JPH0511485B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は実験用の濾過装置、特に、瓶型のフイ
ルタ装置の改良に関する。瓶型フイルタ装置は、
組織培養基、生物流体、添加剤等の水溶液を減菌
又は清澄するために実験室で盛んに用いられてい
る。

（従来の技術） 従来、瓶型フイルタ装置は濾過液を採集貯蔵す
るための瓶と一緒に販売されていた。いうまでも
なく、これらの瓶はフイルタ装置全体の価格を高
騰させ、しかも、広い貯蔵スペースを要求する。
斯かる瓶の首部は比較的大きく、通常、瓶フイル
タ装置に用いられるフイルタの直径に合致する。
濾液がフイルタを通つて直接ビンの中に入るとい
う考えでフイルタと瓶の首部の寸法を決定してい
たようであるが、フイルタ装置を設計するに際し
て小型化するとか、或いは瓶の首部が比較的大き
いということは考慮されていなかつた。

（発明が解決しようとする課題） 本発明の目的は、濾過された流体を貯蔵瓶に効
果的に採集貯蔵することのできる瓶型フイルタ装
置を提供することにある。

フイルタ装置は、既に濾過された所定量の血清
や抗生物質等の液体を開けた直後の減菌剤入り瓶
内に注ぐために用いられる。従来の瓶型フイルタ
装置では、使用者は、先ず、液体をフイルタ装置
の漏斗に注ぎ込み、次いで、装置を負圧源に接続
し、液体が濾過されると、その濾過された液体が
特殊な瓶内に流入するまで待機して、その後、流
体を斯かる瓶から貯蔵瓶に注入していた。本発明
では、フイルタ装置を貯蔵用の瓶に直接螺合させ
たので、濾液を貯蔵瓶に直接注ぐことができる。

（課題を解決するための手段） 本発明によれば、瓶型フイルタ装置はアダプタ
を有しており、このアダプタは、125ミリリツト
ル、500ミリリツトル又は1000ミリリツトルの濾
液貯蔵瓶の標準的な33ミリメートルの首部に直接
取り付けられる。濾液貯蔵瓶は多くの実験室で一
般に用いられているものであり、特別の瓶を別途
購入する必要はない。又、濾過用の瓶として空に
なつた貯蔵用の瓶を用いることもできる。瓶型フ
イルタ装置は、漏斗と、アダプタと、フイルタと
から構成され、これら３つの部材はそれぞれ別個
に製造されるが、最終的には一体的に固定され
る。フイルタは漏斗底壁の上面に設けられ、又、
アダプタは異つて寸法の漏斗に用いることができ
るように設計される。漏斗の底壁に成形されたグ
リツド状の部分がフイルタを支持し且つフイルタ
を通過する流体を底壁の中央に流し、更にアダプ
タの内部を延伸するステム側へ向けて下方に流
す。

（実施例） 瓶型フイルタ装置は、別々に形成される３つの
部材、即ち、漏斗１０と、アダプタ１２と、フイ
ルタ１４とから主に成る。別個に形成された３つ
の部材は互に固定されて第２図乃至第５図に示す
ように瓶型フイルタ装置を構成する。第１図にお
いて、装置は濾液貯蔵瓶Ｂに螺合された状態で示
されている。

漏斗１０は、下方に向けて先細に形成された側
壁２０と、この側壁２０と一体的に形成され、水
平に延在する底壁２２とを有する。側壁２０は平
坦な底壁２２側に向けて、即ち、下方に向けてそ
の直径が減少している。側壁はわずかにテーパを
付された上部２０ｂと、垂直線に対して上部より
もより鋭いテーパを付された下部とを有する。第
２図に示すように上部２０ａには目盛を付すのが
好ましい。図示実施例では、上部２０ａと下部２
０ｂは、垂直線に対して1.5度と60度の角度で
夫々傾斜している。

側壁２０の頂部の周囲にはリツプ部２６が形成
されており、また漏斗は覆いふた２８を有してい
てこのふたは厚みを増されたリツプ部２６の頂面
に形成された凸部すなわちスタンド・オフ（図示
せず）上に載せられている。ふた２８は、漏斗上
に載置されると、このふたの下部から漏斗の中に
空気が入ることを許容するが、漏斗の中に異物が
入ることは防止する。

第２図乃至第５図に示すように、漏斗１０の平
坦な底壁２０にはグリツド状のフイルタ支持部材
２４が設けられており、この支持部材２４は同心
状に隆起した複数のリブ３２を有する。各々のリ
ブ３２は、いくつかの箇所において切断され、径
方向に伸びる複数の溝３６を形成する。溝は底壁
２２の外周縁２３から中心部２５に向つて延伸す
る。中心部２５には開口４０が形成されており、
この開口は底壁２２を貫通する。開口４０上には
この開口を横断しかつ環状のリング４４により接
合された複数の径方向のリブ４２が設けられてい
る。径方向のリブ４２の中の１つ置きのリブは開
口４０の中心において互に交差しており、また残
りのリブはリング４４におけるそれらの径方向内
端において終端している。リブ３２およびリブ４
２の高さは全て同一であり、これらリブと接触し
た状態で底壁２２の上面の適所にセメント付け等
の方法で固定されるフイルタ１４に対するグリツ
ド状の支持体を提供する。フイルタ１４を通過し
た流体は環状のリブ３２の間の輪状の溝４６に入
り、次いで径方向の溝３６を介して結局底壁の中
心部２５に位置する開口４０に到達する。

フイルタ１４は種々のものを用いることができ
るが、濾過すべき流体の性質に基づいて決められ
る。フイルタの代表的なものは、超低結合セルロ
ール・アセテート膜或いは低結合減菌ポリエーテ
ル・スルフオン膜である。ナイロン、ウレタン、
ポリプロピレン或いはフアイバー・グラス等、適
宜のフイルタ材料を用いることもできる。開口の
大きさは0.2乃至0.4ミクロンのものが用いられ
る。

上下の端部が開口したステム５０は、漏斗１０
の底壁の一部として一体に成形することができ、
またこのステムの上端は開口４０の周囲に延在す
る。ステム５０は、第２図に示すように、開口４
０、側壁２０及び底壁２２の同心状に設けられて
いる。したがつて、側壁および底壁によつて画成
される漏斗の上部からフイルタ１４および開口４
０を通つて流れる流体は必然的にステム５０に入
りその中を流れる。

アダプタ１２は、その上端に設けられ且つ小さ
な溝６４を形成しているＬ字型のフランジ６２を
有する略々筒状の円筒壁６０を備える。この小さ
な溝６４には、漏斗の底壁２２の底面に形成され
た環状のビード６６が挿入されている。ビード６
６は溝６４の中に超音波溶接等適宜の手段によつ
て固着され、これによりアダプタ１２が底壁２２
の下面に固定される。円筒壁６０を横断して隔壁
６８が伸びている。この隔壁はその中央部が開口
しており、また円筒状のカラー７０がこの隔壁の
内端から下方に垂下している。アダプタ１２を漏
斗１０に取付けると、ステム５０はカラー７０と
同心状に伸びかつカラーとは間隔をなす。第２図
からステム５０の下端７４はカラー７０の下端７
６よりも下方へ突出しているが、その理由は後述
する。

円筒壁６０と一体にニツプル８０が形成されて
おり、このニツプルは壁６０から径方向外方に延
伸する。ニツプル８０は中央開口８２を有してお
り、中央開口は円筒壁６０に設けられるポート８
４と連通し、隔壁６８上方のアダプタ１２の環状
の室８５に対する流路を形成する。ニツプル８０
は管８８に連結するようになされており、一方こ
の管８８は装置を利用するときに真空ポンプ（図
示せず）に連結される。

アダプタ１２の円筒壁６０と一体の部分として
雌ねじを有する螺合部１００が形成されている。
螺合部１００は標準的なガラス製の濾液貯蔵瓶Ｂ
の首部Ｎに螺合可能な寸法に形成されている。標
準サイズの濾液貯蔵瓶の首部は外径が約25ミリメ
ートル、幅が１ミリメートル、高さが1.3ミリメ
ートル、ピツチが25ミリメートルである。

円筒壁６０およびカラー７０の間の隔壁６８の
下面には封止用ガスケツト１１０が固定されてい
る。このガスケツト１１０はアダプタに螺合する
瓶のリツプと係合してリツプとの間を密封する。
これにより、アダプタの内部は低圧又は負圧状態
に保持され、従つて、漏斗からフイルタ１４およ
びアダプタ１２を経て溶媒等の流体が瓶等、適宜
の容器内に吸引吸入される。

上述の如く、本発明の瓶型フイルタ装置は、主
に、組織培養基、生物流体、添加剤等の水溶液を
滅菌又は純化するために用いることができる。使
用に際しては、漏斗１０とフイルタ１４を有する
アダプタ１２とから成る瓶型フイルタ装置を減菌
あるいは純化された流体を収集するための容器に
螺合する。次いで、流体を漏斗１０の中に注ぎ、
覆いふた２８を漏斗のリツプ１６上に載置し、か
つホース８８等の管状部材をニツプル８０および
真空ポンプ（図示せず）に連結する。

本発明の新規な特徴により、アダプタ１２の螺
合部１００は濾液を採集するための標準の濾液貯
蔵瓶に直接螺合可能な寸法に形成されている。ま
た、このアダプタは勿論瓶型フイルタと共に売ら
れ、標準サイズの濾液貯蔵瓶の首部のねじ部と同
様の機能を有する濾過瓶に螺合することも可能で
ある。

ホース８８を介して真空を付与するとアダプタ
１２の中、特に漏斗１０の底壁２２の下方且つ、
フイルタ１４の下の室８５の中に低圧又は負圧領
域が形成される。濾液貯蔵瓶Ｂの首部Ｎは、ガス
ケツト１００によりアダプタに対して密封されて
いるために、何等問題なくフイルタの下方のアダ
プタの中は負圧状態となる。アダプタの中が負圧
になると、フイルタ１４を通つて濾過される流体
の流速は加速し、この流体は溝４６及び溝３６の
中に入つて開口４０へ、そして更にステム５０の
中を流入する。ステム５０の下端７４がカラー７
０の下端７０より下方へ伸びているため、流体は
ステムの下端７４からフイルタが載置されている
容器の中へ直接流下し、室８５或いは管８８の中
へ向つて上方へ吸引されることはない。

別個に製造されるアダプタ１２は種々の容量の
漏斗と共に使用するかとができる。即ち、アダプ
タ１２を製造するために用いられる道具は異つた
寸法の瓶型フイルタ装置の製造に用いることがで
きる。より大きな瓶型フイルタ装置においては、
より大きな濾過面積を有するより大きな底壁が設
けられるが、異つた寸法の漏斗において一定の寸
法のステムを用いる限り単一のアダプタを用いる
ことができる。

使用者は、螺合部を利用して瓶型フイルタ装置
を開けた直後の濾液貯蔵瓶に直接螺合すれば、濾
過した流体を他の部材を介在させることなく注ぎ
足すことができる。又、洗浄された標準型のガラ
ス瓶をフイルタ装置と併用しても濾過された液体
を別の目的で採集することもできる。

以上に本発明を詳述したが、当業者には本発明
の範囲内において種々の変形例を行うことができ
ることは理解されよう。例えば、好ましい実施例
において、アダプタは標準型の濾液貯蔵瓶に螺合
するように設計されているが、多くの実験室で使
用され且つより大きな首部を有する周知のシヨツ
ト・ボルト（Schott bottle）の首部に螺合する
ように設計することも可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は標準型の濾液貯蔵瓶に取り付けられた
本発明の瓶型フイルタ装置の斜視図、第２図は第
１図に示す瓶型フイルタ装置の拡大部分断面図、
第３図は第２図の３−３線断面図、第４図及び第
５図は第３図の４−４線及び５−５線断面図であ
る。 １０：漏斗、１２：アダプタ、１４：フイル
タ、２０ａ，２０ｂ：側壁、２２：底壁、４０：
開口、４２：リブ、５０：ステム、６８：隔壁、
７０：カラー。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 瓶型フイルタ装置であつて、 側壁が下方に向けて先細に延在し、底壁の中心
   に開口が形成された漏斗と、 前記漏斗の一部として一体的に形成され、前記
   漏斗底壁の下面から垂下すると共に、上下の端部
   が開口し、該上端が前記漏斗底壁の開口の周囲に
   延在して前記漏斗内の流体を流入せしめるステム
   と、 前記漏斗内の流体を濾過するフイルタと、 前記漏斗底壁の上面に断続的且つ同心状に形成
   された複数個のリブを備え、前記フイルタを上面
   に支持すると共に、該フイルタを通過する流体を
   全て前記漏斗底壁の開口を介して前記ステムへ導
   くフイルタ指示部材と、 前記漏斗底壁の下面に取り付けられると共に、
   前記ステムと同心状に且つ該ステムから離間して
   設けられた略々筒状の円筒壁を有するアダプタ
   と、 前記アダプタの円筒壁に連結され、該円筒壁の
   軸心と直交する方向に延在する隔壁と、 前記隔壁の中心に形成された開口と、 前記隔壁に設けられると共に前記円筒壁と同軸
   的に延在するカラーと、 前記円筒壁の一部を構成すると共に、濾過され
   た流体が流入する濾液貯蔵瓶の首部に螺合する螺
   合部とから成り、 前記ステムは、前記カラーを貫通した後、カラ
   ー下端から下方に突出し、 前記アダプタは、前記円筒壁から外側に延出す
   ると共に前記隔壁より上方の前記アダプタ内部に
   連通するニツプルを有し、前記フイルタより下側
   の部分は前記ニツプルを介して下圧領域となり、
   もつて、前記漏斗内の流体が前記フイルタと前記
   ステムを介して前記瀘液貯蔵瓶に吸引吸入される
   ことを特徴とする瓶型フイルタ装置。 ２ 前記アダプタは、前記隔壁の下面に取り付け
   られると共に前記カラーと前記円筒壁との間に延
   在する封止用ガスケツトを有し、該ガスケツトは
   前記濾液貯蔵瓶の口部を密封することを特徴とす
   る請求項１の瓶型フイルタ装置。 ３ 同心状に設けられた前記リブの断続部は、径
   方向に整合して各リブ間に流路を形成し、濾過さ
   れた流体は該流路を経て前記漏斗底壁の開口側へ
   流動することを特徴とする請求項１の瓶型フイル
   タ装置。