JPH05117659A - 垂直式コークス炉 - Google Patents

垂直式コークス炉

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JPH05117659A
JPH05117659A JP3286372A JP28637291A JPH05117659A JP H05117659 A JPH05117659 A JP H05117659A JP 3286372 A JP3286372 A JP 3286372A JP 28637291 A JP28637291 A JP 28637291A JP H05117659 A JPH05117659 A JP H05117659A
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coke oven
furnace
flue
vertical
batteries
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JP3286372A
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Kiyoshi Miura
潔 三浦
Kunihiko Nishioka
邦彦 西岡
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】炉の大型化と設備費の低減および熱効率の向上
を図ることができる垂直式コークス炉を提供する。 【構成】二つの炉団を有し、それぞれの炉団の燃焼排ガ
ス煙道13が互いに隣接し、この隣接部を中心として両炉
団が対称に配置され、かつ、連結されている垂直式コー
クス炉。燃焼排ガス煙道を両炉団が共用する一つの煙道
とすれば、煙道の設置スペースと設備費を低減すること
ができる。また、この垂直式コークス炉において、炭化
室の短辺側側面に隣接する耐火物壁内に予熱空気上昇通
路と燃焼排ガス下降通路とを設置すれば、熱効率をさら
に向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、設備費や操業費が低
く、建設用地が少なくてすみ、かつ、作業環境の改善や
環境汚染の防止を効果的に行うことができる垂直式コー
クス炉に関する。
【0002】
【従来の技術】現在一般に使用されているコークス炉は
水平式コークス炉と呼ばれる形式のもので、石炭は炭化
室(以下、「炉」ともいう)の上部から装入され、製品
コークスは押出機により水平方向に排出される。この形
式のコークス炉は歴史が古く、操業に関する知見も多い
が、その構造上コークスを排出するために炉の両側面に
炉の高さと同じ高さの扉(炉蓋と称する)を設ける必要
がある。また、乾留中には炉蓋からのガス漏れが多く、
コークスの排出時には煤塵の発生が避けられず、環境汚
染を引き起こすという問題を抱えている。さらに、付帯
設備として装炭車、押出機、ガイド車、消火車などの移
動機械を必要とするため、それらの設備費の負担が大き
く、運転要員の確保が必要であり、しかもその作業環境
は必ずしも良好とは言えない。さらには、押出機、ガイ
ド車、消火車の設置スペースも必要である。
【0003】近時、コークス炉の設備更新に際しては、
上記水平式コークス炉の問題点を軽減するために、コー
クス炉の大型化による生産性の向上と、環境汚染の原因
となる煤塵の発生やガス漏れの防止が図られているが、
コークス炉を大型化すると、それに伴って移動機械も大
型化するので必ずしも設備費の低減に結び付かず、ま
た、環境汚染の防止も十分にはなし得ない。
【0004】このような従来の水平式コークス炉におけ
る課題を整理すると、次のとおりである。
【0005】 付帯設備である移動機械が不可欠で、
設備費の増加を伴い、省力(運転要員の削減)、省立地
(建設用地の低減)の面でも不利である。
【0006】 炉の開口部からの煤塵の発生が避けら
れず、良好な作業環境の確保、環境汚染の防止が難し
い。
【0007】一方、これまで操業の無人化、連続化、無
公害を特徴とする成型コークス法についても種々検討さ
れてきたが、まだ実用に供されるまでには至っていな
い。成型コークス法は、粉状の石炭を豆炭状に塊成化
し、この塊成物を直接ガス加熱することによりコークス
とするものであるが、成型時に使用するタールやピッチ
系の結合材から発する臭気は、環境上好ましいものでは
ない。また、成型コークス法で使用する石炭の種類に制
約があるため、原料品位対応性が低い。さらに、乾留に
使用する加熱用ガスは乾留で発生するガスと混合される
ので必然的にガス量が増え、ガス処理設備は水平式コー
クス炉の場合の設備規模の数倍にまで増強しなければな
らず、設備費の大幅な低減も期待できない。
【0008】外熱式のコークス炉については、歴史的に
はヨーロッパで水平式コークス炉以外に垂直式コークス
炉も一部実用に供され、わが国でも一部で実用されてい
る。
【0009】それらの垂直式コークス炉は、粉状の石炭
もしくは成型炭を炉の上部から装入し、コークスの排出
を炉の下部から自重で行うもので、移動機械をほとんど
使用することなく操業することができるという利点があ
る。しかし、それらのほとんどが大型化されないまま消
滅し、または細々と操業をしているにすぎない。これ
は、垂直式コークス炉に下記のような問題があるためと
されている。
【0010】 大型化して炉高を拡大するとコークス
炉の構造物としての安定性が損なわれる。
【0011】 水平式コークス炉に較べて熱効率が悪
く、大型化しても熱経済的に不利である。
【0012】以上述べたように、従来の水平式コークス
炉によるコークス製造技術の改善では、環境汚染の防
止、設備費や操業費の低減、設備設置スペースの削減な
どの問題に対処するには不十分で、新しい垂直式コーク
ス炉による製造技術の創出が強く望まれている。
【0013】このような従来のコークス炉がもつ問題点
を解決するため、本出願人は炭化室の両側の耐火物壁内
に垂直フリューを設けた垂直式コークス炉を提案し(特
願平2−99940 号)、さらに、垂直式コークス炉で有利
とされる水平ツインフリューによる加熱方法について出
願した(特願平3−175412号および特願平3−221672
号)。特願平2−99940 号で提案した垂直式コークス炉
を用いると、設備費を低減することができ、乾留効率の
向上、作業環境の改善等の効果が得られる。また、特願
平3−175412号および特願平3−221672号で提案した水
平ツインフリューによる加熱方法を実施することによ
り、炭化室天井部におけるカーボン析出の防止ならびに
炉内の石炭の均一加熱が可能となり、乾留効率をさらに
向上させて、生産性の向上、コークス品質の安定化を図
ることができる。
【0014】しかしながら、実際の生産設備では炭化室
とフリューを並列に配列して炉団を構成し、コークス炉
全体の大型化を図るとともに、熱効率をさらに向上させ
ることが必要である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、移動機械を
ほとんど使用することなく操業することができるという
垂直式コークス炉の利点を生かしつつ、炉の大型化と熱
効率の向上を図ることのできる垂直式コークス炉を提供
することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記の
第1発明ないし第3発明の垂直式コークス炉にある。
【0017】第1発明(図1および図2参照):水平断
面が矩形をなし、石炭の装入口とコークスの排出口がそ
れぞれ上部および底部に取り付けられた炭化室1と、多
段の水平ツインフリュー7とが、耐火物壁を挟んで炭化
室の炉長方向と平行に、かつ交互に複数組配設されてな
る二つの炉団を有する垂直式コークス炉であって、それ
ぞれの炉団の熱交換室に接続する燃焼排ガス煙道13が互
いに隣接し、この隣接部を中心としてそれぞれの炉団の
炭化室の炉幅方向が互いに平行をなす状態で両炉団が対
称に配置され、かつ、連結されていることを特徴とする
垂直式コークス炉。
【0018】第2発明(図3参照):燃焼排ガス煙道13
が両炉団に共用される一つの煙道であることを特徴とす
る第1発明の垂直式コークス炉。
【0019】第3発明(図4および図5参照):炭化室
の短辺側側面に隣接する耐火物壁内に、多段の水平ツイ
ンフリューに熱交換室を通過した予熱空気を供給する予
熱空気上昇通路9と、前記水平ツインフリューから排出
される燃焼排ガスを熱交換室へ導く燃焼排ガス下降通路
10とが設置されていることを特徴とする第1発明または
第2発明の垂直式コークス炉。
【0020】本発明の垂直式コークス炉の構成を図面を
用いて説明する。
【0021】図1は、第1発明の垂直式コークス炉を例
示する一部縦断正面図であり、図2の(a) 図は、図1の
A−A矢視断面図、(b) 図は図1のB−B矢視断面図で
ある。
【0022】図1および図2において、1は石炭を乾留
する炭化室、2は炭化室1の上部に設けられた石炭装入
口、3は炭化室で発生した乾留ガスを排出するための上
昇管、4は石炭装入時の粉塵を集塵する集塵口、5はコ
ークスを排出するための炉蓋、6は乾留後のコークスを
受け入れる消火台車、7は耐火物壁17を挟んで炭化室1
に隣接して設けられた水平ツインフリュー(加熱炎
道)、8は燃料ガスを水平ツインフリュー7に送り込む
燃料ガス導入口、9は炭化室1の短辺側側面に隣接する
耐火物壁17内に設けられた予熱空気上昇通路、10は同じ
く炭化室1の短辺側側面に隣接する耐火物壁17内に設け
られた燃焼排ガス下降通路、11は水平ツインフリュー7
内の燃焼状況を点検する点検孔、12は燃焼排ガスの顕熱
で空気を予熱するための熱交換室、13は熱交換された後
の燃焼排ガスを排出するための煙道、14は両炉団を連結
するための構造物、15は炉団を炉長方向に炉締するため
のバックステー、16はバックステー15を用いる炉締装置
である。
【0023】第1発明では炭化室1と多段水平ツインフ
リュー7とが耐火物壁17を隔壁として交互に配設されて
なる二つの炉団が、それぞれの燃焼排ガス煙道13の隣接
部を中心として対称位置に設置されている。そして、両
炉団は構造物14によって連結され、バックステー15を用
いる炉締装置16で炉締めされて構造的に強固な炉団が構
成されている。
【0024】図3は、第2発明の垂直式コークス炉の一
例の縦断側面図で、(a) 図は炭化室の縦断面を示す図、
(b) 図は水平ツインフリューの縦断面を示す図である。
この図に示されるように、燃焼排ガス煙道13は一つで、
二つの炉団のそれぞれの熱交換室12の中央に設けられ、
両炉団で共用できるように構成されている。
【0025】図4は、第3発明の垂直式コークス炉に設
けられている多段の水平ツインフリューの一つの段の構
造例を示す図であり、(a) 図は縦断面図、(b) 図は横断
面図である。この図において、燃焼排ガス下降通路10と
予熱空気上昇通路9とは炭化室1の横断面における短辺
側側面に隣接する耐火物壁17内に設けられ、燃焼排ガス
顕熱の回収が可能なように構成されている。この場合、
燃焼排ガス下降通路10を炭化室1と予熱空気上昇通路9
との中間位置に設置して、炭化室内の石炭層を加熱する
とともに予熱空気の加熱も行えるように構成するのが望
ましい。
【0026】
【作用】上記のように構成された本発明の垂直式コーク
ス炉の作用について、以下に説明する。
【0027】前記図1、図2及び図3に示した垂直式コ
ークス炉において、石炭は炉の上部に設けられた石炭装
入口2から炭化室1に装入される。加熱は炭化室1に隣
接して配置された水平ツインフリュー7から耐火物壁17
を介して行われる。燃料ガスは燃料ガス導入口8から水
平ツインフリュー7に導入され、空気は熱交換室12と炭
化室短辺側側面に設置された予熱空気上昇通路9を通過
する間に、燃焼排ガスと熱交換することによって予熱さ
れ、水平ツインフリュー7に導入される。ここで空気と
燃料ガスとが混合され、燃焼に供される。乾留時に発生
するガスは上昇管3から排出され、回収される。乾留さ
れたコークスは炭化室1の底部に設けられた炉蓋5を解
放することにより、自重で排出される。
【0028】上述のように石炭を乾留する過程で、石炭
はプラスティック状態となって膨張する。従って、炭化
室1と水平ツインフリュー7との間の耐火物壁17に膨張
圧が作用し、れんがの亀裂や割れの発生原因となり、耐
火物壁17内のガスの通路のガスシール部に障害を生ずる
ことになる。このため通常の水平式コークス炉では、コ
ークスの押出し側と排出側に設けたバックステーを用い
て炉締めして、耐火物壁に石炭膨張圧より大きい炉締力
を加え、れんがの亀裂や割れの発生を防止するのが一般
的である。
【0029】第1発明のコークス炉においては、二つの
炉団の熱交換室12に接続する燃焼排ガス煙道を互いに隣
接させ、それらを中心として両炉団を対称位置に設置
し、さらに両炉団を構造物14を介して連結しているの
で、互いに他方の炉団を補強壁として利用することがで
きる。従って、従来の水平式コークス炉におけると同様
の炉締装置の使用が可能となり、強固な炉締力を得るこ
とができ、従来困難とされてきた垂直式コークス炉の炉
長方向および炉高方向にわたっての大型化が可能とな
る。なお、構造物14を作業デッキとして用いることもで
き、多段水平ツインフリュー7内の燃焼状態を点検孔11
で点検看視して炉高方向の燃焼ガスおよび空気流量を調
整し、均熱乾留することができるので、コークス品質の
バラツキを少なくすることができる。
【0030】第2発明のコークス炉においては、燃焼排
ガス煙道が両炉団で共用できるように構成されているの
で、設備コストの低減が可能となり、また、煙道の設置
スペースを減少させることができる。
【0031】上記第1発明および第2発明のコークス炉
において、燃焼排ガス下降通路10と予熱空気上昇通路9
とを炭化室1の短辺側側面に隣接する耐火物壁17内に設
置すれば、熱交換室12の下部から導入される空気は、熱
交換室12と予熱空気上昇通路9を通過する間に燃焼排ガ
スと熱交換し、高温に予熱される。従って、良好な燃焼
状態が得られ、燃焼排ガス顕熱の有効活用が可能になる
とともに、炉体全体の熱放散面積が減少するので、乾留
熱量原単位を大幅に向上させることができる。
【0032】なお、高温の燃焼排ガス下降通路10を予熱
空気通路9と炭化室1との間に設置する方が、放散熱を
少なくできるので好ましい。
【0033】本発明の垂直式コークス炉では、コークス
が自重で排出されるので、水平式コークス炉に不可欠な
押出機およびガイド車が不要である。また、コークス炉
から発生する煤塵は炉底の炉蓋5を解放したときに発生
するだけであり、水平式コークス炉に比較して集塵も容
易なので煤塵の発生を大幅に減らすことができ、作業環
境の改善、粉塵公害の防止という点でも有利である。
【0034】以下に、本発明のコークス炉における二つ
の炉団を一体化するための炉締力の試算結果について述
べる。
【0035】図1および図2に示した第1発明の垂直式
コークス炉において、炉壁耐圧強度を計算して石炭の膨
張圧による耐火物壁の炉幅方向における変形を抑えるた
めに必要な炉締力(炉長方向に耐火物壁(炉体)を締め
つける力)を求めた。なお、比較のため、第1発明の垂
直式コークス炉の二つの炉団の炉容積と同一の炉容積を
有する水平式コークス炉における必要炉締力も算出し
た。計算に用いた炉体寸法を表1に示す。炉幅、フリュ
ー幅および耐火物壁の厚さは垂直式コークス炉と水平式
コークス炉とで等しくし、炭化室内の加熱パターンを同
一として炉の生産性およびコークス品質が同等になるよ
うにした。
【0036】乾留中の石炭の膨張圧による炉壁への荷重
量を大きめに見積って0.0005kg/mm2とした場合の耐火物
壁に生じる応力から算出した必要な炉締力の計算結果を
表1に併せ示す。
【0037】第1発明の垂直式コークス炉では炉長方向
の炉締力は0.019kg/mm2で、水平式コークス炉の場合よ
り強化する必要があるが、この垂直式コークス炉では炉
団の構成が構造的に強固で、強い炉締力を与えることが
できるので、十分対処できると判断された。
【0038】
【表1】
【0039】次に、乾留所要熱量の試算結果について述
べる。
【0040】図1および図2に示した第1発明の垂直式
コークス炉(排ガス煙道単独)と図3に示した第2発明
の垂直式コークス炉(排ガス煙道共用)における乾留所
要熱量を計算で求め、第1発明の垂直式コークス炉の二
つの炉団のそれぞれを単独に有する垂直式コークス炉を
用いる場合(垂直炉単独建設)、および第1発明あるい
は第2発明の垂直式コークス炉と同一の炉容積を有する
水平式コークス炉における乾留所要熱量と比較した。
【0041】炉体寸法を表2に示す。フリューおよび炭
化室の寸法はいずれの場合も等しくして、石炭層への伝
熱量および伝熱速度が同じになるようにした。従って、
乾留所要熱量に及ぼす影響は炉体放散熱が支配的とな
り、炉体表面積の差が熱効率を支配するので、外気に接
する炉体表面積を算出して炉体放散熱量を評価し、乾留
所要熱量を比較した。結果を表2に併せ示す。
【0042】第2発明の垂直式コークス炉(排ガス煙道
共用)、および第1発明の垂直式コークス炉(排ガス煙
道単独)では、二つの炉団のそれぞれを単独に有する垂
直式コークス炉(垂直炉単独建設)に較べて、炉体表面
積が減少するので乾留所要熱量が低下した。特に、燃焼
排ガス煙道を共用する第2発明の垂直式コークス炉(排
ガス煙道共用)では、二つの炉団のそれぞれを単独に有
する垂直式コークス炉(垂直炉単独建設)に較べて炉体
表面積が約10%減少し、それに伴って乾留所要熱量が石
炭1kgにつき14kcal低下し、大きい熱効率向上効果が得
られた。また、排ガス煙道を共用することにより煙道の
設置スペースおよび築炉用のレンガ量が低減するので、
設備コスト上でも有利になる。
【0043】なお、水平式コークス炉と垂直式コークス
炉(垂直炉単独建設)とを較べると、垂直式コークス炉
(垂直炉単独建設)では1門当たりの炭化室の炉容積が
水平式コークス炉の1/2 であり、総炉容積を等しくする
には水平式コークス炉の2倍の炉門数が必要となるた
め、炉体表面積が増大し、乾留所要熱量上は不利とな
る。しかしながら、第2発明の垂直式コークス炉(排ガ
ス煙道共用)および第1発明の垂直式コークス炉(排ガ
ス煙道単独)では、炉体表面積の増大を抑制することが
でき、乾留所要熱量の悪化を最小限に抑えることが可能
である。
【0044】
【表2】
【0045】
【実施例】図5に示す試験用の垂直式コークス炉を用い
て乾留試験を行った。試験コークス炉の炭化室1の寸法
は高さ(H)2.6m,長さ3.0m, 幅(W)450mmで、その両側に前
記の図4に示す構造の水平ツインフリュー7が4段設け
られている。なお、比較のため、燃焼排ガス通路だけが
炭化室短辺側側面の耐火物壁内に設置され、熱交換室7
で予熱された空気を炉の外部に設けた断熱材をライニン
グしたパイプを通して水平ツインフリューに導入するよ
うに構成された試験コークス炉についても同様の試験を
行った。
【0046】表3に示す性状の石炭を試験垂直式コーク
ス炉の石炭装入口2から炭化室1内に装入し、四段の水
平ツインフリュー7のそれぞれに熱量4600kcal/Nm3の燃
料ガスと熱交換室12で予熱された空気とを導入して加熱
を行った。燃焼排ガスは実施例、比較例のいずれにおい
ても熱交換室12を通過して空気を予熱した後、煙道から
排出される。
【0047】試験においては、4段の水平ツインフリュ
ー7における入側の予熱空気温度および出側の燃焼排ガ
ス温度、熱交換室12における入側の燃焼排ガス温度およ
び出側の予熱空気温度を測定した。また、炭化室1内で
は、発生ガスの組成変化と温度変化を測定し火落時間を
判定した。さらに、炭化室内コークスを排出し消火した
後、任意の9箇所におけるコークスをサンプリングして
コークス強度を測定し、コークス強度のバラツキ(標準
偏差)を調査した。
【0048】試験結果を表4に示す。なお、予熱空気温
度、燃焼排ガス温度はいずれも平均値で示した。実施例
および比較例の熱交換室における入側の燃焼排ガス温度
および出側の予熱空気温度は等しくなっており、同等の
熱交換が行われたことを示している。実施例では、炭化
室側方の耐火物壁内で燃焼排ガスと予熱空気とがさらに
熱交換するため、予熱空気の温度は熱交換室出側におけ
る温度 600℃から 700℃まで上昇し、水平ツインフリュ
ーの燃焼部での温度が上昇するとともに水平ツインフリ
ュー出側の燃焼排ガス温度も上昇して1070℃となり、炭
化室側方面の加熱および予熱空気の加熱に供された後、
比較例と同等の排ガス温度である950 ℃まで低下して熱
交換室に導入される。
【0049】一方、比較例では空気は熱交換室で600 ℃
まで予熱されるものの、コークス炉の外部配管を通過す
る間に放熱し、550 ℃まで低下して水平ツインフリュー
に導入される。従って、水平ツインフリュー内での燃焼
温度も低下し、フリュー出側の排ガス温度は実施例の場
合よりも低下して1000℃となった。
【0050】炭化室内での乾留では、実施例と比較例と
で同じ量の燃料ガスと空気を導入したにもかかわらず、
実施例の方が比較例よりも空気の予熱を強化できたの
で、その分、燃焼効率が上回り、火落時間を短縮するこ
とができた。総乾留時間は24時間であり、実施例では十
分に置時間をとることができ、その結果、コークス強度
の平均値が向上するとともにコークス強度のバラツキも
減少した。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【発明の効果】本第1発明の垂直式コークス炉によれ
ば、二つの炉団に対して炉長方向および炉高方向にわた
って強固な炉締を行うことができ、垂直式コークス炉の
大型化が可能となる。また、本第2発明の垂直式コーク
ス炉によれば、燃焼排ガス煙道を二つの炉団で共用する
ことができるので、乾留効率を向上させ、建設用地を減
少させることができ、煙道建設のための設備コストを低
減することができる。さらに、本第3発明の垂直式コー
クス炉によれば熱放散面積を減少させ、炉全体としての
熱効率を向上させることが可能となる。
【0054】上記のように、本発明の垂直式コークス炉
を用いれば、コークスを押出機やガイド車を用いず自重
で炉底から排出するすることができるという垂直式コー
クス炉の優れた特徴を維持しながら、その課題とされ
る、炉の大型化と熱効率の改善を図ることができ、従来
の垂直式コークス炉と比べて設備費の低減、熱効率の向
上、作業環境の改善、公害の防止など種々の面で優れた
効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の垂直式コークス炉を例示する一部縦断
正面図である。
【図2】図1に示す垂直式コークス炉の縦断側面図で、
(a) 図は図1のA−A矢視断面図、(b) 図は図1のB−
B矢視断面図である。
【図3】本発明の垂直式コークス炉の他の例の縦断側面
図であり、(a) 図は炭化室の縦断面を示す図、(b) 図は
水平ツインフリューの縦断面を示す図である。
【図4】図4は本発明の垂直式コークス炉における水平
ツインフリューの1段の構造例を示す図で、(a) 図は縦
断面図、(b) 図は横断面図である。
【図5】実施例に用いた試験用の垂直式コークス炉の縦
断正面図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水平断面が矩形をなし、石炭の装入口とコ
    ークスの排出口がそれぞれ上部および底部に取り付けら
    れた炭化室と、多段の水平ツインフリューとが、耐火物
    壁を挟んで炭化室の炉長方向と平行に、かつ交互に複数
    組配設されてなる炉団を二つ有する垂直式コークス炉で
    あって、それぞれの炉団の熱交換室に接続する燃焼排ガ
    ス煙道が互いに隣接し、この隣接部を中心としてそれぞ
    れの炉団の炭化室の炉幅方向が互いに平行をなす状態で
    両炉団が対称に配置され、かつ、連結されていることを
    特徴とする垂直式コークス炉。
  2. 【請求項2】燃焼排ガス煙道が両炉団に共用される一つ
    の煙道であることを特徴とする請求項1記載の垂直式コ
    ークス炉。
  3. 【請求項3】炭化室の短辺側側面に隣接する耐火物壁内
    に、多段の水平ツインフリューに熱交換室を通過した予
    熱空気を供給する予熱空気上昇通路と、前記水平ツイン
    フリューから排出される燃焼排ガスを熱交換室へ導く燃
    焼排ガス下降通路とが設置されていることを特徴とする
    請求項1または2に記載の垂直式コークス炉。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100987810B1 (ko) * 2008-04-10 2010-10-13 천필지 코크스 제조방법 및 장치
CN103756691A (zh) * 2014-01-29 2014-04-30 刘运良 横向连续加热、竖向排焦式炼焦炉
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CN110408412A (zh) * 2019-08-23 2019-11-05 华泰永创(北京)科技股份有限公司 一种空气预热式热回收焦炉
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