JPH05107384A - 簡易密度補正法による放射能測定装置およびその方法 - Google Patents

簡易密度補正法による放射能測定装置およびその方法

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JPH05107384A
JPH05107384A JP3264887A JP26488791A JPH05107384A JP H05107384 A JPH05107384 A JP H05107384A JP 3264887 A JP3264887 A JP 3264887A JP 26488791 A JP26488791 A JP 26488791A JP H05107384 A JPH05107384 A JP H05107384A
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radioactivity
radiation
measuring
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JP3264887A
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Yukio Yoshimura
幸雄 吉村
Tetsuo Goto
哲夫 後藤
Takuji Fukazawa
拓司 深澤
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Toshiba Corp
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  • Measurement Of Radiation (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、密度が均一とみなせない被測定対象
物の密度の測定を被測定対象物に対応して簡易な方法で
行うことができ、被測定対象物の放射能強度を効率的に
かつ正確に測定評価することができるようにしている。 【構成】測定容器2と放射能分布測定装置3と放射能汚
染位置測定装置4とデータ処理装置5とを備えている。
被測定対象物12と同一材で密度均一な試料Mを用いて
密度補正用構成曲線Rを予め作成し、密度不均一な被測
定対象物12の線源P1の位置と放射線強度とを放射能
分布測定装置3と放射能汚染位置測定装置4により測定
し、放射能分布測定装置3により測定された密度のデー
タと、放射能分布測定装置3と放射能汚染位置測定装置
4とにより測定された汚染位置とデータとから、被測定
対象物12中でのγ線の減衰を考慮した検出効率Eで計
算し、被測定対象物12の放射能強度を評価するもので
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、原子炉廃止措置等に伴
う解体廃棄物の放射能分布と放射能強度を非破壊で測定
評価する簡易密度補正法による放射能測定技術に係り、
特に、密度が不均一な形状を有する除染対象廃棄物に対
しても放射能分布と放射能強度を容易かつ正確に測定評
価することができる簡易密度補正法による放射能測定装
置とその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、原子炉廃止措置等に伴って発生
する解体廃棄物は、汚染の除去を効果的に行うため、対
象となる廃棄物の放射能分布および放射能強度を非破壊
で測定評価し、放射能強度に応じた適切な処理が必要と
なる。
【0003】被測定対象物としての廃棄物に対する放射
能の測定では、被測定対象物の材質と密度、そして放射
能汚染位置からの距離が放射能強度の評価上重要なパラ
メータとなる。パラメータを決定する要素のうち、被測
定対象物の材質については、通常測定前に種類を把握す
ることができるので、材質を特定することができる。
【0004】放射能汚染位置は、被測定対象物を測定装
置により様々な位置、角度から測定し、計算により放射
能分布を再構成する手法が採られており、放射能汚染位
置を測定により特定することができる。
【0005】被測定対象物の密度は、重量と容積(通常
は高さ)とを測定し平均密度を求める方法が最も簡単な
方法である。しかし、この場合は密度が均一とみなせる
被測定対象物の場合のみに限定される。
【0006】また、非破壊分析で密度を評価する方法と
しては、γ線の照射線源を備えた放射線照射測定装置に
より被測定対象物にγ線を照射し、透過度を測定し密度
を評価する方法が一般的である。
【0007】さらに、非破壊分析で密度を評価する方法
として、超音波を用いる超音波による測定装置が知られ
ている。超音波測定装置は、被測定対象物に発信部と受
信部を接触させて超音波を発信させ、超音波の伝達速度
の測定により密度を評価するようにしている。しかし、
超音波法による密度の評価は、内部に隙間がない被測定
対象物に限られる。
【0008】このため、密度が均一とみなせない被測定
対象物の密度を評価する方法としては、コンピュータ・
トモグラフィ・スキャナ法(以下CT法と称する)によ
る密度分布の評価が必要になる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、原子炉廃止
措置等に伴って発生する解体廃棄物は、放射能測定を行
う場合、配管のような内部に空間を有する形状を持つも
のが多い。
【0010】また、廃棄物の放射能汚染位置も内部空間
の内壁部であることが多いと考えられ、廃棄物の外側か
ら表面を単純に測定するだけでは、正確な放射能測定を
行うことができないおそれがある。
【0011】さらに、放射能測定の処理能力を上げるた
めには、廃棄物を一体ごと測定するのではなく多数を重
ねて測定試料ケースに収納し、一度に測定することも予
想される。
【0012】このように、放射能測定対象となる廃棄物
は、必ずしも密度が均一であるとみなすことができない
ため、CT法により密度を評価する必要がある。
【0013】ところが、CT法では、分析のための測定
時間が極めて長くなり、密度評価の処理能力が大幅に低
下してしまうという問題がある。
【0014】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、密度が均一とみなせない被測定対象物の密度
の測定を被測定対象物に対応して簡易な方法で行うこと
ができ、被測定対象物の放射能強度を効率的にかつ正確
に測定評価することができる簡易密度補正法による放射
能分布測定システムを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係る簡易密度補
正法による放射能測定装置は、上述した課題を解決する
ために、密度不均一の被測定対象物を収容し測定位置間
を移動可能な測定容器と、この測定容器の移動方向に被
測定対象物から生じる放射線を検出する放射能評価用検
出器を複数有し直接エネルギ領域の計測率と散乱エネル
ギ領域の計測率とをそれぞれ測定し被測定対象物の密度
補正用校正曲線を作成可能な放射能分布測定装置と、測
定容器の移動方向に前記放射線を検出する位置検出用検
出器を複数有し放射線の透過距離を測定し線源の位置を
測定可能な放射能汚染位置測定装置と、放射能分布測定
装置と放射能汚染位置測定装置とから送出される測定デ
ータを演算処理するデータ処理装置とを備えるようにし
たものである。
【0016】本発明に係る簡易密度補正法による放射能
測定方法は、上述した他の課題を解決するために、被測
定対象物と同一材料で均一な密度を有する試料の密度を
予め計測し、この試料に放射線源を照射して求められる
試料の散乱成分割合と透過距離と試料の密度とに基づい
て被測定対象物の密度補正用校正曲線を求める第1の工
程と、放射能汚染位置測定装置により被測定対象物の透
過距離を求め、この透過距離を密度補正用校正曲線に基
づいて被測定対象物の密度を補正する第2の工程と、放
射能分布測定装置により測定された被測定対象物の放射
能分布と放射能汚染位置測定装置により測定された透過
距離とから放射能汚染源の位置を求め、放射能汚染源近
傍の放射線強度を第2の工程により補正された被測定対
象物の密度と放射線の減衰特性とに基づいて補正し、被
測定対象物の密度に応じた放射能強度を測定評価する第
3の工程とを有するようにしたものである。
【0017】
【作用】本発明に係る簡易密度補正法による放射能測定
装置は、測定容器に密度不均一の被測定対象物を収容し
測定位置間を移動させ、放射能分布測定装置により被測
定対象物から生じる放射線を検出し直接エネルギ領域の
計測率と散乱エネルギ領域の計測率とをそれぞれ測定し
被測定対象物の密度補正用校正曲線を作成するととも
に、放射能汚染位置測定装置により放射線を検出して透
過距離を測定し線源の位置を測定する。
【0018】そしてデータ処理装置より、放射能分布測
定装置と放射能汚染位置測定装置とから送出される測定
データを演算処理するようにしたことにより、密度が不
均一な複数の被測定対象物の放射線強度を密度に応じて
一度に測定することができる。
【0019】本発明に係る簡易密度補正法による放射能
測定方法は、第1の工程により、被測定対象物と同一材
料で均一な密度を有する試料の密度を予め計測し、この
試料に放射線源を照射して求められる前記試料の散乱成
分割合と透過距離と前記試料の密度とに基づいて被測定
対象物の密度補正用校正曲線を求める。
【0020】次に、第2の工程により、放射能汚染位置
測定装置で被測定対象物の透過距離を求め、この透過距
離を密度補正用校正曲線に基づいて被測定対象物の密度
を補正する。
【0021】さらに、第3の工程により、放射能分布測
定装置により測定された被測定対象物の放射能分布と前
記放射能汚染位置測定装置により測定された透過距離と
から放射能汚染源の位置を求め、放射能汚染源近傍の放
射線強度を第2の工程により補正された被測定対象物の
密度と放射線の減衰特性とに基づいて補正し、被測定対
象物の密度に応じた放射能強度を測定評価するようにし
たことにより、被測定対象物の密度が不均一であって
も、被測定対象物に応じて密度を補正することができる
ので、放射線強度を正確に測定することができる。
【0022】
【実施例】以下図1ないし図4を参照して本発明に係る
簡易密度補正法による放射能測定装置およびその方法の
実施例を説明する。
【0023】図1は、本発明に係る簡易密度補正法によ
る放射能測定方法に用いられる測定装置の全体を示す斜
視図、図2は図1の放射能分布測定装置と放射能汚染位
置測定装置とを模式的に示す説明図、図3は図1の放射
能分布測定装置により求められる密度補正用校正曲線、
図4は図1の放射能分布測定装置と放射能汚染位置測定
装置のブロック図である。
【0024】原子炉廃止措置等に伴って発生する解体廃
棄物は、汚染の除去を効果的に行うため、放射能分布お
よび放射能強度が非破壊で測定評価され、放射能強度に
応じて適切な処理が施される。
【0025】簡易密度補正法による放射能測定装置およ
びその方法は、図1に示すように、測定容器2と放射能
分布測定装置3と放射能汚染位置測定装置4とデータ処
理装置5を用いて構成される。
【0026】測定容器2は、試料ケース10に台車11
が取り付けられる。試料ケース10は上部が開口する箱
体で構成され、内部に複数の被測定対象物としての解体
廃棄物12が収容される。試料ケース10を載置した台
車11は、図示しない移動機構により床13に設けられ
たレール14上を走行移動される。
【0027】測定容器2の測定位置には、フレーム15
がレール14を跨ぐように設けられ、フレーム15内を
測定容器2が出入り可能に移動されるようになってい
る。
【0028】放射能分布測定装置3は、図1に示すよう
に、フレーム15の上部に設けられる。放射能分布測定
装置3は、板状のコリメータ20と放射能評価用検出器
21A〜21Nとを有する。
【0029】さらに、放射能分布測定装置3は、図4に
示すように、各放射能評価用検出器21A〜21Nに対
応して増幅器121A〜121Nと直接線エネルギ弁別
用波高弁別器221Aa〜221Naと散乱線エネルギ
弁別用波高弁別器221Ab〜221Nbと直接線エネ
ルギ計測用カウンタ321Aa〜321Naと散乱線エ
ネルギ計測用カウンタ321Ab〜321Nbとをそれ
ぞれ有する。
【0030】各増幅器121A〜121Nからは、直接
線エネルギ弁別用波高弁別器221Aa〜221Naと
散乱線エネルギ弁別用波高弁別器221Ab〜221N
bとがそれぞれ分岐して電気的に接続される。
【0031】直接線エネルギ計測用カウンタ321Aa
〜321Naと散乱線エネルギ計測用カウンタ321A
b〜321Nbは、データ処理装置5(図4参照)に電
気的に接続される。
【0032】コリメータ20は、図2に示すように、フ
レーム15の上部に水平に取り付けられる。コリメータ
20は、放射能評価用検出器21A〜21Nにより解体
廃棄物12の放射能分布を測定する際、放射能分布の位
置分解能を上げるために設けられる。
【0033】放射能評価用検出器21A〜21Nは、Na
I(Tl) 検出器で構成され、コリメータ20を貫通して設
けられ、測定容器2の移動軌跡に対して垂直方向に所定
の間隔を置いて複数個設けられる。放射能評価用検出器
21A〜21Nは、測定容器2が解体廃棄物12を収容
してフレーム15内に出し入れされる際、解体廃棄物1
2から発生するγ線を検知する。
【0034】放射能評価用検出器21A〜21Nは検出
された検出信号を増幅器121A〜121Nに送出し、
増幅器121A〜121Nは放射能評価用検出器21A
〜21Nからの検出信号を所定の波高にそれぞれ増幅
し、直接線エネルギ弁別用波高弁別器221Aa〜22
1Naと散乱線エネルギ弁別用波高弁別器221Ab〜
221Nbとにそれぞれ送出する。
【0035】直接線エネルギ弁別用波高弁別器221A
a〜221Naは、増幅器121A〜121Nからの増
幅された検出信号を測定対象核種の直接線エネルギ領域
の計数率(以下直接線エネルギ部計数率と称する)に対
応するエネルギのγ線のみのパルスに弁別し、直接線エ
ネルギ計測用カウンタ321Aa〜321Naにそれぞ
れ送出する。
【0036】なお、直接線エネルギ部計数率は、測定対
象核種のγ線スペクトルの光電効果によるピーク部分の
エネルギ範囲のγ線計数率をいう。
【0037】散乱線エネルギ弁別用波高弁別器221A
b〜221Nbは、増幅器121A〜121Nからの増
幅された検出信号を測定対象核種の散乱線エネルギ領域
の計数率(以下散乱線エネルギ部計数率と称する)に対
応するエネルギのγ線のみのパルスに弁別し、散乱線エ
ネルギ計測用カウンタ321Ab〜321Nbにそれぞ
れ送出する。
【0038】なお、散乱線エネルギ部計数率は、コンプ
トン散乱連続部分のエネルギ範囲のγ線計数率をいう。
【0039】直接線エネルギ計測用カウンタ321Aa
〜321Naは、直接線エネルギ弁別用波高弁別器22
1Aa〜221Naからの信号を直接線エネルギ部計数
率C1としてそれぞれ計数し、データ処理装置5に送出
する。
【0040】散乱線エネルギ計測用カウンタ321Ab
〜321Nbは、散乱線エネルギ弁別用波高弁別器22
1Ab〜221Nbからの信号を散乱線エネルギ部計数
率C2としてそれぞれ計数し、データ処理装置5に送出
する。
【0041】データ処理装置5は、直接線エネルギ部計
数率C1と散乱線エネルギ部計数率C2とのデータから
γ線の散乱成分割合を演算して算出し、測定容器2内の
解体廃棄物12から発生する水平方向と移動方向との2
次元放射能分布と放射能強度を測定する。
【0042】放射能汚染位置測定装置4は、図1に示す
ように、フレーム15の両側部に設けられる。放射能汚
染位置測定装置4は、板状のコリメータ30、31と位
置検出用検出器32A〜32Nとを有する。
【0043】さらに、放射能汚染位置測定装置4は、図
4に示すように、各位置検出用検出器32A〜32Nに
対応して増幅器132A〜132Nと直接線エネルギ弁
別用波高弁別器232A〜232Nと各直接線エネルギ
計測用カウンタ332A〜332Nとをそれぞれ備え、
順に電気的に接続される。
【0044】直接線エネルギ計測用カウンタ332A〜
332Nは、データ処理装置5(図4参照)に電気的に
接続される。
【0045】コリメータ30、31は、図1および図2
に示すように、フレーム15の両側部に垂直に取り付け
られる。コリメータ30、31は、位置検出用検出器3
2A〜32Nにより解体廃棄物12の放射能分布を測定
する際、放射能分布の位置分解能を上げるために設けら
れる。
【0046】位置検出用検出器32A〜32Nは、NaI
(Tl) 検出器で構成され、コリメータ30、31を貫通
して設けられ、測定容器2の移動軌跡に対して平行に所
定の間隔を置いて複数個設けられる。位置検出用検出器
32A〜32Nは、測定容器2が解体廃棄物12を収容
してフレーム15内に出し入れされる際、解体廃棄物1
2から発生するγ線を検知する。
【0047】位置検出用検出器32A〜32Nは検出さ
れた検出信号を増幅器132A〜132Nに送出し、増
幅器132A〜132Nは位置検出用検出器32A〜3
2Nからの検出信号を所定の波高にそれぞれ増幅し、直
接線エネルギ弁別用波高弁別器232A〜232Nにそ
れぞれ送出する。
【0048】直接線エネルギ弁別用波高弁別器232A
〜232Nは、増幅器132A〜132Nからの増幅さ
れた検出信号を測定対象核種の直接線エネルギ領域の計
数率(直接線エネルギ部計数率)に対応するエネルギの
γ線のみのパルスに弁別し、直接線エネルギ計測用カウ
ンタ332A〜332Nにそれぞれ送出する。
【0049】直接線エネルギ計測用カウンタ332A〜
332Nは、直接線エネルギ弁別用波高弁別器232A
〜232Nからの信号を直接線エネルギ部計数率C3と
してそれぞれ計数し、データ処理装置5に送出する。
【0050】データ処理装置5は、直接線エネルギ部計
数率C1,散乱線エネルギ部計測率C2,直接線エネル
ギ部計測率C3のデータから、測定容器2内の解体廃棄
物12から発生するγ線の垂直方向および水平方向と移
動方向との2次元放射能分布を測定し、放射能汚染位置
を測定する。
【0051】次に、簡易密度補正法による放射能測定方
法について説明する。
【0052】まず第1の工程S1では、予め解体廃棄物
(被測定対象物)12と同一材料で均一な密度を有する
試料Mの密度を計測し、この試料Mに放射線源を照射し
て求められる試料Mの散乱成分割合Z1と透過距離tと
試料Mの密度ρとに基づいて解体廃棄物12の密度補正
用校正曲線R(図3参照)を作成する.密度補正用校正
曲線Rは、測定対象核種のγ線スペクトルの光電効果に
よるピーク部分のエネルギ範囲のγ線計数率(直接線エ
ネルギ部計数率)と、コンプトン散乱連続部分のエネル
ギ範囲のγ線計数率(散乱線エネルギ部計数率)との比
が被測定対象物の密度と透過距離との積に相関性がある
ことを利用して、予め密度均一の試料Mを用いて、縦軸
に散乱成分割合Zの増加ΔZを、横軸に密度ρと透過距
離tとの積ρtをそれぞれとって求められるものであ
る。
【0053】図3に示す密度補正用校正曲線Rは、予め
解体廃棄物(被測定対象物)12と同一の材質で密度が
均一な試料Mを用い、密度ρが0.5〜2g/cm3 、透過
距離tが5〜25cmについて60Coの点線源P0を使用
して校正した例である。
【0054】まず散乱成分割合の増加ΔZは、散乱成分
割合Z1から、解体廃棄物(被測定対象物)12が存在
しない場合すなわち密度が0g/cm3 の場合の測定で求め
た散乱成分割合Z0を差し引いて求める。
【0055】散乱成分割合Z1は、放射能分布測定装置
3により測定された直接線エネルギ部計数率C1と散乱
線エネルギ部計数率C2とから以下の式で求める。
【0056】 Z1=C1/(C1+C2) ……(1) 散乱成分割合の増加ΔZは、式(1)で求めた散乱成分
割合Z1から、被測定対象物が存在しない場合すなわち
密度が0g/cm3 の場合の測定で求めた散乱成分割合Z0
を差し引いて求める。というのは、密度が0g/cm3 の場
合、直接線エネルギ部計数率C1と散乱線エネルギ部計
数率C2は一定でなく、点線源P0や測定容器2の形状
に応じて変化するからである。
【0057】 ΔZ=Z1−Z0 ……(2) ここでΔZは密度が均一な試料Mにおける散乱成分割合
の増加を示す。
【0058】このとき、予め密度が0g/cm3 の場合、放
射能分布測定装置3により求められた散乱成分割合Z0
と、放射能汚染位置測定装置4により測定されたγ線発
生源P0(60Coの点線源)の垂直方向の透過距離t0
との相関曲線を求めておく。
【0059】第2の工程S2では、解体廃棄物12を測
定評価する際、放射能汚染位置測定装置4により解体廃
棄物12の透過距離t1を求め、この透過距離t1を第
1の工程S1の密度補正用校正曲線Rに基づいて解体廃
棄物12の密度ρ1を求める。
【0060】第2の工程S2では、測定試料ケース10
に密度が不均一な解体廃棄物(被測定対象物)12を収
容して、測定試料ケース10をフレーム15内に移動す
る。測定試料ケース10は、移動方向の2次元放射能分
布を考慮して垂直方向の透過距離を算出するため、少な
くとも2か所の所定の測定位置A,B間(図1の距離L
参照)を移動される。
【0061】第1の測定位置Aと第2の測定位置Bと
で、放射能汚染位置測定装置4は位置検出用検出器32
A〜32Nで解体廃棄物12から発生するγ線を検出
し、増幅器132A〜132N、直接線エネルギ弁別用
波高弁別器232A〜232N、直接線エネルギ計測用
カウンタ332A〜332Nを介して直接線エネルギ部
計数率C3としてそれぞれ計数し、データ処理装置5に
送出する。
【0062】データ処理装置5は、直接線エネルギ部計
測率C3のデータから、測定容器2内の解体廃棄物12
から発生するγ線の垂直方向と移動方向との2次元放射
能分布を測定し、γ線の発生源(放射能汚染源)P1
(図2参照)の透過距離t1を測定する。
【0063】次に、被測定対象物12が存在しない場合
すなわち密度が0g/cm3 の場合の測定において、垂直方
向の透過距離t0が解体廃棄物12の透過距離t1と同
じ透過距離を有するときの散乱成分割合Z0を求める。
【0064】そして、式(1)で求めた均一な密度の場
合の散乱成分割合Z1と密度が0の場合の散乱成分割合
Z0とから、密度が不均一な解体廃棄物12によって増
加した散乱成分割合ΔZ2が次式で求められる。
【0065】 ΔZ2=Z1−Z0 ……(3) ここでΔZ2は密度が不均一な解体廃棄物12における
散乱成分割合の増加を示す。
【0066】解体廃棄物12によって増加した散乱成分
割合ΔZ2は、試料Mと同一の材質であり、γ線の減衰
の理論式より密度ρと透過距離tとの積に相関があるの
で、増加した散乱成分割合ΔZ2を図3に示す密度補正
用校正曲線Rに適用して、解体廃棄物12の透過距離t
1から解体廃棄物12の密度ρ1を補正して求めること
ができる。
【0067】第3の工程S3では、放射能分布測定装置
3により測定された解体廃棄物(被測定対象物)12の
放射能分布と放射能汚染位置測定装置4により測定され
た透過距離t1とから放射能汚染源P1の位置を求め、
放射能汚染源P1近傍の放射線強度を第2の工程S2に
より補正された解体廃棄物12の密度ρ1と放射線の減
衰特性とに基づいて補正し、解体廃棄物12の密度ρ1
に応じた放射能強度を測定評価する。
【0068】第3の工程S3では、第1の測定位置Aと
第2の測定位置Bとで、放射能分布測定装置3と放射能
汚染位置測定装置4とにより解体廃棄物12の放射能分
布を測定する。
【0069】まず、放射能分布測定装置3の放射能評価
用検出器21A〜21Nから得られた直接線エネルギ計
測率C11により水平方向と移動方向の2次元放射能分
布を逐次近似法で再構成して求め、水平方向と移動方向
の放射能汚染位置PS2を求める。
【0070】次に、放射能汚染位置測定装置4の位置検
出用検出器32A〜32Nから得られた直接線エネルギ
部計測率C12により垂直方向と移動方向の2次元放射
能分布を逐次近似法で再構成して求め、放射能分布測定
装置3で求めた放射能汚染位置PS2に対する垂直方向
の放射能汚染位置PS3を決定する。
【0071】そして、解体廃棄物12の放射能強度を評
価するため、データ処理装置5により放射能分布測定装
置3の測定結果(放射能汚染位置PS2)を、放射能汚
染位置測定装置4で得られた放射能汚染位置PS3の垂
直方向の距離の幾何学的効率で補正し、放射能汚染位置
PS1を特定する。
【0072】また、放射能分布測定装置3の放射能評価
用検出器21A〜21Nのうち、放射能汚染位置PS1
に最も近い放射能評価用検出器21Aを特定し、放射能
評価用検出器21Aの放射能汚染位置PS1に最も近い
移動方向位置で測定した直接線エネルギ部計測率C11
と散乱線エネルギ部計測率C12とから散乱成分割合の
増加ΔZ2を求める。
【0073】散乱成分割合の増加ΔZ2により、第2の
工程S2で求められた密度補正用校正曲線Rから解体廃
棄物12の補正された密度ρ1と透過距離t1との積が
求められる。
【0074】次にγ線の減衰特性を求めて、解体廃棄物
12の放射線強度(直接線エネルギ部計測率C11と散
乱線エネルギ部計測率C12)を補正する。
【0075】γ線の直接線エネルギ部計測率C11と密
度ρと透過距離tとの関係は次式で示される。
【0076】 C11=C10・B・exp (−μ・ρ・t)… (4) ここで、符号C10は減衰する前の直接線エネルギ部計
数率を示し、これは同じ幾何学的配置で密度0g/cm
3 (被測定対象物なし)における直接線エネルギ部計測
率の測定結果となる。また、Bはビルドアップファクタ
で、μは被測定対象物のγ線吸収係数を示す。
【0077】式(4)から明らかなように、γ線源が同
一の幾何学的配置で、密度が0の場合と密度不均一な解
体廃棄物12がある場合との各直接線エネルギ部計測率
C11,C10の比から求めた減衰比C11/C10
は、密度ρと透過距離tとの積ρtに依存する。
【0078】このため、減衰比C11/C10と積ρt
(密度ρと透過距離tとの積)との減衰補正用校正曲線
R1を予め点線源P0を使って求めておくことにより、
データ処理で得られた積ρtから直接線エネルギ部計測
率C11の減衰比が求められる。従って、解体廃棄物1
2のγ線の減衰を考慮した検出効率Eが計算でき、正確
な放射能強度を測定することができる。
【0079】この簡易密度補正法による放射能測定方法
は、直接線エネルギ部計測率は、核種別放射能強度の評
価のために必ず測定されるため、同一の検出器の信号を
分岐して同時に散乱線エネルギ部計数率を測定すれば、
密度の測定ができる。
【0080】放射能分布測定装置3により測定された密
度のデータと、放射能分布測定装置3と放射能汚染位置
測定装置4とにより測定された汚染位置とデータとか
ら、被測定対象物12中でのγ線の減衰を考慮した検出
効率Eで計算し、被測定対象物12の放射能強度を正確
に評価することができる。
【0081】この簡易密度補正法による放射能測定方法
は、放射能強度の定量評価に影響するγ線を利用して密
度評価できるため、密度が均一とみなせない被測定対象
物について適用可能であり、しかも、放射能強度の評価
に必要となる測定時間のみで密度を測定することもでき
るため、処理能力が低下する問題もない。
【0082】なお、簡易密度補正法による放射能測定方
法は、測定対象となる核種が限定可能な場合に限られる
が、対象となる核種が複数ある場合であっても、散乱線
エネルギ部計測率のエネルギ範囲を他の核種の直接線エ
ネルギ部計測率のエネルギ範囲と重複しないように設定
すれば、複数の対象核種にも利用することができる。
【0083】また、対象となる核種が複数ある場合、直
接線エネルギ部計測率と散乱線エネルギ部計測率の評価
が、他の核種の散乱線エネルギ部計測率と重なって測定
される恐れがある。
【0084】しかし、それぞれの核種のγ線の直接線エ
ネルギ部計測率は散乱線エネルギ部計測率の中の最も高
いエネルギとなり、他の核種の散乱線エネルギ部計測率
の影響を受けないため、他の核種の直接線エネルギ部計
測率に対する散乱線エネルギ部計測率の寄与分を予め線
源を用いて測定しておき、最も高いエネルギとなる直接
線エネルギ部計測率を基準として寄与分を順次差し引く
ことにより散乱線エネルギ部計測率のより正確な評価が
可能となる。
【0085】なお、上記実施例では、原子力発電所の解
体廃棄物について述べたが、これに限られるものではな
く、被測定対象物内部の放射能汚染を検査することがで
きるので、放射性物質取扱い施設における物品搬出モニ
タ等に利用できることはいうまでもない。
【0086】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明に係る簡易
密度補正法による放射能測定装置は、密度不均一の被測
定対象物を収容し測定位置間を移動可能な測定容器と、
この測定容器の移動方向に被測定対象物から生じる放射
線を検出する放射能評価用検出器を複数有し直接エネル
ギ領域の計測率と散乱エネルギ領域の計測率とをそれぞ
れ測定し被測定対象物の密度補正用校正曲線を作成可能
な放射能分布測定装置と、測定容器の移動方向に放射線
を検出する位置検出用検出器を複数有し放射線の透過距
離を測定し線源の位置を測定可能な放射能汚染位置測定
装置と、放射能分布測定装置と放射能汚染位置測定装置
とから送出される測定データを演算処理するデータ処理
装置とを備えているので、密度が不均一な複数の被測定
対象物の放射線強度を密度に応じて一度に測定すること
ができ、測定作業の効率を向上させることができる。
【0087】また、本発明に係る簡易密度補正法による
放射能測定方法は、被測定対象物と同一材料で均一な密
度を有する試料の密度を予め計測し、この試料に放射線
源を照射して求められる試料の散乱成分割合と透過距離
と試料の密度とに基づいて被測定対象物の密度補正用校
正曲線を求める第1の工程と、放射能汚染位置測定装置
により被測定対象物の透過距離を求め、この透過距離を
密度補正用校正曲線に基づいて被測定対象物の密度を補
正する第2の工程と、放射能分布測定装置により測定さ
れた被測定対象物の放射能分布と放射能汚染位置測定装
置により測定された透過距離とから放射能汚染源の位置
を求め、放射能汚染源近傍の放射線強度を第2の工程に
より補正された被測定対象物の密度と放射線の減衰特性
とに基づいて補正し、被測定対象物の密度に応じた放射
能強度を測定評価する第3の工程とを有するので、密度
が不均一な形状を有する除染対象廃棄物に対しても放射
能分布と放射能強度を容易かつ正確に測定評価すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る簡易密度補正法による放射能測定
方法に用いられる測定装置の全体を示す斜視図。
【図2】図1の放射能分布測定装置と放射能汚染位置測
定装置とを模式的に示す説明図。
【図3】図1の放射能分布測定装置により求められる密
度補正用校正曲線。
【図4】図1の放射能分布測定装置と放射能汚染位置測
定装置のブロック図。
【符号の説明】
2 測定容器 3 放射能分布測定装置 4 放射能汚染位置測定装置 5 データ処理装置 12 被測定対象物 21A〜21N 放射能評価用検出器 32A〜32N 位置検出用検出器 A,B 測定位置 C1,C3,C10,C11 直接線エネルギ部計測率 C2,C12 散乱線エネルギ部計測率 M 試料 P1 放射能汚染源(線源) P0 点線源(放射線源) R 密度補正用校正曲線 S1 第1の工程 S2 第2の工程 S3 第3の工程 t,t0,t1 透過距離 Z,Z0,Z1,Z2 散乱成分割合

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密度不均一の被測定対象物を収容し測定
    位置間を移動可能な測定容器と、この測定容器の移動方
    向に前記被測定対象物から生じる放射線を検出する放射
    能評価用検出器を複数有し直接エネルギ領域の計測率と
    散乱エネルギ領域の計測率とをそれぞれ測定し被測定対
    象物の密度補正用校正曲線を作成可能な放射能分布測定
    装置と、前記測定容器の移動方向に前記放射線を検出す
    る位置検出用検出器を複数有し前記放射線の透過距離を
    測定し線源の位置を測定可能な放射能汚染位置測定装置
    と、前記放射能分布測定装置と放射能汚染位置測定装置
    とから送出される測定データを演算処理するデータ処理
    装置とを備えたことを特徴とする簡易密度補正法による
    放射能測定装置。
  2. 【請求項2】 被測定対象物と同一材料で均一な密度を
    有する試料の密度を予め計測し、この試料に放射線源を
    照射して求められる前記試料の散乱成分割合と透過距離
    と前記試料の密度とに基づいて被測定対象物の密度補正
    用校正曲線を求める第1の工程と、放射能汚染位置測定
    装置により被測定対象物の透過距離を求め、この透過距
    離を前記密度補正用校正曲線に基づいて前記被測定対象
    物の密度を補正する第2の工程と、放射能分布測定装置
    により測定された前記被測定対象物の放射能分布と前記
    放射能汚染位置測定装置により測定された透過距離とか
    ら放射能汚染源の位置を求め、放射能汚染源近傍の放射
    線強度を前記第2の工程により補正された前記被測定対
    象物の密度と放射線の減衰特性とに基づいて補正し、被
    測定対象物の密度に応じた放射能強度を測定評価する第
    3の工程とを有することを特徴とする簡易密度補正法に
    よる放射能測定方法。
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