有するイオンが装置内に
安定的にトラップされるようにr. f.電圧Vとこれと
協働する振動数f、DC電圧U、装置サイズr0,z0
値で操作することによって達成される。前述のパラメー
タは、場合によって、トラッピングパラメータとして参
照され、これらから、安定な軌道とイオンのトラップと
を与える質量対電荷比の範囲を決定することができる。
安定的にトラップされたイオンに対し、そのトラップの
軸に沿ったイオンの動きの成分は、無数の振動数成分を
含む振動として記述することができ、最初の成分(すな
わち、永年振動数)は最も重要で、かつ最も低い振動数
である。より高い振動数成分はその前のものよりもの影
響はすくない。所定のトラップパラメータに対し、特定
の質量対電荷比のトラップイオンは計算によってトラッ
プパラメータから決定することができるはっきりした永
年振動数で振動する。トラップされたイオンを検出する
ための初期の方法においては、これらの永年振動数はト
ラップ内のイオン振動動作に結合され、トラップパラメ
ータ、振動数及びm/zの間の既知の関係からトラップ
されたイオンの質量対電荷比、及び信号の大きさから相
対イオン発生量を決定すること許容された振動数チュー
ニング回路で決定されていた。
【0004】4重極イオントラップは最初は、3年以上
前には、質量分析計として使用されていたが、その装置
は、最近まで、広く使用されるようにはならなかった。
というのは、初期の質量解析の方法は、不十分で実施が
困難であり、質量分解能が悪く、質量範囲が限られたも
のであったからである。イオントラップ操作の新しい方
法、すなわち、米国特許第4,540,884号に記載
された“質量選択不安定モード”はイオントラップに関
し最初の実用的な方法を与えるものであって、広く採用
され、日常的な化学分析のためにイオントラップ質量分
析計を一般的に使用することを可能にした。この操作方
法は、最初に市販されたイオントラップ質量分析計に使
用されたものであって、質量スペクトルは、リング電極
に印加されるr. f.電圧でスキャンされることよって
記録される。これによって、連続的に増加するm/zの
イオンは不安定な軌道をとり、イオントラップから排出
させられ、外部に取付けられた検出装置によって検出さ
れる。また、約1×10-3トールの圧力のヘリウムのよ
うな軽量バッファガスの存在させることによって、この
操作モードの感度及び分解能を改善できることが判明し
た。
【0005】質量選択不安定モード操作は極めてすぐれ
ているが、さらに、あらたな操作方法、米国特許第4,
736,101号に記載された、“共鳴放出にかかる質
量選択不安定モード”はより広い範囲のトラップイオン
の量の含む質量スペクトルを記録するような能力を有す
るというような一定の利点をもっていることが証明され
た。この操作方法では、追加のフィールドが端部キャッ
プ電極にわたって印加され、r. f.フィールドの大き
さがスキャンされて連続的に増加するm/zのイオンを
追加フィールドと共鳴させる。これによって、イオンが
放出されて検出され、質量スペクトルを与える。この操
作モードに基づく市販ように製造されたイオントラップ
質量分析計は最近入手可能になったものであって、これ
らの装置は、従来のものにくらべて化学分析におけるよ
り広い問題に対して有効に適用されるようになってい
る。
【0006】上記の質量選択不安定操作モードの開発以
来4重極イオントラップの適応性は拡大しつづけてい
る。これらの比較的簡単な質量分析計の汎用性は、電子
的及び化学的イオン化における高感度性能及び気相イオ
ン/分子リアクターとしての利用性によって証明されて
きている。外部発生イオンをこれらの装置へ有効に導入
することは、例えば、レーザー脱着、セシウム脱着及び
電子スプレーイオン化にような技術を用いるバイオモレ
キュルの研究さえ可能にしている。4重極イオントラッ
プのイオンストレージ能力によって有効なイオンストレ
ージの分離も用いて質量分析の多くの段階に関係するタ
ンデム質量スペクトル(MS/MS)(米国特許第4,
736,101号)が可能となった。親のMS/MSス
キャンでさえ報告されている。これらの質量分析計の使
用可能な質量範囲は、(単一の荷電イオンに対し)4
5,000ダルトン(dalton) またはこれ以上のものに
まで広がった。
【0007】
【解決しようすする問題点】この能力に関わらず、セク
ター(3−または4−セクターを含む)装置あるいは、
フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴装置のような他
の形式の装置に比較してイオントラップ質量分析計の限
界は常に比較的低い分解能において運転せざるを得ない
という制約がある。
【0008】本発明の目的は、高分解能質量分析計とし
てのイオントラップ質量分析計の操作方法を提供するこ
とである。本発明の他の目的は、共鳴放出を用いて高分
解能質量選択不安定化モードにおけるイオントラップ質
量分析計の操作方法を提供することである。本発明の他
の目的は、追加のACフィールドが分解能を最適化する
ように適正に選択される共鳴放出を用いた質量選択不安
定化モードにおけるイオントラップ質量分析計の操作方
法を提供することを目的とする。
【0009】本発明の他の目的は、共鳴放出を用いて高
分解能質量選択不安定化モードが使用される4重極イオ
ントラップ質量分析計にストアされたイオン荷電状態を
決定する方法を提供することである。本発明の上記の及
び他の目的は、所定範囲の質量対電荷比を有するイオン
をトラップする3次元の実質的に4重極フィールドを有
するトラップボリュームを設定し、前記トラップボリュ
ーム内に前記所定の質量対電荷比のイオンがトラップさ
れるようにトラップボリューム内にイオンを形成するか
放出し、前記3次元4重極フィールド上に重ねて追加の
ACフィールドを印加して結合フィールドを形成し、検
出のために前記結合フィールドをスキャンして前記トラ
ップボリュームから連続的な質量対電荷比のイオンを放
出させる工程を含む、サンプルを質量分析する方法であ
って、前記追加のフィールドが前記イオンを丁度放出す
るのに十分な大きさを有し、追加のフィールドが0.8
91より低いベータ値を有し、前記結合フィールドが、
追加のr. f.フィールドの200サイクルあるいはそ
れ以上のサイクルに対応する時間の長さが質量対電荷比
ユニット当たり経過するような速度でスキャンされるこ
とを特徴とする方法によって達成することができる。
【0010】本発明の上記及びその他の目的を達成する
ためのイオントラップ操作は以下の記述を添付の図面を
参照しながら読むことによって明確に理解できるであろ
う。
【0011】
【実施例】図1から図14には、リング電極11と、互
いに向き合った2つの端部キャップ12及び13とを有
する3次元イオントラップが示されている。r. f.発
振器14はリング電極11に接続されて、r. f.電圧
sin ωt(基本電圧) を端部キャップとリング電極の間に
供給する。この端部キャップとリング電極とはイオンス
トレージ領域すなわちイオントラップボリューム16内
にイオンをトラップするための実質的な4重極フィール
ドを与える。トラップに必要なフィールドは、リング電
極11と端部キャップ12及び13との間のr. f.電
圧を与えることによって形成され、これは、図示のよう
に変圧器32の接続を介して接地される共通モードであ
る。追加のフィールドを発生する補助r. f.発振器3
5は端部キャップ12及び13に接続され、端部キャッ
プの間にr. f.電圧V2sinω 2tを供給する。フィラメ
ント電力供給18によって電力供給されるフィラメント
17が設けられ、該フィラメント17は、イオンストレ
ージ領域16に導入されるサンプル分子をイオン化する
イオン化電子ビームを与える。円筒状ゲートレンズ19
は、フィラメントレンズコントローラ21によって電力
を供給される。このレンズは、電子ビームを必要に応じ
てオン、オフする。端部キャップ12は電子ビームを放
出する開口を備えている。
【0012】電子ビームを用いてトラップ領域16内に
サンプルをイオン化することによってイオンを形成する
こと以外に、イオンをトラップの外部において形成し
て、電子を放出するのに用いられるのと同様な機構によ
ってトラップ内に放出することができる。したがって、
図1において、この場合には、フィラメント17に変え
て、イオンの外部ソースを用い、電子の代わりにイオン
をゲートレンズ19によってトラップボリューム16に
導入する。外部イオン化ソースとしては、例えば、電子
イオン化、化学イオン化、セシウムイオン脱着、レーザ
ー脱着、電子スプレー、サーモスプレーイオン化、粒子
ビーム、及び任意の形式のイオンソースを用いることが
できる。本実施例に係る装置では、外部イオン化ソース
領域は、トラップ領域に関して区別して注入される。
【0013】反対の端部キャップ13は、穿孔23を有
しており、イオントラップフィールドの不安定のイオン
を放出させ、該イオンは、電子倍増管24によって検出
され、この電子倍増管24は、ライン26上にイオン信
号を発生する。この信号は、ユニット28で収集され、
ストアされ、ユニット29で処理される。コントローラ
31は、基本r. f.発振器14に接続されており、基
本r. f.電圧の大きさと振動数をスキャンして連続的
なイオンを質量選択を与えるために端部キャップをよこ
ぎる追加のフィールドと共鳴させる。コントローラ31
は、さらに補助r. f.発振器35に接続されており、
追加r. f.電圧の大きさと振動数を制御する。ライン
32上のコントローラは、フィラメントレンズコントロ
ーラ21に接続されており、トラップのなかにイオン化
電子ビームすなわち外部形成イオンビームを、スキャン
インターバル以外の期間においてのみ、導入する。イオ
ントラップの機械的な詳細は、たとえば、米国特許第
2,939,952号及び最近では、米国特許第4,5
40,884号に示されており、これらは本件の譲受け
人に譲り受けられている。
【0014】イオントラップ10における対象フィール
ドは図2に示される公知の安定ダイアグラムになる。図
2のパラメータaとqは以下のように定義される。 a=−8eU/mr0 2ω2 q=−8eV/mr0 2ω2 ここで、e及びmはそれぞれ帯電粒子上の電荷及び質量
である。任意の特定のイオンに対し、aとqの値は、イ
オントラップ装置の4重極フィールド内にトラップされ
る場合には、安定包絡線内になければならない。この図
は、また、イソ−ベータライン(β)を示しており、こ
の場合、β=2ω0 /ωとω0 はトラップフィールド内
のイオン動作の永年振動数である。共鳴放出を用いる質
量選択不安定化モードにおいて、典型的には、リング電
極に付加されるr. f.電圧Vをスキャンし、一方、β
z-eject 及び振幅によって記載された特定の振動数の追
加電圧V2 が端部キャップ電極の間に印加される。イオ
ンは、これによって、連続的に共鳴させられ、大きくな
った振幅でトラップの軸に沿って振動し、端部キャップ
電極における穿孔を介して放出させられ、外部のイオン
検出装置によって検出される。これらのm/z値に従う
連続イオン放出によってイオンのm/zの決定が可能と
なる。
【0015】しかし、フィールドを印加し、適用フィー
ルドをスキャンする他の多くの方法があり、これらの方
法では、共鳴放出を用いて質量選択不安定化をさせるこ
とを用いて質量解析を同様に行うことができる。たとえ
ば、追加電圧V2 はいずれか1つの端部キャップに印加
してもよい。また、r. f.電圧Vを二つの端部キャッ
プに印加し、追加電圧V2 をリング電極11に印加して
もよい。リング電極に印加されるDC電圧成分の使用に
よって、イオンの放出がaz =0の軸以外の安定化ダイ
ヤグラムにおける幾つかのポイントにおいて発生する。
このように、質量解析中にr. f.電圧が一定に保持さ
れ、一方、DC電圧が増大(減少)して連続的にイオン
を共鳴させる。最後に、追加電圧の振動数がスキャンさ
れて、連続的にイオンが共鳴させられる。さらに精密な
計画においては、すべてのものが、放出、イオン検出、
及びイオンのm/z値の決定を行うために共鳴点にむけ
て連続的にイオンのm/zを増大(減少)させる特徴を
有している。本書に記載のイオントラップ質量分析計に
おける分解能を増大させる方法は、共鳴放出を用いる質
量選択不安定化の組み合わせとして参照される全てのス
キャンに適用される。
【0016】伝統的に、質量分析計の分解能は等式R=
m/Δmで定義されており、ここで、mは当該質量、Δ
mは幾つかの特定のピーク高さにおける質量単位におけ
るピーク巾である。一般に、分解能はある装置がある質
量をそれに近い質量からどれだけよく区別できるかにつ
いての手段を与えるものである。セクター(磁気的及び
電気的)系質量分析計はこれらの質量範囲とその限界の
全体にわたって一定の分解能の品質を有する。セクター
系質量分析計と異なり、4重極フィールド系質量分析
計、たとえば、線型4重極質量解析系及び4重極イオン
トラップは、その質量範囲にわたって一定のピーク巾
(Δ(m/z))を生じる。したがって、m/z値とと
もに増加する分解能を示す。この結果、後述するよう
に、“ピーク巾”及び“分解能”の両方の言葉が用いら
れているが、この両者に関して装置の区別及び特性を認
識する必要がある。
【0017】全ての質量分析計は磁界または電界または
その両者によって引き起こされるイオンの加速に依存し
ており、イオン軌道の違いに基づいてその質量を決定す
るものである。電界または磁界によって誘導される加速
の量は質量対電荷比(単に質量のみではなく)の関数で
あって、全ての質量分析計は直接質量対電荷比を測定す
るものであって、直接質量を測定するものではない。分
解能のさらに正確な定義はR=(m/z)/(Δ(m/
z))である。
【0018】質量分析計の分解能の定義についてm/Δ
mを共通して使用することは、それがあたかも質量であ
るかのように測定量m/zを書いたり、話したりする質
量分析の研究者の長い習慣のほんの1例である。質量分
析計という、装置の認められた名前でさえ、不正確であ
る。この分野の開発の初期において、イオン化の一般的
な方法では単一帯電イオンのみが発生し多重帯電イオン
にはほとんど出会うことはなかった。したがって、スペ
クトルの全てのピークは単一帯電からくるものであっ
て、2重または多重帯電イオンはまれに不規則に生じる
ものであったことを理解されたい。質量スペクトルはm
/zに対して量をプロットすることによって表現される
が、質量対電荷比対する単位はないので、特定イオンの
m/z値しばしば(特に口頭表現では)ダルトンで与え
られる。実際、多くの質量分析学者が、m/zの次元は
質量であり、mはダルトンで与えられ、zは無次元の電
荷の数であると主張している。他のものは、m/zの次
元は、質量/電荷の次元であると主張している。
【0019】しかし、測定された量(m/z)と算出さ
れた量(質量)に対し、ダルトンという同じ言葉を使用
することは、多重帯電イオンに関するスペクトルを議論
する場合、あるいは、質量スペクトルの装置について議
論する場合には、混乱を招く可能性がある。この混乱を
さけるため、クック(Cooks)とロックウッド(R
ockwood)は最近、トムソン(thomson)
という新しい単位の採用を提唱した(ラピッド コミュ
ニケーション イン マススペクトロメトリ(Rapi
d Communication in Mass S
pectrometry)vol.5,no.2,p.
93,1991;ロックウッド,質量分析と関連事項に
関する第39回ASMS会議の会報、1991年5月1
9−24日、p.1770−1771)。トムソンは、
1.0364272×10-8kg/クーロンとして定義
される。この単位が選ばれた結果、質量スペクトルの軸
がm/zとつけられるかもしれないし、その言葉と確立
されたシンボルm/zが他の目的に使用されるかもしれ
ないが、その量は“m/z単位”(依然として使用され
てもよい)または“ダルトン”(使われるべきでない)
以外の“トムソン”として参照される。したがって、た
とえば、窒素の質量スペクトルにおいて、ピークがN2
+ に対して28トムソンにおいて存在し、N2 + + に対
して14トムソンにおいて存在する。この単位は、まだ
広く採用されてはいないけれども、本発明者らは本書で
使用する。というのは、特に、質量スペクトルの装置の
操作を論じるときには、その意味が正確だからである。
【0020】(共鳴放出を伴うまたは伴わない)質量選
択不安定化モードにおいて操作される4重極イオントラ
ップはしたがって、(従来の線型4重極質量分析計のよ
うな)いわゆる“ユニット”またはユニット分解能に近
いものを達成するものとはかけ離れたものである。この
ことばは分解能のあたえられた定義をやや混乱させるも
のであるが、装置の通常の質量範囲(トムソン範囲)に
わたってピーク巾が1トムソン巾(ベースラインの大き
さにおいて)、または最大値の半分における全巾(FW
HM)において0.5トムソンであることを示す。この
分解能は、公称1ダルトンだけ離れた連続的質量の単一
帯電イオンを区別するのに十分なものである。線型4重
極分析装置は代表的には、一定の(トムソン)ピーク巾
を与えるように操作されるが、分解能の高い操作をおこ
なうと信号が使用に耐えないほどレベル低下する。
【0021】質量スペクトルについて適用する多くの場
合には、ユニット分解能以上のものが必要となる場合は
ないが、より高度な分解能が必要となる場合には、従来
のものでは、複雑かつ高価なセクターあるいはイオンサ
イクロトロン共鳴質量分析計を使用する必要があった。
以前は、最も重要な高分解能質量スペクトルの適用例は
同じ公称質量(0.5u以内)のイオンの区別及び同定
であって、基本的な組成の違いのために極めて僅かにし
か質量が違わないものの区別及び同定を行うことであっ
た。(たとえば、同重元素のような対のイオンのような
ものである。)最近、多重帯電イオンの区別及び質量解
析が電子スプレーイオンソースの発明によって重要にな
ってきている。この装置は、液体クロマトグラフヤフィ
ーと質量分析計とを結びつけることを可能にしたもので
あるが、代表的には、単一帯電がより一般的な旧式のイ
オン化方法にくらべて、単一帯電以上のものを有するイ
オン作りだすものである。これらの多重帯電イオンは、
m/z比が電荷に逆比例するので、単一帯電イオンに対
応するのに必要な質量範囲(トムソン範囲)よりもすく
ない装置を用いて質量解析することができる。たんぱく
質でさえ電荷が多いために1000以下のm/zのイオ
ンを生成する。
【0022】しかし、電荷の数が変化するので、質量の
決定ためには測定されたイオンのトムソンと測定された
イオン上の電荷の数との両方を決定することが必要とな
る。そのような複合イオンが一体になった質量の値によ
って分離された同位体ピークとともにイオンの数として
存在するので、各イオンの電荷の数は連続的な質量ピー
クの間のトムソンを測定することによって決定すること
ができる。2重イオンは1/2トムソンごとにピークを
もち、3重イオンは1/3トムソン毎にピークを持つと
いった具合である。必要な分解能が同重体の分離に必要
なものほど一般には大きくないが、従来の線型4重極装
置ない程度の分解能が、一般に必要となる。本書に記載
される発明は(狭いピーク巾の)高分解能を共鳴放出を
用いて質量選択不安定化モードにおいて操作される4重
極イオンにおいて達成するものである。上記2つの適用
例について説明する。
【0023】最近まで、イオントムソン質量分析計の通
常の操作方法は質量選択不安定化モードであって、リン
グ電極におけるr. f.電圧がスキャンされ、連続的な
トムソンのイオンがaz =0とqz =0の座標において
安定ダイヤグラムの境界線を横切るときに不安定にな
る。市販の装置においては、r. f.電圧は約6400
0ボルト/秒(ピーク)でスキャンされる。あまりスキ
ャン速度を速くすると分解能は減少する。しかし、スキ
ャン速度を遅くしても分解能を大幅に改善することはで
きない。図4は1/16のスキャン速度で得られたキセ
ノンのスペクトルを示す。分解能は本質的に通常のスキ
ャン速度で得られるものと同じである。スキャン速度が
16分の1だけ増加すると、分解能はユニット分解能よ
り僅かに低下する。一般に使用されるスキャン速度は比
較的速くユニット分解能を与えるように選択される。
【0024】以前の研究者は、トラップパラメータ(た
とえばトラップディメンションr0)を変更する場合に
は、トムソン/秒によって表現し、ユニット分解能を回
復するつもりで市販の装置の標準の操作モードで使用さ
れる値(5000トムソン/秒)に近い値に“スキャン
速度”を戻すようにしていた。このことは共鳴放出を用
いる質量選択不安定化モードにおける初期の作業におい
ても当てはまるものであって、この場合には、有効スキ
ャン速度は実質的に1より小さいβ値における放出によ
って増大している。しかし、スキャンを遅くしても、質
量選択不安定化モードの操作の場合と同様に、実質的に
分解能を大幅には改善しないものと考えられていた。
【0025】予期しない発見であって本書で記載する発
明の本質的な特徴を成しているのは共鳴放出を用いる質
量選択不安定化モードを用いるスキャン速度実質的に遅
くすると、質量選択不安定化モードを用いて(または、
質量選択不安定化モードで一般に用いるスキャン速度に
匹敵するスキャン速度を用いて共鳴放出を行う質量選択
不安定化モードを用いて)得られるものよりも良好な分
解能が得られるということである。図5は、この方法を
用いて得られたキセノンのスペクトルを示す。この場合
スキャン速度4000ボルト/秒(図4に示すように)
であるが、スペクトルは共鳴放出(β=0.89)を伴
ってえられる。図4と比べると、分解能がユニット分解
能よりも著しく改善されている。共鳴放出と非共鳴放出
における挙動の違いは、明らかに放出に近いイオンとし
ての軌道における成長の性質による。安定境界線の縁に
おいて、イオンはその縁においてのみ不安定になるしか
して共鳴フィールドの存在下では、その軌道は、共鳴が
実際に起こる前に十分に成長する。共鳴放出に関して
は、類似したトムソン値の2つのイオンのトムソン値を
区別するという問題は、本質的に二つの類似した永年振
動数を区別するという問題である。したがって、追加フ
ィールド期間の数と秒当たりのトムソンの放出の割合と
の比が増大するような割合で質量スペクトルのピーク
が、発生する場合には、分解能は改善される。特に、本
発明者らは、トムソン当たり200追加フィールドサイ
クルより少ない割合の場合には、極めて有効にスペクト
ルの分解能を改善できる(放出のβは大き過ぎないこ
と)ことを発見した。
【0026】適当な条件下で、共鳴放出を伴う質量選択
不安定化モードの操作を用いる場合には、分解能と追加
フィールドによるイオンの相互作用時間との間に一定の
関係が存在する。すなわち、イオンが放出される前にイ
オンが追加フィールドによって相互作用する時間が長い
ほど、その分解能は向上する。このモード操作を使用す
ることによって、追加フィールドの振幅とスキャン速度
(この場合主r. f.フィールド振幅における電荷の割
合)の両者が相互作用時間、従って分解能に影響を及ぼ
す。
【0027】追加フィールドの振幅は高分解能を得よう
とする場合には、重要である。その理由は追加フィール
ドの振幅が低くなると、イオン軌道の振幅が大きくなる
のが遅くなり、したがって、その放出の前に相互作用時
間が最大になるからである。図12は、βz-eject
0.781818(430kHz)に対する追加フィー
ルド振幅と通常Rf振幅スキャン速度の1/16のスキ
ャン速度との関数として(トムソンの)ピーク巾を代表
的にプロットしたものである。このデータはピーク巾は
振幅が減少するのにともなって減少するという現象を実
験的に示すものである。しかし、分解能を改善する追加
フィールドの振幅の能力は、スキャン速度という第1の
パラメータによって制約される。すなわち、高分解能
は、最終的に適当な振動数における追加フィールドの振
幅を適度に低くすることと関連してスキャン速度比較的
低くすることによって得られる。特定の実験に必要な振
幅というのは、放出されるイオンの質量だけでなくイオ
ンの数に依存するために複雑である。一般に、図面に示
される全てのスペクトルに対し追加フィールドの振幅
は、最小レベルに維持されているが、これは依然として
イオンの放出に有効であり好ましいものである。この最
小レベルは図13に示すようにスキャン速度が減少する
のに応じて減少する傾向がある。
【0028】追加フィールドの振動数も最適の分解能を
達成するためには重要なパラメータである。追加フィー
ルドの振動数を選択することによって、図2のダイヤグ
ラムにおけるβラインの1つが選択され、これによって
βz-eject を決定する。既述のように、r. f.電圧が
増大すると、連続的に増大するm/zを有するイオンは
そのβz-eject に近づき、共鳴させられる。これによっ
て、振幅動作は増大し、これらはイオントラップから放
出される。追加r. f.フィールドの選択された振動数
が減少すると低いβラインが選択されると、β=0に近
づく。低いβラインが選択されるほど、要求されるr.
f.電圧は小さくなり、これによって所定のm/zのイ
オンを共鳴に導く。一般に、スキャンできるトムソン範
囲は、印加できるr. f.電圧の最大値で決まる。した
がって、低いβ値での共鳴励起によって、装置のトムソ
ン範囲は増大する。所定の固定r. f.振幅(またはそ
の他の場)のスキャン速度を与えることによって、追加
フィールド振動数は装置のトムソン/秒のユニットにお
けるスキャン速度に影響を及ぼす。r. f.振幅の変更
を固定した割合にすると、βz-eject を低くするほど、
トムソン範囲は向上し、トムソン/秒によるスキャン速
度は高くなる。
【0029】これらの研究において、0.0710と
0.891の間のβz-eject 値をもちいたとき、ピーク
巾の著しい減少(分解能の増大)が得られた。例示した
最も小さいピーク巾は0.0710と0.891の間の
βz-eject 値において得られた。βz-eject が0.71
0よりも小さくなったときトムソン巾の拡がりが認めら
れたので、より大きいβz-eject を用いたときトムソン
/秒による低いスキャン速度を達成することができるよ
うになったということが認められる。このことによっ
て、ある意味で、上記のことを説明できる。この場合、
トムソン範囲の増大と分解能とは引換となるが、分解能
は部分的には、場を適度に遅くスキャンすることによっ
て回復することができる。β=1.000(550kH
z,q=0.908)の安定限界近くでの共鳴放出に伴
う場合には、標準スキャン速度より著しく低いスキャン
速度へ減少させても、分解能を実質的に改善することに
はならない。図10は、上記の議論の記述を支持する実
験データを示すものであって、スキャン速度(r. f.
電圧/秒の対数)とβz-eject (追加フィールド振動
数)の関数としてキセノンのm/z129の(トムソ
ン)ピーク巾を3次元的にプロットしたものである。図
示のように、適度な追加フィールド振動数を用いること
によってスキャン速度が減少するのに応じてピーク巾は
減少し続ける。このプロットの各データポイントは最も
狭いピーク巾を発生する追加フィールド振幅を用いて得
られた。
【0030】以下の結果は、適度な追加フィールド振幅
及び振動数を使用し、スキャン速度を十分に遅くするこ
とによって高分解能が得られるという本発明者らの発見
を証明するイオントラップの操作を示す。外部電子イオ
ン化ソースがイオン化に使用され、イオンは連続的にト
ラップ内に放出される。ヘリウムの約1×10-3トール
のバッァ圧力が本書に記載したすべての実験に使用され
た。全ての同位体を伴うキセノンのスペクトルが通常の
操作条件下で得られた。この条件には、64000ボル
ト/秒(0からピークボルトとして表現されるボルト)
のスキャン速度、約650トムソンのトムソン範囲、
6.0ボルト振幅有する0.945454(52000
Hz)のβz-eject での共鳴放出が含まれる。この結果
は、図4に示されている。これらの条件のもとでは、F
WHMにおいて0.33トムソンの代表的なピーク巾を
生じる。したがって、m/z132において約400の
分解能を有する。図5は、通常スキャン速度の20分の
1のスキャン速度での、すなわち、3210ボルト/秒
において、0.733(403017Hz)のβz-ej
ect における共鳴放出と4.5ボルトの(端部キャップ
をよこぎるピークからピークへの)振幅を用いたばあい
のキセノンの全部の同位体の集団を示す。FWHMにけ
るm/z132のピーク巾は約0.073トムソンに減
少する。したがって、約1800の分解能が得られる。
【0031】図6は、0.661(363543Hz)
のβz-ejectにおける共鳴振動数と4.6ボルトの振幅
を用い、1/100スキャン速度(640ボルト/秒)
の条件下でm/z131と132の多数の同位体を含む
キセノン同位体スペクトルの一部を示す。FWHMでの
m/z132ピークのピーク巾は、約0.035で示さ
れ、このm/zにおいて約3800の分解能を与える。
【0032】イオントムソン質量分析計を用いて、いち
じるしく高い分解能を達成したことを示す結果が図7乃
至図9に示されている。この図には、外部電子イオン化
ソースを用いてイオンされたパーフルオロブチルアミン
(FC−43)の質量スペクトルのさらに高いm/z5
02及び503ピークのデータが示されている。図7
は、64000ボルト/秒の通常のスキャン速度を用
い、0.945454(520000Hz)のβ
z-eject で共鳴放出及び6.0ボルトの振幅によって、
得られた質量スペクトルを示しており、標準操作条件の
もとでの代表的ピーク巾と分解能(1700)を表して
いる。図8は、640ボルト/秒のスキャン速度、0.
852042(468623Hz)のβz-eject におけ
る追加フィールド振動数及び1.1ボルトの振幅での同
じ質量スペクトルを示す。挿入部分はゲインと平均のス
キャンの数を増大することによって、m/z504が得
られることを示している。m/z502のピーク巾は約
0.030トムソン(FWHM)であり、したがって、
分解能は約17000である。このピーク巾は図6に示
すピーク巾に匹敵するものであって、トムソン範囲にわ
たるイオントラップによって生成された一定のトムソン
ピーク巾を示すものでる。したがって、m/zを増大さ
せることによって分解能を増大させることができる。図
9において、0.945454(520000Hz)の
βz-eject での追加フィールド振動数、及び0.58ボ
ルトの振幅で、スキャン速度は、200から320ボル
ト/秒分の1まで減少させられた。m/z502のFW
HMでのピーク巾は約0.015トムソンで、したがっ
て、分解能は33000である。
【0033】図14は、本書に記載した方法で得られる
分解能を増大させたものを用いて同重体の分離を行った
例を示す。このスキャン速度は、0.709091(3
90000Hz)のβz-eject 及び2.2ボルトの振幅
で、500から128ボルト/秒分の1まで遅くされ
た。このスロットルは、パーフルオロブチルアミン化合
物の部分イオン(C3 5 )から区別された131キセ
ノン同位体を示し、この場合両者公称131のm/z値
を有する。131 Xeの原子量は、130.9051ダル
トンであり、123 5 の分子量は、130.9920
ダルトンである。したがって、完全に分解するために
は、それぞれのピークに対し、約0.0869トムソン
の半分以下のピーク巾が必要とする。測定されたピーク
巾は、FWHMで約0.045トムソンである。また、
m/z132でのキセノンのつぎの同位体が示されてお
り、(133 12 5 )含むC13が認められる。
【0034】その他の多くの適用例の中で、バイオケミ
カルに適用する質量スペクトル分析はイオントムソンの
高分解能によってとくに効果があるべきものである。既
述したように、電子スプレーイオン化が最近イオントラ
ップと結びつけられるようになってきている。高分解能
娘イオン質量スペクトルを得ることによって、ペプチド
とたんぱく質の連続データの解釈を容易にすることが可
能になった。このことは潜在的に、4セクター磁気ある
いはフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴装置によっ
て得られるものよりも高い分解能を与えることがあるか
らである。これらの分野における適用例を示す幾つかの
基本的な結果が以下の図に示されている。ペプチドホー
スアンギオテンシンIの電子スプレーイオン化質量スペ
クトルが図15に示されている。このスペクトルは、
0.218065(119936Hz、qz-eject
0.303)のβz-eject で共鳴放出用い、1950の
トムソン範囲で、64000ボルト/秒の標準スキャン
速度を用いて得られた。単一、2重、3重及び4重に陽
イオン化されたものが示されている。3140ボルト/
秒のスキャン速度を用い、0.844311(4643
71Hz)のβz-eject での共鳴放出ともなうようにス
キャンをさらに遅くして多重イオンを横切ることによっ
て、挿入窓に示されるような種類の同位体の分離を行う
ことができる。このスキャン速度によって(約0.08
7トムソンFWHM)のピーク巾が発生しこの結果、こ
れらの擬分子イオンの帯電状態を同定することが容易に
なった。m/z433において、通常スキャン速度64
000ボルト/秒を用いた〔M+3H〕3+イオンの電子
スプレーイオン化MS/MS娘イオン質量スペクトルが
図16に示されている。ペプチドのフラグメントイオン
はどのアミノ酸において断片化が生じるか及びどのアミ
ノ酸の結合において断片化が生じるか及びペプチドのど
の側に電荷が残っているかを特定する確立された命名法
を用いて表記される。図17乃至19は、図16に示し
たドータースペクトルのさらに細かい部分を示すもので
あって、3140ボルト/秒のスキャン速度及び0.8
44311(464371Hz)のβz-eject を用いて
得られる。なお、容易に得られる分解能によって、同位
体の質量分離を用いることによってこれらの娘イオンの
帯電状態を同定することが可能になっており、したがっ
て、娘イオン質量スペクトルにおける連続イオンの割当
を簡単に行うことができる。
【0035】
【発明の効果】このように、追加フィールドの適度な振
動数と振幅を用いることに加え、スキャン速度の変化割
合を減少させることによって共鳴放出を伴う質量選択不
安定化モードにおいて操作されたイオントラップ質量分
析計の分解能を増大する方法が開示されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う質量分析計を操作するために使用
される電気回路のブロックダイアグラムとともに4重極
イオントラップ質量分析計の概略である。
【図2】図1に示される質量分析計のイオントラップの
ための安定化包絡線である。
【図3】r. f.電圧(4000ボルト/秒、0−ピー
ク、または1/16通常割合)のための低速スキャン速
度を用い、(a)質量選択不安定化操作モードを及び
(b)共鳴放出(400KHz)を用いた質量選択不安
定化操作モードを用いて得られたキセノンのスペクトル
である。
【図4】64000ボルト/秒のピークr. f.電圧に
対し通常のスキャン速度を用いたキセノンスペクトルで
ある。
【図5】3200ボルト/秒のスキャン速度を用いたキ
セノンスペクトルである。
【図6】640ボルト/秒でスキャンされたm/z13
1及び132を用いたキセノンスペクトルである。
【図7】64000ボルト/秒のピークr. f.電圧に
対し通常のスキャン速度を用いたペルフルオロトリブチ
ルアミン(FC−43)のm/z502のスペクトルで
ある。
【図8】640ボルト/秒のスキャン速度を用いたペル
フルオロトリブチルアミン(FC−43)のm/z50
2のスペクトルである。
【図9】320ボルト/秒でスキャンされたペルフルオ
ロトリブチルアミン(FC−43)のm/z502のス
ペクトルである。
【図10】端部キャップに印加される追加r. f.フィ
ールドによって決定されるスキャン速度とβz-eject
関数としてのピーク巾を示す3次元プロットである。
【図11】0.727273(400kHz)のβ
z-eject における追加の振動数に対してr. f.スキャ
ン速度の関数として(秒で)ピーク巾を示している。
【図12】0.781818(430kHz)のβ
z-eject における追加フィールド振幅の関数として(秒
で)ピーク巾を示している。
【図13】スキャン速度とβz-eject の関数として最高
分解能に対する最適電圧を示している。
【図14】公称m/z131における131 Xe及び12
3 5 及び公称m/z132における132 Xe及び13
3 5 の等圧体の分離を示している。
【図15】異なるスキャン速度と条件に対する多様に帯
電した馬のアンジオテンシンIの静電スプレーイオント
ラップデータを示しており、(a)は静電スプレー質量
スペクトルである。
【図16】異なるスキャン速度と条件に対する多様に帯
電した馬のアンジオテンシンIの静電スプレーイオント
ラップデータを示しており、(b)はm/z433にお
ける(M+3H)3+のドータースペクトルである。
【図17】異なるスキャン速度と条件に対する多様に帯
電した馬のアンジオテンシンIの静電スプレーイオント
ラップデータを示しており、(c)は3140ボルト/
秒のスキャン速度を用いた(b)の領域1である。
【図18】図17に示したドータースペクトルのさらに
細かい部分を示したものである。
【図19】異なるスキャン速度と条件に対する多様に帯
電した馬のアンジオテンシンIの静電スプレーイオント
ラップデータを示しており、(d)は3140ボルト/
秒のスキャン速度を用いた(b)の領域2である。
【図20】図19に示したドータースペクトルのさらに
細かい部分を示したものである。
【図21】異なるスキャン速度と条件に対する多様に帯
電した馬のアンジオテンシンIの静電スプレーイオント
ラップデータを示しており、(e)は3140ボルト/
秒のスキャン速度を用いた(b)の領域3である。
【図22】図20に示したドータースペクトルのさらに
細かい部分を示したものである。
【符号の説明】
11 リング電極、 12、13 端部キャップ 14、35 r. f.発振器 16 イオントラップボリューム 17 フィラメント 18 フィラメント電力供給 19 円筒状ゲートレンズ 21 フィラメントレンズコントローラ 24 電子倍増管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジヨン エドワード フイリツプ サイカ アメリカ合衆国 カリフオルニア州 94098 サニーヴエイル ロートレツク テラス 1107 (72)発明者 ジヨン ネイサン ローリス アメリカ合衆国 カリフオルニア州 95050 サンタ クララ 1311 モンロー ストリート 2200

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定範囲内にある質量対電荷比を有する
    イオンをトラップする実質的に3次元4重極フィールド
    を有するトラップボリュームを設定し、前記トラップ容
    積内にイオンを形成しあるいは放出して前記所定の質量
    対電荷比を有するイオンをトラップし、前記3次元4重
    極フィールドに追加のACフィールドを印加して結合フ
    ィールドを形成し、前記結合フィールドをスキャンして
    検出のために前記トラップボリュームから連続的な質量
    対電荷比を有するイオンを共鳴によって放出させる工程
    を有する高分解能モードのイオントラップ質量分析計の
    操作方法であって、前記追加のフィールドは前記イオン
    を丁度放出させるのに十分な大きさを有し、前記結合フ
    ィールドは前記追加のr. f.フィールドの200サイ
    クル以上に対応する時間が連続的なトムソン当たりに生
    じるような速度でスキャンされることを特徴とする高分
    解能モードのイオントラップ質量分析計の操作方法。
  2. 【請求項2】 振動数fのr. f.電圧VとDC電圧U
    とをイオントラップに印加して所定範囲の質量対電荷比
    内のイオンうトラップするための3次元の実質的に4重
    極フィールドを有するトラップボリュームを設定し、該
    トラップボリューム内に所定の質量対電荷比の範囲のイ
    オンがトラップされるように前記トラップボリューム内
    にイオンを形成しあるいは放出し、前記3次元4重極フ
    ィールド上に重ねて追加のACフィールドを印加して結
    合フィールドを形成し、前記結合フィールドをスキャン
    して検出のために前記トラップボリュームから連続的な
    質量対電荷比を有するイオンを共鳴によって放出させる
    工程を有する高分解能モードのイオントラップ質量分析
    計の操作方法であって、前記追加のフィールドは前記イ
    オンを丁度放出させるのに十分な大きさを有し、前記結
    合フィールドは前記追加のr. f.フィールドの200
    サイクル以上に対応する時間が連続的なトムソン当たり
    に生じるような速度でスキャンされることを特徴とする
    高分解能モードのイオントラップ質量分析計の操作方
    法。
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