JPH05109497A - 荷電粒子偏向電磁石装置 - Google Patents
荷電粒子偏向電磁石装置Info
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- JPH05109497A JPH05109497A JP26572991A JP26572991A JPH05109497A JP H05109497 A JPH05109497 A JP H05109497A JP 26572991 A JP26572991 A JP 26572991A JP 26572991 A JP26572991 A JP 26572991A JP H05109497 A JPH05109497 A JP H05109497A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 本発明は、磁気シールドや超電導コイル4の
支持棒33を小形軽量化し、全体を小形で安価にするとと
もに、急激な磁界変化により熱シールドに渦電流が流れ
るのを防止して、熱シールドを単純な構造で高強度なも
のにすることを目的とするものである。 【構成】 超電導コイル4の臨界温度と室温との間の臨
界温度を持つ超電導材料からなる熱磁気シールド31を、
真空槽2内の超電導コイル4の周囲に設け、この熱磁気
シールド31の完全反磁性により、磁気を遮蔽するととも
に、電磁力による超電導コイル4の変形や移動を防止
し、また急激な磁界変化に対しては、熱磁気シールド31
が電気絶縁体に転移するようにした。
支持棒33を小形軽量化し、全体を小形で安価にするとと
もに、急激な磁界変化により熱シールドに渦電流が流れ
るのを防止して、熱シールドを単純な構造で高強度なも
のにすることを目的とするものである。 【構成】 超電導コイル4の臨界温度と室温との間の臨
界温度を持つ超電導材料からなる熱磁気シールド31を、
真空槽2内の超電導コイル4の周囲に設け、この熱磁気
シールド31の完全反磁性により、磁気を遮蔽するととも
に、電磁力による超電導コイル4の変形や移動を防止
し、また急激な磁界変化に対しては、熱磁気シールド31
が電気絶縁体に転移するようにした。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】請求項1ないし請求項3の発明
は、例えばシンクロトロン放射光発生装置などに用いら
れ、荷電粒子を偏向する荷電粒子偏向電磁石装置に関す
るものである。
は、例えばシンクロトロン放射光発生装置などに用いら
れ、荷電粒子を偏向する荷電粒子偏向電磁石装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】図7は特開平3−29303号公報に示
された従来の荷電粒子装置の概略構成を示す平面図であ
る。図において、入射部(図示せず)及び加速部(図示
せず)を経て入射された荷電粒子は、互いに対向する2
個の偏向電磁石装置30により偏向されることにより、図
のような長円形の軌道20上を運動する。このような荷電
粒子装置は、例えばシンクロトロン放射光発生装置とし
て利用される。
された従来の荷電粒子装置の概略構成を示す平面図であ
る。図において、入射部(図示せず)及び加速部(図示
せず)を経て入射された荷電粒子は、互いに対向する2
個の偏向電磁石装置30により偏向されることにより、図
のような長円形の軌道20上を運動する。このような荷電
粒子装置は、例えばシンクロトロン放射光発生装置とし
て利用される。
【0003】図8は図7のVIII−VIII線に沿う矢視断
面図である。図において、例えば純鉄材等の複数の磁性
材部材を磁気的に結合してなる磁気シールド1内には、
例えばステンレス鋼などの非磁性材からなる真空槽2が
配置されている。真空槽2内には、それぞれコイル容器
3に収容されている一対の超電導コイル4が、上下に1
個ずつ設けられている。上下のコイル容器3の間は、連
結片(連結部材)5により、機械的に連結されている。
連結片5及びコイル容器3から補強部材15が構成されて
おり、超電導コイル4の変形や移動が防止されている。
面図である。図において、例えば純鉄材等の複数の磁性
材部材を磁気的に結合してなる磁気シールド1内には、
例えばステンレス鋼などの非磁性材からなる真空槽2が
配置されている。真空槽2内には、それぞれコイル容器
3に収容されている一対の超電導コイル4が、上下に1
個ずつ設けられている。上下のコイル容器3の間は、連
結片(連結部材)5により、機械的に連結されている。
連結片5及びコイル容器3から補強部材15が構成されて
おり、超電導コイル4の変形や移動が防止されている。
【0004】真空槽2と上下の各コイル容器3との間に
は、例えば銅等の熱伝導性の良い金属からなる熱シール
ド6が設けられている。熱シールド6は、断熱材からな
る熱シールド支持棒7を介して、真空槽2に支持されて
いる。各コイル容器3は、断熱材からなるコイル容器支
持棒8を介して、熱シールド6に支持されている。各支
持棒7,8は上側のコイル容器3の上方と下側のコイル
容器3の下方とにそれぞれ配置されている。
は、例えば銅等の熱伝導性の良い金属からなる熱シール
ド6が設けられている。熱シールド6は、断熱材からな
る熱シールド支持棒7を介して、真空槽2に支持されて
いる。各コイル容器3は、断熱材からなるコイル容器支
持棒8を介して、熱シールド6に支持されている。各支
持棒7,8は上側のコイル容器3の上方と下側のコイル
容器3の下方とにそれぞれ配置されている。
【0005】上下の各コイル容器3と連結片5とにより
囲まれた空間の内側には、荷電粒子の軌道20を取り囲む
ようにビームダクト9が配置されている。ビームダクト
9内は、荷電粒子の損失を少なくするために、超高真空
状態にされている。また、ビームダクト9が配置された
空間には、ビームダクト9を取り囲むように、ビームダ
クト用断熱シールド10が配置されている。
囲まれた空間の内側には、荷電粒子の軌道20を取り囲む
ようにビームダクト9が配置されている。ビームダクト
9内は、荷電粒子の損失を少なくするために、超高真空
状態にされている。また、ビームダクト9が配置された
空間には、ビームダクト9を取り囲むように、ビームダ
クト用断熱シールド10が配置されている。
【0006】次に、動作について説明する。極低温に冷
却され超電導状態となった超電導コイル4に電流を流す
ことにより、数テスラの高い磁束密度の磁界が得られ
る。この磁界により、荷電粒子の軌道20は図7に示すよ
うに偏向される。
却され超電導状態となった超電導コイル4に電流を流す
ことにより、数テスラの高い磁束密度の磁界が得られ
る。この磁界により、荷電粒子の軌道20は図7に示すよ
うに偏向される。
【0007】このとき、磁気シールド1により、外部へ
の磁界の漏れを防止し、これにより他の機器への悪影響
をなくすようにしている。また、断熱のために真空槽2
内は真空状態にされており、内部に配置された熱シール
ド6,10は、100K程度まで冷却されている。この熱
シールド6,10により、室温部から極低温部への輻射熱
が遮蔽されている。
の磁界の漏れを防止し、これにより他の機器への悪影響
をなくすようにしている。また、断熱のために真空槽2
内は真空状態にされており、内部に配置された熱シール
ド6,10は、100K程度まで冷却されている。この熱
シールド6,10により、室温部から極低温部への輻射熱
が遮蔽されている。
【0008】一方、上下の超電導コイル4の間には、互
いに引き合う電磁力が働く。また、各超電導コイル4と
磁気シールド1との間にも、超電導コイル4が磁気シー
ルド1を引っ張る方向へ電磁力が働く。この電磁力によ
り超電導コイル4が変形又は移動するのを防ぐため、補
強部材15や支持棒7,8が取り付けられている。
いに引き合う電磁力が働く。また、各超電導コイル4と
磁気シールド1との間にも、超電導コイル4が磁気シー
ルド1を引っ張る方向へ電磁力が働く。この電磁力によ
り超電導コイル4が変形又は移動するのを防ぐため、補
強部材15や支持棒7,8が取り付けられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のように構成され
た従来の偏向電磁石装置30においては、数テスラの高い
磁束密度を遮蔽するために、磁気シールド1の厚さをか
なり厚くする必要があり、装置全体が大形化するととも
に高価になるという問題点があった。また、超電導コイ
ル4に働く電磁力に対抗するために、支持棒8の強度も
高くする必要があり、支持棒8が高価になるという問題
点もあった。さらに、支持棒8を強固にするためにその
断面積を大きくすると、超電導コイル4への熱流入量が
増加してしまい、超電導コイル4を極低温状態に維持す
るのが難しくなり、そのための機構が高価になるという
問題点もあった。
た従来の偏向電磁石装置30においては、数テスラの高い
磁束密度を遮蔽するために、磁気シールド1の厚さをか
なり厚くする必要があり、装置全体が大形化するととも
に高価になるという問題点があった。また、超電導コイ
ル4に働く電磁力に対抗するために、支持棒8の強度も
高くする必要があり、支持棒8が高価になるという問題
点もあった。さらに、支持棒8を強固にするためにその
断面積を大きくすると、超電導コイル4への熱流入量が
増加してしまい、超電導コイル4を極低温状態に維持す
るのが難しくなり、そのための機構が高価になるという
問題点もあった。
【0010】また、クエンチ等の現象により超電導コイ
ル4が突然常電導状態になり、急激な磁界変化が生じた
場合、導電材からなる熱シールド6には渦電流が発生
し、超電導コイル4及び熱シールド6のそれぞれの電磁
力により、超電導コイル4と熱シールド6との間に大き
な引力が働くため、熱シールド6が変形又は損傷する可
能性があるという問題点もあった。また、これを防止す
るには、熱シールド6に渦電流が発生しないように、熱
シールド6を分割構造にする等の対策が必要であるた
め、熱シールド6の構造が複雑になったり、熱シールド
6の構造物としての機械強度が弱くなる等の問題点もあ
った。
ル4が突然常電導状態になり、急激な磁界変化が生じた
場合、導電材からなる熱シールド6には渦電流が発生
し、超電導コイル4及び熱シールド6のそれぞれの電磁
力により、超電導コイル4と熱シールド6との間に大き
な引力が働くため、熱シールド6が変形又は損傷する可
能性があるという問題点もあった。また、これを防止す
るには、熱シールド6に渦電流が発生しないように、熱
シールド6を分割構造にする等の対策が必要であるた
め、熱シールド6の構造が複雑になったり、熱シールド
6の構造物としての機械強度が弱くなる等の問題点もあ
った。
【0011】請求項1ないし請求項3の発明は、上記の
ような問題点を解決することを課題としてなされたもの
であり、磁気シールドを小形軽量化できるとともに、超
電導コイルの支持棒を小形軽量化でき、これにより全体
を小形で安価にすることができ、また熱シールドを単純
な構造で高強度なものにすることができる荷電粒子偏向
電磁石装置を得ることを目的とする。
ような問題点を解決することを課題としてなされたもの
であり、磁気シールドを小形軽量化できるとともに、超
電導コイルの支持棒を小形軽量化でき、これにより全体
を小形で安価にすることができ、また熱シールドを単純
な構造で高強度なものにすることができる荷電粒子偏向
電磁石装置を得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る荷
電粒子偏向電磁石装置は、真空槽外の温度と超電導コイ
ルの臨界温度との間の臨界温度を持つ超電導材料からな
る熱磁気シールドを、真空槽内の超電導コイルの周囲に
設けたものである。
電粒子偏向電磁石装置は、真空槽外の温度と超電導コイ
ルの臨界温度との間の臨界温度を持つ超電導材料からな
る熱磁気シールドを、真空槽内の超電導コイルの周囲に
設けたものである。
【0013】請求項2の発明に係る荷電粒子偏向電磁石
装置は、電気絶縁材料からなる熱シールドを、真空槽内
の超電導コイルの周囲に設けたものである。
装置は、電気絶縁材料からなる熱シールドを、真空槽内
の超電導コイルの周囲に設けたものである。
【0014】請求項3の発明に係る荷電粒子偏向電磁石
装置は、超電導材料からなる磁気シールドを、熱シール
ド内の超電導コイルの周囲に設けたものである。
装置は、超電導材料からなる磁気シールドを、熱シール
ド内の超電導コイルの周囲に設けたものである。
【0015】
【作用】請求項1の発明においては、熱磁気シールドの
完全反磁性により、磁気を遮蔽するとともに、電磁力に
よる超電導コイルの変形や移動を防止し、また急激な磁
界変化に対しては、熱磁気シールドが電気絶縁体に転移
して、渦電流の発生を防止する。
完全反磁性により、磁気を遮蔽するとともに、電磁力に
よる超電導コイルの変形や移動を防止し、また急激な磁
界変化に対しては、熱磁気シールドが電気絶縁体に転移
して、渦電流の発生を防止する。
【0016】請求項2の発明においては、電気絶縁材料
からなる熱シールドを用いることにより、急激な磁界変
化により熱シールドに渦電流が発生するのを防止する。
からなる熱シールドを用いることにより、急激な磁界変
化により熱シールドに渦電流が発生するのを防止する。
【0017】請求項3の発明においては、磁気シールド
の完全反磁性により、磁気を遮蔽するとともに、電磁力
による超電導コイルの変形や移動を防止する。
の完全反磁性により、磁気を遮蔽するとともに、電磁力
による超電導コイルの変形や移動を防止する。
【0018】
【実施例】以下、請求項1ないし請求項3の発明の実施
例を図について説明する。 実施例1.図1は請求項1の発明の一実施例による荷電
粒子偏向電磁石装置の断面図であり、図8と同一又は相
当部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図に
おいて、真空槽2内には、室温部からの輻射熱及び磁気
の両方を遮蔽する熱磁気シールド31が配置されている。
この熱磁気シールド31は、熱シールドとして働くよう
に、例えばセラミックス系高温超電導材料など、超電導
コイル4の臨界温度と室温との間の臨界温度(例えば1
00K前後)を持つ超電導材料からなっている。熱磁気
シールド31は、断熱材からなるシールド支持棒32によ
り、真空槽2内に支持されている。熱磁気シールド31内
には、コイル容器支持棒33により、コイル容器3,超電
導コイル4及び連結片5の組立体が支持されている。
例を図について説明する。 実施例1.図1は請求項1の発明の一実施例による荷電
粒子偏向電磁石装置の断面図であり、図8と同一又は相
当部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図に
おいて、真空槽2内には、室温部からの輻射熱及び磁気
の両方を遮蔽する熱磁気シールド31が配置されている。
この熱磁気シールド31は、熱シールドとして働くよう
に、例えばセラミックス系高温超電導材料など、超電導
コイル4の臨界温度と室温との間の臨界温度(例えば1
00K前後)を持つ超電導材料からなっている。熱磁気
シールド31は、断熱材からなるシールド支持棒32によ
り、真空槽2内に支持されている。熱磁気シールド31内
には、コイル容器支持棒33により、コイル容器3,超電
導コイル4及び連結片5の組立体が支持されている。
【0019】上記のように構成された荷電粒子偏向電磁
石装置においては、超電導コイル4により発生した磁界
が、超電導状態の熱磁気シールド31の完全反磁性により
遮蔽される。従って、真空槽2の外側には磁気シールド
を設ける必要はなく、磁気シールド52を従来よりも小形
軽量化でき、全体を大幅に小形化できる。
石装置においては、超電導コイル4により発生した磁界
が、超電導状態の熱磁気シールド31の完全反磁性により
遮蔽される。従って、真空槽2の外側には磁気シールド
を設ける必要はなく、磁気シールド52を従来よりも小形
軽量化でき、全体を大幅に小形化できる。
【0020】また、熱磁気シールド31の完全反磁性によ
り、熱磁気シールド31と超電導コイル4との間に反発力
が働くので、超電導コイル4は熱磁気シールド31内の力
が均衡した位置に電磁力によって支持される。従って、
コイル容器支持棒33は、超電導コイル4や補強部材15の
重量を支持するだけでよく、その強度を従来より下げる
ことができる。
り、熱磁気シールド31と超電導コイル4との間に反発力
が働くので、超電導コイル4は熱磁気シールド31内の力
が均衡した位置に電磁力によって支持される。従って、
コイル容器支持棒33は、超電導コイル4や補強部材15の
重量を支持するだけでよく、その強度を従来より下げる
ことができる。
【0021】さらに、超電導コイル4のクエンチ等によ
る急激な磁界変化が生じた場合、熱磁気シールド31が絶
縁体に転移するため、熱磁気シールド31には渦電流が発
生せず、熱磁気シールド31と超電導コイル4との間には
電磁力が働かない。従って、熱磁気シールド31を分割構
造にするなどの対策は不要であり、熱シールドとしての
熱磁気シールド31を単純な構造で高強度にすることがで
きる。
る急激な磁界変化が生じた場合、熱磁気シールド31が絶
縁体に転移するため、熱磁気シールド31には渦電流が発
生せず、熱磁気シールド31と超電導コイル4との間には
電磁力が働かない。従って、熱磁気シールド31を分割構
造にするなどの対策は不要であり、熱シールドとしての
熱磁気シールド31を単純な構造で高強度にすることがで
きる。
【0022】実施例2.次に、図2は請求項1の発明の
他の実施例による荷電粒子偏向電磁石装置の断面図であ
る。この実施例では、ビーム軌道を真空槽2内の真空空
間部と共用することにより、ビームダクト9の代わりに
ビームダンパ11を用いている。このビームダンパ11は、
冷媒(図示せず)により冷却され、荷電粒子や発生した
放射光が超電導コイル4や熱磁気シールド31に衝突する
のを防止するため、軌道の外径側に配置されている。そ
して、ビームダンパ11の軌道の内径側は開放されてい
る。このようなビームダンパ11を用いることにより、全
体の構造は非常に簡単なものとなる。
他の実施例による荷電粒子偏向電磁石装置の断面図であ
る。この実施例では、ビーム軌道を真空槽2内の真空空
間部と共用することにより、ビームダクト9の代わりに
ビームダンパ11を用いている。このビームダンパ11は、
冷媒(図示せず)により冷却され、荷電粒子や発生した
放射光が超電導コイル4や熱磁気シールド31に衝突する
のを防止するため、軌道の外径側に配置されている。そ
して、ビームダンパ11の軌道の内径側は開放されてい
る。このようなビームダンパ11を用いることにより、全
体の構造は非常に簡単なものとなる。
【0023】実施例3.次に、図3は請求項2の発明の
一実施例による荷電粒子偏向電磁石装置の断面図であ
る。図において、真空槽2内の超電導コイル4の周囲に
設けられた熱シールド41は、例えばセラミックスなどの
電気絶縁材料からなっている。なお、熱シールド41や超
電導コイル4などの支持材は、ここでは省略している。
一実施例による荷電粒子偏向電磁石装置の断面図であ
る。図において、真空槽2内の超電導コイル4の周囲に
設けられた熱シールド41は、例えばセラミックスなどの
電気絶縁材料からなっている。なお、熱シールド41や超
電導コイル4などの支持材は、ここでは省略している。
【0024】上記のような荷電粒子偏向電磁石装置で
は、室温部からの輻射熱を遮蔽する熱シールド41が電気
絶縁材料からなっているため、超電導コイル4のクエン
チ等による急激な磁界変化が生じた場合でも、熱シール
ド41には渦電流が発生せず、熱磁気シールド41と超電導
コイル4との間には電磁力が働かない。従って、熱シー
ルド41を分割構造にするなどの対策は不要であり、熱シ
ールド41を単純な構造で高強度にすることができる。
は、室温部からの輻射熱を遮蔽する熱シールド41が電気
絶縁材料からなっているため、超電導コイル4のクエン
チ等による急激な磁界変化が生じた場合でも、熱シール
ド41には渦電流が発生せず、熱磁気シールド41と超電導
コイル4との間には電磁力が働かない。従って、熱シー
ルド41を分割構造にするなどの対策は不要であり、熱シ
ールド41を単純な構造で高強度にすることができる。
【0025】実施例4.図4は請求項2の発明の他の実
施例を示す断面図であり、図2と同様にビームダンパ11
を使用した例である。このようなビームダンパ11を用い
ることにより、全体の構造が非常に簡単なものとなる。
施例を示す断面図であり、図2と同様にビームダンパ11
を使用した例である。このようなビームダンパ11を用い
ることにより、全体の構造が非常に簡単なものとなる。
【0026】実施例5.図5は請求項3の発明の一実施
例による荷電粒子偏向電磁石装置の断面図である。図に
おいて、真空槽2内には、磁気シールド支持棒51を介し
て、超電導材料からなる磁気シールド52が支持されてい
る。磁気シールド52の周囲には、熱シールド6が設けら
れており、磁気シールド52は超電導コイル4と同様の極
低温に保持されている。従って、磁気シールド52の超電
導材料は、超電導コイル4と同様又はそれ以上の臨界温
度を持つものでよい。
例による荷電粒子偏向電磁石装置の断面図である。図に
おいて、真空槽2内には、磁気シールド支持棒51を介し
て、超電導材料からなる磁気シールド52が支持されてい
る。磁気シールド52の周囲には、熱シールド6が設けら
れており、磁気シールド52は超電導コイル4と同様の極
低温に保持されている。従って、磁気シールド52の超電
導材料は、超電導コイル4と同様又はそれ以上の臨界温
度を持つものでよい。
【0027】上記のように構成された荷電粒子偏向電磁
石装置においては、超電導コイル4により発生した磁界
が、超電導状態の磁気シールド52の完全反磁性により遮
蔽される。従って、真空槽2の外側には磁気シールドを
設ける必要はなく、磁気シールド52を従来よりも小形軽
量化でき、全体を大幅に小形化できる。
石装置においては、超電導コイル4により発生した磁界
が、超電導状態の磁気シールド52の完全反磁性により遮
蔽される。従って、真空槽2の外側には磁気シールドを
設ける必要はなく、磁気シールド52を従来よりも小形軽
量化でき、全体を大幅に小形化できる。
【0028】また、磁気シールド52の完全反磁性によ
り、磁気シールド52と超電導コイル4との間に反発力が
働くので、超電導コイル4は磁気シールド52内の力が均
衡した位置に電磁力によって支持される。従って、超電
導コイル4の支持部(図示せず)は、超電導コイル4等
の重量を支持するだけでよく、その強度を従来より下げ
ることができる。
り、磁気シールド52と超電導コイル4との間に反発力が
働くので、超電導コイル4は磁気シールド52内の力が均
衡した位置に電磁力によって支持される。従って、超電
導コイル4の支持部(図示せず)は、超電導コイル4等
の重量を支持するだけでよく、その強度を従来より下げ
ることができる。
【0029】実施例6.図6は請求項3の発明の他の実
施例を示す断面図であり、図2と同様にビームダンパ11
を使用した例である。このようなビームダンパ11を用い
ることにより、全体の構造が非常に簡単なものとなる。
施例を示す断面図であり、図2と同様にビームダンパ11
を使用した例である。このようなビームダンパ11を用い
ることにより、全体の構造が非常に簡単なものとなる。
【0030】なお、熱磁気シールド31,熱シールド41及
び磁気シールド52の形状は、それぞれ上記各実施例で示
したものに限定されるものではない。また、上記各実施
例では長円形の軌道20を有する荷電粒子装置の偏向電磁
石装置について示したが、円形軌道のものなどであって
もよい。また、シンクロトロン放射光発生装置以外の荷
電粒子装置に用いられるものであってもよい。さらに、
荷電粒子ビームは、例えば電子ビームやイオンビームな
どであり、特に限定されない。
び磁気シールド52の形状は、それぞれ上記各実施例で示
したものに限定されるものではない。また、上記各実施
例では長円形の軌道20を有する荷電粒子装置の偏向電磁
石装置について示したが、円形軌道のものなどであって
もよい。また、シンクロトロン放射光発生装置以外の荷
電粒子装置に用いられるものであってもよい。さらに、
荷電粒子ビームは、例えば電子ビームやイオンビームな
どであり、特に限定されない。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明の
荷電粒子偏向電磁石装置は、真空槽外の温度と超電導コ
イルの臨界温度との間の臨界温度を持つ超電導材料から
なる熱磁気シールドを、真空槽内の超電導コイルの周囲
に設け、この熱磁気シールドの完全反磁性により磁気を
遮蔽するようにしたので、磁気シールドを小形軽量化で
き、また熱磁気シールドの完全反磁性により、電磁力に
よる超電導コイルの変形や移動が防止されるので、超電
導コイルの支持棒を小形軽量化でき、従って、全体を小
形で安価にすることができるという効果を奏する。ま
た、急激な磁界変化に対しては、熱磁気シールドが電気
絶縁体に転移するため、渦電流が発生せず、従って熱シ
ールドとしての熱磁気シールドを、単純な構造で高強度
なものにすることができるという効果も奏する。
荷電粒子偏向電磁石装置は、真空槽外の温度と超電導コ
イルの臨界温度との間の臨界温度を持つ超電導材料から
なる熱磁気シールドを、真空槽内の超電導コイルの周囲
に設け、この熱磁気シールドの完全反磁性により磁気を
遮蔽するようにしたので、磁気シールドを小形軽量化で
き、また熱磁気シールドの完全反磁性により、電磁力に
よる超電導コイルの変形や移動が防止されるので、超電
導コイルの支持棒を小形軽量化でき、従って、全体を小
形で安価にすることができるという効果を奏する。ま
た、急激な磁界変化に対しては、熱磁気シールドが電気
絶縁体に転移するため、渦電流が発生せず、従って熱シ
ールドとしての熱磁気シールドを、単純な構造で高強度
なものにすることができるという効果も奏する。
【0032】また、請求項2の発明の荷電粒子偏向電磁
石装置は、電気絶縁材料からなる熱シールドを用いたの
で、急激な磁界変化により熱シールドに渦電流が発生す
るのが防止され、従って熱シールドを単純な構造で高強
度なものにすることができるという効果も奏する。
石装置は、電気絶縁材料からなる熱シールドを用いたの
で、急激な磁界変化により熱シールドに渦電流が発生す
るのが防止され、従って熱シールドを単純な構造で高強
度なものにすることができるという効果も奏する。
【0033】さらに、請求項3の発明の荷電粒子偏向電
磁石装置は、超電導材料からなる磁気シールドを、熱シ
ールド内の超電導コイルの周囲に設け、磁気シールドの
完全反磁性により磁気を遮蔽するようにしたので、磁気
シールドを小形軽量化でき、また熱磁気シールドの完全
反磁性により、電磁力による超電導コイルの変形や移動
が防止されるので、超電導コイルの支持棒を小形軽量化
でき、従って、全体を小形で安価にすることができると
いう効果を奏する。
磁石装置は、超電導材料からなる磁気シールドを、熱シ
ールド内の超電導コイルの周囲に設け、磁気シールドの
完全反磁性により磁気を遮蔽するようにしたので、磁気
シールドを小形軽量化でき、また熱磁気シールドの完全
反磁性により、電磁力による超電導コイルの変形や移動
が防止されるので、超電導コイルの支持棒を小形軽量化
でき、従って、全体を小形で安価にすることができると
いう効果を奏する。
【図1】請求項1の発明の一実施例による荷電粒子偏向
電磁石装置の断面図である。
電磁石装置の断面図である。
【図2】請求項1の発明の他の実施例を示す断面図であ
る。
る。
【図3】請求項2の発明の一実施例による荷電粒子偏向
電磁石装置の断面図である。
電磁石装置の断面図である。
【図4】請求項2の発明の他の実施例を示す断面図であ
る。
る。
【図5】請求項3の発明の一実施例による荷電粒子偏向
電磁石装置の断面図である。
電磁石装置の断面図である。
【図6】請求項3の発明の他の実施例を示す断面図であ
る。
る。
【図7】従来の荷電粒子装置の概略構成を示す平面図で
ある。
ある。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う矢視断面図であ
る。
る。
2 真空槽 4 超電導コイル 6 熱シールド 20 軌道 31 熱磁気シールド 41 熱シールド 52 磁気シールド
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年7月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正内容】
【0003】図8は図7のVIII−VIII線に沿う矢視断
面図である。図において、例えば純鉄材等の複数の磁性
材部材を磁気的に結合してなる磁気シールド1内には、
例えばステンレス鋼などの非磁性材からなる真空槽2が
配置されている。真空槽2内には、それぞれコイル容器
3に収容されている一対の超電導コイル4が、上下に1
個ずつ設けられている。上下のコイル容器3の間は、連
結片(連結部材)5により、機械的に連結されている。
連結片5及びコイル容器3から固定構造15が構成されて
おり、超電導コイル4の変形や移動が防止されている。
面図である。図において、例えば純鉄材等の複数の磁性
材部材を磁気的に結合してなる磁気シールド1内には、
例えばステンレス鋼などの非磁性材からなる真空槽2が
配置されている。真空槽2内には、それぞれコイル容器
3に収容されている一対の超電導コイル4が、上下に1
個ずつ設けられている。上下のコイル容器3の間は、連
結片(連結部材)5により、機械的に連結されている。
連結片5及びコイル容器3から固定構造15が構成されて
おり、超電導コイル4の変形や移動が防止されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】一方、上下の超電導コイル4の間には、互
いに引き合う電磁力が働く。また、各超電導コイル4と
磁気シールド1との間にも、超電導コイル4が磁気シー
ルド1を引っ張る方向へ電磁力が働く。この電磁力によ
り超電導コイル4が変形又は移動するのを防ぐため、固
定構造15や支持棒7,8が取り付けられている。
いに引き合う電磁力が働く。また、各超電導コイル4と
磁気シールド1との間にも、超電導コイル4が磁気シー
ルド1を引っ張る方向へ電磁力が働く。この電磁力によ
り超電導コイル4が変形又は移動するのを防ぐため、固
定構造15や支持棒7,8が取り付けられている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】
Claims (3)
- 【請求項1】 真空槽と、この真空槽内に荷電粒子の軌
道を挟んで互いに対向するように設けられ、前記軌道を
偏向するための磁界を発生する一対の超電導コイルと、
前記真空槽内の前記超電導コイルの周囲に設けられ、前
記真空槽外の温度と前記超電導コイルの臨界温度との間
の臨界温度を持つ超電導材料からなる熱磁気シールドと
を備えていることを特徴とする荷電粒子偏向電磁石装
置。 - 【請求項2】 真空槽と、この真空槽内に荷電粒子の軌
道を挟んで互いに対向するように設けられ、前記軌道を
偏向するための磁界を発生する一対の超電導コイルと、
前記真空槽内の前記超電導コイルの周囲に設けられ、電
気絶縁材料からなる熱シールドとを備えていることを特
徴とする荷電粒子偏向電磁石装置。 - 【請求項3】 真空槽と、この真空槽内に荷電粒子の軌
道を挟んで互いに対向するように設けられ、前記軌道を
偏向するための磁界を発生する一対の超電導コイルと、
前記真空槽内の前記超電導コイルの周囲に設けられ、超
電導材料からなる磁気シールドと、前記真空槽内の前記
磁気シールドの周囲に設けられている熱シールドとを備
えていることを特徴とする荷電粒子偏向電磁石装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26572991A JPH05109497A (ja) | 1991-10-15 | 1991-10-15 | 荷電粒子偏向電磁石装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26572991A JPH05109497A (ja) | 1991-10-15 | 1991-10-15 | 荷電粒子偏向電磁石装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05109497A true JPH05109497A (ja) | 1993-04-30 |
Family
ID=17421189
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26572991A Pending JPH05109497A (ja) | 1991-10-15 | 1991-10-15 | 荷電粒子偏向電磁石装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05109497A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016194635A1 (ja) * | 2015-05-29 | 2016-12-08 | 三菱重工メカトロシステムズ株式会社 | シールド体、及び超伝導加速器 |
-
1991
- 1991-10-15 JP JP26572991A patent/JPH05109497A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016194635A1 (ja) * | 2015-05-29 | 2016-12-08 | 三菱重工メカトロシステムズ株式会社 | シールド体、及び超伝導加速器 |
JP2016225156A (ja) * | 2015-05-29 | 2016-12-28 | 三菱重工メカトロシステムズ株式会社 | シールド体、及び超伝導加速器 |
KR20180002708A (ko) * | 2015-05-29 | 2018-01-08 | 미츠비시 쥬고 기카이 시스템 가부시키가이샤 | 실드체, 및 초전도 가속기 |
US10314158B2 (en) | 2015-05-29 | 2019-06-04 | Mitsubishi Heavy Industries Machinery Systems, Ltd. | Shielding body, and superconducting accelerator |
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