JPH05107567A - エレクトロクロミツク素子 - Google Patents

エレクトロクロミツク素子

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JPH05107567A
JPH05107567A JP15488891A JP15488891A JPH05107567A JP H05107567 A JPH05107567 A JP H05107567A JP 15488891 A JP15488891 A JP 15488891A JP 15488891 A JP15488891 A JP 15488891A JP H05107567 A JPH05107567 A JP H05107567A
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JP
Japan
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refractive index
solvent
electrolyte
thin film
electrode
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Application number
JP15488891A
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English (en)
Inventor
Yoshiki Mizuno
祥樹 水野
Sanae Oyama
早苗 大山
Satoshi Sakurada
智 櫻田
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Publication date
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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 エレクトロクロミック電極と対向電極との間
に電解質を介在させて成るエレクトロクロミック素子に
おいて、該電解質として、屈折率1.48〜1.56の高分子多
孔性薄膜の空孔中に、(A)ジベンジルケトンと(B)
該ジベンジルケトンより低い屈折率(好ましくは1.40〜
1.48)を有する溶媒との混合物を溶媒としてイオン導電
体を充填した電解質薄膜を用いたことを特徴とするエレ
クトロクロミック素子。 【効果】 高分子多孔性薄膜との屈折率を調整して光透
過性を改善でき、かつ溶媒の揮散が防止され、さらにE
C素子としての特性にも優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なエレクトロクロミ
ック素子、さらに詳しくは、電解質として、空孔中にイ
オン導電体を充填した光散乱の少ない高分子多孔性薄膜
を用いて成る調光素子や表示素子などとして好適なエレ
クトロクロミック素子に関する。
【0002】
【従来の技術】エレクトロクロミック(以下ECと略称
する)素子は、通常透明電極基板上にEC材料から成る
層(以下EC層と略称する)を有するEC電極と対向電
極との間に電解質を介在させた構造を有しており、両極
間に電圧を印加すると、電圧に応じて該EC層の色調が
可逆的に変化する性質を有している。
【0003】このようなEC素子は大面積表示が可能で
ある、駆動寿命が長い、応答速度が速い、着色効率が高
い、鮮やかな色が出せる、消色時の透過率が高いなどの
特徴を有することから、近年色調の変化を利用して表示
素子や調光素子に、あるいは適度の応答速度を利用した
防眩材料、メモリー性を利用した記憶センサーなどに用
いられている。
【0004】このEC素子に用いられる電解質は液体電
解質と固体電解質に大別することができ、前者の液体電
解質はイオン電導度が大きいので応答性に優れているも
のの、液体であるため、素子の構造及び組み立て上、液
漏れ対策が必要であり、また液漏れ対策をしても破損に
より、あるいは使用中に液漏れが生じるおそれがあるな
どの欠点を有している。これに対し、通常の固体電解質
は前記のような問題はないものの、イオン電導度が小さ
いために、応答性が悪いという欠点がある。
【0005】そこで、本発明者らは、イオン電導度の大
きな固体電解質を開発するために鋭意研究を重ね、先に
高分子多孔性薄膜の空孔中にイオン電導体を充填して成
る高分子電解質薄膜が、全体として固体として取り扱う
ことができ、液漏れのおそれがない上、イオン導電性に
優れていることを見い出した。このような高分子電解質
薄膜をEC素子の電解質として用いる場合、電極形成後
に該薄膜を両極間に挟めばよく、したがって電極形成時
に該電解質を劣化させることがない上、合わせガラスの
プロセスでEC素子を製作しうるなどの利点がある。
【0006】他方、イオン電導度の高い固体電解質を両
極間に介在させる方法として、TaOxなどから成る薄膜層
を蒸着などにより形成させる方法が知られているが、こ
の方法においては、続いて電極形成工程が施されるた
め、該薄膜層は電極形成時に劣化が生じるのを免れない
という欠点がある。ところで、高分子多孔性薄膜の空孔
中にイオン導電体を充填して高分子電解質薄膜を作製す
る場合、該イオン導電体の溶媒として、通常プロピレン
カーボネート、ジメトキシエタン、r−ブチロラクト
ン、アセトニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリプロ
ピレンオキシドなどが用いられる。しかしながら、これ
らの溶媒はいずれも屈折率(nD 20)が1.48以下であ
り、ポリエチレンやポリプロピレンなどの代表的な高分
子多孔性薄膜の屈折率よりも小さいことから、前記溶媒
を含有するイオン導電体を該多孔性薄膜に充填したもの
をEC素子の電解質として用いる場合、該薄膜に光散乱
が生じるため、このEC素子は表示素子やECウインド
ーなどの光学用途には使用しにくいという問題が生じ
る。したがってこの場合、イオン導電体に用いる有機溶
媒の選択は極めて重要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、このよ
うな事情のもとで、電解質として空孔中にイオン導電体
を充填した光散乱の少ない高分子多孔性薄膜を用いて成
る調光素子や表示素子などの光学的素子として好適なE
C素子を提供することを目的として、先に、イオン導電
体の溶媒として高分子多孔性薄膜の屈折率に近いベンズ
ニトリル、ベンズアルデヒド、サリチル酸メチル等の溶
媒を用いることを開示した(特願平2−329887号明細
書)。
【0008】上記溶媒を用いることによって、光の散乱
は大幅に抑制できたが、これら溶媒を単独で用いた場
合、又は屈折率が近似しているため2種類以上を併用し
た場合でも、使用高分子膜の屈折率に完全に一致させる
のは難しく、更に、高分子膜の種類に応じて溶媒を変え
なければならないという不便さがある。本発明は高屈折
率溶媒(A)と低屈折率溶媒(B)からなる混合溶媒を
使用することにより上記問題を解決できることを見出し
た。即ち、電解質溶媒、A及びBの混合比を変えること
により屈折率の異なる種々の高分子膜に適用でき、且
つ、使用高分子膜の屈折率に容易に精度よく調製が可能
な溶媒系を見出したものである。
【0009】本発明によって、光の散乱のほとんどない
透明性に優れ、溶媒の揮散などのない長期の安定性に優
れた電解質膜とその電解質膜を用いた透明性、色相、サ
イクル特性等に優れたエレクトロクロミック素子を提供
することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、エレクトロクロミック電極と対向電極と
の間に電解質を介在させて成るエレクトロクロミック素
子において、該電解質として、屈折率1.48〜1.56の高分
子多孔性薄膜の空孔中に、(A)ジベンジルケトンと
(B)該ジベンジルケトンより低い屈折率を有する溶媒
との混合物を溶媒とするイオン導電体を充填した電解質
薄膜を用いたことを特徴とするエレクトロクロミック素
子を提供する。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
EC素子においては、電解質として、高分子多孔性薄膜
の空孔中にイオン導電体を充填して成る高分子電解質薄
膜が用いられる。この電解質薄膜は全体として固体とし
て取り扱うことができるので、液漏れの心配がなく、し
かもイオン導電性に優れる上、薄膜化が可能であるなど
の長所を有している。
【0012】前記高分子多孔性薄膜としては、通常膜厚
0.1〜50μm、好ましくは1.0〜25μm、空孔率40〜90
%、好ましくは60〜90%、破断強度 200kg/cm2 以上、
好ましくは 500kg/cm2 以上及び平均貫通孔径 0.001〜
1.0μmのものが用いられる。該膜厚が0.1μm未満で
は支持膜としての機械的強度に劣り、かつ取り扱い性が
悪くて実用的でないし、50μmを超えると実効抵抗が高
くなり、好ましくない。該空孔率が40%未満では電解質
としてのイオン導電性が不充分であるし、90%を超える
と支持膜としての機械的強度が低下し、実用的でなくな
る。
【0013】また、該破断強度が 200kg/cm2 未満では
支持膜として実用的でない。さらに、平均貫通孔径につ
いては、空孔中にイオン導電体を固定化しうる孔径であ
ればよく、特に制限されず、高分子薄膜の材質や孔の形
状により適宜選ばれるが、通常 0.001〜1.0μmの範囲
である。本発明で用いる高分子多孔性薄膜は、このよう
にイオン導電体の支持体としての機能をもち、かつ機械
的強度の優れた高分子材料から成っている。このような
高分子材料としては、例えばポリオレフィン、ポリカー
ボネート、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリア
セタール、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデ
ン、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられるが、
化学的安定性の点から、ポリオレフィン、ポリフッ化ビ
ニリデン及びポリテトラフルオロエチレンが好ましく用
いられる。さらにこれらの中で、多孔構造の形成や薄膜
化の容易さ及び機械的強度の点から、特に重量平均分子
量が5×105 以上の、好ましくは1×106 〜1×107
ポリオレフィンが好適である。
【0014】該ポリオレフィンとしては、例えばエチレ
ン、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1
などのα−オレフィンの単独重合体又は共重合体から成
る結晶性のポリオレフィン、具体的にはポリエチレン、
ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ
ブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1などが好まし
く用いられる。これらの中で、特に重量平均分子量が5
×105 以上のポリエチレン及びポリプロピレンが好適で
ある。
【0015】このポリオレフィンの重量平均分子量は得
られる薄膜の機械的強度に影響を及ぼし、例えば超高分
子量ポリオレフィンを用いることにより、超延伸によっ
て極薄で高強度の薄膜を作製しうるので、実効抵抗の低
い高イオン導電性薄膜を得ることができる。なお、前記
ポリオレフィンに、重量平均分子量が5×105 未満のポ
リオレフィンをブレンドすることができるが、重量平均
分子量が5×105 以上のポリオレフィンを含まない系で
は超延伸による極薄高強度の膜が得られない。
【0016】次に、本発明で用いる高分子多孔性薄膜の
好適な製造方法の1例について説明すると、まず、重量
平均分子量が5×105 以上のポリオレフィンを流動パラ
フィンなどの溶媒に加え、加熱溶解して、濃度1〜15重
量%程度の均質な溶液を調製したのち、この溶液からシ
ートを形成し、急冷してゲル状シートとする。次いで、
このゲル状シートを塩化メチレンなどの揮発性溶剤で抽
出処理して、該シート中の溶媒量を10〜90重量%に調整
する。次に、このゲル状シートをポリオレフィンの融点
以下の温度で加熱し、面積倍率で10倍以上に延伸したの
ち、この延伸膜中に含まれる溶媒を塩化メチレンなどの
揮発性溶剤で抽出除去し、次いで乾燥することにより、
所望の高分子多孔性薄膜が得られる。
【0017】これらの固体高分子多孔薄膜は、通常、屈
折率が1.48〜1.56程度である。本発明はこれと電解液と
の屈折率を調整するものであるが、電解液の屈折率は広
い範囲で調整できるので、こちらの屈折率の値は必ずし
も重要ではない。本発明は、電解液の溶媒として、
(A)ジベンジルケトンと(B)該ジベンジルケトンよ
り低い屈折率を有する溶媒(但し、ポリエーテルを除
く。)との混合物を用いることを特徴としている。
【0018】電解質の溶媒の主成分としてジベンジルケ
トン(DBK)を用い、これと屈折率の低い溶媒とを混合し
て屈折率を調整することにより、高分子多孔薄膜と電解
質の屈折率を調整して光散乱を防止し、かつ電解質薄膜
からの溶媒の揮散を防止することができること、さらに
エレクトロクロミック素子として必要な各種特性(イオ
ン導電率、耐久性、着色、消色性、等)にも優れること
ができることが見い出された。
【0019】本発明者らの研究によれば、他成分溶媒を
混合して混合溶媒の屈折率を高分子多孔性薄膜の屈折率
(一般に1.48〜1.56)に合わせる場合、溶媒の揮散性、
イオン伝導度等の特性は主として高屈折率溶媒の種類に
依存すること、これに比較すれば低屈折率溶媒の方はそ
の種類による依存性は小さいことが見い出され、そして
本発明の目的において最適の溶媒が高屈折率溶媒として
ジベンジルケトンを選択することによって得られた。
【0020】ジベンジルケトンは化学式(C6H5)CH2・CO
・CH2(C2H5) を有する化合物で、屈折率は1.580 であ
る。ジベンジルケトン(DBK)と混合する溶媒は、イオン
導電性の溶質を溶解でき、かつ混合溶媒としての屈折率
が、高分子多孔薄膜の屈折率と調整できるもの、すなわ
ち、屈折率がDBKより低いものであればよいが、好ま
しくは屈折率が1.40〜1.48の範囲内のものである。低屈
折率溶媒の例としては、ポリエーテル(屈折率1.420)、
N−メチルピロリドン(屈折率1.468)、2−ピロリドン
(屈折率1.486)、3−ピロリドン(屈折率1.443)、ジメ
チルスルホキシド(屈折率1.479)、ジメチルホルムアミ
ド(屈折率1.431)、2,5−ジメチルピロール(屈折率
1.505)などを挙げることができ、これらのうち好適な溶
媒はピロリドン系化合物、ジメチルスルホキシド、ポリ
エーテルなどである。
【0021】なお、本発明の混合溶媒は主としてDBK
と低屈折率溶媒、特に屈折率が1.40〜1.48程度の溶媒と
の組合せからなるが、必要に応じて、本発明の目的を阻
害しない範囲でDBKと同等あるいはDBKよりも屈折
率の高い溶媒あるいは極端に屈折率の低い溶媒も混合使
用することができる。DBK〔(A)成分〕と低屈折率
溶媒〔(B)成分〕との混合比は、混合溶媒の屈折率が
高分子多孔薄膜の屈折率と一致すればよいが、一般的に
は、A成分とB成分との重量比で10:90〜90:10、好ま
しくは20:80〜80:20である。高分子多孔性薄膜とイオ
ン導電体の屈折率とは完全に一致するのが理想的である
が、本発明では±0.005 の範囲内で調整できる。
【0022】本発明で用いられるイオン導電体の溶質に
ついては、前記混合溶媒に可溶な電解質であればよく、
特に制限されず、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類
金属塩、プロトン酸などが用いられる。これらの溶質の
陰イオンとしては、例えばハロゲンイオン、硫酸イオ
ン、リン酸イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオ
ン、トリフッ化メタンスルホン酸イオン、ホウフッ化イ
オンなどが挙げられる。該溶質の具体例としては、フッ
化リチウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、過塩
素酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、トリフッ化メ
タンスルホン酸リチウム、ホウフッ化リチウム、ヘキサ
フッ化リン酸リチウム、リン酸、硫酸、トリフッ化メタ
ンスルホン酸、テトラフッ化エチレンスルホン酸、ヘキ
サフッ化ブタンスルホン酸などが挙げられ、これらは1
種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0023】高分子多孔性薄膜の空孔に、前記イオン導
電体を充填する方法については、特に制限はなく、例え
ば浸漬、塗布、スプレーなどの方法の中から任意の方法
を選択して用いることができる。本発明のEC素子はこ
のようにして得られた空孔中にイオン導電体を充填して
成る高分子多孔性薄膜を、EC電極と対向電極との間に
介在させたものであって、該EC電極は、透明電極基板
上にEC層を設けることにより製造することができる。
また、透明電極基板としては、通常ガラス板や透明フィ
ルムなどの透明基板上に、酸化インジウムスズや酸化ス
ズなどの透明導電膜を有するものが用いられる。
【0024】
【実施例】次に、本発明EC素子の1例について添付図
面に従って説明すると、図1は反射型表示素子として用
いる場合の本発明EC素子の1例の断面図であって、基
板1上に、対向電極2、背景板3、高分子電解質薄膜
4、EC電極を構成するEC層5と透明導電膜6、及び
透明基板7が順次積層された構造を示す。この表示素子
は反射モードであるので、基板1は必ずしも透明体であ
る必要がなく、不透明板であってもよい。
【0025】対向電極2は水素や酸素の発生が少なく、
かつ電気化学的酸化還元反応に対して可逆性の良い電気
容量の大きな材料が用いられる。このような材料として
は、例えばカーボン、遷移金属化合物とカーボンとの複
合材、金属酸化物とカーボンとの複合材などが挙げられ
る。この対向電極2の厚さは、通常1000Åないし10μm
の範囲で選ばれる。
【0026】背景板3は、通常白色背景材、例えばアル
ミナ粉末をバインダーとともに混練してシート成形した
ものなどが用いられるが、対向電極2が兼ねることも可
能である。高分子電解質薄膜4としては、前記のように
して調製された空孔中にイオン導電体を充填して成る高
分子多孔性薄膜が用いられる。EC層5に用いられるE
C材料は、還元着色するカソーディック材料と酸化着色
するアノーディック材料の2種類に大別することができ
るが、ここでは代表的な還元着色材であるWO3 を用い
る。このWO3 は、例えば電解質からH+ ,Li + などイ
オン半径の小さなカチオンと電源から電子が注入される
と青色に着色してくる。プロトン酸及びリチウム塩を電
解質として用いた場合を例にすると、それぞれ
【0027】
【化1】
【0028】
【化2】
【0029】で示される反応を行う。この反応は可逆的
であるが H xWO3 又はLi xWO3 の状で電源回路を開放す
ると、青色(還元状態)は長時間保持される。このよう
な還元着色剤としては、該WO3 のほか、例えばMoO3,Mo
S3,V2O5,MgWO4 ,Nb2O5 ,TiO2,W4O6(C2O4) xなどを
用いることができる。このEC層5は 500〜1500Å程度
の厚さであり、透明導電膜6上に形成される。透明導電
膜6は集電電極であり、通常酸化インジウムスズや酸化
スズなどで形成され、その厚さは一般的に1000〜5000Å
程度である。この透明導電膜6は透明基板7上に形成さ
れるが、基板7は反射モードであるので透明でなければ
ならない。
【0030】EC層5と透明導電膜とで構成されるEC
電極と対向電極2との間に電圧を印加するが、WO3 の還
元時には負の電圧を通常1.3〜1.9V程度印加すればよ
い。一方、図2は透過型調光素子として用いる場合の本
発明EC素子の1例の断面図であって、透明基板11上
に、EC電極IIを構成する透明導電膜12とEC層13、高
分子電解質膜14、EC電極Iを構成するEC層15と透明
導電膜16、及び透明基板17が順次積層された構造を示
す。
【0031】この場合、EC層15に還元着色型のEC材
料を、EC層13に酸化着色型のEC材料を用いると、着
色効率の高いEC素子が得られる。また、EC層13には
結晶状態の異なるWO3 を用いてもよいし、 IrO x, NiO
x, CoO x,プルシアンブルー,ポリアニリンなどを用
いてもよい。この図2の構造が前記図1の構造と異なる
点は、EC層13は前記のようにIrO x や結晶状態の異な
るWO3 などを用い、 500〜1500Åの厚みに形成し、かつ
EC層13と透明導電膜12(EC電極II)が光透過性であ
る点である。図1の構造では背景板3は光不透過性であ
り、また対向電極2は光不透過性であってもよいし、透
過性であってもよい。
【0032】図2の構造においては、両電極間に電圧を
印加してEC層15及びEC層13を着色すると、このEC
素子は調光ガラス(ECウィンドー)として作用する。
なお、この構造でEC層15(EC層13)をパターン化す
れば、透過型の表示素子としても使用できる。また、防
眩ミラーとして本発明のEC素子を用いる場合には、図
1において背景板3と対向電極2とに、反射性材料、例
えばアルミニウムなどを用いればよい。製造例1 (高分子多孔性薄膜の製造) 重量平均分子量(Mw)2×106 のポリエチレン4.0重量
%を含む流動パラフィン(64cst /40℃)混合液 100重
量部に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール 0.125
重量部とテトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネー
ト)メタン0.25重量部を、酸化防止剤として加えて混合
した。この混合液を攪拌機付のオートクレーブに充填
し、 200℃まで加熱して90分間攪拌し均一な溶液とし
た。
【0033】この溶液を加熱した金型に充填し、50℃ま
で急冷してゲル状シートを得た。このゲル状シートを塩
化メチレン中に60分間浸漬したのち、平滑板にはり付け
た状態で塩化メチレンを蒸発乾燥し、原反シートを得
た。得られた原反シートそれぞれを 115〜 130℃の温度
で同時二軸延伸を行い、得られた延伸膜を塩化メチレン
で洗浄して残留する流動パラフィンを抽出除去したの
ち、乾燥しての多孔性薄膜を得た。
【0034】ポリエチレン多孔性薄膜の膜厚20μm、空
孔率60%、平均孔径 200Å及び屈折率1.540 であった。実施例1 重量比をいろいろに変えたジベンジルケトン/N−メチ
ルピロリドン混合溶媒に、過塩素酸リチウムを溶液中の
濃度が5wt%になるように溶解させてイオン導電体を調
製した。
【0035】このイオン導電体の屈折率は図3に示す通
りであった。次に、このイオン導電体を製造例1で得ら
れた多孔性薄膜に含浸させて、高分子電解質薄膜を作製
し、ヘーズ率(%)を測定した。結果は図3に示す通り
であった。図3より、この混合溶媒系は混合比により1.
48〜1.56、特に1.51〜1.56の屈折率に調整することがで
き、かつヘーズ率も2%以下まで小さくすることができ
ることが認められる。
【0036】次に、この高分子電解質薄膜のイオン導電
率を室温で、80℃×50hrの熱処理の前後に測定した結果
を図4に示す。室温で10-5Scm -1以上の十分に高いイオ
ン導電率が得られること、熱処理後もそのイオン導電率
が低下せず、耐熱性に優れていることが認められる。更
に、温度を変えて DBK/NMP =65/35の電解質溶液のイ
オン導電率を測定した結果を図5に示す。−20℃でも10
-5Scm -1以上の優れたイオン導電率が得られている。
【0037】さらに、この電解質薄膜を用い、図1に示
した構成に従ってエレクトロクロミック素子を作製し
た。EC電極としてはWO3 、対向電極としてはNiO を用
いた。このEC素子の両電極間に1.5Vの電圧を5秒間
印加した後、電圧を0Vにもどして5秒間置くサイクル
を繰り返して、繰り返し性、着色性、消色性を調べた。
その結果、良好な着色と消色が得られ、しかも繰り返し
後にもその着色性、消色性は劣化しなかった。
【0038】長時間の熱安定性試験によっても電解質膜
からの溶媒の揮散は見られなかった。実施例2 実施例1のN−メチルピロリドンに代えて2−ピロリド
ンを用いて、実施例1を繰り返した。
【0039】サイクルテストを含めて、実施例1と同様
に優れた結果が得られた。実施例3 実施例1のNMPに代えてテトラエチレングリコールジ
メチルエーテル(屈折率1.420)を用いて実施例1を繰り
返した。その結果、得られた電解質をそれを使用したE
C素子は優れた性状を示した。 比較例 テトラエチレングリコールジメチルエーテルに過塩素酸
リチウムを溶液中の濃度が15wt%になるように溶解させ
た電解質溶液を調製した。これを製造例1で得られた多
孔性薄膜に含浸させて、高分子電解質膜を作成した。得
られた電解質膜は灰白色の不透明なものであり、それを
使用したEC素子も着色性が不十分で、サイクル試験の
結果も色残りが目立ち消色性も劣るものであった。
【0040】以上の結果を表1にまとめて示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、EC素子の電解質層
は、光の散乱が少なく十分な透明性を有するため、調光
素子として応用した場合には優れた光透過を実現し、ま
た表示素子として応用した場合には表示が見やすくな
る。しかも、電解質層からの溶媒の揮散もなく、またE
C素子特性にも優れることができる。
【0043】また電解質層を厚くすることが可能で、こ
れにより、平滑性の悪い電極でも十分に密着しうるの
で、EC電極として用いることが可能であり、コスト面
でも有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、反射型表示素子として用いる場合の本
発明EC素子の1例の断面図である。
【図2】図2は、透過型調光素子として用いる場合の本
発明EC素子の1例の断面図である。
【図3】図3は、実施例1の溶媒組成と屈折率、ヘイズ
率との関係を示すグラフである。
【図4】図4は、実施例1の溶媒組成とイオン導電率と
の関係を示すグラフである。
【図5】図5は、実施例1におけるイオン導電率の温度
依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
1…基板 2…対向電極 3…背景板 4…高分子電解質薄膜 5…EC層 6…透明導電膜 7…透明基板 11…透明基板 12…透明導電膜 13…EC層 14…高分子電解質薄膜 15…EC層 16…透明導電膜 17…透明基板

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エレクトロクロミック電極と対向電極と
    の間に電解質を介在させて成るエレクトロクロミック素
    子において、該電解質として、屈折率1.48〜1.56の高分
    子多孔性薄膜の空孔中に、(A)ジベンジルケトンと
    (B)該ジベンジルケトンより低い屈折率を有する溶媒
    との混合物を溶媒とするイオン導電体を充填した電解質
    薄膜を用いたことを特徴とするエレクトロクロミック素
    子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0628848A1 (en) * 1992-12-28 1994-12-14 Tonen Corporation Electrochromic device
EP0628848A4 (en) * 1992-12-28 1995-12-20 Tonen Corp ELECTROCHROME DEVICE.

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