JPH0511874B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明は、原子炉に装荷される核燃料集合体
の支持格子に係り、特にこの支持格子を構成する
ストラツプの板厚を増大することなく、支持格子
の強度を増大させたものに関する。

「従来の技術」 原子炉に装荷されている核燃料集合体は、第７
図に示されるように構成されている。すなわち、
この核燃料集合体は、第７図において図中上下に
離間して平行に配設された上部ノズル１及び下部
ノズル２と、これらの間に所定の間隔をおいて配
設された複数の支持格子３，３…と、第８図に示
されるようにこれら支持格子３，３…に形成され
た多数の格子空間４，４…における格子空間５，
５…に挿通して前記上部ノズル１及び下部ノズル
２にそれぞれその上下端部が連結されて核燃料集
合体の骨組みを構成する制御棒案内管６，６…
と、上記支持格子３の所定の格子空間７，７…内
に挿通して第９図に示されるようにスプリング
８，８…及びデインプル９，９…によつて支持さ
れていると共に、その内部に多数の燃料ペレツト
１０，１０…及び押さえバネ１１，１１…が密封
されている複数の燃料棒１２，１２…とから構成
されている。

このような核燃料集合体の支持格子３は、第１
０図に示されるストラツプ１３を多数縦横に組み
込むことにより形成されている。このストラツプ
１３は、帯状の薄い耐熱合金板をその長手方向と
直角な方向に切り込んで多数のスリツト１４，１
４…を形成し、これらの各スリツト１４，１４…
の間に上記合金板の一方の側にこの合金板の一部
を突出させてスプリング８，８…を形成すると共
に、このスプリング８の両側部を打ち抜いてスロ
ツト１５，１５…を形成し、更に、このスプリン
グ８の第１０図における上下に位置する部位の一
部を上記合金板の一方の側にそれぞれ突出させて
デインプル９を形成してなるものである。

第１１図は、上記ストラツプ１３を組み込んで
形成した支持格子３の一部破断斜視図である。

「発明が解決しようとする問題点」 上記のような支持格子３は、上記スプリング８
及びスロツト１５の近傍の強度が他の部分に比較
して弱く、また、支持格子３自体も複数の薄板状
のストラツプ３，３…を単に縦横に組んで格子を
形成したものなので、支持格子３に加えられる圧
力に対して強い座屈強度が得られず、これを補う
ために他の部分の強度を不必要に強くしなければ
ならないという不都合が生じていた。

すなわち、上記スロツト１５の大きさは、冷却
水の循環を確保し、燃料棒１２等の冷却を十分な
ものとする観点から一定以上でなければならない
とともに、上記スプリング８は、その形成の際に
引きのばされて他の部分よりも薄くなつており、
それ故、これらスロツト１５およびスプリング８
の近傍はほとんど強度的寄与を期待できないもの
だからである。

この強度を補うには、上記ストラツプ１３自体
の板厚を厚くすればよいが、そうすると、スプリ
ング８のバネ定数や格子間隔が変化し、燃料集合
体全体の設計変更を余義なくされ、望ましくな
い。さらに、板厚が厚くなればストラツプ１３の
加工がより難しくなる。

この発明は、上記のような問題点を解消した核
燃料集合体の支持格子を提供することを目的とし
ている。

「問題点を解決するための手段」 この発明は、上述のような従来の核燃料集合体
の支持格子において、ストラツプに、スロツトの
周縁部から上記ストラツプの長手方向に沿つて突
出する突出部を設け、この突出部を折り曲げ、こ
の折り曲げた突出部を他のストラツプの板面上
か、あるいは他のストラツプの突出部に固定して
なることを特徴としたものである。

「実施例」 第１図ないし第４図はこの発明の第一実施例を
示す図である。これらの図において、第７図ない
し第１１図に示す構成要素と同一の要素には同一
符号を附し、その説明を省略する。

ここで説明する支持格子３ａが第７図ないし第
１１図に示す支持格子３と異なる点は、支持格子
３ａを構成するストラツプ１３に、このスロツト
１５，１５…のスリツト側の周縁部より、ストラ
ツプ１３の長手方向に沿つて突出する突出部１
６，１６…を形成し、この突出部１６，１６…を
折り曲げ、この折り曲げた突出部１６，１６…を
他のストラツプ１３の突出部１６，１６…に固定
した構成になつている点である。突出部１６は、
第２図に示すように矩形をしており、その中央部
よりスプリング８側には、ストラツプ１３のスリ
ツト１４と平行な線に沿つて切り込んだスリツト
１４ａが形成されている。突出部１６は、第２図
の図中に示される破線に沿つて折り曲げられ、そ
れによつてスロツト１５が第３図に示すように長
丸形の穴となるように構成されている。

上記の支持格子３ａの製造方法は次の通りであ
る。まず、帯状の耐熱合金製の薄板に複数のスリ
ツト１４，１４…とデインプル９，９…を形成す
るための切り込みを入れると共に、矩形の突出部
１６を残すようにスロツト１５，１５…を打ち抜
いて、ストラツプ１３を作成する。次に、スリツ
ト１４とスリツト１４との間の部分をストラツプ
１３の一方の側に突出させてスプリング８，８…
を形成すると共に、他方の側にデインプル９，９
…を突出形成する。また、それと同時に、突出部
１６，１６…を隣り合う２個の突出部１６，１６
がストラツプ１３の別の側に向くように交互に折
り曲げる。これらの突出部１６，１６…は、スト
ラツプ１３に対して直角となるように折り曲げ
る。次に、上記のストラツプ１３を多数用いて、
これらストラツプ１３，１３…のスリツト１４，
１４…を互いに嵌め合わせて縦横に組み、目的と
する格子状に形成する。突出部１６，１６…は、
縦に並設されたストラツプ１３のものと、横に並
設されたストラツプ１３のものとが当接するよう
になつている。これらの突出部１６，１６…同士
は、スリツト１４ａ，１４ａ…を互いに嵌め合わ
せて四角形の小格子を形成する。互いに嵌め合わ
された突出部１６，１６…の嵌合部分は、ろう付
け接合や熔接等によつて固定する。

上記の構成による支持格子３ａは、ストラツプ
１３に突出部１６を形成し、この突出部１６を折
り曲げて他のストラツプ１３の突出部１６に固定
した構成になつているので、支持格子３ａの強度
低下の要因となるスロツト１５およびスプリング
８の近傍を補強し、支持格子３ａを構成するスト
ラツプ１３の板厚を増大することなく、支持格子
３ａに加えられる圧力に対して強い座屈強度を得
ることができる。

第５図は、この発明の第２実施例を示す図であ
る。この実施例では、ストラツプ１３の突出部１
６，１６…と他のストラツプ１３の突出部１６，
１６…とが三角形の小格子を形成して固定されて
いる。突出部１６，１６…は隣り合う２個の突出
部１６，１６がストラツプ１３の別の側に向くよ
うに交互に折り曲げられるが、ストラツプ１３の
一方の側に向けた突出部１６，１６…はストラツ
プに対してほぼ135°の角度をもつ位置に、他方の
側に向けた突出部１６，１６…はほぼ45°の角度
をもつ位置に折り曲げられる。突出部１６，１６
…は、ストラツプ１３，１３…を多数用いて縦横
に組んで格子状に形成した際に、縦に並設された
ストラツプ１３の突出部１６，１６…と横に並設
されたストラツプ１３の突出部１６，１６…の突
端が当接するようになつている。これらの突出部
１６，１６…の当接部分は、ろう付け接合や熔接
等により固定される。

この実施例による支持格子１３は、スロツト１
５およびスプリング８の近傍を補強し、支持格子
３ａに加えられる圧力に対して強い座屈強度を得
ることができる等、上述の第一実施例と同様の効
果を得ることができる。

第６図はこの発明の第３実施例を示す図であ
る。上述の第一実施例および第二実施例では、ス
トラツプ１３の突出部１６，１６…と他のストラ
ツプ１３の突出部１６，１６…とを固定する構成
であつたが、この実施例ではストラツプ１３の突
出部１６，１６…を他のストラツプ１３の板面上
に固定するように構成している。突出部１６，１
６…は、ストラツプを多数用いて縦横に組んで支
持格子３ａを形成した際に、ストラツプ１３と他
のストラツプ１３との嵌合部を中心とした四角形
の小格子を形成するように折り曲げられる。支持
格子３ａの縦に並設したストラツプ１３の突出部
１６，１６…は、横に並設したストラツプ１３の
板面上に当接し、その当接部分はろう付け接合や
熔接等により固定される。

この実施例による支持格子３ａは、スロツト１
５およびスプリング８の近傍を補強し、支持格子
３ａに加えられる圧力に対して強い座屈強度を得
ることができる等、上述の第一実施例と同様の効
果を得ることができる。

なお、上述の各実施例とも、矩形の突出部１６
が残るようにスロツト１５を打ち抜き、突出部１
６を折り曲げることにより長丸形のスロツト１５
となるように構成したが、ストラツプ１３にＣ字
形の切り込みを入れ、その内方の長丸形部分を突
出部とし、この突出部の上下何れか一方のスリツ
ト１４ａが形成されていない半円形部分を、格子
空間側へ折りまげ、残部を突出部とする構成でも
よい。折りまげられた前記半円形部分により、冷
却材の混合が促進される。

なお、上述の各実施例とも、全スロツトに突出
部を設けてあるが、必ずしも全部に設けなくても
よく、座屈強度を特に強くしたい部分にのみ限定
して設けてもよい。

「発明の効果」 この発明による支持格子は、ストラツプに突出
部を形成し、この突出部を折り曲げて、他のスト
ラツプの板面上か、あるいは他のストラツプの突
出部に固定した構成になつているので、支持格子
の強度低下の要因となるスロツトおよびスプリン
グの近傍を補強し、支持格子を構成するストラツ
プの板厚を増大することなく、支持格子に加えら
れる圧力に対して強い座屈強度を得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図はこの発明の第一実施例を
示す図であつて、第１図は支持格子の要部の平面
図、第２図はストラツプの斜視図、第３図は同斜
視図（突出部を折り曲げた状態）、第４図は支持
格子の要部の一部破断斜視図、第５図はこの発明
の第二実施例を示す図であつて、支持格子の要部
の平面図、第６図はこの発明の第三実施例を示す
図であつて、支持格子の要部の平面図、第７図な
いし第１１図は従来の燃料集合体の支持格子を示
す図であつて、第７図は燃料集合体の一部断面
図、第８図は第７図の−線断面図、第９図は
支持格子の要部の平面図、第１０図はストラツプ
の正面図、第１１図は支持格子の要部の一部破断
斜視図である。 ３，３ａ……支持格子、１３……ストラツプ、
１４……スリツト、１５……スロツト、１６……
突出部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 帯状の薄板にその長手方向と直角な方向に一
   定間隔毎に多数の切り込みを入れてスリツトを形
   成し、これら各スリツト間にスロツトを形成して
   なるストラツプを多数用いて、これらストラツプ
   の上記スリツトを互いに嵌め合わせて縦横に組ん
   で格子状に形成した核燃料集合体の支持格子にお
   いて、上記ストラツプに、上記スロツトの周縁部
   から上記ストラツプの長手方向に沿つて突出する
   突出部を設け、この突出部を折り曲げ、この折り
   曲げた突出部を他のストラツプの板面上か、ある
   いは他のストラツプの突出部に固定してなること
   を特徴とする核燃料集合体の支持格子。